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第67話
沙紀とキムさんのショーが始まる寸前、俺は冬子の容体を見に行くように指示された。
後ろ髪を引かれる想い…いや、違う。中国人達に囲まれた中で、俺には沙紀の痴態を見る度胸がなかったのだ。それに張さんの指摘通り、沙紀の一人語りを期待するただの変質者なのかもしれない。
宴会場を出た俺は暗い廊下を進んで、目的の部屋の前に辿り着いた。
カードキーの番号と部屋番号を確かめ、ノックする。返事がないので、キーを使う事にした。
ドアを開けると小声で「お邪魔します」と告げて、中へと足を運ぶ。
部屋は明るく、短い廊下を進むとベッドが見えてきた。窓際には、ホテルのガウンを纏ってソファーに座る冬子が窺えた。
冬子は焦点の定まらない目を、宙に彷徨わせている、ように観えた。
「だ、大丈夫かい…?」恐る恐る俺は尋ねてみた。
それでも冬子は、一瞬こちらに顔を向けただけ。
まさか精神まで崩壊してしまったのか。
不安が過ぎった俺は、急いで冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。コップを探しそれに注ぐと、冬子の口元に持って行った。
すると冬子が、ニヤリと笑った。「えへへ、大丈夫、ですよ。ちょっと、フリ、してました」
「え、大丈夫なの。意識が飛んでるかと思ったよ」
俺は一瞬慌てたが、冬子の無事に安堵した。それでも、もう一度尋ねてみる。
「本当に大丈夫なのかい。ほら…凄くキツかったみたいだけど」
「ふふふ、砺波さん、心配、してくれるんですか」
片言の日本語で話す冬子の口調は、シッカリしているように観える。
手にしたミネラルウォーターをゴクゴクと飲み干し、そして続ける。「周さんの縛りも、ムチも、張さんで、慣れて、ます」
「そ、そうなのかい…」
俺の返事に、冬子がニコリと笑う。
それにしても、こんな幼い身体は既に、痛みの免疫が出来ているというのか。いや、それは免疫ではないかも知れない。
「どうしたのですか」
「いや、大丈夫ならいいんだけどさ。張さんから様子を見て来てくれって頼まれたんでね」
「そうですか。ありがとう、ございます。でも、それだけ、ですか」
「え、それだけって?」
そこで冬子が、歪な笑みを浮かべた。
「アタシの身体に付いた疵痕、ソレを擦ったり、舐めたり、清めたり、しろって、云われてませんか」
「なッ!それは…」俺は呻きをあげた。
冬子は俺の様子を楽しんでいるのか、怪しげた笑みを続けている。
やがて冬子が、すくっと立ち上がった。
「アタシ、あの程度じゃ、ぜんぜん感じません、でしたわ」
な、何を言ってるんだ、この子は。又も背中に、嫌な汗が湧いて来る。
「砺波さん、明るい所で、よく見て、下さい」
片言の日本語が俺の中にスンナリ溶け込んでいく。冬子の目は、妖しい光を放ち始めている。そしてガウンが開かれた。
目の前の振る舞いを呆然と見守る俺。露になった肢体には、間違いなくムチや縛りの痕がある。前が開(はだ)けたガウンの間からは胸の突起の回りの疵痕が、薄い恥毛の上辺りにはハッキリとした痣が見えるのだ。しかし冬子は、この痛みでは物足りないと言うのか。
「どうしたんですか。前にも肌を…ああ砺波さん、あの時は、酔っ払って、ましたね」
冬子の口元が今度は愉しげに歪んで観える。
「今日は砺波さん、酔っ払って、ませんね。じゃあ」
云うなり冬子が、全てを脱ぎ取った。
丸く膨らんだ乳房は完全に成熟した大人のものだった。腰周りの肉づきだって、エロスの味を滲み出している。
「さあ、御主人様」
冬子が俺の足元に膝をついた。
法被の裾が捲られ、細く白い指が忍び寄って来た。
カチャカチャとベルトの音が鳴る。続いてファスナーが降ろされる音。
「あら、ふふっ」冬子が俺の愚息を見てか、鼻で笑う。そして、紅い唇が胯間に向かってくる。
しかし。
次の瞬間、俺は冬子を突き飛ばしていた。
ベッドの角に身体をぶつける冬子。その目が俺を見上げる。
「ご、ごめん。大丈夫?」
俺は慌てて屈んで、冬子の肘に手を当てた。その手に縋るように、冬子が立ち上がる、と同時に俺に抱きついて来た。
あっ、と思った時には唇が塞がれていた。
口の中に舌が侵入してくる。嗅いだ事のない香水の匂いが鼻につく。
それでも俺は、冬子を振り払おうと肩を押した。冬子がベッドの上に尻もちを付く。こちらに向ける目には、哀しみが浮かんでいく。
冬子を見下ろす形になった俺だったが、股間は剥き出しの状態だった。再び冬子が、萎えたままのソレに手を伸ばして云う。「お願い、砺波、さん。アタシを、清めて」
その懇願の響きに、俺の中の何かが反応した。
冬子の唇がもう一度『お願い』と呟き、俺のソレを咥え込んだのだった。
雁首をネブリ回し、竿へと這いずり回る舌。
あっという間に血が流れ込んで、硬さを携える肉の棒。
意識を他にやろうと別の事を考えるが、舌の動きはますます激しさを増す。そこに卑猥な音まで加わって来た。
ヘソにまでソレが聳え立ったところで、冬子が立ち上がった。そして再び口付けだ。そして俺は、冬子に誘われるようにベッドに倒れ込んだのだった。