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第24話
思わぬ展開から、俺達は寝室のベッドで重なり合っていた。
射精を終えた俺は、荒い息を吐きながら天井を見上げている。隣で突っ伏したままの沙紀は、切れ切れの息を吐いている。その沙紀が薄っらと目を開けて、俺を見詰めた。
「聖也くん、どうだった?」
「へ、どうって?」
「アタシのアソコ、良くなかった?百合子さんの方が良かった?」
「お、おい、何て事を…」
「ココに勝野さんの大きいのが入ったんだよ。ねぇ、ガバガバになってなかった?」
「沙紀、なんでそんな事云うんだよ。それに…もう終わった事だし、仕方ないだろ」忘れろよ…と云い掛けた途中で、沙紀の眼差しに気がついた。怒ってるような哀しいような色が混ざり合っている。
「聖也くんが悪いんだからね」と、キツイ口調が襲って来た。しかし声には、間違いなく哀しみも含まれている。
「だから…俺が悪かったって…」
「聖也くんはアタシがいるのが分かってて、百合子さんとセックスしたんだよね」
「あ、ああ…」
「その百合子さんのアソコが、とても良かったんでしょ」
「またそんな事を…」
「百合子さんが云ってたわ」
「ええっ、そんな事を!」云うなり、唇が震え出した。
寝室の温度が急に下がった気がした。沙紀の息遣いが変な震えを起こしている。もともと感情の起伏が激しい沙紀なのだ。
そんな沙紀が「さっきの話に続きがあってね」と、噛み締めるように話し出した。
「百合子さん、下着を持って来てなかったの」
「ん、下着を渡すって云って呼び出したのにか」
「そうなの。それで『マンションが直ぐそこだから一緒に来て』って」
「自宅って事?」
「そう、それで一緒に行ったの。歩くとそこのお店から10分ちょっとだったと思うけど、タワマンてあるでしょ、それだったの」
「ああ、何となく分かる、あの辺りだ」
「高層でね、百合子さんの所は40階辺りだったと思う」
「そうか、金持ちなんだろうな」
「うん、ロビーからして凄かった。コンシェルジュもいて、一流ホテルって感じだった」
「沙紀は部屋まで行ったの?」
「うん」
「それですんなり、下着を渡されて帰って来たわけじゃなさそうだな」
「そうなの、リビングに通されて、ちょっと付き合ってって、ブランデーを勧められたの」
「昼間から酒をか」
「そう、それでね…断るのも悪いと思ったから、一杯だけ頂く事にしたの」
「そうなのか…それで?」
「百合子さんが、ここからの眺めは素敵よ、とか話が始まって、そのマンションを買った経緯(いきさつ)なんかも話し始めたの」
「マンションの経緯?」
「うん、人にお金を貸してて、それが返って来なくて、担保に取ってたのがこのマンションだって。聖也くんなら分かる話だって云ってたわ」
「なるほど」
不動産の仕事をしてる俺にはよく理解できる話だった。あの勝野と言う人は、不動産を担保に金貸しのような事もやっているのだ。
「買った経緯というより、手に入れた経緯って事だな」俺は一人頷き「それから?」と先を促した。
「百合子さんは、ご主人の仕事の話も少ししたわ。都心のビルの売買で忙しくて、接待も結構あって、中国人の顧客を日本の温泉に連れて行ったりだとか、このマンションにも呼んだ事があるとか」
その接待の話は、あの宿でも聞いた話だった。確か俺達が宿を経った次の日に、その顧客が来るとか云ってた記憶がある。
「それと、百合子さんのプライベートの事も少し聞いたわ」
「プライベートって」
「うん、歳はご主人より3つ下の42なんですって」
「42なんだ」と、あの野天風呂で見た色っぽい肉体を思い浮かべてしまった。
「それとね、いっとき水商売をやってたんだって」
ああ、なるほど、と無意識に頷いていた。云われてみれば、その雰囲気は感じていたかもしれない。
「詳しくは聞かっなかったけど、かなり一流のお店みたいよ。あとはパーティーのコンパニオンもやってて、そこで勝野さんと知り合ったみたいね」
「そうか…」と呟いたところで、この話の着地点がどこだろうか、沙紀は何処に話を続けているのかと一瞬考えた、その時だ。
新たな衝撃が襲って来たのだった。