小説本文


第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話 第11話 第12話 第13話 第14話 第15話 第16話 第17話 第18話 第19話 第20話 第21話 第22話 第23話 第24話 第25話 第26話 第27話 第28話 第29話 第30話 第31話 第32話 第33話 第34話 第35話 第36話 第37話 第38話 第39話 第40話 第41話 第42話 第43話 第44話 第45話 第46話 第47話 第48話 第49話 第50話 第51話 第52話 第53話 第54話 第55話 第56話 第57話 第58話 第59話 第60話 第61話 第62話 第63話 第64話 第65話 第66話 第67話 第68話 第69話 第70話 第71話 第72話 第73話 第74話 第75話 第76話 第77話 第78話 第79話 
第7話


 大浴場から部屋に戻った俺達二人は、それぞれがボォっと過ごしていた。
 沙紀は部屋にあった近隣の観光名所のパンフレットを見たりしていたが、今は窓辺から外を眺めている。しかし頭の中には、俺が浮かべたのと同じシーン、それが流れているのではないだろうか。
 畳に寝っ転がって天井を見上げる俺の頭の中は、さっきの野天風呂の様子、あの夫婦の事でいっぱいだった。


 俺達の前で男女の営みを披露していたあの夫婦。
 沙紀の話では、湯船に浸かって直ぐに気がついたとか。その時の様子は、奥さんが男の背中に湯を掛けて、泡を洗い流していた。その姿に沙紀は微笑ましいものを感じたが、直ぐに驚愕へと変わったのだった。
 今度は男が、奥さんの身体を洗うのかと思ったが、何と男は女の乳房に口を付けたのだ。そして、先端の尖りを舌で弄くりだしたのだ。
 彼等が沙紀の存在に、いつ気づいたのかは分からない。だけど男は、見せ付けるように激しく吸っていたのだとか。
 沙紀は既に、蛇に睨まれた蛙のように固まっていた。湯船の上がり斑の岩に腰をおろしたまま、竦んでしまっていた。
 自分の胸や股間を隠すのも忘れて、男女の姿に魅入られていたわけだ。


 男は奥さんの胸や急所を責めた後に、遂にソレを挿入した。挿入の瞬間、男は沙紀の顔を見たらしい。
 最初は沙紀の説明通り正常位。それも繋がってる部分を沙紀によく見えるようにだ。
 次が後背位、バックで交わったのだ。二人の顔は沙紀の方を向いて、女は逝き顔を曝したのだ。


 沙紀の頭は混乱して、現実離れした気分になっていたらしい。やがて俺が遅れてやって来るわけだが、俺は彼等の騎乗位を沙紀と一緒に目撃した。そして、桃源郷のような世界に連れて行かれたのだ。
 彼等がその場から去った後も、暫く俺も沙紀も、その場から動けないでいた。
 俺達が会話を交わしたのは、どのくらい経った後だったか。沈み込むように湯船に浸かって、沙紀に云ったのだ。
 『凄いのを見ちゃったな…』
 『う、うん、アタシ、あんなの初めて…』
 そう、俺も沙紀も他人のセックスを生で見た事など一度もなかった。せいぜいエロいビデオや動画で視たぐらいだ。
 それに、これまで二人で混浴に入った事はあったが、人前でセックスを追っ始める奴なんかいた事がない。律儀にタオルで、身体を隠す人が殆どだった。勿論、俺達もまだ羞恥を感じるキャリアだった。
 結局彼等が出てからも、その野天風呂には大した時間も居ず、直ぐに出てしまったのだ。気分は湯当たりでもしたか、頭がボォっとして軽い目眩もしていた。沙紀を見れば同じで、赤身を帯びた表情は重たそうな感じだった。


 それとだーー。
 部屋に戻ってからの沙紀の回想だ。
 『あの人のアソコ、凄くゴツゴツしてた』
 『え、それは何!?』
 『ほら、だいぶ前に一緒に視たエッチなビデオで、アソコに真珠?…入れてた人いたでしょ、あんな感じ』
 『ああ、ヤクザがやってるヤツだ。じゃあ、あの人達ってやっぱり』
 『でも、刺青はなかったでしょ』
 『そうだな、俺は気が付かなかった』
 『でもね、女の人の方、アソコの毛がなくてね、代わりに刺青みたいなのがあった気がするの』
 『え、マジか』
 『うん、アタシ、ソコにも魅入られてたから』
 『そうか…綺麗な人だったよな』
 『そう、凄く綺麗な人だったわ。それにね、身体の張りや肌のツヤなんかも良かったと想う。とにかく色っぽかったわ』
 『ああ、確かに。それに男も凄かった。体格も俺より一回りくらいゴツかったよな。贅肉らしいものも全然なかったし』
 『うん、それに何より…』
 『ん、アソコか』
 『うん、ごめん。あんな大きなの見た事なかったから、ビックリしちゃった』
 それを訊いて俺は『こほん』と、咳払いをしたのだった。