小説本文


第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 第10話 第11話 第12話 第13話 第14話 第15話 第16話 第17話 第18話 第19話 第20話 第21話 第22話 第23話 第24話 第25話 第26話 第27話 第28話 第29話 第30話 第31話 第32話 第33話 第34話 第35話 第36話 第37話 第38話 第39話 第40話 第41話 第42話 第43話 第44話 第45話 第46話 第47話 第48話 第49話 第50話 第51話 第52話 第53話 第54話 第55話 第56話 第57話 第58話 第59話 第60話 第61話 第62話 第63話 第64話 第65話 第66話 第67話 第68話 第69話 第70話 第71話 第72話 第73話 第74話 第75話 第76話 第77話 第78話 第79話 
第16話


 野天の大きな湯船を挟んで、向こう側では沙紀が、こちら側では俺が、互いに裸体を曝していた。
 沙紀は逆上(のぼ)せ上がったのか、身体を安静に寝かされているようだ。その横では、勝野さんが沙紀の身体を見下ろしている。
 俺の方はといえば、先ほどから百合子さんの口技を受けとめているところだった。


 ナメクジのような舌は、俺の先っぽを舐め、裏側を刺激し、そして唇に含んだまま奉仕を続けた。
 意識の奥では、自制心と快感が交互に混ざりながら繰り返されていた。


 百合子さんが咥えたまま顎を引き、上目遣いに見詰めてきた。俺の高鳴りが更に増して行く。
 そのタイミングで、プハッと硬直したペニが吐き出された。
 見下ろす白い身体が、背中を向けたかと思うと四つん這いに形を変えた。


 「聖也さん、お願い…」蜜を塗(まぶ)したような甘ったるい声だ。
 それでも戸惑う俺を察したか、百合子さんが四つ身の姿勢から後ろに手を伸ばして、俺の手首を掴んだ。
 「あの人達の事は、今は気にしないで」
 「でも…」
 「お願い、早くしないと…」気づかれる…と聞こえた気がした。
 「ねぇ、これ以上恥を掻かせないで」
 その懇願するような響きに、俺の中の何かが弾け飛んだ。
 見れば夜空に浮かぶ満月のような丸い尻が、更に突き上がっていた。百合子さんが果敢に淫部を曝したのだ。
 気付いた時には、俺のペニスは破れ目の奥の泥濘を探しあて、性急に腰をぶつけていた。
 一度動き始めた腰は、何かに取り憑かれたように振り続いた。
 百合子さんは声を押し殺していたが、ついに「あぁっ、こんな女のアソコもいいもんでしょ」と、感泣の声を上げた。
 「ううっ、し、締まりが、凄いっ…」
 「聖也さんも凄いわぁ」
 しかし我慢の限界が近づいていた。
 「うっ!」
 射精と同時に、身体が突っ伏すように四つ身の身体に覆い被さった。


 逝った後は、暫く互いの荒い息が聞こえていた。
 やがて理性が働き、俺は身体を起こすと怖々と後ろを振り返った。
 向こう側ではいつの間にか、勝野さんが大きなタオルで横たわる沙紀を仰いでいる。足元には木製の桶が置かれてある。水でも汲んで来たのだろうか。


 「大丈夫よ、あっちの二人は気づいていないわ」
 百合子さんが云い聞かせるように呟いて立ち上がった。その手は、二人の浴衣を丸めようとしている。
 「さぁ、行かないと」
 俺に浴衣をそっと渡し、百合子さんは自分の浴衣を抱えるようにして背を向けた。
 俺はチラリと沙紀達を覗いたが、逃げるようにその場を離れてしまったのだった。


 脱衣場まで戻り着いたところで、息を大きく吐き出した。まだ心臓の音が鳴ってる気がして、もう一度深呼吸した。
 浴衣を着て廊下に出れば、来た時と同じでスポットライトが何もなかったかのように『男湯』『女湯』の暖簾を照らして、静寂を演出していた。


 百合子さんは既に、部屋の方へ戻ったのだろうかと考えたが、身支度に時間が掛かるのは女性の方だと思い返して、その場から急いで立ち去ったのだった。