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第6話
脱衣場に入って、まず感じたのはその狭さだった。最大4組の宿泊だから、この広さでも充分なのだろうが、少し圧迫を感じてしまう。
俺は棚に置かれてある備え置きのタオルを一枚手に持った。広げて見れば『和道楼』と宿の名前が大きく描かれている。
「まずは内風呂だな」俺は云って、木彫のドアを引いた。
浴場の方は、それなりの広さだった。奥側は一面ガラスで、その向こう側、外は自然な岩肌と広大な山々が見える。
「富士山は見えないにしても、凄い山の景色だな」
俺は呟きながら、内風呂を抜けて直ぐに露天風呂の方に行く事にした。
露天の湯船に浸かって、改めて周りを見てみれば、その雄大さに感動すら覚えてしまう。居るのは俺一人で、貸し切り状態だ。
沙紀は『10分くらい?』と訊いていたが、もっとユックリしていこうと思った。それに、部屋で1発やったばかりだし。
それからどの位そこで浸っていたか、湯から出ると俺は、股間を開けっ拡げたままで歩き始めた。と云っても、木々に囲まれていて、何処からどこまでが浴場なのか分からない。
秘境に迷った気分で足を進めて行くと、直ぐに看板に気がついた。そこには『野天』の文字と矢印、それに注意書きがあった。この先は混浴になります云々だ。
沙紀は既に野天の混浴で待っているだろうか、まさかプンプンに怒ってたりして。と、俺も急いで向かう事にした。
「こっちは更に秘境っぽいな」
それらしい場所に出れば、湯気が程よい具合に立ちこめていた。
「沙紀は…」と呟いた時、シルエットを見つけた。
沙紀が湯船の端っこ、小さな岩を椅子代わりに座っている。俺は驚かせてやろうかと、そっと近づいた。
しかし直ぐに、気配に気づいたか、沙紀は顔を向けてきた。そして、人差し指を唇に当てると「しっ静かに」と伝えてきて「聖也くん、あそこ」と小声で囁き、向こう側を指さした。
目を凝らせば湯気の向こう、距離にしてどうだろう、3、4メートル辺り先の洗い場のようなスペースに、男女の姿を見る事になった。その場所で女が、仰向けの男に跨り、腰を振っているではないか。
AVやエロ動画で視たのと同じような場面だった。けど、生で人のセックスを見るのは産まれて初めての事だった。沙紀も間違いなく初めての筈だ。
彼等は俺達に気づいていないのか?沙紀より先に、この野天に来たのは間違いないだろう。沙紀の存在に気が付かなかったのか。
俺は隣に座る沙紀に、尋ねたい事だらけだったが訊けなかった。それほど彼等の営みが烈しく、それに目を奪われていたのだ。
「聖也くぅん…」
恐る恐るといった小さな声が、耳元でした。沙紀が俯いたまま、額を俺の胸に預けるように寄せてくる。
「す、凄いね…」
ゴクリと唾を呑み込んでから「あ、ああ…」と返事をした。「いつから、やってるの」俺も小さな声で沙紀に尋ねてみた。
「アタシが入って来た時は、もう…」してたの、と呟いたはずだが、沙紀の声は掠れてしまっていた。その沙紀が彼等から視線を外して下を向いた。そこには俺の縮んだ愚息がある。情け無いほど小さくなっている。
「それにしても凄いな」
「そ、そうなのよ、最初は前からやってたの。その後はバックで、それで今はコレ…」
と云う事はどういう事だ。男はインサートしてから、どのぐらい腰を振り続けているのだ。出し入れのスピードは一向に落ちる気配がない。
女性の声こそ聞こえないが、頭の中ではネチャネチャと特有の音が鳴っている。
「聖也くん、アタシなんだか…」
沙紀の手が俺のアソコに伸びて来た。そして、竿を握るとゆっくり揉み始めた。
「お、おい」
その時だ。
「んーーッ、んーーッ、んーーッ!」
押し殺したような、それでも獣の叫びのようなうねり声が轟いた。女が逝ったのだ。
沙紀の手が止まり、俺達は同時に前の男女を見詰めた。
女の身体が突っ伏したまま震えている。
風が流れて、湯気がサーッと消えて行く。男女が繋がるその箇所がはっきりと見えた。そして、ヌボっと男の物が抜け落ちた。
あっ、沙紀が声を上げた。
向こうで男が、のっそりと上半身を上げる。
男に驚いた様子など全くない。それどころか、一瞬ニヤリと笑みを浮かべた、気がした。
俺は…男の太々(ふてぶて)しい笑みに、ゾクリと身体の震えを感じてしまった。
俺達の視線を受けながら、男が立ち上がった。男の股間の物は半勃ちの状態だが、それでもかなりの巨(おおき)さだ。
沙紀の手がいつの間にか、俺のソレから離れて太ももへ、そして俺の手へとモジモジ寄ってきた。俺はか弱いその手を握った。その手が微かに震えている。
こちらの様子など気にする素振りもなく、男が屈んで女の尻をパチパチと叩いている。やがて女が、のっそりと身体を起こしたのだった。