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第45話
夫婦の寝室で、沙紀の口から改まってその事実ーー金(キム)さんとセックスした事ーーを俺は聞かされた。
それは張さんが沙紀の謝罪を受け入れるのと同時に出した要望だった。いや、命令に近い。そして沙紀は、その後もキムさんとのセックスを続けていたのだ。その証拠が今目の前にある。そして、裸身を曝して一切言い訳のしない沙紀の振る舞いに、俺の足元は揺らぎ始めていた。
「聖也くん…あの温泉宿でアタシ、勝野さんに抱かれたけど、聖也くんが先に百合子さんを抱いてたわよね。あの時の事は二人に隙があったし、事故みたいなものだとアタシは思うようにしていた。それなのに、今回はお酒を飲んでたとはいえ、聖也くんはまた自分から誘ったわ。しかも相手は、未成年の冬子ちゃん…」沙紀がそこまで云って、目を伏せた。そして頭を一振りする。
「アタシね、あのホテルの部屋のベッドの上に、聖也くんと冬子ちゃんが裸でいるのを見た時、心臓が止まりそうになったのよ」
沙紀が口にしたその場面がフラッシュバックのように浮かんで、俺は「す、すまん」と、頭を下げた。
「あの後、アタシはパニックを起こしてたの。でも、張さんと会って、謝罪はきちんとしたわ。張さんからは、さっき云った要望が出されたけど、アタシはそれを受け入れたの。そして、こちらの金(キム)さんとのセックスを披露したの」
そこまで云って、沙紀が黙って俺の様子を窺ってくる。
やがて俺は、コクリと頷いた。それは沙紀の過ち…いや、二人の関係を認めた瞬間かもしれない。
俺の首肯と頷きを沙紀がどう解釈したのか分からないが、沙紀も軽く頷いた。そして、キムさんの方を振り向いた。
キムさんは沙紀の視線に頷き返すと、俺の目を覗き込んできた。
「砺波さん、まあ、そう言う事ですわ。張さんの意向もあるし、お得意様がもうエエって言うまでは、沙紀ちゃんとの関係を続けさせて貰いますわ」云いながらキムさんがウンウンと頷いている。
俺は頬の辺りがピクピクと痙攣するのが分かった。しかし身体の奥で、先程から得体の知れない蠢きも感じていた。そんな俺の様子を察したか、キムさんがニヤリと笑う。
「ふふっ、砺波さん、まあ任しとき、悪いようにはせぇへんから。俺と沙紀ちゃんは相性もピッタシなんやで。なぁ」
沙紀はキムさんの問い掛けには、さすがに頷き返す事はなかった。それでも、キムさんは満足気に続ける。
「今後の付き合いの内容は、逐一に砺波さんに話すように、この女(ひと)には言うとくわ。それを聞いて喜ぶ旦那連中も結構いるらしいで。まあ、砺波さんがどう言うタイプか知らんけどな」
そこまで云い切ったところで、キムさんはベッドの端に脱ぎ散らかされてあった服に手を伸ばそうとした。しかし、それらを掴んだところで手を止めて、もう一度俺の顔を覗き込んできた。
「砺波さん、何か物欲しそうな顔してるんとちゃうか。何ならもう一回見せよか?俺と沙紀ちゃんがオメコするところ」
突然のその申し出には、さすがに俺も沙紀も身体を震わせた。
「い、いや、それは…」
口ごもる俺を見るキムさんの目が薄くなり、据わって来る。その目が、俺の心にどうなんだと問いかけている、気がした。しかし。
「ふふっ、冗談やよ冗談。あと一発やったら出来るけど、今日はもう散々やったからな。それに沙紀ちゃんのオメコもヒリヒリやろ。俺が出て行ったら、爛(ただ)れてないか見てもらいな」
最後の言葉は、沙紀に向けたものだった。云い終えたキムさんは、何もなかったかのように服を着だした。最後に薄い白シャツのボタンを留めると、改まって俺を見た。「どうも、お邪魔しました」と、キムさんがペコリと頭を下げた。その様子は初めて会った時のような洗練された感じではないか。さっきまでの関西弁は何なのだ。
沙紀がブラジャーに手を伸ばすのを横目で見ながら、俺はキムさんを玄関まで見送る事にした。
「では、失礼します」標準語で口にして、丁寧に頭を下げるキムさん。俺も思わず、丁寧にお辞儀を返しそうになったが何とか留まった。こんな時にも接客の癖が出るのは営業マンの性(さが)なのか。ますます自分が嫌になる。
ドアの鍵を閉めると、洗面所に行って顔を洗った。鏡に映ったのは、疲れ切った顔だった。34歳の男が一気に歳をくった気がする。
リビングに戻ると沙紀がいた。黒いブラとショーツだけの姿で、手には部屋着を持っている。カーテン越しに陽の光を浴びてか、黒い上下の膨らみが、いくらか大きくなった気がする。
俺は暫し、沙紀の肢体を見詰めていたが「色々と悪かった。ゴメン」と、改まって頭を下げた。その様子に沙紀の表情が一瞬に暗くなる。
「アタシもゴメンなさい…でも仕方なかったの…」
俺は黙ったまま、自分に言い聞かすように頷いた。そんな俺に、沙紀がスッと近づいた。
「ねぇ聖也くん、アタシのアソコ見てくれる」
え!俺は声を上げた。
「キムさんが云ってたじゃない…」
沙紀の視線が、哀しげな眼差しに変わっている。
「確かに云ったけど、あれは…」
「言う事を聞かなきゃ…」沙紀がクルリと振り向いた。向かうのは、もう一度寝室のようだ。
ベッドに上がると、沙紀は身に着けたばかりのブラを外そうと、背中に手を回した。俺の前だというのに遠慮するようにだ。黒のブラを外すと、胸元を片手で隠しながら、もう片方の手でショーツを下ろし始めた。
夫である俺の前で、なぜ股間を隠すのか…。
「沙紀…」
俺の呟きが聞こえなかったのか、沙紀は目元を細め唇を噛み締めた。
「聖也くん、アタシのアソコ、ヒリヒリなのよね。見てくれる」
沙紀は脱いだショーツをソッと置くと、股間を隠しながらゆっくり仰向けになった。
寝室のドアは開け放しのままで、リビングからの光がベッドまで入り込んでいる。俺は沙紀の肢体を見下ろすように立っていた。沙紀は目を瞑り、俺を待っている。
「わ、分かったよ」小さな声を返して、俺は沙紀の足元に這いつくばった。そして、白い太モモの裏に手をやると、持ち上げるようにして沙紀の股座を拡げていった。
「ねえ、どう、爛れてない?」
顔をソコに近づけて覗き込んでみた。一瞬、独特の臭いが鼻に付く。よく『栗の花の匂い』と評されるやつだ。
両方の指先を花弁の横に置くと、丁寧に拡げてみた。
沙紀のソコはヒクヒクと震えていた。それは痛みのせいか、或いは羞恥のせいなのか…。
よく見れば花弁は赤く、腫れぼっているように見えなくもない。しかし、その中心はまだ間違いなく湿っている。
「ねえ、舌で…聖也くんの舌で舐めて…優しく舐めて、お願い…」
小さな囁きに俺は、舌を伸ばした。舌先に感じたものは、染み渡るような過敏だった。初めて感じるこの苦味は、男が排出した欲汁か。
「あぁん、もっと強くよ!」
その叫びに、俺の気持ちはヤケを起こしたのかもしれない。気付いた時には、ジュパジュパと音を立てていた。
口の辺りに纏わりつくのは、俺の唾液かキムさんの残り汁か。そんな考えを振り払うように、舐めに舐めてシャブリ続けた。沙紀の口からは聞き慣れた喘ぎの声だが、俺の内側から湧き上がるのは、感じた事のない異様な興奮だった。
フッと視線を上げると、沙紀が顎を引いて俺を見詰めている。
「あぁッ、聖也くん、いつもより目がギラギラしてるぅ」
切れぎれの沙紀の声も、初めて聞く声質ではないか。
「興奮してるのね、聖也くん」
俺はソコをシャブリながら、顎をカクカクと首肯する。
「ねぇ、こんな女でも犯(や)りたいと思う?アタシでも勃つ?」
沙紀に云われるまでもなく、俺の股間は違和感を感じていた。パンツの中で、愚息がムクムクと蠢いていたのだ。
「聖也くん、犯(や)りたいのね。じゃあ犯らせてあげるわ」
いつの間にか、沙紀の表情が小悪魔のように変わっていた。ついさっきまで涙ぐんでいた女は何処に行ったのだ。
沙紀が上半身を起こすのと同時に、俺は立ち上がっていた。膝立ちの沙紀が、股間のファスナーに指をやる。その膨らみを一撫ですると鼻を近づけた。鼻先で硬さを確認するようにだ。
沙紀の顔を見下ろせば、確かにその表情からは先ほどまでの哀しみが消えている。
そして俺のソコは、無防備のまま沙紀の目の前に曝された。
「あぁっ、聖也くんってやっぱり変態だったのね、もうこんなに大きくなってるなんて」云いながら沙紀が、白い指で俺の竿から袋を包み込む。
「我慢汁まで出てるのね」
隠微な香りを含んだ声に、俺の物がビクンと跳ね上がる。
「直ぐに挿れる?それとも舐めてあげようか?」
聞くなり返事を待たずに、朱い唇が俺を包み込んだ。同時に口元からは、ジュルジュルと濁音が溢れ出した。
白く細い指が、玉を揉みながら尻の割れ目に向かう。そこは…。
瞬時に先ほどのキムさんが放った声が甦って来た。『ほんまエエわ、沙紀ちゃんのアナル舐めわ』
続けて沙紀が吐いた言葉も甦って来た。『アナル舐めなんて、聖也くんにやった事ありません』
股間のソレがギンギンに硬くなって来た。朱い唇を弾き飛ばすようだ。
その時、グイっと尻穴が初めての感触を味わった。沙紀が不浄の門に指を入れてきたのだ。
うっ!と、声を上げた俺の顔を、沙紀が下から見上げる。その目は、たまらなく卑猥だ。
やがて沙紀が、プハッと俺を吐き出す。そして背中を向けると四つん這いで畏まった。
「聖也くん…」
陽の当たるベッドの上で、四つ身の沙紀が首を捻って俺を確かめる。
「犬の格好でお仕置きして。夫以外の男を受け入れたアタシのココを虐めて…」
ヒクヒクと蠢く赤い花弁を見つめ、俺の頭に血が昇って行く。そして俺は、股間のソレを握ると沙紀の中心に打ち込んだのだった。