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第55話


 俺と沙紀は、ローテーブルを挟んで向かい合った形で座っていた。
 素っ裸の沙紀は、冷房が効いていると言うのに、先程から股間に手を当てた姿勢のままだ。そして、その様子はゲームの事を話し始めてから、リラックスしているようにも観える。


 「じゃあ具体的にどんな格好を…あ、その前にココを見せないとね」沙紀が云うなり、再び立ち上がった。
 そして「えへ、ちょっと恥ずかしいけど…」と、股間に当てていた両手を離した。
 ソコは俺の想像通りに、いわゆるパイパン、記憶にあった沙紀のお毛々は失くなっていた。
 沙紀の頬は朱色に、口からは溜め息のような甘い声が零れ落ちる。同時に両腿が僅かに拡がった。その様子に、俺の身体は前のめりになってしまった。


 沙紀が下腹を軽く突き出す。
 じっと見詰める股間の部分、ソコは部屋の照明のせいか蒼く光っても観える。
 ビラビラは花弁が遠慮気味にそれほど開かれてないが、その周りは赤身を帯びているのがよく分かる。沙紀の性感帯の一つ、クリトリスは興奮のせいか大きく膨らんでいるようだ。
 目にする毛のないアソコ。沙紀はソコにカミソリを当てられた時に、どんな事を想ったのだろうか。まさか興奮を覚えて、膣奥から甘ったるい液を出したりはしなかっただろうか。


 「ふふっ、どうしたの聖也くん、まさか刺青も入れられたとか思ってた?」
 あ!その一言で思い出した。刺青、確かにそんな妄想もしたかもしれない。それは、あの温泉旅館で百合子さんのアレを見たせいだ。
 「沙紀、ひょっとして刺青を入れる可能性もあったのかよ」
 「ああ、ううん。刺青の話は誰からも出なかったわ。アタシもね、頭の中に百合子さんのほら、アソコのTATTOOを覚えてたから、ひょっとしたらって気持ちもあったんだけど」
 やはり沙紀も、俺と同じで百合子さんのアレを忘れていなかったのだ。


 「あのさぁ、時系列でいうとソコを剃った、いや剃られたのはその時の罰ゲームでだろ?」
 「へ?」
 「いやほら、確か一番最初の動画で脇の毛を視せて、下の方も思わせぶりに…」
 「ああ、あれね。あの時はね、下のココにはまだお毛々はあったの」
 「そうなのか、まぁそれは別にいいんだけど」
 「うふふ、聖也くんも動画を視ながら色んな事を妄想してたのね」
 「まあな」
 「ふふふ、それでね、ココは罰ゲームで剃られたんだけど、そのツイスターでやった格好を披露するね」
 「ほ、本当にやるのかよ」
 「へへ、聖也のくんの顔に、早く見たいって書いてあるしね。それに周(しゅう)さんからも『帰ったら旦那さんに見せろ』って云われてるから」
 「周さん?」
 「ああ、その人がアタシがお酒を掛けちゃった人なの」
 「…………」
 「そう、それでアタシの身体に痕をつけた人なの」
 俺は新たに耳にした、その『周(しゅう)』と名乗る男の影を思い描こうとした。


 「どうしたの聖也くん。始めるね」
 声に顔を上げる。目が合うと沙紀が一瞬、口元を結んだ。そしてリビングの広いスペースへと移動した。
 「まずはね」云って沙紀が、足を拡げていく。
 「右足をこの辺の青の丸に置いて、こう…」
 裸の身体は左足を軸に、右足が身体の斜め前、足幅を1メートル以上に拡げていった。
 「次はこんな感じだったかな」
 今度は沙紀の右手が背中側に、反った状態で床に付く。
 両足は屈伸の途中で、反った上半身を右手が背中の後ろで支えている。その脇からは毛がはみ出している。その様子も又、卑猥さに拍車を掛けている気がするではないか。
 沙紀の腹筋には力が入ってるのが分かる。しかし、ミミズ腫れのような痕が痛々しい。
 「確かこの格好の時は、まだチャイナ姿だったわ」腹筋に力の籠もった声で告げてくる。
 「次はね、こんな格好だったかな」そう云ってから、沙紀は次々と色んな形を披露した。
 両足をカエルがしゃがんだ姿で、両手で身体を支える格好。
 伸び切った左足の横に右手を付けて、右足を180度近くまで開いた格好。
 時おり沙紀は「この格好の時にお尻が付いて負けちゃったのね」とか「この格好の時も頑張ってたんだけど、結局ダメで、これで裸になったの」等と説明まで入れてきた。


 「それで、相手も負けたら裸になったんだろ」
 俺の問いにも、沙紀はその卑猥な格好のまま答えてくれる。
 「そうよ。でも、アタシは出ずっぱりで向こうは交代していくから」四つ身で尻を俺に向けて、顔だけを振り向いて答えている。その尻肌にもムチの痕がある。
 「じゃあ途中からは、ずっと裸のままで」
 「うん、そうだよ。でも一度裸になった人は、次の出番の時も裸の格好で始めるから」
 頭の中には、裸の男女が狭い部屋で密集している絵が浮かんでくる。


 「他の人と身体が重なるのはしょっちゅうだから、凄い格好もあったわ」
 「ひょっとして、その様子も動画に」
 「うん、キムさんがずっとスマホで撮ってたと思う。聖也くんは視てないのかな」そう告げた沙紀の格好は、中腰で生尻をこちらに向けて、両手を前方の床に付いた形だ。その股ぐらから顔を覗かせて、沙紀は告(い)ったのだが、まさにこの格好をお客連中に曝していたのだ。
 「へへへ、この格好の時はね」手足を次の場所に移しながら沙紀が続ける。「相手の人の股間が、アタシの顔の真ん前だったの」
 その形はウンチングスタイルで、両手を左右後方で身体を支える格好だった。その顔の真ん前に男の股間があったという事は。
 「沙紀の顔を、男が跨ぐような格好だったのか」
 「ふふっ正解よ。しゃがみ込んだ女に、男がペニスを咥えさせる格好よ」
 その表現に思わず呻きを漏らしてしまう。
 「ふふ、実際やっててアソコを大きくするお客様が何人もいたわ」
 そう口にする沙紀の声には、疲れの色が交じって聞こえた。見ている以上に、その格好を続けるのは体力がいる事かもしれない。
 「それでさ、ゲームはどの位続いたの?沙紀は出ずっぱりだったって云ったよな」
 「うん、時間は覚えてないけど、途中からアタシの負けを数え始めて、10回になった時に1回休憩になったの。因みに負ける度に、アタシとキムさんはお酒を一気飲みするの」云って沙紀が、ペタリと床に尻を落とした。
 「そっか、それでキムさんもぐでんぐでんに酔っ払ってたのか」
 「そうそう。それでね、誰かが罰ゲームでアソコの写真を撮らせろとか、剃毛だとか云ったのかな」
 「かなって?」
 「お客様達が口々に何か云ってたけど、中国語は分かんないし、アタシも酔ってたから」
 「でもキムさんが通訳してたんだろ」
 「そうだけどキムさんも酔ってたし撮影もしてるし、周りも好き勝手な事を言ってるから」
 「そうか、そうだよな」
 「うん。それで、いつの間にかアタシが剃毛を了解した事になってたの」
 「中国語が分からないのを良い事に…そう言う事か」
 「そう、それで剃毛にね…」云った沙紀の顔には、一瞬影が過った気がした。「…その様子は、聖也くんも動画で視たんでしょ」
 「ま、まあな、スライドショーだったけど…」
 「ああ、画像だったんだ」
 そう呟いて、沙紀は対面のソファーに腰を降ろした。


 俺は沙紀の様子を見ながら「あの、ビール飲むかい?」と尋ねてみた。
 頷く沙紀に、俺は冷蔵庫から缶ビールを持って来た。それを美味そうに飲む沙紀の脇の下からは毛が顔を覗かせている。
 ビールをテーブルに置いて、沙紀が俺を覗き見る。沙紀の身体には、今度は薄っらと汗が滲んで観える。しかし、相変わらず疵痕は痛々しい。


 「それで、ゲームはまだ続いたんだろ」
 「でもねツイスターゲームはそれでおしまい。次は違うゲームだったの」
 云いながらビールを再び手に取る沙紀を見ながら、俺は彼等、中国人投資家達の事を考えた。富裕層の彼等は、中国でも定期的にパーティーという名で集まりを開いていて、まして接待慣れもしているのだろうと推測した。そして、下品な振る舞いを楽しんでいたに違いない。
 「ふふっ」沙紀がニヤっと笑う。「聖也くぅん、やっぱりエッチな事、期待してるぅ、そんな顔だもん」
 思わず俺は、息が詰まってしまった。妻の痴態を望む男?いや、俺にそんな趣味が…。
 沙紀とキムさんの公認の仲を認める事になったのは、俺が酒の席で張さんの愛人の冬子と過ちを起こしてしまったからなのだ。しかし。


 沙紀が俺の顔を見詰めていた。
 「じゃあ、旦那様、続きを話しますね」
 芝居がかった声で告げて、沙紀は話を再開したのだった。