小説本文



 夕霧(ゆうぎり)は、バイブが入っている部分を客席に見せつける様に激しく動かしていた。
後ろから前へと体勢を変えながら、更に激しく出し入れをしている。
オマンコからは“クチャ クチャ”と卑猥な音が聞こえて、夕霧の口からは喘(あえ)ぎ声が続いていた。


中村は、パンツの中で自分の物が固くなっていくのを感じていた。
先ほど1度縮んだ自分の物が、再び硬さを増してきたのだ。


夕霧は大型のディルドを床に付け、その上に跨るようにM字で腰を沈めていた。
観客の目には、夕霧の淫部にディルドが出入りする様がくっきりと見えている。
夕霧の口からは喘ぎ声に混じって涎(よだれ)が流れ始め、そこにゆっくり田沢が近づいてきた。


「中村さん、次は精飲ショーですよ」
「・・・かっ、神崎さん・・・じっ 実は・・・」


床に付けたディルドでオナニーを続けている夕霧の前に田沢が立つと、自分の股間を夕霧の顔の前に持ってきた。
夕霧は腰を振りながら田沢の股間の膨らみに鼻を付けると、大きく息を吸い込んだ。
そしてそれに頬ずりをすると、両方の手で田沢の赤いTバックの両端を掴み、ゆっくりとそれを下ろし始めた。
中からはゴツゴツと真珠が埋め込まれたグロテスクな一物が天を向いて現れた。


夕霧はうっとりそれを見上げると、舌を出し玉を舐め始めた。
そして次に竿、そして亀頭の周りを嘗め回すと、口に唾液を溜め一気に咥え込んだ。
客席から中村のいる部屋まで “ジュバ ジュバ”っと激しい音が響いてくる。


中村はその様子を見ながら、座ったまま腰をモゾモゾ振りながらも身体は固まっていた。
「中村さん、我慢の限界ですか?そろそろ犯(や)りたくなりましたか」


神崎の声に顔を向けた中村の目には、薄っすら涙が浮かんでいた。
「かっ 神崎さん、つっ 妻ですか・・つっ 妻の・・・みゆき・・・なのですか・・・」


「・・・・・・」
「・・・・・・」


「くくっ、その通りですよ。あなたの奥様のみゆきさんですよ」
神崎は素っ気無く、しかしはっきりとその事を口にした。


神崎のその突き放したような言い方に、涙を浮かべていた中村の目に怒りの色が湧いてきた。
「きっ、貴様、知っていたのか、・・・しっ 知っていて・・・」


その場で立ち上がり、神崎を怒りの目で睨みつける中村だが、その後の言葉が続かなかった。
一人興奮して、部屋の中に荒い息遣いが響いている。


舞台の上では、田沢が夕霧の口の中に男の欲汁を吐き出したところだった。
「さあ、奥さん。皆さんに顔を向けて俺の汚いザーメンを飲んでみろ」


夕霧の半開きの口からは、涎(よだれ)と混ざった精液が地面に糸をたらしている。
夕霧は口を紡(つむ)ぐと客席を向き、そしてゴクっと一息でそれを飲み干した。
その様子を確認した田沢は客席に一礼すると、スッと舞台袖へとその醜い姿を消した。


部屋では神崎を睨みつけていた中村も、舞台での夕霧の痴態に吸い込まれていた。


「・・・中村さん、以前にも言ったと思いますが私達はどの奥様方に対しても一度も脅迫や強制をした事はありません、当然みゆきさんにも。奥様の借金も我々とは関係のない事です。奥様はご自分の意思であの舞台に立っているのですよ。自ら進んであの変態奥様の仲間になったのです」


「・・・・・・」


その時部屋のドアが開き、2人の仮面の女が入ってきた。
女は夕月と夕華だった。
2人は乳房を露出させ、ノーパンにガードルという、いかにも売春婦といった姿で現れた。


舞台では田沢と交代するように男が2人登場した。
2人とも身長180cm以上で筋肉隆々、二の腕から背中にかけて見事な刺青が見える。


「中村さん、ヤクザとの3Pショーですね・・・あの男達は凄いですよ・・・指も、舌も、当然アソコも」
舞台に視線を移した神崎が、落ち着いた口調で言った。


中村は神崎と、そして夕月と夕華を見ていた。
神崎が再び中村のほうに向いた。
「しかし・・・中村さんの気持ちもわかります、愛する奥様ですからね。・・中村さん、お決め下さい。奥様を連れて帰りたいなら、私の権限で今すぐショーを中止します。それで奥様を連れて帰って下さい」
「えっ・・・」


舞台では2人の男が、夕霧を立たせたまま口と指で愛撫を始めている。


「どうされますか?早く決めないとあの男達にやられちゃいますよ」
「・・・・・・」


「もし、中村さんが奥様の事をお認めになられるなら・・・代わりと言ったら何ですが、この夕月と夕華を好きになさって結構ですよ」
「えっ・・・」


中村の中にあった黒い雲はその色を更に深くどす黒く染め、今、中村の心を包み込んでいった。


「さあ、中村さん、どうされますか?」


しばらく黙っていた中村は、それまで震えながら握っていた拳をゆっくり降ろすとスッと開き、その手で夕月の手をとった。
そしてもう片方の手は夕華の手をとっていた。


神崎はその様子に満足したように微笑むと、黙ったまま部屋を後にした。