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第59話
神崎が逮捕されてから半年以上が過ぎていた。
この日、山田は得意先の担当部長と2人で昼間から酒を飲んでいた。
「部長、酒は程ほどにしておいて下さいね。この後の例のクラブでへべれけになってたら面白いものを見過ごしちゃいますからね。・・・でも、あそこのショーを見たら酔いなんか一変に飛んじゃうかもしれませんが」
「そんなに凄いショーなのかい?」
部長と呼ばれる男の問いに、山田が説明を始めた。
「部長も女は嫌いじゃないですよね。でもそこは若い子はいないんですよ。若くても30半ば位、殆どが40から45歳位なんですよ。それで全員が素人の奥様なんですよ」
「素人の奥様?・・本当に・・」
「ええ、実はうちの社も何度か接待で利用していた事があったんです。でも半年以上前にそこの経営者が逮捕されたんですよ。それから今まで開催される事が無かったんですが、最近オーナーが変わったらしいんです。」
「ふ~ん そうなんだ」
「はい。つい先日、いきなり携帯に電話がありましてね、“欲望の劇場”を再開する事になりました、是非 来場下さいって・・・」
「“欲望の劇場”・・凄い名前だね。山田くん、それでショーは具体的にどんな感じなんだい」
「はい。それはもう、SMありの、乱交ありの、白黒ショーありの、3Pありの、観客を上げての輪姦ショーありの、とにかく淫靡な凄いショーなんですよ・・」
「そっ そいつは凄そうだな」
「まあ、じっくり楽しんで下さい。・・さあ、そろそろ僕達も行きましょうか」
そう言って山田は伝票を掴むと立ち上がり、会計へと向った。
それから数十分後には、山田たちは劇場の客席に腰を降ろしていた。
客席は既に満員で、久しぶりに集まってきた男達の熱気が充満していた。
客席の男達は、お約束の妖しげな仮面を被っている。
「うふ やっと開演まできたわね・・夕月(ゆうづき)さん」
「えへ 本当 夢見たい。また、がんばらないとね・・夕華(ゆうか)さん」
客席後方のVIPルームから夕月と夕華が、マジックミラー越しに舞台を見つめていた。
「2人ともしっかり頼むよ」
夕華の夫、田中一郎が2人に声をかけ、その横では夕月の夫、山本浩一がニコニコその様子を見守っている。
「でも本当にこの何ヶ月間は大変でしたね」
「ああ、でもここのスタッフ、田沢も司会の人もあの若者も、みんな神崎とママに良い印象を持ってなくて、それが結果的には良かったね」
田中と山本の表情には、開催にこぎつけた安堵感が溢れていた。
「そうですね、神崎は金を独り占めしてたんですものね」
「うん。だから残った連中が私達の話に乗ってくれたんだろうね」
「それに今度からは警察の手入れが入らないように、あなたが裏から手をまわした事も “利いてる”んでしょ」
夕華が田中と山本の間に言葉を挟んだ。
「ああそうだ。ここの連中も逆に安心して働くだろう。昔から警察と×××は一心同体みたいなもんだからな」
その時、客席で淫靡な雰囲気を醸し出していた淡い照明が落ち、ミラーボールが回り始めた。
「おっ 始まるぞ」
舞台端から観客とお揃いの仮面を着けた司会の男が、いつかのままのその素振りで現れた。
舞台の中央まで進んだ司会の男は深く頭を下げ、客席の端から端、隅から隅をゆっくり見渡すとしっかりした口調で話し始めた。
「皆様、本日は欲望の劇場のリニューアルオープンに起こし頂き、誠にありがとうございます・・・・・・」
「ねえねえ ところで中村さんは? もうすぐみゆき・・あっ 夕霧さんの舞台が始まるのに」
司会の男が口上を述べる中、裕子がキョロキョロ辺りを見回している。
「中村さんなら もうとっくに客席の中に行ったよ。中村さんはやっぱり“黙認”で行くみたいですね。さっき一度事務所に顔を出したけど、みゆきさんと顔をあわせるとまずいからって、直ぐに行っちゃいましたね」
「ふふ “黙認”か・・みゆきさんの回収したビデオなんかも、今じゃ中村さんの宝物らしいよ」
山本と田中が笑顔で頷いた。
「・・・・・・・それでは本日の栄(は)えあるトップバッターを紹介します。登場いただくのは夕霧(ゆうぎり)さんです」
司会の男の言葉が終わると客席中に淫靡な音楽が流れ始め、夕霧がいつかの仮面と官能的なファッションで現れた。
久しぶりに舞台に上がった夕霧は、素人っぽいぎこちなさを見せながらも、水を得た魚のように・・いや、解き放たれた蝶のように舞台を舞い続けた。
ストリップショーにオナニーショーが終わり、舞台では白黒ショーが始まった。
夕霧は早くも仰向けの若い男に跨(またが)り、腰を振っていた。
腰を振りながら夕霧は男の耳元に唇を近づけた。
「・・拓也くん、うれしいわ。又この舞台の上で抱かれるなんて・・」
(・・・・・・・・)
「でも・・・あの時は私の事・・・騙してたのよね・・」
「・・・・ご ごめんなさい」
「ううん だめよ・・許さないから・・・」
(・・・・・・・・)
「・・罰として私を何回も逝かすのよ・・この舞台の上で・・・ああん・・・わ 私も拓也くんが本当に好きだった事をしてあげるから・・」
「?」
「うふ、拓也ちゃんは本当はママのオッパイが好きなんでしょ・・・」
「!」
「さあ 吸って・・」
「・・・・うっ うう・・マッ ママ・・」
上体を起こした拓也が目の前の乳房を吸い始め、夕霧の腰の動きと喘(あえ)ぎ声がいっそう激しくなった。
舞台袖からそんな2人の様子を覗いていた田沢がゆっくり姿を現した。
この日、山田は得意先の担当部長と2人で昼間から酒を飲んでいた。
「部長、酒は程ほどにしておいて下さいね。この後の例のクラブでへべれけになってたら面白いものを見過ごしちゃいますからね。・・・でも、あそこのショーを見たら酔いなんか一変に飛んじゃうかもしれませんが」
「そんなに凄いショーなのかい?」
部長と呼ばれる男の問いに、山田が説明を始めた。
「部長も女は嫌いじゃないですよね。でもそこは若い子はいないんですよ。若くても30半ば位、殆どが40から45歳位なんですよ。それで全員が素人の奥様なんですよ」
「素人の奥様?・・本当に・・」
「ええ、実はうちの社も何度か接待で利用していた事があったんです。でも半年以上前にそこの経営者が逮捕されたんですよ。それから今まで開催される事が無かったんですが、最近オーナーが変わったらしいんです。」
「ふ~ん そうなんだ」
「はい。つい先日、いきなり携帯に電話がありましてね、“欲望の劇場”を再開する事になりました、是非 来場下さいって・・・」
「“欲望の劇場”・・凄い名前だね。山田くん、それでショーは具体的にどんな感じなんだい」
「はい。それはもう、SMありの、乱交ありの、白黒ショーありの、3Pありの、観客を上げての輪姦ショーありの、とにかく淫靡な凄いショーなんですよ・・」
「そっ そいつは凄そうだな」
「まあ、じっくり楽しんで下さい。・・さあ、そろそろ僕達も行きましょうか」
そう言って山田は伝票を掴むと立ち上がり、会計へと向った。
それから数十分後には、山田たちは劇場の客席に腰を降ろしていた。
客席は既に満員で、久しぶりに集まってきた男達の熱気が充満していた。
客席の男達は、お約束の妖しげな仮面を被っている。
「うふ やっと開演まできたわね・・夕月(ゆうづき)さん」
「えへ 本当 夢見たい。また、がんばらないとね・・夕華(ゆうか)さん」
客席後方のVIPルームから夕月と夕華が、マジックミラー越しに舞台を見つめていた。
「2人ともしっかり頼むよ」
夕華の夫、田中一郎が2人に声をかけ、その横では夕月の夫、山本浩一がニコニコその様子を見守っている。
「でも本当にこの何ヶ月間は大変でしたね」
「ああ、でもここのスタッフ、田沢も司会の人もあの若者も、みんな神崎とママに良い印象を持ってなくて、それが結果的には良かったね」
田中と山本の表情には、開催にこぎつけた安堵感が溢れていた。
「そうですね、神崎は金を独り占めしてたんですものね」
「うん。だから残った連中が私達の話に乗ってくれたんだろうね」
「それに今度からは警察の手入れが入らないように、あなたが裏から手をまわした事も “利いてる”んでしょ」
夕華が田中と山本の間に言葉を挟んだ。
「ああそうだ。ここの連中も逆に安心して働くだろう。昔から警察と×××は一心同体みたいなもんだからな」
その時、客席で淫靡な雰囲気を醸し出していた淡い照明が落ち、ミラーボールが回り始めた。
「おっ 始まるぞ」
舞台端から観客とお揃いの仮面を着けた司会の男が、いつかのままのその素振りで現れた。
舞台の中央まで進んだ司会の男は深く頭を下げ、客席の端から端、隅から隅をゆっくり見渡すとしっかりした口調で話し始めた。
「皆様、本日は欲望の劇場のリニューアルオープンに起こし頂き、誠にありがとうございます・・・・・・」
「ねえねえ ところで中村さんは? もうすぐみゆき・・あっ 夕霧さんの舞台が始まるのに」
司会の男が口上を述べる中、裕子がキョロキョロ辺りを見回している。
「中村さんなら もうとっくに客席の中に行ったよ。中村さんはやっぱり“黙認”で行くみたいですね。さっき一度事務所に顔を出したけど、みゆきさんと顔をあわせるとまずいからって、直ぐに行っちゃいましたね」
「ふふ “黙認”か・・みゆきさんの回収したビデオなんかも、今じゃ中村さんの宝物らしいよ」
山本と田中が笑顔で頷いた。
「・・・・・・・それでは本日の栄(は)えあるトップバッターを紹介します。登場いただくのは夕霧(ゆうぎり)さんです」
司会の男の言葉が終わると客席中に淫靡な音楽が流れ始め、夕霧がいつかの仮面と官能的なファッションで現れた。
久しぶりに舞台に上がった夕霧は、素人っぽいぎこちなさを見せながらも、水を得た魚のように・・いや、解き放たれた蝶のように舞台を舞い続けた。
ストリップショーにオナニーショーが終わり、舞台では白黒ショーが始まった。
夕霧は早くも仰向けの若い男に跨(またが)り、腰を振っていた。
腰を振りながら夕霧は男の耳元に唇を近づけた。
「・・拓也くん、うれしいわ。又この舞台の上で抱かれるなんて・・」
(・・・・・・・・)
「でも・・・あの時は私の事・・・騙してたのよね・・」
「・・・・ご ごめんなさい」
「ううん だめよ・・許さないから・・・」
(・・・・・・・・)
「・・罰として私を何回も逝かすのよ・・この舞台の上で・・・ああん・・・わ 私も拓也くんが本当に好きだった事をしてあげるから・・」
「?」
「うふ、拓也ちゃんは本当はママのオッパイが好きなんでしょ・・・」
「!」
「さあ 吸って・・」
「・・・・うっ うう・・マッ ママ・・」
上体を起こした拓也が目の前の乳房を吸い始め、夕霧の腰の動きと喘(あえ)ぎ声がいっそう激しくなった。
舞台袖からそんな2人の様子を覗いていた田沢がゆっくり姿を現した。