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第52話
中村と田中は並んで、公園の薄汚れたベンチに腰を降ろしていた。
何気ない日常の風景を眺めていると、つい先程まで行われていたあの出来事が幻の様な気がしてくる。
しかし、それは間違いなく現実であった事が、未(いま)だに残るパンツの中の違和感が教えてくれていた。
2人の男は今見た舞台の事、自分の妻の事を話しながら話題は尽きる事無く湧いてきた。
そんな2人の後方から、一つの影がゆっくり近づいてきた。
「あの・・・失礼ですが」
突然の声に驚いて振り返った中村と田中の瞳に、一人の男の姿が映った。
年の功は40半ば位か、銀縁のメガネを掛け、身長は中村と同じ175cm位の中肉中背の男が、優しそうな瞳を向けていた。
「・・はい 何か?」
今までの田中との会話を聞かれていたのだろうか、幾分か緊張した声が中村の口から押し出された。
「突然で申し訳ありません・・・実は・・私・・・山本・・山本浩一と申します・・・」
「? ? ?」
「あの・・・夕月(ゆうづき)、夕月こと山本裕子の旦那です」
「! ! !」
緊張している目の前の男を見つめながら、中村と田中の口が大きく開かれていた。
口をパクパクさせながら目を見開いた2人の前で、山本と名乗った男が改めて頭を下げた。
それから1時間、3人はベンチに座り話し込んでいた。
「じゃあ 山本さんは、奥様の浮気を疑っていたのですね」
「はい、元々は私が仕事に没頭しすぎて家庭を顧(かえり)みなかったのがいけなかったのですが・・・一時は離婚も考えましたがある時から急に裕子の様子が変りまして・・それで浮気しているんじゃないかと、思うと何故だか急に手放したく無くなって気まして・・」
田中の質問に言葉を選びながら山本が答えた。
「それで、奥様を尾行したのですか?」
「ええ まあ・・でも 私も自分で尾行した事もありましたが、いつでも出来るわけもありませんから・・興信所に頼んで、それで裕子があの劇場の舞台に上がっている事がわかったんです」
「興信所ですか。じゃあ、それで私や中村さんの事も知ったのですね?」
「はい そうです。妻に仲の良い友人が2人いる事・・そしてその2人もあの舞台に上がっている事・・そしてそれぞれの旦那様もその事を知っている事などを・・・」
「なるほど。でも、私は妻の真由美を公認していますが、こちらの中村さんはまだ“黙認”なんですよ・・・これからはどうされるか分かりませんけど・・」
緊張が解けてきた田中が悪戯(いたずら)っぽい目を中村に向けてきた。
(・・・・・・・・・)
「中村さんはそうなんですね・・・でも最初、探偵から報告を聞いた時は、そんなバカな世界があるものかと思いました。しかし前回、初めてあの劇場のチケットを探偵がどこからか手に入れてくれまして・・・しかし・・・凄かったです」
「・・・・・・・・」
「まさか裕子があんな事をしているなんて・・・・でも、それでも私は興奮してしまって・・・ますます裕子と別れたく無くなってしまったのです」
「じゃあ、あの舞台を見た後でも奥様との仲を元に戻したいと?」
中村が山本の目を覗き込むように聞いてきた。
「はい。皆さんは私の性癖をどう思われるかはわかりませんが・・・今夜にでも裕子に全てを話そうと思っています。そしてその後も、あの舞台に上がってもらおうと思っています」
「そうですか」
中村と田中が同時に頷いた。
「ただですね・・・少し気になっていることがありまして」
「? ? ?」
「探偵が言ってたのですが、あの劇場で近々“何か”起こるような気がすると言うんです」
「えっ?なんですか、それは」
「探偵が言うには、色々調査してる中で、あの劇場や経営者を調べている人間が自分以外にもいたと言うんです」
山本の言葉に中村と田中が顔を見合わせた。
「・・・・山本さん、さっき私の今の仕事も話しましたが、それを調べているのは私の会社ではありませんね・・・そうなると、考えられるのは例えば山本さんと同じように自分の奥さんに疑惑を持ったご主人が、どこかの興信所に調査を依頼したか・・・それとも、ひょっとして・・・」
田中が神妙な顔つきで、中村と山本の顔を交互に見ていた。
「・・どうなんでしょうか?・・それで今日はチケットが無くてあの劇場に入れなかったのですが、近くまで来て外から様子を伺っていたのです」
「なるほど・・じゃあ、今日帰ったら私のほうで真由美に最近変った様子が無いか、それとなく聞いておきましょう・・・こういう時に“公認”は良いですね」
(・・・・・)
田中の最後の言葉には悪戯(いたずら)っぽい響きがもたらされ、それは中村に向けられていた。
それからしばらくして3人は、お互いの秘密の共有と今後の情報交換の約束をしてわかれた。
中村は2人の後ろ姿を見送っていた。
田中はこれからどこかで真由美とレイプごっこをするのだろう・・・。
山本の心の中は、今夜の裕子へのカミングアウトの事でいっぱいなのだろう・・・。
そして 自分は・・・。
何気ない日常の風景を眺めていると、つい先程まで行われていたあの出来事が幻の様な気がしてくる。
しかし、それは間違いなく現実であった事が、未(いま)だに残るパンツの中の違和感が教えてくれていた。
2人の男は今見た舞台の事、自分の妻の事を話しながら話題は尽きる事無く湧いてきた。
そんな2人の後方から、一つの影がゆっくり近づいてきた。
「あの・・・失礼ですが」
突然の声に驚いて振り返った中村と田中の瞳に、一人の男の姿が映った。
年の功は40半ば位か、銀縁のメガネを掛け、身長は中村と同じ175cm位の中肉中背の男が、優しそうな瞳を向けていた。
「・・はい 何か?」
今までの田中との会話を聞かれていたのだろうか、幾分か緊張した声が中村の口から押し出された。
「突然で申し訳ありません・・・実は・・私・・・山本・・山本浩一と申します・・・」
「? ? ?」
「あの・・・夕月(ゆうづき)、夕月こと山本裕子の旦那です」
「! ! !」
緊張している目の前の男を見つめながら、中村と田中の口が大きく開かれていた。
口をパクパクさせながら目を見開いた2人の前で、山本と名乗った男が改めて頭を下げた。
それから1時間、3人はベンチに座り話し込んでいた。
「じゃあ 山本さんは、奥様の浮気を疑っていたのですね」
「はい、元々は私が仕事に没頭しすぎて家庭を顧(かえり)みなかったのがいけなかったのですが・・・一時は離婚も考えましたがある時から急に裕子の様子が変りまして・・それで浮気しているんじゃないかと、思うと何故だか急に手放したく無くなって気まして・・」
田中の質問に言葉を選びながら山本が答えた。
「それで、奥様を尾行したのですか?」
「ええ まあ・・でも 私も自分で尾行した事もありましたが、いつでも出来るわけもありませんから・・興信所に頼んで、それで裕子があの劇場の舞台に上がっている事がわかったんです」
「興信所ですか。じゃあ、それで私や中村さんの事も知ったのですね?」
「はい そうです。妻に仲の良い友人が2人いる事・・そしてその2人もあの舞台に上がっている事・・そしてそれぞれの旦那様もその事を知っている事などを・・・」
「なるほど。でも、私は妻の真由美を公認していますが、こちらの中村さんはまだ“黙認”なんですよ・・・これからはどうされるか分かりませんけど・・」
緊張が解けてきた田中が悪戯(いたずら)っぽい目を中村に向けてきた。
(・・・・・・・・・)
「中村さんはそうなんですね・・・でも最初、探偵から報告を聞いた時は、そんなバカな世界があるものかと思いました。しかし前回、初めてあの劇場のチケットを探偵がどこからか手に入れてくれまして・・・しかし・・・凄かったです」
「・・・・・・・・」
「まさか裕子があんな事をしているなんて・・・・でも、それでも私は興奮してしまって・・・ますます裕子と別れたく無くなってしまったのです」
「じゃあ、あの舞台を見た後でも奥様との仲を元に戻したいと?」
中村が山本の目を覗き込むように聞いてきた。
「はい。皆さんは私の性癖をどう思われるかはわかりませんが・・・今夜にでも裕子に全てを話そうと思っています。そしてその後も、あの舞台に上がってもらおうと思っています」
「そうですか」
中村と田中が同時に頷いた。
「ただですね・・・少し気になっていることがありまして」
「? ? ?」
「探偵が言ってたのですが、あの劇場で近々“何か”起こるような気がすると言うんです」
「えっ?なんですか、それは」
「探偵が言うには、色々調査してる中で、あの劇場や経営者を調べている人間が自分以外にもいたと言うんです」
山本の言葉に中村と田中が顔を見合わせた。
「・・・・山本さん、さっき私の今の仕事も話しましたが、それを調べているのは私の会社ではありませんね・・・そうなると、考えられるのは例えば山本さんと同じように自分の奥さんに疑惑を持ったご主人が、どこかの興信所に調査を依頼したか・・・それとも、ひょっとして・・・」
田中が神妙な顔つきで、中村と山本の顔を交互に見ていた。
「・・どうなんでしょうか?・・それで今日はチケットが無くてあの劇場に入れなかったのですが、近くまで来て外から様子を伺っていたのです」
「なるほど・・じゃあ、今日帰ったら私のほうで真由美に最近変った様子が無いか、それとなく聞いておきましょう・・・こういう時に“公認”は良いですね」
(・・・・・)
田中の最後の言葉には悪戯(いたずら)っぽい響きがもたらされ、それは中村に向けられていた。
それからしばらくして3人は、お互いの秘密の共有と今後の情報交換の約束をしてわかれた。
中村は2人の後ろ姿を見送っていた。
田中はこれからどこかで真由美とレイプごっこをするのだろう・・・。
山本の心の中は、今夜の裕子へのカミングアウトの事でいっぱいなのだろう・・・。
そして 自分は・・・。