小説本文



 舞台の上で夕霧は、Mの字に股を大きく開帳のポーズをとり続けていた。
 客席を見る夕霧の瞳は再び虚ろになってきている。


 「ふふふ、改まって見てみると本当に厭らしいマンコだねえ、ビラビラも大きくなってきたし・・・それに真っ黒だぜ・・・クリトリスもこんなに大きくなって・・」
 田沢は己の醜い中年太りの腹を抱えて、夕霧の羞恥の気持ちを甚振(いたぶ)っていた。


 「じゃあ、奥さん。今度はむさ苦しいケツ毛が無くなったアナルも見てもらおうか。さあ、四つんばいになって皆様に尻を向けるんだ」
 黙って田沢の声を聞いていた夕霧は再び客席に尻を向け、首筋から背中をピンと伸ばし海老反るようにその巨尻を披露した。


 「ふふ 本当に厭らしいねえ・・ケツも一段とでかくなったんじゃないのか」
 客席では中村がその声に唇を噛み締め頷いた。


 「どうですか皆様、よく見て下さい。この2つの穴に先程まであの黒人の極太チンポが入っていたんですよ・・・信じられませんよね。皆さんはご存知ですか?この夕霧さんの2つの穴・・それはそれは伸縮性が良いんですよ」
 「・・・・・・・」


 「・・・皆様にもその締りの良さを味わって頂く時はいずれ来ますからね・・へっ へへへ」


 「・・・・ふふふ、おっとその前に“ペイントショー”がありましたね」
 (ペイント?・・・)


 四つんばいの姿勢で巨尻を晒したままの夕霧の横で、田沢が又一つ小道具を手にしていた。
 右手に太いマジックを持った田沢は、そのキャップをはずすと客席にかざして見せ、夕霧の巨尻の前に腰を降ろした。


 田沢は空いた手で夕霧の片方の臀部をバシッと1度叩くと、その部分を撫ぜ回し、腰に手を添えると徐(おもむろ)にマジックのペン先を走らせた。
 客席に背中を向けていた田沢が一旦立ち上げると、そこには太く大きく “変”の文字が現れた。
 田沢はニヤニヤ笑いながら口から長い舌をだして自分の唇を一舐めすると、夕霧の右側に移り、同じように今度は“態”と書いて見せた。


 (変・・・態・・・)
 そう、夕霧のアナルを真ん中に左側には“変”の文字が。そして右側には“態”の文字が見事に書き記されていた。
 田沢は続けて夕霧の腰の辺りにマジックを走らせた。


 現れた文字は・・・ “穴奴隷”。
 そしてその文字の下からアナルめがけて ↓(やじるし)が記された。
 「くくく・・・どうですか 皆さん? まさに夕霧さんにピッタリですよね」
 夕霧は容赦のない田沢の醜(みにく)い言葉を、その巨尻で一身に受止めている。


 「へへ、じゃあ、今度はもう一度前を向いてM字になってもらおうか」
 調子の出てきた田沢は、玩具でも扱うかのように嬉しそうに顔をニヤつかせていた。


 前を向きなおし大きく開脚した夕霧の前に田沢がしゃがみ込み、左手を夕霧の股下にあてると力強く右手を走らせた。
 「ふふふ さあ どうだ、・・・」


 次に現れた文字は・・・“公衆便所”
 夕霧の下腹に浮かび上がった文字・・・それはまるで次のショーを暗示するかのような言葉だった。
 そしてその4文字の下には “入口”の文字と ↓(やじるし)が書かれていた。


 (・・・・・・・)
 足を大きく拡げ、下腹を突き出している女の表情を、中村は仮面の奥から読み取ろうとしていた。
 女は俯き自分のへその下に書かれた文字を見ながら何を思っているのか、これから始まるショーを覚悟したのか、それともそのショーに心をときめかせているのか。


 女が目を泳がせながらゆっくりと顔を上げた。
 そして唇が微かに震えると、そこから小さい声が漏れた。


 「はあああ・・・・」
 それは男共の気持ちに吐息を吹きかけるような艶(なまめ)かしい声だった。
 客席中の男たちが腰を浮かせていた。
 そしてその姿は田沢が一度(ひとたび)号令をかければ、一斉に獲物に飛び掛ろうとする獣の群れのようでもあった。


 「ふふふ 皆様、まだですよ・・・もう少しお待ち下さいね」
 田沢はもったいぶる様に客席に声をかけると、夕霧の右脇の下に手をかけ、ゆっくりと立ち上がらせた。


 「さあ 変態公衆便所女の夕霧さん、一度自分の身体を鏡でよ~く見てご覧」
 夕霧はその声にふらふらと立ち上がりながら振り返った。


 「あっ ああああ・・・・」
 夕霧の口から再び艶かしい声が上がり、舞台の奥の鏡に映る自分の姿を見ながら、両方の手は2つの大きな乳房をわしずかみにしていた。
 鏡に映る羞恥の姿に興奮したのか、あるいは羞恥心をごまかそうとしているのか、仮面の女の身体は立ったまま微かに痙攣(けいれん)を始めていた。


 田沢が震える女の肩を掴み自分の方に向かせると、いきなり女の口を分厚い唇で塞ぎ、両腕を蛇のように巻きつけ身体全体を抱きしめた。
 2人の激しい口付けが始まり、田沢はそのまま夕霧の片足を自分の腰に絡みつくように持ち上げた。
 そして夕霧の尻を撫ぜ回しながら、太い指は夕霧の股間へと伸びていった。


 田沢の指が夕霧の蜜壺の潤いを確認したのだろうか、田沢の目に卑猥な光が輝き、夕霧の唇から己の口を離すと客席に向き直った。
 「皆さん!・・・」


 「“ゴクッ”」
 客席中の男が生唾を飲み込み背筋を伸ばした。


 「続きまして夕霧の○○ショーです。・・・さあ、我はと思う方は舞台にお上がり下さい」
 田沢の野太い声が劇場中に響き渡った。