小説本文



『かおりはMだな』
 その言葉がしばらく私の頭から離れませんでした。
 SMと言う言葉は知っていました。
 Sがどう意味か、Mがどういう意味か、それも知っていたつもりです。
 しかし 私自身が・・・・・。
 初めて人に指摘されて意識し始めた自分に気付きました。


 (・・・・・私はマゾ・・・)


 「かおりさん この辺でいいですか」
 黙りこんでいた私に彼の声が聞こえてきました。
 ヤクザな彼から、森川さんに戻った優しい声でした。


 「は はい・・」
 「ふふ 今日のデートは楽しかったね」


 (・・・・・・)
 「また連絡するから」


 (!・・・)
 「そんなに驚くこと無いだろ・・・・それと言っとくけど住所も電話番号も子供の学校も、それに旦那の勤務先も全部調べてるからな」


 「えっ!」
 「おっ そうださっき寝てる時に免許証のコピーも取らせてもらったからね、それと ふふふ 俺たちのセックス・・・あれもビデオに撮ってあるからね」


 彼の優しい口調にも私の身体は思い出したように凍り付いていきました。
 車は自宅近くの公園の端に止まり、私はゆっくりそこから降りました。
 声を掛けられ走り去るその車にも私は振り返る事が出来ませんでした。


 家に着いた私は子供の声に何とか日常を思い出そうとしていました。
 主人は昨日から3日間の出張で留守にしていました。
 主人のいない時間を私は憂鬱な気分で過ごしました、いえ もし主人がいたらどうなっていたでしょか。
 もし主人にばれたら・・・・私はそんな心配をしながらも、心のどこかにもう一つの心配が生まれた事に気付いていました。
 あの快感を身体が覚えていたら・・・・。
 私はマゾ・・・・。


 彼から次の誘いが来たのは数日後でした。
 パート先のファミレスで仕事を終えてロッカー室に入ったときでした。
 携帯に見知らぬアドレスからの着信メールを確認していました。


 《もう仕事は終わりだろ。○○時に店の裏のコンビニの駐車場で待ってる。  森川》
 先日 携帯の番号もメールアドレスも控えられていたのでしょう、そのタイミングの良すぎる連絡に私は携帯を握りしめました。


 駐車場の車の窓からのぞく顔は優しい “森川さん” でした。
 私を乗せた白いメルセデスは目的地に向かって走り出しました。
 そうです。
 私の覚悟は、ある程度想像がついていました・・・・目的地の。


 「かおり 今日は下品なラブホテルに連れいってやるからな」
 下品な・・・・その響きに私の子宮が早くも反応してしまいました。
 私は脅されている・・・・・はずなのに。


 「俺達が仕事でよく使うラブホだ。若い連中が好んで使うオシャレなやつじゃないぜ。中年の男と女が己の快楽の為に全てを曝(さら)け出すのにもってこいの所だ・・・・」
 彼の言葉の一つ一つが私の中のMの部分に響きます。
 メールを見た時 強張った私はもういませんでした。
 私のアソコはもう準備に入っていました。


 ホテルに入った私でしたが、久しぶりに見たその彫り物にはやっぱり身が竦(すく)む思いでした。
 背中の不動明王に睨まれながら私は自分で洋服を脱ぎました。
 下着姿になったところで彼の注文が出ました。
 立ち方、足の揃え方、手の位置、胸の張り方、腰の振り方、そして下着の脱ぎ方、悔しいのですがそれらの全てが私にとっては新鮮なものでした。
 全裸になった私は彼の命令で卑猥なポーズを取らされました。
 盗撮されたビデオがあるからなのか、それとも目の前に彫り物があるからなのか、彼からの誘いが来た時から覚悟していた事なのですが私は命令に一切口答えのする事無く裸体を晒し続けました。


 「かおり マンコが濡れてきたぞ」
 幾つ目かのポーズを決めた時でした。
 彼に指摘されましたが、私のアソコは下着姿になった時点で既に溢れ出していたのでした。
 しかし 催淫剤も媚薬も無い中で、言い訳の出来ない私はそれを隠し通そうとしていたのです。


 「ふふ 恥かしがる事は無い、俺の女に一歩ずつ近づいている証拠だ。次は俺の声を聞いただけで濡れる様になるだろう、その次は俺の事を考えただけで・・・」
 今日もまた、彼に心の中を見透かされました。
 恐怖と隣り合わせにいるはずなのですが、私の身体は別の意思で彼に馴染もうとしているようでした。
 まだ2度目のはずなのに・・・・・。


 一通りポーズを取り終えた私に彼はフェラチオを要求してきました。
 背中の彫り物にもそうでしたが、歪(いびつ)な凶器も改めて見るとそのグロテスクな様相に私は圧倒されました。
 しかし それに鼻先を近づけた途端に私の理性は、この間と同じように一瞬のうちにどこかに飛んで行ってしまいました。
 気づいた時には目の前のそれを必死になってしゃぶっていたのです。


 「かおり 俺の物を咥えている時は、お前の口はオマンコなんだ。下のオマンコで俺のチンポを咥えたら気持ち良いだろ?だから上のオマンコもチンポを咥えている時は気持ち良いんだ」
 “私の口はオマンコ・・私の口はオマンコ・・” ・・彼の言葉に私は心の中で答えていました。
 やがて彼の物で圧迫される口と喉の奥から快感が湧いてきたのです。
 唾液や鼻汁までもが、アソコから溢れ出る愛液と同じ物なのでしょうか、私の口からは卑猥なハーモニーが聞えていました。


 「ふふ かおり お前もだいぶ感じてきたな、・・どうだオマンコ感じるだろ・・今日は俺のザーメンを飲ませてやるからな、一滴も漏らさずに飲むんだぞ」
 後で教わりましたが、彼は常に射精をコントロール出来るそうです。
 彼に唇の締め具合、舌の使い方を支持されながら、私の下のオマンコも感じてきました。
 彼の物を咥えながら四つんばいになると、私は腰も振っていました。
 私の意識が絶頂に向かった時でした。
 その絶頂にあわせて彼の中から大量の液体が放出されました。
 私の口は喜んでそれを受け入れたのでした。

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