小説本文



男の指令にかおりはベットの上で背中を向けた。
 再び大きな尻がこちらを向き、両足を肩幅に広げ、両手後ろに回して尻肉を掴み、背筋を伸ばしたまま前屈みになると、その部分をグッと拡げて見せた。
 ビデオの中は静まり返り、映像は妻の陰部と肛門をアップで捉え続け、その音の無い間合いが羞恥の気持ちを甚振(いたぶ)っているかのようだった。


 私は口から咽喉(のど)のあたりまでがカラカラに渇き、何とか唾を飲み込もうとしていた。
 (・・・・ああ こんな姿を・・・晒(さら)すなんて・・)


 「さあ もう一つの性感帯はどこだっけ・・」
 「・・は い、・・・も もう一つの性感帯は・・・ア アナルです・・」
 妻は菫(すみれ)色したその排泄期間をビデオに晒しながら答えていた。


 「かおり ・・・・お前はよくそんな格好でそんな事が言えるな・・・お前は変態だな・・そうだろ?」
 「あああ ・・ああ はい・・・か かおりは へ 変態です・・ああ・・」
 (・・・・・・・)


 「くくく そうか・・お前はそんな格好が見られるのが好きなんだな・・じゃあ もうしばらくアナルを見てもらおうか・・ほら お前からもお願いしろ・・」
 「ああ~ん か かおりの ・・かおりのアナルをよ~く見てください・・ああ アナルの皺(しわ)まで ご覧になって下さいぃぃ・・・」
 かおりの声は最後は悲鳴のようになり、その言葉を吐き終わると膝から崩れ落ちていった。
 そして また画面が一瞬の暗闇になった。


 私までもが見知らぬ“K”に支配されていたのだろうか、妻の痴態に興奮を覚えながら画面から目を離すことが出来なかった。
 私の心はビデオに飲み込まれ、硬くなった股間を知らない間にズボンの上から握りしめていた。



 画面が再び現れ、同じ部屋の中で今度は妻が床の上に立っていた。
 先程の自分の振る舞いに興奮したのか、かおりの表情は高揚し、額にも薄っすら汗を浮かべている。
 本来白っぽい身体も赤みを帯び、身体全体がメスの匂いを撒き散らす一歩手前のようだ。


 「かおり それとお前には好きな事があったな・・」
 相変わらず落ち着いた男の声が聞こえてきた。


 「え ・・・ええ はい・・」
 「ふふふ 何だっけ? お前の好きな事は・・」


 「・・は はい・・かおりは・・せ セックスが大好きです」
 「そうだな・・じゃあ その次は・・」


 「・・はい ・・・・オナニーです・・・かおりはオナニーが大好きです」


 (・・何だって・・・・かおりが・・・オナニー・・)
 何度となくショック受けていた私に又新たなショックが加わった。


 「よしよし正直な奴だ・・・じゃあ ご褒美にオナニーを許可してやろう、そこのディルドを使え」
 男の言葉に既に床の上に設置されていた太いディルドをかおりは見下ろした。
 私の勃起サイズよりも遥かに太く長いその物を股下に見下ろして、かおりは何を思っているのだろうか。
 これから行なうであろうその行為が、ビデオに撮られることを覚悟しているのか、それとも 目の前の快楽と言う餌(えさ)に、もう我慢が利(き)かなくなっているのか、それともご主人様を喜ばせる事に胸が躍っているのか。
 私の目の前でかおりがゆっくり腰を降ろしていった。


 蟹股(がにまた)のままMの字で腰を降ろし、妻の秘部がディルドの先を捉えようとしていた。
 (あ・・あんな 太い物が入るのか・・・)


 ディルドの先が妻の膣に突き刺さったかと思うと、カメラがその部分をズームで捉え、画面いっぱいに広がる中、その太い物がゆっくり吸い込まれていった。
 (・・・・・・・)


 眉間に皺(しわ)を寄せた妻はそれの深さを確かめたのか、左右の膝に手を置いたかと思うと、スクワットをするかのように腰を上下に動かし始めた。
 目をゆっくり閉じ、半開きの口から舌が伸びたかと思うとそれが唇を一舐めして、徐々に腰の動きが激しさを増していった。


 妻の口からは歓喜の声が上がり始めていた。
 ベットの中でしか聞いた事のない声、そして私にしか聞かせた事が無かったはずの声、今 かおりはビデオを通して己のあられもない声を高々と上げ始めていた。


 かおりは自分の世界に漬(つ)かっていた。
 夢の中で男の物を咥えているのだろう、それが“K”なのか、それとも他の誰かなのか、間違いなく私で無い事は認めざるを得なかった。


 「ふふふ かおり どうだ、んん ・・今どんな気分だ・・」
 「・・・ああ ああ ご主人様・・かおりは・・ああ  ああ かおりはとっても気持ちいいです・・ああん・・」


 「ふふ そうか、かおりはディルドが一番好きなんだな・・」
 「ああん・・ああ ち 違いますぅ・・ 違います・・・ああ」


 「ん 何が違うんだ・・」
 「ああ ああ かおりは・・・かおりは・・チンポが良いんです・・ああ ああ・・」


 (チ チンポ・・・チンポ・・)
 (かおり・・・お前 お前がチンポ・・って・・)


 私の新たな驚きも気にする事無く、ビデオの中の妻の動きは激しさを増していた。
 かおりの鼻の穴が膨(ふく)らみ、逝く寸前なのがわかった。
 そのタイミングを見越したのだろうか、男の声が聞こえてきた。

 
 「かおり、・・まて 俺に断り無く逝っていいのか?・・・」
 「ああ~ ああ~ん ご主人様・・・逝かせて 逝かせて下さい・・・ご主人様ー」


 「だめだ・・」
 「ああ~ん そ そんな~ ああ ご主人様ー」


 私は妻の生殺しの様子を見ながら、自分の股間の爆発も何とか抑えようとしていた。