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第26話
私は何日ぶりかの我が家の前に立っていた。
自分が愛情を注いで造り上げたこの家に入るのにこれ程まで緊張するとは、数年前に新築した時には考えもつかなかった。
二人の子供の名前、妻の名前、そして私の名前・・・4人の名前が可愛らしく書かれたそのポストの蓋(ふた)を、私はゆっくりと開いて見た。
いくつかの広告の下 そこにはあの赴任先で見た物と同じ茶封筒があった。
それを手に持つと大きく息を吐き出し、そしてインターフォンを押した。
人が出て来る気配は無く、私はポケットから鍵の束を取り出すとその中の1本を鍵穴へと差し込んだ。
玄関に入り靴を脱ぐとゆっくり上に上がった。
赴任先から初めて戻った時は、子供たちのサプライズがあった。
しかしリビングへと続くドアを開けた私には、何も聞こえてくる事は無かった。
シーンと静まり返った家の中では、時を刻む時計の秒針の音だけが聞こえていた。
リビングからキッチン、キッチンからダイニング、そしてリビングから続く10畳ほどある和室を眺めて見ても、感じるものは綺麗に整頓された室内というだけっだった。
そんな部屋の様子にもかおりの綺麗好きで几帳面な様子を思い浮かべってしまっていた。
私は留守番電話に何も無いのを確認すると、廊下に出て2階へと上がっていった。
寝室に入り、部屋の隅に置いてあるイスに腰を降ろすとパソコンのスイッチを入れてみた。
私は起動音を聞きながら静かに目を瞑(つむ)った。
それから何分後だろうか、私は持ってきた茶封筒の封をあけると中から1枚のDVDを取り出した。
一緒に入ってあったA4サイズの白い用紙の真ん中辺りには今までと同じで一行・・・。
~一人寝の貴方に~『プライベートレッスン』
“レッスン”・・・その響きに小酒井が言った言葉を思い出していた。
私は覚悟したように頷(うなず)くと、そのDVDをパソコンにセットした。
ビデオが始まった。
どこだろう・・・画面に写し出されたのは、前回見たビデオとは明らかに違う装飾がされた部屋だった。
窓の無い壁にはピンク色の壁紙、床はカラフルな絨毯・・・そこにはエキゾチックな空間 いやエロチックな空間があった。
(ラブホテルか)
カメラがベットを捉(とら)えると、そこに一人の女性が腰をかけていた。
髪の毛には軽くウエーブが掛かり、薄い茶色が混ざった毛先が肩に届いていた。
このビデオはいつ頃撮られたものだろうか、私の記憶はそれが数ヶ月前の妻の髪型だと覚えていた。
しかし かおりの目は黒いアイマスクで覆われていた。
カメラは目隠しされた妻に近づき、口元から顎(あご)のライン、胸元、腹、そして膝の上で重ねられている手の甲を映した。
その左手には“K”からもらったのだろうか、ビデオの中でしか見た事のない指輪がされていた。
カメラがかおりの姿から引き始め、再びベットに腰掛ける全体像に変ると、画面右側から男の姿が現れた。
男は色気の無い白いブリーフ1枚だけの格好で、中年太りを象徴する醜い腹を揺らす姿が画面いっぱいに広がっていた。
しかし それ以上に私が驚いたのは、その男が覆面レスラーのようなマスクを被っていたからだった。
覆面を被っていても、わかるその仕種と雰囲気。
(・・・奥村・・・)
私はビデオを覗き込みながら、小さな声でその“親友だった”男の名前を呼んでいた。
覆面を被った奥村はかおりの横に座り、左手を肩に回すと右手で下顎(したあご)を掴み、そして耳元に口を近づけたかと思うと何事かを囁(ささや)いた。
当然私の耳にその声は届かないが、かおりの身体が一瞬ビクンと反応したのがわかった。
奥村がかおりの身体を抱きしめたかと思うと素早く唇を奪っていた。
私の身体に一気に緊張が走った。
両足の上に置いた手が引き千切らんばかりにズボンを強く握りしめた。
画面のかおりは唇を奪われたまま、奥村のリードに任せて立ち上がった。
奥村はキスをしたままその巨漢をくるりとかおりの後ろに移し、右手でかおりの顎を掴むと後方の自分の方に向けていた。
私の目に背伸びをするように振り返りながら唇を許す、かおりの喉元(のどもと)が厭らしく映った。
目と口の部分が大きく開いた覆面を被った奥村と妻のかおりの長いキスが続いていた。
私の気持ちにかまう事無く奥村は今度はキスをしたままその大きな手で、これまた大きなかおりの乳房を揉み始めた。
二人の唇が離れると、かおりの口から吐息が漏れた。
(・・感じている・・)
しばらくして奥村は乳房から手を離すとかおりのシャツのボタンに指を掛け、器用に脱がし始めた。
上着を脱がせ、次にスカートとストッキングを脱がせ、あっという間に私の目の前に下着姿のかおりが現れた。
真っ赤なブラジャーにおそろいのパンティー。
奥村がかおりから離れるとカメラが再び正面にまわり、下着姿を捉えた。
画面中央には今まで私に一度も見せた事のない派手な下着姿で妻が立っている・・・・。
その時 聞きなれた声がした。
「さあ かおりちゃん 下着姿はもういいから、その中身を見せてもらおうかな」
(・・・奥村の奴・・)
私の拳(こぶし)に再び力が入った。
「かおりちゃん 脱ぎ方も “××××” さんに教わったんだよね。さあ俺達を興奮させるように脱いでもらおうかな」
! 奥村の言葉が“ピー”っと言う音で消され、一瞬私の身体が強張った。
(編集?・・・)
(今 奥村が言った名前の持ち主が“K”か・・・)
私の心に緊張の糸が張り巡らされていった。
自分が愛情を注いで造り上げたこの家に入るのにこれ程まで緊張するとは、数年前に新築した時には考えもつかなかった。
二人の子供の名前、妻の名前、そして私の名前・・・4人の名前が可愛らしく書かれたそのポストの蓋(ふた)を、私はゆっくりと開いて見た。
いくつかの広告の下 そこにはあの赴任先で見た物と同じ茶封筒があった。
それを手に持つと大きく息を吐き出し、そしてインターフォンを押した。
人が出て来る気配は無く、私はポケットから鍵の束を取り出すとその中の1本を鍵穴へと差し込んだ。
玄関に入り靴を脱ぐとゆっくり上に上がった。
赴任先から初めて戻った時は、子供たちのサプライズがあった。
しかしリビングへと続くドアを開けた私には、何も聞こえてくる事は無かった。
シーンと静まり返った家の中では、時を刻む時計の秒針の音だけが聞こえていた。
リビングからキッチン、キッチンからダイニング、そしてリビングから続く10畳ほどある和室を眺めて見ても、感じるものは綺麗に整頓された室内というだけっだった。
そんな部屋の様子にもかおりの綺麗好きで几帳面な様子を思い浮かべってしまっていた。
私は留守番電話に何も無いのを確認すると、廊下に出て2階へと上がっていった。
寝室に入り、部屋の隅に置いてあるイスに腰を降ろすとパソコンのスイッチを入れてみた。
私は起動音を聞きながら静かに目を瞑(つむ)った。
それから何分後だろうか、私は持ってきた茶封筒の封をあけると中から1枚のDVDを取り出した。
一緒に入ってあったA4サイズの白い用紙の真ん中辺りには今までと同じで一行・・・。
~一人寝の貴方に~『プライベートレッスン』
“レッスン”・・・その響きに小酒井が言った言葉を思い出していた。
私は覚悟したように頷(うなず)くと、そのDVDをパソコンにセットした。
ビデオが始まった。
どこだろう・・・画面に写し出されたのは、前回見たビデオとは明らかに違う装飾がされた部屋だった。
窓の無い壁にはピンク色の壁紙、床はカラフルな絨毯・・・そこにはエキゾチックな空間 いやエロチックな空間があった。
(ラブホテルか)
カメラがベットを捉(とら)えると、そこに一人の女性が腰をかけていた。
髪の毛には軽くウエーブが掛かり、薄い茶色が混ざった毛先が肩に届いていた。
このビデオはいつ頃撮られたものだろうか、私の記憶はそれが数ヶ月前の妻の髪型だと覚えていた。
しかし かおりの目は黒いアイマスクで覆われていた。
カメラは目隠しされた妻に近づき、口元から顎(あご)のライン、胸元、腹、そして膝の上で重ねられている手の甲を映した。
その左手には“K”からもらったのだろうか、ビデオの中でしか見た事のない指輪がされていた。
カメラがかおりの姿から引き始め、再びベットに腰掛ける全体像に変ると、画面右側から男の姿が現れた。
男は色気の無い白いブリーフ1枚だけの格好で、中年太りを象徴する醜い腹を揺らす姿が画面いっぱいに広がっていた。
しかし それ以上に私が驚いたのは、その男が覆面レスラーのようなマスクを被っていたからだった。
覆面を被っていても、わかるその仕種と雰囲気。
(・・・奥村・・・)
私はビデオを覗き込みながら、小さな声でその“親友だった”男の名前を呼んでいた。
覆面を被った奥村はかおりの横に座り、左手を肩に回すと右手で下顎(したあご)を掴み、そして耳元に口を近づけたかと思うと何事かを囁(ささや)いた。
当然私の耳にその声は届かないが、かおりの身体が一瞬ビクンと反応したのがわかった。
奥村がかおりの身体を抱きしめたかと思うと素早く唇を奪っていた。
私の身体に一気に緊張が走った。
両足の上に置いた手が引き千切らんばかりにズボンを強く握りしめた。
画面のかおりは唇を奪われたまま、奥村のリードに任せて立ち上がった。
奥村はキスをしたままその巨漢をくるりとかおりの後ろに移し、右手でかおりの顎を掴むと後方の自分の方に向けていた。
私の目に背伸びをするように振り返りながら唇を許す、かおりの喉元(のどもと)が厭らしく映った。
目と口の部分が大きく開いた覆面を被った奥村と妻のかおりの長いキスが続いていた。
私の気持ちにかまう事無く奥村は今度はキスをしたままその大きな手で、これまた大きなかおりの乳房を揉み始めた。
二人の唇が離れると、かおりの口から吐息が漏れた。
(・・感じている・・)
しばらくして奥村は乳房から手を離すとかおりのシャツのボタンに指を掛け、器用に脱がし始めた。
上着を脱がせ、次にスカートとストッキングを脱がせ、あっという間に私の目の前に下着姿のかおりが現れた。
真っ赤なブラジャーにおそろいのパンティー。
奥村がかおりから離れるとカメラが再び正面にまわり、下着姿を捉えた。
画面中央には今まで私に一度も見せた事のない派手な下着姿で妻が立っている・・・・。
その時 聞きなれた声がした。
「さあ かおりちゃん 下着姿はもういいから、その中身を見せてもらおうかな」
(・・・奥村の奴・・)
私の拳(こぶし)に再び力が入った。
「かおりちゃん 脱ぎ方も “××××” さんに教わったんだよね。さあ俺達を興奮させるように脱いでもらおうかな」
! 奥村の言葉が“ピー”っと言う音で消され、一瞬私の身体が強張った。
(編集?・・・)
(今 奥村が言った名前の持ち主が“K”か・・・)
私の心に緊張の糸が張り巡らされていった。