小説本文



 まゆみが下を向くと、直ぐに男がアゴを掴み前を向かせる。
 髪の毛が掛かればそれを払い、顔を鏡に映す。
 男は鏡に映るまゆみ自身を意識させ、腰を振り続けているのだ。


 「奥さん、見てごらんよ自分の格好を」
 「ああああ・・・いい・・・中腰で立ったまま…好き」


 「へへ そうかい。俺の味はどうだい?」
 「・・・いい・・・いい・・いいです・・・・」


 「へへ 奥さん良かったら何が好(い)いか言わないと」 
 男の言葉にまゆみが首を縦に振る。
 早くも男に征服されている表情だ。


 「ああチンポ良い・・・チンポ良い・・・・ああチンポ良い・・・チンポ良い・・・」
 まゆみが呪文のように口走る。
 その瞬間 ・・・ 頭の中で光が弾け飛び、あのビデオレターの綾が現れた。
 『だって、ゆうじさんは愛する奥様が見知らぬ男に苛(いじめ)られ、甚振られ、調教され・・・その痴態を見て悦(よろこ)ぶマゾ男なんですから』
 『 ・・・ 私の最後の“贈り物”は奥様です』


 綾の言葉を振り払うように私はソファーから立ち上がり、シャツに手を掛け、それを脱ぎさった。
 そして靴下からズボン、パンツを一気に脱ぎ取った。
 全裸になった私の股間には、自分でも信じられないくらい天を向いた塊がある。


 目の前ではまゆみがその大きな乳房を鏡に押し付け、男に突かれている。
 私はまゆみの身体を抱きしめるように、鏡に付いた手に力を入れた。


 まゆみの口からは喘(あえ)ぎ声が続く。
 私は自分の鼻を押し当てるように鏡を覗きこむ。


 「へへへ 奥さんどうだい、オマンコ気持ち良いかい?
 「ああーーーオマンコ最高・・・オマンコ最高!」


 まゆみが叫ぶと同時にその唇を、鏡に押し付けた。
 そしてそこを舐めだした。
 まゆみは鏡に映る自分の唇をしゃぶっているのだ。
 私も無意識にまゆみのその唇にしゃぶりついた。
 冷(ひ)んやりした鏡を感じながら、そこをむしゃぼり吸い続けた。


 この薄い1枚の壁 ・・・ この鏡が“こちら側の世界” と “あちら側の世界”の境界線だ。


 私は股間の一物の根っこを握り、鏡に擦り付けていた。
 我慢汁が溢れ、鏡がヌルヌルになっている。
 鏡を破り、自分のソレを、まゆみの中に入れたかった・・・・。


 その時・・・・・。
 “カタン” ・・・ と音がした。
 振り向くと同時に “パチパチ”っと光が瞬いた。


 (なっ!!)
 そこに綾がいたのだ。
 目の前のマジックミラーがスーッと色が変わり、鏡が現れる。
 鏡の中には裸のまま股間の物を握る私がいた。


 「ア・・・・綾・・・・何で!?」
 「・・・・・・・・・・・・・・」


 私はただ唖然・・呆然と綾を見つめる。
 その悪戯っぽい微笑が、なぜか懐かしかった。


 「うふふ ごめんなさいね、ゆうじさん」
 「・・・・・・・・・・・・・・」


 「ゆうじさん、奥様に夢中になって気が付かなかったけど、私 ちょっと前からドアをほんの少し開けて覗いていたのよ」
 「えっ」


 「えへへ それでゆうじさんが射精しそうになったから思わず、出てきちゃったわ」
 「ど どう言う事・・・・」


 「うふふ 最高の射精はね、今晩よ」
 (・・・・・・・・・・・・・・・・・)


 「今晩 まゆみさんと2年ぶりのSEXをして、その時にね」
 「あ!」


 「うふ」
 壁の向こうでは、女達のあられもない声がまだまだ続いている。
 私は足元の洋服を手に取った。


 「ゆうじさん・・・」


 綾はあの最後のDVDでのメッセージと同じ事を、改めて私に告げた。
 私への想い・・・・。
 そして“侘び” ・・・・。
 まゆみの事・・・・。
 そして“武(かれ)”の事・・・・・。


 そして・・・・・・。
 私達は別れた・・・・・・。
 『奥様を大事にね』 ・・・ その一言を最後に・・・・。

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