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第27話
画面いっぱいに現れたのは、綾だった。
白っぽいシャツにジーンズ、いかにも普段着といった服装だ。
久し振りに見る綾に、懐かしさが込み上げてきた。
綾は迷う事無くイスに腰を下ろし、涼しげな視線を向けてきた。
私はその視線に、ソファーでかしこまるように座り直した。
『ゆうじさん・・・・・』
綾の落ち着いた声が聞えてきた。
『長い事連絡できずに申し訳ありませんでした。ひょっとしてまだオナニーもSEXも我慢してるんですか?』
綾がそう言ってニッと笑う。
怪しいマダムの微笑も久し振りの事だ。
『えへ・・・それで私は今、東京を遠く離れた生まれ故郷にいます・・・』
(・・・・・・・・・・・・・)
『数年前から母の具合が悪く、いずれは田舎に帰らなければと分かっていたのですが、それがこのタイミングで来てしまいました・・・・』
(・・・・・・・・・・・・)
『もう・・ゆうじさんとも会う事は無いと思いますので・・・・これまでの私の気持ちを知って頂いて、最後に贈り物をしたいと思います』
(!・・・会う事は無い・・・・・)
『私はゆうじさんにとって都合の良い女でした・・・それはそれで良かったのですが、本当は昔から本気でゆうじさんの事が好きでした・・・』
(!・・・本気で・・・・)
綾が軽く唇を噛むが、すぐに微笑んだ。
『あの部署の飲み会の後、私のマンションで初めて抱かれてた時はそれこそ天国へ上るような気持ちでした。その後はお互いの性癖が一致して、隠微な時間を一緒に過ごす事が出来て幸せでした。でもいつしか私の気持ちはますます本気になり、奥様以上に私は愛されたいと思うようになったのです・・・』
(・・・・・・・・・・・・・・)
『ゆうじさんが奥様に恥ずかしくて出来ない事や、してもらえない事を私は喜んでしました。でもそれは私にとっては、苦痛でもなく私自身が悦(よろこ)びを感じる事だったのでそれはそれで良かったのです』
(・・・・・・・・・・・・)
『でも・・・・』
綾がまた唇を軽く噛み締めた。
『でも・・・ある頃から、ゆうじさんが奥様を抱くつもりで私を抱いてる事に気付きました・・・・・、奥様を甚振っているつもりで私を甚振っている事に気が付いたのです・・・・』
「あっ ・・・」
『でも私も最初はそれで良かったんです・・・・私の性癖も満たされて、ゆうじさんの悦(よろこ)ぶ姿も見れて・・・・・でも・・・・』
(・・・・・・・・・・・・)
『・・・・ゆうじさんと奥様を離婚させようなんて事は一度も考えた事はありませんでした・・・・でも“気持ち”だけは奥様から奪いたいと思うようになりました・・・』
(なっ・・・・・・・・)
『しかし、ゆうじさんは奥様とセックスレスと言いながらも、奥様への愛情がある事が痛いほど分かっていました。ひょっとしたら私にはセックスレスと言いながらも奥様を抱いているのではないかと思う事もありました』
(・・・・・)
『・・・ある頃から、私は“きっかけ”を捜すようになりました・・・・』
(きっかけ?・・・・・)
『私はゆうじさんの気持ちを奪えない事が分かり、逆に奥様の気持ちを奪い、奥様の方からゆうじさんに対する気持ちを遠ざけようとしたのです・・・・・・その為の“きっかけ”を捜し始めたのです』
(・・・・・・・・)
『それがあの“レズ” ・・・です』
黙りこんだ綾の顔が悲しそうに見えた。
瞳には薄っすら光るものが見える。
しかし・・・・。
綾はもう一度唇を噛み締めると、ニコッと微笑んだ。
『ゆうじさん ・・・・ 奥様は思った以上に変態でしたよ。レズの世界に奥様を引きずりこんで分かりましたが、まゆみさんは本当は、ゆうじさんが望んでいた通りの、いえそれ以上の変態マゾ女だったんですよ』
(“ウッ”・・・・・・・)
『私・・・それが分かった時、まゆみさんの心を奪うと同時にそれはゆうじさんへの最高のプレゼントにもなると思ったんです』
(?・・・・・・)
『だって、ゆうじさんは愛する奥様が見知らぬ男に苛(いじめ)られ、甚振られ、調教され・・・その痴態を見て悦(よろこ)ぶマゾ男なんですから』
「あっ!・・・ああ・・・・」
『うふふふ・・・・ゆうじさん・・・・・正解ですよね?』
(・・・・・・・・・・)
綾がビデオの中から黙ったまま私を見つめていた。
薄っすらと光るものが見えた瞳には、いつもの妖しい輝きが戻りつつある。
私はゴクリとツバを飲み込んだ。
『ゆうじさん・・・私はゆうじさんに、素晴らしい“贈り物”が出来る様に色々やってみましたよ。母の具合が悪くなり田舎に戻らなければいけなくなりましたが、どうやら“贈り物”は間に合いそうです』
(・・・・・・)
『えへ ・・・ その前に一つ言っておきますが、まゆみさんは真正な“レズ”ではありません。私に身を任せたのは一時の過(あやま)ちだと思ってください。・・・・でもまゆみさんの心の奥の淫(みだら)な願望は本物でしたよ』
そう言って綾が再びニヤッと笑う。
『私はまゆみさんに別の悦(よろこ)びを与えてあげる事にしました。そしてそれは、ゆうじさんが本当は望んでいた事なのです。ゆうじさん自身は口では否定しながらも心の奥底では待ち望んでいる事なんです』
(まっ まさか・・・・・)
『ふふふ・・・ゆうじさんも本当は覚悟が出来ているんでしょ?・・・・・・私 ・・・まゆみさんに・・・“男”を与えました』
「ウグッ!・・・・」
思わずイスから身を乗り出した私の前で、画面の中の綾は嬉しそうに微笑んでいる・・・・・。
白っぽいシャツにジーンズ、いかにも普段着といった服装だ。
久し振りに見る綾に、懐かしさが込み上げてきた。
綾は迷う事無くイスに腰を下ろし、涼しげな視線を向けてきた。
私はその視線に、ソファーでかしこまるように座り直した。
『ゆうじさん・・・・・』
綾の落ち着いた声が聞えてきた。
『長い事連絡できずに申し訳ありませんでした。ひょっとしてまだオナニーもSEXも我慢してるんですか?』
綾がそう言ってニッと笑う。
怪しいマダムの微笑も久し振りの事だ。
『えへ・・・それで私は今、東京を遠く離れた生まれ故郷にいます・・・』
(・・・・・・・・・・・・・)
『数年前から母の具合が悪く、いずれは田舎に帰らなければと分かっていたのですが、それがこのタイミングで来てしまいました・・・・』
(・・・・・・・・・・・・)
『もう・・ゆうじさんとも会う事は無いと思いますので・・・・これまでの私の気持ちを知って頂いて、最後に贈り物をしたいと思います』
(!・・・会う事は無い・・・・・)
『私はゆうじさんにとって都合の良い女でした・・・それはそれで良かったのですが、本当は昔から本気でゆうじさんの事が好きでした・・・』
(!・・・本気で・・・・)
綾が軽く唇を噛むが、すぐに微笑んだ。
『あの部署の飲み会の後、私のマンションで初めて抱かれてた時はそれこそ天国へ上るような気持ちでした。その後はお互いの性癖が一致して、隠微な時間を一緒に過ごす事が出来て幸せでした。でもいつしか私の気持ちはますます本気になり、奥様以上に私は愛されたいと思うようになったのです・・・』
(・・・・・・・・・・・・・・)
『ゆうじさんが奥様に恥ずかしくて出来ない事や、してもらえない事を私は喜んでしました。でもそれは私にとっては、苦痛でもなく私自身が悦(よろこ)びを感じる事だったのでそれはそれで良かったのです』
(・・・・・・・・・・・・)
『でも・・・・』
綾がまた唇を軽く噛み締めた。
『でも・・・ある頃から、ゆうじさんが奥様を抱くつもりで私を抱いてる事に気付きました・・・・・、奥様を甚振っているつもりで私を甚振っている事に気が付いたのです・・・・』
「あっ ・・・」
『でも私も最初はそれで良かったんです・・・・私の性癖も満たされて、ゆうじさんの悦(よろこ)ぶ姿も見れて・・・・・でも・・・・』
(・・・・・・・・・・・・)
『・・・・ゆうじさんと奥様を離婚させようなんて事は一度も考えた事はありませんでした・・・・でも“気持ち”だけは奥様から奪いたいと思うようになりました・・・』
(なっ・・・・・・・・)
『しかし、ゆうじさんは奥様とセックスレスと言いながらも、奥様への愛情がある事が痛いほど分かっていました。ひょっとしたら私にはセックスレスと言いながらも奥様を抱いているのではないかと思う事もありました』
(・・・・・)
『・・・ある頃から、私は“きっかけ”を捜すようになりました・・・・』
(きっかけ?・・・・・)
『私はゆうじさんの気持ちを奪えない事が分かり、逆に奥様の気持ちを奪い、奥様の方からゆうじさんに対する気持ちを遠ざけようとしたのです・・・・・・その為の“きっかけ”を捜し始めたのです』
(・・・・・・・・)
『それがあの“レズ” ・・・です』
黙りこんだ綾の顔が悲しそうに見えた。
瞳には薄っすら光るものが見える。
しかし・・・・。
綾はもう一度唇を噛み締めると、ニコッと微笑んだ。
『ゆうじさん ・・・・ 奥様は思った以上に変態でしたよ。レズの世界に奥様を引きずりこんで分かりましたが、まゆみさんは本当は、ゆうじさんが望んでいた通りの、いえそれ以上の変態マゾ女だったんですよ』
(“ウッ”・・・・・・・)
『私・・・それが分かった時、まゆみさんの心を奪うと同時にそれはゆうじさんへの最高のプレゼントにもなると思ったんです』
(?・・・・・・)
『だって、ゆうじさんは愛する奥様が見知らぬ男に苛(いじめ)られ、甚振られ、調教され・・・その痴態を見て悦(よろこ)ぶマゾ男なんですから』
「あっ!・・・ああ・・・・」
『うふふふ・・・・ゆうじさん・・・・・正解ですよね?』
(・・・・・・・・・・)
綾がビデオの中から黙ったまま私を見つめていた。
薄っすらと光るものが見えた瞳には、いつもの妖しい輝きが戻りつつある。
私はゴクリとツバを飲み込んだ。
『ゆうじさん・・・私はゆうじさんに、素晴らしい“贈り物”が出来る様に色々やってみましたよ。母の具合が悪くなり田舎に戻らなければいけなくなりましたが、どうやら“贈り物”は間に合いそうです』
(・・・・・・)
『えへ ・・・ その前に一つ言っておきますが、まゆみさんは真正な“レズ”ではありません。私に身を任せたのは一時の過(あやま)ちだと思ってください。・・・・でもまゆみさんの心の奥の淫(みだら)な願望は本物でしたよ』
そう言って綾が再びニヤッと笑う。
『私はまゆみさんに別の悦(よろこ)びを与えてあげる事にしました。そしてそれは、ゆうじさんが本当は望んでいた事なのです。ゆうじさん自身は口では否定しながらも心の奥底では待ち望んでいる事なんです』
(まっ まさか・・・・・)
『ふふふ・・・ゆうじさんも本当は覚悟が出来ているんでしょ?・・・・・・私 ・・・まゆみさんに・・・“男”を与えました』
「ウグッ!・・・・」
思わずイスから身を乗り出した私の前で、画面の中の綾は嬉しそうに微笑んでいる・・・・・。