小説本文



 私の目の前でまゆみはまだそのポーズを決めていた。
 綾にも良くさせたポーズだった。
 男が立小便をするような格好。
 妻に出来ない事を綾にしてきた。
 その一つを今、目の前でまゆみが行っている。
 私が夢にまで見た妻の痴態。
 しかし・・・私とまゆみの間には薄い一枚の壁がある。
 こちらから見ればマジックミラー、向こうから見れば大きな鏡。


 まゆみは鏡に映る己の卑猥な姿を目の辺りにしているのだ。
 まゆみは行ったのだ ・・・ 行ってしまったのだ。
 あの淫靡な世界へ。
 私が綾と2人で経験してきた淫靡な世界よりも、はるかに凄い見知らぬ男女に己の卑猥な心と身体を惜しげもなく披露する世界 ・・・ そこへ行ったのだ。


 やがて森川の声が聞え、まゆみは元の位置へと戻って行く。
 その後3人の奥様達が、それぞれ痴態を披露した。
 私は大きくなった股間をズボンの上から押さえながらも、魂がさ迷うのをどこかで感じていた。


 奥様方が再び横一列の元の形になったところで森川が口を開く。
 「さあそれでは、男性の皆様も今の奥様の素顔の自己紹介を聞いて、再び精力が沸き起こった事と思います。では再び“宴”の始まりです。・・・・・さあどうぞ」


 森川に促され全裸の男達が、女に群がっていく。
 男に肩を抱かれベットに向う女。
 その場で押し倒され男を迎え入れる女。


 まゆみは立ったまま2人の男から愛撫を受けている。
 一人の男に乳首を舐められながら、もう一人の男に唇を許している。
 私の頭の中で光が弾け飛ぶ。
 初めて見る素顔でのまゆみのキスシーンだ。


 まゆみは2人の男を相手にする、こんな卑猥な行為を本当に望んでいたのか。
 何年も前からこんな願望を心の奥で温めていたのか。


 男がまゆみの手を取ると、鏡の前に連れてきた。
 そこでまゆみが膝まづくと、2人の男の物が唇を襲ってくる。
 男は明らかに鏡に映る姿を、まゆみに意識させている。
 男の物を2本同時にしゃぶる姿を、まゆみ自身に見せ付けているのだ。
 そしてその姿は、私の目からほんの数センチ先で行われているのだ。


 まゆみの鼻の穴が拡がり、口は交互に男の物を咥え込む。
 瞳は既にトロ~ンとして、その表情は正に陶酔の色に染まっている。
 まゆみは男の物を咥えるだけで感じる女だったのだ。


 私の中に異様な興奮が沸き起こる。
 目の前にいるのは、仮面の女ではない。
 男の物をしゃぶるのは素顔のまゆみだ。
 その愛らしい唇が男の物を出し入れされている。
 時折、まゆみが目を開き、男を見上げる。
 その顔は紛れもなくマゾの顔だ。


 私が綾にしてきた事・・・。
 綾を征服してきた私は、今妻を征服されている。


 徐々に男の出し入れが激しくなり、まゆみに覚悟の表情が現れた。
 そして男の最後の一突きが決まった瞬間、まゆみの動きが止まる。
 男が腿を振るわせると、己の一物をゆっくり抜いていく。


 「ふーー奥さん・・もう少し顔を鏡に近づけてごらん」
 (・・・・・・・・・・)


 「そう・・・それで口を開けて・・・・・・・俺の出したのが見える?」
 まゆみが口を少し開けたまま頷く。


 「へへ 厭らしい女だね・・・・・じゃあ、その厭らしい自分の顔を見ながら飲んでごらん・・・・・・・鏡を見ながらだよ」
 ゴクリ ・・・ 私がツバを飲み込むと同時に、まゆみがソレを飲み込んだ・・・・。


 男のソレを一息で飲み込んだまゆみが、もう一度チラッと私の方を見た。
 そう、鏡に映る自分の顔を見たのだ。
 背筋がゾクッとするほど妖艶な表情(かお)だ。
 まさに“娼婦館の女” ・・・・・・。


 「へへへ じゃあ奥さん、今度は俺の番だよ」
 隣の男が手を取りまゆみを立ち上がらせる。


 「ほら、まゆみ 鏡に手をついて中腰になりな。立ちバックでいくぞ」


 私の目にまゆみの顔と、垂れた大きな乳房が飛び込んできた。
 (ま まゆみ・・・・)
 私とまゆみの距離はほんの4~5センチ。


 「はんっ!」
 まゆみのアゴが跳ね上がり、小さな声が聞えた。
 男が挿入したのだ。


 そしていきなり激しく腰を振り始めた。