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第38話
私は右手に黒いマスクを握っていた。全頭マスクと呼ばれるSMチックなやつだ。
鏡には裸の私と、顔を伏せた女が映っている。女の膣と私のソコは繋がったままだが、腰は止まっていた。
私は思い出したように、黒マスクを左手に持ち直した。そして右手で、女の右耳に掛かる髪を掻き上げた。一瞬、女の膣が私のソレを噛み締めた。それでもそのまま顔を近づけ、耳下の黒い点に目をやった。
そこには間違いなく“黒子”があった。
と言う事は、この女は妻で良かったのだ。
しかし…。
妻の手が私の手を払いのけるように、自分で髪を掻き上げた。はっきりと黒子を見せようというのか。
私はそこを凝視しようと、最度顔を近づけた。
ところが女の小指が、黒子に触れたかと思うとカリカリと掻き始めた。
その瞬間、昨日、秋葉先生が口にした言葉を思い出した『…奈美子の右の耳たぶの下に黒子なんて無いよ…たまにシールを貼る事がある…』
シール!
まさか…。
唖然とする私の目に晒されながら、ポロリと黒く小さな塊が剥がれ落ちた。
ガチャ。その時ドアの開く音がした。
顔を向ければ、そこにはなんと、秋葉先生ではないか。更にその後ろには…。
それは、黒い全頭マスクを被ったもう一人の女だった。
女と繋がったまま、私は呆然となっている。
そんな私に「ふふふ」秋葉先生の嬉しそうな含み笑いが聞こえてきた。
「奈美子、どうだね寺田君のチンポは」
ああッ、奈美子さん!。
「あなたぁ、寺田先生のおチンポいいわぁ、やっぱりアタシのマンコにピッタリみたいよぉ」
その声は間違いなく、あのシティホテルの薄暗い部屋の中で訊いた声だった。そして鏡の中、奈美子さんが顔を上げた。
私は鏡越しに、その顔を見詰める。久美子に似てはいるが、確かに奈美子さんだ。となると、秋葉先生の後ろで佇む黒マスクの女が…。
私の何とも云えない視線を受けながら、先生が後ろにいる女の肩に手を回した。
「寺田君、君が奈美子とオマンコしてるって事は…ふふっ、僕は“この女”と犯(や)っていいって事だよね」
えっ!
「ええ、そうよ。アタシも気持ちいい事してるんだから、あなたも犯(や)ってぇ!」
奈美子さんが、私と繋がったまま先生に訴えるように声を張り上げた。
彼女の声に頷き、先生が女の手を引いて隣へと寄って来る。奈美子さんの方は“私”を逃すまいとするかのように、膣の締め付けを強めてきた。
「ねぇ、寺田先生も止めないでぇ、もっとアタシのオマンコ突いてぇッ」
蜜を塗したような甘ったるい声。秋葉先生の方は奈美子さんの声質にか、口元を歪めて変質者のような笑みを漂わせている。
「さぁ久美子君!」
あぁ…遂に、先生の口からその名前が。
私は衝撃を覚えながら、黒マスクを見た。身体は震えてみえるが、抵抗はみられない。それどころか、二人の口が重なっていく。
久美子が唇を許している…。
「うふふぅ…寺田先生ぃ、アソコが膨らんで来たわよぉ」奈美子さんのアソコが、更に“私”を締め付けてきた「もっと突いてぇ、ほらほらぁ」
隣では口吻したまま、先生が久美子の上着に手を掛けた。
久美子はされるままに、素肌を曝されていく。
やがて裸体が現れた。見るからに奈美子さんと良く似た裸体だ。
黒マスク一枚で全裸になった久美子が震えている、ように観(み)える。その横では、先生までもが服を脱ぎ始めた。
「さぁ早く、久美子もアタシの隣でオマンコ犯(や)りましょうよぉ」奈美子さんが又も甘ったるい声を吐き出している。
服を脱ぎ終えた先生が妻の背中を押す。久美子が奈美子さんの隣、両手を鏡にあてた。
「久美子君も向こう側から、モヤモヤしながら覗いていたんだよな。旦那と親友がオマンコしてる所を覗くのはどんな気持ちだったんだい」
そう云って、先生がバチンっと久美子の尻(ケツ)を一打ちした。
「いや~んッ」むせび泣くような鳴きが上がった。間違いなく久美子の声だ。
久美子が腰を引いて、奈美子さんと同じように中腰になる。
鏡の中に、二つの顔が並んだ。一人は素顔で、一人は黒マスクの妻だ。
「寺田君、見てごらん。僕の方はこんなに硬くなってるよ」
先生を見れば、股間のモノを指さしている。天に向かって聳え立つ牡のシンボルだ。
「ふふ、一時は元気がなかったけど今はコレだからね」
ソレを握って見せつけるこの“男”。その先生の貌が醜く歪んでいく。
「では、久美子君のマンコを見せてもらおうかな」そう云うと先生が屈んだ。すると直ぐに、ネチャネチャと厭らしい音が聞こえてきた。
「ああ凄いッ、凄いよ寺田君。久美子君のマンコ、ビショビショじゃないか」
その声に私のソコがキュンとなってしまった。
「ぐふふ、じゃあ、さっそく頂くとするか」
秋葉先生がソレを握ると立ち上がって、妻の後ろから破れ目に当てた。まさに挿入の瞬間だ。しかし…。
私に最後の判断を求めているのか、先生の目が見つめて来た。心の中に何時かの声が降って来る。
『…こちら側の世界に…』
これは白昼夢の世界か…いや、違う、奈美子さんの下の口に咥えられたアソコが、確かな“痛み”と気持ちよさを感じているのだ。
私は心で妻に問いかける…。
ーー久美子、いいのかい…。
「…………」
ーーいいんだよね?
それから秋葉先生の目を見た…。
そして…。
私の頭がゆっくりと縦に揺れた。
先生がニヤリと笑う。任せておけ、そんな声が聞こえた気がして、私はもう一度頷いた。
すると。
「んーーッ!」歪な響きが轟いた。先生が遂に久美子に挿入したのだ。
「ほらッ、ほらッ、ほらッ!」
先生がいきなり腰を激しく振り始めた。
久美子の尻(ケツ)も激しく揺れる。その揺れが私の方まで伝わってきた。
「ほら久美子、遠慮するな!」
先生が妻を『久美子』と呼び捨てた。その現実にも私の身体の震えが増す。同時に奈美子さんへの突き上げが激しさを増した。
鏡の中で黒マスクが激しく揺れている。その口元に手がニュっと伸びた。先生がマスクを捲る気だ。
ゆっくりと…しかし、手際よくマスクが捲くられて、額が見えたかと思うと、遂に素顔が現れた。
先生が無造作にマスクを投げ捨てて、俯く妻の口元に手を当てたかと思うと前を向かせた。
「さぁ見せて上げなさい。貴女の厭らしい顔を、ほら!」
声と同時に、先生の腰が妻をカチ上げた。その一撃に、妻の顔が跳ね上がる。しかし、前髪がへばり付いて表情はよく分からない。
「さぁどうなんだ、旦那が見ているぞ。今の気持ちを教えてやれ」
あぁ、久美子…。
と、その時だ。
「ヒヒヒッ、いっ、いいのおーーーッ!」
動物のような奇妙な鳴き声が発せられた。
「いいのよぉマンコがッ。アタシ早く、こんな変態な事、したかったの!」
妻の声が変だ。表情もおかしい。妻は恐らく、あの薬を飲んでいる。
その時、奈美子さんの声だ。
「そうなのよ久美子、遠慮なんていらないのよ。旦那に本当の顔を見せれば楽になるのよ」
奈美子さんの言葉に、私の身体は心底震えた。そこに又も、久美子の叫びだ。
「そうよアタシ、奈美子より変態なのよ!」
鏡の中に、卑猥な言葉を吐きあった二人が映って視える。中腰で突かれる二人の牝。
私の勃起中枢がますます刺激されていく。血の気が引いて、何かが落ちていく感じだ。得体の知れない高鳴りが続いている。鏡に映る私の顔が、ますます歪んでいく。
妻の表情(かお)は明らかに“逝って”いる。薬は自分の意思で飲んだのか、それとも上手く言い包められたのかは分からない。それでも、そんな事はどうでもよくなっていた。
「寺田君、最高じゃないかッ」
腰を抉り続ける先生の声に「ひゃひゃひゃ」私は奇妙な笑いを返した。
この狭い空間の中で、新たな変態夫婦が誕生していたのだ。
それからの事はまさに、白昼夢のような世界だったーー。
秋葉先生と妻が繋がった部分に唇を持っていき、シャブったりもした。
妻が四つん這いで突かれれば、妻の口に私のソレを咥えさせた。その私の唇は奈美子さんと口吻を繰り返した。
奈美子さんを正常位で突き刺した私のアナルを誰かが舐めてきた。勿論、妻しかいない。狂気の声を上げて私は、久美子に飛び移った。鏡の前で立ちバックに誘った。鏡に曝す妻の顔は、完全にラリった顔だった。その貌に魅入られながら私は突き続けた。頭の中には、いつかのシーンが浮かび“押し車”を試みた。先生達の嘲笑にさえ興奮を覚えながら、私達夫婦は部屋の中を奇妙な格好で歩き廻った。
私達4人の交わりは、いつ果てたかは分からない。薬をやってない私だったが、逝く度に女どもがシャブって来たのだ。それはもう、どっちの女か分からなかった。それほど頭の中が弾けていたのだった。
やがて、我々4人は精魂尽きた果てたかのように、眠りに落ちていったのだった…。
どのくらい眠っていただろうか…。
ゆっくりと瞼が開いていき、その目に天井が映った。いつの間にか床の上で寝落ちていたのか。
身体を起こそうとして鏡の方を向いた。鏡の前では、秋葉先生が眠っているようだ。その身に覆い被さるように身体を預けているのは奈美子さんか。
妻はどこだろうか、と立ち上がろうとして気がついた。ベッドが揺れてる気配。そして怪しい息遣いだ。
私はバッと背中の方を振り向いた。
ベッドの上で、女ーー久美子が騎乗位で腰を振っているではないか。
相手は誰だ!
知らない男だ。
これは夢か。それこそ白昼夢か!?
しかしその時だ。カチャリと部屋のドアが開くと同時に、人影が現われた。
「やぁ、いい画(え)が撮れていたのに、バッテリーが無くなってしまったよ」と、一人言でも云うように部屋の中へと進んで来たのは、神田先生だった。
「それにしても、凄い匂いだねぇ、性臭の匂いとでも言うのかな」
神田先生の言葉に、思わず私は自分の股間を隠そうとした。そんな私の様子など気にせず、先生が続ける。
「寺田先生のソコも、尻の穴もバッチリ撮らせてもらっからね。勿論、久美子君もな」
先生が笑っている。その笑みが腰を振り続ける久美子に向く。
「撮った動画は大切に保管させてもらうよ。これからは君達にも協力者として活動してもらいたいしね」
「そ、それは…」人質みたいなものですか…と続けようとしたが、そんな事よりも…。
「ああ、この“彼”かい。誰だと思うね」私の表情を察した先生の声だ。
先生の問い掛けに、私は妻達を改めた。妻の喘ぎ声は止みそうにない。
「ほら、秋葉君の娘の元彼でストーカーした男がいただろ。それがこの彼じゃよ」
「えっ、どういう事ですか!」
「実はな、この彼も教師だったんじゃよ」
ええッ!
「そう、教師のくせに以前の教え子と付き合って、別れたあげくにストーカーになったとは言語道断だわな」
「……….」
「でもな、彼にも悩みがあるのが分かって、久美子君が色々と訊いてあげたんじゃ。うん、その悩みが病的なストレスから来るものだったんでな…。まぁ、ここまで話せば事の成り行きは理解できるだろ」
「そ、そんな事が…」
妻達はと、二人を覗けば完全に桃源郷の世界だ。それを眺める私のアソコが再び硬くなってきた。
「それでだ、寺田君」
ハッと顔を上げれば、嬉しそうな先生の顔だ。
「さっきも云ったが、あなたには協力者になってもらうぞ。ほら、久美子君をご覧なさい。彼女は既に協力してくれておる。悩み多き教師の救済なんじゃよコレは」
神田先生の言葉を頭の中で反芻しながら、腰を振り続ける妻を見詰めた。妻の蕩けきった表情は、薬が原因かもしれない。それでも…。
先生に向き直り、顔をジッと見詰めた。
心の中に声が降りて来るーーこれで良いのだ。これが良いのだ。
そして…。
私は、先生の目を見ながら黙ったまま深く頷いたのだった。
エピローグ
あのマジックミラーの部屋で、破廉恥な交ぐわりをしてからの私達ーー神田先生からのミッションは今のところないが、私の性癖は満たされていた。週に何度か“妻の一人語り”があるからだ。
日常においては、久美子は週に1度奈美子さんと堂々と体操教室に出掛けている。
私の方は暇があれば、相変わらずの古本屋通いだ。あの“白昼夢“みたいな本に出会えないかと、足を運んでいるわけだ。
そして今日も、目的の本屋に向かっているところだった。
最寄り駅で降りて、いつもの商店街を進むと、向こうから懐かしい顔が歩いて来るのに気が付いた。
「渋谷君!」
「あれ~寺田先生じゃないですか」
久し振りに見る彼は、清々しい雰囲気だ。
「その節はお世話になりました。渋谷君は元気でやってましたか」
「はい、おかげさまで。寺田先生の方は如何ですか。 “ご活躍”はこれからだとか」
彼の明るい口調には、苦笑いが浮かんでしまう。
「活躍って、神田先生からミッションの依頼はまだ無いから、僕の方は相変わらずで、今も古本屋に行く途中だったんだよ」
「そうでしたか」
「ところで渋谷君の方こそ、何で又こんな所へ」
「ああ、云ってませんでしたっけ。僕、そこの予備校に通ってるんですよ」
「え!予備校は辞めたんじゃなかったの」
「ええ、2年くらい前に1回辞めてるんですけど、実は又行き始めたんですよ」
「そうだったんだ。でも又、なんで?」
「ヘヘ、実はですね、大学に進んで教師を目指そうかと思って」
「ええっ、教師!?」
「そうなんです」
「どうしてまた…」
「うん、先生になって、病的な悩みを持つ同僚達を救ってやろうと思いましてね」
「あぁ…」
「ええ、女性教師には“俺”が直接。男性教師には、そうですね、奥様にでも協力してもらって、上手く“こっち側の世界”にね」
ウィンクして見せた彼を見詰めた。彼の表情(かお)には、悪戯っ子のような笑みが浮かんでいる。
私は彼とのやり取りを何処か懐かしく想いながらも、怪しいミッションを心待ちしている自分に気が付いた。そして、目の前と同じ悪戯っ子のような笑みを浮かべたのだった。
おしまい。
サンきゅー(`・ω・´)ゞ