小説本文




 カフェを出た私達夫婦は宛もなく歩いていた。
 この辺りは初めて来た場所だ。そう、我々教師にとって保護者達の目が届きづらい場所というのは大切なのだ。
 昔は学校の近くの居酒屋で愚痴を云ったものだが、今はそんな所は敬遠される。酔っぱらってる姿を父兄にでも見られたら、SNSで何を書き込まれるかたまったもんじゃない。そんな経験もあってか、今日の“デートごっこ”も家から離れたこの場所を選んだのだった。


 「…ねぇ、この後どうしようか」
 私の横を歩く妻に落ち着いた素振りで訊いてみた。
 私は特に予定など立てていなかった。とりあえずお茶でもして、その後は成り行きと思っていたからだ。
 しかし、昼間の渋谷君の話や妻の痴漢の話に刺激を受けてか、心の中に妙なざわめきがあるのも確かなのだ。


 「…そうですねぇ、どうしましょうか…」
 こちらの質問に質問で応えた妻。それだけで彼女の緊張が窺えた気になった。
 私は何も言わずに駅の反対側へと向かう事にした。たしかあの辺りに…。


 …その派手な看板を見つけた時は、年甲斐もなく足が竦(すく)みそうになってしまった。
 この手のホテルにはいつ以来かと考えてみるが、全く思い出せない。妻とこういう門を潜ったのは、それほど昔という事だ。
 そんな私の腕に手がスッと添えられた。
 私はチラリと妻を覗いた。暗くて彼女の表情(かお)は、はっきり分からない。だが、俯いているのは間違いない。私は黙って足を進める事にした。


 そのホテルは造りからして昔風のかなり古い物だった。ロビーにある部屋のパネルを見ては、若い頃に妻と入った頃の記憶を探った。私はその頃のイメージを浮かたべつもりで良く似た部屋を選ぶ事にした。


 その部屋に入った瞬間、日常から抜け出した感覚に囚われた。鎧を脱いで外界から密室に逃げ込んだ気分だ。
 妻の方はどうだろうかと顔を覗いて見れば緊張の面持ちだ。
 そして…。
 私達は久しぶりに肌と肌を合わせたのだーー。


 ーー妻との何ヵ月ぶりかのセックスは興奮を覚えるものだった。
 おそらく昼間の渋谷君の話の余韻が大きな要因の一つだ。妻の方も痴漢との遭遇が心の引き金を弾いたのではないか。
 頭の中には久しぶりに聞いた彼女の激しい喘ぎ声が未だに残っている。
 その私の隣には、やっと落ち着きを取り戻した妻だ。私は彼女の手を握りながら天井の鏡を見上げている。目に映っているのは全裸の男女。
 その時、昼間の話の“歳の差夫婦”の姿が浮かんできた。
 自分の妻を若い男ーー渋谷君に差し出したご主人。目の前で妻が弄ばれた時にどんな衝撃が頭の中を走ったのだろうか。妻のアソコに若い牡のシンボルが挿入される様をガン見した時の感慨は。
 そのご主人は結合の部分を至近距離から抉るように見ていたと、渋谷君は云った。
 ああ、私の中で妄想が渦を巻いて幾つもの場面になって襲ってくる。さっき逝ったばかりの私の“ソレ”が、再び巨(おお)きくなってきた。
 よし、もう1発やるのだ。歳の差夫婦の旦那さんと違って、まだ元気なのだ。
 私は妻の手を握る指にググっと力を入れた。彼女がハッと目を開ける。
 自分の中に熱いものが沸き立つのを感じて、私は起き上がっていた。


 「あ、あなた、どうしたんですか急に」
 その声にも黙って彼女の手を引いた。連れて行ったのは廊下の壁にあった大きな姿見の前だ。
 頭の中には“歳の差夫婦”の姿、それと渋谷君だ。
 夫の目の前で若い男に突かれる妻。この場に登場人物は一人少ないが私が一人二役だ。


 私は妻の手を鏡に着かせて後ろから腰を引いてやった。中腰で見事に尻(ケツ)が突き出た格好だ。
 妻の方も“何か”を察したのか、云われるままに身体を晒した感じだ。


 尻の後ろで屈んだ私は、両手で尻肉を鷲掴んでグイっと拡げてやった。
 ハアンッと上がった声を確かに聞き取って顔を近づけた。
 至近距離から私の目が抉るのは、毛深い破れ目とその上の不浄の門。そして、剛毛も妻の特徴だ。


 頭の中に声が降ってくる。
 不適な笑みを浮かべる若い男の声ーー。
 『…ケツの穴まで引っ張られて、マンコも中まで丸見えですよ…』
 渋谷君の声にブルルと身体を震わせ、目の前の穴にムシャブリ付いた。
 ンハァーーーッ、悲鳴のような声が部屋いっぱいに響き渡る。その叫びに背中を押されて、二つの穴をシャブリまくった。それから立ち上がると、彼女の肩を掴んでむんずと押さえ付けた。
 私を見上げる妻の瞳は、堪らなく虚ろだ。その彼女の手を取って股間を握らせた。そこにはハチ切れんばかりに膨らんだ肉の棒。
 その棒で彼女の頬をペチペチと打ってやる。
 アアッと声を漏らしながら彼女がソレに唇を寄せてきた。その唇に艶めかしさを感じる私がいる。


 亀頭がヌルリとした瞬間には、奥の方へと飲み込まれていた。
 再び渋谷君の声が聞こえて来た。
 『…奥さんの髪型はショートボブ…頬っぺたに掛かる部分をかき上げて…良く見えるように…』
 気がつけば私は、しゃがんでシャブる妻の横顔を鏡越しに曝していた。もちろん片手で彼女のショートボブの髪をかき上げながらだ。
 妻の右の耳たぶの下辺りには小指の爪ほどの大きさの薄い黒子(ほくろ)がある。今夜はそれが、妙に色っぽく見える。
 暫くそのまま妻のシャブりを悦に浸りながら見ていた。やがてフンフンと鼻を鳴らす音。あぁ…あの奥さんだ。インポ亭主の為に若い男に身を差し出す変態女教師。そして…鏡の中で私をシャブるこの女も変態なのだ。


 あぁ、次は挿入だ。
 私は肉棒を引き抜いた。
 あの奥様と渋谷君は背面座位とかいう体位だったか。だが、この鏡の前ではアレだ。エロ画像や動画で何度も視てきた立ちバックの格好(かたち)だ。


 彼女の尻(ケツ)をピシャリと一打ちしてから、先っぽで“その辺り”を擦りながら泥濘を探す…と思った瞬間には、ソレは妻の中へと吸い込まれていった。
 私のソレが膣(つま)の中でヒダヒダに絡み取られていく。このミミズが這いずり回るような気持ちよさは何なのだ。
 ウアアッ、妻のココがこんなに感度が良かったのかと、今夜1度目の交わりとはまた違った感触が襲ってくる。
 と、いきなり射精への高鳴りがやって来た。私はそれを我慢しながら渋谷君を呼び起こした。
 『…コレで奥さんをヒーヒーいわしてやるぞ…』
 そ、そうだ、私もコレで久美子をヒーヒーいわしてやるのだ。
 気を入れ直し、立ったまま妻を突いてやる。ガンガンと突いてやる。


 「アアッ、あなた凄いッ!ど、どうして…」
 「んがっ、ほら!」
 「ヒッ!いッ、いい!」


 ああっ、な、なんだ久美子のこの感度は!
 頭の中で光が弾けて身体が弛緩する。それが伝わったのか妻の身体がブルブルと震え出した。
 あッ、久美子が感じている。先ほど以上に私のコレで。


 「あぁん、あなた!」
 彼女が鏡に手を付いたまま顔だけ振り向き、唇をねだってきた。


 しかし私は、妻の唇をやり過ごしてガツンと最奥を襲ってやった。
 んがーーーッ!
 妻の悲鳴に重なるように彼が乗り移ってきた。
 「久美子ッ、マンコがトロトロじゃん!欲しかったんだろ若い男のチンポが!」
 「いやーーんッ、あなた、何で、んがッ、そんな事を!」
 「ん、いいのか!いいのかよ奥さん!」
 「アアーーッ!」
 バチンッ!妻の叫びに応えるように尻を打ってやった。そう、90センチの巨尻だ。
 そして、突き上げながら首筋をねぶってやる。舌を目いっぱい出して上から下へ、下から上へと。そんな自分達の姿が鏡に視えてゾクゾクっとした。鏡の男は見ず知らずの若者だ。そいつが妻をもて遊んでいる。妻も若い身体を悦(よろこん)でいるのだ。


 「どうしたんだよ奥さん、もっと欲しいか!どうして欲しい。どんな格好が好きなんだよ!」
 「ああッ、後ろ…後ろから!」
 「…!」
 「あっ、あっ、熱い、熱いのが欲しいんです!」


 額の辺りから凄い量の汗が流れ落ちている。それを心地よく感じて、私は一旦ソレを引き抜いた。
 妻の手を取り、ベッドに連れて行く。そして、そのふてぶてしいデカ尻にバチンと入れてやった。妻はヒイッと声を上げて腰をクネらせる。
 そのまま背中を押してやると『…ベッドに上がりましてね..』又も渋谷君の声が降ってきた。
 『…何も言わないのに四つん這いですよ…』
 見れば妻は、ベッドの上で犬の格好だ。


 『…尻(ケツ)を無意識に突き出してくるし…大きさは90位はあったんじゃないかな…』
 ああッ、つ、妻が、目の前で妻が四つん這いで無防備にソコを目いっぱい突き出している。毛深いソコを突き上げているのだ。


 『…犬の格好…マゾ気質の女にはお似合いじゃないですか…』
 あああーッ、し、渋谷君、君は…。


 それから私は、犬の格好の妻を後ろから犯した。しかし…。
 情けない事に、私のソレはあっという間に果ててしまったのだ。そう、早漏(はや)かったのだ。
 あぁ、そんな私を妻はどう思った事だろう…。


 …服を着終わった私は、コッソリと妻を覗いた。下着姿の妻だ。そこに見えたのは清純すぎる白いランジェリー。それは、頭の中に現れては消えたあの“歳の差夫婦”の奥様ーーその奥様が身に着けていたと言う漆黒の物とは比べ物にならない清純な物だった。


 ついさっきまで渋谷君に乗り移られてか、気を張っていた私。しかし、最後の瞬間は妻にはどう感じたのだろうか。絶頂に達したのだろうか。妻は久しぶりの私とのセックスに何を感じたか…。
 私自身は又一つ自信を失ったかもしれない。
 明日からの事を考えれば、ストレスと付き合う1週間の始まりだ。
 私は重い気分のまま部屋を後にしたのだった…。