小説本文




  妻に云われるまま自分の部屋に戻った私は、ベッドに腰を降ろしていた。アルコールの酔いは殆ど治まっているが、変な緊張は続いている。久美子は改まって何をしようというのだ。シャワーと口にしたが、実のところ離婚届にサインでもしているのではないだろうか。
 そんな事を考えついたところで、ザワザワと不安の波が寄せてきた。私は立ち上がると、檻の中の動物のように部屋をクルクル歩き出した。時おりバルコニー側のカーテンを少し開けては、外を覗いて見る。
 薄闇の中から見えるのは、向こうに聳えるマンションの窓、窓、窓。しかし、何時ぞやの恥部を曝した露出行為を思い返せが背中が冷たくなってくる。よくあんな事が出来たものだと。


 私はドアの前で足を止めて、廊下の奥を覗いてみようかとノブに手をやろうとした。
 その瞬間ーー。
 カチャリと静かな音がして、ドアが開かれた。現れたのは勿論、妻の久美子。バスローブ姿の久美子だ。


 「シャワーを浴びてきました…」彼女の俯いた口から小さな呟きが零れ落ちた。
 「ど、どうして…」
 私が呟いたのと同時に、彼女の顔が少し上がった。
 私はもう一度「どうしたの…」同じような言葉を口にしていた。


 妻は黙ったまま背中を向けると、壁のスイッチを2度押した。照明がパパッと常夜灯に変わる。
 彼女の手元からは衣擦れの音がした。そしてこちらを振り向いた…かと思うとバスローブが開げられて行く。
 ゴクリと喉が鳴ってしまった。
 その中は何一つ身に着けていなかったのだ。それどころか、裸体がやけに艶めかしく感じて見える。常夜灯の灯りが妻の凹凸を扇情的に写しているのだ。
 私の足がフラリと妻に寄る。バサリとガウンが床に落ちて、彼女が私の胸に顔を預けてきた。瞬間、アルコールの匂いが鼻に付いた。


 「お酒を…」同じ言葉が二人の口から同時に出た。
 そして「あのホテルの時みたいに…」妻の朱い口唇がそう呟いた。
 私の首がぎこちなく縦に揺れる。それを見てか妻が屈んだ。そして私の、股間に顔を寄せてきた。
 妻が匂いを嗅ぐかのように鼻先を押し付ける。ムクムクと私の“ソレ”が膨らんで来る。そして妻が、一旦鼻先を離すとソコに手を充ててきた。
 ジジジとファスナーが降ろされ、ズボン、パンツと下げられた。露(あらわ)になったソレは、まだ半立ちの状態だ。


 妻の目が一瞬上を向く。しゃがんだ状態から見上げた顔が、妙に生々しい。
 ニュルッと蛇のような舌が私の“物”に伸びてきて、そのまま咥え込んだ。
 シャワーも浴びてない汗で汚れたチンポを…そう思った瞬間、ゾゾゾッと背中が粟だった。
 妻は匂いなど気する素振りもなくシャブリ出した。亀頭を舐め、カリ首にも舌を這わしてくる。時おり喉の奥までソレを迎え入れる。妻が私を味わっている。いや、これは嫐(なぶ)っているのか。
 股間の一物はこれでもかと巨大化していった。射精感が早くもやってくる。情けないーーこのまま射(い)ってしまったら…。
 私はその高鳴りを遠のけようと、意識を別の所にやろうと考えた。バルコニーに目を向け、カーテンの隙間から向こうのマンションを覗く。そして“嫐る”の漢字を思い浮かべた。『嫐る』には同じ読みで『嬲る』という漢字もある。女が男を挟む嫐ると、男が女を挟む嬲るだ。意味は一緒らしいが、深い所では違ってる?…などとむかし勉強した事を思い返しながら、何とか射精感を遠ざけようとした。
 と、その時だ。
 プハァッと妻がソレから口を離した。そして今度は頬ずりだ。よく見れば妻は、頬ずりしながらチラチラとカーテンの隙間を気にしている…ように見える。
 あぁ、そうなのか。妻はあのホテルでの姿見の場面を…。


 私は妻の手を取り、ガラス窓の前に誘導した。勿論ギリギリの所にだ。
 そして今度は、硬くなった肉の棒を強引に妻の口奥へと押し込んだ。イラマチオの開始だ。今度はこっちが主導権を握ってやるのだ。
 私は激しく腰を振り始めた。妻がウエッと嘔吐(えづ)くが、そんな事など気にしない。その歪んた表情(かお)を見たいのだ。そして妻にも自分の表情(かお)を拝ませてやるのだ、とカーテンの隙間を開けてやった。


 ガラス窓には、妻の横顔が薄っらと映る。私の下半身も映って視える。いや違う。妻を凌辱してるこの男は誰だ。そうか、コイツが間男だ。妻は…久美子は私の居ない間に男を家に上げていたのだ。そして、私の寝室で情痴に耽っていたのだ。
 あぁ、ゾクゾクと興奮が湧いて来るではないか。


 男が一物を抜く。そして久美子の髪を掴んで立ち上がらせると、バッとカーテンを開ける。
 あぁ、男は…いや二人はやっぱり変態なのだ。向こうのマンションに向かって露出セックスをおっ始める気だ。
 それは思った通りの立ちバックだ。久美子の方も、何も言われないのに窓に手を付いて中腰だ。


 ガラス窓の向こう、マンションの上に丸い月が浮かんでいる。
 視線を落としていけば、すぐそこには月のような丸い臀。その割れ目をグイッと拡げてやると、久美子の腰が気を張った。挿入を待ち望んでいるのだ。


 無言のまま、頭の中で問いかけてやる。
 ーー久美子、今夜はこの格好で欲しいのだな。
 妻が顎をカクカク縦に振りながら、臀(ケツ)を揺らしている。


 ーー旦那の寝室でオマンコ嵌めるのは平気なんだな。
 その問いにも、久美子は頭を縦に揺らし、臀も震わせて肯定の返事だ。


 ーーふふふ、じゃあブチ込んでやろうか。ほら!
 『イーーーッ!』久美子が咆哮を上げた。


 ーーオラオラッ、オラッ!マンコ気持ちいいだろ!
 『ムググッ、はい。気持ち…いいですぅ!』


 ーー久美子は私のコレが欲しかったんだな。
 『んんっ、そ、そうです。欲しかったんです!』


 ーーふふん、旦那のチンポと比べてどっちがいいんだね。
 『ンアっ!そ、それはご主人様の…』


 ーーそうか。じゃあ、自分の顔を見ながら云ってみなさい。
 『あぁッ、ど、どうやってですか』


 ーーほら、そのカーテンをもっと開けるんだ。顔が映るだろ。
 『あぁ、こうですか…あぁ、映りましたわ。はい、映ってます』


 ーーふふっ、よく見ろ。どんな顔をしている?
 『あぁ、やらしい…スケベ女の顔ですわ…あぁッ!』


 ーーじゃあ、その顔を見ながら云ってみなさい。今自分が何をしてるかを。
 『うううっ、はい。ア、アタシは今…エ、エッチしています…ううッ』


 ーーエッチ?エッチじゃないだろ、ちゃんと云いなさい。
 『あぁ、云うんですか…あぁ…オ、オマンコですわ』


 ーーふふっ、そう、オマンコだな。じゃあ、そのオマンコの中には何が入ってるんだね。
 『あぁ、オチンポ…ご主人様のオチンポです!』


 ーーふふっ、じゃあ、そのチンポは今どんな感じなんだ?
 『ううう、中を…中を掻き回してます』


 ーー久美子の中をか。マンコの中はどうなってるんだ。
 『あぁんッ。もうグショグショです。ご主人様のチンポでグショグショなんです!』


 ーークククッ、旦那のチンポじゃ濡れないのだな。
 『………』


 ーーん、どうした。この耳の下の黒子(ほくろ)は、スケベボクロみたいなもんだろ。この黒子を持つお前は、マゾ女なのだ。ほら、なにを黙っているんだ。遠慮なく云うんだ。云わないと抜くぞ!
 『いやっ、抜かないで下さいッ!。云いますから』


 ーーじゃあさっさと云え!旦那のチンポはどうなんだ!
 『うう…しゅ、主人のアレでは…ぬ、濡れないんです』


 ーーふふっ、旦那のは小さいんだな。そうなんだろ。
 『…は、はい』


 ーーじゃあ、久美子はどんなチンポが好きなのか告(い)ってみろ。
 『あぁ…ふ、太くて…お、大きい物ですわ』


 ーーそれと。
 『あぁ…それで、長くて逞しくて、厭らしいやつですわ』


 ーーふふっ、厭らしいときたか。で、他には。
 『うあぁ、ずっと…ズコズコ突いてくれるやつです…』


 ーーズコズコ突くか…と言う事は、旦那は早いんだな。
 『あぁ…そ、そう、とても早いんです』


 ーーぐふふ。そうか、久美子の旦那は早漏なのか。じゃあ私のコレはどうだ!
 『あぁ、ご主人様のチンポはとても長くて太くて、いくらでも久美子を逝かせてくれますわ』


 ーー私のチンポが好きなんだな。
 『あぁ、勿論です。大好きです。堪らないんです!』


 ーーそうか。けど、抜いてしまおうか。飽きてきたしな。
 『えっ!嫌ですッ!止めないで!』


 ーーじゃ私の言う事なら何でも聞くか。
 『は、はい、聞きます。ご主人様の事なら何でも聞きますから止めないで下さい。もっと久美子のオマンコ虐めて下さい!』


 ーーそれじゃあ、窓に映ってる自分の顔を見ながら宣言しなさい。自分がどんな女か、旦那がいると思って教えてやるのだ。それから私に服従の誓いを云うんだ。
 『あぁ、はい。云いますわ』


 ーーほら。
 『…あなた、アタシ久美子はあなたとのセックスでは何も感じてなかったんです。先日の久しぶりのデートごっこ…あの時も感じたフリをしてただけなんです…』


 ーー続けろ。
 『…だからアタシ…このご主人様のオチンポに夢中なんです。ご主人様のチンポを挿(い)れて貰うと天国に行けるんです。ストレスとか欲求不満とか、全て忘れさせてくれるんです。アタシ、このオチンポがあれば何もいらないんです。アタシはこのオチンポ様の奴隷なんです。あぁ…』


 ーークククッ、久美子、まぁよく云えた方だ。じゃあ、そろそろ膣(なか)に射精(だし)てやろうか。お前はそこに旦那…寺田君がいると思って逝き顔を曝してやるのだ。
 『あぁはい。お願いします』


 ーーよしっ。じゃあ出すぞ!生で出してやる。
 『あぁ…嬉しい…秋葉先生…ご主人様…お願いします』


 そして私は、ドクドクと牡精が注がれてい行く音を夢の中で聞いた…気がしたのだった。