小説本文



 
 堂島の腕に手を掛け、祝声を浴びながら歩く夏美の目が、沖田の横の高志の姿を捉えていた。
 (・・・アナタ・・・・)
 心の中で呟いたその言葉に、小さな胸の鼓動が大きく打ち付き始める。


 高志の様子が確認できるところまで近づいて、夏美は何とか視線を向けようとする。
 身体が強張り、堂島の肘から手を離し、もう一歩踏み出すと高志と目があった・・・・気がした。


 「ご主人初めまして、堂島泰三と申します。・・・・ご主人、どうかされましたか」
 堂島の言葉と同時に、高志の唇が “な・つ・み” と動き、右手が伸びたかと思うと、身体がつんのめるように倒れ込んできた。
 酔客達に驚きの声が上がる。


 堂島が夏美の耳元で素早く囁いた。
 「心配するな、ちょっとした睡眠薬じゃ」
 (あなた・・・ゴメンナサイ・・)
 沖田が高志の身体を支え、夏美も無意識に手を添えていた。


 沖田が高志を抱え上げる横で、堂島の厚い手のひらが夏美の肩を抱いていた。
 沖田の会場を静める言葉の後は、導かれるように廊下を着いて歩いた。そして気づけば部屋のすみで立ち竦んでいた。
 ベットの上には夫の高志が横たわっている。
 幸恵と沖田がベットの横にビデオカメラをセットしている。


 「夏美」
 突然の声に、夏美は声の主を見つめた。
 冷たく細い目が真っ直ぐ見つめていた・・・と、夏美の背中にゾクリと震えが沸き起こる。


 「さあ夏美、見せてもらおうか」
 夏美を捉えるその眼には、それまで以上の冷炎な光が宿っている。背中から広がった震えは身体中を包み込み、その中から淫靡な気配がジワジワ蘇る。
 夏美の細い指は糸に引かれるようにドレスのジッパーに掛かり、そしてそれを、ゆっくり脱ぎ落とす。
 黒いショーツ1枚だけの姿になると、ベットに足を掛け。
 そして眠る夫の身体を跨ぎ、股下に寝顔を見下ろした。


 夏美はゆっくり太股をMの字に拡げながら、股間を夫の寝顔へ近づけた。
 腰を下ろし、己の身体を後方で支えるように両腕を夫の脇腹の横に付ける。
 下腹に力を入れ夫の鼻先寸前の所で股間を止めて、肛門をギュッと締め気を入れた。


 気ぶる瞳が堂島を見つめると、『儂に任せておけ』・・その言葉が頭の中に広がっていった・・・・。
 「アナタ・・・・・・・・・・・・・・・」
 哀しげな瞳からはボロボロと光の雫が瞬いて、隷族とも取れる言葉が口から溢れ出た。
 「アナタ・・・・最初は無理やりだったんです。でも・・・・私は・・・女の悦(よろこ)びを初めて知ってしまったんです。・・・それまでの世界が全てだと思い込んでいた私を導いてくださったのです。・・・いかに自分が小さく何も知らない人間だったか判りました・・・・××××××・・・×××××・・・・×××××・・・・・」


 溢れ出た言葉は眠る夫に掛けられたのか、それとも己自身との決別の言葉か・・・・。


 「ふふふ・・・、夏美、よし!次はそのショーツを取ってしまえ。そして貴女の卑猥な生き物がどの位エグくなったか旦那に教えてやれ」
 堂島の言葉に夏美は一旦立ち上がり、ショーツを脱ぎ取ると足をがに股開きして、中腰の姿勢をとる。
 股下には、静かに寝息をたてる顔がある。
 「ほれ」
 夏美は陰部の横に両手を当てると唇を噛み締め、そして一気に開陳した。
 「・・・・・・ああ・・貴方・・あたしのココ・・・×××・・・×××・・・」


 夏美の姿に満足げに頷いて、堂島が服を脱ぎ始めた。
 「ククク・・よしよし。では、旦那の顔の前でお前を貫いてやろう」
 白い肢体はフラリと向きを変え、四足をつくと剥き身の臀(しり)を高志の鼻の上でグッと気を入れた。
 開陳された淫部の奥から、妖艶な香りが眠る高志の顔に降りかかる。


 「さあ・・・夏美・・・」
 全てを脱ぎ終えた堂島の股間には、それは見事な肉の巨棒が天を向いている。
 夏美は股下から見つめ高志の寝顔の向こうに、聳え勃つ男の象徴を認めていて。
 ブルブルと股座(またぐら)は、確かな震えを起こしていた。


 「ああ・・・ご主人様、私は夫を裏切った悪い女です」
 「・・・・・・・・・・・」
 「・・・もう一度、ここで・・・ここで私を凝らしめてください、犯してください!」


 隷族の宣誓に堂島は満足げに頷き、己の一物を握りしめた。
 そして“ソレ”を、目の前の開陳された淫部の中心にあてがった。


 グッ グニュッと卑猥な音が鳴り。
 「はアッーーーー!」
 っと一気に吐き出された声には、切ない響きが混ざっていた。


 「いい声じゃ。さあ、そのままデカイ尻(ケツ)を旦那の顔の前で振ってみせろ」
 そう言って、堂島は間髪入れず、臀肌を大きな掌でバシリと打ち叩く。
 「んああッ、ふ、ふりますッ」
 眠る夫の上で、夏美は喜びの声を振り乱す。


 高志の鼻先 ほんの少しのところで、卑猥な生殖器の交わりが淫靡な音色を奏でている。
 夏美は眉間に苦悶の皺を刻み、遥か年上の情人の命じるまま、巨臀を揺さぶっている。


 「アアッ、いいッ アッ アタシの・・××××・・・いいッ」
 心理的抵抗が無くなった今、夏美の口からは淫らな気分を呼び起こすような、露骨で卑猥な言葉が自然と溢れ出た。
 「アアッ き 気持ちいィッ!」
 その叫びに頷く堂島の冷たい視線が、また堪らなかった。
 夏美は、まるで憑き物でもとれたかのように、惨めな状況を悦(よろこ)ぶ自分がいる事を感じていた。
 それは、意識の裏側で思い描いていた本当の自分・・・・・・だった・・・・のか。


 ホールでは男と女が酒を酌み交わし、宴席が行われ。別部屋では淫靡な儀式が行われている。
 夏美の嬌声は浮かれる男女の声を掻き消すほどの勢いを見せていく・・・・・・。


 やがて夏美が断末魔の声を高々と上げ、高志の上に崩れ落ちる様をしっかり確かめ、堂島がゆっくり一物を引き抜いた。
 震える肢体の下では、高志が寝息をたてている。
 そんな二人の様子を、沖田のビデオカメラがしっかり捉えている。
 幸恵がバスタオルを堂島にスッと手渡した。


 「・・・ふふ、夏美も気を失ってしまったか。それにしても可愛らしい寝顔じゃ」
 堂島の横では幸恵が微笑んでいる。
 「明日は東京じゃな。あっちに行ったら、完璧に旦那の事など考えられんようになるじゃろう」
 堂島の言葉に幸恵と沖田の口元が嬉しそうに歪んでいる。


 「2人はこのまましばらく寝かせてやれ。最後の水入らずじゃ」
 「・・・・・・・・・・・」
 「ところで幸恵は、明日は年に1度の“例の日”じゃったな。では、今夜中に夏美の部屋へ行って、明日の準備をしてくるのじゃ」
 幸恵が「はい」と頷いた。


 「沖田。お前は“そっち”の娘しだいじゃが、間に合うようなら、遅れてでも良いから東京に連れてこい」
 「・・・・・・・・・」
 「面白い余興が見れるかもしれんしな・・・」
 「楽しみにお待ちください。久しぶりに“腕”が鳴っております」
 沖田が力こぶを作るしぐさを見せ、極上の笑みで頷いた。


 3人は頷きあうと、ベットに眠る2人に視線を向け、そして部屋を後にした。
 電気の消えた部屋では、月明かりが2人の横顔を照らしている。
 夫に身体を重ねながら眠る夏美の頬には、涙の痕が付いている。
 しかし、その寝顔はどこか安堵に満ちたものだった・・・・・・・・。


 第2部another side ~おしまい~   第3部に続く