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第23話
この日の朝・・・・。
夏美は堂島の屋敷に向かう為、部屋を出た。
職員寮に住む同僚や学生寮に住む者も、この連休を利用して旅行に行ったり田舎に帰ったりしているはずだった。
それでも夏美は人目を避けるように顔を伏せ、小走りでキャリーバックを引いていた。
赤いキャリーバックは夫の高志と色違いのお揃いの物で、新婚旅行の際に購入したものだった。
夕べは遅くまで、このバックに3日分の荷物を詰め込んでいた。
いつの間にかそれなりの数になってしまった卑猥なランジェリーを押し込んで、夏美は溜息を付きながら準備に追われたのだった。
屋敷の門扉は開いていて、夏美は庭へ入ると空を見上げてみた。
予報通りの晴天の空を見ながらも、夏美の気持ちはドンよりとしたものだった。
やがて大きな玄関扉が開いて、その中から幸恵が姿を現した。
夏美が“えっ”と、思った幸恵のその姿。
ある時はスカートにエプロン、ある時はジーパンにカーディガン、又ある時は御淑やかな和服姿。
それまで何気に見てきた幸恵の容姿であったが、目の前の姿はクラッシックではあるが瀟洒な洋服を身に纏っていて、肩にかかるカーディガンは肌寒さを考えての事だろうが、それも又品の良さを感じる物だった。
「あら、どうしたの。私もご一緒させてもらうのよ」
どこかよそ行きの響きで言葉を返しながら、幸恵は夏美の怪訝そうな顔に悪戯っぽい視線を向けてくる。
幸恵の後ろには、こちらに歩いてくる堂島のスーツ姿が目に付いて、夏美の頬には緊張の色が浮かんできた。
堂島が幸恵の横に立つと微笑んで、夏美の姿を頭の上から見下ろし小さく頷いた。
「・・・・・・」
堂島の押し黙った視線に、夏美は自分のいでたちを見直した。
「・・・・ブレザーで良かったでしょうか?」
夏美が小さな声で遠慮がちに聞いてみた。
「んん‥」
堂島が鼻を鳴らしたところで、クラクションが短く鳴り響いた。
「ん、用意が出来たようじゃな」
そう言って堂島が背中を向けると、夏美は重々しそうにバックに手をやった。
堂島と幸恵、2人の背中に着いて歩き、夏美は初めて屋敷の駐車場へ足を踏み入れた。
見た事もない車が数台止まっていて、その中の一台の窓ガラスをあの男が丁寧に磨いていた。
堂島が近づいたところで最後のひと拭きを終え、沖田は後部座席のドアに手をやった。
堂島を車内に導いて、沖田は反対側に回ると同じように幸恵の為にドアに手をやった。
沖田の姿は、まるで大会社の社長の運転手の様で、その様は見事なくらい絵になっている。
沖田は3人のカバンをトランクに移して、運転席のドアに手をあてた。
その時、夏美と沖田、二人の視線が交差した。
久し振りに見る沖田の視線はやはり冷たいものであって、夏美は一瞬緊張を覚え、しかし伏し目がちに軽く会釈をした。
沖田の目は瞬きもせず、冷たい色を残しながら夏美の顔を数瞬見つめていて。
そして徐に身体を運転席に滑り込ませた。
夏美は最後に一人慣れぬ手つきで重いドアを開けて、スカートの裾を気にしながら助手席へ入り込んだ。
車が駅前を通り過ぎて数十分した頃から、夏美には地理感が無くなっていき。
高速道路に入れば、渋滞があったとしても2時間程で着くと聞かされていた。
ハンドルを握る沖田は若々しいスーツ姿で、太い首には赤い派手なネクタイが結ばれていた。
沖田の視線は相変わらず冷たく鋭利なものであって、夏美は時間が経つにつれ、その横で重い空気を感じていた。
時折り後部座席の様子が伝わってきて、堂島と幸恵はどう見ても仲の良い中年夫婦で、二人は手と手を重ねている。
夏美の脳裏には何故か、幸恵の裸の姿が思い浮かんできて。
自分よりも豊満な乳房と張りのある臀部は、間違いなく均整がとれていた。
その裸体をいつの間にか堂島が抱きしめていて。
そしてあの日の激しい営みの様子が、頭に描かれていった。
いかにも“牡と牝”という響きの似合う二人が、今は後ろの席で慎ましく囁き合っていて。
いつしか夏美の背中は聞き耳をたてていて、淫靡な妄想に心が支配されていった。
幸恵の事を“情婦”と称した堂島であったが、二人の様子は知らぬ者が見れば間違いなく“夫婦”であった。
その“妻”の目の前で他の女・・夏美を抱いた男・・堂島がいて。
“夫”の様子を平然と見続けた女・・幸恵がいた。
男と女の奇妙な関係を整然と理解する事は不可能で、夏美の中には“アブノーマル”と言う言葉だけが漂った。
隣で先ほどからハンドルを握り続ける男も間違いなく“その”仲間でと意識しながらも、夏美は知らずの内に“その”入口に足を踏み入れていた。
いや、・・既に・・・・・。
「夏美さん、ところで今日も例の下着は着けてきたのかな」
唐突の堂島の言葉に夏美は一瞬息を呑み、思わず周りの様子を伺った。
夏美の狼狽の様子にも、沖田は無表情のまま前を向いている。
「くくく、どうじゃ? 人妻でありながら“男”の為に卑猥な衣装を身に着けている今の気分は?」
(ツッ!・・・・)
「今朝はどんな気持ちでその下着を履いたんじゃ・・んん?・・・儂に詳しく教えてくれ」
(・・・・・・・・)
「んん・・どうした?心の中でご主人に詫びたのか? それともご主人の事はもう浮かばなかったのかな?」
黙り込んだ夏美の後姿に冷たい視線を浴びせながら、堂島はシートに踏ん反り返っている。
幸恵はそんな堂島の手に、自分の手を重ね置いている。
夏美の頭はみるみる項垂れていった。
しばらくして、堂島が幸恵に振り向いた。
「幸恵はどうじゃった?旦那がいながら儂に夢中になって逢引する時、卑猥な下着をいつも身に着けておったよな」
堂島の言葉に幸恵はほんの一瞬、頬を朱(あか)らめたが。
「もお、嫌ですわ、ご主人様」
(・・・・・・・・・・・)
「んん、その時の事を聞かせてくれ」
堂島の言葉に幸恵が軽く咳払いして。そして少し間を取って。
「‥‥そうですわね。主人の目を盗んで泰三様の所に行く時は、いつも心が揺れておりました」
「夫がいながら不貞行為を働いている罪悪感はイヤという程感じてましたが、身体が言う事を聞きませんでしたわ」
「卑猥な下着もそれまで一度も着けた事がありませんでしたけれど、いつしかシャワーを浴びながら、今日はどの下着にしようかと考えるだけでアソコが疼くようになっていましたわ」
「タンスの奥に嫌らしい物を隠し持ってるだけで、悪い女になった自分に興奮するアタシがいたと思います‥‥」
「引き出しの中から出した下着を数枚手にとって、見ているだけで今日は“どんな事”をされるかと思うと、それだけでドキドキしてご主人様の事を思い浮かべていました‥」
「それを身に付けると自分が自分でなくなって‥いえ、それが本当の自分なのでしょうが、その時は“あの事”ばかりが頭にありましたわ」
幸恵の語りを聞くまいとしていた夏美だったが、意識は逆に研ぎ澄まされていて、嫌でもその言葉は頭にこびり付いていった。
幸恵の心理は認めたくないが、夏美は自分の心の中を言い当てられているような気分だった。
「ふふ、なる程な。それでその気持ちは今も変わらんのかな」
堂島の落ち着いた声に、幸恵の鼻を鳴らす音が聞こえてきた。
「んもぅ、意地悪な男(ひと)」
幸恵の拗ねた声の響きは肯定を示していて、その響きは夏美に軽い嫉妬のようなものをもたらした。
それからすぐに、夏美の耳に唇が貪りあう音が聞こえてきた。
ピチャピチャという音がしばらく車内に響いていて、夏美は身体を強ばらせ目を固く瞑り続けていた。
「おいおい‥幸恵、我慢出来なくなったのか」
不意に堂島の声が聞こえてきた。
「しょうがない奴じゃ。でも、オシャブリだけで我慢しておけ」
堂島の愉しげな声が聞こえると、夏美の首筋から熱いものが立ち上ってきた。
口の中に唾液が湧いてきたが、夏美はそれを飲み込む音を気付かれないように身を固くしている。
衣服の擦れる音に続いて、ファスナーの下がる音がすると夏美は唇を噛み締めた。
夏美の身体は固まったまま、前を向いている。
隣では相変わらず沖田が、無表情のままハンドルを握っている。
それから直ぐに、幸恵の鼻を鳴らす音が聞こえたかと思うと、覚えのある唾液の粘着音が聞こえてきた。
いつの間にか、夏美の股と股は捩(もじ)りあい、股間の奥からは失禁の予兆と一緒に蜜がとろけ出していた。
「んん、どうしたのじゃ夏美さん?肩が震えておるぞ」
「‥‥」
「貴女もコイツをシャブりたくなったのかな。それとも後ろを振り返って、幸恵が旨そうに咥えているところを覗きたいのか?‥‥まさかこの狭い密室で、儂のコレを下の口で咥え込みたいのじゃないだろうな?」
堂島の陰湿な言葉に続いて、沖田が横目で夏美を覗き、ニヤリと微笑んだ。
幸恵の口元から一層卑猥な音が響き渡った。
「‥ふふ、夏美さん、我慢は身体に悪いぞ。シャブりたいのなら沖田の物をしゃぶれ」
「!‥‥」
「ふふ、沖田の物は儂のよりデカいぞ」
堂島の言葉に、夏美は自分の“女”から新たな蜜が分泌するのを自覚した。
「ほれ、遠慮はいらんぞ。しゃぶってやれ」
唇を固く噛み結んでいた夏美だったが・・・・・。
「あ‥危ないですわ‥いくら何でも‥」
「ふふ、本当に貴女は真面目じゃな‥‥」
「・・・・・・」
「‥まあ良い。その方が反動が大きくて楽しみじゃ。なあ幸恵」
そう言いながら堂島は、股間に顔を埋める幸恵の頭を優しく撫であげた。
幸恵は一心不乱に、堂島のそれをシャブり続けていた‥‥。
夏美は堂島の屋敷に向かう為、部屋を出た。
職員寮に住む同僚や学生寮に住む者も、この連休を利用して旅行に行ったり田舎に帰ったりしているはずだった。
それでも夏美は人目を避けるように顔を伏せ、小走りでキャリーバックを引いていた。
赤いキャリーバックは夫の高志と色違いのお揃いの物で、新婚旅行の際に購入したものだった。
夕べは遅くまで、このバックに3日分の荷物を詰め込んでいた。
いつの間にかそれなりの数になってしまった卑猥なランジェリーを押し込んで、夏美は溜息を付きながら準備に追われたのだった。
屋敷の門扉は開いていて、夏美は庭へ入ると空を見上げてみた。
予報通りの晴天の空を見ながらも、夏美の気持ちはドンよりとしたものだった。
やがて大きな玄関扉が開いて、その中から幸恵が姿を現した。
夏美が“えっ”と、思った幸恵のその姿。
ある時はスカートにエプロン、ある時はジーパンにカーディガン、又ある時は御淑やかな和服姿。
それまで何気に見てきた幸恵の容姿であったが、目の前の姿はクラッシックではあるが瀟洒な洋服を身に纏っていて、肩にかかるカーディガンは肌寒さを考えての事だろうが、それも又品の良さを感じる物だった。
「あら、どうしたの。私もご一緒させてもらうのよ」
どこかよそ行きの響きで言葉を返しながら、幸恵は夏美の怪訝そうな顔に悪戯っぽい視線を向けてくる。
幸恵の後ろには、こちらに歩いてくる堂島のスーツ姿が目に付いて、夏美の頬には緊張の色が浮かんできた。
堂島が幸恵の横に立つと微笑んで、夏美の姿を頭の上から見下ろし小さく頷いた。
「・・・・・・」
堂島の押し黙った視線に、夏美は自分のいでたちを見直した。
「・・・・ブレザーで良かったでしょうか?」
夏美が小さな声で遠慮がちに聞いてみた。
「んん‥」
堂島が鼻を鳴らしたところで、クラクションが短く鳴り響いた。
「ん、用意が出来たようじゃな」
そう言って堂島が背中を向けると、夏美は重々しそうにバックに手をやった。
堂島と幸恵、2人の背中に着いて歩き、夏美は初めて屋敷の駐車場へ足を踏み入れた。
見た事もない車が数台止まっていて、その中の一台の窓ガラスをあの男が丁寧に磨いていた。
堂島が近づいたところで最後のひと拭きを終え、沖田は後部座席のドアに手をやった。
堂島を車内に導いて、沖田は反対側に回ると同じように幸恵の為にドアに手をやった。
沖田の姿は、まるで大会社の社長の運転手の様で、その様は見事なくらい絵になっている。
沖田は3人のカバンをトランクに移して、運転席のドアに手をあてた。
その時、夏美と沖田、二人の視線が交差した。
久し振りに見る沖田の視線はやはり冷たいものであって、夏美は一瞬緊張を覚え、しかし伏し目がちに軽く会釈をした。
沖田の目は瞬きもせず、冷たい色を残しながら夏美の顔を数瞬見つめていて。
そして徐に身体を運転席に滑り込ませた。
夏美は最後に一人慣れぬ手つきで重いドアを開けて、スカートの裾を気にしながら助手席へ入り込んだ。
車が駅前を通り過ぎて数十分した頃から、夏美には地理感が無くなっていき。
高速道路に入れば、渋滞があったとしても2時間程で着くと聞かされていた。
ハンドルを握る沖田は若々しいスーツ姿で、太い首には赤い派手なネクタイが結ばれていた。
沖田の視線は相変わらず冷たく鋭利なものであって、夏美は時間が経つにつれ、その横で重い空気を感じていた。
時折り後部座席の様子が伝わってきて、堂島と幸恵はどう見ても仲の良い中年夫婦で、二人は手と手を重ねている。
夏美の脳裏には何故か、幸恵の裸の姿が思い浮かんできて。
自分よりも豊満な乳房と張りのある臀部は、間違いなく均整がとれていた。
その裸体をいつの間にか堂島が抱きしめていて。
そしてあの日の激しい営みの様子が、頭に描かれていった。
いかにも“牡と牝”という響きの似合う二人が、今は後ろの席で慎ましく囁き合っていて。
いつしか夏美の背中は聞き耳をたてていて、淫靡な妄想に心が支配されていった。
幸恵の事を“情婦”と称した堂島であったが、二人の様子は知らぬ者が見れば間違いなく“夫婦”であった。
その“妻”の目の前で他の女・・夏美を抱いた男・・堂島がいて。
“夫”の様子を平然と見続けた女・・幸恵がいた。
男と女の奇妙な関係を整然と理解する事は不可能で、夏美の中には“アブノーマル”と言う言葉だけが漂った。
隣で先ほどからハンドルを握り続ける男も間違いなく“その”仲間でと意識しながらも、夏美は知らずの内に“その”入口に足を踏み入れていた。
いや、・・既に・・・・・。
「夏美さん、ところで今日も例の下着は着けてきたのかな」
唐突の堂島の言葉に夏美は一瞬息を呑み、思わず周りの様子を伺った。
夏美の狼狽の様子にも、沖田は無表情のまま前を向いている。
「くくく、どうじゃ? 人妻でありながら“男”の為に卑猥な衣装を身に着けている今の気分は?」
(ツッ!・・・・)
「今朝はどんな気持ちでその下着を履いたんじゃ・・んん?・・・儂に詳しく教えてくれ」
(・・・・・・・・)
「んん・・どうした?心の中でご主人に詫びたのか? それともご主人の事はもう浮かばなかったのかな?」
黙り込んだ夏美の後姿に冷たい視線を浴びせながら、堂島はシートに踏ん反り返っている。
幸恵はそんな堂島の手に、自分の手を重ね置いている。
夏美の頭はみるみる項垂れていった。
しばらくして、堂島が幸恵に振り向いた。
「幸恵はどうじゃった?旦那がいながら儂に夢中になって逢引する時、卑猥な下着をいつも身に着けておったよな」
堂島の言葉に幸恵はほんの一瞬、頬を朱(あか)らめたが。
「もお、嫌ですわ、ご主人様」
(・・・・・・・・・・・)
「んん、その時の事を聞かせてくれ」
堂島の言葉に幸恵が軽く咳払いして。そして少し間を取って。
「‥‥そうですわね。主人の目を盗んで泰三様の所に行く時は、いつも心が揺れておりました」
「夫がいながら不貞行為を働いている罪悪感はイヤという程感じてましたが、身体が言う事を聞きませんでしたわ」
「卑猥な下着もそれまで一度も着けた事がありませんでしたけれど、いつしかシャワーを浴びながら、今日はどの下着にしようかと考えるだけでアソコが疼くようになっていましたわ」
「タンスの奥に嫌らしい物を隠し持ってるだけで、悪い女になった自分に興奮するアタシがいたと思います‥‥」
「引き出しの中から出した下着を数枚手にとって、見ているだけで今日は“どんな事”をされるかと思うと、それだけでドキドキしてご主人様の事を思い浮かべていました‥」
「それを身に付けると自分が自分でなくなって‥いえ、それが本当の自分なのでしょうが、その時は“あの事”ばかりが頭にありましたわ」
幸恵の語りを聞くまいとしていた夏美だったが、意識は逆に研ぎ澄まされていて、嫌でもその言葉は頭にこびり付いていった。
幸恵の心理は認めたくないが、夏美は自分の心の中を言い当てられているような気分だった。
「ふふ、なる程な。それでその気持ちは今も変わらんのかな」
堂島の落ち着いた声に、幸恵の鼻を鳴らす音が聞こえてきた。
「んもぅ、意地悪な男(ひと)」
幸恵の拗ねた声の響きは肯定を示していて、その響きは夏美に軽い嫉妬のようなものをもたらした。
それからすぐに、夏美の耳に唇が貪りあう音が聞こえてきた。
ピチャピチャという音がしばらく車内に響いていて、夏美は身体を強ばらせ目を固く瞑り続けていた。
「おいおい‥幸恵、我慢出来なくなったのか」
不意に堂島の声が聞こえてきた。
「しょうがない奴じゃ。でも、オシャブリだけで我慢しておけ」
堂島の愉しげな声が聞こえると、夏美の首筋から熱いものが立ち上ってきた。
口の中に唾液が湧いてきたが、夏美はそれを飲み込む音を気付かれないように身を固くしている。
衣服の擦れる音に続いて、ファスナーの下がる音がすると夏美は唇を噛み締めた。
夏美の身体は固まったまま、前を向いている。
隣では相変わらず沖田が、無表情のままハンドルを握っている。
それから直ぐに、幸恵の鼻を鳴らす音が聞こえたかと思うと、覚えのある唾液の粘着音が聞こえてきた。
いつの間にか、夏美の股と股は捩(もじ)りあい、股間の奥からは失禁の予兆と一緒に蜜がとろけ出していた。
「んん、どうしたのじゃ夏美さん?肩が震えておるぞ」
「‥‥」
「貴女もコイツをシャブりたくなったのかな。それとも後ろを振り返って、幸恵が旨そうに咥えているところを覗きたいのか?‥‥まさかこの狭い密室で、儂のコレを下の口で咥え込みたいのじゃないだろうな?」
堂島の陰湿な言葉に続いて、沖田が横目で夏美を覗き、ニヤリと微笑んだ。
幸恵の口元から一層卑猥な音が響き渡った。
「‥ふふ、夏美さん、我慢は身体に悪いぞ。シャブりたいのなら沖田の物をしゃぶれ」
「!‥‥」
「ふふ、沖田の物は儂のよりデカいぞ」
堂島の言葉に、夏美は自分の“女”から新たな蜜が分泌するのを自覚した。
「ほれ、遠慮はいらんぞ。しゃぶってやれ」
唇を固く噛み結んでいた夏美だったが・・・・・。
「あ‥危ないですわ‥いくら何でも‥」
「ふふ、本当に貴女は真面目じゃな‥‥」
「・・・・・・」
「‥まあ良い。その方が反動が大きくて楽しみじゃ。なあ幸恵」
そう言いながら堂島は、股間に顔を埋める幸恵の頭を優しく撫であげた。
幸恵は一心不乱に、堂島のそれをシャブり続けていた‥‥。