小説本文



薄暗い部屋の中、ベットに突っ伏し倒れ込んだ白い塊からは汗がモワっと蒸気していて・・・・。
 乱れ散った髪が横顔を隠し、微かに見える唇からは小さな寝息のような呼吸音が聞こえていた。


 「ほれ、いつまで寝てるんじゃ」
 “バシリ”と尻に痛みを感じると、どこか遠くを彷徨っていた意識、それがゆっくりと舞い戻ってくる。
 夏美は眉を寄せ、静かに瞼を開くと数度瞬(まばた)いた。
 もちろん寮の我が部屋ではない、しかし記憶にある室内の風景。
 顎を上げ、目の先にある鏡を見た途端に、裸で横たわる自分だと認識が追いついた。
 起き上がりながら視線を回すと、今程の声の主の姿が目に付いた。


 「また、気を失ったようだな」
 そう呟いて、ベットに乗り上がってきた男の股間が目に入った。
 その瞬間、夏美に凄まじい羞恥と屈辱が沸いてきて。
 “イヤッ”と出掛った苦声は掠れ、言葉にならなかった。
 咽喉に苦りが着いたのは、己が吐き続けた叫びのせいだと、夏美はすぐに唇を噛み締めた。


 「さあ、まだまだこれからじゃ」
 そう呟いて堂島の口元が歪むと、夏美の背筋から身体中に寒気が広がった。


 股間の翳りを露わにしたまま、夏美の身体は後ずさりを始める。
 しかし、あの夜の様に尻ばいを続ける夏美の前に、堂島が立ちはだかって。
 両方の手首が太い指に握られると万歳をするように持ち上げられ、膝立ちの目の前には天に向かって肉根が聳(そび)えたち、股座の匂いが漂ってきた。


 「さあ、あの晩の続きじゃ。確かここからだったな。ほれ!」
 夏美は息を呑んで、目の前に現れ出た“物”を見た・・・いや、本心は見たくない物だったはずだが、改まって感じたその信じられない大きさに驚き、目が離せない。


 (まさかこんな物を・・・・)
 堂島はそんな夏美を愉快気に見下ろした。


 すぐ目の前の鋼鉄を呑み込んだような肉の巨棒・・・。
 その野太い茎の部分は、浮き出た血管でゴツゴツと節くれだっている。
 先端の張り出た傘の部分は、醜悪なまでに高い段差を形作っている。
 そしてその姿全体は、間違いなく赤黑くテカり輝いている。


 夏美は肉の凶器を本能的に恐れ、ブルリと背筋を震わせた。
 堂島は腰を動かし、その凶器を頬に、鼻に、眉に、耳に擦り付けてくる。
 そして先端は、口元に押し付けられた。
 

 「さあ、顔を上げるのじゃ。・・・・そして“こいつ”を咥えてみろ」
 「・・・・・・・・」
 「んん? ・・・ 夫の“物”は、しゃぶった事があるのだろ?」
 「・・・・・・・・」
 「ほれ、口を開かんか」
 「・・・・・・・・」


 押し黙る夏美の様子を見下ろしながら、堂島が一つ間を取って。
 「綺麗な顔じゃ。 ・・・そういえば、ビデオの中の貴女も美しかったな。こんな美しい女が獣のような声を上げるんじゃから」
 ズキン!! と、その言葉に夏美の目が見開いた。


 「くっ 言わないでください」
 目の前の醜悪な肉の塊に唾(つばき)が飛び散りながら、夏美の唇が激しく歪む。


 「ふふ、恥じる事は無い。人は誰でも欲望に貧欲になる動物性を持っておる。貴女の中にも間違いなく獣は住んでおるのだよ。だからそれを恥じる事は無い」
 項垂れた夏美を、まるで諭(さと)すように、堂島の言葉が降り掛かってくる。


 確かにこの一週間、後悔と怒りの感情の狭間にも確かに残る記憶があった。
 それは決して認めたくない負の感情。
 間違いなく初めて味わされた桃源の世界・・・・。


 「さあ、口を開けなさい。・・・貴女が口を開けるのは愛する家族を守る為じゃ。貴女は優しい人間で、決して自分の欲望の為に“コレ”を口にするのではない・・・さあ」
 堂島の言葉に、項垂れていた夏美の頭が静かに上がる。
 前髪は垂れさがり、瞳の様子は分からないが、口元は微かな拡がりを見せ。
 両手を頭の上で握られたまま、今、まっすぐ目の前の肉根と向き合った。
 そして・・・。

 
 それは夫の高志とも数える程しか行わなかった、性愛の行為。
 男と女の儀式の中で、それは潤滑油の役目をする事は知ってはいたが。
 それでも夫には今一歩踏み込めなかったその行為・・・・それを今、夏美は受け入れた。


 堂島は夏美のその様子に満足げに微笑むと、ゆっくり己の醜悪な塊を押し込み始める。
 それの出し入れに、夏美の貌は恥辱に歪む。


 「ふふ、頭を下げるな。苦しくても顎を上げて儂の顔を見ろ」
 「・・・・・・・・・・・・」
 「苦しくなったら喉を鳴らして、鼻から息を抜け」
 「・・・・・・・・・・・」
 「苦しくても逃げるんじゃない。苦しくなったらその顔を素直に見せろ」
 「・・・・・・・・・・」
 「貴女の歪んだ貌は男に悦(よろこ)びを与えるのだ。もっと舌を仕え。音をたてろ。唾など気にせず垂れ流せ」
 「・・・・・・・・・・」
 「よいか、もっと男に可愛がってもらえる女になれ。ほら、尻が震えてるぞ・・・感じるだろ? 貴女は男の物を咥えて感じる素晴らしい牝(おんな)だ。遠慮するな、もっと鼻の穴を拡げろ、無様な顔を気にせず見せてみろ。目をそらすな。喉の奥まで導け、ほら、もっとだ。儂のがドクドクするのが分かるだろ?」
 「・・・・・・・・・・」


 叱咤する言葉が降り掛かり、いつの間にか頭の上で握られていた両手は、堂島の尻肉に周されていて。
 堂島は腰を卑猥な動きで回しながら、夏美の唇を支配する。
 鏡の中には、仁王立ちの男の前に跪(ひざまず)く女の綺麗な背筋と、その続きの嘆かわしい太臀が写っている。
 堂島は満足げに夏美の様子を見下しながら、射精のタイミングを計る。


 「ああ、良いぞ・・うん。だいぶ良くなってきたぞ」
 「・・・・・・・・・・・」


 「ああ・・そうじゃ。夏美さん、気持ちが良いぞ・・・。ああ、貴女はさすがに呑み込みが早い・・・。堪らんぞ・・」
 そう言って、堂島はその反応を楽しもうと、夏美を覗き見る。


 「さあ、そろそろ出してやろうか。良いか、一滴残らず飲み干すのじゃぞ」
 堂島のその声に、夏美は慌てて口を離そうとする。
 しかし、その動きも見切っていたのか、堂島の手が夏美の後頭部を押さえつけた。
 夏美の口元からは呻きが上がる。


 「ああ・・逝きそうじゃ。逝きそうじゃよ、夏美さん。逝くぞ、逝くぞ、んん?準備は良いか?」
 射精のタイミングを愉快気に楽しみながら、堂島はあざ笑うように股間で円を描く。
 夏美は恐怖に顔を歪めるが、頭は堂島の掌に包まれている。


 「さあ、逝くぞ・・」
 「ウグッ・・」


 「くく、さあ、たっぷり味わうのじゃ」
 と、その声と同時に夏美の口の中に精臭の匂いが爆発した。


 夏美は咽返(むせかえ)りながら堂島を押し返そうとするが、頭を両手で押さえられ、ただ、生臭い匂いと脈動を感じる事になる。
 嗚咽(おえつ)も許されず、咽(むせ)びも許されないまま、白濁の液が夏美の喉元を通り抜けっていった・・・・。


 しばらく射精の余韻に浸りながら、そして夏美の目尻から涙が溢れ出る様子を嬉しそうに見下して、堂島はゆっくり肉根を抜き取った。
 そして、崩れ落ちる夏美の姿に頷いて、ゆっくりベットから足を降ろす。
 堂島はしばらくの間、肩を震わす夏美の姿を眺めていて。
 床に落ちてる着物に手をやると、“カチャリ”とタイミングよく扉の開く音がした。


 「ご主人様、そろそろ準備をしませんと」
 幸恵が現れた。
 「ああ、そうじゃな」
 と、堂島が目を戻すベットからは嗚咽が聞こえてくる。


 「もう少し続けたいところだが、今晩、急に出かける用事が出来てな。前々から相談を受けていた東北の大学の事で、これから打ち合わせに行かねばならん」
 夏美の耳にその言葉は伝わったが、自分には何の意味を持たない事だと認識して・・・ただ、今日はこれで解放されるのかと・・・・。


 「・・・・り 理事長・・・・ビデオを・・・DVDを渡してください・・・・」
 「・・・・・・・・・・」
 「・・・それと・・・こんな事は もう ・・・今夜限りにしてください・・・」
 俯(うつむ)く夏美の口から、弱々しく言葉が吐き出された。


 堂島の口元が一瞬引き締まり、細い目は更に細くなり、そしてもう一度口元が歪んだ。
 「ダメじゃ・・・。まだしばらく付き合ってもらうぞ」
 堂島の言葉に、夏美は更に俯(うつむ)き、がぶりを振る。


 「それと・・・夏美先生、貴女には週に2回講義をやってもらう事にした。教授(せんせい)が一人、病気で倒れてな・・・」
 「・・・・・・・・・・・」
 「肩書きは助手じゃが貴女の“出来”はよく判っておる」
 耳に付いた言葉の意味が数瞬するとやっと理解でき、夏美は怪訝な表情(かお)で堂島を見上げた。


 「貴女の身体とバーターした訳ではない、その所はハッキリ言っておく。講義はしっかりやってくれ」
 そう言い残すと堂島は、着物を肩に掛け、そして部屋を後にした。


 夏美は“講義”と言い残した堂島の真意など考える余裕など無く。
 その前に告げられた“この関係”がまだ続くのかと嘆きながら。
 それでも今日はこれで解放されたのだと、変な安堵をどこかで感じながら、ゆっくりベットから降りようとした。
 その夏美に幸恵が近付いてきて。


 「うふふ・・・。夏美さん、さあ、シャワーを浴びに行きましょう。案内するわ」
 「・・・・・・・・」

 夏美は幸恵の言葉にも、今、裸でいるこの状態に羞恥を意識する余裕もなく、目の前で微笑む女を見つめた。
 「はい、これがバスローブよ」
 幸恵はそう言って、ピンク色のタオルと御揃いのバスローブを夏美に手渡そうとする。
 その瞬間、夏美は慌てて胸の膨らみと股間の翳りに手をやった。


 夏美の素振りなど気にする事無く、幸恵はバスローブを押し渡し、そして床に脱ぎ散らかされていた衣服を拾い上げた。
 「うふふ、夏美さん、勝手に逃げ帰ってはダメよ」


 夏美の目には、悪戯っぽく笑う幸恵の姿が映し出されていた・・・・・・。

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