小説本文



心して訪れた堂島泰三との食事会の席は、あっという間に夏美の惨劇の舞台へと変わっていた。
 部屋を間仕切っていたカーテンの向こうには大きなベットがあり、あろう事かそのベットの横にはビデオカメラが用意されていたのだ。
 ビデオカメラを覗くゴリラの様な男、沖田の目は今まさに始まった夏美の凌辱の様子をしっかり捉えていた。


 夏美の身体は恐怖に震えている。
 堂島は夏美の両方の膝裏を大きな掌で持ち上げるように押し開くと、一瞬に己の腰を滑り込ませた。
 厚い胸板が夏美の鼻と口を覆い、夏美は必死になって首を振ろうとする。
 両手で堂島の胸や横腹を押し返そうとするのだが、逆に手首を握られると、更に身体の自由を奪われた。
 堂島の鼻先と唇が耳たぶから首筋を襲うと、夏美は体臭を意識した。
 アルコールの匂いとタバコの匂いが混ざった臭(くさ)い息が掛かると、夏美の苦声に更なる息苦しさが加えられた。


 何とか逃れようと細かい動きを繰り返す夏美だったが、堂島の重みは夏美の力を確実に奪っていく。
 そして一瞬、夏美の動きが止まった時だった。
 堂島の巨大な塊が、夏美の“ソコ”の入り口を捕らえた。
 肉棒の先端が膣(ちつ)に納まったその瞬間、夏美はギュッと目を瞑る。
 (アナタ・・・ゴメンナサイ・・・)
 眉間に皺(しわ)がより、目尻からは涙が溢れ出た。
 心の底から哀しみが沸いてきて、涙の勢いは一気に増し始めた。


 貫こうとする堂島のやり口は、寸刻みといった具合だった。
 侵入は徐々にではあるが確実で、夏美は嫌でも“それ”の巨(おおき)さを感じる事になる。


 「うう・・・い 痛いっ・・止めて・・」
 苦悶の声は深い悲しみと現実的な痛みであった。
 ゆっくりとだが夏美の背は反り、蒼白い喉が仰け反った。
 乱れた髪はシーツに擦り付けられている。


 「んああっっ」
 ついに堂島が根元まで埋め込むと、夏美の口から上ずった声が絞り出された。


 「なかなか良い締まり具合だな」
 突きながら堂島が女体を褒めると、夏美の濡れた瞳が堂島を見上げる。
 その瞬間、分厚い唇が夏美の唇を奪いにきた。
 “うっ”・・と、頭の中で声が弾け、夏美の舌はタバコ臭いニコチンの味が混ざった唾液を感じとった。
 (アナタ ゴメンナサイ)
 再び夫への侘びが心に付いた。


 夏美は何とか唇を離そうとするのだが、堂島の唇はねちっこくそれを許さない。
 密着した股間の動きは寸刻みから、徐々に大きくなろうとしている。
 堂島の絶妙な動きに反応して、夏美の鼻からは苦息が零れ始めていた。


 「……ん…ク、ん、ぁっ…」
 女体の反応を確かめて、堂島は極太の肉塊を一旦先端まで引くと、ズンッと突き込んだ。
 重い叫びと同時に、夏美の両脚が一瞬跳ね上がる。
 そして、堂島は再びねっとりと注挿の動きを繰り返す。
 

 いつの間にか幸恵がカーテンを引き、密室を作っていた。
 堂島の太い剛直が夏美の女肉を割り裂く様子を、沖田のビデオカメラがしっかり捉えている。
 野太い肉茎が抜き挿しされるたびに、結合部分は生々しい色合いを見せていた。
 夏美は目を閉じ、歯を食いしばる。
 細指はキリキリと堂島の腕に食い込んでいる。
 堂島の女肉を抉(えぐ)る動きに、夏美は苦鳴の声を漏らす。
 首を左右に振るたびに髪は乱れ散り、背を反らす動きは抵抗を示していた。
 しかし苦悶の表情は、どこか妖艶でもあった。
 

 「ああ、んん・・・くッ」
 夏美は必死に声を聞かせまいとしていたが、堂島の重い一突きの繰り返しに、ついに唇から堪えようのない声が漏れはじめた。


 「だいぶ馴染んできたようだな」
 堂島の細い目は輝いて、そして己のペースで剛直を注挿し続ける。
 太い肉根はヌラヌラとした淫液で、益々淫靡な濡れ音を生み出していた。


 「うッ、ああぁっーーーー」
 魁偉な逞しさに最奥を抉られ続け、夏美は遂に高い叫びを吐き出した。
 その様を見守る幸恵と沖田の、二人の口元が同時に歪んだ・・・。
 夏美の叫びの中に、微かな甘い響を感じたからだった。


 堂島がその動きに更なる強弱をつけ始めると、夏美の身体はピクピクと震え始めた。
 白く透き通るような胸肌から首筋には、細かな汗が滲んでいて。
 蒼白かった頬には血の色が上って、いつしか身体からは淫靡な汗がモワっと蒸気している。


 堂島が密着した股間を動かしながら、両手で夏美の揺れ震える乳房を覆い掴む。
 小ぶりな胸乳が堂島の掌で揉みつぶされると、夏美の口からは新たな呻きが押し漏れる。
 柔らかな肉房は堂島の太指の間から肉片となって顔を出し、勃起した先端を器用に弄られると、夏美の口は溜息の様な声を呻かせた。


 幸恵が嬌声ともとれる夏美の声に、ベットに近づいた。
 堂島が顔を振り、幸恵と目が合うと口元がニヤッと歪(ゆが)む。
 夏美のけぶる瞳が、傍らの幸恵を意識する。
 「あぁっ、み、見ないで、ください」
 夏美の羞恥の叫び、そして手の甲で目元を隠そうとする哀れな様を、幸恵は涼しい視線で見守っている。


 「お願い、見ないで・・」
 泣き歪んだ表情(かお)からは気品さは遠に消し去られていて、恥じ入る懇願は間違いなく誰にも見せた事のない弱々しさを露わにしていた。
 沖田の目は、レンズ越しに夏美の様子を確実に切り取っていた。


 すすり泣く声と悲痛な鳴き声が混ざり合い、そして夏美は弱々しく呟いた。
 「・・あぁ・・ん・・・まだ、ですか」
 そう言って堂島の目を濡れた瞳で見上げた。
 「ああっ、・・・もう終わりにしてください・・・・でないと」


 堂島はあくまでも己のペースで腰を振り続ける。
 最奥を抉(えぐる)と少し腰を引き、そこからズンズンと荒腰を使う・・・それを繰り返し続けたのだ。


 「アアッ、だ、ダメッ」
 取り囲む幸恵と沖田の事など気にする余裕もなく、夏美の狼狽は羞恥を超えた叫びとなっていく。
 迫りくる“何か”から逃げるように、叫びは更に激しいものへとなっていった。


 「アアッ、イッ、イヤッ アア・・イヤッ」
 喉が反り返り、開いた口から生臭い声が漏れ散った。
 「アアッ、く 来るッ、イヤッ、イヤッ」
 うわ言のように嬌声を繰り返し、夏美の爪が堂島の背中に食い込んだ。
 僅かに表情(かお)を歪めた堂島だったが、荒腰はえぐく、肉根は最奥を突き上げ、そしてその肉厚は女襞を確実に掻き回し続けた。


 そしてついに。
 「アアッ、イヤッ イクッ、 イヤッ イクッーー!」


 生臭い叫びが部屋中に響き渡った・・・・。
 その後は急に呼吸が止まった、かのように開いた口は宙を噛もうとする。
 いつの間にか跳ね上がった両脚は、天に向かったまま硬直を続けている。
 微かに弓なった肢体はその格好のまま、ガクガクと痙攣を始めた・・・。


 夏美をカメラ越しに覗いていた沖田の額から、一滴の汗が流れ落ちた。
 レンズの向こうで夏美の開いた唇はまだ宙を噛み、荒い息は膨らんだ小鼻の穴から吐き出されている。
 悲哀の表情(かお)には血色が滲み、明らかに蕩けているようにも映って見えた。


 一旦レンズから目を離した沖田だったが、目の前を向いた途端ニヒルに微笑んだ。
 堂島が夏美の身体を半身にして、その片足を折り曲げていたのだ。
 沖田が再びレンズを覗き込む。
 欲望を出し終えていない堂島は、己の肉棒を突き刺したまま夏美を半身からうつ伏せの格好へと導いた。


 夏美の視線は朦朧としたまま彷徨っていたが、堂島の指が腰を掴むと不意に我に返った。
 「ああ…い いやぁ…」
 あきらかに弱々しい声を上げ、夏美は虚ろに己の格好を意識する。


 「ああ、もう、ゆるし・・」
 か弱い怯えの声が途切れたのは、堂島が再び腰を叩きつけ始めたからだった。
 注挿の摩擦はすでに淫液で滑らかになっていた。
 それは夏美にとって経験の浅い獣の格好(かたち)でも、そうであった。


 背筋は反りかえり、背中の中線を堂島の指がサワサワと触れると、夏美の内腿から太臀に震えが走り抜けた。
 夏美は時折り振り返り、哀れな眼差しで許しを請おうとするが、最奥を襲う抉(えぐ)りの前に、ただ生臭い呻きを繰り返すだけだった。


 白いライトの下で、蒼白い肢体は既に艶やかな色に染まっている。
 身体は淫靡な汗にまみれている。
 巨(おおき)な臀は、堂島の乱れ腰に卑猥なリズムで踊り弾んでいる。


 「ああ…また…来るっ」
 一度征服された女の弱みは、再びその姿を現そうとしていた。
 「ああっ、もう、ダメッ・・」
 小さく叫び、濡れた淫猥な注挿音を聞きながら、夏美の視界の端に幸恵の姿が映った。
 遠い意識の中で悔しさが通り過ぎたが、それでも逆らえない哀しい諦めが更にその上を通り過ぎる。
 堂島の動きが一気に加速に向かった。


 「おおおおッ  んああっ」
 夏美の開いた口からは、はしたなく涎が流れ落ち。
 両手の指はシーツをググッと握りしめ、巨臀はしっかり気を張った。
 産毛は逆立ち、まさに獣が乗移ったような己の格好を恥じる余裕など微塵もなかった。
 「アッ、アッアアッ──!」
 初めて味わう牡肉の極限の抉りに、夏美はあっけなく今夜2度目の堕落へと導かれた・・・・。


 長い叫びが止まると、女体が獣の格好のままオブジェの様に固まった。
 シーツを噛む手指が微かに震え、乱れ散った髪が哀しげな視線を隠すようにハラリと落ちた。
 堂島の腰が巨臀に密着したまま震えているのは、胎内へ牡精を吐き出していたのだった。


 やがて反り上がった顎がガクンと落ち、夏美の口から荒い息が吐き出された。
 それでも肢体の震えが続くのは、絶頂の余韻が身体中に回っていたのか。




 ゆっくり確かな足取りで堂島がベットから降りる。
 夏美の最期の様子を沖田がビデオで切り取るその横で、堂島の足元に幸恵が膝まずいた。
 そしていまだ硬直を残す肉棒に手を添えると、ゆっくり唇を近づけた・・・・。


 ベットの上では上体を突っ伏し、巨(おおき)な臀だけを突き上げたままの女体がある。
 シーツに埋まる横顔には乱れた髪が掛かり、その表情は分からない・・が、今だに痙攣する肢体と轢き付く女穴、そして響き震える息遣いは確かな淫靡さを残していた。


 沖田がビデオを覗きながら、静かに夏美の肢体に近づいた。
 美人で御淑(おしと)やかなこの女の、こんなみじめな格好を誰が想像できただろうか。
 しかし、レンズ越しのこの光景を慎重に覗き込めば、それでも沖田には予想通りのものだった。
 『女の本当の素晴らしさは、その裏側にあるもんじゃ』・・・堂島がよく言っていた事があった。
 『裏こそ実は表なり』・・・堂島の言葉を思い出し、目の前のはしたない犬の姿で恥ずかしい部分を晒すこの姿が、この女の本当の素顔なのか・・と、沖田が見つめる先には、白濁の液がそれこそ獣(イヌ)の涎(よだれ)の如く垂れ流れる淫猥な情景があった。


 「沖田」
 その声にビデオから目を離し振り向くと、素っ裸のまま仁王立ちの堂島がいる。
 その足元には剛直をしゃぶる幸恵がいる。


 「沖田、夏美先生も私が思った通りの才能を持っておるぞ。」
 「・・・・・・」


 「今夜は力ずくだが、いずれは自分からその素晴らしさを見せてくれる様になるだろう。その時の姿こそこの女(ひと)の本当の素顔じゃよ」
 「・・・・・・」
 沖田は堂島の声に頷いた。


 「さあ、もう少し開発を続けるか」
 堂島の声に幸恵が剛直から口を離す。
 堂島がベットに上がる様子に、沖田は再びビデオを覗き込む。


 堂島が、四つん這いのまま崩れ埋もれた夏美のうなじに、右手を差し入れた。
 乱れた後ろ髪を掻き分け、首根っこを掴むとグッと持ち上げる。
 夏美は玩具の様に軽々抱き寄せられると、瞳の中に分厚い唇が迫ってくるのが見えた。


 感じた唾液が何の味かはすぐに理解できた・・・つもりだが、朦朧とした身体の中には、それを振り払う力が残っていなかった。
 口元から大量の唾が口紅を溶かし、喉元に伝わっていくのを頭の片隅で意識した。


 「アソコの潤いも良かったが、貴女の唾(つば)もなかなかの美味じゃよ」
 「・・・・・」


 「さあ、今度は儂の物を口でも味わってみるのじゃ。ほれ、その唾を塗(まぶ)しながら」
 そう言って、堂島は立ち上がりながら夏美の両腕を万歳するように持ち上げた。


 膝立ちの夏美の丁度目の前には、堂島の股間がある。
 「あん、いやっ・・・いやです・・・もう・・」
 いまだ乱れた息のまま、夏美の口からは小さな絶え絶えの言葉が漏れた。


 「何をあの程度の事で・・・・」
 「・・・・いや・・・・」


 「ほれ」
 既に硬度を取り戻していた肉根が、夏美の鼻先を霞める。


 「まさか、初めての訳じゃないじゃろ?」
 堂島の言葉に、夏美は無意識のうちに顔を沈め顎を一振りした。


 「・・・・・・・・・」
 夏美の様子をどう取ったのか、堂島は持ち上げていた両腕をスッと離した。
 

 仰向けに倒れ込んだ夏美の顔の前で、堂島は股間のグロテスクな一物を握りしめる。
 しかし、夏美の意識は遠くに消えかかろうとしていた。


 「アナタ・・・ゴメン・・・・」
 夏美の口元から小さな小さな言葉が零れ落ちた。
 頬に冷たい跡を感じながら、そして視界の片隅に肉の巨棒を霞めながら・・・・。
 そして夏美は気を失った・・・・。


 「あら、気を失ってしまったの」
 幸恵が半ば呆れながら呟き、そして夏美の顔を覗き込む。
 「防衛本能が働いて、己の意識を遠退(とおざ)けよったわ」
 堂島の声の横で、沖田はレンズ越しに夏美の表情(かお)を淫写する。
 「ふふふ・・しかし、気を失う瞬間まで夫の事を想いつめるとは・・・・。想像以上に情の深い女じゃ・・・。」
 堂島の声に幸恵が嬉しそうに頷いた。
 「うふ、ご主人様 嬉しそうね・・・“調教のしがいが有る”って顔に書いてますわ。・・・ちょっと妬けるけど」
 「クククク・・・その通りじゃ、じっくり確実にな・・・」


 堂島の細い目の奥で、怪しい灯が広がっていた・・・・・・。