小説本文



 
 私達夫婦・・牡と牝・・白と黒は、妻が夫を犯(や)るという奇妙な交わりを、客の男達、そして奴隷仲間の前で披露しておりました。
 妻の“ぺニス”は果てるはずもなく、小刻みに私のアナルを犯し続けていたのです。


 もどかしい呻きを漏らす私達に、嬉しそうな声が聞こえてきました。
 「俊也よぉ、お前も満更でもなさそうだなぁ」
 それは、私達夫婦を罠にかけ、たぶらかし、そして迷わせながらも堕としこんだ清水の声でした。


 「んんっ?初めてのアナルじゃ逝けそうで逝けないか?」
 清水の声は憎らしいほど落ち着いていて、その目は私の心の奥を覗き込んできます。
 「浩美もどうだ?お前もその格好じゃ逝けないかよ」
 清水の表情は改たな企てに、喜びを隠している顔です。その清水がうんうんと頷きながら部屋中を見渡しました。
 「では皆様方、このツガイをこの格好のまま逝かせてやりたいと思います。ご協力をよろしく」
 そう言って清水が、妻の臀(しり)をひと打ちしてから、割れ目の辺りを持ち上げるように開きました。
 四つん這いの私は、前屈みになった妻の身体…その重みを受け止めます。私の腰は妻の両腿に挟まれ、尻はぺニスに引き上げられるように更に上向きです。結合の部分がこれまで以上にクッキリと見える筈です。


 「さぁ、どなたから行きますか。この格好のまま、牝にぶちこんでやって下さい」
 「!!・・・」
 衝撃は頭の先から尻の穴にまで一瞬にして伝わりました。
 清水は、私を後ろから突く妻…その妻のマンコを、後ろから犯させようとしているのです。けれど当の妻は、さほどの驚きもなく、私に馬乗りになった体勢から更に股ぐらを拡げた感じです…私の背中がそう感じるのです。


 「じゃあ、俺から行かせてもらいますわ」
 関西弁の男の声が聞こえてまいりました。
 男の手が妻の背中や腰を押すと、その重みが私の方にも伝わって来ます。男が妻のソコを拡げますと、妻の緊張が私の緊張になります。男が挿入しますと、妻の吐息が背中に掛かります。そして、男の律動に妻の腰は揺れて踊ります。その振動はそのまま私の尻穴に、そこから身体全体へと快感となって拡がっていったのです。
 私のアソコは信じられない硬さに、信じられない反り上がりを見せ始めていました。先っぽからは、ガマン汁がヌルヌルと溢れ出てきております。
 男達もこんな奇妙な格好(かたち)での交わりは、初めての事だったのでしょう。最初の男の射精が終わると、物珍しさもあってか直ぐさま次の男が犯(や)りに来るのです。それが次から次へと続いていきました。
 やがて私も、絶頂の予兆を感じておりました。そして妻の肢体も、その兆候が繰り返されておりました。
 そして……。


 「あっ!」
 「んあっ!」
 「あぁッ!いっ、逝くッ!」
 「んあっ!あっアタシも又!」
 「で、出る!あぁっ、いい!いっ逝きます!」
 「アタシもーーー!!」


 遂に私達夫婦は、同時に果てました……。
 それは、夫婦が初めて経験する奇妙な射精とアクメでした。


 射精の後の脱力感を覚えながらも、私の意識の中には変態チックな格好(かたち)で高見を経験した自身に喜びも感じていたと思います。私は妻の重みを感じたまま、その自分の表情が厭らしく歪んでいるのが分かりました。そして、再度の射精を味わいたく早くも尻穴に気を張っています。そんな私の気持ちなど関係なく、男達は男達で射精を終えると次の者へと持ち場を譲るように代わっていきます。私は便器にでもなった妻、そしてそれを支えている自分に言い様のない喜びを噛み締めておりました。
 清水の言葉にはウソはなかったのです。“清水様”の見立てに間違いはなかったのです。私も妻も重度のマゾで生粋の変態で間違いなかったのです。


 「皆さん。さぁこっちにも肉の便器を用意しましたよ」
 清水様の声に両横に目を向けますと、右側に雅代さんが、左側には紀美子さんが、いつの間にか全裸になり四つん這いになって服従の格好です。私は笑みを浮かべ、そして親しみを覚え、一緒に快楽を得たいと心から思いました。勿論、妻も一緒に、そして永遠にと・・・・・・。


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 私達夫婦が奇妙な白黒ショーでデビューをはたしてから、半年近くが経っておりました。
 その後は定期的に清水様が開催される“集い”に呼ばれ、その時に与えられる役割を何とかこなしておりました。一番多いパターンは、妻が、四つん這いになった私のアナルを犯す、例の格好(かたち)のものでした。時おり、私が妻を犯す従来の白黒ショーを行う事もありましたが、お客様のウケが一番良かったのは、妻が責めるパターンだったのです。
 夫婦の交わりを披露した後はきまって、妻の輪姦に調教でした。私は、アナル体験をした事から、いつか男性客のぺニスもソコに受け入れる時があるのではと、心配する事もありましたが、今のところソレの気配はありません。
 妻の下腹に描かれた華のマーキングは、いつの間にか薄くなり消えていきましたが、いつか本物の刺青になったら…などと想像しては又違った妄想をするようでした。


 何度と“集い”で経験を積みますと、日常の変態行為にも拍車が掛かるようになりました。
 堀田さん御夫婦に呼ばれて奴隷仲間と“交換プレー”をしたり、野外露出をする事もありましたが、それよりも夫婦だけで公共の場所や深夜の住宅街などに出没してアソコを曝したり、未成年をつかまえてソコを見せつける行為は異様に興奮するものでした。又、職場の男子トイレに妻のアソコの無修正写真を貼り付けに行く行為にも興奮を覚えていました。妻の目線の部分は黒マジックで塗り潰していましたが、その横線を日に日に薄く細くしていく自分が怖くもあり、嬉しくもありました。
 妻は妻で、私の知らない所・・と言いましても、私は探偵気取りで後を尾(つ)けたりする事があるのですが、妻が一人で野外露出、ソレを覗き見する自分自身に悦楽を覚えておりました。


 デビューから3か月位たった頃には、清水様から改なミッションが与えられました。
 それは・・・人様に言えない後ろめたい願望を持った夫婦を探し、コンタクトをとり、誘い出し、そしてさりげなく引き込む事……そうです、私達のような夫婦を探し、私達のような夫婦に堕とす事でした。
 川村さんや堀田さん達からいくつかのサイトを教えられ、巧みで功名な文章やその言い回しを教授され、仕掛けをするのです。“初めての夫婦”を暗い闇の中に堕としこむ瞬間を妄想しますと、それだけでまた違った黒い悦(よろこ)び覚えるようでした。
 いつの間にやら何人かの夫婦ともコンタクトが取れるようになり、実際にその中の何人かと会える事が出来ました。真面目に“夫婦交際”を考える御夫婦を罠にかける時には心苦しさを覚える事もありましたが、黒い欲望には勝てず。また、真面目な仮面を着けた夫婦の裏の顔を、覗きたくて覗きたくて仕方なかったのだと思います。
 いつしか私達夫婦は、新しい奴隷夫婦を造り上げる事にも喜びを感じるようになってしまったのでした……………。


 エピローグ


 私は隣に妻を乗せ、車を走らせておりました。
 もう、会話が少ない事も当たり前のようで、けれど互いの変態度は認めあっている仲は間違いありませんでした。
 今日はサイトで引っ掛かった同年代の夫婦を、“奴隷夫婦15号”に仕立てる為の第一歩でした。その初めての顔合わせを、堀田さん達と一番最初に会ったホテルで行う為に向かっているのです。
 ホテルはいつもより盛況な感じで「ああ、今日は大安か。披露宴があるんだなあ」と、礼服を纏った人だかりを見つめておりました。
 ごった返すロビーの人波を横切りながらも、顔はしっかり俯いておりました。遠方のホテルではありますが、知人、友人、職場仲間、それとまさかではありますが長男とも会う事がないようにと祈りながらです。そして妻も、私と同じ想いで化粧室に向かっている筈です。
 私も化粧室に滑り込みますと、鏡の前で容姿を確認致しました。胸ポケットには、見せるかどうか分かりませんが名刺に免許証を準備しております。
 初めての顔合わせの時にはいつもこのホテルを使っていますが、この化粧室で、この鏡に映る自分の顔を見ると一瞬心苦しい感情が沸き上がります。しかし、妖しい高鳴りにかき消されていくのもいつもの事なのです。
 妻も今頃、きっと同じような心境の筈です。
 化粧室を出て待ち合わせのエレベーターホールの前に来ますと、妻が先に来ておりました。
 目が合いますと心の中で…「マンコが濡れてるんだろ?真面目な夫婦を堕とす事に黒い悦びを感じて濡らしてるんだよな」と、問いかけるのです。
 妻の目の奥で淫靡な光が瞬き、口唇が歪むのがその答えです。私達はもう、迷いのない夫婦なのです。
 そして、私達は頷き合うと肩を寄せ、“ある夫婦”が待つ喫茶室へと向かうのでした・・・・・。


 ~おしまい~