小説本文



 私達夫婦は、男達の視線になるべく入らぬように移動を繰り返しておりました。
 部屋の中を、少しでも暗がりを求めるようにして、3組のご夫婦の恥態を覗きに行っていたのです。


 美代子さんは獣(いぬ)の格好で犯され、次は正常位でした。汚い男の臀(しり)の下で、美代子さんのアヌスがベットリしていて引きつくのがよく見えました。そして、射精を終えた男は、清水が言った通り、浩さんの口に汚れたチンポを挿入していくのでした。


 「ほら、旦那さんよぉ、シッカリ舐めろよ。奥さんのマンコ汁が付いてるんだぜ」
 男の声に浩さんの顔は歪み、美代子さんの目尻も震えを起こします。
 私は男が男性器を咥える姿を、生まれて初めて目の辺りにしました。
 浩さんに男色の癖(へき)があったとは思えませんが、なぜ、一流企業に勤めるこの人がと、そんな疑問も一瞬浮かびましたが、ただ、この雰囲気に圧倒されるだけです。


 「奥さんは、どうだい、人に見られながらマンコを突かれるのはよお?旦那に教えてやれよ」
 「・・・・・・・・・」
 「ほら、どうなんだい」
 「ああ…は、恥ずかしい……」
 「けっ、何が恥ずかしいだ、さっきから厭らしい声を上げまくってるくせに」
 そう言った男が一物を抜きます。直ぐに隣の男が美代子さんの尻の後ろに回ります。
 男は美代子さんのふてぶてしい巨尻をグアッと拡げると、いきなり己の巨棒をぶち込みました。


 「はあ~ん……」と艶かしい声が響き渡ります。
 四つ足を付く美代子さんの直ぐ目の前では、今ほど射精を終えた男が、浩さんの口にテラテラした肉の棒を押し込んでいます。


 「ほら、旦那も女房の顔をよく見ろ。あんたの奥さんも、この間より感度が上がってるぜ」
 「・・・・・・・・」
 「さあ、奥さん、今の気持ちを正直に言ってみな」
 その声に美代子さんの顎が、ピクピクっと引きつりました。
 前髪は汗で額に張り付き、眉間には皺(しわ)がより、赤い唇はワナワナ震えています。私の目にはその表情が、とてつもなく卑猥に見えます。


 「ああ……とっても気持ち…いいんです」
 「ふ~ん、そうかい。それでどこが気持ちいいんだい」
 「は、はい。美代子のマンコが、とても気持ちいいんです」
 「そうか。マンコが気持ちいいか。それで美代子のマンコはどんなマンコなんだい」
 「ああ……み、美代子のマンコは誰のチンポでも挿(い)れていいマンコなんです」
 「ふふ、誰のチンポでも挿れるだって。それじゃあ“公衆便所”と一緒だな」
 「…そ、そうです。美代子のマンコは公衆便所なんです」


 美代子さんは男の言葉に、オウム返しをするように、そして、何かに取り付かれたように卑猥な言葉を吐いています。そんな姿を見て、私の背中に、ゾクゾクっと得体の知れない高揚感が沸き上がってきました。
 そして・・妻の浩美は、初めて目にするこのおぞましい光景を見て、何を想うのかと…。


 中央では落合さんの奥様、弘子さんの自慰が続いていました。
 見ていますと、弘子さんの高まりが頂点に達しようとする寸前に、回りの男が″待て″をかけるのです。瞬間、弘子さんの指が股間から離れ、身体はブルルと痙攣を起こします。男達がまさに“躾(しつけ)”の様子を披露している感じです。
 隣では正座の姿勢から前屈みになり、震えている康之さんの姿がありました。その康之さんの股間の“物”は今にもはち切れそうに膨(ふく)れ上がっています。
 清水は、弘子さんのオナニー姿を見ながら、康之さんにもオナニーを許可していたはずですが、目の前の様子は、二人の“自慰”に制限を掛け、明らかにいたぶっています。


 「弘子奥さんよぉ、今度は四つん這いになってマンコを弄(いじ)ってみろや」
 男の一人の声に、弘子さんは切なそうな顔で頷きながら、四つ足の格好になります。そして、巨尻を突き上げると、パツクリ割れたアソコに股下から手指を持って行ったのです。


 「いいね、いいねぇ。奥さん、もっと尻(けつ)の穴も拡げてみな」
 弘子さんは男の声に応えるように、ぐ~っとアナルを突き出します。その姿は、従順な牝犬と言ったところです。


 「いい眺めだねぇ。奥さん、そのままクリを弄(いじ)ってみな」


 弘子さんも何度とこの場所で、このような強要を受けていたのでしょう。何の迷いもなく自身のクリトリスを擦(こす)り始めました。間違いなく弘子さんの頭の中には、自分が普段、教壇に立って子ども達に勉強を教えている等といった意識は、これっぽっちも無いのでしょう。私の中に沸いた妖しい高まりは、鎮まる事はありません。そして、ここにいる奥様方の姿を、隣の妻と重ね合わせてしまいます。


 「ああッ、もう、い 逝っちゃいます」
 弘子さんから、早くも絶頂の予兆が現れます。その瞬間。
 「バカ。待てっ。まだだ」
 再び男の待ての声が掛かりました。
 濡れた唇からは「いやん」と嘆きが漏れ、身体はくねり落ちます。
 隣の康之さんの目は、まん丸と拡がり、ゴクリと唾を飲み込んでいます。


 「へへ、奥さん逝きたいかい?。逝きたいだろ」
 男がいたぶりの声を上げながら、立ち上がっています。そして、弘子さんの後ろ髪を掴み、引き上げます。男の股間の前に、トロ~ンとした年増女の表情(かお)です。
 「さあ、逝かせて欲しかったら、コイツをシャブリな」


 荒息を吐きながら、細いしなやかな指がグロテスクな塊を掴みました。
 そして「んプッ」とシャブリついたのです。


 「んぐ、ぶちゅっ、じゅばっ」と卑猥な粘着音が響きます。
 「ああ、いいぞ。奥さん、そのままマンコを弄ってみろ」


 男の一物を逃さんとばかりに喉深く呑み込みながら、弘子さんの手指は必死になって“ソコ”を擦ります。


 「いいか、奥さん。逝きたかったら先に俺を逝かせてみろ」


 弘子さんの口元からは「んごっ、んごっ」っと滑稽な音が漏れ聞こえてきました。
 隣では遂に、康之さんが自身の一物を握っています。それを見て男が、ニヤつきます。


 「旦那さんよぉ、もう我慢の限界かい?」
 康之さんが反射的に、コクコク頭を振ります。もう恥も外聞も無いといった感じです。
 康之さんの高ぶりに呼応するように、私の腰も蠢(うごめ)いておりました。その時です。


 「んあッ」
 と、隣から小さく鋭い呻きが聞こえました。
 妻の身体が、電流が走ったように震えたのが分かりました。


 (まさか…逝ったのか……)
 心の中でそんな声が聞こえました。
 「ひ、浩美…大丈夫か…」
 「・・・・・・・・・」


 私の小さな呼び声に、しばらくして妻は小さく息を吐きました。目は虚ろで、唇は微かに開き、妖しげな香りが蒸気している感じです。


 「おっ、あっちの“つがい”もやってるなぁ」
 弘子さんにシャブらせている男が、愉快げに呟きました。目を向ければ、堀田さんが四つん這いの格好の紀美子さんを突いております。


 「おいおい、学よぉ。お前、そんなんじゃ紀美子も感じないだろ」
 そんな声に取り囲む他の男達から、笑いがこぼれました。堀田さんの顔は引きつります。
 私達の身体が、ジリジリと堀田さん達へと寄っていきました。


 堀田さんは額から汗を流して、一生懸命に腰を振っています。紀美子さんはうつむき表情が分かりませんが、口元から呻きが漏れているので感じているとは思うのですが…。


 「おい、紀美子。気持ちにいいか?。どうなんだ」
 如何にも嫌味の混じったその声に、紀美子さんの顔が上がります。眉間には嘆きの皺が寄っています。


 「ほらっ、どうなんだよ、紀美子」
 「あっ、か、感じません」
 「クククッ、そうか、旦那のチンポじゃ感じないか」
 紀美子さんの横顔が、男の言葉にコクリと頷きました。


 堀田さん御夫婦と相互観賞プレーをした時は、間違いなく紀美子さんは感じていました。堀田さんと汗みどろになって披露してくれた夫婦の契りでは、艶かしい声をこれでもかと上げていた筈なのです。しかし、今の紀美子さんの言葉は、男達に煽(あお)られ誘導されての事なのか、それともこの部屋の淫靡な空気に、本当に臨界点が上がってしまったと言うのでしょうか。


 「紀美子、どうする?。俺達が旦那と交代してやろうか」
 「・・・・・・」
 「おい、どうなんだ。俺達の“コレ”の方が旦那のより何倍も気持ち良くしてくれるぜ」


 堀田さんは男の悪質な言葉に唇を咬みながら、必死になって腰を振っています。目元にはうっすら涙が滲んでるようにも見えます。


 「ほら、早く言わないと今日はもうコレを拝む事もできないぜ」
 「あっ、イヤん、言わないでください」
 「ほら、どうなんだ」
 男の煽(あお)りに、ワナワナ震える半開きの口から、小さな言葉が溢れ落ちてきたのです。


 「ああ…み、皆さんの“物”が、ほ、欲しい…」
 小さい言葉でしたが、私の耳にははっきりとそれが聞こえてきました。


 3組の奥様方の“様”は、ますます激しく、そして淫らになってきております。
 ずっと押し黙ったままの妻の心の中はと…不安を覚えながらも、私自身も、目の前で繰り広げられる痴態の数々に、支配されていく我が身を意識せずにいられませんでした……。