小説本文



淫靡なこの畳部屋は、益々淫らな香りが充満しておりました。
 堀田さん夫婦の“白黒ショー”に刺激されてか、落合さんの奥様の弘子さんが再び自慰を始めたのです。


 紀美子さんは“憑き物”が取れたのか、感じるままに悦楽の叫びを撒き散らしていました。その牝犬のような鳴き声に呼び寄せられ、弘子さんの呻きも大きくなっていきます。
 壁際では、清水が淫靡さが増した部屋の空気に満足しているのか、頷きながらその様子を見守っています。


 後背位で交わる紀美子さんの淫声の中には、隠語も混ざってきていました。弘子さんの唸りに応えるように「オマンコ」「チンポ」「アソコ」と卑猥な単語を吐き出しているのです。


 弘子さんは膝をガクガクに震わせながらも畳を噛みしめ、必死に右手を動かしています。
 堀田さん達を囲んでいた男達も、交互に痴態を覗き込んでいます。


 その時です。
 「ひ…弘子ッ」とご主人の康之さんが唸り声を上げました。
 見れば康之さんの顔は、目がこれでもかと拡がり、鼻からは荒息を吐き出しています。その形相はとても“聖職”に付く人間とは思えません。


 康之さんは息が掛かる位まで弘子さんに顔を近付け、自身の手は、固くなったぺニスをこれでもかとしごいています。
 「康之よぉ、まだ出すなよ。もうすぐ溜まったその汚いザーメンをドバッと出させてやるから」
 康之さんの右手に、清水が落ち着いて声を掛けています。康之さんの右手は一瞬緩み、表情(かお)は泣きそうに歪みます。


 「弘子もそろそろ本物が欲しくなってきたかい。どうだ?」
 清水の声に、客座の男達の口笛が鳴りました。弘子さんは、分かっているのか分かっていないのか、顔をしかめアソコを捏ねくり回しながウンウン頷くだけです。


 「よし。じゃあ皆さん、この女のマンコも使ってみましょう」
 その声に直ぐに、何人かの男達が立ち上がりました。そして、清水が康之さんに寄り、首ねっこを掴みました。
 「康之、分かってるよな」
 「・・・・・・・」


 康之さんは恐々弘子さんの手を取り、中央へと二人進みます。そして、弘子さんを座らせるとグッと息を飲みました。


 「み…皆さま、妻の弘子をこ…心いくまで犯してくださいませ…」
 康之さんのこの言葉も、立ち振舞いももう、お決まりの流れだったのでしょうか、股間を握ったまま康之さんは、男達に告げたのです。
 弘子さんはご主人の言葉に従い……いえ、清水に刷り込まれた暗示に従ったのか、自ら四つん這いの格好をとっています。
 「ああ…み、皆さま、わたくし変態女教師の弘子のオマンコもお、お使い下さい…」
 その声に男共が、女体に群がって行きました。


 「美代子!」
 今度は、清水が山本さんの奥様の美代子さんの顔を覗きました。
 「お前も又、マンコが疼いてきただろ」
 「・・・・・・」
 「どうなんだ、美代子」


 いたぶりの声にも美代子さんの目は、トロ~ンと虚ろな感じです。隣のご主人の浩さんの方は、口元を震わせて見えます。


 「旦那も美代子の喘ぎ声を聞きたいらしいぜ」
 そう言って山本さん夫婦を交互に見つめる清水です。
 部屋の中央では、既に弘子さんのアソコに一人、前の口にも一人、男が自慢の一物を打ち込もうとするところです。


 「おい、浩。どうなんだ」
 清水の声に、浩さんのだら~んとしていた手が恐々上がっていきます。そして、隣の美代子さんの手に触れました。美代子さんは黙ったまま静かに頷きます。


 清水は山本さん御夫婦の様子を見ながら、ニヤニヤ笑みを浮かべました。そして。
 「皆さん、美代子も又、輪姦(まわ)して欲しいそうですよ」
 その声に、所々から遠慮のない声が上がります。
 「へへぇ、そいつは良かった。俺はまだ、その奥さんと犯(や)ってないからなぁ」
 「俺ももう一発、犯(や)るよ。今日はバイアグラを飲んでるし」
 「清水さんよぉ、出した後は又、旦那の口で後始末させていいんだろ」


 男達の声に、清水はニコニコ頷きます。その顔は隣の浩さんを覗いて見ています。


 浩さんに手を引かれ、美代子さんも中央へと進みました。そこで膝まずくと、浩さんの喉が「ゴクリ」と鳴りました。
 「み、皆さま、妻の美代子のマンコをもう一度、お、犯して下さい……」
   

 浩さんの宣誓に、美代子さんは仰向けに寝転がり、そして膝の裏に手を入れるとグイっと引き寄せました。パックリ割れた性器が丸見えです。


 「み、皆さん……美代子のマンコをもっともっと汚して下さい…アア…」
 目尻を震わせ、美代子さんも又、隷族の宣言をいたしました。


 美代子さんに覆い被さって行く男。その横では堀田さんがまだ、紀美子さんと交わっています。
 弘子さんが犯される横では、康之さんがもう、寸前でした。
 「あ、あ、もう、で、出ます…」
 今にも泣きそうなその声に、男達の何人かが振り向きました。清水もニヤつき見ております。


 「で、出るゥ…」と、その瞬間、康之さんの股間から白濁の液が飛び散りました。辺りからは失笑の声が湧きます。


 康之さんに続いて、堀田さんの我慢も限界でした。
 紀美子さんの腰に手を当て、「ううっ」と呻きを上げたかと思うと、その身体が硬直しました。続けて「あっああ…」と息を吐き出しました。


 「あらら、学は相変わらず早いなぁ」
 清水が呆れの声を吐き、その横では「清水さん、紀美子は満足してないでしょ。この女、どうします」と、男の一人が意味深な目を向けています。


 「そうですね、紀美子も美代子や弘子と同じように輪(まわ)して貰いたいと思ってるでしょ」


 紀美子さんもこの成り行きには覚悟があったのでしょう。いや、紀美子さん自身も、快楽の地獄にもっと深く堕ちたいと望んでいたのかも知れません。
 妻はと…先程から何度と隣が気になっている私です。ここにいる奥様方と同じように、妻も……。


 「さぁ紀美子。お前の挨拶だぞ」
 愉快げな清水の声に、汗びっしょりの女体が膝立ちになりました。


 「……あぁ、皆さま、主人の“素チン”ではアタシは…感じませんでした…」
 「・・・・・・・」
 「…どうか、美代子さんや弘子さんと同じように、アタシのマンコも使って下さい…」
 その言葉は清水に言わされているのでしょうか……、私には紀美子さんの本心のような気も致しました。


 早くも男の一人が「じゃあ、俺が先に犯(や)らせて貰うぜ」と、紀美子さんの乳房を握ります。瞬間、赤い唇から「はぁん」と感泣の声が上がりました。
 そして、紀美子さんを含む奥様方3人の輪姦の揃い踏みが始まったのです。


 気がつけば、ご主人方3人は壁際に移動して、奥様の痴態を覗いております。
 2号の山本浩さんは、正座をしていて、口は半開きです。その口元には、男達の欲液の痕(あと)がシッカリ残っています。
 4号の落合康之さんは、立ったまま股間の一物を握っています。先程、射精を終えたばかりですが、もう一度、恥をかこうかとソレをしごいています。


 その時、堀田さんと目が合いました。堀田さんは、紀美子さんの様子を見ながらも時折私の方も覗いていたのです。
 堀田さんの目は、私に何かを語り掛けているようでした。私は思わず視線を外し、奥様方を向き直ります。
 2号の美代子さんは正常位で犯されています。4号の弘子さんは、屈強な男に駅弁ファックで犯されています。そして、紀美子さんは立ったまま後ろから犯されています。
 その紀美子さんの顔に掛かる前髪の隙間から見える目と、私の目が合いました。いや、よく見ますとそれは隣の妻を見つめているようです。
 私は妻の顔を覗き、紀美子さんを見つめ、又、妻をと繰り返しました。
 紀美子さんの目も又、妻に何かを語り掛けているようです。


 堀田さんに導かれた“この世界”です。
 堀田さん御夫婦は、私達に『もう諦めろ』『早く堕ちろ』『自分達と同じようにとことん堕ちろ』と言ってるのでしょうか。それか『堕ちきった方が楽だぞ』と性の深淵に誘っているのでしょうか。
 私はジリジリ妻の方に顔を向けました。今日は車に乗った時から、私とは一言も口を聞いていない妻です。


 「…浩美……」
 私は、出来る限り顔を妻に近づけました。妻の顔もジリリと音がするようにこちらを向きます。
 が、二人の口に言葉は付きませんでした。ただ…頭の中では聞いてみました…。
 (ひ…浩美、お前も…)
 と、その時。
 「俊也!」
 久しぶりに名前を呼ばれた私は、飛び上がりそうになりました。清水の顔が直ぐそこにあったのです……。