小説本文



妻の最後の逝き声を聞きながら絶頂を迎え、崩れた落ちた私。荒い呼吸が収まってきた頃、ようやく隣の様子を見る事が出来ました。
 堀田さん達も、いつの間にか絶頂を迎えていたのでしょう。隣では白い背中の上に、日焼けした褐色の身体が重なり落ちていました。


 荒息が残る妻の中から、一物を抜きます。その穴からはドロリと残香が流れ出てきます。私はそれを拭いてやり、そして浴室へと向かいました。


 シャワーを浴び、余韻に浸りながら今ほどの情景を思い浮かべます。その時ガチャっと音がして、人の気配が侵入して参りました。 紀美子さんでした。
 私はドキッと驚いたのですが、「…ご主人、結構強いんですね」そう口にした紀美子さんの妖しい笑みに、もう一度ドキリとしました。


 「うふ、奥様の浩美さんも、アタシと同じスケベな人種で嬉しいわ…」
 「・・・・・・」
 紀美子さんの大きな乳房と張りのある臀部が、私の目を嫌でも引きつけます。先ほど逝ったばかりのアソコが、再び反応しようとします。目の前の唇の朱(あか)がまだ、スケベそうに光って見えるのです。
 しかし…。
 「うふ、今日はダメよ。そう言うルールですものね」
 「・・・・・・」


 「それにしても…ご主人も浩美さんも“資質”があるから…」
 紀美子さんは自分に言い聞かせるように続けたのです。


 “資質”・・先ほどの妻との“絡み”は上手く出来た、という表現は適当ではないのでしょうが、私も妻も堀田さん達に迷惑を掛ける事もなく、そこそこの刺激を与える事が出来た…と、頭のどこかにそんな意識があったと思います。が、それが紀美子さんが言う“資質”かどうかは分かりませんが…。


 「…でも…これからが大変…」
 朱い唇から微かに聞き取れる位の呟きが洩れました…。


 部屋に戻りますと、妻はガウンを羽織り、堀田さんはバスタオルを股間の上に置き、胡座を組み、そして二人は何事か喋っていた様子でした。


 紀美子さんが浴室を出た後は妻が、そして最後に堀田さんがシャワーを浴び、その後は冷たい物で喉を潤しました。
 私は第2ラウンドも…?と、期待に覚悟?もあったのですが、部屋の雰囲気は帰宅へと向いているようでした……。




 帰りの車の中、ミラー越しに堀田さんが話しかけてきました。
 「菊地さん、その顔は満足してませんね。『俺はまだまだ出きるぞ!』って感じですね」


 「あ、いえ…」
 私は見透かされたようで、それを否定しようとします。


 「でも、欲求不満で終わらせた方がいいんですよ。その方が次への期待が膨らんで」
 (…な なるほど…)
 私は心の中で小さく頷きます。


 「それで…よろしければ、次はお互いのパートナー交換を行いませんか?別室での夫婦交換です」と、堀田さんは言ったのです。が、その語尾が何故か緊張しているような気がしました…。


 堀田さんは続けます。
 「奥様…浩美さんの方はもう、了承されたようですよ」
 「ええっ!?」
 思わず妻の顔を見ます。妻は私の視線に俯きます。幾分か頬が赤く見えます。


 「さっき、菊地さんがシャワーを浴びてる時に、聞いてみたんですよ」
 「…ああ、そうだったのですか…」
 おそらく、間違いなく“次”の事を妻は承諾するだろうと思ってましたので、私としては手間が省けたというところなのでしょうが…。私は妻が“口説かれた”という感覚に軽い嫉妬を覚えていました。
 結局その場で次の日程を決める事になり、それが2週間後の日曜日となりました。


 家に帰り一晩がたてば、いつも通りの日常が始まります。平日の日中は仕事に追われ、家に帰れば極々普通の生活です。しかし、夜の性生活は新婚の時のように激しさを増し、その中には淫靡な会話も入ってきました。
 私が床(とこ)で妻に聞いた事は、堀田さん達に裸を見られ、陰部を見られ、sexを見られた時の気持ちは? また他人の裸やsexを見た時に頭に浮かんだ事は?・・などなどでした。
 妻は、『恥ずかしかった』、『頭が真っ白になる位気持ちよかった』、『自分が自分で無くなっていく感覚が怖かった』などと答えていました。
 そして、『見せ物にされ墜ちていく感覚が忘れられないの』と、トロ~ンとした瞳で申していました。
 妻の方からは質問や感想めいた事は聞いてきませんでしたが、聞かれれば私は同じような答えをしていたと思います。
 私もそうですが、妻も堀田さん御夫婦と出会ってからここまでの“出来事”に、満足していたと思います。そして、間違いなく新たな刺激も求めていました・・夫婦交換です。


 堀田さん御夫婦との約束は、次の次の日曜日でしたが、私達はその前にもう一度あのホテルに行ってみる事にしました。 二人であの暗い畳部屋でsexをしようという事になったのです。堀田さん達との“交換プレー”を楽しみに待ちながらも、自分達だけでも淫靡な秘め事をしてみようと思ったのです。




 日曜日。
 私の運転であのホテルに向かいました。高速を走る車の中、隣の妻はショーツを履いていおりませんでした。私が、家を出る時からノーパンを命じていたのです。
 私も妻も仕事柄周りの目を気にしますが、そんな私達が車の中とはいえ軽い露出プレーを行う事に、背中がゾクゾクしていました。
 私はとにかく変態的な行為をしてみたくて、調子に乗って運転しながらフェラチオも命じました。
 妻はショーツを脱いで来た時点で娼婦の気分にでもなっていたのでしょうか、その口技はこれまで以上にネットリで、自分をも高めるように鼻を鳴らしておりました。
 私は危うく射精寸前まで追いつめられましたが何とか持ちこたえ、予定通りホテルにたどり着きました。
  

 ホテルの敷地内に入りますと前回の部屋が空いており、迷う事なくそこの駐車スペースへと車を進めました。と、その時でした。
 前方に見えた車・・そのワゴン車の中から、いつかと同じように6、7人の人達が降りてくるのです。私が「あっ!?」と思ったのは、その中に紀美子さんらしき姿を見つけたからです。そして運転席側から降りたのは、どこからどう見ても堀田さんです。よく見ればそのワゴン車も、記憶にある堀田さんの物です。


 紀美子さんは中年の男達に囲まれながら、堀田さんはその集団の一番後ろから小走りに着いて歩きます。
 どことなく不穏な空気も感じ、堀田さん達の姿が見えなくなると素早く部屋の中へと向かいました。しかし、部屋に入り落ち着いて考えてみれば、堀田さん御夫婦は私達との“遊び”以外にも色々と幅広い付き合いがあるのです。その仲間と楽しんでる可能性もあります。
 ひょっとして複数プレー?あるいは乱交?  …でも紀美子さん一人で? 妄想が始まりましたが、その時は“羨ましい”などという感情は湧きませんでした。


 結局、部屋には2時間ほどいましたが、私も妻も今一盛り上がりに欠けた感じでした。どこかで堀田さん達の事が気になっていたのでしょうか。
 外に出ましたら、堀田さんのワゴンはまだ止まっている様子です。このタイミングで顔を合わせるのは良くないだろうと、私達は急いでそこを後にしたのでした。


 家に着いてしばらくすると偶然でしようか、堀田さんからメールが届きました。内容は、ご機嫌伺いと次の日曜日の確認です。私は昼間見かけた事を返信に書こうかと一瞬思ったのですが、そんな“野暮な“事は聞けないと思い直したのでした。


 私の頭はやはりスケベ心満載で、時間が経てば堀田さん夫婦の事を妄想しておりました。
 あの淫靡な畳部屋で、紀美子さんが複数の男に公衆便所のような扱いを受けているのです。性欲の塊のようなスケベ親父に、代わる代わる犯されているのです。全ての穴を使って奴隷のようにご奉仕するのです。最初は嫌がっていた紀美子さんも、最後は自分から精液を求めるのです。
 そして…堀田さんは…、全ての男が満足いくと、汚れた紀美子さんの身体を丁寧に舐めるのです。勿論男達に馬鹿にされながらです。
 堀田さんと紀美子さんは二人並んで正座をして、『本日は妻、紀美子を皆様で犯して頂きありがとうございました。最後にお願いですが、妻とsexをして宜しいでしょうか』、そう言って御夫婦は深々と頭を下げるのです。


 私の妄想はまだ続きました。
 許可を貰えた御夫婦は、男達の前で“営み”を披露するのです。しかし、男達はソレを見て罵声を飛ばすのです。堀田さんの男性器をバカにし、テクニックも持続力もバカにするのです。堀田さんは最後には足蹴され、男の一人に取って代わられるのです。男の一物は極太で、ソレを迎え入れた紀美子さんは随喜の涙を流すのです。紀美子さんは男達に、旦那との比較を質問され『皆様のチンポの方が良いですーー』っと叫ぶのでした……。


 2晩ほど堀田さん夫婦の事を妄想しておりましたが、次の日の夢の中には私達夫婦が登場いたしました。
 あのホテルの陰気な部屋で、妻が複数の男達に乱暴されるのです。私は妻を助けようとするのですが、屈強な男に押さえ付けられ身動き出来ないのです。逃げ惑う妻は捕まってしまい、男に犯されるのです。男達が代わる代わる妻に挿入を繰り返す様子を、私は涙を流しながら見るしかないのです。が、そのうちアソコが勃起し始めるのです。私はソレを男達に気づかれないように隠そうとするのですが、今度は妻の口から男を求める言葉が吐き出されていくのです。男達は私を自由にしますが、私は動く事が出来ず、傍らで逝きまくる妻をただ眺めるだけなのです…。
 そんな夢が2晩ほど続き、決まって目が覚めた時には私のアソコは、信じられないほど勃起していたのです。


 そんな日が続き、約束の日曜日がやってきました…。