小説本文



仄暗い照明(あかり)の下、しばらく紀美子さんの重みを心地良く感じていました……。


 汗のかいた身体から熱が引いた頃、私の耳元で囁きが聞こえました。
 「重くないですか」
 「えっ、全然平気ですよ」


 私の声に、はにかんだ表情には、満足の様子が窺(うかが)えます。とりあえず私とのsexに満足されたのかと、心の中には安堵の気持ちがわきました。


 「アタシの身体、どうでしたか?」
 紀美子さんの瞳には、悪戯っぽい線が糸を引いています。


 「ええ。とても素敵でした。…あの私の方は…」
 互いの身体の品評をする事など想像していませんでしたが、こんな言葉がスルッと出るのは、肌の相性が良かったという事でしょうか?


 「うふ。とっても素敵でしたよ。」
 「・・・・・・」
 「硬くて、大きくて、長くて。それにとても“厭(いや)らしく”て」 
 「…へへ、それは合格って事ですか」
 私は照れながら、冗談っぽく聞いてみます。


 「ええ。…そうなの。“合格”なんです」
 「えっ?」
 返ってきたその響きに、私は小さく聞き返していました。紀美子さんの言葉にはどこか“真剣味”が混じっていた気がしたからです。


 私はもう一度冗談っぽく聞いてみました。 「そうですか、合格ですか? それは良かった」
 その言葉を聞いて、紀美子さんが私を覗き込んできました。 私を見つめる瞳は、どこか潤んでも見えます。しかし、紀美子さんは軽く頷くと…。


 「…菊地さん…ちょっと聞いてもらえますか?」
 紀美子さんの畏まった口調に、私は頷きます。
 「あのね…アタシ達、もうこの世界から抜け出せないの」
 「へっ?」
 「最初はね、夫婦でエッチなサイトを覗いて楽しんでいただけなんだけど、そのうち興味本位で【募集掲示板】にメールを出したの。菊地さんと同じように」
 「・・・・・・」
 「それで、ある御夫婦と知り合って、アレヨアレヨと誘われるままこの世界に入ったの」
 「・・・・・・」
 「アタシも主人も見た目は真面目人間なんだけど、本当は典型的なむっつりスケベで。そんな本性を人前で出す事なんて、とんでもない事だったんだけど…」
 「・・・・・・」
 「でも気づいたらこの世界の住人になっていて…。今では菊地さん御夫婦を誘ったみたいに、何人かの人達を“こちら側”の世界に誘う立場になっていて…」
 「でもそれは…」
 「ええ。…闇雲に声掛けするんじゃなくて、アタシ達なりに“資質”のある御夫婦を選んでるつもりなんだけど…」
 「…ええ何となく分かります。同じような性格や性癖を持った同年代の夫婦を選んでるんですよね?」
 「…そうなの。それでどの夫婦も満足してくれるの。でも…後悔もするの。そして…気が付いた時はみんなもう、抜け出せないのよ」
 「え…後悔と言いますと…」
 「それは…」
 「・・・・・・」
 「…自分達がこの世界に足を踏み入れた事と、新しい夫婦を誘い込んだ時」
 「・・・・・・」
 「ごめんなさいね…」


 最後の言葉と同時に、紀美子さんがしがみついてきました。私は汗の引いた身体を抱きしめながら、今ほどの言葉について考えました。
 私が今覗いている世界は、間違いなく“異常”な世界です。夫婦交換など、まともな人間のする事ではない事は何度も考えましたから、分かっている事です。しかし、私達夫婦と堀田さん御夫婦は今は、その異常な世界で共調を始めた間柄で、今ここにいるのはその“異常者”同士です。その“仲間”に対して“後悔”とは…どう受け取ればよいのでしょうか?
 堀田さんが時折見せた悲しげな表情や紀美子さんの今の言葉は、私達夫婦にこの世界は似合わないと言ってるのでしょうか?それにしても『抜け出せない』とはどういう意味でしょうか?途中で止めたければ止めれる訳ですし。互いに素性も明かしあった訳ですから、秘密の共有はお互い様です。それとも他に何かあるのでしょうか……?


 それからどれ位、二人で抱き合っていたでしょうか。紀美子さんが私の胸から、のっそり起き上がりました。
 私が見つめた紀美子さんは、どこかスッキリした様子でした。その紀美子さんの朱い舌がニュルっと唇をひと舐めしました。この僅かな時間に決心でもあったのでしょうか、目尻に力が戻って見えました。そうです、とても卑猥な視線です。


 「菊地さん、アタシ、やっぱり止めれないわ。背筋がゾクゾクするような卑猥な行為を」
 紀美子さんのその表情に、私の背筋もゾクリとしました。
 そして、紀美子さんがゆっくり立ち上がりました。私は上半身を上げます。


 薄暗い部屋の中、乱れた布団の上で白い肢体がクルリと背を向けます。巨(おおき)な尻肉が揺れます。その臀(しり)が中腰になったかと思うと、回ってきた両手が割れ目の辺りを掴みます。そして、ネチャっと開陳したのです。
 座り直した私のちょうど視線の先に、ベタ濡れなアソコの様子が見えました。


 「ねぇ菊地さぁん。紀美子のオマンコ見てぇ。凄いでしょ。まだビショビショなのよ」
 ネットリ蜜をまぶしたような声質に、背筋はザワザワと粟立ちが沸きました。


 「うふ…今頃、奥様の浩美さんも家(うち)の人の前でこんな卑猥な格好をしてるわよ」
 そう言って、白い臀が更に突き出されます。割れ目の奥で、アワビのようなアソコが息づいています。私は妻の名を出され、ゴクリと唾を飲みました。


 紀美子さんは今度は、こちらを向き直ります。私と向き合うように腰を落とし、M字になりました。


 「…アタシ達夫婦はね、二人とも“S とM”が同居してるの」
 紀美子さんはそう言って片手で身体を支えながら、股を拡げます。空いた片手は陰毛を掻き分け、股間へ向かいます。


 「浩美さんはどう見ても“M”よね。家(うち)の主人に命令されて、恥ずかしい格好をさせられながらも悦(よろこ)んでるわよきっと」
 ムッチリした太腿の奥では、V字の指が濡れた陰部を拡げていました。ストリッパーが特出しをする格好です。私は座ったまま身を乗り出します。


 「ねぇ、菊地さんは奥様とはどんなsexをするの?」
 「・・・・・・」
 「ねぇ、アタシを相手に再現してみて。ねぇほら…」
 紀美子さんの言葉を聞きながら、私は目の前の身体に飛びついておりました。とは言っても、妻とはレイプごっこなどした事もありません。しかし、とにかく目の前の身体をムチャクチャに犯したい気持ちが沸き上がっていたのです。


 紀美子さんのムッチリした腿を持ち上げるように割り開くと、私は腰を滑り込ませていました。ぬかるみを探す私の一物は、充分な硬度を蓄えています。
 身体を強ばらせシーツを掴んだ紀美子さんでしたが、私の股間の物は一気に突き刺しておりました。私が腰を振り始めると、紀美子さんは大きく目を見開きます。


 「あっつ凄い!」
 叫びとともに、腿の厚みが腰を締め付けてまいりました。私達のアソコも一度重ねあったからでしょうか、互いを飲み込むように滑りまくった感じです。


 「もっと激しくして!もっと紀美子を犯して!」
 「・・・・・・・」
 「ああ…浩美さんをいつもこんな風に激しく攻めてるのね」
 と、紀美子さんは叫びましたが、私と妻の夫婦生活にはこんな乱暴な営みはありませんでした。
 それでも私は喘ぎ声を上げるこの女性を紀美子さん、いや妻、いや紀美子さん、いや妻、と訳が分からず腰を打ち込むだけでした。


 「んあっ もっとズコズコして!もっと抉って欲しいの!」
 「……ほらっ、どうだ!?この淫乱女!」
 自分の事をサデイスティックなタイプと思った事はありませんでしたが、この瞬間は紀美子さんに導かれるように叫んでおりました。腰も自分の意識とは別に、引き込まれるように動いておりました。


 「ああ、もっとよ!もっと紀美子を苛めて!紀美子を変態女にして!」
 「・・・・・・」
 「浩美さんも今頃、家(うち)の人に変態マゾ女にされてるわよ!」
 「んがっ!……」
 紀美子さんの言葉に身体が一瞬固まりました。同時にアソコも硬まりました。私の硬直に紀美子さんの表情(かお)が瞬間歪みます。
 私は思い直したように腰を振りました。身体中の血が逆流して鼻血も吹き出しそうな勢いです。


 「まだよ、まだ逝っちゃダメよ!」
 「・・・・・・」
 「そんなんじゃあ浩美さんを満足させられないわよ!家(うち)の人の物になるわよ!」


 しかし、私は限界でした。
 紀美子さんの言葉の最後と同時、ありったけの欲望を膣奥で爆発させておりました。
 頭のどこかで我慢が利かなかった情けなさと、しかし、経験した事のない快感の満足感とが入り混じった不思議な感触を味わっていました。
 そして、紀美子さんに覆い被さるように倒れると、頭の中は真っ白な霧に包まれていきました…。

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