小説本文



 堀田さんと紀美子さんの交わりは続いています。


 四つん這いで繋がったまま二人は、今度は身体の向きを私達の方に変えます。
 紀美子さんの妖しい瞳は涙目で潤み、朱い唇は半開きで甘い吐息が漏れています。堀田さんが再び腰を振り始めると、その唇が更に拡がります。


 「…あっあっあっ…」
 打ち込みに呼応するように唇は震え、虚ろな瞳は私と妻を交互に見つめます。


 「…ああ、浩美さん…」
 「・・・・・・・・・」
 「…ああ、見て、アタシの…アタシ達の嫌らしい姿を…」
 「・・・・・・・」
 「…ああ、アタシ達、見られると感じる変態なの。見られながらオマンコすると悦(よろこ)びを感じる変態夫婦になったの…」
 「・・・・・・・・・」
 「…ああ、アタシのオマンコ、今グショグショなの。見られてヌルヌルになってるの…」
 「・・・・・・・・・」
 「…ねぇ、ご主人も見て。もっと嫌らしい目で見てぇ。アタシこんな女なんですよ…」


 紀美子さんの口から溢れ出た卑猥な響きに、私の心臓はもうバクバクです。股間も信じられないような硬さで、納まり先を求めます。
 目の前の紀美子さん、隣の妻、もうどちらの穴でも兎に角ぶち込みたい気分なのです。そして私の物で、女性の口から変態的な言葉を吐かせ、私自身もそのおぞましい姿を見られたい衝動が沸き起こります。
 しかし、今日の約束は妻にも相手方の紀美子さんにも指一本触れられないのです。


 気がつけば隣の妻からも『はぁはぁはぁ』と紀美子さんの揺れに合わせるように、小さな吐息が聞こえます。
 妻の頭の中は…と一瞬考えます。私に四つん這いの格好で突かれたいと、思っているのでしょうか?いや、私とは違う男に突かれる姿を想像しているのでしょうか?それとも…私の目の前で別の男に突かれる自分を想像して、アソコを濡らしているのではないでしょうか?


 「ンアッーーッッ、もっと、もっとよぉーーー」女体が海老反り、顎を突き出しながら叫びます。
 巨(おおき)な乳房が目の中に飛び込んできます。その先の黒い突起を後ろから回ってきた大きな掌が握り掴みました。
 「ああーーッ、揉んでぇーーー、もっと揉んでぇーーーー」
 「・・・・・・・・・」
 「もっと!もっとよぉ!」
 その声に堀田さんの掌が、バシリと巨尻を一打ちします。まるで競走馬にムチを入れるように。


 「もっと打(ぶ)ってーー、もっともっとよぉーーー!何でもして!もっと激しく犯して!」
 「ングッ」っと私のノドが鳴り、妻の手を思い切り握りました。妻もそれ以上に握り返してきます。


 「…ああっ!逝きそう…逝きそうなの…」
 「・・・・・・・・・」
 「…ああ、見て、逝くところを見て!…浩美さん、ご主人、アタシが逝くところを見て!主人がアタシの中に出すところを見ていて!アタシ達変態夫婦が一緒に逝くところを見て!」


 紀美子さんの叫びに、私も間違いなく妻も知らずに頷いていたと思います。
 紀美子さんは私達の表情に満足したのか、微かに笑みを浮かべるとカッと腰に気を張りました。そして。
 「あああーーッ逝くぅーー!幸せぇーーー!」と、歓喜の雄叫びを上げ崩れ落ちたのです。同時に堀田さんも「うっ」と小さく呻くと、身体を硬直させたのでした。


 「・・・・・」
 「・・・・・」
 私達はしばらく、重なり崩れ落ちた肢体を見つめていました。
 掛ける言葉も思いつかず…。こんな時に声など掛けて良いのか…。ただ荒い呼吸音だけが響いておりました。


 私は思い出したようにチラリと時計を見ます。堀田さん達が行為を始めて30分ちょっと、と言ったところでしょうか。しかし、私にはとてつもなく長い時間が経った気がしていました。


 目の前の二つの肢体は、木屑(きくず)のように重なったままです。
 紀美子さんの腿裏には白い液が流れ出ています。
 のっそり起き上がった堀田さんが、紀美子さんを仰向けに転がし、再び股間を拡げます。私の目には、精液が溢れ出るアソコの様(さま)がハッキリと映ります。


 「紀美子…」
 堀田さんの小さな声に、紀美子さんは自分の太腿の裏に手を回しグッと抱え込みました。毛深いアソコと、その下のアナルまでもが引きついているのがよく見えます。


 堀田さんは上になり、先程と同じように逆69の体制で自分の精液で汚れたソコを、しゃぶり始めました。 
 紀美子さんも下から目の前のご主人の汚れたペニスを喰わえます。
 私も妻も、もう一度ゴグリと唾を飲み、しばらく御夫婦のその行為を見ておりました。


 しばらく互いの性器の後始末を行っていた二人が、ゆっくり身体を起こします。
 二人は膝立ちのまま背中を見せています。そして、ゆっくり唇が近づき重なったのです。 二人の口づけは、それまでの行為に互いが褒美を与えるような優しいものです。私の中には、何とも言い難い気持ちが立ちこめてきました。


 堀田さん御夫婦は口づけをしながらゆっくり身体を前に倒し、二人揃って四つ足の格好になりました。二人は四つん這いのままグゥーっと尻を突き上げます。
 目の前には熟れた熟尻と、毛深く醜い中年男の尻(ケツ)があります。写真に撮れば、それは間違いなくグロテスクな画像となるのでしょうが、心が通じ合った夫婦の1枚なのかも知れません。二人はその形のまま、口づけを続けています。


 やがて頃合を見計らったのか、二人は立ち上がります。そして最初と同じように、二人並んで立ち姿を披露するとペコリと頭を下げたのです。


 二人が一緒に浴室に向かった跡には、乱れた白い布団が目に付きます。仄暗い照明と淫臭が漂う布団。私はその上に妻を押し倒したい衝動にかられていましたが……。


 堀田さん御夫婦が浴室から戻ってからは、二人は”一仕事”でも終えたような一服感です。いつの間にやら世間話も出始めていて、私の湧き上がった熱い気持ちも沈静に向かっておりました。と、その時でした「菊地さん、どうでしょう。まだ時間はありますから」私はその言葉に「え?」と考えます。堀田さんが私と妻を、交互に見てニヤついているのです。


 「私達は他の空いてる部屋に移りますから、ここでご夫婦で…」
 「!…」
 私は直ぐに堀田さんの意図が分かりました。自分達の“実演”を見て燃え上がった欲求を鎮める為に、この部屋を使えと言ってるのです。自分達は姿を消すから、気兼ねなく夫婦で犯(や)りまくれと言ってるのです。
 私は無意識に、ぎこちなく、頷いていました。隣の妻は…と見れば、首筋を真っ赤にして俯いています。


 堀田さん達がこの部屋を出て行くと、私は乱暴に妻の服を脱がしにかかりました。妻はとっさに身体を硬くしましたが、殆ど無抵抗のまま私にされるままでした。私達はシャワーも浴びず、互いの汗も我慢汁の跡も気にする事なく、貪(むさぼ)り始めました。


 行為の最中には先程の堀田さん夫婦の営みを思い出してか、無意識に同じような攻めをしておりました。誰かに見せるつもりで、思いっきり陰部を開帳してやりました。


 「お前の嫌らしい変態マンコを見てもらえ!」


 「チンポならどんな男のチンポでもいいんだろ!」


 「お前は見られながら犯(や)ると感じる変態マゾ女だ!」


 いつも以上の言葉攻めに、私自身も酔っておりました。妻を見せ物扱いしながらも、自分自身も晒し者になっている気分に、陶酔の世界を味わっていたのです。


 堀田さん達と同じ獣(イヌ)の型(かたち)で射精を終えた後は、互いの汚れた性器の後始末を行い。そしてこれまた同じように、私達も四つん這いになり、そこに誰かの目を意識して二人でこれでもかと尻を突き上げたのです。
 アナルから股間の辺りに開放感が広がり、腹の中をさらけ出した気分に、従順で隷族な意識が広がっていきました。妻も間違いなく同じ気持ちで、陶酔の世界に浸っていたと思います。そして、私達は静かに口づけをしたのです……。