小説本文



 妻と向かい合ったこの空間は、すっかり淫靡な香りに包まれておりました。


 妻の口からは、男子トイレで犯された日から約2週間に渡る清水がいう“遊戯”の事実が夜通し語られました。
 妻はまるであのリーダーの男、清水に乗り移られたように、淡々とその卑猥な行為について語ったのです。


 職場の男子トイレで犯された妻は、その次の日の昼休みにも、同じトイレで同じように清水達から凌辱を受けました。
 そして更にその次の日は、同じ男子トイレで素っ裸にさせられ、便座に腰を掛けた格好でオナニーを強要させられたのです。
 夫婦の秘密を握られ、人様に見せられない写真を撮られ、それらをネタに息子の名前まで出され脅されたとはいえ、妻が言われるまま自身のオナニー姿を披露したとは信じられませんでしたが、『こう、ウンチングスタイルで便座に足を乗せまして…』とその時の様子をリアルに表現する言葉に、私はその事実を認めざるを得ませんでした。そしてその言葉に確実に興奮を覚えておりました。また、その時の姿は写真と動画に撮られていたと言うのです。


 オナニーの実演を撮られた次の日の出来事も衝撃的でした。
 その前日の夜に、清水からメールで“命令”があったのです。妻は命令に従い、昼休みに同じ男子トイレに向かったのですが、行ってみると誰の姿もなく。けれど妻は命令通り個室で全裸になり、そこで脱いだショーツを頭から被り、前の日と同じように便座にM字座りでオナニーをしたと言うのです。そしてその自分の姿をスマートフォンでいわゆる“自撮り”して、その映像をやはり命令通り、リアルタイムで清水に送ったのです。更に、その個室の壁に“落書き”を指示されていたのです。


 妻は私の「な なんて書いたんだ…」と震える声に、[この役所に勤める人妻の職員です。人の目を盗んでこの男子トイレでいつもオナニーをしています。証拠にアタシの愛液の付いたショーツを置いていきます]と書いたと答えました。そして本当にショーツを落書きの横にピンで留めてきたと言うのです。恐らくは、いえ間違いなくその落書きもショーツも写真に撮り、清水に送ったと思いました。


 男子トイレでの“遊戯”は計4回行われ、その次の日からは、露出プレーを強要されておりました。
 仕事帰りに清水達の車に拾われ、公園や飲み屋街、また一度は河川敷の浮浪者が集まる場所にも連れて行かれていました。
 普段から残業も週に何度かある妻でしたから、私は帰宅の遅い妻にもそんな事が行われていたとは、全く気づかなかったのです。
 私は「ろ 露出だけですんだのか」と怖々聞いたのですが、妻はもう覚悟をしていたのでしょう、「いえ…」と一言言うとその時の様子を語ったのです。


 初めての露出プレーは、私達の家からも割と近くにある運動公園の駐車場でした。
 その公園には駐車場が3箇所あり。妻はその中でも一番大きくて子供用の広場の隣の駐車場に連れて行かれたのです。
 車はワゴン車…恐らくホテルで何度か見たワゴン車のようで、窓にはスモークが貼られていたらしいのですが、妻はその中で素っ裸にさせられたのです。
 清水達が運転する車は、陽が暮れかかる頃に駐車場に着いたらしいのですが、その駐車場には帰り支度をしているお母さん連中が大勢いたと言います。


 「まさか…浩美は、その家族連れの前に裸で出て行かされたのか?」
 妻は首を振りました。
 私は以前、妄想の中でですが、衆人の前で妻に局部を晒させた事がありました。しかし現実の世界で本当に…と考えてしまいます。


 その時の妻は、車内から窓越しに自分の陰部を開陳したと言います。いえ、最初は男の一人に後ろから足を抱えられて股を拡げられたと言います。その次に、四つん這いになって、尻の割れ目を窓ガラスに押しつけたのです。
 いくらスモークで外からは見えなかったとはいえ、妻は視線が突き刺さるような感触を覚えたと言います。
 またその日は、裸のまま外に連れ出される事こそ無かったのですが、車中で男達の精液を飲まされたのです。
 私自身は妻との長い夫婦生活でも、精飲などして貰った事は無かったのですが…。私は腹の奥から、ズキズキする痛みを感じていました。
 その日の“プレー”はそれで終わったのですが、土曜、日曜を挟み、月曜日もまた、仕事が終わると清水の車が待っていたのです。


 月曜の仕事帰りに車に乗せられた妻は、清水から前日の日曜日の“出来事”に付いて聞かされておりました。それは、堀田さん夫婦の話しでした。いえ、正確には堀田さん達以外にも何組かのご夫婦がいたのです。


 その日曜日はあの例のホテルに、清水達以外に“お客”と呼ばれる男達が何人も集まって来ていたのです。
 そこでは、ある一組の夫婦が男共の前でSEXの“実演”を行い、別の夫婦の“妻”は男共の慰み者としてSEXの相手をしたと言います。そして“夫”の方は、妻に射精を終えた男のペニスの後始末を自身の口でさせられたと言います。
 もう一組の夫婦は目の前で男達に妻を犯されながら、自身のペニスの扱く姿を披露させられていたのです。
 妻も、どれが堀田さん夫婦の役目だったのかは分からなかったと言いましたが、私の頭の中には清水が言っていた『仕込み』『お仕事』と言う単語が浮かんでおりました。


 妻は車中でその怪しい集まりの話を聞かされ、背筋が冷たくなったと言いましたが、それはやがて悶々とする気持ちに変わっていったのです。そうこうしている内に連れて行かれたのが、ある駅裏の繁華街だったようです。
 その駅の南口は、この辺りではちょっとした歓楽街で、飲み屋や風俗店がひしめき合っている場所である事は私も知っておりました。


 妻は車に乗せられるとすぐに、靴だけを残してそれ以外は真っ裸にされたと言います。車内では男達からバイブでアソコを弄られ、何度もの絶頂をも味わされていました。そして朦朧(もうろう)とした状態で、薄いコートだけを羽織らされ外に連れ出されたのです。


 繁華街はまだ賑わいを見せる前だったのですが、妻は清水の命令の元、世間の目に初めて己の裸体を晒したのです。
 その時の男達は3人で、一人が見張り、一人がカメラ、そして清水が妻を連れて歩きながら指令を出していたようです。


 妻の話を聞く私の身体は異様に熱くなり、目を見開きながら「ど どんな風に…その、やったんだ…」と妻の顔を覗き込むように聞いておりました。


 清水は最初、その通りを妻の肩を抱いて歩きました。妻は50m程の距離だったと言いましたが、私はそれは緊張のせいで、実際は半分ほどの距離ではなかったかと思いました。


 妻によりますと、清水は歓楽街を我が物顔で、風俗店や飲み屋の呼び込みの男達と談笑しながら歩いたと言います。妻は、男達にどんな目で見られたのでしょうか。
 そしてついに、通りの一角で羽織っていたコートを脱がされたのです。
 妻は、その時の様子というか、気持ちというか、自身の心の中を『恥ずかしさ、はしたなさで、頭の中が真っ白になった』と言いましたが、私の中には懸念がおこり。その心配とは妻の脳は“快楽”に向かってタガが外れてしまったのではないかと言う事でした。




 妻は翌日の火曜日も、清水達に露出プレーに連れ出されていました。
 火曜日の場所は、ある町の商店街でした。私には馴染みのない場所です。
 その日は清水を入れて4人の男がいました。そして妻は、前日と同じように車の中で裸にされ、薄いコート1枚を羽織った格好で外に連れ出されたのです。


 前日は歓楽街で水商売の男共の前で、言わば堂々と露出させられたのですが、その日はまともな世間での露出プレーでした。妻は買い物に来ていた主婦の目を当然気にしたと言いました。
 最初は清水の指示にも抵抗をしたのですが、これまでの自身の卑猥な写真と息子を盗み撮りした写真を見せられ、結局諦めたと言います。
 そしてまずは、コートの前だけを広げ、20m程の距離を歩いたと言います。そして、買い物途中の主婦の視線を感じました。
 私の頭の中にはその時の妻の様子が浮かびました。トロ~ンとした目で、巨(おお)きなオッパイを震わせ、熟した下腹を揺すり、股間の陰毛をさらけ出して歩く妻です。そして、その時の妻のアソコは、シドドに濡れていたのではないだろうかと想像してしまいました。
 そんな想像が働くと、私自身のアソコが硬くなってきました。そして次の話に血が沸騰するような衝撃を覚えました。


 清水達も当たり前の事で、通報などには気を付けていたようですが、彼らはとんでもない事を考えていたのです。
 通りの一角に3,4人の中学生がいたらしいのですが、なんと妻をそこに向かわせたのです。妻は、コートの前を重ね合わせ裸を隠すようにそこに向かいました。そして、学生達の前に徐に立つと、キョトンとする表情を前に、コートをバッと開いて見せたのです。


 学生達のポカンとした表情(かお)に見上げられながら、妻はしばらくの間、開いたコートを閉じられなかったと言います。
\” 夕暮れの風が熟れた体に巻きつく感覚が、心地よかったのでしょうか?それとも非日常的な空間に居心地の良さを感じてしまったのでしょうか……。とにかく妻は、清水に肩を叩かれるまで,乳房、下腹、陰毛をさらけ出していたのです。その後はいつ車に戻ったのかも記憶がなく。気がつけば家の近くのスーパーの駐車場に一人で立っていたのです。そして……私は、その話の続きにも腰を抜かしそうになりました。\”


 妻はスーパーの中に入っていき、トイレで身だしなみを確認しました。もちろん女子トイレです。
 トイレを出た妻は……、男性トイレの入口の前でしばらく立ち止まっていたと言います……。その時、妻の頭の中で誰かが囁(ささや)いたたのでしょうか……。そして、階段の踊り場に向かったのでした。
 踊り場で妻は、スカートの中に手を入れショーツを掴むとユックリそれを下ろしました。もちろん、人の目は気にしたと言います。
 そして、スカートをまくり上げ股間をしばらく晒したのです。


 私は息を呑むと、口を潤そうと湯呑みに手を持っていきましたが、その手は見事に震えておりました。


 「ひ 浩美、ちょっと待ってくれ。その…今の話は本当の事なのか?。清水達に言われて作り話をしているんじゃ…」
 私の歯切れの悪い問いに、妻は表情も変えず「いえ、違います」と、短く答えます。
 そう答えた妻の顔を、私はじっと見つめました。


 「浩美、お前…それじゃあ奴らから脅されている意味が…」
 自分でも何を言おうとしてるかよく分かっていなかったのだと思います。しかし、それ以上にその時の妻の頭もどうかしたのだろうかと思いたい私だったと思います。


 「わ 分かった。それで次の日は?」
 私の重い呻きを聞いて、妻は再び話し始めました。


 その次の日の水曜日は、特に呼び出しや待ち伏せはありませんでした。しかし、その夜には清水から“命令”が来ていたのです。
 私は当然その内容を質問しました。妻はそれに対し、その時のメールを目の前で開いて見せました。


 [明日はノーパン、ノーブラにミニスカートで職場に行け。帰りは全裸の上からコートを一枚だけ羽織って正面口で待っておけ]


 私はその文面に驚きを覚えつつも、妻の姿体を思い浮かべました。
 「も 木曜日はミニスカートなんかで出かけなかったよな…」
 震える声に妻は「はい…さすがに家からミニスカートでは行けませんから、紙袋に入れて持って行き、駅のトイレで着替えました。…何年も前に買ったスカートです…」と落ち着いて答えました。
 妻を見つめる私の目は『ど、 どんな感じだったんだ、その時は』と聞いておりました。妻は私の意図を察知したのか、コクリと頷きました。
 「朝礼の時、一番前で課長が皆の顔を端から順番に見ながら、アタシの所でハッと止まったのが分かりました。」
 「・・・・・・・・・・・」
 「そして直ぐに、皆の視線がアタシに突き刺さってきました。驚きと軽蔑が混ざった視線だったと思います」
 「んぐぐ」と、私は心の中で呻きました。妻は先ほど『さすがに家からはミニスカートで行けない』と言いました。なのに朝礼の様子を聞くと、職場での破廉恥な姿には抵抗がなかったのかと思ってしまいます。やはりトイレでの“行為”が妻の体質を変えてしまったのかと、私はもう一度呻きました。


 結局、その日は一日中短いスカートを履いて過ごしましたが、清水は職場には来なかったようです。しかし…、昼休みには又あの別棟の男子トイレに一人で向かっていたのでした。


 妻が壁に書いた…いや、書かされた落書きが何かしらの噂になっていないかも気になりましたが、そこに短いスカート姿なんかで向かったらと、心は緊張を覚えました。


 「浩美…そのトイレも清水の命令だよな…」
 私はなぜ、そんな質問をしたのかも分かりませんでしたが、心のどこかで確認したかったのだと思いました。自分の意思ではないと…。
 しかし…。
 「いえ、命令はありませんでした…」
 「……なっ ならなぜそこに?」
 「………………」
 妻の沈黙に額からは脂汗が滲み出ます。


 「わ 分かりません……」
 「・・・・・・」
 「・・・・・・」


 しばらく黙った後、妻の潤んだ瞳は私の視線から逃げるように下を向き「アタシ自身もその時の自分の行動がなぜそのような事をしたかは説明がつかないのです…….」
 「・・・・・・・・」
 「……ただ、彼らに脅され呼び出されてるって暗示にかかっていたのかも知れません」
 「・・・・・・・」
 “暗示”という言葉に私は、それは妻の資質のせいではないかと瞬時にそんな考えが頭を横切りました。


 「それでトイレで、な なにかしてきたのか?」
 「……い、いえ流石に……」
 「浩美、いいんだぞ正直に言って。もう多少の事では驚かないから」
 私の声にも妻は分かっているのか、分かっていないのか、どちらともとれる表情です。


 「はい…。何も変な事は…ただ、トイレの個室に入りますと、先日アタシが書いた落書きの跡がそのまま残っていて….」
 「・・・・・・・・・」
 「….その横に[〇〇〇公園の西出口の公衆便所に行け]と、落書きがあったんです。
 「なっ なんだって!」


 それは間違いなく清水が書き記した落書き….いえ、“指令”なのでしょうが、清水は妻が再びその男子トイレに、しかも一人で行くと分かっていたのでしょうか…。私の背中には冷たいものが流れ落ちていきました。


 〇〇〇公園はここから電車で二駅ほどの所にある、河川敷の横の小さな公園でした。
 そこは昔からある古い公園で、浮浪者の溜り場にもなっている公園でした。


 「ひ、浩美はそれで、その公園まで行ったのか?そしてトイレに…….」
 私の問いに、妻は静かに頷きました。


 「はい。その日、仕事が終わると身体が勝手に向かっていました。……トイレは1か所だけだったので直ぐに分かって…」
 「・・・・・・・・・・」
 「けれど誰の姿もなく。アタシは男子トイレの方に入って行き…」
 「・・・・・・・・・・」
 「個室が二つあったのですが、その一つの壁にまた“落書き”を見つけたんです」
 「ん!な なんて」
 「はい。[金曜日の仕事帰りにもう一度ココに来い]って。そして、その横にアタシの写真が貼られていたんです」
 「なっ なにーー!?」
 叫んだ自分の声と同時に、頭には『どんな写真なんだ』と、心の声が聞こえました。


 妻は私の目を見て再び話し始めました。
 トイレに貼られていたのは、職場の男子トイレでオナニーをしている姿でした。目線には黒い横棒が引かれていたようですが、妻はその写真を剥ぎ取り、逃げるように帰ったのでした。
 しかし次の日の金曜日には、仕事が終わった後、もう一度そのトイレを訪れていたのでした。


 命令通りにそのトイレに向かった妻を待ち受けていたのは、清水の仲間と数名の浮浪者でした。
 私の頭には浮浪者に輪(まわ)される妻の姿が浮かびましたが、実際のところは輪姦はなく。しかし、清水の指令で浮浪者たちは妻を裸にひんむいたのです。
 妻は臭い息の男に唇を奪われ、別の男に乳房を舐られ、また別の男からはアソコを弄られていたのです。
 そしてしゃがまされ、汚れたペニスを何度も何度も口の中に出し入れされました。


 浮浪者の話を最後に、私の知らなかった2週間の告白が終った・・・と思ったのですが、その時…。
 「それと貴方…実は….」
 「・・・・・・・・・・」
 「もう一つ、貴方に言っておけと、言われている事がありまして」
 「・・・・・・・・・・」
 「許可があるまでセックスするなと…」
 「?・・・・」
 「夫婦でセックスするなと・・・」
 「!・・・・」
 「それと私も貴方も、オナニーもするなと・・・・」
 「!・・・・」
 「・・・・・・・・・・」
 「・・・・・・・・・・」


 それからまだしばらく、私達は黙ったままお互いを見つめあっておりました。これから私達夫婦はどうなってしまうのだろうか……そんな事を考えながら・・・・・。