小説本文




 堀田さん御夫婦と初めて会ってから、数週間が経っていました。


 休日の午後、携帯電話がなりました。相手は堀田さんです。
 『…ご無沙汰しております。その後は如何でしょうか?』
 相変わらずの落ち着いた声にも、私の中には緊張が走ります。あれからというもの、私達夫婦にもそれなりの葛藤があったのです。 
 (やっぱり他人夫婦を交えなくても、今のままで良いのではないか? いやいや、今までの刺激じゃもの足らないよ。だからメールを出したり、実際に話を聞いたんじゃないか。でも、他人に巻き込まれるとトラブルも? いや、その可能性もあるけど大丈夫さ)
 私達夫婦の気持ちも、安定しない空模様のように揺れていたのです。


 しかし…私の予感…もう一度あの御夫婦・・堀田さんに声をかけられると靡(なび)いてしまう・・心のどこかでそんな気がしていました。そしてその予感は妻の浩美の中にも、間違いなくあったと思います。


 『…菊地さん、色々とお悩みだとは思いますが、私も紀美子もあれから話をしまして、菊地さん御夫婦と良い交際をしたいという想いで意見は一致しております』
 その言葉に身体が軽くなった気がしました。そうなんです。考えてみれば、こちらが良くても相手から断られれば成立しないわけですから。少なくとも私達夫婦は、堀田さん御夫婦には認められたという事になります。後は我々夫婦の気持ち次第です。


 『それで今日電話しましたのはね、この場で結論じみた事を頂こうというのではなく。一度私達の“営み”を菊地さん御夫婦に見て頂けないかと、お誘いの電話なんですよ』


 私は堀田さんの言葉に数瞬考えます。しかし直ぐにその意味が分かりました。“お互い”ではなく、一方的に私達に自分達のセックスを見てくれと言っているのです。私達より先に“恥”を晒そうと言ってくれてるのです。
 また、4人で部屋に入って、いざ服を脱ぐ時点になって、私達が躊躇しないように免疫をつけようとしてくれているのでしょうか。それと、堀田さん御夫婦には見られたい性癖があるのだと思いました。


 「あっ…はい、いえ、妻の浩美にも聞いてみます」
 とっさにそんな言葉が口に付きましたが、私の気持ちはもう決まっていましたし、妻も口ではどう言うかは分かりませんが、心の中は見たいに決まっていると思いました。
 電話はその後は、取り留めのない話しをして切りました。


 私は直ぐに電話の内容を妻に伝えました。妻も次は見学だけと安心したのか、その場で承諾してくれ、私は直ぐに電話を返したのでした。
 そして、次の日曜日が“その日”と決まりました。




 日曜日。
 この日はとあるターミナル駅が待ち合わせの場所でした。そこで堀田さんの車に拾ってもらい、そこから高速を4~50分走った所が目的の場所です。


 堀田さんの車は大型のセダンで、窓にはうっすらスモークが貼られています。今日の場所は昔ながらのラブホテルで、コテージタイプだと聞かされていました。車が部屋専用の駐車場にそのまま入れるので、複数人でも利用可能のようです。それでも従業員に見られないように、スモークを貼った車にしたそうです。


 車の中の会話は、我々がこれから淫靡な遊びをするなどとは誰も想像がつかないほど、極々普通の世間話でした。それでも時折、前に座るこの中年夫婦がどんなSEXをするのか?などと考えては、もし逆の立場だったらと、色んな妄想が膨れ上がりました。


 目的のそのホテルはインターの出口から直ぐで、「菊地さん、あれがそうです」と堀田さんの声と同時に武者震いがおこりました。妻を覗けばやはり、緊張の色が表れています。
 堀田さんは何度か利用経験があるようで、手慣れた様子で一番奥のコテージへ車を進めます。


 車がすっぽり駐車スペースに収まり、ドアに手をかけた時でした。
 (あれ?)
 20メートル程離れた同じタイプの部屋の駐車場に止まっているワンボックスの中から、人が降りているのです。この手のホテルならそんな光景に出くわす事はあり得るのでしょうが、私が驚いたのは、車の中から出てくる人の数です。私達のように二組でコッソリ利用する者もいるかも知れませんが、私がざっと数えた所では中年の女性が降りた後は、中年の男が6,7人ほど。しかも皆、場慣れした雰囲気です。気づけば堀田さんもハンドルを握ったまま、その様子を見つめています。


 車内に沈黙が流れましたが、直ぐに「じゃあ」と言う堀田さんの声で、私達は車から降りたのです。


 部屋の中はそこそこ広く。続き間の扉の向こうの部屋には、布団が敷かれています。レトロっぽい照明(あかり)と和室の雰囲気が、独特の哀感を出しています。気がつけば紀美子さんが手慣れた動作でお茶を入れてくれてます。堀田さんの方がどことなく落ち着かない感じでしょうか。妻は…と見ればやはり落ち着かない様子で、座ろうか立っていようかといったところです。


 湯のみが置かれ、思い思いにそれを取ります。洗面所の方からは、お湯がバスに落ちていく音が聞こえてきます。
 しばらくして、「では私から」と堀田さんが一人で浴室に向かいました。
 ご主人の背中を見送った紀美子さんが、優しく妻を見つめます。
 「浩美さん、今日は恥ずかしがらずに私達のをね….」
 そして「ご主人もね…」。
 私の方を向き直ったその表情に、思わずドキッとしました。部屋の雰囲気もあるのでしょうか、紀美子さんの朱い唇、そして何より長いまつ毛が瞬きを繰り返すその奥で、瞳が妖しく輝いて見えます。


 妻は初めて紀美子さんに会った日に、『この手の遊びを始めてから夫婦仲が良くなった』と、それと『周りから綺麗になったと言われる事が増えた』と聞かされたと言っておりました。
 私はこの数日間、何度か紀美子さんとのsexシーンを妄想しましたし、妻が堀田さんに貫かれるシーンも想像しました。そして間違いなく、妻も同じ様な妄想を…。


 しばらくして堀田さんが戻って来ました。備え付けの薄い水色のガウンを着ています。今度は紀美子さんが浴室に向かいます。
 堀田さんが黙ったまま腰を降ろして胡座をかくと、裾の隙間から毛深い足が覗きました。
 堀田さんはあえて沈黙をつくろうとしているのか、この部屋に入ってから殆ど喋りません。その緊張が嫌でも私達に伝わります。私達は寄りそうようにまた少し肩をよせました。妻の表情(かお)はホロ酔いしたように、朱身をおびてきています。


 「…堀田さん、き 緊張しますか?」私の口から小さく言葉が洩れます。
 「……」
 堀田さんは黙ったまま、こちらを見つめるだけです。しかし、その眼差しには悲しそうな色も見えます。


 やがて浴室からシャワーの音が止まり、紀美子さんが戻って来ました。紀美子さんはピンク色のガウンを着ています。
 堀田さんが立ち上がり、二人は目を合わすと静かに頷きました。


 部屋の照明は昭和時代のレトロ調です。堀田さんがその照明(あかり)をまた少し落とすと、更に隠微さが増しました。
 紀美子さんが続き間の扉を閉めると、6畳程のこの畳部屋に重苦しい空気が流れます。


 私は胡座を組み直し、妻は横膝のまま私に寄りかかるようにしています。その私達の目と鼻の先で、色違いのガウンを纏った夫婦が、立ち姿を披露するように畏まっています。


 私はゴクリと唾を飲み込みました。
 お二方は黙ったまま無表情。それから息を合わせたように、同時にガウンの結び目に指をかけました。


 シュッシュッと掠れる音がすると、スルッとガウンが下に落ちます。ゴクリと今度は妻の口から音が洩れました。


 目の前には一糸も纏(まと)わない生まれたままの、二つの裸体です。私達と同じ年の頃の中年の裸なのです。
 私は、いえ、私達は引き寄せられるように二つの裸体を見つめます。
 堀田さんはガッチリした肩幅で胸には薄い胸毛が。お腹は私と同じような中年腹。ヘソから下は毛深く、股間の辺りからすねに向かって生い茂っている感じです。陰毛から顔を出す男性器の大きさはそれ程でもなく、大きさも私と同じといったところでしょうか……と、妻の様子を横目で覗いてしまいました。 


 紀美子さんはと…私が恥ずかしそうに眺めるのが逆に失礼かと、顔を向けるとその裸体をキュッと見つめました。乳房は大きくサイズでいうと90位でしょうか。お腹から下腹は、ムッチリ脂(あぶら)がのったという表現が頭に浮かびます。その下の股間の部分、陰毛はご主人と同じく結構毛深く、黒く生い茂っています。


 二人の両手はだらりと腰の横で伸び、身体は無防備に晒されます。魂を抜かれたように、身動きもせず投げ出しているようにも見えます。
 数瞬の間があり、私の唾を飲み込む音がすると、計(はか)ったように二人はゆっくり向かい合いました。そして二つの唇が静かに重なりました。
 そのキスは決して激しいものではありませんが、ネチャ グニュ ブチュっと、これから始まる行為に潤滑の油をさす感じです。
 やがて身体は、支え合うように静かにしゃがみました。そして、布団の上に沈み行くように重なり合ったのです。


 淡いレトロな灯りが布団の白を浮かび上がらせ、紀美子さんの朱い唇がナメクジのような動きを始めます。堀田さんは目を閉じ、顎を上げます。朱い唇は日焼けした首筋から胸へ、そして小さな乳首へ、そこで堀田さんがゆっくり腰を上げ立ち上がります。
 膝立ちの紀美子さんの目の位置には、男性のシンボルがあります。紀美子さんの綺麗な指が堀田さんの腰に回り、朱い唇は器用に男性器の亀頭を捉えました。


 隣からネチャッと唾液の音がしました。妻の手が私の手の上に重ねられます。横目で見る妻のうなじが色っぽく見えてしまいます。 紀美子さんのフェラチオが激しさを増していきました。


 私は目の前の紀美子さんに妻をだぶらせます。妻が知り合ったばかりの男に自分からキスをしているのです。そのキスはされた事も、勿論見た事も無い卑猥なものです。そして、口元から聞こえる濁音も聞いた事の無いものなのです。私の股間がキューーっと熱くなっていきます。
 フェラチオ行為の後は堀田さんが女体を仰向けに、自分は紀美子さんの顔を跨ぎ唇を女性器に近づけます。堀田さんはチラリと私達を確認するといきなり、紀美子さんの股間を広げたのです。
 目に飛び込んだのは黒々とした茂みの奥で、口を開けたアワビのような赤黒い女性器です。


 堀田さんご夫婦は逆69を続けます。紀美子さんが男性器を吐き出すと同時に「んあっ…」と呻(うめ)きを上げ、続けて「あっ…いぃっ!」と生臭い声を吐きました。
 堀田さんの舌は紀美子さんが上りつめる寸前で離れ、大きな手は女体の腰を掴むと今度は四つん這いの格好に誘います。
 私達の目の前に巨(おおき)な生臀(なまじり)が迫ります。妻の臀(しり)より大きく、充分にふてぶてしい大きさです。


 尻を突き出した無防備な女体もまた、妻とだぶります。妻が知り合ったばっかりの男の手にかかり、言われるままに卑猥なポーズをとらされているのです。
 堀田さんは尻肌に頬ずりすると割れ目に手をやり、グッと開陳します。ヌチャっと淫靡な音がして、菫色のアヌスと赤い陰部が拡がります。私は妻が弄(もてあそ)ばれてる錯覚に胸がかきむしらる想いです。 その私の手を握る妻の手には力が加わっています。


 「ハァ、恥ずかしぃ…」
 羞恥な様(さま)に紀美子さんの口から小さな声が漏れ、同時に堀田さんの掌が巨大な臀肌を一打ちしました。バシッという音で「ハアァーーッッ」と声が上がるとともに女体が艶(いろ)っぽくくねります。


 堀田さんの目にも卑猥な色が浮かんでいました。自分の股間に目を落とし、膨れ上がったソレを握ります。私達の角度からもソレが確認できます。
 私の勃起時と比べて大きさは変わらないと思ったのですが、赤黒いその色は年季が入って見えます。
 妻は…と、一瞬思います。間違いなく私以外の男の“物”を生で見るのは初めてだと…。


 紀美子さんは臀(しり)をグッと突き上げたまま、荒い息を吐いています。ベタベタに潤んだソコは艶めかしく、テカリ輝いています。


 堀田さんは紀美子さんの後ろに回り、毛深い脚はデカ尻を跨ぐように締め付けるようで、股間のシンボルは入口に狙いを定めています。 私も妻も結合の瞬間に息を止めました。


 「ンアーーッ」
 生臭い声が上がると直ぐに、パンパンと尻肉を打ちつける音が響きました。
 堀田さんは女体に覆い被さるようにして腰を打ちつけていきます。
 私達の目には生殖器が自ら意思を持って、片方は抉(えぐ)ろうと、片方は呑み込もうと、互いを喰いあっているように見えます。


 激しい出し入れの上では、堀田さんのアヌスが息づいています。私は堀田さんに代わって、いえ、なりきって紀美子さんを征服したい衝動にかられます。同時に妻が私以外の男に犯されている気分に、興奮を覚えています。そして私自身も獣のようなセックスを人様に見られたい、という想いが駆け上がったのです。

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