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第35話
大塚の家で、早苗母子がまさかの対面をしてから、2週間近く経っていた。
とあるファミレス。そこには大塚と神田がいた。
「大塚君、先日はご苦労だったね。私も見たかったが、急ぎの用事があったのでな」
神田がコーヒーカップを置いて、優しい笑みを向ける。
大塚が口からカップを離して、はいと頷いた。
「早苗さんや優作君には刺激が強すぎて、ちょっと申し訳ない気もしましたが、上野君も我が強くて残忍なところがありますからね」
上野の性格を問題視しながらも、大塚の口調は飄々としたものだ。
「ふふ、上野君は優作君のようなタイプとは合わんだろうから、まぁ仕方ないわな」
そう云って神田が笑う。
「先生、それで早苗さんですが、その後はどんな感じですか」
「あぁ、あの日の夜…遅くに私の所に連絡があってな。家には戻れない、息子の顔は見れない、と言いおるもんじゃから、あのビル…【華の会】の入っておるビルの一室に呼んでな、今はそこで寝泊まりしておるよ」
「そうなんですね。では、早苗さんはもう先生の元で“お仕事”を」
「いや、それはまだなんじゃが、資質が解放されてこれまで我慢してきた分、余計に欲求が高まっておるだろうし、由美君みたいに趣味と実益を兼ねて良い仕事をしてくれるようになるじゃろ」
神田の言葉に、大塚がうんうんと頷いた。
「ところで先生、最初のころ早苗さんに使った薬ですが、あれはどのような物なんですか。参考までに…」
神田が一旦、周りの様子を確認した。周りは殆どが空席だが、声を潜めて話し出した。
「ふふ“神華の雫(シンカノシズク)”と名付けた薬の事じゃな。けどな、薬という言い方をしておるが、実際は大麻の一種じゃよ」
「そうなんですか」
「ああ、大麻ワックスと言ってな、大麻の幻覚成分を抽出して濃縮した物で、その効果は大麻の数十倍と言われておる」
神田の小さい声に、大塚は身体を乗り出してくる。
「その大麻ワックスにな“アフロ・ショット”と言うサプリを混ぜたんじゃ。こいつはサプリと言われておるが、本当のところは媚薬や催淫剤と言った物なんじゃよ」
「なるほど、ブレンドしたわけですか」
「ふふ、私の彼女が趣味で花の栽培をやっておるのを見ててな。それでワシの方は大麻の栽培を始めて色々と改良を加えていったんじゃ。もちろん、目的は欲求不満の女性の心と身体の解放の為じゃ」
神田の言葉に、大塚が大きく頷き、続けて尋ねた。
「僕達夫婦は、その薬の世話になった事はありませんが“アレ”に凄く効きそうですね」
“何か”を想像したのか、大塚が嬉しそうに口元を揺らしている。
「ところで、早苗さんの息子の優作君の様子はどうじゃね。敏男君の方はあっさりしておって、この間も上野君と一緒に会の方に来ておったがな」
「そうですか。あの日、敏男君は結局、早苗さんとはセックスまで至りませんでしたが、あまり気にしていませんか」
「けどな、その後も上野君に頼んで、早苗君とセックスする機会を作って貰っておる。しかし、どうも勃たないらしい。敏男君の“早苗君奴隷化計画”は頓挫じゃが、由美君や他の女性なら大丈夫だから、まあ良しとしよう」
と云って、神田が笑いを浮かべた。
大塚の方も、一瞬苦い表情を浮かべた。が、思い出したように云う。
「それで、優作君の事ですが、彼の方はあの日以来、予備校には行ってないみたいですね」
「ふむ…」
「敏男君に騙されたと知って、傷ついたのは間違いありませんが、本人も家(うち)の真知子とセックスをしてしまって、もう訳が分かんなくなってしまったようです」
「………」
「それで、敏男君とも顔を合わせられないので、予備校にも行けず…」
神田が一瞬難しい顔をする。しかし。
「分かった。では、早いうちに私の“仕事”の手伝いを始めて貰った方がよいな」
「新しい仕事ですか」
大塚の言葉に、神田がまたも周りに目を向ける。改めて客がいないのを確認してから、大塚を見つめた。
「ふふっ、知っての通り…君のようにストレスを溜めてる公務員、特に教師連中の心の不満を解消する為の手伝いじゃな」
「あぁそうでした。先生が僕達、と言うか僕ら夫婦をストレス地獄から救ってくれたように、同じ境遇の人達に手を差し伸べるのですね」
「うむ、そう言う事じゃ。それには男の手が足りておらん。上野君は確かに歳上の女性の扱いが上手いが、たまに個人的な趣向で関係を持つからな」
と云って、神田がまたも苦笑いを浮かべた。
「敏男君は君の奥さんの真知子君と関係を持ったが、なかなか評判は良かったし。早苗君相手には勃たないみたいだが、まぁそれでも大丈夫じゃろ。親友の母親とは無理でも、他の女性となら大丈夫だと思っておるよ」
「そうですね。それで、もう一人の候補が優作君。と言う事ですね」
「ああ、その通り。予備校にも行かないで、このまま鬱ぎ込むなら、早いところ夢中になれるミッションを与えてやった方が、彼の為にも良い」
「ええそうですね。僕もそう思います」
大塚が力強く首を縦に振った。それを見て、神田の顔には笑みが拡がっていく。その笑みは、これから始まるミッションを想像して妖しいものへと変わっていくのであった。
エピローグ。
早苗は【華の会】の教室の奥の部屋にいた。
あの日以来、ここで寝泊まりをしている。
日中は教室の手伝いや、ビルの掃除等をしている。
しかしその合間に“ある事”をしていた。
神田にも内緒の事…。
連絡方法はメール。
此処に来てから“それ”を3回行った。今日は4回目だ。
早苗は時計を見た。
約束の時間になると、計ったようにメールが来るのだ。
間違いなく早めに来て、ドアの前で待っていたに決まっている。
早苗は誰もいない部屋のドアを開けて、迎え入れた。
見つめる顔には、4度目というのに緊張の色が浮かんでいる。それを可愛いと思いながら、招き入れた。
奥の部屋。早苗が初めて薬を使われたその部屋も、寝泊まりを始めてからはベッド等を用意してすっかり様相が変わっている。
早苗はベッドの前に立つと振り返った。そして、焦らすように服を脱ぎ始めた。
この日の下着も卑猥を極めた物で、互いの欲情を高める物だった。
互いが服を脱いで、全てを曝し合ったところで、早苗はベッドに上がり腰を下ろした。脇には前回使われた“物”が置かれている。早苗はソレを握り…。
そして…。
「この間のおさらいからよ」
「………」
「さぁ、こっちにいらっしゃい」
「………」
そして、早苗の云った“おさらい”が始まった…。
白い肢体が縄に絡み取られていく。
「そう、余った縄は前に回して…そう上手よ」
「………」
「もう少しきつく…そういいわ…」
「………」
「ねぇ、タナカくん…」
「………」
「さぁ、この格好でエッチ…しましょうか…」
「………」
「オマンコで…それともお尻の穴にする…」
朱い唇が歪み、濡れた言葉が噴き零れてくる。
清楚だった女の口から、こんな卑猥な言葉が出るなんて…。
おしまい。
うえ~い \(^o^)