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第25話
改札から自宅側のロータリーに降りて、優作は歩いていた。しかし、少し行った所で何かを思い出したように立ち止まると、踵を返した。
駅の反対側に向かって、何度か入った事のある喫茶店を目指した。家に戻って母親と顔を合わせる事に抵抗があった。それは、気恥ずかしさとも言えるし“罪“の意識もあったからだ。高田由美は何よりも母親の知人であり、考えてみれば小学校時代の同級生の母親でもある。優作はなるべく、早苗の顔を見るタイミングを先延ばしする為に、時間を潰す事にしたわけだ。
カウンターで又もアイスコーヒーを頼んでしまい、それを持って席を探した。無意識に知ってる顔がいないか見回して、そそくさと席に腰を下ろした。
スマホを手に取り出しメールを開けば、あれ以降敏男からの物はない。少し時間を空けて、明日にもう一度謝罪のメールをしようと思った。それでもダメなら明後日の月曜日かと考えて、アイツはこのまま予備校を辞めてしまうのか…そんな考えが頭の中を過ぎていった。
コーヒーを口に運びながら、優作はふと思った。今日の“体験“…敏男との仲がこれまで通りなら、自分はアイツにその出来事を話しただろうか…恥ずかしがりながらも、どこか自慢気に…。敏男の好み…それは俺の母親…という事は遥か歳上の中年の女性。と、すれば俺も似ているのか?。優作はそんな事を思い付いて、改めて自分の性癖を意識した。あの一室で見た由美の裸体。それは間違いなく“肉感的“であった。
頭の中を巡る中年女性の卑猥な画像。ネットで覗いたあの淫靡な世界を現実で直視した感慨。しかし…優作は頭を振ってそれを忘れなければと思った。勿論、勉強の事があるし、敏男の事も気に掛かる。
明日、もし敏男と連絡が付かなかったどうしようか。上野が現れてから最近の二人の間には微妙な空気が生まれていた。そんな中での敏男からの相談…。そんな考えが廻っていた時、大塚の顔が浮かんだ。優作は、会って相談してみようかと思った。
軽い食事を追加して、優作はスマホを手に取った。開いたアドレスは大塚のものだ。アドレスは先日、学校に訪ねた時に交換している。
さて、どういう風に相談をしようかと考えたところで、とりあえず明日の都合を聞いてみる事にした。もし、時間を取って貰えるならどこかでお茶でもと思ったのだ。
ヌケサク先生…と打ったところで、それを消して打ち直す。
《大塚先生 先日はありがとうございました。それで突然ですが、明日の日曜日、時間があれば会えませんか。また相談なんです》
優作は2度ほど文面を読み直し、送信した。
暫くたつと返信が来た。
開けてみれば短い一行だ。
《お母さんの事?》
優作が直ぐに返す。
《いえ、母のその後は大丈夫です。相談は敏男の事なんです》
返信を打って優作は思い出した。そういえば小学校を訪ねた帰りに、大塚の車の助手席に敏男(らしい)が乗っていた事を…。
今度はすぐに返信が来て、暫くの間メールのやり取りが続く事になった。
《敏男君がどうかしたのかい?》
《はい、実はアイツ予備校を辞めようと考えてる気がするんです。最近、昔の知り合いと再会して、ソイツに悪い道に引きずり込まれてる気がします》
《悪い道?それは心配だね。その知り合いというのは、どんな人物なのかな》
《僕とも同じクラスだった奴なんですが、ソイツは一応現役で大学に受かってて。けど軽いところがあって、不健康そうな奴なんです。たぶん付き合うと、悪い方に敏男を引き込むと思うんです》
《悪い遊び友達って感じなのかな? わかった。けど、明日は都合が悪いから月曜日はどうかな》
優作は月曜日?と思ったが、その日が祭日である事を思い出した。そして直ぐに返信をした。
《分かりました! 時間と場所は合わせますので、決めて下さい!》
次の返信には、時間と指定されたファミレスの名前が書かれていた。優作はそれを確認してスマホを閉じたのだった。
パンツ1枚の姿で、大塚がメールを閉じる。その横では真知子が下着を着け終えたところだ。
「貴方、誰からのメールだったの」真知子の声は既に落ち着いている。
その声に一旦閉じたメールを見せる大塚。
「…ああ、息子君ね…」小さな呟きをして、椅子に横たわる姿態に目を移す真知子。
椅子にはグッタリとした早苗の姿があった。その表情は先程から魂が抜けたようで、まるで白痴のようでもある。
「早苗さん、今日は突然で悪かったね。真知子のカミングアウトもあったし、僕らの本当の姿を見て貰うのには良いタイミングかと思ってね」
「……….」
「…それにさ、本当の君の姿も神田先生や“彼”から聞いていたし…」
ゆったりとした素振りで服を着ながら、大塚が話を続ける。
「それと、今日の事は君の彼..“主様(あるじさま)”にも報告しておくね」
そこまで告げた大塚の口元にはまだ、異様な歪みが残っている。
早苗は椅子に沈んだまま、大塚夫婦の動きを傍観していた。その目は二人の姿が玄関の方に消えた後も、暫く虚(うつろ)なままだった。
その後どの位の間、座ったままそこに居たのか自分でも分からなかった。早苗が立ち上がったのはインタフォンの音に気づいた時だった。
現実に引き戻され、覗いたモニターに見えたのは宅配便の青年の姿。
手ぐしで簡単に髪を整え、自分の衣服を確認する。それから玄関で荷物を受け取った。
荷物をテーブルの上に置くと、床の汚れが目についた。それは、あの夫婦が残していった汗と唾液と牡精が混ざった情痴の痕だ。
早苗は暫く立ったまま、濡れた床を見つめていた。股間の奥には自身の濡れも認めている。心の中では嘆きの炎が燻(くすぶ)っている。早苗は尿意を我満するように、腿と腿を擦り合わせた。そしてゆっくり、服を脱ぎ始めた。
全てを脱ぎ終え、素っ裸になった早苗。瞼の裏には快楽に溺れる夫婦の残像が視える。その早苗の表情(かお)に、病的な翳が落ちていく。
徐に足幅をとって、両の膝を軽く外側に張った。そして、ガニ股開きした股間に手を伸ばした。
「はあぁ…ん…」
指は軽く“ソコ\”\”に触れただけだったが、それでも声はハッキリと上がった。眉間に皺(シワ)が寄って、指は導かれたように深く侵入を試みた。
「んはぁっ」
朱い唇が微かに開いて、そこから甘い吐息が落ちていく。
足の指がグッと床を噛みしめ、身体の律動を支える。それに呼応するように腰が揺れ始めた。
女穴からは液体が婬汁となって、指を伝わり滴り落ちていく。
やがて、身体の揺れに耐えきれなくなったのか膝は折れ、早苗は床にへたりこんだ。
吐息を静かに吐きながら、身体はゆっくり四つ身の体勢へと向かった。
尻を上げて股間の辺りを意識する。誰かが…それは若き主(あるじ)の視線なのか、早苗は服従の意識でソコを拡げる。羞恥の意識は内側から震えを誘い、確かな弛緩を身体にもたらした。早苗の指はその震えに応えるように突起にたどり着いた。
その瞬間「んぁッ、イイーっ」部屋中に叫びが響き渡った。
自らの叫びは情欲に油を注ぎ、指の動きは直ぐに激しさを増した。そして乳房をユサユサ揺らしながら、身体は四つ身のまま後ろに進んだ。
動物が敵から後ずさるようなその姿は滑稽であった。が、早苗の意識は別の快楽を欲していた。尻の割れ目が求めたのは、ソファーの角。その出っ張りに股間の中心を押し当てた。そして、女穴を中心にアナル、痴豆と擦り付けた。
恥など感じる余裕などなく、これでもかと割れ目を角に擦り付けた。
獣のように四つ足で床を噛み、背中は弓を張ったように反り上がる。早苗はその態勢のまま一度目の絶頂を迎えようとした。
「んぐっ、イッ、イグウッ!」
下顎が震え、吐き出された叫びはまだ、満足に遠い。
意識の中にある若き主との情交を意識して、割れ目を再びソファーの角に強く圧し充てた。
「あぁんっ」
鋭敏になった性器は更なる激しさを求めていた。ヌルヌルになったソファーの角部分を己の膣穴に迎え入れようとした。尻で円を描きながら、何とか快楽を増すようにと願う。口からは何の憚りもなく、悲鳴のような声が溢れ続く。
「いいッいいッ、もっと!」
一度目の絶頂から早くも次の頂きが訪れた。
腿は震え、早苗はそのまま崩れ落ちそうだ。目は白目に代わり、口元からは唾液がツーッと落ちていく。
アッアッアッと小刻みに顎が震えた後に、ウアァッと短い嬌声が上がった。そして身体は崩れ落ちた…。
カエルが潰れたような格好で、突っ伏した状態。やがて、朦朧とした意識が戻ったのは又も玄関のインタフォンが鳴った時だった。瞼に霞が掛かった気分でモニターを覗く。映し出された姿に、えっと声が上がった。
呆気に取られた早苗だったが、直ぐに頭の中を冷静な風が吹いた。
(そうだったわ…)
今日は近所の小学生に勉強を教える日だった。息子が小学生の頃から続いている勉強会である。今年度の日程はまだ正式には決まってない中で、今日の土曜日は月曜が祭日の為に特別に設けた日だったのである。
うぅんと咳払いをしてモニター越しに「ちょっと待っててね」と、話し掛けた。
早苗は急いで和室部屋と向かった。手には脱ぎ散らかしていた洋服や下着がある。シャワーも浴びたい所だが、その余裕もなく慌ててワンピースを身に着けた。一旦洗面所に入り髪型を確認する。胸周りと股間が軽く感じるのは、下着を着けなかったからだ。待たせてはいけないと言う焦りの気持ちのまま、目についたタオル1枚持ってリビングへと戻った。
今日来た子供達は3人。全員が6年生の男子生徒。早苗は急いで汚れた床を拭いて、急いで子供達を招き入れた。
テーブルにノートや筆記用具を置く。早苗はパソコンは使わない。
子供達は学校の教科書を広げて、一応準備は整っている。今日いる生徒のうち、1人は初めての子だ。その大人しそうな子を横目に冷蔵庫に向かった。飲み物を用意しておくためだ。
ペットボトルを取り出した時、ティッシュが落ちている事に気がついた。それを拾おうと腰を屈めた瞬間、ジュクリとアソコの濡れを感じた。
背中は子供達の方に向いている。早苗は中腰になり、そしてゆっくり尻を突き出した。
子供達はみな、それぞれの問題集を覗いている。早苗は尻が突き出たその格好のまま動けない。臀部を幼い視線に犯されたいのか、膨らみは緊張を覚え、汗ばんできた。
突き出た臀部を意識しながら、子供達の様子を伺った。すると、子供の1人がこちらを向いた。あの大人しそうな子だ。早苗はその子の視線を尻に受け止めた。
腿の内側が震え、股間の辺りがジンジンする。
席について挨拶をすると、”その子”と視線が交わり、下半身がゾクリとした。
早苗はソロリと胸元を覗いてみた。上から一つ、二つとボタンに手を掛けた。なぜ、こんな事をするのか自分でも分からない。
開いた谷間を覗いて見た。膨らみの先が尖っている。早苗は服の端を引いて、尖りを生地で擦りつけた。
その瞬間、またも股間の奥がキュンとして、思わず座り込みそうになった。
「先生、大丈夫ですか」
「先生…」
頭がボオっとして、目の前が膜に覆われた感じだ。
子供達がこちらを見上げている。1人の目はキョトンとしている。もう1人の目も、何があったのかと戸惑いの目だ。1人だけが俯いている。あの大人しそうな子だ。その子を意識しながら、そちらを向き直った。早苗のその目には、病的な色が浮かんでいた。
早苗は胸元を覆い隠しながら頭を振った。
「ご、ごめんなさい。ちょっと頭がクラっとしたから…顔を洗ってくるわね」
そう告げて廊下に向かった。
洗面所に入った早苗は、顔を洗ってフーッと息を吐く。
(…こんな事じゃダメなのに…)
鏡の中の顔を見ながら、自分を叱咤しようとする。しかし、頭の中には淫靡な波が広がっていく。
鏡を見つめながら、胸の膨らみにそっと手を置いた。
「あぁッ!」
瞬間的に電気が走り、身体は沈み込みそうになり、早苗は化粧台の淵に手を付いて、なんとか身体を支えた。
その時。
コンコン。
その音に一瞬、ビクっとして「…はい…」と、上がったのは、か細い声だ。
「あのぉトイレ、借りていいですか」返ってきたのは、こちらも細い声。生徒の1人だ。
そっとドアを開けて、早苗はその子を見た。あの大人しそうな子だ。
初めてのこの家で、礼儀正しく断ってからトイレを使用しようとしているのがよく分かる。
早苗は廊下に出て、トイレの前まで歩いた。背中に感じる視線…いや、その視線は下半身に集中しているのではないか。意識はそんな妄想に襲われている。
トイレの前で「ここよ」と掛けた言葉は熱を帯びたように震えていた。
恥ずかしそうにして、ドアを閉めるその子の顔を見ると、モヤモヤと身体まで熱くなってきた。はぁっとタメ息のような声を漏らして、足はフラフラと和室部屋に向かった。
部屋で手に取ったのは、風呂上がりに着るガウンだった。ワンピースを脱いでそれを着た。下着は何一つ着けていない。ガウンの下は素肌のみ。
なぜ、こんな真似をしているのか早苗にも分からない。
足音を殺してトイレの前へと戻ってみる。ちょうどその子が出てきたところだ。
「…ねえ君…ちょっと来て…」それだけを言って背中を向けた。
再び廊下を行く早苗の背中は、先ほど以上に視線を感じている。
ガウンに着替えた事を、この子はどう思っているのかは分からない…。そのガウンの下では、肉体が熱の高鳴りを溜めていた。
「ここで…」
小さい呟きを零して、早苗の足が止まった。
振り向いた早苗の目には戸惑いの顔が映った。
頭の中は黒い雲に覆い尽くされている。
トロ~ンとした目でその子を見つめる。
「………」
早苗の手がお腹の前辺りでクロスされ、ガウンの端が掴まれた。そして…。
パッと開かれた両手。
同時に朱い唇が「はぁぁん」と泣く。
身体に微かな清涼を感じた。
乳房が解放を味わいブルルと震えた。
両の膝が外側に張って、痴毛の辺りが心地好い。
尻の割れ目を閉めると、アソコがキュンと疼いた。
閉じられていた目をユックリと拡げてみた。薄く開かれたその目に、なんとも言えない子供の顔が見えた…。その瞬間、早苗は味わった事のないオルガスムスを感じていた…。
優作が家に帰ったのは、結局夜の8時過ぎだった。
早苗には帰宅の予定時間はメールで報せている。それに対する返信は無かったが、特に気にする事もなかった。
しかし…。
玄関を開け、リビングに入った瞬間ムッとして、すえた臭いが鼻を付いた。ここに来て急に気温が上がったからか。
優作はキッチンに行って、見た。コップや皿が積まれたままである。それでも悪臭などは特に感じない。それよりも…。
優作は気配のしない母親の事が気になって、廊下に出た。向かったのは1階の和室だ。
和室の引戸扉はピタリと閉じられていた。その扉の前で優作は緊張を覚えて少し戸惑った。
何日前だったか、夜中に目が覚めてここに立った。その時の扉は少し開いていた。そして、恐る恐る覗いた。あの夜、母は布団の上を一糸も纏わないで姿で横たわっていた。
優作は扉にそっと手をやり、静かに開けてみた。目に映ったのは眠る母親の姿。その姿態は…と、目を凝らせば服は着たままの様だ。優作はホッとする自分と、どこかで気が抜ける自分を感じて静かに扉を引いた。
2階に上がり着替えを済ませた。母はあのまま朝まで寝るような気がして、まずはシャワーを浴びる事にした。
浴室の前で服を脱ぐと思い出した。今日、俺は女の人の前で裸になったのだと。人間なら誰もが必ず通る道の一歩なのだが、その相手は遥か歳上で、しかも母親の知り合いで同級生の親。1日中繰り返される葛藤。罪の意識と平行してあるのは、自身の性癖の気付きだ。何日か前から見初めた…見初めてしまったネットの画像は間違いなく中年女性の物ばかりだ。
気づけば優作の右手は、股間の物に触れていた…。