小説本文



 
 「きゃあ!」
 早苗の身体は一気に詰められ、上野に軽々と抱えられていった。
 足元は宙に浮いて、その足をバタつかせて身体は逃れようとした。両ひじで相手の胸から顎を押し返そうとしたが、上野はびくともしない。
 細身の身体のどこにこんな力があるのか、早苗は揺れる我が身を意識しながら、上野の力強さを感じていた。


 僅か数メートルの距離、ソファーから隣の部屋のベッドへと上野はお姫様抱っこ…ではないが、ムッチリした肢体を悠々抱え上げて進んだ。そしてポイっと、適当な高さからベッドに落とすと、悪びれた様子もなく早苗を見下ろした。


 上野は黙って、早苗の顔色を観察するようにジリリと見つめる。
 「ん…そっか、コーヒー、そんなに飲んでないんだね」
 1人納得げに呟いて、上野は今度は早苗の顔を抉るように見て言った。
 「じゃあ、俺が口移しで例のお薬を飲ませてあげよっか」
 「薬」と言う響きに、早苗の身体がいっそう固まった。
 「ああ…来ないで…」
 掠れた声は、とても小さなものだった。
 上野の後ろでは、由美が早苗の口を付けたコーヒーカップを持って畏まっている。それを受け取った上野がそれを口に含み、また一歩ずつ近づいてきた。
 早苗はベッドの上を尻這いのまま後ずさった。しかし直ぐさま、ニュっと伸びてきた手に手首を掴まれた。
 「いやっ」と口にした瞬間には、手首は引き上げられ、上野は早苗をパッと引き寄せると唇を奪いにきた。
 「あっ」と舌の侵入を感じた時には、口の中に苦味の効いた液体が広がっていた。
 「さぁ、全部飲み干して」
 唇を離して上野が、早苗の鼻を摘まみ上げる。液体が喉を通過していく。


 「さぁまだまだだよ」
 蒸せ返りそうな早苗を横目に、上野はもう一度コーヒーカップを受け取り、そして今度は残りを口いっぱいに含んでみせた。
 早苗は顔を隠すような仕草で抵抗をしようとしたが、それは無駄な行為である事を自覚していたかもしれない。いつかの負の刻印を受けた精神が、諦めを認めていたのだ。上野は早苗のそんな素振りを面白げに見つめ、再び唇を襲うと今度は、ゆっくり液体を流し込んだ。


 「へへへ、さて今日はどの位で薬の効き目が現れるかな」
 如何にも無邪気な声で告げて、今度は由美に顔を向けた。
 「由美さん、ロープは用意してくれてるよね」
 早苗が虚な瞳のまま見上げた。由美が台所に行く姿が見える。そして「ロープ…それって縄?…ああ…まさか」無意識に言葉がこぼれ落ちた。
 その時、下腹部辺りからモヤモヤとした高鳴りが沸いてきた。


 上野は由美からロープを受け取ると、ベッドに上がり素早く早苗の上半身を抱き寄せた。そして、早苗の両手首を背中で合わせると由美に指示をした。
 「由美さん、オバサンの手、ここでギュッと縛って」


 早苗は背中で両手首を縛られた。同時に身体中に先ほど沸いた高鳴りが、駆け巡って行くのを意識した。
 「オバサン、苦しいけどちょっと我慢しててね」
 幼い子供が願い事でもするように、上野が笑っている。そして続けて、ニコニコ顔で屈んだかと思うと、早苗のジーンズに手を伸ばしてきた。
 「由美さんも一緒に引っ張ってくれる」
 もう抵抗も示せず、二人の手によってあっさりジーンズを脱がされると、熟した下半身が現れた。
 「ふ~ん、今日は白なんだね」
 上野の何気の声に、早苗の火照りがまた1段上がった。その火照りは間違いなく白いショーツの中心でおこっている。
 続けて上野は、早苗の両方の腿をグイッと横腹に付けるように折り曲げた。ベッドの上には、両手を背中に股間をM字に開いた卑猥な姿態が出来上がった。


 「オバサン、もう濡れてるでしょ」
 あくまでも落ち着いた声に煽られて、早苗の中にいつかの不埒な記憶が甦ってきた。


 (あぁ…こんな惨めな…)
 「さて、オバサンはいつまで耐えれるかな。途中で欲しくなっても、この間みたいに、ちょうだいーとか、我慢できないのーなんて言ったらダメだよ。今日はねぇ、我慢大会から始めてみるからさ」
 そう言って上野がこの日、初めて愉快げに笑った。


 早苗はベッドの上で、背中を壁に預け、股ぐらを広げた惨めな姿で前を向いている。
 心の中には勿論恐怖もあるのだが、身体中にますます熱いものを感じていた。
 「ん~、パンティーの真ん中、染みが広がってないかい」
 上野が見つめる視線の先、早苗は“ソコ”の泥濘(ぬかるみ)を早くも認めていた。
 そんな早苗をニヤリと見つめて、上野は由美の方を見やった。
 「じゃあ由美、始めようか」
 由美と呼び捨てた声は、それまでとは違う冷たさが混ざったもので、由美の背筋は無意識に伸びている。そして、顔色がスッと落ちると、由美の指は己の衣服の裾に掛けられた。


 早苗は目の前で、言われるまま淡々と洋服を脱いでいく由美の様子を見つめた。あの夜、昔の友人がまさに売春をしている姿を目撃してしまったわけだが、あの時と違って隔てる鏡1枚もない目の前のシーン。それはどこか非現実的に思えてくる。
 その早苗の表情(かお)を由美と見比べるようにして上野が言った「オバサンも由美と同じで、肉感的って言葉が似合うよね」
 由美は上野の言葉に淡々とその裸体を露(あらわ)にしていく。


 「へへ~さてっと、今から俺と由美がセックスするからさ。分かる?セックスだよセックス。これから二人でオマンコするから、オバサンはその格好のまま見ててよ」
 「………」
 「さぁオバサンはどうなっちゃうかな」


 上野が着ている服を脱いでいく。その隣では、由美がついには最後の黒いショーツを脱ぎさっている。
 やがて、上野が黒っぽいトランクスを脱ぎとり早苗の方を向いた。それに合わせるように全裸になった由美が上野の横で畏まった。
 早苗の瞳はすぐそこの二つの裸を見つめて大きく広がった。一つは昔の友人で、体型もよく似た肉感的な熟女のもの。もう一つは息子の元クラスメイト…と言う事は息子優作と同じ歳の男の裸だ。


 「そうそう、オバサンそうだよ、しっかり目を広げて見ててね。オバサンにはもう恥じらいなんかないんだから。コッソリ見るより遠慮なくガン見する方が似合ってるからさ」
 上野のその言葉に早苗は、体温がまたまた上がるのを自覚した・・いつの間にか自分は他人のセックスを覗く事にも羞恥心を無くしてしまったのかと。


 「オバサン、ほら由美の表情(かお)を見てみて。由美は薬を飲まなくても変態セックスが出来るんだぜ。自分の子供と同じ歳の男とセックスも出来るし、それにそのセックスを見られる事にも快感を覚えるようになったんよ」
 上野はそこまで言うと、由美の肩に手を回し、徐に引き寄せるとヌバっとキスをした。
 「あぁん…」由美の口から切ない声が上がった。
 上野は由美の背中に回り、うなじに唇を這わせる。両方の掌は、優しく包み込むように上半身を抱きしめていく。


 由美のその豊満な乳房は、後ろから回ってきた掌に鷲掴まれていた。指の間からは、黒ずんだ乳首が痛みを吐き出すかのように尖り立っていく。
 「はぁん…」
 嘆きの声をあげて女体は震えを起こし、次の責めでも求めるように、その肢体は後ろに垂れ掛かった。


 「さぁ、由美のマンコの方はどうかな」
 上野の右手が下腹を通り陰毛を掻き分ける。微かに引いた由美の股間を己の腰で受け止めて、指は更に奥へと進んでいく。
 「いやぁん」
 甘い吐息は我慢出来ないと嘆きの呻きであった。遠慮気味に開いた瞳は、早苗の反応を確かめるように瞬いた。早苗は由美の瞳に見つめられて、その色香に背筋がゾクリとした。
 「へへ、いつもはゆっくり愛撫するんだけどさ、今日は早めに射れちゃおうかな」
  誰の了解を得るものではない事など承知の上で、不適な目は挑発の色を浮かべている。早苗はその目力に見入られて、2つの裸体に釘付けになっている。
 「さぁ由美、ベッドの端に手を付いて穴(けつ)を突き出して」
 遊び事にでも誘いを掛けるような、落ち着いた声だ。その声に、由美の手が迷う事なくベッドに置かれた。


 上野は両方の掌で屈んだ由美の腰をサラサラと撫でると、指先を波打つ横腹へと持っていく。そこで足幅をもう少し広げるように誘導して「さて、俺の“物”はもう準備万端だぜ」
 そう言って、腰の高さを調整するかのような仕草をしたかと思うと、下半身をグイっと挿入した。同時に「はぁんっ」と女体は跳ね上がった。


 「ん~由美のマンコ、もう濡れ濡れだね」
 腰を打ち付けながら上野が笑う。その目はベッドの早苗を見つめている。


 早苗は己の惨めな姿も忘れて、由美の肢体から目が離せない。虚ろな瞳に微かに開いた艶色の唇。豊満な膨らみの先で尖り立つ乳首。そして震える下腹。あぁ…「肉感的…」そんな言葉が早苗の脳裏に浮かんできた。


 「ほら由美、恥ずかしがる事なんかないんだからシッカリ声を出せよ」
 若い情人の煽りに、朱い唇が広がっていく。
 「あぁん…気持ちいい…気持ち良いわ」
 「へへ、そうだろ、どこが気持ちいいのか優作君のお母さんに教えてあげなよ」
 “優作君“ーー上野のその言葉に早苗の口から呻きが零れ落ちた。


 「あぁ早苗さん…アタシのオマンコにね、上野さんのオチンチンが入って気持ち良いのぉ。彼のオチンチンはね、長くて太くてとても凄いのよ……分かる?ねぇ優作君のお母さん」
 その卑猥な色を帯びた告白に、早苗の口からは「ああーッ」と嘆きの叫びが溢れ出した。と同時に、下半身の中心から沸騰するような熱さを意識した。
 「あぁん、いやぁん」続けて吐き出された声も早苗のものであった。


 「そうそう良い感じだよ、オバサン。さぁ由美、オバサンのパンティーを脱がしてあげなよ」
 腰の打ち付けを続けながら、上野は余裕の表情で由美に指示を出す。由美はその命令に上野の一物を膣で咥えたまま、右膝左膝とベッドに乗り込んだ。そして、上半身を伸ばして早苗のショーツに手をやった。


 「あぁいやんッ」と口した早苗であったが、その腰は言葉とは反対に無意識に浮いていた。
 由美は四つ身の形(かっこう)で、打ち込みを受けながらも早苗の豊満な臀から器用にショーツを抜き取っている。やがて、臀部の膨らみを逃れたショーツが見事に解き放たれた。
 「いいぞ由美、そのままオバサンに自分のマンコがどうなってるか教えてあげな」
 余裕の上野の声。その声とは逆に、由美は悦楽の息づかいで目の前の太腿の内側に手をやった。そして、再びMの字へと押し拡げた。


 「由美、どうなってる?」
 「あぁ…嫌らしい…濡れてる…凄く濡れてるわ…早苗さんのマンコ、グショグショよ」
 「へ~そんなに濡れてるんだ。オバサンって由美と同じくらい変態なんじゃない」
 「あぁん、いやんそんな事」と早苗の声。
 「でもやっぱり由美の方がスケベだよな。由美は客とオマンコしてるところを旦那に電話で実況するんだから」
 「あぁ言わないでぇ」と、こちらは由美の声。
 「今日も旦那さんに電話でセックス中継する計画もあったんだけどさ、考えたら向こうは仕事中なんだよね」
 相変わらず腰を振りながらの上野の言葉だったが、それは由美に聞かせようとしているのか、早苗に聞かせようとしているのか、本人にすれば、どちらでもよい事であった。
 早苗は早苗で、露(あらわ)にされた“ソコ“を至近距離で同性にガン見されるこの状況にも、羞恥の気持ち以上に悦楽の欲求の方が高くなっていた。それは間違いなく“薬“の作用によるものであったが、早苗は自身の“ソコ“の奥が激しく疼くのを自覚していた。股ぐらは先ほどより無意識に拡がっている。腰は小刻みに上下に律動して、まるで疑似セックスをしているようだ。


 「オバサンも欲しくなったでしょ。でもまだダメだよ。暫くは我慢大会なんだから」憎らしいほどの落ち着いた声だ。
 「そうだ」腰をグラインドしながら上野が続けた。
 「オバサンはレズの経験はないよね」
 新たな企てに喜びを表す…いやいや、ただの遊びに過ぎないと言いたげな声が続く「由美、由美は他人のマンコを舐めた事ってないよね」
 「あぁん…」
 「今から舐めてみよっか。出来るよね?俺が言うんだから」
 「あぁん…あぁん…」
 肯定とも否定ともとれる声が悩ましげに続く。
 早苗の口元からも「うぅ~ん」と苦しげな息が漏れていく。目は虚ろで口唇は半開きで、ワナワナと震えを起こしている。


 「さぁ由美!」
 声と同時に腰が更に奥へと一突きされた。
 「はぁ~んっ」これまで以上の艶かしい叫びが上がる。由美が無意識に顔を目の前で拡げられた“ソコ“へと近づけた。
 それは、由美にとっても初めての経験であった。が、隷族の意識がそうさせたのか唇は迷う事なく“ソコ“をネブリ始めた。


 「あぁッいやんッ!」早苗の口から遠慮もなにもない悲鳴のような叫びが上がった。
 「へへっいいぞいいぞ。ほら、クリトリスも吸ってあげな」
 しかし、上野の声の前に既に由美の舌は突起を弄(いじ)くり回していた。まるで、己の愉悦を同性の早苗にも分け与えるかのようにである。


 「あぁっ、あぁっ、いい~いい~」
 「そう?いいの?早苗さん、気持ちいい?アタシはマンコで感じてるわ。早苗さんももっと感じて」
 唇をソコから離し、由美は切れ切れの声で早苗に応える。2人は、同性同士で絡んでいる事を忘れているかのようにである。


 「よし、オバサン、今度は後ろ向きで四つん這いになってみようか、ほら!」
 未だ余裕の表情で腰を振りながら上野の声が広がる。由美は心得たように早苗の為にスペースを空ける。早苗は後ろ手に縛られた不自由な状態のまま、芋虫のようにくるりと回った。いつの間にか刷り込まれた従順さが、早苗の身体を服従の形(かっこう)へと導いたのだ。


 「どう由美、オバサンのアナルは?」
 「あぁん、嫌らしい…嫌らしいわ、とても。早苗さんのお尻の穴、綺麗だけどとても嫌らしいの」
 二人のやりとりは、間違いなく早苗には羞恥を与えている。


 「オバサ~ン、どんな気分~?お尻の穴を見られてるんだよ」
 「うぅ…」
 上野の声にも早苗は呻きを返すだけだ。と、思われたが「あぁ…恥ずかしい…」
 「オバサン、だいぶ良い声になってきたね。じゃあちょっとだけマンコとアナルの同時舐めをいってみようか」
 そう言うと、大きな手が由美のデカ尻を一打合せした。
 「や~んっ」生臭い息を吐いて、由美が腰をくねらせる。そして、早苗の肛門から膣辺りをむしゃぶり始めた。


 団地の部屋の一室に、2人の熟女の喘ぎ声が響き渡る。
 しかし、直ぐに冷たく冷静な声が掛かる。
 「おっと由美、もういいや。まだ我慢させるんだった。忘れてたわ」


 惨めな格好から恥ずかしい声を吐き出していた早苗。淫部から由美の舌が離れた後も肢体を震わせ続ける。そんな様子を気にするなく、上野は次の指示をした。
 「オバサンはもう一回こっちを向いて。由美は…」
 そう言って上野は、由美の中から一物を引き抜いた。
 ベロンと抜けたソレは、硬直を保っている。早苗が息絶え絶えに身体を向けるのを確認すると、ソレの根っこを握って誇らしげに突きつけた。


 「由美、今度はあの格好でやろっか」
 上野がベッドに上がり胡座を組む。細身の身体は鋼(はがね)のように見える。
 「さぁ乗っかって来て」
 あくまでも淡々と指示する声に、由美が心得たように身体を動かした。


 早苗と由美、二つの女の顔がベッドの上で向かいあった。上野の股間の上に乗る形で、再び由美の膣は若き剛直に串刺しにされている。
 下からの突き上げに由美は震え、その振動が早苗に伝わり、早苗はその振動を無意識に感じようとした。
 揺れる腰、パクリと開いた淫列の奥からは、知らず知らず泥濘(ぬかる)んだ液体がシーツへと滴って流れ落ちていく。早苗は遠のく意識の中で、早く“ソコ“を埋めて貰いたいと思った。


 褐色の腕がそれぞれ、由美の両腿の下に潜り、グイっと抱え上げるように引き寄せた。結合のその部分が角度良く早苗の視野に入る。
 「ほら、オバサン、どうこの角度。見えるでしょ、俺のが由美のマンコに入ってる所がしっかり」
 「あぁん、いやぁん、凄い、凄いぃっ」
 早苗の目がもう堪らないと言った感じで“ソコ“を見つめてくる。自身が股間をおっ拡げている事など既に忘れている。


 そして上野は、ここまでの様子に満足げな笑みを浮かべ、この後繰り広げられる恥態、早苗とのセックス、そして、その様子をビデオに収める計画、その企みを想像してもう一度口元を歪めるのであった。