小説本文




 店の店員がお代わりのビールを運んで来た時には、何食わぬ顔で冷静さを装った。そして店員が立ち去ると直ぐに、テーブルの下から手紙を取り出し、文字に目を向け直した。


 【清美さんには、私が通販で買った卑猥な下着を渡してありました。家ではそれをどのように洗濯したりしていたかは知りません。おそらく自分の部屋の見つかり難い所に隠して、使用した後はこっそり洗っていたのでしょうね。そんな後ろめたい行為も、彼女には刺激になっていたと思います。
 今の清美さんはどうなんですか?ご主人の前で卑猥なランジェリーを纏ってサービスをしてくれてますか?
 あの頃の清美さんは凄かったですよ。勿論それは、私の脅しのせいでもあるんですがね。
 そうそう、ある時はセックスじゃなくて、別の捌け口で清美さんを使った事もありましたよ。確かあれも私の部屋での事でした。
 私の前に立った清美さんの顔は、いつにもましてクッキリした肩に支えられ、顔つきは切れ長の目がバランス良くて、とても整ったものでした。私はこの日も、その愛らしい顔を羞恥の波で歪めたく思いました。
 清美さんは私が作った沈黙の間に心の奥底を覗かれ、徐々に涙目になって行きましたね。そんな彼女に、私は命令を与えてやりました。商売女になったつもりで、腰を揺らしながら着ている服を脱いでみろと。そして、身に着けてる卑猥な下着を強調するようなポーズをとってみろと、ね。
 彼女は命令に従いました。ぎこちない動きで、Tバックを穿いた尻をこちらに突き出しました。次にガニ股開きになって、震えながらブラから溢れる乳房を掴んで持ち上げましたよ。
 清美さんはその恥ずかしい姿を私に視姦され、アソコを濡らした筈です。彼女は元々濡れやすい質だったんでしょうね。ちょっとした言葉責めや、ちょっとしたタッチだけでも甘い声を零すようになっていましたから。】
 そこまで読んだところで、私はふうっと溜め息のような声を吐き出した。
 頭の中では昔の妻の、と言っても彼女の高校時代の姿は写真でしか知らないのだが…その顔が快楽に歪む様子を妄想してしまう。


 【卑猥なポーズを続ける彼女の口から、徐々に淫靡な声が溢れてきましてね。その口元が妙に艶めかしく思えて、私は彼女の口を犯したくなってしまったのです。
 ところで、ご主人は清美さんに飲んでもらった事はありますか?】
 その一文に、私は無意識に首を横に振っている。


 【私は無性に精飲をさせたくて、彼女を跪かせ、頭を掴んでやり、硬くなったイチモツを愛らしい口奥に強引に突っ込みました。イラマチオというヤツです。
 嫌がる彼女は涙と鼻水を流し、何度もえずきました。
 しかしそんな惨めな境遇さえ、彼女は本質的に快楽に変える術を持っていたのですね。その証拠に、見てると鼻をフンフンと鳴らし始めましたから。】
 その瞬間、私は嘘だ!と叫びそうになった。しかしその意識を横に、妻が虐げられてる姿を想像してしまう。
 あぁ清美、この男が告ってる事は本当なのかい。


 【やがて私の我慢も限界に達して、彼女の喉奥に精液を吐き出しました。
 むせ返り、吐き出しそうになるのを堪えさせ、シッカリと飲み込ませましたよ。その後は続けて2回、清美さんに精液の味を覚えさせたのです。】
 私は身体が熱くなってる自分を自覚した。と言っても、酔いが回ったわけではない。淫靡な小説の登場人物になって、灼熱の境界線を歩かされている気分なのだ。


 【その他には、観察ごっこをした日もありましたね。】
 観察ごっこ?と、疑問が湧く。


 【私は清美さんの様々な反応を見るうちに、彼女は私と逢うまでも自分をたくさん慰めていた気がしたのです。
 高校生と言えば、性への好奇心も旺盛な時期です。彼女は以前から夜な夜なオナニーも盛んだった筈です。】
 その文字、その表現に、私の喉がゴクリとなってしまった。確かに年頃だし、それはあってもおかしくはない…だけども。


 【私も勿論、清美さんと関係を持つまでは、彼女の痴態を想像しては自分を慰めたものです。
 そんな私は、互いのオナニーを見せ合う姿を想像する事もあったのです。】
 次から次へと溢れ出てくる文字の羅列に、私は完全に取り込まれている。この手紙はエロ小説だ。妻の清美が主役になった淫靡なエロ小説なのだ。
 いや、でも、この話が本当にノンフィクションだったら…。


 【その日も私の部屋でした。
 私はいつものように、清美さんの下着をチェックしました。
 そして言葉責めから始めました。お前はその卑猥な下着を着けた時から、アソコを濡らしていたんだろ、今日はどんな厭らしい事をしてもらいたいか口にしてみろよ、などと責め立てたわけです。
 イヤイヤと首を振る泣き顔は、いつものように私を興奮させてくれます。私はもっと俺を誘惑してみろと命令しました。
 清美さんはハァーハァー嘆きの息を吐きながら、縋るような瞳を私に向けてきましてね。その目を見ながら顎をしゃくると、ゆっくりショーツを脱ぎ始めました。彼女は既に、私の言葉に反応する身体になっていたのですよ。】
 手紙からは淫靡な香りが途切れる事なく漂っていた。その香りは私の呼吸を荒くし、熱くなって身体中を巡っていく。私は息苦しさに、無理やり唾を飲み込んだ。


 【ショーツを脱いだ彼女に、私はアソコを開くよう命じました。
 ご主人、想像してみて下さい。床に腰をつけ、片手で身体を支えながら、もう片方の手をアソコに充てがい、そして開陳する女子高生の姿を。
 そしてこの時、私の頭に浮かんだのが『観察ごっこ』なのです。】
 観察ごっこ…その文字はまるで、言霊になって私の頭の中で回っていく。


 【股座をM字に開いたその格好のまま、私は自慰行為をするよう命じました。
 彼女は暗示に掛かったように、朦朧としながら自身の身体を弄くり始めたのです。
 乳房を遠慮気味に揉むところから始り、やがて強さが加わり、そして強弱が繰り返されるのです。もう片方の手は胯間の痴豆に触れ、そこも同じように最初は優しく、徐々に激しくなっていきました。
 漏れ聞こえる声も最初はか細いものでしたが、私が遠慮するな、自分に正直に、と諭すと少しずつ声を荒げていきましたね。
 そして私もファスナーを降ろして、硬くなった自分の分身を露出させたのです。
 衣服を着けたまま最小限に必要部位を露出してする行為って、動物的なんですよね。】
 男の言葉…いや、手紙の文字が私の耳元で囁き掛けてくる。私は無意識に相槌を打っている。


 【互いの性器を見せ合った私達は、何かに急かされるように高見を目指して擦り、弄くり、共に快楽の頂点を目指したのです。
 二人が達した後には、新たな共有意識が生まれたと思いました。
 そうです、この『観察ごっこ』を機に、彼女はそれまで以上に私に気を許すようになったのです。性の深淵に触れ、それの虜になった感じですね。その証拠に、この後の彼女は信じられないような変態行為にも臨むようになってくれましたから。】
 アア…今夜何度目かの呻き声が、私の口から零れ落ちた。


 【さて、今回はここまでにしましょう。
 変貌していく清美さんの様子は、次の手紙で。来週の半ば頃には、お届けしたいと思っておりますので。
 そうそう、ご自宅に帰ったら寝てる清美さんの様子を探ってみては如何ですか?
 同窓会で私と再会して、あの頃の羞恥の体験を思い出して自慰を…ひょっとしたらそんな場面に出会うかもしれませんよ。   では】
 読み終えた私は、手紙を持ったまま暫く固まっていた。
 ああ清美よ、ここに書かれている事は本当の事なのかい。