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 テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
 先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
 「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
 由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
 画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
 ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
 男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。


 『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
 「今のは?」
 「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
 「あの人…」
 「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
 「それって、いいんですか」
 私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
 彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。


 映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
 「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
 私は黙って頷いている。
 「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
 「ええッ!」
 「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
 「………」
 「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
 「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
 「大胆に、ですか」
 「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
 ゴクリ、私の喉が鳴る。
 「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
 「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。


 「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
 由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
 「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
 それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
 その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
 映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
 徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。


 『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
 ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
 「ウフフ、徳ちゃんったら凄いわ。結合の部分が丸見えよねぇ。おまけにお尻の穴まで」由紀子さんが私をチラリと見ながら、ニヤついている。
 「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
 独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。


 「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
 「え、いや、それは…」
 口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
 妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
 と、映像が結合の部分から徳子さんの豊満な乳房を抜けて、彼女の表情に移動した。
 『いやーーんッ止めて!』
 顔のアップに気付いたか、徳子さんが悲鳴を上げる。
 『いやんいやん、恥ずかしいッ、清タン、顔は映さないでぇぇ』
 徳子さんの懇願にも、映像は彼女のアップのまま。この時の妻の心境も又、どんなものだったのだ。


 「あらあら徳ちゃんったら、凄い声ねぇ。でもご主人、彼女はねぇ、イヤとか言いながらシッカリ興奮してるんですよぉ。なんせ見られて感じる変態なんだから」
 私は驚きに息を詰まられながら、本当ですか、と訊きそうになっている。確かに徳子さんは、自分の逝き顔を見せ付けてるように観えなくもない。
 その時、徳子さんの顔がズームアウトされた。同時に腰を振っていた男が、彼女の腿をバチパチと叩いた。
 「次は犬の格好よ」
 由紀子さんの言葉通りに、二人は繋がったまま器用に体位を変えていく。
 「ふふふ、男女が身体を溶接させたまま一体となっての漂流感は、性の醍醐味なのよね」又も由紀子さんが、意味深な言葉を呟いた。私の中には、阿吽の呼吸という言葉が浮かんだ。正常位から犬の格好への移行が、スムーズに観えたのだ。
 そして直ぐに、それまで以上の徳子さんの叫び声が上がった。


 「どうですかご主人、あなた方夫婦のセックスと、動画の徳ちゃん達とどっちが激しいですか」
 由紀子さんの落ち着いた声にも、私は黙り込むだけだった。妻とセックスをしていた頃を思い出そうとしても、その記憶には補正が掛かっているのか、映像の男女と比べると幼稚すぎるものに思えてしまう。
 それとだ。由紀子さんは妻から私達夫婦の性事情まで聞き出したのだろうか。それを知って彼女は、今の質問を?


 「あ、そろそろ徳ちゃんが逝くわ!」
 その瞬間、由紀子さんの声と同時に、徳子さんが最後の雄叫びを上げたのだった。