小説本文



「奥さん手をどかせ」

男の声がカメラに入る。
しかし妻はもちろん手で胸を隠している格好だ。
若い男は妻の後ろにいき、背中側かわ手を回し、妻の腕を胸から引き離した。
妻の膨らんだ胸がさらけ出される。
屋外で服を脱ぐ女性などどこにいるだろうか。
性的嗜好で露出好きな女ならいるだろう。
だが妻はそんな類ではない。
俺とのセックスもそんなに多い方ではない。
性的な嗜好など興味もない女にまるでAVのようにこんなことをさせている男達に怒り狂いそうな感情が押し寄せる一方、妻のこんな姿を見て今まで経験したことがないような感情が自分の中に芽生えていることも事実だった。


「奥さん、また手を縛られたいか?」

未だに抵抗している妻に対し、カメラを撮っている男が言う。
すると若い男につかまれていた妻の腕から力が抜けて出した。
そして若い男は妻から離れ、妻は隠したいけど隠せないという感じで腕で胸の横につけ、少しでも隠したいという気持ちが仕草に表れていた。
手をグーに握ったまま辛そうに目を瞑り、下を向いている妻の姿がそこにあった。
晴天、そんなことばがよく似合う天気の日、どこだかわからない公園で全裸にさせられている妻。
DVDを見ている自分の環境など忘れて、ただDVDの中身を見入っている自分がいた。

「ちょっと歩くぞ」

男の声に妻は歩き始めた。
全裸にスリッパのみという異常な格好で公園をあるく。
公園はジョギングコースのような木々に囲まれた細い道があり、人は誰もいないようだった。
その道を妻が先頭になって歩いていた。
前から誰かが来たら確実に妻の裸を見られる。
いや、後ろから誰かが来ているんじゃないか?
そういう疑念で、自分の脈を自分で感じられるほどドキドキしていた。

そして映像が切り替わった。
一旦カメラを止めたのだろう。
しかしさっきの公園の中と思われる場所だった。
一面が枯れ枝や雑草で覆われた地面に、木々が映っている。
そのアングルが右に移動すると、さっきと同じ全裸の妻が映っていた。
人が通るコースではなく、ちょっと入り込んだところらしい。
後ろの方にさっきのジョギングコースのようなところも見えるが、そこに比べると陰が多く少しくらい場所だった。
遠い後ろに見えるジョギングコース、そして今入り組んだ木陰で全裸でいる妻。
その妻の後ろに若い男が近づき、後ろから腕を回りこませて妻の胸を触り始めた。
少しずつ柔らかさを確かめるように表面を指でなぞり、弱い力で弾力を確かめている。
だんだん触る範囲を増やしていきながら感触を確かめように手全体で妻の胸を揉みしだき始めた。
男の手により下から上へ持ち上げられ、重力に従い男の手に吸い付くように揉まれている乳房、
その乳房は下から上、上から下へ弄ばれ、それでもまた揉んで欲しいと言わんばかりに元の形に戻り、
まるで男の手に操られているかのような錯覚に陥るほどエロチックな光景だった。

「奥さんのおっぱい柔らかくて張りがあって気持ちいいね~やっぱ人妻は最高だよ」

妻の胸を揉みながら、男は妻に諭すように言った。
俺の思い通りに体を弄られることが当然だと言った感じで妻に屈辱感を与えていた。

そして男は妻を肩に手を乗せ、妻の腰を下ろさせ始めた。
それと同時に妻に横を向かせ、男も妻の正面に立つような形だった。
妻の顔の目の前に男の股間があった。
画面で見ても膨張しているのはわかる。
男はベルトを緩め、パンツと共にジーンズを膝の辺りまで下ろし始めた。
そして上を向いて膨張しているものを妻の顔に当て始めた。
妻はもう抵抗する気力もないのか、入れられたローターや胸を揉みしだかれたことで身体が反応しているのか、
当たり前のようにその膨張した男を口で包み始めた。
自分以外の男のものを舐める妻などみたことはない。
それは当たり前だ。
客観的に妻が男を加えているところなんてほとんどの男が見たことがないはずだ。
心臓のバクバクが最高潮に達しようかとしているのが自分でもわかった。
妻は一度口全体で咥え込み、下から上までなぞるように舐めている。
見たくない。
それが正直な感想だった。
画面から目を離し、ベッドに仰向けに倒れこみ、現実なのか夢なのかも定かではない状態にいる自分を放置するかのようにただ天井を見ていた。