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画面いっぱいに映る妻の姿。
その姿はいつもの妻ではなく、赤い紐で後ろ手に縛られ腕を動かせないようにされ、全身の肌に紐が食い込んでいる妻だった。
きつく縛られた紐の間から苦しそうに充血しかけた乳房が顔をだし、全身の網目上に結ばれた紐の間から行き場を失った肌が膨張した形で晒しだされている。
妻の綺麗な肌を少しずつ侵すかのように赤い紐が纏わりつき、そんな中陰毛の一箇所だけが黒々としている。
そこには自分の妻であり、子供2人の母親の面影はなく、ただこの男の奴隷である一人の女が映し出されていた。

そこにインターホンの音が鳴る。
家のインターホンの音ではない。
テレビ画面の中から聞こえてきた音だ。
画面の中の妻が少し怯えたように視線を動かした。
ドアを開ける音がし、男数人の話し声が聞こえる。
画面の右端に男が映った。
20代前半だろうか、まだ若々しく、あどけない顔をしながら妻の裸に見入っている。


「こんな息子に近い年齢の男に裸を見られてどんな気分だ?」


その男が口を開いた。
妻は全身を身動きできない状況にされ、俯いて黙っている。
見ている自分の動悸が激しくなる。
何が起きているのかわからない。ただ妻がめちゃくちゃな目にあっている。
明らかにその辺で普通に行われている行動ではなく、異世界のものと思われる自分とはかけ離れた世界にいる妻がそこに映し出されている。
しかし妻は今普通に飲みに行っている。
何がなんだかわからない。
そう思いながらも自分の股間からは汁が漏れ出し、ズボンの先が濡れているのがなんとも言えない気分だった。
人間長く生きているとほとんどの行動に対して過去の経験から予測をできるものだ。
しかし今自分が置かれている状況はまるでアクション映画の中にいるかのように先が見えない、そんな状況だった。


「奥さん、今日は奥さん楽しいことさせてやるからな、幸せだな奥さん」


「おい片桐、もう行くぞ、準備しようぜ」


行く?どこへ行くんだ?
片桐、この男たちの中の名前だろう。
ビデオを撮影し、妻の身体を紐で縛りつけた男。
入ってきて早々、妻に侮辱の言葉を投げかけた片桐と思われる若い男。
そしてその片桐に準備しろと催促した男。
少なくとも3人はいる。
そんな考えに耽っていると、画面の映像が切り替わった。
車の中だろうか、さっきまでの固定された映像ではなく、手でカメラを持ちながら撮影しているのだろう。
撮影を止め、また同じテープでそのまま撮影していると思われる。
さっきの映像からどれくらいの時間が経っているのだろう。
別の日か?
さっき移動するといっていた後のことだから数時間しか経っていないのかもしれない。
車の中に入ってくる昼の明るい光の具合から見て、さほど時間が経っているとも思えない。
多少画面が揺れているのがわかる。
運転席と助手席を後ろから見渡す形で映像が映っている。
どこかへ向かい車が動いていることは確かだ。
運転席にいる男はさっきの若い男。
前の席の広さから見るにワゴンタイプの車だろう。
車を走らせている音だけが無機質な車内の雰囲気を感じさせた。
しかし、それはすぐに一瞬のことだと思い知らされた。
運転席から前を映し出していた映像が次第に右に回り、後ろの席に座っている妻が映し出された。
コートを着ている。
今は7月に入ったばかりだ。
コートを着ているということは冬?
半年近く前の映像なのか?
いや、さっきの若い男は半袖だった。
引き続き映し出されるコートを着させられている妻が映し出された。
シートに寄りかかり、俯いている。


「奥さん、どうだ?気持ちいいか?」


撮影している男はそう言うと、妻のコートを胸の辺りからハダきはじめた。
画面に映る映像に愕然とした。
コートの下はさっきまでの映像に映っていたとおり、全身を赤い紐で縛られた状態だった。
亀甲縛りというものだろうか、網目状に縛られている。
コートを着ているのではなく、後ろ手に縛られたままコートを被せられていた状態だった。
男が胸だけでなく妻の全身がカメラに映るようにコートを引っ張る。
すると妻の腰の辺りに緑の紐のようなものが見えた。
しかしカメラは妻の胸のアップになり確かめることができない。
映像はそのまま下へと移動していき、さっき見えた緑の紐が見えた。

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