小説本文



カメラに映る妻の太もも、その奥にひっそりと見える茂みから緑の紐が見えた。
いや、紐ではない、何かのコードのようだった。
男はカメラを持つ手とは逆の手で妻の太ももに手をやり、股を開かせる。
しかし妻は抵抗し、なかなか開こうとしない。
すると肌を叩く大きな音がした。
男は妻の太ももを思いっきり叩いたのだ。
妻は驚いたのか、太ももからは力が抜け、男の赴くままに太ももを開き、その奥にある黒々とした場所をカメラの前にさらけ出した。
妻の秘部からは緑のコードが飛び出し、腰の辺りの紐に括り付けられている。
そして男はその緑のコードに手を掛け、ゆっくりと手前に引き寄せた。
車内に少しだけ響く走行音、その中に次第に響き始める機械音があった。
緑のコードがゆっくりと妻の秘部から出てくる。
そして丸い卵状のものが顔を出した。
それと同時に機械音は大きくなり、明らかにローターとわかる緑のものに絡みついた透明な粘液が画面に映った。
男はローターを半分ほど出すと再び指で妻の中に押し込む。
画面に映る下半身、そして何事もないかのように動かない太もも、いま妻はどんな顔をしているのか。。。
まるで自分の妻がAV出演しているかのような錯覚に陥った。
画面はそのままズームアウトし、妻の全体像が映し出される。
妻の隣から正面に移動して撮っていた男は再び妻の隣に座ったのだろう。
横から妻を撮る形で映し出されていた。
妻の横から少しだけ男の方を向き、座席と窓側にもたれかかるように座っている。
カメラの前に緑の四角いものを持った男の手が映る。
ONとOFFのスイッチのみの四角いもの。
それが何かは察しがついた。
男はONになっているスイッチを切った。
それと同時に車内に少しだけ響いていた機械音は消えた。
そして車が止まったのか、男は言った。


「降りるぞ」


そういうと男は車のドアを開け、カメラで妻を撮影しながら車から降りた。
妻を撮影しているということは後ろ向きで降りているということだ。
そして、降りているということはドアは開いている。
妻のさらけ出された裸体が外から見えるということになる。
妻の後ろに映る風景は緑の木々が見える。
公園かどこかか?
すると、男が降り、妻一人で乗っている後部座席に運転席から降りてきたであろう若い男が乗り込んでいく。
何をする気だ?
心臓がバクバクする気持ちを抑えながら画面を見入る。
男は妻に掛けられているコートをずらし、妻の秘部を触り、後ろ手に縛られている紐を解き始めた。
そして妻の両腕が自由になった。
男は妻にコートを差し出し、妻はそれに腕を通す。
そして若い男が妻の手を引いて降りてきた。
画面に映る妻の顔は今にも泣き出しそうな顔だった。
若い男の顔の顔が完全に画面に映っている。
全裸でコート1枚の女を連れ出すのに緊張しているのか、少しこわばった表情だ。
この手のことには慣れてないようだった。
しかし、そんな男に言いようにされている妻の姿に自分の心が引きちぎられそうな気持ちになる。
半袖のシャツを着ている男達の中、一人だけコートを着ている女。
靴は履いているのか?
足元を見てみるとスリッパだった。
ホテルのスリッパをそのまま履いてきているかのように。
若い男は先頭を歩き、その後ろを妻がついていく。
あたりに人の気配はない。
と言っても映像でみて感じているだけの話だ。
実際は少しはなれたところに人がいるのかもしれない。
若い男もそれを心配してか周りをキョロキョロしながら歩いている。
だんだん歩くスピードが落ちてきて、どこかに向かっているというよりも、散歩をしているかのような雰囲気になってきた。
すると男の声がした。


「奥さん、そこで止まって。」


すると妻と若い男は立ち止まる。
若い男は画面に映らないよう歩いて横に消えた。
カメラで撮影している男の傍にいるのだろう。
画面には小さな木の木陰で俯いている妻の姿が映っている。


「じゃあ奥さん、この時期にコート着て歩くのも暑いだろ。第一目立ってしょうがないよな?
 そこで脱げ。」


カメラを撮影しているであろう男の声が聞こえる。
それに相槌を打つように若い男が言う。


「俺達もこんな暑いときにコート着てる女と歩くと恥ずかしいんだよね~」


画面に映っている妻は無反応だった。


「奥さんがそんな態度なのはわかってるから」
もう一人の男がしゃべった。

あまり話をせず、存在感のなかった男が。


「スイッチ、オン」


するとカメラを撮っている男が画面にローターのスイッチを映し出し、スイッチをONへと切り替えた。
カメラから2,3メートルは離れている。
もちろん音は聞こえない。
歩いてきた振動で外れているんだ。
そう思っていると男がしゃべった。


「ほら奥さん、自分で脱ぐのか俺達にコートを奪い取られて全裸でこの公園を一周するのか自分で決めろよ」


妻は次第に屈み始め、両手を膝についた。
そして再び立ち上がると、周りを気にしはじめる。
周りに誰もいないことを確認し、コートのボタンをはずし始めた。
上から順に5つあるボタンをはずす。
ボタンをはずした箇所から少しずつ隙間が空き、その奥に肌が見える。
そしてすべてのボタンをはずし終わると、肩のほうからコートをずらしはじめた。
少しずつ大きくなる隙間から胸のふくらみが見え始め、色の変わった部分が見え、胸のすべてが画面に映る。
そして下の茂みが見えたところで左腕からコートを脱ぎ始める。
脱ぎ終わると右肩に掛かったコートを脱ぎ、妻はそのコートで身体を隠した。
隠したといってもカメラに向け見えている部分だけだ。
後ろから見たら丸見えの状態だった。

どうしていいかわからず混乱している様子の妻に若い男が近づき、コートを無理やり奪い取った。
妻はそのままコートを手でつかんでいると裸が見えてしまう恥ずかしさか、手をほとんど動かさずにコートはすんなりと若い男に持っていかれてしまった。
そのまま腕で胸を隠している。
胸は隠れるが下半身は丸見えだった。
あまりの恥ずかしさからか横を向き始める妻に、カメラも妻を正面から撮ろうと移動する。
どうしていいかわからない妻はその場に立ち尽くしていた。
恥ずかしい姿である自分をわかっていながらどうしようもない状況、あまりに弱い立場に置かれた女がそこにいた。
そしてカメラは妻の後ろにある公園の風景を映し、そこからからズームアウトして妻の茂みを映し出した。
こんなところでこんな部分をさらけ出している女だとでも言わんはかりに画面がそれを主張していた。