作品:役員会 ~マゾ夫婦の誕生~ 連載中 作者・NT 約9分で読めます
第10話
貴明はふっと目を覚ました。知らないうちにソファーで眠っていたようだ。
目を擦って立ち上がると、居間の灯りが常夜灯に変わっている事に気がついた。妻が帰って来ている。
キッチンで水を一杯飲んで、寝る準備に入る事にした。
洗面所で顔を洗い終えると、洗濯機の蓋に挟まってる物に目がいった。見ればそれは、水色のショーツ。几帳面な妻には珍しく、はみ出したままになっている。
ふと、何気なくソレを手に取った。いったん後ろを確認してから、ソレを広げてみた。ネバネバした液が付着している。鼻を近づけてみれば栗の華の匂い?
背中がゾクリとした。コレは牡の欲望の証ではないのか。
貴明の足がフラフラと寝室に向かった。そして妻の寝顔を覗き込む。いや凝視した...。
次の日の朝ーー。
単身赴任から戻って、さすがに10日近くも経てば、以前の日常を思い出している。
日本の在り来りの朝食も、貴明は味わい深さを感じていた。
「ところでさ、昨日の太田コーチの話はどんな感じだったの?」
それは千明への、突然の問い掛けだった。千明は家事の手を止めると、夫に顔を向けて由香の不倫疑惑は、全くのデタラメだと“嘘”をついた。
「ふ~ん、そうなんだ。それだけにしては、随分と帰りが遅かったよね」
「いえ、それ以外にも色んな話をしたし...」
「例えば、他にも不倫してる人がいるとか」
不倫...言葉にしながら、貴明は昨夜の栗の華の匂いの着いた妻のショーツの事を思い出している。
千明の方は『不倫』の言葉に、一瞬身が竦んでいた。そして苦し紛れにか、山際恵美の疑惑を口にしてしまったのである。
「...山際さんって、嵐君のお母さんか...あの人がAVだって」
「だからそれは噂よ。仮に出てたとしても、今も出てるって事はないし」
「昔に出てたって事か」
「もうっ、だからそれは、あくまでも噂ね。貴方に黙っていたのは悪いと思うけど、何処から噂が広がるか分からないから...」
「僕は誰にも言わないけどね」
「それはそう思うけど...」
二人の間に気まずい空気が流れた。そしてその話は唐突に終わった。息子の拓実が起きて来たのだった。
時間通りに家を出た貴明は、妄想を浮かべていた。そこでは千明が、AV女優として調教されていたのである。
息子の拓実を送り出すと、千明はスマホを取り出しLINEを確認した。
昨日の夜“彼”に送ったものーー《明日の夜にでも、何とか時間を作ります。都合は如何ですか》ーーは、既読になっていて、その返信が来ていた。
《お疲れ様。明日の夜、時間作ります》
あっさりとした文であったが、千明の身体から力が抜けた。送られて来たのは夕べの深夜で『明日の夜』というのは今夜の事だ。
夫には何と云って家を空けようか。それに又、拓実に一人の夕食をお願いしないといけない。
夫が帰国してから、自分の周りで何かが崩れ掛けている気がする。いや、周りではなく自分自身なのか...。
そんな事を考え始めたその時、スマホがLINEの着信を告げた。見れば夫からである。
《言い忘れた。今夜も上司に誘われての飲み会だった。遅くなると思うので》
例えようのないタイミングの怖さに、千明は身体を震わせたのだった。
夕方、パートを終えた千明は急いで自宅に戻り、夕食の準備を終えた。息子の拓実には、サッカーの役員との約束があると告げてある。
“彼”が指定していた場所に向かう。昨日、レイプまがいとは言え東山と関係を持ってしまった事も正直に告わないといけない。
そこは自宅の最寄り駅の一つ隣の駅。この距離だと知り合いに会う可能性も残るが、彼に言われたのだからしょうがない。
駅に着いたタイミングで、ちょうど“彼”からのLINEが着信をつげた。駅前のカフェにいるからと、店の名前が書かれていた。
店に入ると、直ぐに彼の姿が目に付いた。
こうして二人だけで会うのは、夫が帰国してからは初めてだった。緊張はこれまで以上のもので、身体が武者震いで震えている。
千明は”彼“の前に座ると、山際恵美の報告を聞く前に、前日の東山夫婦との出来事を話した。
彼の様子は、思った以上に冷静に観えた。自分の彼女(?)が、共通の知り合いにレイプまがいに関係を持たされたというのにだ。
「だからね、アタシね...誠也君のお父さんに...」
「うんうん、それより太田コーチと聖也君のお母さんがレズとはねえ。それはちょっと意外だったな」
目の前の千明に慰めの言葉を掛けるでもなく、レズに興味を持ったか、彼はシレッと笑みさえ浮かべている。
「それよりもさ、旦那さんが帰って来てどうなんだ?俺の良さが改まって分かった?1回くらいは、夜のお勤めはしたんだろ」と、又もシレッと訊いてきた。
周りの視線を意識して、千明は頬を赤らめている。
千明の沈黙を受け取り、彼は一つ咳払いをすると山際恵美の調べた事について報告を始めたーー。
「...そうなんだ。じゃあ、あれはデマなのね」
「ああ、それでいいんじゃないか。まあ出てたとしても昔の事なら、今じゃ分からないさ」
彼がAV疑惑をどのようにして調べたかは、千明は特に疑問も持たなかった。取り敢えず、事がこれ以上に大きくなる事はないだろうと、安堵したのだ。
今日の要件は、一応これだけだった。時間を確認すれば、店に入ってまだ20分くらいしか経っていない。
ふと彼を見れば、薄ら笑いを浮かべながらも、金属的な冷たい眼差しを向けていた。
「どうした、もう帰る?拓実君、待ってるんだよな」
千明は頷こうとした。しかし...。
その20分後には、二人は高速道路の入口近くのホテルの一室にいた。千明にとって、この手のホテルに入るのは夫と付き合ってた頃以来かと、かなり久しい事であった。
夫が単身赴任中、彼と会うのはそれなりのシティホテルだった。2度ほど車の中というのもあったが。
独特のエントランスを通る時は、心細さで自分から彼の肘を掴んでいた。エレベーターを出た時には、誰かに見られないようにと、彼の胸に顔を埋めるようにして歩いた。部屋に入った時は少しの安堵を覚えると同時に、身体の火照りを感じていた。
「どうしたボォっとして。早くしないと帰りが遅くなるぞ」
いつの間にか、彼の口調に厳しさが混じっている。
「お湯、入れて来るか」と、彼が何気なく口にする。「東山さんに汚された身体、早く清めてもらいたいんだろ」
その瞬間、千明はアソコがハッキリと疼くのが分かった。
・・・・
貴明は慣れない上役との酒の席で、緊張が続いていた。
海外での業績を誉めてもらえるのは嬉しいが、それでもそろそろ解放されたい気分だった。だけどこの店の次は、女の子のいる店に行くのだろうと想像がついてしまう。
女の子ーー赴任先には、現地妻と呼ばれる存在がいた。彼女達を抱く事に、本妻の千明に対する後ろめたさや罪の意識はそれほど感じていなかった。男の甲斐性と開き直るわけではないが、活力を得る為のストレス解消の一つと割り切っていたのである。
愛あるセックスは、あくまでも妻と...と、想っていた筈なのに、夕べ見てしまったあのショーツ。直ぐに問い詰められなかったのは、やはり赴任先で女を抱いた事実があるからか。そうとは言え、あのネバネバした液体を見た瞬間に、貴明は今まで感じた事のない違った種類の興奮を覚えていたのである。
「どうしたんだい松山君、そんな時差ボケみたいな顔をして」
ハッと我に返ると、上司が酌のビールを向けていた。貴明は苦笑いを浮かべて、グラスを持ち直したのだった。
・・・・
飛びそうになる快楽の中で、千明は薄目を開けて“彼”の顔を見上げた。疲れ知らずの彼の腰は、千明を抉り続けているのである。
今、天井の鏡には、蛙のように足を拡げた女の上で、腰を振り続ける男の背中が映っている。
これまで何度かした正常位の形が淫猥に感じるのは、天井に貼られた鏡が原因なのか、それとも帰国した夫の影を身近に感じるが故の背徳のせいなのか。
既に2度放出した彼は、千明に云ったのである『次は生で出すぞ』
悍ましさを覚える筈のその言葉にも、千明は頷いていた。千明の意識からは、昨日の東山の事などとっくに消えている。
「千明どうする、このまま出すか。ん、それとも別の格好がいいか?」
荒い息を吐きながらも、男がサディスティックな口調で千明を問い詰めた。
「あぁ後ろ...今度は後ろから...あっ、後ろからして下さい...あぁ」
男が一物を抜くと、千明は心得たように四つ足になった。そのスムーズな動作は、心が通じあった男と女の阿吽の呼吸のようである。
突き出た臀部は、本来は白かったが、今は紅く媚の色に染まっている。
最初の頃『お願いだから見ないで、恥ずかしい』羞恥心を露にしていた千明は、ここにはいなかった。待ち受ける身体の芯には、迎え難い熱と疼きを感じている。早く挿れてほしい...。
ベッドの周りには幾つもの鏡。正面の鏡の中には、美貌ゆえ鬼気迫る迫力の女がいる。
男が後ろから串刺した。
「いーーッ!」千明の口から咆哮が上がった。その叫びが、これまでの快楽の記憶と重なっていく。
男の味を思い出した女は、ヨガリの声を吐き続ける。
千明の声に、男の抉りが強さを増した。耳元には熱っぽい息を感じる。
「約束通り生で出してやるか」
男の顔が鏡の中でニヒルに歪んだ気がして、その視線に千明はヒヤリとした。
「あぁッ、それは...許してるじゃない、ですか...」
自ら吐いた生の欲求に、身体が痺れを感じた。股間からは、凄まじい脈動が伝わって来る。情交の卑猥なリズムが激しさを増し、四つん這いの肢体が硬直した。
そして千明は、号泣したいほどの愉悦が高まり、生臭い雄叫びを上げた。
「凄いッ、おかしいッおかしくなる、もうダメ、逝ぐ、逝きますーーッ」
崩れ落ち、暫く死に体になっていた千明。やがてその目が、ゆっくり開く。隣には見間違いようのない“彼”の姿。
その彼が優しげな目を向けた。「それで、旦那さんは悦びを与えてくれたの?」
突然の『旦那さん』の響きに、千明は息を飲んだ。
「この部屋、実は天井の鏡の裏が覗きのスペースになっててさ。さっきの俺達のセックス、上から見られてたんだよ」
千明の顔が一瞬に凍り付いた。彼がニヤリと笑う。「て言うのは、まあ冗談だけど、男の中には覗き願望を持ってる奴が多くて、千明の旦那なんて案外その手の奴かもしれないぞ」
「………」
「そうそう、千明のスマホ、これからはロックは外しとけ。旦那が見たら面白い事が起こるかもしれないし」
「………」
「それと今夜、旦那に抱かれろ。次の飲み会で旦那に会うのが楽しみになるからな」
背徳の言葉を受けて、千明の背筋がザワついた。
そんな千明の手を、男が握る。
「最後にもう一発、抜いてもらおうかな」
言うなり男は、千明の手を引いて鏡の前に連れて来た。
「ほら、射(だ)したばかりのヤツだ。さあシャブれ」
傀儡に堕ちた千明は、言われた通りに鏡の前でしゃがんで、ソレを口奥に迎え入れた。
「顔を鏡に向けろよ。お前は旦那以外の男の物をシャブってマンコを濡らす女だ。今度会う時はもう一つの穴も責めてやるからな」
シャブるだけでアソコを濡らす女は、男の言葉だけで濡らすのだった。そして同時に、肛門(アナル)に疼きを感じるのだ。
家に帰り着いても、千明の傀儡は続いていた。玄関を抜けると、そっと子供の部屋を覗く。息子の寝息を確認すると、夫の気配を探る。
夫の貴明はスーツのまま、ソファーで鼾を掻いていた。
千明は“彼”にしたように、夫の足元に跪いた。そして夫のファスナーを降ろしていく。
そしてその行為は、自分への懺悔と思い込むのである。
ソレをシャブっていると、やがて夫は目を覚ました。最初、何が起こったのか分からない貴明だったが、直ぐに男の欲望を顕わにし始めた。
その豹変したような動きは、千明にとっても意外なものであった。ソファーでするのも初めてだったが、レイプまがいに服を剥ぎ取られ、荒々しく乳房やアソコを責められたのだった。
夫の責めは酔い任せだったのか、とにかく最後まで野生的だった。しかし、それでも、哀しいかな千明は興奮も性的快楽も殆ど感じなかったのである...。
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