小説本文



次の日はまた家に入る前に口紅だけを塗って帰ってきました。家の中はしんとしていて、お母さんは出かけているようでした。
 リビングでノートパソコンを見てみると、
『ありがとうございます。ありがとうございます。お返事いただき嬉しくて涙が出そうです。他に頼る人もいません。どうしたらいいのか教えてください。息子がホモになったりしたら生きていられません。せっかくご親切でアドバイスいただいていたのに、感情を害してしまって申し訳ありませんでした。ぜひ今後もよろしくお願いします。ユミコ』
 とお母さんのひれ伏すような書き込みがありました。うまい具合に反省しているようです。でも、ここからがなかなか難しいところです。なんでもやりますと言ってはいても、実際にどれくらいやれるのかがわかりません。一気に過激なステージに進むと、また気が変わって拒絶反応を示すことも考えられます。ぼくは必死に頭を絞って短めのコメントをアップしました。
『口では何とでもいえます。あなたの母としての愛情が試されているのです。息子さんがホモになるかどうかはあなた次第です。もう手遅れのような気もしますが』
 部屋でエロ雑誌を眺めていると、お母さんが帰ってきた気配がしました。ちょっと気になったので、こっそり様子を眺めに行くと、お母さんは一生懸命何かの本を眺めていました。別に服装は薄着でもなく、ぼくはガッカリしてしまいました。
「あ」
 お母さんはぼくに気づくと、恥ずかしそうに微笑みます。ぼくも隠れているわけには行かなくなって、
「何の本を読んでるの」
 そう声をかけながら近づきました。お母さんの読んでいたのは漫画でした。よく見ると大人向けのコミックです。
「コンビニでレディスものを買うつもりで間違って買っちゃった」
 真面目そうな男顔を真っ赤にしてそう言います。
「マサルちゃん、こんなの読まないわよね」
 ぼくの手に押し付けます。パラパラめくってみると、ヌードやセックスシーンのオンパレードです。冒頭のグラビアなどは、ぼくが望んでも得られなかった、漆黒のヘアヌード写真が堂々と掲載されています。
「なにこれ」
 気のない様子に見せかけ、無理にそう言うと、
「あげるわ。あ、そうそう。マサルちゃんはもっと学術的なのが好みよね。お母さんうっかり借りっぱなしにしちゃってた」
 ぼくの部屋から消えたお気に入りの数冊がテーブルの上に載っていました。
「それと、偶然古本屋さんで、同じようなのを見つけたので買ってきてあげたのよ」
 言いながら、紙袋から取り出す手が、ブルブルと震えています。いまどきのエロ雑誌が買えず、仕方なくコレクションしていたシリーズに近い、その名も『近親相姦』と『全裸生活』という古臭い2冊でした。お母さんはぼくの本を開きながら独り言のように、
「きれいな裸よね。家の中で脱ぐのも芸術的ね」
 表情はこわばりながらもそう楽しげに言います。ぼくは『近親相姦』を取り上げ、膝の上で検分します。なんと、母と息子特集、と大きく謳ってありました。
「いくつくらいかしら。お母さんより年上かなあ」
 依然ぼくのコレクションの写真を眺めて、お母さんが呟いています。
「同じようにやってみたら」
 自然とそんな言葉が口をついて出ていました。お母さんの異変に気づいていたのです。直感で、今日はチャンスだ、と分かったのだと思います。
「そうね。真似してみようかな」
 お母さんは言って、ブラウスを着たまま、器用にブラジャーを外します。酔ったような赤い顔ですが、眼は真剣です。
「こんな感じかしら」
 お母さんはためらいもなく、胸元のボタンをを3つほど外して、ブラウスから片乳を引っ張り出しました。大きい、生々しい乳房です。まさかこんなに簡単に、お母さんのオッパイを見ることができるなんて、想像もしていませんでした。ぼくの股間の肉竿がピーンといきり立ちました。
「お母さんのおっぱい、ずいぶん形がいいんだね」
 ぼくは平静を装って、母が息子に乳房を見せるという異常性を意識させないように、ことさら形の良さだけを褒め上げました。もちろん実際には心臓が破れそうにバクバクしています。
「この本のモデルにも全然負けてないよ」
「そう。嬉しいわ」
 お母さんはぼくのそばに近づいてくると、コミックのあるページをパラリと開いて、
「じゃあ、こんなことも出来る?」
 真っ赤に染まった頬をゆるめて、耳元で囁いてきます。そこには熟女のヌードを見ながら若者がオナニーをするシーンが描かれていました。ぼくは思わずお母さんの顔を見返しましたが、なんでもないことのように澄ましています。きっとこのシーンを見つけて、コンビニでわざわざ買ってきたのでしょう。平気な顔をしていましたが、内心の動揺を示すように、指先は激しく震えています。日ごろのお母さんからすれば狂ったかのような行動ですが、ぼくのオナニーを手伝うという覚悟を決めたのでしょう。ちょっと恥ずかしかったのですが、ここまでくればお母さんのお膳立てに乗るしかありません。
「お母さんがオカズになってくれるの?」
 当たり前のように言ってみると、
「え、ええ……」
 消え入るような声で恥じらっています。急にぼくはお母さんが可愛らしく思えていました。
「だったらぼく、こっちがいいな
 おもむろに『全裸生活』のほうを取り上げて、お母さんに指し示します。そこに全裸ヨガが載っていたのです。
「えっ?」
 お母さんは戸惑いを見せましたが、ここまで来て断れるはずもなく、耳の先まで真っ赤にしながら、するするとリビングで洋服を全部脱いでしまいました。お母さんの裸は、風呂場で後ろ姿を一瞬眺めた以来です。両手で胸と股間を隠していますが、まず色の白さに驚きました。顔は少し皺があって日に焼けた感じなのですが、首から下の肌はスベスベでミルクのように真っ白なのです。
「漫画みたいにやればいいんだね」
 ぼくもなんでもない気軽な調子で言って、ズボンとパンツを脱ぎ捨てました。お母さんはすばやく目を動かして、ぼくがパンティを穿いてないことを確認し、ホッと安堵の息を漏らしたようです。
「この簡単なのからやってみる?」
 ぼくが言うと、お母さんは乳房をふるふると揺らせながら、本を覗き込みます。
「わかったわ」
 お母さんはマットに戻り、片足を上げて、その足の裏をもう片方の膝の横につけ、両腕をまっすぐに耳の横に伸ばして揃え、両手のひらを頭上でくっつけました。大きな乳房も陰毛も丸出しです。憧れのアンダーヘアは逆三角形型で密生していました。特に手入れはしていないようですが、あちこち食み出したりせず、きれいな形をしています。お母さんの顔は、居たたまれないほどの羞恥に、朱に染まっています。
 ぼくは勃起を右手で握り締め、擦りあげるのですが、いつもと勝手が違うせいか、なかなか高まってきません。
 お母さんはなんともいえない顔をして、ぼくが肉棒をしごくのを見つめています。
「うーん、なんか上手くいかないや。オカズにちょっと違うのを取って来ていい?」
 ぼくがそう言ったときのお母さんの顔は見ものでした。この世の終わりのような愕然とした表情を浮かべ、膝から崩れ落ちたのです。目だけは憑かれたように、ぼくの瞳の奥を探ってきています。
「マ、マサルちゃん。お、お母さんでは出来ないの……?」
 その凍りついた姿は絶望という題名の絵画でした。
「そんなことないけど、ぼくあんまり自分で上手く出来ないんだよ」
 思いっきり良い子の笑顔を作りました。いままで散々オナニーで精液を撒き散らせてきているので、自分でも言ってて吹き出しそうになりました。
「そ、そう……」
 自分が素っ裸なのも忘れたように、お母さんが心配そうによろよろとぼくのほうに近づいてきます。ぼくが小さい頃、高熱を出したときに看病してくれたお母さんの表情を思い出しました。
「わ、私じゃ出来ないかしら」
 勃起を握るぼくの右手の上から、そっと手をあてがってきます。切羽詰ったような祈るようなお母さんの顔を見ると、ぼくは急にすごくいけないことをしているような気になってきました。お母さんの目にはすでに涙が一杯に溜まっています。全部うちあけて謝ってしまいたい衝動に駆られましたが、ぼくの口から出たのはまったく別の言葉でした。
「ぼく、だから女になったほうがいいかと思って。受け入れる立場のほうが」
 そう言ってみると、お母さんは、ヒィーッ、という調子っ外れの笛のような悲鳴をあげました。人間の喉があんな音を立てると思っていなかったぼくはびっくりしてしまいました。
「こ、こうやれば気持ちいいんじゃないの」
 お母さんはぼくの手を放させて、なりふり構わずいきなり肉棒を握り締めました。
「あ。ちょっと気持ちいいかも」
 ぼくがそう言って励ますと、お母さんは真剣な表情で手コキを始めました。ぼくの目の前で、じゅうぶんに魅惑的なおっぱいがプルプルと揺れます。初めて他人の手で勃起を擦られたぼくは感無量でした。
「ああ。女の人もいいもんなんだね」
 ぼくがわざとそう言うと、お母さんは鞭が入った馬の様に、いっそう熱を込めてしごき始めます。
「どう? どう? おっぱい触ってもいいのよ」
 ぼくは手を伸ばしてプルンプルン揺れる胸に手を伸ばしました。柔らかく温かい感触を味わったとたん、ピュッと白濁が肉根の先端から飛び出しました。それはお母さんの顔や胸や腕などを汚しましたが、お母さんはホッとしたような顔になり、
「あら。全然小さくならないわ」
 と嬉しそうに呟くと、またゆるゆると肉竿をさすって来ます。お母さんの顔は目元を染めて小鼻を膨らませた、今まで見たことのない色っぽい感じになっていました。ぼくはこのチャンスになんとか近親相姦に持ち込めないかと頭を働かせますが、またもお母さんの指使いにあっけなく第二弾を迸らせます。
「もういいの? まだよね?」
 メガネを精液で汚したお母さんは優しい声で言って、執拗にぼくの肉棒に挑みます。ぼくはお母さんの両乳房をそれぞれ両手で揉みしだきながら、悦に入っていました。
「すごく気持ちいいよ。これからもやってくれる、お母さん?」
「いいわよ」
 乳房をもみくちゃにされたまま、お母さんはニッと笑いました。その笑顔の何と淫靡だったことでしょう。ぼくは結局、五回放出し、満足しきって部屋に戻りました。
 夕食のときもお母さんは頬を染めながら、意味ありげな視線を送ってきていました。お父さんが寝に上がって行った後、ぼくがリビングに行ってみると、お母さんはまた本を読んでいました。お母さんが買ってきた『近親相姦』です。ノートパソコンを覗く目的でしたが、なんとなくぼくは隣の椅子に腰を下ろしました。
「この本は面白いわね」
 お母さんが話しかけてきます。もう風呂上りと見えて、もともと化粧っ気の少ない顔は、乳液でツヤツヤしています。
「近親相姦なんて言葉が良くないけど、家族がお互いタブーを取り除き、助け合うのが本来だって書いてあるわ」
 白地に花柄のパジャマの上下を纏ったお母さんが、熱心にページを繰っています。この類いの書籍は、ちょっと頭のいかれた投稿者が好き勝手に書いた妄想まみれの原稿で埋まっているのです。ぼくのような中学生ですら鵜呑みにはしていません。なのに、ずっと専業主婦で働きに出たことのない世間知らずのお母さんは素直に信じ込んでいる気配です。
「そうなんだね。今日オナニーを手伝ってもらって、ぼくとっても気持ちが良かったよ」
 ぼくは調子を合わせておきます。
「表に出ないだけで、実際にはよくある事だって書いてあるわ」
 お母さんは頷きながら、食い入るように活字を追っています。
「一緒に暮らしているんだから、裸を見たり、スキンシップを図ったりって、当たり前だもんね。愛情のある間柄だし」
 控えめに同調しておきます。
「そうなのよね……」
 お母さんは何事か考え込んでいます。
「ねえ」
 ややあってから、お母さんは思いつめた目をして、ぼくに正面から向き合いました。
「マサルちゃんは女の子に興味ないの?」
「そうだな」
 ぼくは慎重に言葉を選びました。
「以前はあったけど、いまはそれほどでもないかな」
 お母さんはまた暗い顔になって問いかけます。
「どうして?」
「だってセックスっていけないことでしょう? お母さんに叱られそうだし」
「そんな!」
 お母さんは顔をくしゃくしゃにして、詰め寄ってきました。
「そんなことないのよ。性欲は誰にでもあるの。特に思春期の男の子は強いのよ。よそのお宅も黙っているだけで、みんなやっていることなのよ」
 その言葉を聞いて、ぼくはガッツポーズをしたくなりました。とうとうお母さんにこのセリフを言わせたのです。ぼくの洗脳大作戦は大成功でした。すぐにでもお母さんとセックスしたかったのですが、寝ているとはいえお父さんも家にはいます。
「そうなのかな。じゃあ、お母さんもぼくとセックスしてくれるんだね」
 お母さんの顔色を探りながら慎重にそう言うと、意外なほどあっさりと、
「いいわよ」
 お母さんは真面目な顔で頷いてくれました。
「結局オナニーの代わりだとこの本に書いてあるわ。本当の恋人が出来るまでの間、お母さんが性欲処理の相手をしてあげる」
 ぼくの肉棒はいきり立ち、その言葉だけでいくらか精を飛ばした気がしました。
「約束だよ、お母さん。じゃあ、明日、学校から帰ってから」
「ええ」
 お母さんは恥じらうように俯いて頬を染めました。
 ぼくは有頂天になって自分の部屋に戻りました。正直言うと、掲示板もどうでも良かったのですが、やはり習性というのは恐ろしいもので、お母さんが寝に行った後、リビングに行ってノートパソコンを開いてしまいました。
『今日息子のオナニーを手伝いました。全裸でした。話をしました。明日、新たなステップを踏み出します。ありがとうございました。ユミコ』
 こんな要領を得ない書き込みです。お母さんの焦った心境が手に取るように分かります。下手に刺激しないように、短めに返信します。
『良い方向に行っているようですね。せっかくの決意、ぶれることなく思いを遂げてください』
 自室に戻りましたが、興奮して寝付けません。いよいよお母さんとセックスできるのです。溜めておかなくてはと思ったのですが、興奮してやっぱりオナニーをしてしまいました。