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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
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「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
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「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
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「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
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狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
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気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
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【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
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『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
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「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
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「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
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男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
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改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
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暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
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「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
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男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
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「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
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「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
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「どこをだね」
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「は、恥ずかしい…」
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「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
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あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
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男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
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男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
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改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
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「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
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男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
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「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
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ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
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「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
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ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
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朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
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清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
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男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
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「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
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「いやっ、そんな、違うっ」
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清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
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私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
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ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
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「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
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赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
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怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
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清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
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甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
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そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
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男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
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「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
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「あぁ…っ」
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あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
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元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
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確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
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「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
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「は、はい…」
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清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
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「は、はい」
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「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
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コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
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暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
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朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
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「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
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「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
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「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
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「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
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「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
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赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
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それなのに…。
聞こえて来たのは…。
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「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
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「どうなんだ!」
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「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
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あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
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清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
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私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
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チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
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それなのに…。
聞こえて来たのは…。
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「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
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「あぁ、嬉しーーーっ」
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覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
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「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
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「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
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もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
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「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
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「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
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「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
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「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
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フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
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Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
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「舞い上がる?」
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「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
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Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
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「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
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男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
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その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
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「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
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その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
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「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
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あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
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今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
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男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
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改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
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フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
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「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
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影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
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「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
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「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
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妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
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「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
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「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
牡精を絞り取られたSが、徳子さんに拍手を送る。周りの男女がそれ以上の拍手をすると、徳子さんが恥ずかしげにペコリと頭を下げた。最初のショーが終了したのだった。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
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「あぁ…っ」
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男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
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「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
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フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
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Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
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「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
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「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
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由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
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その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
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「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
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その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
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「それで貴女達が誘いを…」
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由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
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口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
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徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
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『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
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私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
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・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
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そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
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私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
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そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
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私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
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仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
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清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
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「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
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清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
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「さあ、次はなんだ」
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「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
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昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
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あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
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「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
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その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
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記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
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男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
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又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
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司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
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「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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fallーー。
無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
「ああ、Y子さんのお知り合いでしたか。これは失礼しました」男が畏まって頷く。
「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
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暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
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「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
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「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
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男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
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激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
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赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
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これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
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「………」
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「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
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白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
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あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
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「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
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私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
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「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
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周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
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「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
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一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
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「え!?」
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「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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fallーー。
無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
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妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
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家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
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妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
「ああ、Y子さんのお知り合いでしたか。これは失礼しました」男が畏まって頷く。
「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
自分の部屋に戻った後は、暫く下半身を曝したままだった。ベッドに腰掛け股間のソレを弄ってみるが、大きくなる気配は全くない。長い間、セックスしなかった事が原因なのか。答えなど見つかる筈もなく、ショックで頭を抱えてしまう。
しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
そしてもう一つーーー、元彼は手紙で、妻を調教する過程で自慰行為を命令したとあった。
昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
どちらにせよ、元彼からの手紙の内容は、ほぼほぼ事実なのだ。過去の出来事とは言え、それが今に影響を及ぼしている。
妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
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私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
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それは…。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
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そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
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「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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fallーー。
無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
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徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
「ああ、Y子さんのお知り合いでしたか。これは失礼しました」男が畏まって頷く。
「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
自分の部屋に戻った後は、暫く下半身を曝したままだった。ベッドに腰掛け股間のソレを弄ってみるが、大きくなる気配は全くない。長い間、セックスしなかった事が原因なのか。答えなど見つかる筈もなく、ショックで頭を抱えてしまう。
しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
そしてもう一つーーー、元彼は手紙で、妻を調教する過程で自慰行為を命令したとあった。
昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
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その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
どちらにせよ、元彼からの手紙の内容は、ほぼほぼ事実なのだ。過去の出来事とは言え、それが今に影響を及ぼしている。
妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
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「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
「俺はいつもの生で」
私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
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吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
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すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
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それは…。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
「ええッ、本当ですか!」
「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
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暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
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ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
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清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
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「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
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「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
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「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
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甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
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「………」
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「………」
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男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
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これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
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清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
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「………」
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「あぁぁ…」
「他には」
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「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
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「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
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私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
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清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
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Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
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「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
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衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
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「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
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「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
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その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
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『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
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肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
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「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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fallーー。
無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
牡精を絞り取られたSが、徳子さんに拍手を送る。周りの男女がそれ以上の拍手をすると、徳子さんが恥ずかしげにペコリと頭を下げた。最初のショーが終了したのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
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「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
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暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
自分の部屋に戻った後は、暫く下半身を曝したままだった。ベッドに腰掛け股間のソレを弄ってみるが、大きくなる気配は全くない。長い間、セックスしなかった事が原因なのか。答えなど見つかる筈もなく、ショックで頭を抱えてしまう。
しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
そしてもう一つーーー、元彼は手紙で、妻を調教する過程で自慰行為を命令したとあった。
昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
どちらにせよ、元彼からの手紙の内容は、ほぼほぼ事実なのだ。過去の出来事とは言え、それが今に影響を及ぼしている。
妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
「俺はいつもの生で」
私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
暫くそのまま目の前の痴態を見てると、身体が熱くなってきた。この女を何とかしないといけないのではないのか。
その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
「…オマンコよぉ…オマンコいいのぉ」
昨夜と同じ4文字の淫語ではないか。
「あぁんッ犯してぇ、あなた、お願いっ」
切れ切れの鳴きの声に、私の身体は固まっていた。それにしても、今の『あなた』とは誰の事だ。
身体の熱がフツフツと高まっていく。こうなったら私が犯(や)るしかない。この女にブチ込んでやるのだ。
私はズボンを降ろして、股間を露にした。
しかし…昨夜と同じで、シンボルであるはずの男性器が萎んだまま、全く反応しなかったのだ…。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
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「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
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由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
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私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
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先ほどの羞恥の表情を何処へ隠したのか、由紀子さんは落ち着いた声に流し目まで送って来る。
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由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
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彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
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私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
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「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
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あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
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今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
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男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
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改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
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フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
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「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
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影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
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「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
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「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
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妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
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「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
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「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
牡精を絞り取られたSが、徳子さんに拍手を送る。周りの男女がそれ以上の拍手をすると、徳子さんが恥ずかしげにペコリと頭を下げた。最初のショーが終了したのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
「ああ、Y子さんのお知り合いでしたか。これは失礼しました」男が畏まって頷く。
「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
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私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
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女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
そしてもう一つーーー、元彼は手紙で、妻を調教する過程で自慰行為を命令したとあった。
昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
どちらにせよ、元彼からの手紙の内容は、ほぼほぼ事実なのだ。過去の出来事とは言え、それが今に影響を及ぼしている。
妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
「俺はいつもの生で」
私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
暫くそのまま目の前の痴態を見てると、身体が熱くなってきた。この女を何とかしないといけないのではないのか。
その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
「…オマンコよぉ…オマンコいいのぉ」
昨夜と同じ4文字の淫語ではないか。
「あぁんッ犯してぇ、あなた、お願いっ」
切れ切れの鳴きの声に、私の身体は固まっていた。それにしても、今の『あなた』とは誰の事だ。
身体の熱がフツフツと高まっていく。こうなったら私が犯(や)るしかない。この女にブチ込んでやるのだ。
私はズボンを降ろして、股間を露にした。
しかし…昨夜と同じで、シンボルであるはずの男性器が萎んだまま、全く反応しなかったのだ…。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
「ええッ、本当ですか!」
「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
「ほらご主人、アタシのここ、ドキドキしてるでしょ」
由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
告うや否や、映像の由紀子さんはベッドに上がり、四つん這いになって男達に臀を突き出した。
私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
「そ、そうなんですね…」
「ええ、でもこの日の彼女は見学と撮影だけ。それ以外の事…服を脱いで裸を見せたりはしてませんから」
先ほどの羞恥の表情を何処へ隠したのか、由紀子さんは落ち着いた声に流し目まで送って来る。
「あの、男は…元彼はそれで何と…」
「元彼?ああ、あの人ね。うふふ、アタシが指示されたのは、清美さんに刺激を与えて下さいって事だけですから」
「………」
「まあアタシとしたら、いつかは清美さんにもこちら側の世界に来て欲しいと思ってますけどね」
由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
「ええッ!」
「アタシ達は変態セックスを愉しんでるスワッパー夫婦。そんなアタシ達の仲間に、ってね」
「いえ、私達は…」
「ふふっ大丈夫、分かってますって。無理強いはいけませんからね。でも、清美さんの方が先に飛んだらどうしますか」
「と、飛ぶって…」
「ふふ、清美さんの行く末を皆んなが楽しみにしてるんです。あの人と寄りを戻したら…な~んてね」
「き、清美に限ってそんな事は…」
「ふふふ、あるわけないですか?」
由紀子さんが間近な距離から見詰めてくる。
「ご主人は、これまでも清美さんを大切にして来たんでしょ?」
「………」
「たくさん抱いてあげたんでしょうが、彼女の本質をちゃんと理解してあげてたのかしら?」
「本質って…」
「持って生まれた性癖。それって幾つになっても変わらないらしいですよ」
「………」
由紀子さんの言葉が映像のヨガリ声と重なり、雨粒のように降り掛かって来る。
彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
「そうそう、そう言えばねぇ、泊まりでの女子会を検討中なんですよ」
「そ、それは聞いてます…」
「そこで清美さんを試してみては如何ですか」
「え、試すとは?」
「決まってるじゃない。清美さんがそこで飛ぶかどうかよ」
私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
これもあの男の仕掛けなのか。私は完全に翻弄されている。
「ご主人、そうあまり真剣な顔しないで下さい。アタシも問い詰め過ぎました。今云った事は時間があるから、考えておいてくれればいいですよ。それより、こっちの続きを楽しみましょうよ」
彼女の言葉にパソコン画面を向き直れば、由紀子さんが臀を向けてご主人に跨がっている。二つの生殖器が、片方は侵入を繰り返し、もう片方はソレを難なく飲み込んでいる。そしてその摩擦音が、響き伝わって来るのだった。
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テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。
『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
「今のは?」
「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
「あの人…」
「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
「それって、いいんですか」
私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。
映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
私は黙って頷いている。
「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
「ええッ!」
「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
「………」
「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
「大胆に、ですか」
「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
ゴクリ、私の喉が鳴る。
「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。
「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。
『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
「ウフフ、徳ちゃんったら凄いわ。結合の部分が丸見えよねぇ。おまけにお尻の穴まで」由紀子さんが私をチラリと見ながら、ニヤついている。
「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。
「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
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口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
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1016651960の時、$oは17array(17) {
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
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その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
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フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
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「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
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影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
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「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
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パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
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「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
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「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
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そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
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妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
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「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
牡精を絞り取られたSが、徳子さんに拍手を送る。周りの男女がそれ以上の拍手をすると、徳子さんが恥ずかしげにペコリと頭を下げた。最初のショーが終了したのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
「ああ、Y子さんのお知り合いでしたか。これは失礼しました」男が畏まって頷く。
「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
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しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
そしてもう一つーーー、元彼は手紙で、妻を調教する過程で自慰行為を命令したとあった。
昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
どちらにせよ、元彼からの手紙の内容は、ほぼほぼ事実なのだ。過去の出来事とは言え、それが今に影響を及ぼしている。
妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
「俺はいつもの生で」
私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
暫くそのまま目の前の痴態を見てると、身体が熱くなってきた。この女を何とかしないといけないのではないのか。
その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
「…オマンコよぉ…オマンコいいのぉ」
昨夜と同じ4文字の淫語ではないか。
「あぁんッ犯してぇ、あなた、お願いっ」
切れ切れの鳴きの声に、私の身体は固まっていた。それにしても、今の『あなた』とは誰の事だ。
身体の熱がフツフツと高まっていく。こうなったら私が犯(や)るしかない。この女にブチ込んでやるのだ。
私はズボンを降ろして、股間を露にした。
しかし…昨夜と同じで、シンボルであるはずの男性器が萎んだまま、全く反応しなかったのだ…。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
「ええッ、本当ですか!」
「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
「ほらご主人、アタシのここ、ドキドキしてるでしょ」
由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
告うや否や、映像の由紀子さんはベッドに上がり、四つん這いになって男達に臀を突き出した。
私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
「そ、そうなんですね…」
「ええ、でもこの日の彼女は見学と撮影だけ。それ以外の事…服を脱いで裸を見せたりはしてませんから」
先ほどの羞恥の表情を何処へ隠したのか、由紀子さんは落ち着いた声に流し目まで送って来る。
「あの、男は…元彼はそれで何と…」
「元彼?ああ、あの人ね。うふふ、アタシが指示されたのは、清美さんに刺激を与えて下さいって事だけですから」
「………」
「まあアタシとしたら、いつかは清美さんにもこちら側の世界に来て欲しいと思ってますけどね」
由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
「ええッ!」
「アタシ達は変態セックスを愉しんでるスワッパー夫婦。そんなアタシ達の仲間に、ってね」
「いえ、私達は…」
「ふふっ大丈夫、分かってますって。無理強いはいけませんからね。でも、清美さんの方が先に飛んだらどうしますか」
「と、飛ぶって…」
「ふふ、清美さんの行く末を皆んなが楽しみにしてるんです。あの人と寄りを戻したら…な~んてね」
「き、清美に限ってそんな事は…」
「ふふふ、あるわけないですか?」
由紀子さんが間近な距離から見詰めてくる。
「ご主人は、これまでも清美さんを大切にして来たんでしょ?」
「………」
「たくさん抱いてあげたんでしょうが、彼女の本質をちゃんと理解してあげてたのかしら?」
「本質って…」
「持って生まれた性癖。それって幾つになっても変わらないらしいですよ」
「………」
由紀子さんの言葉が映像のヨガリ声と重なり、雨粒のように降り掛かって来る。
彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
「そうそう、そう言えばねぇ、泊まりでの女子会を検討中なんですよ」
「そ、それは聞いてます…」
「そこで清美さんを試してみては如何ですか」
「え、試すとは?」
「決まってるじゃない。清美さんがそこで飛ぶかどうかよ」
私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
これもあの男の仕掛けなのか。私は完全に翻弄されている。
「ご主人、そうあまり真剣な顔しないで下さい。アタシも問い詰め過ぎました。今云った事は時間があるから、考えておいてくれればいいですよ。それより、こっちの続きを楽しみましょうよ」
彼女の言葉にパソコン画面を向き直れば、由紀子さんが臀を向けてご主人に跨がっている。二つの生殖器が、片方は侵入を繰り返し、もう片方はソレを難なく飲み込んでいる。そしてその摩擦音が、響き伝わって来るのだった。
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テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。
『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
「今のは?」
「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
「あの人…」
「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
「それって、いいんですか」
私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。
映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
私は黙って頷いている。
「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
「ええッ!」
「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
「………」
「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
「大胆に、ですか」
「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
ゴクリ、私の喉が鳴る。
「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。
「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。
『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
「ウフフ、徳ちゃんったら凄いわ。結合の部分が丸見えよねぇ。おまけにお尻の穴まで」由紀子さんが私をチラリと見ながら、ニヤついている。
「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。
「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
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口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
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居酒屋の個室ーー。
馴染みとなったこの場所も、私はこれまでと違う空気を感じていた。
目の前の女性が、『真木由紀子』と名乗ったからだ。
それはここ最近、頭の中で頻繁に反芻される名前だった。妻の同窓生で、例の元彼の手先となった女性なのだ。あの手紙に書かれてある事が事実ならばだが。
由紀子さんが目の前の席に座り直した。私は緊張を覚えながらも、その素顔を窺う。
身体付きはイメージしていたよりかは若干ふっくらした感じだが、髪の毛が後ろで結わかれているせいか顔は面長に見える。目はパッチリ二重で、口元から覗く白い歯並びには清潔感を覚える。その雰囲気からも、才女と呼ばれていた理由が垣間見える気がした。
「あのぉ、そんなに見詰められたら、何だか恥ずかしいわ」
その声に私は、ハッと我に帰った。
「ええ、すいません。でも、どうしてここに?」私は緊張を残したまま訊ねてみる。
由紀子さんは私をチラリと見て、先に何か注文をしましょうとメニューを指し出して来た。
私がいつものビールを頼むと、由紀子さんも同じ物と摘みを何点かオーダーした。
ビールと摘みが届くと、由紀子さんがジョッキを持ち上げた。それに合わせて、私は持ったジョッキを黙ったまま目の前で上げた。
彼女は美味そうにゴクゴクと喉を潤すが、私はチビリと口を付けるだけ。そんな私は、訊いておくべき事を口にした。
「あの、貴女の名前は清美から聞いて知ってましたが、コレは一体どういう事でしょうか?」
「うふ、先だって清美さんに次の女子会の件で、連絡した事がありましてね。ご主人に了解は取れそうかと訊ねたのですが、その時に話の流れでこのお店の事を聞かされたんです」
「それだけの事で、この店に?」
「いえ、雰囲気も凄く良いからって清美さんが勧めるもんだから、アタシも好奇心で。それでもし、ご主人が居ればと思って店員さんに声を掛けてみたんですよ」
「本当ですか」私は訝しながら訊いた。
「本当ですわ。そして私は、とてもラッキーでした」
「ラッキー?」
「ええ実はね、今夜アタシが、この店で清美さんのご主人に会えるかもしれないって、ある人に話したんですよ。そうしたらね、ふふふ、その人がアタシに頼み事をしたんです」
「頼み事?」
「ふふっ、コレですわ」
意味深な笑みを浮かべて、由紀子さんが鞄から何かを取り出した。私はソレを見た瞬間、息が止まりそうになってしまった。
彼女が手にしていたのは、USBメモリだったのだ。しかも、前回男から送られ来た物と同じやつではないか。
「それと手紙は届いていませんか」
「ええッ!」驚きに持っていたジョッキを落としそうになってしまう。
目の前に座る由紀子さんが、手紙の話を出すと言う事、そしてUSBを持っていたと言う事は、あの男と繋がってる証拠ではないか。
「それで手紙は?」由紀子さんが、私の様子を窺ってくる。彼女は、これまでの手紙の内容も知っているのだろうか。
「持ってるんですね?」彼女が私の目を覗き込んできた。
私はコクリと頷くと、横に置いてあった鞄に手をやった。手紙と一緒に、ノートパソコンまで無意識に取り出している。
「うふふ」由紀子さんが私の様子を見てか、怪しげな嗤いを立てた。
封を開けてみれば、中身は便箋が1枚だけだった。私は彼女の視線を気にしながら読み始める事にした。
【こんにちは。
今回もUSBを同封しようと思っていたのですが、由紀子さんから連絡があって、ひょっとしたら清美さんのご主人と会えるかもしれないと申すもので、私も遊び心に乗って、彼女に持って行ってもらう事にしました。
万が一、彼女と会えなければ、直ぐに送るようにしますのでね。
では、無事に女子会の映像が視れますように。】
たった1枚の便箋に書かれた短い文章だったが、私はそれを読んで唸り声を上げた。男の遊び心は見事に成功したわけだ。それと、ここに書かれてある女子会とは、由紀子さん達のいう『社交界』と言う名の怪しい集まりの事なのだ。
これで由紀子さんが妻の元彼と名乗る男と、完全に繋がっている事が分かった。手紙の中にも『Y子』ではなく『由紀子』と書かれているのだ。
「何て書いてあるんですか」由紀子さんが私の手元を覗き込むように、少し身を乗り出した。
「当ててみましょうか。コレの中身は社交…いえ、女子会の映像なんでしょ」由紀子さんがUSBメモリをかざしている。私は、知ってたんでしょ、と小声で呟いた。
「じゃあ、せっかくだから一緒に視ましょうよ」
「ええッ、一緒にですか!」
「そうですよ、だってアタシも映ってるんですから」
「あッ!」
「何をそんなに驚いてるんですか。相良さんだって、パソコンを用意してるじゃないですか」
「え!?」
そうだった。私は無意識のうちに、手紙と一緒にノートパソコンまで出していたのだ。
「さぁ、アタシは覚悟が出来てるんですよ」
由紀子さんは『覚悟』と口にしたが、その声は、どことなく嬉しそうだ。声に私を挑発する響きを感じる。
気づけば彼女は立ち上がって、私の隣にやって来るではないか。そして座ると、USBをセットした。
「さぁ早く、再生して下さぁい」由紀子さんが私の耳元で、少し呂律の怪しくなった口調で囁いた。
この映像には、妻も映ってるかもしれない。そう思うと体温が上がってくる。それでも私の指は、何かに操られるように再生をクリックした。
「それと最初に言っときますけど、これって2次会の時のものですからね」
「え、2次会と言うと…」
「1次会はこのお店みたいな居酒屋だったの。その後、場所を移動したんですよ。少し遠かったけどタクシーでね」
由紀子さんの酒臭い息が、私の横顔に掛かる。彼女にとっても酔わなければやってられない…いや視てられない映像なのだろう。
「あのぉ、2次会のメンバーっていうのは…」
「ああ、その日のメンツね。えっとね、アタシと清美さんに徳ちゃん。あ、徳ちゃんって言うのは」
「大田徳子さんですよね」私は断って、そして続ける。「その3人だけですか、他には…」
「ああ、珠美さんの事ね。珠美さんはこの日も1次会で帰っちゃったのよね。彼女、子供がまだ中学生で難しい時期みたいでぇ」
いや、そうじゃなくて…。私は、妻の元彼の存在が気になっているのだ。
「あの、男子は…」
そこで彼女は、私の知りたい事を察したようだった。
「そっか、うんうん、あの人の事ね」
由紀子さんが呟いた瞬間、同時にパソコンの中から女性の絶叫が聞こえたのだった。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
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「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
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まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
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Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
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「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
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私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
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Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
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「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
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「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
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その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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fallーー。
無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
牡精を絞り取られたSが、徳子さんに拍手を送る。周りの男女がそれ以上の拍手をすると、徳子さんが恥ずかしげにペコリと頭を下げた。最初のショーが終了したのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
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「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
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暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
自分の部屋に戻った後は、暫く下半身を曝したままだった。ベッドに腰掛け股間のソレを弄ってみるが、大きくなる気配は全くない。長い間、セックスしなかった事が原因なのか。答えなど見つかる筈もなく、ショックで頭を抱えてしまう。
しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
そしてもう一つーーー、元彼は手紙で、妻を調教する過程で自慰行為を命令したとあった。
昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
どちらにせよ、元彼からの手紙の内容は、ほぼほぼ事実なのだ。過去の出来事とは言え、それが今に影響を及ぼしている。
妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
「俺はいつもの生で」
私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
暫くそのまま目の前の痴態を見てると、身体が熱くなってきた。この女を何とかしないといけないのではないのか。
その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
「…オマンコよぉ…オマンコいいのぉ」
昨夜と同じ4文字の淫語ではないか。
「あぁんッ犯してぇ、あなた、お願いっ」
切れ切れの鳴きの声に、私の身体は固まっていた。それにしても、今の『あなた』とは誰の事だ。
身体の熱がフツフツと高まっていく。こうなったら私が犯(や)るしかない。この女にブチ込んでやるのだ。
私はズボンを降ろして、股間を露にした。
しかし…昨夜と同じで、シンボルであるはずの男性器が萎んだまま、全く反応しなかったのだ…。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
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「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
「ほらご主人、アタシのここ、ドキドキしてるでしょ」
由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
告うや否や、映像の由紀子さんはベッドに上がり、四つん這いになって男達に臀を突き出した。
私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
「そ、そうなんですね…」
「ええ、でもこの日の彼女は見学と撮影だけ。それ以外の事…服を脱いで裸を見せたりはしてませんから」
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「あの、男は…元彼はそれで何と…」
「元彼?ああ、あの人ね。うふふ、アタシが指示されたのは、清美さんに刺激を与えて下さいって事だけですから」
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由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
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「いえ、私達は…」
「ふふっ大丈夫、分かってますって。無理強いはいけませんからね。でも、清美さんの方が先に飛んだらどうしますか」
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「ふふ、清美さんの行く末を皆んなが楽しみにしてるんです。あの人と寄りを戻したら…な~んてね」
「き、清美に限ってそんな事は…」
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由紀子さんの言葉が映像のヨガリ声と重なり、雨粒のように降り掛かって来る。
彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
「そうそう、そう言えばねぇ、泊まりでの女子会を検討中なんですよ」
「そ、それは聞いてます…」
「そこで清美さんを試してみては如何ですか」
「え、試すとは?」
「決まってるじゃない。清美さんがそこで飛ぶかどうかよ」
私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
これもあの男の仕掛けなのか。私は完全に翻弄されている。
「ご主人、そうあまり真剣な顔しないで下さい。アタシも問い詰め過ぎました。今云った事は時間があるから、考えておいてくれればいいですよ。それより、こっちの続きを楽しみましょうよ」
彼女の言葉にパソコン画面を向き直れば、由紀子さんが臀を向けてご主人に跨がっている。二つの生殖器が、片方は侵入を繰り返し、もう片方はソレを難なく飲み込んでいる。そしてその摩擦音が、響き伝わって来るのだった。
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テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。
『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
「今のは?」
「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
「あの人…」
「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
「それって、いいんですか」
私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。
映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
私は黙って頷いている。
「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
「ええッ!」
「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
「………」
「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
「大胆に、ですか」
「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
ゴクリ、私の喉が鳴る。
「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。
「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。
『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
「ウフフ、徳ちゃんったら凄いわ。結合の部分が丸見えよねぇ。おまけにお尻の穴まで」由紀子さんが私をチラリと見ながら、ニヤついている。
「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。
「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
「え、いや、それは…」
口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
と、映像が結合の部分から徳子さんの豊満な乳房を抜けて、彼女の表情に移動した。
『いやーーんッ止めて!』
顔のアップに気付いたか、徳子さんが悲鳴を上げる。
『いやんいやん、恥ずかしいッ、清タン、顔は映さないでぇぇ』
徳子さんの懇願にも、映像は彼女のアップのまま。この時の妻の心境も又、どんなものだったのだ。
「あらあら徳ちゃんったら、凄い声ねぇ。でもご主人、彼女はねぇ、イヤとか言いながらシッカリ興奮してるんですよぉ。なんせ見られて感じる変態なんだから」
私は驚きに息を詰まられながら、本当ですか、と訊きそうになっている。確かに徳子さんは、自分の逝き顔を見せ付けてるように観えなくもない。
その時、徳子さんの顔がズームアウトされた。同時に腰を振っていた男が、彼女の腿をバチパチと叩いた。
「次は犬の格好よ」
由紀子さんの言葉通りに、二人は繋がったまま器用に体位を変えていく。
「ふふふ、男女が身体を溶接させたまま一体となっての漂流感は、性の醍醐味なのよね」又も由紀子さんが、意味深な言葉を呟いた。私の中には、阿吽の呼吸という言葉が浮かんだ。正常位から犬の格好への移行が、スムーズに観えたのだ。
そして直ぐに、それまで以上の徳子さんの叫び声が上がった。
「どうですかご主人、あなた方夫婦のセックスと、動画の徳ちゃん達とどっちが激しいですか」
由紀子さんの落ち着いた声にも、私は黙り込むだけだった。妻とセックスをしていた頃を思い出そうとしても、その記憶には補正が掛かっているのか、映像の男女と比べると幼稚すぎるものに思えてしまう。
それとだ。由紀子さんは妻から私達夫婦の性事情まで聞き出したのだろうか。それを知って彼女は、今の質問を?
「あ、そろそろ徳ちゃんが逝くわ!」
その瞬間、由紀子さんの声と同時に、徳子さんが最後の雄叫びを上げたのだった。
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居酒屋の個室ーー。
馴染みとなったこの場所も、私はこれまでと違う空気を感じていた。
目の前の女性が、『真木由紀子』と名乗ったからだ。
それはここ最近、頭の中で頻繁に反芻される名前だった。妻の同窓生で、例の元彼の手先となった女性なのだ。あの手紙に書かれてある事が事実ならばだが。
由紀子さんが目の前の席に座り直した。私は緊張を覚えながらも、その素顔を窺う。
身体付きはイメージしていたよりかは若干ふっくらした感じだが、髪の毛が後ろで結わかれているせいか顔は面長に見える。目はパッチリ二重で、口元から覗く白い歯並びには清潔感を覚える。その雰囲気からも、才女と呼ばれていた理由が垣間見える気がした。
「あのぉ、そんなに見詰められたら、何だか恥ずかしいわ」
その声に私は、ハッと我に帰った。
「ええ、すいません。でも、どうしてここに?」私は緊張を残したまま訊ねてみる。
由紀子さんは私をチラリと見て、先に何か注文をしましょうとメニューを指し出して来た。
私がいつものビールを頼むと、由紀子さんも同じ物と摘みを何点かオーダーした。
ビールと摘みが届くと、由紀子さんがジョッキを持ち上げた。それに合わせて、私は持ったジョッキを黙ったまま目の前で上げた。
彼女は美味そうにゴクゴクと喉を潤すが、私はチビリと口を付けるだけ。そんな私は、訊いておくべき事を口にした。
「あの、貴女の名前は清美から聞いて知ってましたが、コレは一体どういう事でしょうか?」
「うふ、先だって清美さんに次の女子会の件で、連絡した事がありましてね。ご主人に了解は取れそうかと訊ねたのですが、その時に話の流れでこのお店の事を聞かされたんです」
「それだけの事で、この店に?」
「いえ、雰囲気も凄く良いからって清美さんが勧めるもんだから、アタシも好奇心で。それでもし、ご主人が居ればと思って店員さんに声を掛けてみたんですよ」
「本当ですか」私は訝しながら訊いた。
「本当ですわ。そして私は、とてもラッキーでした」
「ラッキー?」
「ええ実はね、今夜アタシが、この店で清美さんのご主人に会えるかもしれないって、ある人に話したんですよ。そうしたらね、ふふふ、その人がアタシに頼み事をしたんです」
「頼み事?」
「ふふっ、コレですわ」
意味深な笑みを浮かべて、由紀子さんが鞄から何かを取り出した。私はソレを見た瞬間、息が止まりそうになってしまった。
彼女が手にしていたのは、USBメモリだったのだ。しかも、前回男から送られ来た物と同じやつではないか。
「それと手紙は届いていませんか」
「ええッ!」驚きに持っていたジョッキを落としそうになってしまう。
目の前に座る由紀子さんが、手紙の話を出すと言う事、そしてUSBを持っていたと言う事は、あの男と繋がってる証拠ではないか。
「それで手紙は?」由紀子さんが、私の様子を窺ってくる。彼女は、これまでの手紙の内容も知っているのだろうか。
「持ってるんですね?」彼女が私の目を覗き込んできた。
私はコクリと頷くと、横に置いてあった鞄に手をやった。手紙と一緒に、ノートパソコンまで無意識に取り出している。
「うふふ」由紀子さんが私の様子を見てか、怪しげな嗤いを立てた。
封を開けてみれば、中身は便箋が1枚だけだった。私は彼女の視線を気にしながら読み始める事にした。
【こんにちは。
今回もUSBを同封しようと思っていたのですが、由紀子さんから連絡があって、ひょっとしたら清美さんのご主人と会えるかもしれないと申すもので、私も遊び心に乗って、彼女に持って行ってもらう事にしました。
万が一、彼女と会えなければ、直ぐに送るようにしますのでね。
では、無事に女子会の映像が視れますように。】
たった1枚の便箋に書かれた短い文章だったが、私はそれを読んで唸り声を上げた。男の遊び心は見事に成功したわけだ。それと、ここに書かれてある女子会とは、由紀子さん達のいう『社交界』と言う名の怪しい集まりの事なのだ。
これで由紀子さんが妻の元彼と名乗る男と、完全に繋がっている事が分かった。手紙の中にも『Y子』ではなく『由紀子』と書かれているのだ。
「何て書いてあるんですか」由紀子さんが私の手元を覗き込むように、少し身を乗り出した。
「当ててみましょうか。コレの中身は社交…いえ、女子会の映像なんでしょ」由紀子さんがUSBメモリをかざしている。私は、知ってたんでしょ、と小声で呟いた。
「じゃあ、せっかくだから一緒に視ましょうよ」
「ええッ、一緒にですか!」
「そうですよ、だってアタシも映ってるんですから」
「あッ!」
「何をそんなに驚いてるんですか。相良さんだって、パソコンを用意してるじゃないですか」
「え!?」
そうだった。私は無意識のうちに、手紙と一緒にノートパソコンまで出していたのだ。
「さぁ、アタシは覚悟が出来てるんですよ」
由紀子さんは『覚悟』と口にしたが、その声は、どことなく嬉しそうだ。声に私を挑発する響きを感じる。
気づけば彼女は立ち上がって、私の隣にやって来るではないか。そして座ると、USBをセットした。
「さぁ早く、再生して下さぁい」由紀子さんが私の耳元で、少し呂律の怪しくなった口調で囁いた。
この映像には、妻も映ってるかもしれない。そう思うと体温が上がってくる。それでも私の指は、何かに操られるように再生をクリックした。
「それと最初に言っときますけど、これって2次会の時のものですからね」
「え、2次会と言うと…」
「1次会はこのお店みたいな居酒屋だったの。その後、場所を移動したんですよ。少し遠かったけどタクシーでね」
由紀子さんの酒臭い息が、私の横顔に掛かる。彼女にとっても酔わなければやってられない…いや視てられない映像なのだろう。
「あのぉ、2次会のメンバーっていうのは…」
「ああ、その日のメンツね。えっとね、アタシと清美さんに徳ちゃん。あ、徳ちゃんって言うのは」
「大田徳子さんですよね」私は断って、そして続ける。「その3人だけですか、他には…」
「ああ、珠美さんの事ね。珠美さんはこの日も1次会で帰っちゃったのよね。彼女、子供がまだ中学生で難しい時期みたいでぇ」
いや、そうじゃなくて…。私は、妻の元彼の存在が気になっているのだ。
「あの、男子は…」
そこで彼女は、私の知りたい事を察したようだった。
「そっか、うんうん、あの人の事ね」
由紀子さんが呟いた瞬間、同時にパソコンの中から女性の絶叫が聞こえたのだった。
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次の日、私が目を覚ましたのは、朝の10時を過ぎた頃だった。
起き上がって欠伸を一つすれば、頭の中に夕べ視たSMチックな寝取られ動画の映像を思い出した。
2本の動画はいずれも中年の人妻が主人公で、夫の前で男に翻弄されていくものだった。私は人妻を妻の清美に、夫役を自分に投影していた。
動画の残像に苦笑いを浮かべて立ち上がろうして、枕元のスマホの点滅に気がついた。
見ればLINEの知らせだ。
『声を掛けても全然起きないのでLINEにします。今日はこれから買物に行って来ます』
私が爆睡している間に、どうやら妻は出掛けたようだ。
寝不足気味のまま食事を採り終えた私は、もう一度夕べの動画を視てしまった。
妻が帰って来たのは、夕方近くだった。買物にしてはかなり長いものだったが、私は特段責める事もなかった。妻が元彼と密会していたとは思えないし、そんな証拠もない。あるのは私の妄想…と想いたい…。
「夕べも遅かったんですね」
妻が話し掛けて来たのは、彼女が夕飯の準備でキッチンに立った時だった。
「ああ、そうだった…LINEを入れるの忘れてたっけ?」私はソファーから顔だけを向けて答えている。
妻は私の質問に応えるでなく「またあの居酒屋ですか」と、訊いてくる。
「うん、そうそう、あそこで残業をね」
「そうですか、また行ってみますか」
その言葉に、私はキッチンに振り向いた。
「そ、そうだね」
このところ冷たく感じる妻からは、思いもよらぬ誘いだ。
それから私達は、お互いの予定を確認し合って、次の水曜日に先日と同じ店で待ち合わせる時間を決めたのだった。
週明け出社すると、急ぎの仕事が舞い込んできた。この分だと出張が入りそうな気配を感じてしまう。
そんな中、水曜日がやって来た。日中は仕事に追われ、妻との呑み会の事を考える余裕もなかった。頭の中には『元彼』に『由紀子』『徳子』の名前があるが、2回目の女子会の事を含めて、どのように話を持ち出せばよいか整理が追い付いていない。
それでもこの日、仕事を終わらせた私は、なるべく遅れないようにと先日の店に向かった。
今夜も店には、妻が先に来ていた。私は個室の扉を開けると、前回と同じように「遅くなってゴメン」と、頭を下げている。
店員にビールと摘まみの注文が終わると「最近また忙しくなったみたいですね」妻から話し掛けて来た。
「そうだな、そのうち出張があるかも」
私の返事に頷きながら、妻は「今週も夜はここで残業ですか」と、続けて訊いてきた。
私は苦笑いしながら頷くだけだ。
例の男からの手紙を読む為に通うようになったこの店。それ以来ここに来る理由を、妻には残務と説明していたのだが、はたして彼女が、ノマドワーカーのイメージと私を結び付けたかどうかは分からない。
そして私は、男からの次の手紙の事を考えている。前回の手紙には次の期日は書かれていなかったが、明後日の金曜日には届きそうな気がしているのだ。
「ねぇ、どうしたの、私の話聞いてます?」
ふと顔を上げると、妻が首を傾げている。
「いや大丈夫だよ。そうだな、ひょっとしたら週末もここにお世話になってるかも」と云って、私は笑ってみせるのだ。
それから暫くの時間、私達は黙々と摘みを口に運び、ビールを何杯かお代わりした。
「ところで貴方、最近ボォっとしてる事が多くないですか」
「え!」
「何か悩みとか、心配事でもあるの?」
妻の表情を観れば、頬を朱く、目には酔いの色を浮かべて私を窺っている。
「いや、別に…」私の口は勝手に動いていた。が、心の中では…あのな、気になっているのは、お前の事だよ、清美の過去の男と同窓会の事だろ、と呟き掛けている。
「それよりだよ、清美の方はどうなんだい。女子会の約束はないのかよ」
「ああ、3回目の女子会の事ですね。ええ、実は…」妻がジョッキを置いて、視線を真っ直ぐ向けてきた。
「今度は泊まりでやろうって話も出てるみたいなんです…」
妻のその言葉に、私の喉が鳴った。
「お、おい、それって初耳だよな…」
私のしどろもどろの声に、妻が肩を竦める。「ええ、実はそれの了解を頂こうと思ってまして、それで今夜…」
「了解って…まだ計画中なんだろ?」
「そ、そうです。だから、貴方の意見を…」
「意見って訊かれても…」
妻が何の予兆もなく、私を飲みに誘った理由が分かった気がした。
男も一緒に行くのか、私の頭はその事を追求しろと指示しているが、言葉が出て来ない。
すると妻が、言い訳するように話し始めたーー。
彼女の説明によると、つい先日、由紀子さんから企画に対する伺いがあって、家族から了解が取れるか探っておいて欲しいとの事のようだった。
妻の説明を聞いても、私はその申し出には、曖昧な返事に徹するだけだった。そして私の中には、モヤモヤだけが残ったのだった。
金曜日の昼間、7通目となる手紙が届いた。
しかしソレは、これまでと比べて厚みが1番薄いものだった。USBメモリが入ってる気配はどこにもない。
それでも私は、逸る気持ちを抑えて仕事をこなし、予約した時間に遅くれないようにと、いつもの居酒屋に向かう事にした。
店に入ると、馴染みになった若い店員が声を掛けて来た。
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笑みを浮かべる彼の顔を見ながら、私は一瞬キョトンとした。『お連れ様』とは誰の事だ。
しかし、考える間もなく閃きが来た。
妻の清美が来ているのだ!私は疑う事なく個室へと足を運んだ。
個室の扉を開けた瞬間、足が止まった。見知らぬ女性が一人で居るのだ。その女性が、私を見上げる。
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その名前を聞いた瞬間、私はハッキリと驚きの声を上げたのだった。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
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暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
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男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
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ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
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朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
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僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
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「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
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清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
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「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
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男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
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清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
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これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
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チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
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覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
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男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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fallーー。
無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
「ああ、Y子さんのお知り合いでしたか。これは失礼しました」男が畏まって頷く。
「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
自分の部屋に戻った後は、暫く下半身を曝したままだった。ベッドに腰掛け股間のソレを弄ってみるが、大きくなる気配は全くない。長い間、セックスしなかった事が原因なのか。答えなど見つかる筈もなく、ショックで頭を抱えてしまう。
しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
そしてもう一つーーー、元彼は手紙で、妻を調教する過程で自慰行為を命令したとあった。
昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
どちらにせよ、元彼からの手紙の内容は、ほぼほぼ事実なのだ。過去の出来事とは言え、それが今に影響を及ぼしている。
妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
「俺はいつもの生で」
私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
暫くそのまま目の前の痴態を見てると、身体が熱くなってきた。この女を何とかしないといけないのではないのか。
その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
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切れ切れの鳴きの声に、私の身体は固まっていた。それにしても、今の『あなた』とは誰の事だ。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
「ええッ、本当ですか!」
「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
「ほらご主人、アタシのここ、ドキドキしてるでしょ」
由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
告うや否や、映像の由紀子さんはベッドに上がり、四つん這いになって男達に臀を突き出した。
私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
「そ、そうなんですね…」
「ええ、でもこの日の彼女は見学と撮影だけ。それ以外の事…服を脱いで裸を見せたりはしてませんから」
先ほどの羞恥の表情を何処へ隠したのか、由紀子さんは落ち着いた声に流し目まで送って来る。
「あの、男は…元彼はそれで何と…」
「元彼?ああ、あの人ね。うふふ、アタシが指示されたのは、清美さんに刺激を与えて下さいって事だけですから」
「………」
「まあアタシとしたら、いつかは清美さんにもこちら側の世界に来て欲しいと思ってますけどね」
由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
「ええッ!」
「アタシ達は変態セックスを愉しんでるスワッパー夫婦。そんなアタシ達の仲間に、ってね」
「いえ、私達は…」
「ふふっ大丈夫、分かってますって。無理強いはいけませんからね。でも、清美さんの方が先に飛んだらどうしますか」
「と、飛ぶって…」
「ふふ、清美さんの行く末を皆んなが楽しみにしてるんです。あの人と寄りを戻したら…な~んてね」
「き、清美に限ってそんな事は…」
「ふふふ、あるわけないですか?」
由紀子さんが間近な距離から見詰めてくる。
「ご主人は、これまでも清美さんを大切にして来たんでしょ?」
「………」
「たくさん抱いてあげたんでしょうが、彼女の本質をちゃんと理解してあげてたのかしら?」
「本質って…」
「持って生まれた性癖。それって幾つになっても変わらないらしいですよ」
「………」
由紀子さんの言葉が映像のヨガリ声と重なり、雨粒のように降り掛かって来る。
彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
「そうそう、そう言えばねぇ、泊まりでの女子会を検討中なんですよ」
「そ、それは聞いてます…」
「そこで清美さんを試してみては如何ですか」
「え、試すとは?」
「決まってるじゃない。清美さんがそこで飛ぶかどうかよ」
私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
これもあの男の仕掛けなのか。私は完全に翻弄されている。
「ご主人、そうあまり真剣な顔しないで下さい。アタシも問い詰め過ぎました。今云った事は時間があるから、考えておいてくれればいいですよ。それより、こっちの続きを楽しみましょうよ」
彼女の言葉にパソコン画面を向き直れば、由紀子さんが臀を向けてご主人に跨がっている。二つの生殖器が、片方は侵入を繰り返し、もう片方はソレを難なく飲み込んでいる。そしてその摩擦音が、響き伝わって来るのだった。
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テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。
『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
「今のは?」
「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
「あの人…」
「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
「それって、いいんですか」
私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。
映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
私は黙って頷いている。
「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
「ええッ!」
「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
「………」
「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
「大胆に、ですか」
「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
ゴクリ、私の喉が鳴る。
「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。
「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。
『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
「ウフフ、徳ちゃんったら凄いわ。結合の部分が丸見えよねぇ。おまけにお尻の穴まで」由紀子さんが私をチラリと見ながら、ニヤついている。
「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。
「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
「え、いや、それは…」
口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
と、映像が結合の部分から徳子さんの豊満な乳房を抜けて、彼女の表情に移動した。
『いやーーんッ止めて!』
顔のアップに気付いたか、徳子さんが悲鳴を上げる。
『いやんいやん、恥ずかしいッ、清タン、顔は映さないでぇぇ』
徳子さんの懇願にも、映像は彼女のアップのまま。この時の妻の心境も又、どんなものだったのだ。
「あらあら徳ちゃんったら、凄い声ねぇ。でもご主人、彼女はねぇ、イヤとか言いながらシッカリ興奮してるんですよぉ。なんせ見られて感じる変態なんだから」
私は驚きに息を詰まられながら、本当ですか、と訊きそうになっている。確かに徳子さんは、自分の逝き顔を見せ付けてるように観えなくもない。
その時、徳子さんの顔がズームアウトされた。同時に腰を振っていた男が、彼女の腿をバチパチと叩いた。
「次は犬の格好よ」
由紀子さんの言葉通りに、二人は繋がったまま器用に体位を変えていく。
「ふふふ、男女が身体を溶接させたまま一体となっての漂流感は、性の醍醐味なのよね」又も由紀子さんが、意味深な言葉を呟いた。私の中には、阿吽の呼吸という言葉が浮かんだ。正常位から犬の格好への移行が、スムーズに観えたのだ。
そして直ぐに、それまで以上の徳子さんの叫び声が上がった。
「どうですかご主人、あなた方夫婦のセックスと、動画の徳ちゃん達とどっちが激しいですか」
由紀子さんの落ち着いた声にも、私は黙り込むだけだった。妻とセックスをしていた頃を思い出そうとしても、その記憶には補正が掛かっているのか、映像の男女と比べると幼稚すぎるものに思えてしまう。
それとだ。由紀子さんは妻から私達夫婦の性事情まで聞き出したのだろうか。それを知って彼女は、今の質問を?
「あ、そろそろ徳ちゃんが逝くわ!」
その瞬間、由紀子さんの声と同時に、徳子さんが最後の雄叫びを上げたのだった。
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居酒屋の個室ーー。
馴染みとなったこの場所も、私はこれまでと違う空気を感じていた。
目の前の女性が、『真木由紀子』と名乗ったからだ。
それはここ最近、頭の中で頻繁に反芻される名前だった。妻の同窓生で、例の元彼の手先となった女性なのだ。あの手紙に書かれてある事が事実ならばだが。
由紀子さんが目の前の席に座り直した。私は緊張を覚えながらも、その素顔を窺う。
身体付きはイメージしていたよりかは若干ふっくらした感じだが、髪の毛が後ろで結わかれているせいか顔は面長に見える。目はパッチリ二重で、口元から覗く白い歯並びには清潔感を覚える。その雰囲気からも、才女と呼ばれていた理由が垣間見える気がした。
「あのぉ、そんなに見詰められたら、何だか恥ずかしいわ」
その声に私は、ハッと我に帰った。
「ええ、すいません。でも、どうしてここに?」私は緊張を残したまま訊ねてみる。
由紀子さんは私をチラリと見て、先に何か注文をしましょうとメニューを指し出して来た。
私がいつものビールを頼むと、由紀子さんも同じ物と摘みを何点かオーダーした。
ビールと摘みが届くと、由紀子さんがジョッキを持ち上げた。それに合わせて、私は持ったジョッキを黙ったまま目の前で上げた。
彼女は美味そうにゴクゴクと喉を潤すが、私はチビリと口を付けるだけ。そんな私は、訊いておくべき事を口にした。
「あの、貴女の名前は清美から聞いて知ってましたが、コレは一体どういう事でしょうか?」
「うふ、先だって清美さんに次の女子会の件で、連絡した事がありましてね。ご主人に了解は取れそうかと訊ねたのですが、その時に話の流れでこのお店の事を聞かされたんです」
「それだけの事で、この店に?」
「いえ、雰囲気も凄く良いからって清美さんが勧めるもんだから、アタシも好奇心で。それでもし、ご主人が居ればと思って店員さんに声を掛けてみたんですよ」
「本当ですか」私は訝しながら訊いた。
「本当ですわ。そして私は、とてもラッキーでした」
「ラッキー?」
「ええ実はね、今夜アタシが、この店で清美さんのご主人に会えるかもしれないって、ある人に話したんですよ。そうしたらね、ふふふ、その人がアタシに頼み事をしたんです」
「頼み事?」
「ふふっ、コレですわ」
意味深な笑みを浮かべて、由紀子さんが鞄から何かを取り出した。私はソレを見た瞬間、息が止まりそうになってしまった。
彼女が手にしていたのは、USBメモリだったのだ。しかも、前回男から送られ来た物と同じやつではないか。
「それと手紙は届いていませんか」
「ええッ!」驚きに持っていたジョッキを落としそうになってしまう。
目の前に座る由紀子さんが、手紙の話を出すと言う事、そしてUSBを持っていたと言う事は、あの男と繋がってる証拠ではないか。
「それで手紙は?」由紀子さんが、私の様子を窺ってくる。彼女は、これまでの手紙の内容も知っているのだろうか。
「持ってるんですね?」彼女が私の目を覗き込んできた。
私はコクリと頷くと、横に置いてあった鞄に手をやった。手紙と一緒に、ノートパソコンまで無意識に取り出している。
「うふふ」由紀子さんが私の様子を見てか、怪しげな嗤いを立てた。
封を開けてみれば、中身は便箋が1枚だけだった。私は彼女の視線を気にしながら読み始める事にした。
【こんにちは。
今回もUSBを同封しようと思っていたのですが、由紀子さんから連絡があって、ひょっとしたら清美さんのご主人と会えるかもしれないと申すもので、私も遊び心に乗って、彼女に持って行ってもらう事にしました。
万が一、彼女と会えなければ、直ぐに送るようにしますのでね。
では、無事に女子会の映像が視れますように。】
たった1枚の便箋に書かれた短い文章だったが、私はそれを読んで唸り声を上げた。男の遊び心は見事に成功したわけだ。それと、ここに書かれてある女子会とは、由紀子さん達のいう『社交界』と言う名の怪しい集まりの事なのだ。
これで由紀子さんが妻の元彼と名乗る男と、完全に繋がっている事が分かった。手紙の中にも『Y子』ではなく『由紀子』と書かれているのだ。
「何て書いてあるんですか」由紀子さんが私の手元を覗き込むように、少し身を乗り出した。
「当ててみましょうか。コレの中身は社交…いえ、女子会の映像なんでしょ」由紀子さんがUSBメモリをかざしている。私は、知ってたんでしょ、と小声で呟いた。
「じゃあ、せっかくだから一緒に視ましょうよ」
「ええッ、一緒にですか!」
「そうですよ、だってアタシも映ってるんですから」
「あッ!」
「何をそんなに驚いてるんですか。相良さんだって、パソコンを用意してるじゃないですか」
「え!?」
そうだった。私は無意識のうちに、手紙と一緒にノートパソコンまで出していたのだ。
「さぁ、アタシは覚悟が出来てるんですよ」
由紀子さんは『覚悟』と口にしたが、その声は、どことなく嬉しそうだ。声に私を挑発する響きを感じる。
気づけば彼女は立ち上がって、私の隣にやって来るではないか。そして座ると、USBをセットした。
「さぁ早く、再生して下さぁい」由紀子さんが私の耳元で、少し呂律の怪しくなった口調で囁いた。
この映像には、妻も映ってるかもしれない。そう思うと体温が上がってくる。それでも私の指は、何かに操られるように再生をクリックした。
「それと最初に言っときますけど、これって2次会の時のものですからね」
「え、2次会と言うと…」
「1次会はこのお店みたいな居酒屋だったの。その後、場所を移動したんですよ。少し遠かったけどタクシーでね」
由紀子さんの酒臭い息が、私の横顔に掛かる。彼女にとっても酔わなければやってられない…いや視てられない映像なのだろう。
「あのぉ、2次会のメンバーっていうのは…」
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「大田徳子さんですよね」私は断って、そして続ける。「その3人だけですか、他には…」
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いや、そうじゃなくて…。私は、妻の元彼の存在が気になっているのだ。
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次の日、私が目を覚ましたのは、朝の10時を過ぎた頃だった。
起き上がって欠伸を一つすれば、頭の中に夕べ視たSMチックな寝取られ動画の映像を思い出した。
2本の動画はいずれも中年の人妻が主人公で、夫の前で男に翻弄されていくものだった。私は人妻を妻の清美に、夫役を自分に投影していた。
動画の残像に苦笑いを浮かべて立ち上がろうして、枕元のスマホの点滅に気がついた。
見ればLINEの知らせだ。
『声を掛けても全然起きないのでLINEにします。今日はこれから買物に行って来ます』
私が爆睡している間に、どうやら妻は出掛けたようだ。
寝不足気味のまま食事を採り終えた私は、もう一度夕べの動画を視てしまった。
妻が帰って来たのは、夕方近くだった。買物にしてはかなり長いものだったが、私は特段責める事もなかった。妻が元彼と密会していたとは思えないし、そんな証拠もない。あるのは私の妄想…と想いたい…。
「夕べも遅かったんですね」
妻が話し掛けて来たのは、彼女が夕飯の準備でキッチンに立った時だった。
「ああ、そうだった…LINEを入れるの忘れてたっけ?」私はソファーから顔だけを向けて答えている。
妻は私の質問に応えるでなく「またあの居酒屋ですか」と、訊いてくる。
「うん、そうそう、あそこで残業をね」
「そうですか、また行ってみますか」
その言葉に、私はキッチンに振り向いた。
「そ、そうだね」
このところ冷たく感じる妻からは、思いもよらぬ誘いだ。
それから私達は、お互いの予定を確認し合って、次の水曜日に先日と同じ店で待ち合わせる時間を決めたのだった。
週明け出社すると、急ぎの仕事が舞い込んできた。この分だと出張が入りそうな気配を感じてしまう。
そんな中、水曜日がやって来た。日中は仕事に追われ、妻との呑み会の事を考える余裕もなかった。頭の中には『元彼』に『由紀子』『徳子』の名前があるが、2回目の女子会の事を含めて、どのように話を持ち出せばよいか整理が追い付いていない。
それでもこの日、仕事を終わらせた私は、なるべく遅れないようにと先日の店に向かった。
今夜も店には、妻が先に来ていた。私は個室の扉を開けると、前回と同じように「遅くなってゴメン」と、頭を下げている。
店員にビールと摘まみの注文が終わると「最近また忙しくなったみたいですね」妻から話し掛けて来た。
「そうだな、そのうち出張があるかも」
私の返事に頷きながら、妻は「今週も夜はここで残業ですか」と、続けて訊いてきた。
私は苦笑いしながら頷くだけだ。
例の男からの手紙を読む為に通うようになったこの店。それ以来ここに来る理由を、妻には残務と説明していたのだが、はたして彼女が、ノマドワーカーのイメージと私を結び付けたかどうかは分からない。
そして私は、男からの次の手紙の事を考えている。前回の手紙には次の期日は書かれていなかったが、明後日の金曜日には届きそうな気がしているのだ。
「ねぇ、どうしたの、私の話聞いてます?」
ふと顔を上げると、妻が首を傾げている。
「いや大丈夫だよ。そうだな、ひょっとしたら週末もここにお世話になってるかも」と云って、私は笑ってみせるのだ。
それから暫くの時間、私達は黙々と摘みを口に運び、ビールを何杯かお代わりした。
「ところで貴方、最近ボォっとしてる事が多くないですか」
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妻の表情を観れば、頬を朱く、目には酔いの色を浮かべて私を窺っている。
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妻のその言葉に、私の喉が鳴った。
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私のしどろもどろの声に、妻が肩を竦める。「ええ、実はそれの了解を頂こうと思ってまして、それで今夜…」
「了解って…まだ計画中なんだろ?」
「そ、そうです。だから、貴方の意見を…」
「意見って訊かれても…」
妻が何の予兆もなく、私を飲みに誘った理由が分かった気がした。
男も一緒に行くのか、私の頭はその事を追求しろと指示しているが、言葉が出て来ない。
すると妻が、言い訳するように話し始めたーー。
彼女の説明によると、つい先日、由紀子さんから企画に対する伺いがあって、家族から了解が取れるか探っておいて欲しいとの事のようだった。
妻の説明を聞いても、私はその申し出には、曖昧な返事に徹するだけだった。そして私の中には、モヤモヤだけが残ったのだった。
金曜日の昼間、7通目となる手紙が届いた。
しかしソレは、これまでと比べて厚みが1番薄いものだった。USBメモリが入ってる気配はどこにもない。
それでも私は、逸る気持ちを抑えて仕事をこなし、予約した時間に遅くれないようにと、いつもの居酒屋に向かう事にした。
店に入ると、馴染みになった若い店員が声を掛けて来た。
「相良さん、お連れ様がお待ちですよ」
笑みを浮かべる彼の顔を見ながら、私は一瞬キョトンとした。『お連れ様』とは誰の事だ。
しかし、考える間もなく閃きが来た。
妻の清美が来ているのだ!私は疑う事なく個室へと足を運んだ。
個室の扉を開けた瞬間、足が止まった。見知らぬ女性が一人で居るのだ。その女性が、私を見上げる。
「相良さんですよね、清美さんのご主人の」
私は、立ち上がったその女性を、呆然と見詰める。
「私、真木由起子と申します」
その名前を聞いた瞬間、私はハッキリと驚きの声を上げたのだった。
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USBメモリを鞄に仕舞って、会計を済ませた私は店を後にした。
今夜は酔いを覚ます、と言ってもそれほど酔ってはいなかったが、少し遠回りをして家に帰る事にした。
夜道を行けば更に頭がスッキリして来た。その頭の中に二つの影を思い浮かべる。妻の清美の顔と、まだ会った事のない元彼の男だ。
元彼が言う高校時代の真実、結局その真意は分からない。USBメモリの中には、妻の告白が無かったからだ。
今回のUSBから分かった事と言えば、由起子さんと徳子さんの秘密の性癖と『社交会』の存在が明らかになった事だ。
そして最後に、由起子さんはその社交会を2回目の女子会という事にして妻を誘っていたのだ。
そして妻は、その『女子会』に参加している。いや、由起子さんは『見学』と表現していたが、その真意を妻に問い詰める勇気は、今のところ私にはない。その時の様子は、次のUSBメモリでも来ない限り分からないのだ。
そう言えば、今回の手紙にも次の手紙の期日が書かれていなかった。レコーダーからUSBへのコピーの作業が終われば、送られて来ると思うのだが。
家に着けば今夜も妻は寝入っていた。ここ最近の彼女の冷たい態度は、こう言うところにも現れていると思ってしまう。
私は静かにシャワーを済ませて、寝る支度に入った。
疲れた身体は直ぐに眠りを求めると思ったが、睡魔は中々やって来てはくれなかった。
私はベッドを抜け出し、ノートパソコンを取り出した。あの会話をもう一度聴きたくなったのだ。
USBメモリをセットして、最初から再生する。
妻の喋りの部分には特に注意をはらったが、私の記憶に間違いはなかったようだ。妻が自ら過去に付いて語る場面はなかったし、最近の心境に触れるところもなかったのだ。
ただし、この録音は1回目の女子会だけのものなのだ。
それにしても、妻の友人達の生態の方に驚きを覚えてしまう。
真木由紀子さんも大田徳子さんも、れっきとした人妻であり主婦でもある。そんな二人が、怪しい秘め事をしている。由紀子さんは夫公認で、徳子さんは完全な浮気だ。彼女達の告白を聞いた妻は、その時どう思ったのだろうか。妻自身は性欲に関して『それほど』と曖昧な言い方をしていた。しかし『ゼロでもない』と、微妙に認めた感じだ。
そして妻は、本当に2回目の女子会=社交会で、友人達の姿を見学したのか。由紀子さん達は、どんな姿を見せたのだ?社交会の中身が、凄く気になってしまう。それはやはり、アダルトビデオのような世界なのだろうか。
私は会話の再生を止めて、あるワードを検索にかける事にした。
『スワッピング 乱交』キーを叩くと、画面にエロ動画サイトの一覧が並んだ。
中から私は、熟女ものの動画サイトを選択してクリックした。
目に飛び込んで来たのは、幾つものそれらしい画像画面と、スケベ心を煽るサムネの数々だった。
私はプレビューを流し読みしてから、その中の一つ、中年夫婦のスワップらしきものを視てみる事にした。
その動画は素人の投稿物ではなくて、プロの業者のビデオ映像で60分以上のドラマ仕立てのもだった。
そしてそれは、偶然なのか社交会…いや秘密のパーティーに迷い込んだ中年夫婦の話だった。
ビデオの主人公は役所勤めの人妻。女は夫の上司に騙され、夫婦揃って怪しげな集まりに参加する事になる。
夫婦は目の前で披露される同年代の人妻の痴態に激しいショックを受ける。そんな夫婦の横に夫の上司が座って、性の手解きをする物語だった。
ドラマの中、上司の男は慣れた口調で、夫婦に奥深い暗示を投げ掛けたーー。
『奥さん、恥ずかしがらずに目の前の女を見てごらんよ。この人も貴女と同じ人妻なんだ。年齢だって貴女に近い』
場面はホテルのスウィートルームで、ベッドの回りを数組のカップルが取り囲んでいる。
ベッドの上には素顔の中年女性と若い男。二人は生まれたままの姿で、絡みを披露している。
『ほらね、優れた女の身体ってのは男に合わせられるものなんだ。男が鋳型であるなら、女は液体ってな。どんな形にも納まるのが良い女ってわけだが、じゃあ男の鋳型に合わせられない女はつまらないのかと言うと、そうも言い切れない。開発前の女もいるからね。大事なのは女の意思。男を前に人形になるんじゃなくて、自発的な意志を持つ事なんだよ。
この奥さんも最初は自分の道具を貸すだけだったが、ようやく分かってきたようだ』
夫の上司の声を耳元で受け止め、人妻は静かに前を向いたまま。この女性も耳を性感帯に、男の声を受け入れてるように観える。
『男ってのは自分の欲望本位に行動する事が多いが、この彼は若いけど経験が豊富なんだ。場数を踏んでるから解約精神が発達していて、相手が肉体の賃借関係として割り切って行為に臨めるんだよ。奥さん、分かるかな?』
男の言葉の意味が分かったのかどうかは分からないが、主人公の人妻は微動だにしない。
『おや、女の方に我慢が利かなくなってきたかな。この二人は何度か身体を合わせて厭らしい表現に阿吽の呼吸が生まれるようになったが、女の方はまだまだだな。どうやら今夜の勝負は、男のものだ。
さて、時間はと…』
男の視線の先が画面に広がり、ベッドの上では女の動きが激しく、絶頂を迎えたところだった。
ビデオの中、女が最後の雄叫びを上げたシーンを視て、私は大きく息をついた。自分でも思った以上に、映像にのめり込んでしまっていた。
頭の中には、獣そのものになって、折り重なり、呻き、のたうち回っていた浅ましい女の残像がある。
男女の絡みのシーンも印象にあったが、ストーリー性にも胸を抉られる想いがあった。
ベッドにいた女は若い男に手駒にされ、客相手に痴態を曝す女に成り下がったのだ。そしてその様子を見ていた人妻は暗示に掛けられ、やがては同じような女へと変貌を遂げるのだろう。
しかもこの人妻の横には、夫が座っていたのだ。夫はベッドの女と、隣の妻の先行きを重ねていたのだろうか。
と、私はビデオの上司の男が、妻清美の元彼とダブって観えた。
動画はまだ半分も過ぎてなかったが、私は一旦止めた。そして水を一杯飲みに行く事にした。
キッチンで水を飲んだ私は、自分の部屋に戻る前に妻の寝室を覗いた。
妻は鼾も掻かず、静かに寝入っている。その寝顔からは、罪の有無を感じない。
しかし女と言う生き物は、裏の顔を隠し持っているものなのだろうか。
真木由紀子さんに大田徳子さん、私は彼女達の赤裸々な告白をUSBで聞いている。いや、彼女達からすれば、あれは告白といった大袈裟なものではなくて、面白い遊びを見つけた少女の自慢話なのかもしれない。
そんな考えを頭の隅に霞ませながら、私は自分の部屋に戻る事にした。
時計を見れば、深夜の1時を過ぎたところだ。それでも何故か眠気を感じなくなっている。
私は別の動画サイトも見てみる事にした。
次に視る気になったのは、SM物だった。サムネのプレビューを読むと、妻が夫の前で調教を受ける話だ。そしてコレも、ドラマ仕立ての物のようだ。
画面にいきなり広がったのは、テーブルに大の字に縛られた女性の姿だった。そしておっ開げられた股間の前には、男の生尻だ。
『さぁご主人、これからこの美しい婦人の体内に私の夥しい体液を吐き出させて頂きますよ』
ビデオの男は言うなり、婦人と呼んた女性の股間に反り勃った肉の棒を突き刺した。
映像のアングルは男の後ろ姿を捉え、筋肉質な生尻が規則正しい動きを続ける。バンザイの格好でテーブルの脚に両腕を結ばれた婦人の姿は、私の目には虫ピンで止められた蝶のように観えた。
婦人の口からは『嫌よ嫌よ』と、抗いの声が上がる。しかしやがて『やっぱりいいわ!』感泣の声に変わった。
『そうですよ奥様、飢えた人間にテーブルマナーは不要ですよ。さぁ遠慮なさらずに』男が腰を振りながら、婦人を追い込んで行く。
男の言葉に、むっちりと実った婦人の美しい御足が、男の腰を挟んで跳ね上がった。婦人のその様は、完全に己の保身反応を麻痺させている。
『ヒィーヒィーっ』ビデオの声が、妻の声に重なって聴こえるようだ。男に串刺しされて蠢く婦人の姿も、妻に重なって行く。
両腕をロープで、腰を男に制圧された不自由な状態で、のたうち回る婦人は、麻薬の禁断症状から逃げ惑おうとしてるようだ。
『もっともっと抉って下さいッ!』
『あらあら奥様、なんて品格のない言い方を』ビデオの男がニヤリと嗤う。
『うううッ、だって…』
『はいはい、分かりましたよ。私の物がもっと欲しいのですね』
『そう、そうなのっ、だからもっと激しく突いて下さいッ!』婦人は必死に追いかけている。本当にあと一歩のところなのだ。しかし男が、お預けを喰らわせて女体を支配している。
私はそれが造り物のビデオである事を忘れて、ノンフィクションの出来事に覚えてしまっていた。
「清美…」私の口から無意識に妻の名前が出た。妻もビデオの婦人のように、元彼の残酷で不完全燃焼な責めに、我を忘れた事があったのだろうか。私はもう一度「清美」と呟くと、拳を握りしめた。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
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暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
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男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
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「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
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「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
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「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
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清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
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主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
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「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
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コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
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「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
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竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
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私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
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今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
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元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
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清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
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「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
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珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
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一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
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四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
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由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
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「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
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私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
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性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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fallーー。
無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
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テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
牡精を絞り取られたSが、徳子さんに拍手を送る。周りの男女がそれ以上の拍手をすると、徳子さんが恥ずかしげにペコリと頭を下げた。最初のショーが終了したのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
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会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
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・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
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私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
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「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
自分の部屋に戻った後は、暫く下半身を曝したままだった。ベッドに腰掛け股間のソレを弄ってみるが、大きくなる気配は全くない。長い間、セックスしなかった事が原因なのか。答えなど見つかる筈もなく、ショックで頭を抱えてしまう。
しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
そしてもう一つーーー、元彼は手紙で、妻を調教する過程で自慰行為を命令したとあった。
昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
どちらにせよ、元彼からの手紙の内容は、ほぼほぼ事実なのだ。過去の出来事とは言え、それが今に影響を及ぼしている。
妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
「俺はいつもの生で」
私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
暫くそのまま目の前の痴態を見てると、身体が熱くなってきた。この女を何とかしないといけないのではないのか。
その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
「…オマンコよぉ…オマンコいいのぉ」
昨夜と同じ4文字の淫語ではないか。
「あぁんッ犯してぇ、あなた、お願いっ」
切れ切れの鳴きの声に、私の身体は固まっていた。それにしても、今の『あなた』とは誰の事だ。
身体の熱がフツフツと高まっていく。こうなったら私が犯(や)るしかない。この女にブチ込んでやるのだ。
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しかし…昨夜と同じで、シンボルであるはずの男性器が萎んだまま、全く反応しなかったのだ…。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
「ええッ、本当ですか!」
「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
「ほらご主人、アタシのここ、ドキドキしてるでしょ」
由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
告うや否や、映像の由紀子さんはベッドに上がり、四つん這いになって男達に臀を突き出した。
私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
「そ、そうなんですね…」
「ええ、でもこの日の彼女は見学と撮影だけ。それ以外の事…服を脱いで裸を見せたりはしてませんから」
先ほどの羞恥の表情を何処へ隠したのか、由紀子さんは落ち着いた声に流し目まで送って来る。
「あの、男は…元彼はそれで何と…」
「元彼?ああ、あの人ね。うふふ、アタシが指示されたのは、清美さんに刺激を与えて下さいって事だけですから」
「………」
「まあアタシとしたら、いつかは清美さんにもこちら側の世界に来て欲しいと思ってますけどね」
由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
「ええッ!」
「アタシ達は変態セックスを愉しんでるスワッパー夫婦。そんなアタシ達の仲間に、ってね」
「いえ、私達は…」
「ふふっ大丈夫、分かってますって。無理強いはいけませんからね。でも、清美さんの方が先に飛んだらどうしますか」
「と、飛ぶって…」
「ふふ、清美さんの行く末を皆んなが楽しみにしてるんです。あの人と寄りを戻したら…な~んてね」
「き、清美に限ってそんな事は…」
「ふふふ、あるわけないですか?」
由紀子さんが間近な距離から見詰めてくる。
「ご主人は、これまでも清美さんを大切にして来たんでしょ?」
「………」
「たくさん抱いてあげたんでしょうが、彼女の本質をちゃんと理解してあげてたのかしら?」
「本質って…」
「持って生まれた性癖。それって幾つになっても変わらないらしいですよ」
「………」
由紀子さんの言葉が映像のヨガリ声と重なり、雨粒のように降り掛かって来る。
彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
「そうそう、そう言えばねぇ、泊まりでの女子会を検討中なんですよ」
「そ、それは聞いてます…」
「そこで清美さんを試してみては如何ですか」
「え、試すとは?」
「決まってるじゃない。清美さんがそこで飛ぶかどうかよ」
私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
これもあの男の仕掛けなのか。私は完全に翻弄されている。
「ご主人、そうあまり真剣な顔しないで下さい。アタシも問い詰め過ぎました。今云った事は時間があるから、考えておいてくれればいいですよ。それより、こっちの続きを楽しみましょうよ」
彼女の言葉にパソコン画面を向き直れば、由紀子さんが臀を向けてご主人に跨がっている。二つの生殖器が、片方は侵入を繰り返し、もう片方はソレを難なく飲み込んでいる。そしてその摩擦音が、響き伝わって来るのだった。
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テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。
『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
「今のは?」
「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
「あの人…」
「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
「それって、いいんですか」
私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。
映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
私は黙って頷いている。
「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
「ええッ!」
「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
「………」
「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
「大胆に、ですか」
「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
ゴクリ、私の喉が鳴る。
「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。
「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。
『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
「ウフフ、徳ちゃんったら凄いわ。結合の部分が丸見えよねぇ。おまけにお尻の穴まで」由紀子さんが私をチラリと見ながら、ニヤついている。
「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。
「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
「え、いや、それは…」
口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
と、映像が結合の部分から徳子さんの豊満な乳房を抜けて、彼女の表情に移動した。
『いやーーんッ止めて!』
顔のアップに気付いたか、徳子さんが悲鳴を上げる。
『いやんいやん、恥ずかしいッ、清タン、顔は映さないでぇぇ』
徳子さんの懇願にも、映像は彼女のアップのまま。この時の妻の心境も又、どんなものだったのだ。
「あらあら徳ちゃんったら、凄い声ねぇ。でもご主人、彼女はねぇ、イヤとか言いながらシッカリ興奮してるんですよぉ。なんせ見られて感じる変態なんだから」
私は驚きに息を詰まられながら、本当ですか、と訊きそうになっている。確かに徳子さんは、自分の逝き顔を見せ付けてるように観えなくもない。
その時、徳子さんの顔がズームアウトされた。同時に腰を振っていた男が、彼女の腿をバチパチと叩いた。
「次は犬の格好よ」
由紀子さんの言葉通りに、二人は繋がったまま器用に体位を変えていく。
「ふふふ、男女が身体を溶接させたまま一体となっての漂流感は、性の醍醐味なのよね」又も由紀子さんが、意味深な言葉を呟いた。私の中には、阿吽の呼吸という言葉が浮かんだ。正常位から犬の格好への移行が、スムーズに観えたのだ。
そして直ぐに、それまで以上の徳子さんの叫び声が上がった。
「どうですかご主人、あなた方夫婦のセックスと、動画の徳ちゃん達とどっちが激しいですか」
由紀子さんの落ち着いた声にも、私は黙り込むだけだった。妻とセックスをしていた頃を思い出そうとしても、その記憶には補正が掛かっているのか、映像の男女と比べると幼稚すぎるものに思えてしまう。
それとだ。由紀子さんは妻から私達夫婦の性事情まで聞き出したのだろうか。それを知って彼女は、今の質問を?
「あ、そろそろ徳ちゃんが逝くわ!」
その瞬間、由紀子さんの声と同時に、徳子さんが最後の雄叫びを上げたのだった。
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居酒屋の個室ーー。
馴染みとなったこの場所も、私はこれまでと違う空気を感じていた。
目の前の女性が、『真木由紀子』と名乗ったからだ。
それはここ最近、頭の中で頻繁に反芻される名前だった。妻の同窓生で、例の元彼の手先となった女性なのだ。あの手紙に書かれてある事が事実ならばだが。
由紀子さんが目の前の席に座り直した。私は緊張を覚えながらも、その素顔を窺う。
身体付きはイメージしていたよりかは若干ふっくらした感じだが、髪の毛が後ろで結わかれているせいか顔は面長に見える。目はパッチリ二重で、口元から覗く白い歯並びには清潔感を覚える。その雰囲気からも、才女と呼ばれていた理由が垣間見える気がした。
「あのぉ、そんなに見詰められたら、何だか恥ずかしいわ」
その声に私は、ハッと我に帰った。
「ええ、すいません。でも、どうしてここに?」私は緊張を残したまま訊ねてみる。
由紀子さんは私をチラリと見て、先に何か注文をしましょうとメニューを指し出して来た。
私がいつものビールを頼むと、由紀子さんも同じ物と摘みを何点かオーダーした。
ビールと摘みが届くと、由紀子さんがジョッキを持ち上げた。それに合わせて、私は持ったジョッキを黙ったまま目の前で上げた。
彼女は美味そうにゴクゴクと喉を潤すが、私はチビリと口を付けるだけ。そんな私は、訊いておくべき事を口にした。
「あの、貴女の名前は清美から聞いて知ってましたが、コレは一体どういう事でしょうか?」
「うふ、先だって清美さんに次の女子会の件で、連絡した事がありましてね。ご主人に了解は取れそうかと訊ねたのですが、その時に話の流れでこのお店の事を聞かされたんです」
「それだけの事で、この店に?」
「いえ、雰囲気も凄く良いからって清美さんが勧めるもんだから、アタシも好奇心で。それでもし、ご主人が居ればと思って店員さんに声を掛けてみたんですよ」
「本当ですか」私は訝しながら訊いた。
「本当ですわ。そして私は、とてもラッキーでした」
「ラッキー?」
「ええ実はね、今夜アタシが、この店で清美さんのご主人に会えるかもしれないって、ある人に話したんですよ。そうしたらね、ふふふ、その人がアタシに頼み事をしたんです」
「頼み事?」
「ふふっ、コレですわ」
意味深な笑みを浮かべて、由紀子さんが鞄から何かを取り出した。私はソレを見た瞬間、息が止まりそうになってしまった。
彼女が手にしていたのは、USBメモリだったのだ。しかも、前回男から送られ来た物と同じやつではないか。
「それと手紙は届いていませんか」
「ええッ!」驚きに持っていたジョッキを落としそうになってしまう。
目の前に座る由紀子さんが、手紙の話を出すと言う事、そしてUSBを持っていたと言う事は、あの男と繋がってる証拠ではないか。
「それで手紙は?」由紀子さんが、私の様子を窺ってくる。彼女は、これまでの手紙の内容も知っているのだろうか。
「持ってるんですね?」彼女が私の目を覗き込んできた。
私はコクリと頷くと、横に置いてあった鞄に手をやった。手紙と一緒に、ノートパソコンまで無意識に取り出している。
「うふふ」由紀子さんが私の様子を見てか、怪しげな嗤いを立てた。
封を開けてみれば、中身は便箋が1枚だけだった。私は彼女の視線を気にしながら読み始める事にした。
【こんにちは。
今回もUSBを同封しようと思っていたのですが、由紀子さんから連絡があって、ひょっとしたら清美さんのご主人と会えるかもしれないと申すもので、私も遊び心に乗って、彼女に持って行ってもらう事にしました。
万が一、彼女と会えなければ、直ぐに送るようにしますのでね。
では、無事に女子会の映像が視れますように。】
たった1枚の便箋に書かれた短い文章だったが、私はそれを読んで唸り声を上げた。男の遊び心は見事に成功したわけだ。それと、ここに書かれてある女子会とは、由紀子さん達のいう『社交界』と言う名の怪しい集まりの事なのだ。
これで由紀子さんが妻の元彼と名乗る男と、完全に繋がっている事が分かった。手紙の中にも『Y子』ではなく『由紀子』と書かれているのだ。
「何て書いてあるんですか」由紀子さんが私の手元を覗き込むように、少し身を乗り出した。
「当ててみましょうか。コレの中身は社交…いえ、女子会の映像なんでしょ」由紀子さんがUSBメモリをかざしている。私は、知ってたんでしょ、と小声で呟いた。
「じゃあ、せっかくだから一緒に視ましょうよ」
「ええッ、一緒にですか!」
「そうですよ、だってアタシも映ってるんですから」
「あッ!」
「何をそんなに驚いてるんですか。相良さんだって、パソコンを用意してるじゃないですか」
「え!?」
そうだった。私は無意識のうちに、手紙と一緒にノートパソコンまで出していたのだ。
「さぁ、アタシは覚悟が出来てるんですよ」
由紀子さんは『覚悟』と口にしたが、その声は、どことなく嬉しそうだ。声に私を挑発する響きを感じる。
気づけば彼女は立ち上がって、私の隣にやって来るではないか。そして座ると、USBをセットした。
「さぁ早く、再生して下さぁい」由紀子さんが私の耳元で、少し呂律の怪しくなった口調で囁いた。
この映像には、妻も映ってるかもしれない。そう思うと体温が上がってくる。それでも私の指は、何かに操られるように再生をクリックした。
「それと最初に言っときますけど、これって2次会の時のものですからね」
「え、2次会と言うと…」
「1次会はこのお店みたいな居酒屋だったの。その後、場所を移動したんですよ。少し遠かったけどタクシーでね」
由紀子さんの酒臭い息が、私の横顔に掛かる。彼女にとっても酔わなければやってられない…いや視てられない映像なのだろう。
「あのぉ、2次会のメンバーっていうのは…」
「ああ、その日のメンツね。えっとね、アタシと清美さんに徳ちゃん。あ、徳ちゃんって言うのは」
「大田徳子さんですよね」私は断って、そして続ける。「その3人だけですか、他には…」
「ああ、珠美さんの事ね。珠美さんはこの日も1次会で帰っちゃったのよね。彼女、子供がまだ中学生で難しい時期みたいでぇ」
いや、そうじゃなくて…。私は、妻の元彼の存在が気になっているのだ。
「あの、男子は…」
そこで彼女は、私の知りたい事を察したようだった。
「そっか、うんうん、あの人の事ね」
由紀子さんが呟いた瞬間、同時にパソコンの中から女性の絶叫が聞こえたのだった。
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次の日、私が目を覚ましたのは、朝の10時を過ぎた頃だった。
起き上がって欠伸を一つすれば、頭の中に夕べ視たSMチックな寝取られ動画の映像を思い出した。
2本の動画はいずれも中年の人妻が主人公で、夫の前で男に翻弄されていくものだった。私は人妻を妻の清美に、夫役を自分に投影していた。
動画の残像に苦笑いを浮かべて立ち上がろうして、枕元のスマホの点滅に気がついた。
見ればLINEの知らせだ。
『声を掛けても全然起きないのでLINEにします。今日はこれから買物に行って来ます』
私が爆睡している間に、どうやら妻は出掛けたようだ。
寝不足気味のまま食事を採り終えた私は、もう一度夕べの動画を視てしまった。
妻が帰って来たのは、夕方近くだった。買物にしてはかなり長いものだったが、私は特段責める事もなかった。妻が元彼と密会していたとは思えないし、そんな証拠もない。あるのは私の妄想…と想いたい…。
「夕べも遅かったんですね」
妻が話し掛けて来たのは、彼女が夕飯の準備でキッチンに立った時だった。
「ああ、そうだった…LINEを入れるの忘れてたっけ?」私はソファーから顔だけを向けて答えている。
妻は私の質問に応えるでなく「またあの居酒屋ですか」と、訊いてくる。
「うん、そうそう、あそこで残業をね」
「そうですか、また行ってみますか」
その言葉に、私はキッチンに振り向いた。
「そ、そうだね」
このところ冷たく感じる妻からは、思いもよらぬ誘いだ。
それから私達は、お互いの予定を確認し合って、次の水曜日に先日と同じ店で待ち合わせる時間を決めたのだった。
週明け出社すると、急ぎの仕事が舞い込んできた。この分だと出張が入りそうな気配を感じてしまう。
そんな中、水曜日がやって来た。日中は仕事に追われ、妻との呑み会の事を考える余裕もなかった。頭の中には『元彼』に『由紀子』『徳子』の名前があるが、2回目の女子会の事を含めて、どのように話を持ち出せばよいか整理が追い付いていない。
それでもこの日、仕事を終わらせた私は、なるべく遅れないようにと先日の店に向かった。
今夜も店には、妻が先に来ていた。私は個室の扉を開けると、前回と同じように「遅くなってゴメン」と、頭を下げている。
店員にビールと摘まみの注文が終わると「最近また忙しくなったみたいですね」妻から話し掛けて来た。
「そうだな、そのうち出張があるかも」
私の返事に頷きながら、妻は「今週も夜はここで残業ですか」と、続けて訊いてきた。
私は苦笑いしながら頷くだけだ。
例の男からの手紙を読む為に通うようになったこの店。それ以来ここに来る理由を、妻には残務と説明していたのだが、はたして彼女が、ノマドワーカーのイメージと私を結び付けたかどうかは分からない。
そして私は、男からの次の手紙の事を考えている。前回の手紙には次の期日は書かれていなかったが、明後日の金曜日には届きそうな気がしているのだ。
「ねぇ、どうしたの、私の話聞いてます?」
ふと顔を上げると、妻が首を傾げている。
「いや大丈夫だよ。そうだな、ひょっとしたら週末もここにお世話になってるかも」と云って、私は笑ってみせるのだ。
それから暫くの時間、私達は黙々と摘みを口に運び、ビールを何杯かお代わりした。
「ところで貴方、最近ボォっとしてる事が多くないですか」
「え!」
「何か悩みとか、心配事でもあるの?」
妻の表情を観れば、頬を朱く、目には酔いの色を浮かべて私を窺っている。
「いや、別に…」私の口は勝手に動いていた。が、心の中では…あのな、気になっているのは、お前の事だよ、清美の過去の男と同窓会の事だろ、と呟き掛けている。
「それよりだよ、清美の方はどうなんだい。女子会の約束はないのかよ」
「ああ、3回目の女子会の事ですね。ええ、実は…」妻がジョッキを置いて、視線を真っ直ぐ向けてきた。
「今度は泊まりでやろうって話も出てるみたいなんです…」
妻のその言葉に、私の喉が鳴った。
「お、おい、それって初耳だよな…」
私のしどろもどろの声に、妻が肩を竦める。「ええ、実はそれの了解を頂こうと思ってまして、それで今夜…」
「了解って…まだ計画中なんだろ?」
「そ、そうです。だから、貴方の意見を…」
「意見って訊かれても…」
妻が何の予兆もなく、私を飲みに誘った理由が分かった気がした。
男も一緒に行くのか、私の頭はその事を追求しろと指示しているが、言葉が出て来ない。
すると妻が、言い訳するように話し始めたーー。
彼女の説明によると、つい先日、由紀子さんから企画に対する伺いがあって、家族から了解が取れるか探っておいて欲しいとの事のようだった。
妻の説明を聞いても、私はその申し出には、曖昧な返事に徹するだけだった。そして私の中には、モヤモヤだけが残ったのだった。
金曜日の昼間、7通目となる手紙が届いた。
しかしソレは、これまでと比べて厚みが1番薄いものだった。USBメモリが入ってる気配はどこにもない。
それでも私は、逸る気持ちを抑えて仕事をこなし、予約した時間に遅くれないようにと、いつもの居酒屋に向かう事にした。
店に入ると、馴染みになった若い店員が声を掛けて来た。
「相良さん、お連れ様がお待ちですよ」
笑みを浮かべる彼の顔を見ながら、私は一瞬キョトンとした。『お連れ様』とは誰の事だ。
しかし、考える間もなく閃きが来た。
妻の清美が来ているのだ!私は疑う事なく個室へと足を運んだ。
個室の扉を開けた瞬間、足が止まった。見知らぬ女性が一人で居るのだ。その女性が、私を見上げる。
「相良さんですよね、清美さんのご主人の」
私は、立ち上がったその女性を、呆然と見詰める。
「私、真木由起子と申します」
その名前を聞いた瞬間、私はハッキリと驚きの声を上げたのだった。
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USBメモリを鞄に仕舞って、会計を済ませた私は店を後にした。
今夜は酔いを覚ます、と言ってもそれほど酔ってはいなかったが、少し遠回りをして家に帰る事にした。
夜道を行けば更に頭がスッキリして来た。その頭の中に二つの影を思い浮かべる。妻の清美の顔と、まだ会った事のない元彼の男だ。
元彼が言う高校時代の真実、結局その真意は分からない。USBメモリの中には、妻の告白が無かったからだ。
今回のUSBから分かった事と言えば、由起子さんと徳子さんの秘密の性癖と『社交会』の存在が明らかになった事だ。
そして最後に、由起子さんはその社交会を2回目の女子会という事にして妻を誘っていたのだ。
そして妻は、その『女子会』に参加している。いや、由起子さんは『見学』と表現していたが、その真意を妻に問い詰める勇気は、今のところ私にはない。その時の様子は、次のUSBメモリでも来ない限り分からないのだ。
そう言えば、今回の手紙にも次の手紙の期日が書かれていなかった。レコーダーからUSBへのコピーの作業が終われば、送られて来ると思うのだが。
家に着けば今夜も妻は寝入っていた。ここ最近の彼女の冷たい態度は、こう言うところにも現れていると思ってしまう。
私は静かにシャワーを済ませて、寝る支度に入った。
疲れた身体は直ぐに眠りを求めると思ったが、睡魔は中々やって来てはくれなかった。
私はベッドを抜け出し、ノートパソコンを取り出した。あの会話をもう一度聴きたくなったのだ。
USBメモリをセットして、最初から再生する。
妻の喋りの部分には特に注意をはらったが、私の記憶に間違いはなかったようだ。妻が自ら過去に付いて語る場面はなかったし、最近の心境に触れるところもなかったのだ。
ただし、この録音は1回目の女子会だけのものなのだ。
それにしても、妻の友人達の生態の方に驚きを覚えてしまう。
真木由紀子さんも大田徳子さんも、れっきとした人妻であり主婦でもある。そんな二人が、怪しい秘め事をしている。由紀子さんは夫公認で、徳子さんは完全な浮気だ。彼女達の告白を聞いた妻は、その時どう思ったのだろうか。妻自身は性欲に関して『それほど』と曖昧な言い方をしていた。しかし『ゼロでもない』と、微妙に認めた感じだ。
そして妻は、本当に2回目の女子会=社交会で、友人達の姿を見学したのか。由紀子さん達は、どんな姿を見せたのだ?社交会の中身が、凄く気になってしまう。それはやはり、アダルトビデオのような世界なのだろうか。
私は会話の再生を止めて、あるワードを検索にかける事にした。
『スワッピング 乱交』キーを叩くと、画面にエロ動画サイトの一覧が並んだ。
中から私は、熟女ものの動画サイトを選択してクリックした。
目に飛び込んで来たのは、幾つものそれらしい画像画面と、スケベ心を煽るサムネの数々だった。
私はプレビューを流し読みしてから、その中の一つ、中年夫婦のスワップらしきものを視てみる事にした。
その動画は素人の投稿物ではなくて、プロの業者のビデオ映像で60分以上のドラマ仕立てのもだった。
そしてそれは、偶然なのか社交会…いや秘密のパーティーに迷い込んだ中年夫婦の話だった。
ビデオの主人公は役所勤めの人妻。女は夫の上司に騙され、夫婦揃って怪しげな集まりに参加する事になる。
夫婦は目の前で披露される同年代の人妻の痴態に激しいショックを受ける。そんな夫婦の横に夫の上司が座って、性の手解きをする物語だった。
ドラマの中、上司の男は慣れた口調で、夫婦に奥深い暗示を投げ掛けたーー。
『奥さん、恥ずかしがらずに目の前の女を見てごらんよ。この人も貴女と同じ人妻なんだ。年齢だって貴女に近い』
場面はホテルのスウィートルームで、ベッドの回りを数組のカップルが取り囲んでいる。
ベッドの上には素顔の中年女性と若い男。二人は生まれたままの姿で、絡みを披露している。
『ほらね、優れた女の身体ってのは男に合わせられるものなんだ。男が鋳型であるなら、女は液体ってな。どんな形にも納まるのが良い女ってわけだが、じゃあ男の鋳型に合わせられない女はつまらないのかと言うと、そうも言い切れない。開発前の女もいるからね。大事なのは女の意思。男を前に人形になるんじゃなくて、自発的な意志を持つ事なんだよ。
この奥さんも最初は自分の道具を貸すだけだったが、ようやく分かってきたようだ』
夫の上司の声を耳元で受け止め、人妻は静かに前を向いたまま。この女性も耳を性感帯に、男の声を受け入れてるように観える。
『男ってのは自分の欲望本位に行動する事が多いが、この彼は若いけど経験が豊富なんだ。場数を踏んでるから解約精神が発達していて、相手が肉体の賃借関係として割り切って行為に臨めるんだよ。奥さん、分かるかな?』
男の言葉の意味が分かったのかどうかは分からないが、主人公の人妻は微動だにしない。
『おや、女の方に我慢が利かなくなってきたかな。この二人は何度か身体を合わせて厭らしい表現に阿吽の呼吸が生まれるようになったが、女の方はまだまだだな。どうやら今夜の勝負は、男のものだ。
さて、時間はと…』
男の視線の先が画面に広がり、ベッドの上では女の動きが激しく、絶頂を迎えたところだった。
ビデオの中、女が最後の雄叫びを上げたシーンを視て、私は大きく息をついた。自分でも思った以上に、映像にのめり込んでしまっていた。
頭の中には、獣そのものになって、折り重なり、呻き、のたうち回っていた浅ましい女の残像がある。
男女の絡みのシーンも印象にあったが、ストーリー性にも胸を抉られる想いがあった。
ベッドにいた女は若い男に手駒にされ、客相手に痴態を曝す女に成り下がったのだ。そしてその様子を見ていた人妻は暗示に掛けられ、やがては同じような女へと変貌を遂げるのだろう。
しかもこの人妻の横には、夫が座っていたのだ。夫はベッドの女と、隣の妻の先行きを重ねていたのだろうか。
と、私はビデオの上司の男が、妻清美の元彼とダブって観えた。
動画はまだ半分も過ぎてなかったが、私は一旦止めた。そして水を一杯飲みに行く事にした。
キッチンで水を飲んだ私は、自分の部屋に戻る前に妻の寝室を覗いた。
妻は鼾も掻かず、静かに寝入っている。その寝顔からは、罪の有無を感じない。
しかし女と言う生き物は、裏の顔を隠し持っているものなのだろうか。
真木由紀子さんに大田徳子さん、私は彼女達の赤裸々な告白をUSBで聞いている。いや、彼女達からすれば、あれは告白といった大袈裟なものではなくて、面白い遊びを見つけた少女の自慢話なのかもしれない。
そんな考えを頭の隅に霞ませながら、私は自分の部屋に戻る事にした。
時計を見れば、深夜の1時を過ぎたところだ。それでも何故か眠気を感じなくなっている。
私は別の動画サイトも見てみる事にした。
次に視る気になったのは、SM物だった。サムネのプレビューを読むと、妻が夫の前で調教を受ける話だ。そしてコレも、ドラマ仕立ての物のようだ。
画面にいきなり広がったのは、テーブルに大の字に縛られた女性の姿だった。そしておっ開げられた股間の前には、男の生尻だ。
『さぁご主人、これからこの美しい婦人の体内に私の夥しい体液を吐き出させて頂きますよ』
ビデオの男は言うなり、婦人と呼んた女性の股間に反り勃った肉の棒を突き刺した。
映像のアングルは男の後ろ姿を捉え、筋肉質な生尻が規則正しい動きを続ける。バンザイの格好でテーブルの脚に両腕を結ばれた婦人の姿は、私の目には虫ピンで止められた蝶のように観えた。
婦人の口からは『嫌よ嫌よ』と、抗いの声が上がる。しかしやがて『やっぱりいいわ!』感泣の声に変わった。
『そうですよ奥様、飢えた人間にテーブルマナーは不要ですよ。さぁ遠慮なさらずに』男が腰を振りながら、婦人を追い込んで行く。
男の言葉に、むっちりと実った婦人の美しい御足が、男の腰を挟んで跳ね上がった。婦人のその様は、完全に己の保身反応を麻痺させている。
『ヒィーヒィーっ』ビデオの声が、妻の声に重なって聴こえるようだ。男に串刺しされて蠢く婦人の姿も、妻に重なって行く。
両腕をロープで、腰を男に制圧された不自由な状態で、のたうち回る婦人は、麻薬の禁断症状から逃げ惑おうとしてるようだ。
『もっともっと抉って下さいッ!』
『あらあら奥様、なんて品格のない言い方を』ビデオの男がニヤリと嗤う。
『うううッ、だって…』
『はいはい、分かりましたよ。私の物がもっと欲しいのですね』
『そう、そうなのっ、だからもっと激しく突いて下さいッ!』婦人は必死に追いかけている。本当にあと一歩のところなのだ。しかし男が、お預けを喰らわせて女体を支配している。
私はそれが造り物のビデオである事を忘れて、ノンフィクションの出来事に覚えてしまっていた。
「清美…」私の口から無意識に妻の名前が出た。妻もビデオの婦人のように、元彼の残酷で不完全燃焼な責めに、我を忘れた事があったのだろうか。私はもう一度「清美」と呟くと、拳を握りしめた。
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妻の元彼からの6通目の手紙を封筒に戻すと、私は鞄からノートパソコンを取り出し、立ち上げた。
USBを差し込み、イヤホンを耳にセットする。個室にいても、音漏れには注意したい。まして何が飛び出して来るか分からないのだから。
起動が始まって暫くすると、聞こえて来たのは女性の笑い声だった。
この時の2次会の場所も、由紀子さんが幹事を務めたのなら、外部からの干渉に気をつけて個室を用意したに違いない。そしてこの部屋にいるのは、妻の清美と由紀子さんに徳子さんだ。
彼女達の話し声が大きくなってきた。妻の声は直ぐに気づき、他の声も名前と一致させる事が出来た。
ひときわ大きな声で喋ってるのが、徳子さんだろう。由紀子さんの声は、酒のせいか砕けた感じに聴こえる。
『それでさ、ちょっと清タン聞いてよ。由紀ちゃんって凄いんだから。ねぇぇ。』
徳子さんが話題を変えてきた。
『ふふふ、アッチの話?そうねぇアタシは結構お盛ん、かな』
徳子さんの声に応えるようにか、由紀子さんの声も大きくなっている。
『ところで清美さんさぁ、実はずっと黙ってたんだけど高校の時さ、貴女に変な噂が立った事あったの、知ってた?』
由紀子さんの声に続き『え!』妻の驚きの声が聴こえた。
『清楚で男子に人気者だった田中清美は、実は変態セックスしてるっていう噂よ』
由紀子さんの詰問調の声に、こっちの息が止まりそうになった。
そして暫く無言が続き、やがて再び由紀子さんの声が聴こえた。
『うふふ、その表情、黙ってるところを見ると噂は本当だったのかな?』
『な、何の事だか…』
『えへっ、別にいいじゃない昔の事だしさ。それにさっきも告ったけど、アタシもこう見えて、実は遊んでるのよね』
由紀子さんの呂律が怪しくなってる気がする。さすがに酔わなければ話せない内容だ。
『実はね、同窓会で清美さんを久し振りに見た時に、今云った昔の噂を思い出したのよね。でも、そんな話題をその場でなんて出せないでしょ。だからねぇぇ』
由紀子さんが語る流れに、男の手紙に書かれていたある場面を思い出した。
確か2次会の席で、元彼がテーブルの下で妻の手を握ったところを、由紀子さんが見たのではなかったか。
『それでねぇ、1度気になりだしたら、ずっと気になっちゃってさ…ふふふ、それでここに来る前、つい徳(のり)ちゃんに話しちゃったのよね』
由紀子さんの語尾は、徳子さんに向けたものだった。
『そうそう、それで私も本当!?って驚いたのよね』徳子さんの声が、1オクターブ上がっている。
『私もさ、卒業してから色々あったし、人って変わるからさ、大概の事は驚かないんだけど、清タンが変態チックな遊びをしてるなんて』
『徳ちゃんちょっと違うわよ。清美さんがエッチな事をしてたのは、昔の話で今は知らないわよ』
『あ、そっか。でもさ、今はどうなの…ねぇ清タン、今はどんな感じ?欲求不満とかないの?』
会った事のない徳子さんだが、その姿が目に浮かぶようだった。ポッチャリの身体を乗り出し、好奇心に目を見開く姿だ。妻の方は俯いたまま、頭を小さく横に振ってるのではないだろうか。
『徳ちゃん、清美さんはねぇ、やってるって、うん間違いないって。ご主人とやってなかったとしても、他にねぇ…ふふふ』
『あーそれってオナニー?』
『あらあら、徳ちゃんったら。でもオナニーは勿論、他にも凄い事をやってると思うわ。だって清美さんは、へ、ん、た、い』
『いゃ~ん、清タンって変態だったんだぁ。でも何だか嬉しいっ』
『ふふっ、徳ちゃんとどっちが変態か、試してみたいわね』
『由紀ちゃんだって変態でしょっ』
『そうよ。アタシはずっと前から変な遊びをしてるわ』
『うんうん、知ってる知ってる。私も恩恵を受けてるし』徳子さんが楽しそうに声を上げる。
『でもね清美さん、人様から後ろ指を刺される秘匿の行為って、考えただけで興奮するわよねぇぇ』
由紀子さんの言葉に、徳子さんの相づちの声が聞こえる。妻はどんな様子なのだ。妻の声だけがなかなか聴こえて来ない。
『ほらぁ、アタシ達って夫婦でやってるでしょ』
由紀子さんが、そう言った瞬間だった。妻の『ええっ!』と驚きの声が聞こえた。
『あら、そうなのよ。アタシ一人で遊んでるわけじゃないの。きちんとしたパートナーがいるのよね』
『そのパートナーって』妻の小さな声がする。
『多いのは家の主人だけど…他にも肌を合わせる人達はたくさんいるわ』
由紀子さんの語尾には、力強さがあった気がした。酔ってるからか、それとも秘密を曝して開き直ったか、相手に迫る勢いが伝わって来るのだ。
『あらやだ清美さん、あまり変な目で見ないでよ』
『そんな、変な目だなんて…』
『ふふっどう?昔の知り合いが、教師のクセして変態だったら。しかも旦那も教師なのよ』
『………』
沈黙が流れ、私も息を飲んで次の言葉を待っている。
『…でもねぇ、教師って凄いストレスが溜まるの。最初は良くないのは分かってたけど、周りの教師仲間におかしな性癖の人がいてね』
そこからは由紀子さんがその世界に入った経緯が話された。その間、妻の声は聴こえくなったが、どんな気持ちで由起子さんの話を聞いていたのだろうか。
『…と言うわけで今に至るわけ。因みに徳ちゃんとは、卒業後もちょくちょく会っててね、互いの愚痴を言い合ってたのよ』
『そうなんだ』やっと妻の声が聴こえてきた。
『そう、それである時、アタシがスワップの世界に居る事を喋っちゃったのね』
『そうそう、私も聞いた時はビックリしたわ』徳子さんの出番が来た。『でも私って、昔からエッチにはかなり興味があったからね』
今度は徳子さんの身の上、いや下半身の話が始まった。彼女は結婚して子供もいるが、子供が出来てからはご主人とセックスレスの日々が続いていたのだった。そして欲求不満が我慢出来なくなった徳子さんは、由紀子さんに誘われるまま秘密のパーティーに顔を出すようになったのだ。
『さぁ皆んな話したわよ。次は清美さんよ』由紀子さんの口調が、ますます馴れ馴れしく聴こえる。
『わ、私は、そうねぇ…』
妻の呟きに、ゴクリと私の喉が鳴った。
『しゅ、主人には何の不満もないわ』
その言葉に、私の口から、ホッと息が漏れた。
『それに私には…それほど…性欲?それも特には…』
『………』
再び沈黙が流れ、その中で私は、妻の言葉を頭の中で反芻した…妻に性欲は無いのか。それは本音なのか。それとも昔の友人を前に、まだ本当の気持ちを話せないでいるのか。
『ふぅ~ん、そうなんだぁ…でも、性欲がゼロって事はないでしょ』何処となく咎めるような由紀子さんの声がする。
『そ、それはまぁそうだけど…』
『そうよね、うん、そう思うわ。たぶんだけど、清美さんはトラウマがあって殻を被っているのかもね』
あッ、私の口から声が上がった。
トラウマ、確かにそれはあるかもしれない。
若い頃の変質的な経験が、精神に悪い影響がいかないように、妻は無意識にバリアを張って生きてきたのだろうか。
『でもさ、性的欲求があるなら、無理しない方がいいと思うわ』由紀子さんの言葉が、どことなく教師の口調に聴こえる。
『ねぇ清美さん、今度ちょっと付き合ってよ』
『え、何!?』
『ふふっ、そんなに構えないでよ、最初は見学だけだから』
『見学?それは何…』
『それはねぇ』徳子さんの声が割って入って来た。『私達が定期的に行く社交会があるの。名前の通り社会的信用のある人だけが参加できる集まりで、でも紹介者がいれば私みたいに参加が許されるの。だから清タンも大丈夫だから』
『そうね、清美さんは口が堅そうだし、それに真面目だし。あ、真面目っていうのは普通に社会生活を送れるって意味よ』
『ちょっと待って、私行くとは…』
『ふふっ、もうダメよ。アタシと徳ちゃんの秘密を聞いたんだから、自分だけ良い子でいるのは』
『それは…』
『そうね、じゃあ取り敢えず次の予定が決まったら連絡するからね』
『お願い待って。だから行くなんて一言も…』
『まぁ考えておいて。でもアタシ、清美さんは必ず来てくれると思うわ。ほら昔の貴女、あの噂が本当なら身体の中には淫猥な血が流れている筈よ。その血に逆らうなんて、出来っこないんだから』
由紀子さんの今の言葉には、粘着質な響きを感じた。まるで、蜘蛛が獲物を糸で絡み取るようなイメージだ。
『でも安心して、今夜の事だって誰にも喋らないからね。それに秘密を隠しておく事って、それだけで快感でしょ。貴女なら分かるわよね私の云いたい事。とにかく決まったら直ぐに連絡するからね。ああ、そうだ。その時はまた女子会って事で声を掛けるから、ご主人にもそう言って家を出てくるといいわ』
その瞬間、私は大きな声を上げていた。と言う事は妻の2回目の女子会、あれはまさかの怪しい集まりだったのか。
私は暫くの間、呆然としていた。
どのくらいの間そうしていたのか、気づいて時にはUSBの再生は終わり、個室内には静けさが漂っていたのだった。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
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赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
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何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
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甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
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そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
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男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
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「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
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「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
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「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
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私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
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私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
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男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
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男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
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「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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fallーー。
無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
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私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
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テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
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徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
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SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
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両親の前でしおらしくしていた彼女。
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そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
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そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
自分の部屋に戻った後は、暫く下半身を曝したままだった。ベッドに腰掛け股間のソレを弄ってみるが、大きくなる気配は全くない。長い間、セックスしなかった事が原因なのか。答えなど見つかる筈もなく、ショックで頭を抱えてしまう。
しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
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昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
どちらにせよ、元彼からの手紙の内容は、ほぼほぼ事実なのだ。過去の出来事とは言え、それが今に影響を及ぼしている。
妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
「俺はいつもの生で」
私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
暫くそのまま目の前の痴態を見てると、身体が熱くなってきた。この女を何とかしないといけないのではないのか。
その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
「…オマンコよぉ…オマンコいいのぉ」
昨夜と同じ4文字の淫語ではないか。
「あぁんッ犯してぇ、あなた、お願いっ」
切れ切れの鳴きの声に、私の身体は固まっていた。それにしても、今の『あなた』とは誰の事だ。
身体の熱がフツフツと高まっていく。こうなったら私が犯(や)るしかない。この女にブチ込んでやるのだ。
私はズボンを降ろして、股間を露にした。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
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私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
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「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
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それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
「ほらご主人、アタシのここ、ドキドキしてるでしょ」
由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
告うや否や、映像の由紀子さんはベッドに上がり、四つん這いになって男達に臀を突き出した。
私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
「そ、そうなんですね…」
「ええ、でもこの日の彼女は見学と撮影だけ。それ以外の事…服を脱いで裸を見せたりはしてませんから」
先ほどの羞恥の表情を何処へ隠したのか、由紀子さんは落ち着いた声に流し目まで送って来る。
「あの、男は…元彼はそれで何と…」
「元彼?ああ、あの人ね。うふふ、アタシが指示されたのは、清美さんに刺激を与えて下さいって事だけですから」
「………」
「まあアタシとしたら、いつかは清美さんにもこちら側の世界に来て欲しいと思ってますけどね」
由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
「ええッ!」
「アタシ達は変態セックスを愉しんでるスワッパー夫婦。そんなアタシ達の仲間に、ってね」
「いえ、私達は…」
「ふふっ大丈夫、分かってますって。無理強いはいけませんからね。でも、清美さんの方が先に飛んだらどうしますか」
「と、飛ぶって…」
「ふふ、清美さんの行く末を皆んなが楽しみにしてるんです。あの人と寄りを戻したら…な~んてね」
「き、清美に限ってそんな事は…」
「ふふふ、あるわけないですか?」
由紀子さんが間近な距離から見詰めてくる。
「ご主人は、これまでも清美さんを大切にして来たんでしょ?」
「………」
「たくさん抱いてあげたんでしょうが、彼女の本質をちゃんと理解してあげてたのかしら?」
「本質って…」
「持って生まれた性癖。それって幾つになっても変わらないらしいですよ」
「………」
由紀子さんの言葉が映像のヨガリ声と重なり、雨粒のように降り掛かって来る。
彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
「そうそう、そう言えばねぇ、泊まりでの女子会を検討中なんですよ」
「そ、それは聞いてます…」
「そこで清美さんを試してみては如何ですか」
「え、試すとは?」
「決まってるじゃない。清美さんがそこで飛ぶかどうかよ」
私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
これもあの男の仕掛けなのか。私は完全に翻弄されている。
「ご主人、そうあまり真剣な顔しないで下さい。アタシも問い詰め過ぎました。今云った事は時間があるから、考えておいてくれればいいですよ。それより、こっちの続きを楽しみましょうよ」
彼女の言葉にパソコン画面を向き直れば、由紀子さんが臀を向けてご主人に跨がっている。二つの生殖器が、片方は侵入を繰り返し、もう片方はソレを難なく飲み込んでいる。そしてその摩擦音が、響き伝わって来るのだった。
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テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。
『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
「今のは?」
「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
「あの人…」
「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
「それって、いいんですか」
私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。
映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
私は黙って頷いている。
「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
「ええッ!」
「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
「………」
「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
「大胆に、ですか」
「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
ゴクリ、私の喉が鳴る。
「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。
「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。
『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
「ウフフ、徳ちゃんったら凄いわ。結合の部分が丸見えよねぇ。おまけにお尻の穴まで」由紀子さんが私をチラリと見ながら、ニヤついている。
「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。
「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
「え、いや、それは…」
口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
と、映像が結合の部分から徳子さんの豊満な乳房を抜けて、彼女の表情に移動した。
『いやーーんッ止めて!』
顔のアップに気付いたか、徳子さんが悲鳴を上げる。
『いやんいやん、恥ずかしいッ、清タン、顔は映さないでぇぇ』
徳子さんの懇願にも、映像は彼女のアップのまま。この時の妻の心境も又、どんなものだったのだ。
「あらあら徳ちゃんったら、凄い声ねぇ。でもご主人、彼女はねぇ、イヤとか言いながらシッカリ興奮してるんですよぉ。なんせ見られて感じる変態なんだから」
私は驚きに息を詰まられながら、本当ですか、と訊きそうになっている。確かに徳子さんは、自分の逝き顔を見せ付けてるように観えなくもない。
その時、徳子さんの顔がズームアウトされた。同時に腰を振っていた男が、彼女の腿をバチパチと叩いた。
「次は犬の格好よ」
由紀子さんの言葉通りに、二人は繋がったまま器用に体位を変えていく。
「ふふふ、男女が身体を溶接させたまま一体となっての漂流感は、性の醍醐味なのよね」又も由紀子さんが、意味深な言葉を呟いた。私の中には、阿吽の呼吸という言葉が浮かんだ。正常位から犬の格好への移行が、スムーズに観えたのだ。
そして直ぐに、それまで以上の徳子さんの叫び声が上がった。
「どうですかご主人、あなた方夫婦のセックスと、動画の徳ちゃん達とどっちが激しいですか」
由紀子さんの落ち着いた声にも、私は黙り込むだけだった。妻とセックスをしていた頃を思い出そうとしても、その記憶には補正が掛かっているのか、映像の男女と比べると幼稚すぎるものに思えてしまう。
それとだ。由紀子さんは妻から私達夫婦の性事情まで聞き出したのだろうか。それを知って彼女は、今の質問を?
「あ、そろそろ徳ちゃんが逝くわ!」
その瞬間、由紀子さんの声と同時に、徳子さんが最後の雄叫びを上げたのだった。
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居酒屋の個室ーー。
馴染みとなったこの場所も、私はこれまでと違う空気を感じていた。
目の前の女性が、『真木由紀子』と名乗ったからだ。
それはここ最近、頭の中で頻繁に反芻される名前だった。妻の同窓生で、例の元彼の手先となった女性なのだ。あの手紙に書かれてある事が事実ならばだが。
由紀子さんが目の前の席に座り直した。私は緊張を覚えながらも、その素顔を窺う。
身体付きはイメージしていたよりかは若干ふっくらした感じだが、髪の毛が後ろで結わかれているせいか顔は面長に見える。目はパッチリ二重で、口元から覗く白い歯並びには清潔感を覚える。その雰囲気からも、才女と呼ばれていた理由が垣間見える気がした。
「あのぉ、そんなに見詰められたら、何だか恥ずかしいわ」
その声に私は、ハッと我に帰った。
「ええ、すいません。でも、どうしてここに?」私は緊張を残したまま訊ねてみる。
由紀子さんは私をチラリと見て、先に何か注文をしましょうとメニューを指し出して来た。
私がいつものビールを頼むと、由紀子さんも同じ物と摘みを何点かオーダーした。
ビールと摘みが届くと、由紀子さんがジョッキを持ち上げた。それに合わせて、私は持ったジョッキを黙ったまま目の前で上げた。
彼女は美味そうにゴクゴクと喉を潤すが、私はチビリと口を付けるだけ。そんな私は、訊いておくべき事を口にした。
「あの、貴女の名前は清美から聞いて知ってましたが、コレは一体どういう事でしょうか?」
「うふ、先だって清美さんに次の女子会の件で、連絡した事がありましてね。ご主人に了解は取れそうかと訊ねたのですが、その時に話の流れでこのお店の事を聞かされたんです」
「それだけの事で、この店に?」
「いえ、雰囲気も凄く良いからって清美さんが勧めるもんだから、アタシも好奇心で。それでもし、ご主人が居ればと思って店員さんに声を掛けてみたんですよ」
「本当ですか」私は訝しながら訊いた。
「本当ですわ。そして私は、とてもラッキーでした」
「ラッキー?」
「ええ実はね、今夜アタシが、この店で清美さんのご主人に会えるかもしれないって、ある人に話したんですよ。そうしたらね、ふふふ、その人がアタシに頼み事をしたんです」
「頼み事?」
「ふふっ、コレですわ」
意味深な笑みを浮かべて、由紀子さんが鞄から何かを取り出した。私はソレを見た瞬間、息が止まりそうになってしまった。
彼女が手にしていたのは、USBメモリだったのだ。しかも、前回男から送られ来た物と同じやつではないか。
「それと手紙は届いていませんか」
「ええッ!」驚きに持っていたジョッキを落としそうになってしまう。
目の前に座る由紀子さんが、手紙の話を出すと言う事、そしてUSBを持っていたと言う事は、あの男と繋がってる証拠ではないか。
「それで手紙は?」由紀子さんが、私の様子を窺ってくる。彼女は、これまでの手紙の内容も知っているのだろうか。
「持ってるんですね?」彼女が私の目を覗き込んできた。
私はコクリと頷くと、横に置いてあった鞄に手をやった。手紙と一緒に、ノートパソコンまで無意識に取り出している。
「うふふ」由紀子さんが私の様子を見てか、怪しげな嗤いを立てた。
封を開けてみれば、中身は便箋が1枚だけだった。私は彼女の視線を気にしながら読み始める事にした。
【こんにちは。
今回もUSBを同封しようと思っていたのですが、由紀子さんから連絡があって、ひょっとしたら清美さんのご主人と会えるかもしれないと申すもので、私も遊び心に乗って、彼女に持って行ってもらう事にしました。
万が一、彼女と会えなければ、直ぐに送るようにしますのでね。
では、無事に女子会の映像が視れますように。】
たった1枚の便箋に書かれた短い文章だったが、私はそれを読んで唸り声を上げた。男の遊び心は見事に成功したわけだ。それと、ここに書かれてある女子会とは、由紀子さん達のいう『社交界』と言う名の怪しい集まりの事なのだ。
これで由紀子さんが妻の元彼と名乗る男と、完全に繋がっている事が分かった。手紙の中にも『Y子』ではなく『由紀子』と書かれているのだ。
「何て書いてあるんですか」由紀子さんが私の手元を覗き込むように、少し身を乗り出した。
「当ててみましょうか。コレの中身は社交…いえ、女子会の映像なんでしょ」由紀子さんがUSBメモリをかざしている。私は、知ってたんでしょ、と小声で呟いた。
「じゃあ、せっかくだから一緒に視ましょうよ」
「ええッ、一緒にですか!」
「そうですよ、だってアタシも映ってるんですから」
「あッ!」
「何をそんなに驚いてるんですか。相良さんだって、パソコンを用意してるじゃないですか」
「え!?」
そうだった。私は無意識のうちに、手紙と一緒にノートパソコンまで出していたのだ。
「さぁ、アタシは覚悟が出来てるんですよ」
由紀子さんは『覚悟』と口にしたが、その声は、どことなく嬉しそうだ。声に私を挑発する響きを感じる。
気づけば彼女は立ち上がって、私の隣にやって来るではないか。そして座ると、USBをセットした。
「さぁ早く、再生して下さぁい」由紀子さんが私の耳元で、少し呂律の怪しくなった口調で囁いた。
この映像には、妻も映ってるかもしれない。そう思うと体温が上がってくる。それでも私の指は、何かに操られるように再生をクリックした。
「それと最初に言っときますけど、これって2次会の時のものですからね」
「え、2次会と言うと…」
「1次会はこのお店みたいな居酒屋だったの。その後、場所を移動したんですよ。少し遠かったけどタクシーでね」
由紀子さんの酒臭い息が、私の横顔に掛かる。彼女にとっても酔わなければやってられない…いや視てられない映像なのだろう。
「あのぉ、2次会のメンバーっていうのは…」
「ああ、その日のメンツね。えっとね、アタシと清美さんに徳ちゃん。あ、徳ちゃんって言うのは」
「大田徳子さんですよね」私は断って、そして続ける。「その3人だけですか、他には…」
「ああ、珠美さんの事ね。珠美さんはこの日も1次会で帰っちゃったのよね。彼女、子供がまだ中学生で難しい時期みたいでぇ」
いや、そうじゃなくて…。私は、妻の元彼の存在が気になっているのだ。
「あの、男子は…」
そこで彼女は、私の知りたい事を察したようだった。
「そっか、うんうん、あの人の事ね」
由紀子さんが呟いた瞬間、同時にパソコンの中から女性の絶叫が聞こえたのだった。
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次の日、私が目を覚ましたのは、朝の10時を過ぎた頃だった。
起き上がって欠伸を一つすれば、頭の中に夕べ視たSMチックな寝取られ動画の映像を思い出した。
2本の動画はいずれも中年の人妻が主人公で、夫の前で男に翻弄されていくものだった。私は人妻を妻の清美に、夫役を自分に投影していた。
動画の残像に苦笑いを浮かべて立ち上がろうして、枕元のスマホの点滅に気がついた。
見ればLINEの知らせだ。
『声を掛けても全然起きないのでLINEにします。今日はこれから買物に行って来ます』
私が爆睡している間に、どうやら妻は出掛けたようだ。
寝不足気味のまま食事を採り終えた私は、もう一度夕べの動画を視てしまった。
妻が帰って来たのは、夕方近くだった。買物にしてはかなり長いものだったが、私は特段責める事もなかった。妻が元彼と密会していたとは思えないし、そんな証拠もない。あるのは私の妄想…と想いたい…。
「夕べも遅かったんですね」
妻が話し掛けて来たのは、彼女が夕飯の準備でキッチンに立った時だった。
「ああ、そうだった…LINEを入れるの忘れてたっけ?」私はソファーから顔だけを向けて答えている。
妻は私の質問に応えるでなく「またあの居酒屋ですか」と、訊いてくる。
「うん、そうそう、あそこで残業をね」
「そうですか、また行ってみますか」
その言葉に、私はキッチンに振り向いた。
「そ、そうだね」
このところ冷たく感じる妻からは、思いもよらぬ誘いだ。
それから私達は、お互いの予定を確認し合って、次の水曜日に先日と同じ店で待ち合わせる時間を決めたのだった。
週明け出社すると、急ぎの仕事が舞い込んできた。この分だと出張が入りそうな気配を感じてしまう。
そんな中、水曜日がやって来た。日中は仕事に追われ、妻との呑み会の事を考える余裕もなかった。頭の中には『元彼』に『由紀子』『徳子』の名前があるが、2回目の女子会の事を含めて、どのように話を持ち出せばよいか整理が追い付いていない。
それでもこの日、仕事を終わらせた私は、なるべく遅れないようにと先日の店に向かった。
今夜も店には、妻が先に来ていた。私は個室の扉を開けると、前回と同じように「遅くなってゴメン」と、頭を下げている。
店員にビールと摘まみの注文が終わると「最近また忙しくなったみたいですね」妻から話し掛けて来た。
「そうだな、そのうち出張があるかも」
私の返事に頷きながら、妻は「今週も夜はここで残業ですか」と、続けて訊いてきた。
私は苦笑いしながら頷くだけだ。
例の男からの手紙を読む為に通うようになったこの店。それ以来ここに来る理由を、妻には残務と説明していたのだが、はたして彼女が、ノマドワーカーのイメージと私を結び付けたかどうかは分からない。
そして私は、男からの次の手紙の事を考えている。前回の手紙には次の期日は書かれていなかったが、明後日の金曜日には届きそうな気がしているのだ。
「ねぇ、どうしたの、私の話聞いてます?」
ふと顔を上げると、妻が首を傾げている。
「いや大丈夫だよ。そうだな、ひょっとしたら週末もここにお世話になってるかも」と云って、私は笑ってみせるのだ。
それから暫くの時間、私達は黙々と摘みを口に運び、ビールを何杯かお代わりした。
「ところで貴方、最近ボォっとしてる事が多くないですか」
「え!」
「何か悩みとか、心配事でもあるの?」
妻の表情を観れば、頬を朱く、目には酔いの色を浮かべて私を窺っている。
「いや、別に…」私の口は勝手に動いていた。が、心の中では…あのな、気になっているのは、お前の事だよ、清美の過去の男と同窓会の事だろ、と呟き掛けている。
「それよりだよ、清美の方はどうなんだい。女子会の約束はないのかよ」
「ああ、3回目の女子会の事ですね。ええ、実は…」妻がジョッキを置いて、視線を真っ直ぐ向けてきた。
「今度は泊まりでやろうって話も出てるみたいなんです…」
妻のその言葉に、私の喉が鳴った。
「お、おい、それって初耳だよな…」
私のしどろもどろの声に、妻が肩を竦める。「ええ、実はそれの了解を頂こうと思ってまして、それで今夜…」
「了解って…まだ計画中なんだろ?」
「そ、そうです。だから、貴方の意見を…」
「意見って訊かれても…」
妻が何の予兆もなく、私を飲みに誘った理由が分かった気がした。
男も一緒に行くのか、私の頭はその事を追求しろと指示しているが、言葉が出て来ない。
すると妻が、言い訳するように話し始めたーー。
彼女の説明によると、つい先日、由紀子さんから企画に対する伺いがあって、家族から了解が取れるか探っておいて欲しいとの事のようだった。
妻の説明を聞いても、私はその申し出には、曖昧な返事に徹するだけだった。そして私の中には、モヤモヤだけが残ったのだった。
金曜日の昼間、7通目となる手紙が届いた。
しかしソレは、これまでと比べて厚みが1番薄いものだった。USBメモリが入ってる気配はどこにもない。
それでも私は、逸る気持ちを抑えて仕事をこなし、予約した時間に遅くれないようにと、いつもの居酒屋に向かう事にした。
店に入ると、馴染みになった若い店員が声を掛けて来た。
「相良さん、お連れ様がお待ちですよ」
笑みを浮かべる彼の顔を見ながら、私は一瞬キョトンとした。『お連れ様』とは誰の事だ。
しかし、考える間もなく閃きが来た。
妻の清美が来ているのだ!私は疑う事なく個室へと足を運んだ。
個室の扉を開けた瞬間、足が止まった。見知らぬ女性が一人で居るのだ。その女性が、私を見上げる。
「相良さんですよね、清美さんのご主人の」
私は、立ち上がったその女性を、呆然と見詰める。
「私、真木由起子と申します」
その名前を聞いた瞬間、私はハッキリと驚きの声を上げたのだった。
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USBメモリを鞄に仕舞って、会計を済ませた私は店を後にした。
今夜は酔いを覚ます、と言ってもそれほど酔ってはいなかったが、少し遠回りをして家に帰る事にした。
夜道を行けば更に頭がスッキリして来た。その頭の中に二つの影を思い浮かべる。妻の清美の顔と、まだ会った事のない元彼の男だ。
元彼が言う高校時代の真実、結局その真意は分からない。USBメモリの中には、妻の告白が無かったからだ。
今回のUSBから分かった事と言えば、由起子さんと徳子さんの秘密の性癖と『社交会』の存在が明らかになった事だ。
そして最後に、由起子さんはその社交会を2回目の女子会という事にして妻を誘っていたのだ。
そして妻は、その『女子会』に参加している。いや、由起子さんは『見学』と表現していたが、その真意を妻に問い詰める勇気は、今のところ私にはない。その時の様子は、次のUSBメモリでも来ない限り分からないのだ。
そう言えば、今回の手紙にも次の手紙の期日が書かれていなかった。レコーダーからUSBへのコピーの作業が終われば、送られて来ると思うのだが。
家に着けば今夜も妻は寝入っていた。ここ最近の彼女の冷たい態度は、こう言うところにも現れていると思ってしまう。
私は静かにシャワーを済ませて、寝る支度に入った。
疲れた身体は直ぐに眠りを求めると思ったが、睡魔は中々やって来てはくれなかった。
私はベッドを抜け出し、ノートパソコンを取り出した。あの会話をもう一度聴きたくなったのだ。
USBメモリをセットして、最初から再生する。
妻の喋りの部分には特に注意をはらったが、私の記憶に間違いはなかったようだ。妻が自ら過去に付いて語る場面はなかったし、最近の心境に触れるところもなかったのだ。
ただし、この録音は1回目の女子会だけのものなのだ。
それにしても、妻の友人達の生態の方に驚きを覚えてしまう。
真木由紀子さんも大田徳子さんも、れっきとした人妻であり主婦でもある。そんな二人が、怪しい秘め事をしている。由紀子さんは夫公認で、徳子さんは完全な浮気だ。彼女達の告白を聞いた妻は、その時どう思ったのだろうか。妻自身は性欲に関して『それほど』と曖昧な言い方をしていた。しかし『ゼロでもない』と、微妙に認めた感じだ。
そして妻は、本当に2回目の女子会=社交会で、友人達の姿を見学したのか。由紀子さん達は、どんな姿を見せたのだ?社交会の中身が、凄く気になってしまう。それはやはり、アダルトビデオのような世界なのだろうか。
私は会話の再生を止めて、あるワードを検索にかける事にした。
『スワッピング 乱交』キーを叩くと、画面にエロ動画サイトの一覧が並んだ。
中から私は、熟女ものの動画サイトを選択してクリックした。
目に飛び込んで来たのは、幾つものそれらしい画像画面と、スケベ心を煽るサムネの数々だった。
私はプレビューを流し読みしてから、その中の一つ、中年夫婦のスワップらしきものを視てみる事にした。
その動画は素人の投稿物ではなくて、プロの業者のビデオ映像で60分以上のドラマ仕立てのもだった。
そしてそれは、偶然なのか社交会…いや秘密のパーティーに迷い込んだ中年夫婦の話だった。
ビデオの主人公は役所勤めの人妻。女は夫の上司に騙され、夫婦揃って怪しげな集まりに参加する事になる。
夫婦は目の前で披露される同年代の人妻の痴態に激しいショックを受ける。そんな夫婦の横に夫の上司が座って、性の手解きをする物語だった。
ドラマの中、上司の男は慣れた口調で、夫婦に奥深い暗示を投げ掛けたーー。
『奥さん、恥ずかしがらずに目の前の女を見てごらんよ。この人も貴女と同じ人妻なんだ。年齢だって貴女に近い』
場面はホテルのスウィートルームで、ベッドの回りを数組のカップルが取り囲んでいる。
ベッドの上には素顔の中年女性と若い男。二人は生まれたままの姿で、絡みを披露している。
『ほらね、優れた女の身体ってのは男に合わせられるものなんだ。男が鋳型であるなら、女は液体ってな。どんな形にも納まるのが良い女ってわけだが、じゃあ男の鋳型に合わせられない女はつまらないのかと言うと、そうも言い切れない。開発前の女もいるからね。大事なのは女の意思。男を前に人形になるんじゃなくて、自発的な意志を持つ事なんだよ。
この奥さんも最初は自分の道具を貸すだけだったが、ようやく分かってきたようだ』
夫の上司の声を耳元で受け止め、人妻は静かに前を向いたまま。この女性も耳を性感帯に、男の声を受け入れてるように観える。
『男ってのは自分の欲望本位に行動する事が多いが、この彼は若いけど経験が豊富なんだ。場数を踏んでるから解約精神が発達していて、相手が肉体の賃借関係として割り切って行為に臨めるんだよ。奥さん、分かるかな?』
男の言葉の意味が分かったのかどうかは分からないが、主人公の人妻は微動だにしない。
『おや、女の方に我慢が利かなくなってきたかな。この二人は何度か身体を合わせて厭らしい表現に阿吽の呼吸が生まれるようになったが、女の方はまだまだだな。どうやら今夜の勝負は、男のものだ。
さて、時間はと…』
男の視線の先が画面に広がり、ベッドの上では女の動きが激しく、絶頂を迎えたところだった。
ビデオの中、女が最後の雄叫びを上げたシーンを視て、私は大きく息をついた。自分でも思った以上に、映像にのめり込んでしまっていた。
頭の中には、獣そのものになって、折り重なり、呻き、のたうち回っていた浅ましい女の残像がある。
男女の絡みのシーンも印象にあったが、ストーリー性にも胸を抉られる想いがあった。
ベッドにいた女は若い男に手駒にされ、客相手に痴態を曝す女に成り下がったのだ。そしてその様子を見ていた人妻は暗示に掛けられ、やがては同じような女へと変貌を遂げるのだろう。
しかもこの人妻の横には、夫が座っていたのだ。夫はベッドの女と、隣の妻の先行きを重ねていたのだろうか。
と、私はビデオの上司の男が、妻清美の元彼とダブって観えた。
動画はまだ半分も過ぎてなかったが、私は一旦止めた。そして水を一杯飲みに行く事にした。
キッチンで水を飲んだ私は、自分の部屋に戻る前に妻の寝室を覗いた。
妻は鼾も掻かず、静かに寝入っている。その寝顔からは、罪の有無を感じない。
しかし女と言う生き物は、裏の顔を隠し持っているものなのだろうか。
真木由紀子さんに大田徳子さん、私は彼女達の赤裸々な告白をUSBで聞いている。いや、彼女達からすれば、あれは告白といった大袈裟なものではなくて、面白い遊びを見つけた少女の自慢話なのかもしれない。
そんな考えを頭の隅に霞ませながら、私は自分の部屋に戻る事にした。
時計を見れば、深夜の1時を過ぎたところだ。それでも何故か眠気を感じなくなっている。
私は別の動画サイトも見てみる事にした。
次に視る気になったのは、SM物だった。サムネのプレビューを読むと、妻が夫の前で調教を受ける話だ。そしてコレも、ドラマ仕立ての物のようだ。
画面にいきなり広がったのは、テーブルに大の字に縛られた女性の姿だった。そしておっ開げられた股間の前には、男の生尻だ。
『さぁご主人、これからこの美しい婦人の体内に私の夥しい体液を吐き出させて頂きますよ』
ビデオの男は言うなり、婦人と呼んた女性の股間に反り勃った肉の棒を突き刺した。
映像のアングルは男の後ろ姿を捉え、筋肉質な生尻が規則正しい動きを続ける。バンザイの格好でテーブルの脚に両腕を結ばれた婦人の姿は、私の目には虫ピンで止められた蝶のように観えた。
婦人の口からは『嫌よ嫌よ』と、抗いの声が上がる。しかしやがて『やっぱりいいわ!』感泣の声に変わった。
『そうですよ奥様、飢えた人間にテーブルマナーは不要ですよ。さぁ遠慮なさらずに』男が腰を振りながら、婦人を追い込んで行く。
男の言葉に、むっちりと実った婦人の美しい御足が、男の腰を挟んで跳ね上がった。婦人のその様は、完全に己の保身反応を麻痺させている。
『ヒィーヒィーっ』ビデオの声が、妻の声に重なって聴こえるようだ。男に串刺しされて蠢く婦人の姿も、妻に重なって行く。
両腕をロープで、腰を男に制圧された不自由な状態で、のたうち回る婦人は、麻薬の禁断症状から逃げ惑おうとしてるようだ。
『もっともっと抉って下さいッ!』
『あらあら奥様、なんて品格のない言い方を』ビデオの男がニヤリと嗤う。
『うううッ、だって…』
『はいはい、分かりましたよ。私の物がもっと欲しいのですね』
『そう、そうなのっ、だからもっと激しく突いて下さいッ!』婦人は必死に追いかけている。本当にあと一歩のところなのだ。しかし男が、お預けを喰らわせて女体を支配している。
私はそれが造り物のビデオである事を忘れて、ノンフィクションの出来事に覚えてしまっていた。
「清美…」私の口から無意識に妻の名前が出た。妻もビデオの婦人のように、元彼の残酷で不完全燃焼な責めに、我を忘れた事があったのだろうか。私はもう一度「清美」と呟くと、拳を握りしめた。
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妻の元彼からの6通目の手紙を封筒に戻すと、私は鞄からノートパソコンを取り出し、立ち上げた。
USBを差し込み、イヤホンを耳にセットする。個室にいても、音漏れには注意したい。まして何が飛び出して来るか分からないのだから。
起動が始まって暫くすると、聞こえて来たのは女性の笑い声だった。
この時の2次会の場所も、由紀子さんが幹事を務めたのなら、外部からの干渉に気をつけて個室を用意したに違いない。そしてこの部屋にいるのは、妻の清美と由紀子さんに徳子さんだ。
彼女達の話し声が大きくなってきた。妻の声は直ぐに気づき、他の声も名前と一致させる事が出来た。
ひときわ大きな声で喋ってるのが、徳子さんだろう。由紀子さんの声は、酒のせいか砕けた感じに聴こえる。
『それでさ、ちょっと清タン聞いてよ。由紀ちゃんって凄いんだから。ねぇぇ。』
徳子さんが話題を変えてきた。
『ふふふ、アッチの話?そうねぇアタシは結構お盛ん、かな』
徳子さんの声に応えるようにか、由紀子さんの声も大きくなっている。
『ところで清美さんさぁ、実はずっと黙ってたんだけど高校の時さ、貴女に変な噂が立った事あったの、知ってた?』
由紀子さんの声に続き『え!』妻の驚きの声が聴こえた。
『清楚で男子に人気者だった田中清美は、実は変態セックスしてるっていう噂よ』
由紀子さんの詰問調の声に、こっちの息が止まりそうになった。
そして暫く無言が続き、やがて再び由紀子さんの声が聴こえた。
『うふふ、その表情、黙ってるところを見ると噂は本当だったのかな?』
『な、何の事だか…』
『えへっ、別にいいじゃない昔の事だしさ。それにさっきも告ったけど、アタシもこう見えて、実は遊んでるのよね』
由紀子さんの呂律が怪しくなってる気がする。さすがに酔わなければ話せない内容だ。
『実はね、同窓会で清美さんを久し振りに見た時に、今云った昔の噂を思い出したのよね。でも、そんな話題をその場でなんて出せないでしょ。だからねぇぇ』
由紀子さんが語る流れに、男の手紙に書かれていたある場面を思い出した。
確か2次会の席で、元彼がテーブルの下で妻の手を握ったところを、由紀子さんが見たのではなかったか。
『それでねぇ、1度気になりだしたら、ずっと気になっちゃってさ…ふふふ、それでここに来る前、つい徳(のり)ちゃんに話しちゃったのよね』
由紀子さんの語尾は、徳子さんに向けたものだった。
『そうそう、それで私も本当!?って驚いたのよね』徳子さんの声が、1オクターブ上がっている。
『私もさ、卒業してから色々あったし、人って変わるからさ、大概の事は驚かないんだけど、清タンが変態チックな遊びをしてるなんて』
『徳ちゃんちょっと違うわよ。清美さんがエッチな事をしてたのは、昔の話で今は知らないわよ』
『あ、そっか。でもさ、今はどうなの…ねぇ清タン、今はどんな感じ?欲求不満とかないの?』
会った事のない徳子さんだが、その姿が目に浮かぶようだった。ポッチャリの身体を乗り出し、好奇心に目を見開く姿だ。妻の方は俯いたまま、頭を小さく横に振ってるのではないだろうか。
『徳ちゃん、清美さんはねぇ、やってるって、うん間違いないって。ご主人とやってなかったとしても、他にねぇ…ふふふ』
『あーそれってオナニー?』
『あらあら、徳ちゃんったら。でもオナニーは勿論、他にも凄い事をやってると思うわ。だって清美さんは、へ、ん、た、い』
『いゃ~ん、清タンって変態だったんだぁ。でも何だか嬉しいっ』
『ふふっ、徳ちゃんとどっちが変態か、試してみたいわね』
『由紀ちゃんだって変態でしょっ』
『そうよ。アタシはずっと前から変な遊びをしてるわ』
『うんうん、知ってる知ってる。私も恩恵を受けてるし』徳子さんが楽しそうに声を上げる。
『でもね清美さん、人様から後ろ指を刺される秘匿の行為って、考えただけで興奮するわよねぇぇ』
由紀子さんの言葉に、徳子さんの相づちの声が聞こえる。妻はどんな様子なのだ。妻の声だけがなかなか聴こえて来ない。
『ほらぁ、アタシ達って夫婦でやってるでしょ』
由紀子さんが、そう言った瞬間だった。妻の『ええっ!』と驚きの声が聞こえた。
『あら、そうなのよ。アタシ一人で遊んでるわけじゃないの。きちんとしたパートナーがいるのよね』
『そのパートナーって』妻の小さな声がする。
『多いのは家の主人だけど…他にも肌を合わせる人達はたくさんいるわ』
由紀子さんの語尾には、力強さがあった気がした。酔ってるからか、それとも秘密を曝して開き直ったか、相手に迫る勢いが伝わって来るのだ。
『あらやだ清美さん、あまり変な目で見ないでよ』
『そんな、変な目だなんて…』
『ふふっどう?昔の知り合いが、教師のクセして変態だったら。しかも旦那も教師なのよ』
『………』
沈黙が流れ、私も息を飲んで次の言葉を待っている。
『…でもねぇ、教師って凄いストレスが溜まるの。最初は良くないのは分かってたけど、周りの教師仲間におかしな性癖の人がいてね』
そこからは由紀子さんがその世界に入った経緯が話された。その間、妻の声は聴こえくなったが、どんな気持ちで由起子さんの話を聞いていたのだろうか。
『…と言うわけで今に至るわけ。因みに徳ちゃんとは、卒業後もちょくちょく会っててね、互いの愚痴を言い合ってたのよ』
『そうなんだ』やっと妻の声が聴こえてきた。
『そう、それである時、アタシがスワップの世界に居る事を喋っちゃったのね』
『そうそう、私も聞いた時はビックリしたわ』徳子さんの出番が来た。『でも私って、昔からエッチにはかなり興味があったからね』
今度は徳子さんの身の上、いや下半身の話が始まった。彼女は結婚して子供もいるが、子供が出来てからはご主人とセックスレスの日々が続いていたのだった。そして欲求不満が我慢出来なくなった徳子さんは、由紀子さんに誘われるまま秘密のパーティーに顔を出すようになったのだ。
『さぁ皆んな話したわよ。次は清美さんよ』由紀子さんの口調が、ますます馴れ馴れしく聴こえる。
『わ、私は、そうねぇ…』
妻の呟きに、ゴクリと私の喉が鳴った。
『しゅ、主人には何の不満もないわ』
その言葉に、私の口から、ホッと息が漏れた。
『それに私には…それほど…性欲?それも特には…』
『………』
再び沈黙が流れ、その中で私は、妻の言葉を頭の中で反芻した…妻に性欲は無いのか。それは本音なのか。それとも昔の友人を前に、まだ本当の気持ちを話せないでいるのか。
『ふぅ~ん、そうなんだぁ…でも、性欲がゼロって事はないでしょ』何処となく咎めるような由紀子さんの声がする。
『そ、それはまぁそうだけど…』
『そうよね、うん、そう思うわ。たぶんだけど、清美さんはトラウマがあって殻を被っているのかもね』
あッ、私の口から声が上がった。
トラウマ、確かにそれはあるかもしれない。
若い頃の変質的な経験が、精神に悪い影響がいかないように、妻は無意識にバリアを張って生きてきたのだろうか。
『でもさ、性的欲求があるなら、無理しない方がいいと思うわ』由紀子さんの言葉が、どことなく教師の口調に聴こえる。
『ねぇ清美さん、今度ちょっと付き合ってよ』
『え、何!?』
『ふふっ、そんなに構えないでよ、最初は見学だけだから』
『見学?それは何…』
『それはねぇ』徳子さんの声が割って入って来た。『私達が定期的に行く社交会があるの。名前の通り社会的信用のある人だけが参加できる集まりで、でも紹介者がいれば私みたいに参加が許されるの。だから清タンも大丈夫だから』
『そうね、清美さんは口が堅そうだし、それに真面目だし。あ、真面目っていうのは普通に社会生活を送れるって意味よ』
『ちょっと待って、私行くとは…』
『ふふっ、もうダメよ。アタシと徳ちゃんの秘密を聞いたんだから、自分だけ良い子でいるのは』
『それは…』
『そうね、じゃあ取り敢えず次の予定が決まったら連絡するからね』
『お願い待って。だから行くなんて一言も…』
『まぁ考えておいて。でもアタシ、清美さんは必ず来てくれると思うわ。ほら昔の貴女、あの噂が本当なら身体の中には淫猥な血が流れている筈よ。その血に逆らうなんて、出来っこないんだから』
由紀子さんの今の言葉には、粘着質な響きを感じた。まるで、蜘蛛が獲物を糸で絡み取るようなイメージだ。
『でも安心して、今夜の事だって誰にも喋らないからね。それに秘密を隠しておく事って、それだけで快感でしょ。貴女なら分かるわよね私の云いたい事。とにかく決まったら直ぐに連絡するからね。ああ、そうだ。その時はまた女子会って事で声を掛けるから、ご主人にもそう言って家を出てくるといいわ』
その瞬間、私は大きな声を上げていた。と言う事は妻の2回目の女子会、あれはまさかの怪しい集まりだったのか。
私は暫くの間、呆然としていた。
どのくらいの間そうしていたのか、気づいて時にはUSBの再生は終わり、個室内には静けさが漂っていたのだった。
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妻の元彼からの5回目の手紙を読み終わり、私は大きな溜め息を吐き出した。
手紙の終わり方がどうも気になってしょうがない。これまでは必ず、最後に次の手紙が届く時期が書かれていたのに、今回の手紙にはそれがない。
男の動きが、現実の時間の流れに追い付いて来たのも原因だろうか。
私は頭の中で時系列を整理しようと思った。
同窓会が開催されたのは、もう2カ月以上前の事だ。そしてこの2カ月の間に、2回の女子会があった。
私はその間、妻の雰囲気に鈍色の匂いを感じて妄想を浮かべ、それに合わせて男からの手紙に取り込まれていった。そんな私を、男は離れた所からどう思っていたのだろうか。男は自分の欲望の為に由紀子さんを通じて、何かの仕掛けをした筈なのだ。ターゲットは妻の清美、それに私もか?
だが…妻が誰かに誑かされたり、脅されてる気配は感じない。娘の所に泊まりに行くのに家を留守にした事はあったが、特に怪しいところはなかった。
ただし、先日から妻の態度が硬く、どこか冷たいのだ。
結局、今夜も私はモヤモヤとした気持ちと共に帰宅するしかなかった。
この日の夜から、私は妻に何かしらの痕跡がないものかと、これまで以上に気にするようになった。今一度見たいのは、彼女のスマホにある同窓会と女子会の写真だが、スマホはさすがに見る事が出来ない。
だからと言って、根拠のないところで妻を問い詰める…清美は元彼の男と連絡を取ってるだろ…等と訊く事など出来るわけがない。
しかしだ。
ひょっとしてこれは過ぎた妄想ではないのか。5通の手紙に書かれた内容も、大半が男の妄想話ではないのか。私はとんだ見当違いをして、知らずのうちに、己が築き上げた袋小路に迷い込んでいるだけなのではないのかと、時おり自分を問い質す声が何処からともなく聞こえて来る。
だが、少し前に部下との会話で耳にした『寝取られ』と言う言葉。
自分の妻を他人に差し出し浮気を勧める夫。そして妻と他人の交わりを想像したり、実際に覗いて性的興奮を得て喜ぶ夫。
私自身にこういった性癖があるとは、一度だって思った事がない。それでも冷静に振り返ってみると、元彼の手紙に何度も興奮した覚えがあるのだ。
同窓会の真実を訊いてみようかと言う考えは常にある。だが、手元にある5通の手紙を妻に見せて、色々と問い質す事が出来るのかと、自分自身に問い掛ければ答えはNoだ。中身があまりにも異常すぎるし、それにもし本当の話だとしたら、妻が傷つく恐れがあるからだ。
結局のところ、同じ自問自答が何日にも渡って繰り返されるだけだった。
男から次の手紙が来たのは、前回のものが来てから1週間後の金曜日だった。
職場で見慣れた茶封筒を手にした時は、これまでとの違いを感じた。厚みが今までのものとは違うし、上から触った手触りも違うのだ。中に何かが入っている。
早速その日の夜に、いつもの居酒屋に行った。顔馴染みの若い店員が、ニヤニヤ笑って迎えてくれた。彼の顔には、先日の女性は誰ですかと書いてある。私は構わずに、ビールと摘まみを頼むと手紙を取り出し、封を開けた。
厚みを感じていたのはUSBメモリだった。私はソレを持って暫し考え込んだが、直ぐに手紙に目をやった。
【こんちには。
ご主人は今回の手紙が、いつ来るかいつ来るかと気を揉んでいたのではないですか。】
いきなりのその文章に、男の薄ら笑いが透けて見えた気がして舌打した。
【実は同封したUSBメモリ、これにレコーダーで録ったものを移しかえる作業に手間取ってましてね。時間が読めなかったので、前回の手紙には期日が書けなかったのです。ダメですねアナログ人間は。
でも何とか編集が終わり、無事にコピーする事が出来ました。】
私はふうっと、安堵の溜め息を吐き出した。この男に人間らしい一面を見た気がする。
【このUSBには何が録音されているかと言うと…いや、その前に前回のおさらいをしましょうか。
同窓会の3次会の後に、Y子とバーに行った所からです。あの店で私とY子は、互いが持ってる性癖を曝しあいました。お互いに弱みを見せ合ったという言い方も出来ますが、それでも力関係は私の方が上なのは、Y子も気づいていた筈です。
失うものがどちらが大きいかと言えば、向こうは現役の教師でおまけに夫婦揃ってですから、私のしがない身分と比べれば一目瞭然です。彼女達の変態遊戯の証拠などありませんが、SNSで吹聴すれば一発です。その現実に気付いた事もあったでしょうし、なので彼女は、私の指示に従う事になるのです。】
今度は唸り声が上がった。この男の老獪さに舌を巻きそうになってしまう。
【ではご主人。
これはY子にも話した事ですが、私の元に同窓会の案内状が届いた時の事もお話しさせて頂きます。
あの案内状を読んだ時、私の中に何十年も前の清美さんと過ごした出来事が蘇って来たのです。私はあの頃の後ろめたい快楽の渦に巻き込まれた日々を思い出して、清美さんの中にも昔と変わらない性癖や資質が今も生きてるのか、確かめてみたくなったのです。
そして彼女が、その性癖を今に活かせてないら、私が手助けをしたいと考えるようになったのです。】
そこまで読んだ瞬間、私は胸が苦しくなってしまった。そして今の箇所を読み直した。
妻の清美が『性癖』を今に活かせてないとは、どう解釈すればいいのだ。私は暫し考えを巡らせた。するとジワジワと男の云いたい事が分かった気がした。
それはーー清美が思春期に体験したマゾヒズムな奴隷生活。その時の変態セックスが染み付いていたなら、妻はその後の性生活に満足がいく事なく、何十年も自分を欺いていた事になる…元彼の男は、そんな妻の心と身体を開放しようと云いたいのか。
【同窓会で実際に清美さんと接して、私は彼女からある気配を感じました。そしてその気配の正体を確かめる為に、計画を立てる事にしたのです。
偶然にもY子という秘匿な性癖の持主を見つけた事も、後押しになりました。そして彼女を、協力者に仕立てたのです。
私は例のバーで、Y子に女子会の開催を指示しました。そしてそこで『貴女は自分自身の性癖を清美にカミングアウトして、彼女に刺激を与えろ』と云いました。それを聞いたY子は躊躇した素振りをみせましたが、既に私の傀儡です。
『教師のスキャンダルはネット民の格好のネタだよね。拡散されて、貴女達夫婦の変態行為がバレたら大変でしょ。だから頼んだよ』と、脅しも念を押しておきました。
そして私は、1週間後にもう一度会う事を彼女に約束させたのです。】
男の言葉、いや文章からはこの男の陰湿さが嫌と言うほど漂って来る。しかし、由紀子さんも変態気質の持主なら、逆に喜んで男の計画に協力したのではないだろうか。
私は、会った事のない由紀子さんの事を考えながら、次の文章に目をやった。
【1週間後、Y子を呼び出したのは、とあるシティホテルの喫茶室でした。その時の彼女によれば、1回目の女子会の準備は既に進んでいると言うので、仕事の速さに感心したものです。そしてもう一つ、驚いた事がありました。Y子はその場に、ご主人を連れて来てたのです。
私の前に座ったご主人は終始オドオドしていましてね、夫婦の秘密を拡散されないかと、そればかり気にしてる様子でした。
私は、Y子さんがこのまま協力を拒まないなら、貴方達の事は誰にも話さないし、SNSで拡散する事はないと改めて約束しました。と言っても、その時の喫茶室の会話はICレコーダーにこっそり録音してたのですがね。】
ICレコーダーは名前こそ耳にするが、実際に手にした事はなかった。私はスマホで『ICレコーダー』と検索した。
画像を見て説明を読めば、なるほどと思えてくる。想像していた以上に盗み録りに適した物のようで、しかも見た目がソレと分からない物がたくさんある。
【さて、土曜の夜でしたが、そこの喫茶室は空いてまして、思った以上に秘密の打合せを続ける事が出来ましたよ。
会話が進むにつれて、目の前の夫婦、特に旦那の方はマゾだと確信しました。彼等がやってる夫婦交換やパーティーでも、この二人の役割がよく分かるようでした。
それでも話を進めて行くと、彼等の目にはサディスト特有の色も観えて来ましたよ。それも不思議ではありません。最近はSとMが同居してる人が結構いますからね。それと、ひょっとしてY子は清美さんに対して嫉妬心を持っていたのかもしれませんね。
遠い昔の高校時代、才女で美人のY子は、人当たりが良くて明るく人気者の清美に嫉妬、これはあり得る事です。Y子がS性に目覚めた原因も、この辺りにあった可能性がありますね。】
私はまたまた唸り声を上げた。まるでこの男が、直ぐ近くにいて、影から歪な嗤いを聞かせようとしてるように思えるのだ。
【私はY子に、先日の話を確認の意味でもう一度しました。女子会では清美を酔わせて、性癖の話を持ち出せと。まずは貴女の方から、自分達夫婦がスワッピングをしてる事を告白しろと。
話しの仕方は任せるが、清美の内面は貴女と同じで変態気質で出来ているから、安心して自分を曝け出せと。
清美が黙っていたとしても、彼女はシッカリ話を聞いている。彼女の耳は性感帯で、貴女の言葉が卑猥なら卑猥なほど、清美の身体はそれを受け入れているからと。
そしてそのうち、清美の方からも愚痴や願望を口にしてくる。貴女はそれに同調してあげれば、後は自然な流れで性癖の暴露に繋がるからと。
話をしながら私は、Y子の中から淫靡な香りが沸き立つのが分かりましたよ。彼女は想像を膨らませて、あの場でアソコを濡らしていた事でしょうね。
それから彼女にICレコーダーを渡しました。二つあるうちの一つです。
Y子はソレを手に取ってしげしげと見てましたね。
最近は卑猥な遊びを動画に撮るのは、珍しい事ではありません。Y子達も経験があるでしょう。しかし私が求めるのは、言わゆる隠し撮りです。なのでY子には、その点に気をつけるように念を押しました。
そこで、お手元にあるUSBメモリです。】
私は、テーブルの上に置いてあったUSBメモリに目をやった。この中に女子会の時の会話が録音されているのだ。
【録音は長時間に及ぶものでした。声は意外なほど鮮明に録れてました。しかしまぁ、最初から卑猥な話題になる筈がありません。乾杯から2時間ほどは、在り来りな話です。ただの呑み会です。そこに集まった4人、清美さん、Y子、N子、そしてTさん。乗りは熟女の井戸端会議で、互いの近況報告から、高校時代に誰と誰が付き合ってた、好きだった等などです。
私は録音された会話を根気よく聞いて、要点よく編集しました。実際にそれらしい会話が聴けたのは、全てこの日の2次会のものでした。
Y子にとって運が良かったのは、Tさんが1次会の途中で帰られた事でした。2次会のメンバーは清美さんとY子に、Y子に世話になってるN子ですから。
そう言えば書き忘れてましたが、N子は少し前からY子の遊びに引き込まれていたようですよ。その経緯までは詳しく訊ねませんでしたが、私は同窓会の3次会の席で、N子の言葉にも怪しさを感じていました。その事をY子に問い詰めてみたら、案の定ビンゴでしたね。】
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それとTさん、『安田珠美』さんの事だ。
妻の話を思い返せば、珠美さんはお子さんの事があって、確かに早めに帰った筈だ。
【ではご主人、今回の手紙はここまでです。後は同封したUSBを聞いてみて下さい。
因みに中身は、1回目の女子会のものだけです。2回目のものは編集の作業中ですのでね。 では。】
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
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「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
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「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
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「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
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「どこをだね」
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「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
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「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
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あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
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男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
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改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
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「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
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男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
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男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
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「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
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ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
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冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
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後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
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「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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fallーー。
無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
牡精を絞り取られたSが、徳子さんに拍手を送る。周りの男女がそれ以上の拍手をすると、徳子さんが恥ずかしげにペコリと頭を下げた。最初のショーが終了したのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
「ああ、Y子さんのお知り合いでしたか。これは失礼しました」男が畏まって頷く。
「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
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しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
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昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
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この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
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私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
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いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
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「何だよ、その決め付けは」
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部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
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すると…。
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妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
暫くそのまま目の前の痴態を見てると、身体が熱くなってきた。この女を何とかしないといけないのではないのか。
その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
「…オマンコよぉ…オマンコいいのぉ」
昨夜と同じ4文字の淫語ではないか。
「あぁんッ犯してぇ、あなた、お願いっ」
切れ切れの鳴きの声に、私の身体は固まっていた。それにしても、今の『あなた』とは誰の事だ。
身体の熱がフツフツと高まっていく。こうなったら私が犯(や)るしかない。この女にブチ込んでやるのだ。
私はズボンを降ろして、股間を露にした。
しかし…昨夜と同じで、シンボルであるはずの男性器が萎んだまま、全く反応しなかったのだ…。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
「ええッ、本当ですか!」
「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
「ほらご主人、アタシのここ、ドキドキしてるでしょ」
由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
告うや否や、映像の由紀子さんはベッドに上がり、四つん這いになって男達に臀を突き出した。
私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
「そ、そうなんですね…」
「ええ、でもこの日の彼女は見学と撮影だけ。それ以外の事…服を脱いで裸を見せたりはしてませんから」
先ほどの羞恥の表情を何処へ隠したのか、由紀子さんは落ち着いた声に流し目まで送って来る。
「あの、男は…元彼はそれで何と…」
「元彼?ああ、あの人ね。うふふ、アタシが指示されたのは、清美さんに刺激を与えて下さいって事だけですから」
「………」
「まあアタシとしたら、いつかは清美さんにもこちら側の世界に来て欲しいと思ってますけどね」
由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
「ええッ!」
「アタシ達は変態セックスを愉しんでるスワッパー夫婦。そんなアタシ達の仲間に、ってね」
「いえ、私達は…」
「ふふっ大丈夫、分かってますって。無理強いはいけませんからね。でも、清美さんの方が先に飛んだらどうしますか」
「と、飛ぶって…」
「ふふ、清美さんの行く末を皆んなが楽しみにしてるんです。あの人と寄りを戻したら…な~んてね」
「き、清美に限ってそんな事は…」
「ふふふ、あるわけないですか?」
由紀子さんが間近な距離から見詰めてくる。
「ご主人は、これまでも清美さんを大切にして来たんでしょ?」
「………」
「たくさん抱いてあげたんでしょうが、彼女の本質をちゃんと理解してあげてたのかしら?」
「本質って…」
「持って生まれた性癖。それって幾つになっても変わらないらしいですよ」
「………」
由紀子さんの言葉が映像のヨガリ声と重なり、雨粒のように降り掛かって来る。
彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
「そうそう、そう言えばねぇ、泊まりでの女子会を検討中なんですよ」
「そ、それは聞いてます…」
「そこで清美さんを試してみては如何ですか」
「え、試すとは?」
「決まってるじゃない。清美さんがそこで飛ぶかどうかよ」
私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
これもあの男の仕掛けなのか。私は完全に翻弄されている。
「ご主人、そうあまり真剣な顔しないで下さい。アタシも問い詰め過ぎました。今云った事は時間があるから、考えておいてくれればいいですよ。それより、こっちの続きを楽しみましょうよ」
彼女の言葉にパソコン画面を向き直れば、由紀子さんが臀を向けてご主人に跨がっている。二つの生殖器が、片方は侵入を繰り返し、もう片方はソレを難なく飲み込んでいる。そしてその摩擦音が、響き伝わって来るのだった。
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テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。
『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
「今のは?」
「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
「あの人…」
「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
「それって、いいんですか」
私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。
映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
私は黙って頷いている。
「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
「ええッ!」
「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
「………」
「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
「大胆に、ですか」
「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
ゴクリ、私の喉が鳴る。
「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。
「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。
『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
「ウフフ、徳ちゃんったら凄いわ。結合の部分が丸見えよねぇ。おまけにお尻の穴まで」由紀子さんが私をチラリと見ながら、ニヤついている。
「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。
「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
「え、いや、それは…」
口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
と、映像が結合の部分から徳子さんの豊満な乳房を抜けて、彼女の表情に移動した。
『いやーーんッ止めて!』
顔のアップに気付いたか、徳子さんが悲鳴を上げる。
『いやんいやん、恥ずかしいッ、清タン、顔は映さないでぇぇ』
徳子さんの懇願にも、映像は彼女のアップのまま。この時の妻の心境も又、どんなものだったのだ。
「あらあら徳ちゃんったら、凄い声ねぇ。でもご主人、彼女はねぇ、イヤとか言いながらシッカリ興奮してるんですよぉ。なんせ見られて感じる変態なんだから」
私は驚きに息を詰まられながら、本当ですか、と訊きそうになっている。確かに徳子さんは、自分の逝き顔を見せ付けてるように観えなくもない。
その時、徳子さんの顔がズームアウトされた。同時に腰を振っていた男が、彼女の腿をバチパチと叩いた。
「次は犬の格好よ」
由紀子さんの言葉通りに、二人は繋がったまま器用に体位を変えていく。
「ふふふ、男女が身体を溶接させたまま一体となっての漂流感は、性の醍醐味なのよね」又も由紀子さんが、意味深な言葉を呟いた。私の中には、阿吽の呼吸という言葉が浮かんだ。正常位から犬の格好への移行が、スムーズに観えたのだ。
そして直ぐに、それまで以上の徳子さんの叫び声が上がった。
「どうですかご主人、あなた方夫婦のセックスと、動画の徳ちゃん達とどっちが激しいですか」
由紀子さんの落ち着いた声にも、私は黙り込むだけだった。妻とセックスをしていた頃を思い出そうとしても、その記憶には補正が掛かっているのか、映像の男女と比べると幼稚すぎるものに思えてしまう。
それとだ。由紀子さんは妻から私達夫婦の性事情まで聞き出したのだろうか。それを知って彼女は、今の質問を?
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その瞬間、由紀子さんの声と同時に、徳子さんが最後の雄叫びを上げたのだった。
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居酒屋の個室ーー。
馴染みとなったこの場所も、私はこれまでと違う空気を感じていた。
目の前の女性が、『真木由紀子』と名乗ったからだ。
それはここ最近、頭の中で頻繁に反芻される名前だった。妻の同窓生で、例の元彼の手先となった女性なのだ。あの手紙に書かれてある事が事実ならばだが。
由紀子さんが目の前の席に座り直した。私は緊張を覚えながらも、その素顔を窺う。
身体付きはイメージしていたよりかは若干ふっくらした感じだが、髪の毛が後ろで結わかれているせいか顔は面長に見える。目はパッチリ二重で、口元から覗く白い歯並びには清潔感を覚える。その雰囲気からも、才女と呼ばれていた理由が垣間見える気がした。
「あのぉ、そんなに見詰められたら、何だか恥ずかしいわ」
その声に私は、ハッと我に帰った。
「ええ、すいません。でも、どうしてここに?」私は緊張を残したまま訊ねてみる。
由紀子さんは私をチラリと見て、先に何か注文をしましょうとメニューを指し出して来た。
私がいつものビールを頼むと、由紀子さんも同じ物と摘みを何点かオーダーした。
ビールと摘みが届くと、由紀子さんがジョッキを持ち上げた。それに合わせて、私は持ったジョッキを黙ったまま目の前で上げた。
彼女は美味そうにゴクゴクと喉を潤すが、私はチビリと口を付けるだけ。そんな私は、訊いておくべき事を口にした。
「あの、貴女の名前は清美から聞いて知ってましたが、コレは一体どういう事でしょうか?」
「うふ、先だって清美さんに次の女子会の件で、連絡した事がありましてね。ご主人に了解は取れそうかと訊ねたのですが、その時に話の流れでこのお店の事を聞かされたんです」
「それだけの事で、この店に?」
「いえ、雰囲気も凄く良いからって清美さんが勧めるもんだから、アタシも好奇心で。それでもし、ご主人が居ればと思って店員さんに声を掛けてみたんですよ」
「本当ですか」私は訝しながら訊いた。
「本当ですわ。そして私は、とてもラッキーでした」
「ラッキー?」
「ええ実はね、今夜アタシが、この店で清美さんのご主人に会えるかもしれないって、ある人に話したんですよ。そうしたらね、ふふふ、その人がアタシに頼み事をしたんです」
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意味深な笑みを浮かべて、由紀子さんが鞄から何かを取り出した。私はソレを見た瞬間、息が止まりそうになってしまった。
彼女が手にしていたのは、USBメモリだったのだ。しかも、前回男から送られ来た物と同じやつではないか。
「それと手紙は届いていませんか」
「ええッ!」驚きに持っていたジョッキを落としそうになってしまう。
目の前に座る由紀子さんが、手紙の話を出すと言う事、そしてUSBを持っていたと言う事は、あの男と繋がってる証拠ではないか。
「それで手紙は?」由紀子さんが、私の様子を窺ってくる。彼女は、これまでの手紙の内容も知っているのだろうか。
「持ってるんですね?」彼女が私の目を覗き込んできた。
私はコクリと頷くと、横に置いてあった鞄に手をやった。手紙と一緒に、ノートパソコンまで無意識に取り出している。
「うふふ」由紀子さんが私の様子を見てか、怪しげな嗤いを立てた。
封を開けてみれば、中身は便箋が1枚だけだった。私は彼女の視線を気にしながら読み始める事にした。
【こんにちは。
今回もUSBを同封しようと思っていたのですが、由紀子さんから連絡があって、ひょっとしたら清美さんのご主人と会えるかもしれないと申すもので、私も遊び心に乗って、彼女に持って行ってもらう事にしました。
万が一、彼女と会えなければ、直ぐに送るようにしますのでね。
では、無事に女子会の映像が視れますように。】
たった1枚の便箋に書かれた短い文章だったが、私はそれを読んで唸り声を上げた。男の遊び心は見事に成功したわけだ。それと、ここに書かれてある女子会とは、由紀子さん達のいう『社交界』と言う名の怪しい集まりの事なのだ。
これで由紀子さんが妻の元彼と名乗る男と、完全に繋がっている事が分かった。手紙の中にも『Y子』ではなく『由紀子』と書かれているのだ。
「何て書いてあるんですか」由紀子さんが私の手元を覗き込むように、少し身を乗り出した。
「当ててみましょうか。コレの中身は社交…いえ、女子会の映像なんでしょ」由紀子さんがUSBメモリをかざしている。私は、知ってたんでしょ、と小声で呟いた。
「じゃあ、せっかくだから一緒に視ましょうよ」
「ええッ、一緒にですか!」
「そうですよ、だってアタシも映ってるんですから」
「あッ!」
「何をそんなに驚いてるんですか。相良さんだって、パソコンを用意してるじゃないですか」
「え!?」
そうだった。私は無意識のうちに、手紙と一緒にノートパソコンまで出していたのだ。
「さぁ、アタシは覚悟が出来てるんですよ」
由紀子さんは『覚悟』と口にしたが、その声は、どことなく嬉しそうだ。声に私を挑発する響きを感じる。
気づけば彼女は立ち上がって、私の隣にやって来るではないか。そして座ると、USBをセットした。
「さぁ早く、再生して下さぁい」由紀子さんが私の耳元で、少し呂律の怪しくなった口調で囁いた。
この映像には、妻も映ってるかもしれない。そう思うと体温が上がってくる。それでも私の指は、何かに操られるように再生をクリックした。
「それと最初に言っときますけど、これって2次会の時のものですからね」
「え、2次会と言うと…」
「1次会はこのお店みたいな居酒屋だったの。その後、場所を移動したんですよ。少し遠かったけどタクシーでね」
由紀子さんの酒臭い息が、私の横顔に掛かる。彼女にとっても酔わなければやってられない…いや視てられない映像なのだろう。
「あのぉ、2次会のメンバーっていうのは…」
「ああ、その日のメンツね。えっとね、アタシと清美さんに徳ちゃん。あ、徳ちゃんって言うのは」
「大田徳子さんですよね」私は断って、そして続ける。「その3人だけですか、他には…」
「ああ、珠美さんの事ね。珠美さんはこの日も1次会で帰っちゃったのよね。彼女、子供がまだ中学生で難しい時期みたいでぇ」
いや、そうじゃなくて…。私は、妻の元彼の存在が気になっているのだ。
「あの、男子は…」
そこで彼女は、私の知りたい事を察したようだった。
「そっか、うんうん、あの人の事ね」
由紀子さんが呟いた瞬間、同時にパソコンの中から女性の絶叫が聞こえたのだった。
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次の日、私が目を覚ましたのは、朝の10時を過ぎた頃だった。
起き上がって欠伸を一つすれば、頭の中に夕べ視たSMチックな寝取られ動画の映像を思い出した。
2本の動画はいずれも中年の人妻が主人公で、夫の前で男に翻弄されていくものだった。私は人妻を妻の清美に、夫役を自分に投影していた。
動画の残像に苦笑いを浮かべて立ち上がろうして、枕元のスマホの点滅に気がついた。
見ればLINEの知らせだ。
『声を掛けても全然起きないのでLINEにします。今日はこれから買物に行って来ます』
私が爆睡している間に、どうやら妻は出掛けたようだ。
寝不足気味のまま食事を採り終えた私は、もう一度夕べの動画を視てしまった。
妻が帰って来たのは、夕方近くだった。買物にしてはかなり長いものだったが、私は特段責める事もなかった。妻が元彼と密会していたとは思えないし、そんな証拠もない。あるのは私の妄想…と想いたい…。
「夕べも遅かったんですね」
妻が話し掛けて来たのは、彼女が夕飯の準備でキッチンに立った時だった。
「ああ、そうだった…LINEを入れるの忘れてたっけ?」私はソファーから顔だけを向けて答えている。
妻は私の質問に応えるでなく「またあの居酒屋ですか」と、訊いてくる。
「うん、そうそう、あそこで残業をね」
「そうですか、また行ってみますか」
その言葉に、私はキッチンに振り向いた。
「そ、そうだね」
このところ冷たく感じる妻からは、思いもよらぬ誘いだ。
それから私達は、お互いの予定を確認し合って、次の水曜日に先日と同じ店で待ち合わせる時間を決めたのだった。
週明け出社すると、急ぎの仕事が舞い込んできた。この分だと出張が入りそうな気配を感じてしまう。
そんな中、水曜日がやって来た。日中は仕事に追われ、妻との呑み会の事を考える余裕もなかった。頭の中には『元彼』に『由紀子』『徳子』の名前があるが、2回目の女子会の事を含めて、どのように話を持ち出せばよいか整理が追い付いていない。
それでもこの日、仕事を終わらせた私は、なるべく遅れないようにと先日の店に向かった。
今夜も店には、妻が先に来ていた。私は個室の扉を開けると、前回と同じように「遅くなってゴメン」と、頭を下げている。
店員にビールと摘まみの注文が終わると「最近また忙しくなったみたいですね」妻から話し掛けて来た。
「そうだな、そのうち出張があるかも」
私の返事に頷きながら、妻は「今週も夜はここで残業ですか」と、続けて訊いてきた。
私は苦笑いしながら頷くだけだ。
例の男からの手紙を読む為に通うようになったこの店。それ以来ここに来る理由を、妻には残務と説明していたのだが、はたして彼女が、ノマドワーカーのイメージと私を結び付けたかどうかは分からない。
そして私は、男からの次の手紙の事を考えている。前回の手紙には次の期日は書かれていなかったが、明後日の金曜日には届きそうな気がしているのだ。
「ねぇ、どうしたの、私の話聞いてます?」
ふと顔を上げると、妻が首を傾げている。
「いや大丈夫だよ。そうだな、ひょっとしたら週末もここにお世話になってるかも」と云って、私は笑ってみせるのだ。
それから暫くの時間、私達は黙々と摘みを口に運び、ビールを何杯かお代わりした。
「ところで貴方、最近ボォっとしてる事が多くないですか」
「え!」
「何か悩みとか、心配事でもあるの?」
妻の表情を観れば、頬を朱く、目には酔いの色を浮かべて私を窺っている。
「いや、別に…」私の口は勝手に動いていた。が、心の中では…あのな、気になっているのは、お前の事だよ、清美の過去の男と同窓会の事だろ、と呟き掛けている。
「それよりだよ、清美の方はどうなんだい。女子会の約束はないのかよ」
「ああ、3回目の女子会の事ですね。ええ、実は…」妻がジョッキを置いて、視線を真っ直ぐ向けてきた。
「今度は泊まりでやろうって話も出てるみたいなんです…」
妻のその言葉に、私の喉が鳴った。
「お、おい、それって初耳だよな…」
私のしどろもどろの声に、妻が肩を竦める。「ええ、実はそれの了解を頂こうと思ってまして、それで今夜…」
「了解って…まだ計画中なんだろ?」
「そ、そうです。だから、貴方の意見を…」
「意見って訊かれても…」
妻が何の予兆もなく、私を飲みに誘った理由が分かった気がした。
男も一緒に行くのか、私の頭はその事を追求しろと指示しているが、言葉が出て来ない。
すると妻が、言い訳するように話し始めたーー。
彼女の説明によると、つい先日、由紀子さんから企画に対する伺いがあって、家族から了解が取れるか探っておいて欲しいとの事のようだった。
妻の説明を聞いても、私はその申し出には、曖昧な返事に徹するだけだった。そして私の中には、モヤモヤだけが残ったのだった。
金曜日の昼間、7通目となる手紙が届いた。
しかしソレは、これまでと比べて厚みが1番薄いものだった。USBメモリが入ってる気配はどこにもない。
それでも私は、逸る気持ちを抑えて仕事をこなし、予約した時間に遅くれないようにと、いつもの居酒屋に向かう事にした。
店に入ると、馴染みになった若い店員が声を掛けて来た。
「相良さん、お連れ様がお待ちですよ」
笑みを浮かべる彼の顔を見ながら、私は一瞬キョトンとした。『お連れ様』とは誰の事だ。
しかし、考える間もなく閃きが来た。
妻の清美が来ているのだ!私は疑う事なく個室へと足を運んだ。
個室の扉を開けた瞬間、足が止まった。見知らぬ女性が一人で居るのだ。その女性が、私を見上げる。
「相良さんですよね、清美さんのご主人の」
私は、立ち上がったその女性を、呆然と見詰める。
「私、真木由起子と申します」
その名前を聞いた瞬間、私はハッキリと驚きの声を上げたのだった。
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USBメモリを鞄に仕舞って、会計を済ませた私は店を後にした。
今夜は酔いを覚ます、と言ってもそれほど酔ってはいなかったが、少し遠回りをして家に帰る事にした。
夜道を行けば更に頭がスッキリして来た。その頭の中に二つの影を思い浮かべる。妻の清美の顔と、まだ会った事のない元彼の男だ。
元彼が言う高校時代の真実、結局その真意は分からない。USBメモリの中には、妻の告白が無かったからだ。
今回のUSBから分かった事と言えば、由起子さんと徳子さんの秘密の性癖と『社交会』の存在が明らかになった事だ。
そして最後に、由起子さんはその社交会を2回目の女子会という事にして妻を誘っていたのだ。
そして妻は、その『女子会』に参加している。いや、由起子さんは『見学』と表現していたが、その真意を妻に問い詰める勇気は、今のところ私にはない。その時の様子は、次のUSBメモリでも来ない限り分からないのだ。
そう言えば、今回の手紙にも次の手紙の期日が書かれていなかった。レコーダーからUSBへのコピーの作業が終われば、送られて来ると思うのだが。
家に着けば今夜も妻は寝入っていた。ここ最近の彼女の冷たい態度は、こう言うところにも現れていると思ってしまう。
私は静かにシャワーを済ませて、寝る支度に入った。
疲れた身体は直ぐに眠りを求めると思ったが、睡魔は中々やって来てはくれなかった。
私はベッドを抜け出し、ノートパソコンを取り出した。あの会話をもう一度聴きたくなったのだ。
USBメモリをセットして、最初から再生する。
妻の喋りの部分には特に注意をはらったが、私の記憶に間違いはなかったようだ。妻が自ら過去に付いて語る場面はなかったし、最近の心境に触れるところもなかったのだ。
ただし、この録音は1回目の女子会だけのものなのだ。
それにしても、妻の友人達の生態の方に驚きを覚えてしまう。
真木由紀子さんも大田徳子さんも、れっきとした人妻であり主婦でもある。そんな二人が、怪しい秘め事をしている。由紀子さんは夫公認で、徳子さんは完全な浮気だ。彼女達の告白を聞いた妻は、その時どう思ったのだろうか。妻自身は性欲に関して『それほど』と曖昧な言い方をしていた。しかし『ゼロでもない』と、微妙に認めた感じだ。
そして妻は、本当に2回目の女子会=社交会で、友人達の姿を見学したのか。由紀子さん達は、どんな姿を見せたのだ?社交会の中身が、凄く気になってしまう。それはやはり、アダルトビデオのような世界なのだろうか。
私は会話の再生を止めて、あるワードを検索にかける事にした。
『スワッピング 乱交』キーを叩くと、画面にエロ動画サイトの一覧が並んだ。
中から私は、熟女ものの動画サイトを選択してクリックした。
目に飛び込んで来たのは、幾つものそれらしい画像画面と、スケベ心を煽るサムネの数々だった。
私はプレビューを流し読みしてから、その中の一つ、中年夫婦のスワップらしきものを視てみる事にした。
その動画は素人の投稿物ではなくて、プロの業者のビデオ映像で60分以上のドラマ仕立てのもだった。
そしてそれは、偶然なのか社交会…いや秘密のパーティーに迷い込んだ中年夫婦の話だった。
ビデオの主人公は役所勤めの人妻。女は夫の上司に騙され、夫婦揃って怪しげな集まりに参加する事になる。
夫婦は目の前で披露される同年代の人妻の痴態に激しいショックを受ける。そんな夫婦の横に夫の上司が座って、性の手解きをする物語だった。
ドラマの中、上司の男は慣れた口調で、夫婦に奥深い暗示を投げ掛けたーー。
『奥さん、恥ずかしがらずに目の前の女を見てごらんよ。この人も貴女と同じ人妻なんだ。年齢だって貴女に近い』
場面はホテルのスウィートルームで、ベッドの回りを数組のカップルが取り囲んでいる。
ベッドの上には素顔の中年女性と若い男。二人は生まれたままの姿で、絡みを披露している。
『ほらね、優れた女の身体ってのは男に合わせられるものなんだ。男が鋳型であるなら、女は液体ってな。どんな形にも納まるのが良い女ってわけだが、じゃあ男の鋳型に合わせられない女はつまらないのかと言うと、そうも言い切れない。開発前の女もいるからね。大事なのは女の意思。男を前に人形になるんじゃなくて、自発的な意志を持つ事なんだよ。
この奥さんも最初は自分の道具を貸すだけだったが、ようやく分かってきたようだ』
夫の上司の声を耳元で受け止め、人妻は静かに前を向いたまま。この女性も耳を性感帯に、男の声を受け入れてるように観える。
『男ってのは自分の欲望本位に行動する事が多いが、この彼は若いけど経験が豊富なんだ。場数を踏んでるから解約精神が発達していて、相手が肉体の賃借関係として割り切って行為に臨めるんだよ。奥さん、分かるかな?』
男の言葉の意味が分かったのかどうかは分からないが、主人公の人妻は微動だにしない。
『おや、女の方に我慢が利かなくなってきたかな。この二人は何度か身体を合わせて厭らしい表現に阿吽の呼吸が生まれるようになったが、女の方はまだまだだな。どうやら今夜の勝負は、男のものだ。
さて、時間はと…』
男の視線の先が画面に広がり、ベッドの上では女の動きが激しく、絶頂を迎えたところだった。
ビデオの中、女が最後の雄叫びを上げたシーンを視て、私は大きく息をついた。自分でも思った以上に、映像にのめり込んでしまっていた。
頭の中には、獣そのものになって、折り重なり、呻き、のたうち回っていた浅ましい女の残像がある。
男女の絡みのシーンも印象にあったが、ストーリー性にも胸を抉られる想いがあった。
ベッドにいた女は若い男に手駒にされ、客相手に痴態を曝す女に成り下がったのだ。そしてその様子を見ていた人妻は暗示に掛けられ、やがては同じような女へと変貌を遂げるのだろう。
しかもこの人妻の横には、夫が座っていたのだ。夫はベッドの女と、隣の妻の先行きを重ねていたのだろうか。
と、私はビデオの上司の男が、妻清美の元彼とダブって観えた。
動画はまだ半分も過ぎてなかったが、私は一旦止めた。そして水を一杯飲みに行く事にした。
キッチンで水を飲んだ私は、自分の部屋に戻る前に妻の寝室を覗いた。
妻は鼾も掻かず、静かに寝入っている。その寝顔からは、罪の有無を感じない。
しかし女と言う生き物は、裏の顔を隠し持っているものなのだろうか。
真木由紀子さんに大田徳子さん、私は彼女達の赤裸々な告白をUSBで聞いている。いや、彼女達からすれば、あれは告白といった大袈裟なものではなくて、面白い遊びを見つけた少女の自慢話なのかもしれない。
そんな考えを頭の隅に霞ませながら、私は自分の部屋に戻る事にした。
時計を見れば、深夜の1時を過ぎたところだ。それでも何故か眠気を感じなくなっている。
私は別の動画サイトも見てみる事にした。
次に視る気になったのは、SM物だった。サムネのプレビューを読むと、妻が夫の前で調教を受ける話だ。そしてコレも、ドラマ仕立ての物のようだ。
画面にいきなり広がったのは、テーブルに大の字に縛られた女性の姿だった。そしておっ開げられた股間の前には、男の生尻だ。
『さぁご主人、これからこの美しい婦人の体内に私の夥しい体液を吐き出させて頂きますよ』
ビデオの男は言うなり、婦人と呼んた女性の股間に反り勃った肉の棒を突き刺した。
映像のアングルは男の後ろ姿を捉え、筋肉質な生尻が規則正しい動きを続ける。バンザイの格好でテーブルの脚に両腕を結ばれた婦人の姿は、私の目には虫ピンで止められた蝶のように観えた。
婦人の口からは『嫌よ嫌よ』と、抗いの声が上がる。しかしやがて『やっぱりいいわ!』感泣の声に変わった。
『そうですよ奥様、飢えた人間にテーブルマナーは不要ですよ。さぁ遠慮なさらずに』男が腰を振りながら、婦人を追い込んで行く。
男の言葉に、むっちりと実った婦人の美しい御足が、男の腰を挟んで跳ね上がった。婦人のその様は、完全に己の保身反応を麻痺させている。
『ヒィーヒィーっ』ビデオの声が、妻の声に重なって聴こえるようだ。男に串刺しされて蠢く婦人の姿も、妻に重なって行く。
両腕をロープで、腰を男に制圧された不自由な状態で、のたうち回る婦人は、麻薬の禁断症状から逃げ惑おうとしてるようだ。
『もっともっと抉って下さいッ!』
『あらあら奥様、なんて品格のない言い方を』ビデオの男がニヤリと嗤う。
『うううッ、だって…』
『はいはい、分かりましたよ。私の物がもっと欲しいのですね』
『そう、そうなのっ、だからもっと激しく突いて下さいッ!』婦人は必死に追いかけている。本当にあと一歩のところなのだ。しかし男が、お預けを喰らわせて女体を支配している。
私はそれが造り物のビデオである事を忘れて、ノンフィクションの出来事に覚えてしまっていた。
「清美…」私の口から無意識に妻の名前が出た。妻もビデオの婦人のように、元彼の残酷で不完全燃焼な責めに、我を忘れた事があったのだろうか。私はもう一度「清美」と呟くと、拳を握りしめた。
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妻の元彼からの6通目の手紙を封筒に戻すと、私は鞄からノートパソコンを取り出し、立ち上げた。
USBを差し込み、イヤホンを耳にセットする。個室にいても、音漏れには注意したい。まして何が飛び出して来るか分からないのだから。
起動が始まって暫くすると、聞こえて来たのは女性の笑い声だった。
この時の2次会の場所も、由紀子さんが幹事を務めたのなら、外部からの干渉に気をつけて個室を用意したに違いない。そしてこの部屋にいるのは、妻の清美と由紀子さんに徳子さんだ。
彼女達の話し声が大きくなってきた。妻の声は直ぐに気づき、他の声も名前と一致させる事が出来た。
ひときわ大きな声で喋ってるのが、徳子さんだろう。由紀子さんの声は、酒のせいか砕けた感じに聴こえる。
『それでさ、ちょっと清タン聞いてよ。由紀ちゃんって凄いんだから。ねぇぇ。』
徳子さんが話題を変えてきた。
『ふふふ、アッチの話?そうねぇアタシは結構お盛ん、かな』
徳子さんの声に応えるようにか、由紀子さんの声も大きくなっている。
『ところで清美さんさぁ、実はずっと黙ってたんだけど高校の時さ、貴女に変な噂が立った事あったの、知ってた?』
由紀子さんの声に続き『え!』妻の驚きの声が聴こえた。
『清楚で男子に人気者だった田中清美は、実は変態セックスしてるっていう噂よ』
由紀子さんの詰問調の声に、こっちの息が止まりそうになった。
そして暫く無言が続き、やがて再び由紀子さんの声が聴こえた。
『うふふ、その表情、黙ってるところを見ると噂は本当だったのかな?』
『な、何の事だか…』
『えへっ、別にいいじゃない昔の事だしさ。それにさっきも告ったけど、アタシもこう見えて、実は遊んでるのよね』
由紀子さんの呂律が怪しくなってる気がする。さすがに酔わなければ話せない内容だ。
『実はね、同窓会で清美さんを久し振りに見た時に、今云った昔の噂を思い出したのよね。でも、そんな話題をその場でなんて出せないでしょ。だからねぇぇ』
由紀子さんが語る流れに、男の手紙に書かれていたある場面を思い出した。
確か2次会の席で、元彼がテーブルの下で妻の手を握ったところを、由紀子さんが見たのではなかったか。
『それでねぇ、1度気になりだしたら、ずっと気になっちゃってさ…ふふふ、それでここに来る前、つい徳(のり)ちゃんに話しちゃったのよね』
由紀子さんの語尾は、徳子さんに向けたものだった。
『そうそう、それで私も本当!?って驚いたのよね』徳子さんの声が、1オクターブ上がっている。
『私もさ、卒業してから色々あったし、人って変わるからさ、大概の事は驚かないんだけど、清タンが変態チックな遊びをしてるなんて』
『徳ちゃんちょっと違うわよ。清美さんがエッチな事をしてたのは、昔の話で今は知らないわよ』
『あ、そっか。でもさ、今はどうなの…ねぇ清タン、今はどんな感じ?欲求不満とかないの?』
会った事のない徳子さんだが、その姿が目に浮かぶようだった。ポッチャリの身体を乗り出し、好奇心に目を見開く姿だ。妻の方は俯いたまま、頭を小さく横に振ってるのではないだろうか。
『徳ちゃん、清美さんはねぇ、やってるって、うん間違いないって。ご主人とやってなかったとしても、他にねぇ…ふふふ』
『あーそれってオナニー?』
『あらあら、徳ちゃんったら。でもオナニーは勿論、他にも凄い事をやってると思うわ。だって清美さんは、へ、ん、た、い』
『いゃ~ん、清タンって変態だったんだぁ。でも何だか嬉しいっ』
『ふふっ、徳ちゃんとどっちが変態か、試してみたいわね』
『由紀ちゃんだって変態でしょっ』
『そうよ。アタシはずっと前から変な遊びをしてるわ』
『うんうん、知ってる知ってる。私も恩恵を受けてるし』徳子さんが楽しそうに声を上げる。
『でもね清美さん、人様から後ろ指を刺される秘匿の行為って、考えただけで興奮するわよねぇぇ』
由紀子さんの言葉に、徳子さんの相づちの声が聞こえる。妻はどんな様子なのだ。妻の声だけがなかなか聴こえて来ない。
『ほらぁ、アタシ達って夫婦でやってるでしょ』
由紀子さんが、そう言った瞬間だった。妻の『ええっ!』と驚きの声が聞こえた。
『あら、そうなのよ。アタシ一人で遊んでるわけじゃないの。きちんとしたパートナーがいるのよね』
『そのパートナーって』妻の小さな声がする。
『多いのは家の主人だけど…他にも肌を合わせる人達はたくさんいるわ』
由紀子さんの語尾には、力強さがあった気がした。酔ってるからか、それとも秘密を曝して開き直ったか、相手に迫る勢いが伝わって来るのだ。
『あらやだ清美さん、あまり変な目で見ないでよ』
『そんな、変な目だなんて…』
『ふふっどう?昔の知り合いが、教師のクセして変態だったら。しかも旦那も教師なのよ』
『………』
沈黙が流れ、私も息を飲んで次の言葉を待っている。
『…でもねぇ、教師って凄いストレスが溜まるの。最初は良くないのは分かってたけど、周りの教師仲間におかしな性癖の人がいてね』
そこからは由紀子さんがその世界に入った経緯が話された。その間、妻の声は聴こえくなったが、どんな気持ちで由起子さんの話を聞いていたのだろうか。
『…と言うわけで今に至るわけ。因みに徳ちゃんとは、卒業後もちょくちょく会っててね、互いの愚痴を言い合ってたのよ』
『そうなんだ』やっと妻の声が聴こえてきた。
『そう、それである時、アタシがスワップの世界に居る事を喋っちゃったのね』
『そうそう、私も聞いた時はビックリしたわ』徳子さんの出番が来た。『でも私って、昔からエッチにはかなり興味があったからね』
今度は徳子さんの身の上、いや下半身の話が始まった。彼女は結婚して子供もいるが、子供が出来てからはご主人とセックスレスの日々が続いていたのだった。そして欲求不満が我慢出来なくなった徳子さんは、由紀子さんに誘われるまま秘密のパーティーに顔を出すようになったのだ。
『さぁ皆んな話したわよ。次は清美さんよ』由紀子さんの口調が、ますます馴れ馴れしく聴こえる。
『わ、私は、そうねぇ…』
妻の呟きに、ゴクリと私の喉が鳴った。
『しゅ、主人には何の不満もないわ』
その言葉に、私の口から、ホッと息が漏れた。
『それに私には…それほど…性欲?それも特には…』
『………』
再び沈黙が流れ、その中で私は、妻の言葉を頭の中で反芻した…妻に性欲は無いのか。それは本音なのか。それとも昔の友人を前に、まだ本当の気持ちを話せないでいるのか。
『ふぅ~ん、そうなんだぁ…でも、性欲がゼロって事はないでしょ』何処となく咎めるような由紀子さんの声がする。
『そ、それはまぁそうだけど…』
『そうよね、うん、そう思うわ。たぶんだけど、清美さんはトラウマがあって殻を被っているのかもね』
あッ、私の口から声が上がった。
トラウマ、確かにそれはあるかもしれない。
若い頃の変質的な経験が、精神に悪い影響がいかないように、妻は無意識にバリアを張って生きてきたのだろうか。
『でもさ、性的欲求があるなら、無理しない方がいいと思うわ』由紀子さんの言葉が、どことなく教師の口調に聴こえる。
『ねぇ清美さん、今度ちょっと付き合ってよ』
『え、何!?』
『ふふっ、そんなに構えないでよ、最初は見学だけだから』
『見学?それは何…』
『それはねぇ』徳子さんの声が割って入って来た。『私達が定期的に行く社交会があるの。名前の通り社会的信用のある人だけが参加できる集まりで、でも紹介者がいれば私みたいに参加が許されるの。だから清タンも大丈夫だから』
『そうね、清美さんは口が堅そうだし、それに真面目だし。あ、真面目っていうのは普通に社会生活を送れるって意味よ』
『ちょっと待って、私行くとは…』
『ふふっ、もうダメよ。アタシと徳ちゃんの秘密を聞いたんだから、自分だけ良い子でいるのは』
『それは…』
『そうね、じゃあ取り敢えず次の予定が決まったら連絡するからね』
『お願い待って。だから行くなんて一言も…』
『まぁ考えておいて。でもアタシ、清美さんは必ず来てくれると思うわ。ほら昔の貴女、あの噂が本当なら身体の中には淫猥な血が流れている筈よ。その血に逆らうなんて、出来っこないんだから』
由紀子さんの今の言葉には、粘着質な響きを感じた。まるで、蜘蛛が獲物を糸で絡み取るようなイメージだ。
『でも安心して、今夜の事だって誰にも喋らないからね。それに秘密を隠しておく事って、それだけで快感でしょ。貴女なら分かるわよね私の云いたい事。とにかく決まったら直ぐに連絡するからね。ああ、そうだ。その時はまた女子会って事で声を掛けるから、ご主人にもそう言って家を出てくるといいわ』
その瞬間、私は大きな声を上げていた。と言う事は妻の2回目の女子会、あれはまさかの怪しい集まりだったのか。
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妻の元彼からの5回目の手紙を読み終わり、私は大きな溜め息を吐き出した。
手紙の終わり方がどうも気になってしょうがない。これまでは必ず、最後に次の手紙が届く時期が書かれていたのに、今回の手紙にはそれがない。
男の動きが、現実の時間の流れに追い付いて来たのも原因だろうか。
私は頭の中で時系列を整理しようと思った。
同窓会が開催されたのは、もう2カ月以上前の事だ。そしてこの2カ月の間に、2回の女子会があった。
私はその間、妻の雰囲気に鈍色の匂いを感じて妄想を浮かべ、それに合わせて男からの手紙に取り込まれていった。そんな私を、男は離れた所からどう思っていたのだろうか。男は自分の欲望の為に由紀子さんを通じて、何かの仕掛けをした筈なのだ。ターゲットは妻の清美、それに私もか?
だが…妻が誰かに誑かされたり、脅されてる気配は感じない。娘の所に泊まりに行くのに家を留守にした事はあったが、特に怪しいところはなかった。
ただし、先日から妻の態度が硬く、どこか冷たいのだ。
結局、今夜も私はモヤモヤとした気持ちと共に帰宅するしかなかった。
この日の夜から、私は妻に何かしらの痕跡がないものかと、これまで以上に気にするようになった。今一度見たいのは、彼女のスマホにある同窓会と女子会の写真だが、スマホはさすがに見る事が出来ない。
だからと言って、根拠のないところで妻を問い詰める…清美は元彼の男と連絡を取ってるだろ…等と訊く事など出来るわけがない。
しかしだ。
ひょっとしてこれは過ぎた妄想ではないのか。5通の手紙に書かれた内容も、大半が男の妄想話ではないのか。私はとんだ見当違いをして、知らずのうちに、己が築き上げた袋小路に迷い込んでいるだけなのではないのかと、時おり自分を問い質す声が何処からともなく聞こえて来る。
だが、少し前に部下との会話で耳にした『寝取られ』と言う言葉。
自分の妻を他人に差し出し浮気を勧める夫。そして妻と他人の交わりを想像したり、実際に覗いて性的興奮を得て喜ぶ夫。
私自身にこういった性癖があるとは、一度だって思った事がない。それでも冷静に振り返ってみると、元彼の手紙に何度も興奮した覚えがあるのだ。
同窓会の真実を訊いてみようかと言う考えは常にある。だが、手元にある5通の手紙を妻に見せて、色々と問い質す事が出来るのかと、自分自身に問い掛ければ答えはNoだ。中身があまりにも異常すぎるし、それにもし本当の話だとしたら、妻が傷つく恐れがあるからだ。
結局のところ、同じ自問自答が何日にも渡って繰り返されるだけだった。
男から次の手紙が来たのは、前回のものが来てから1週間後の金曜日だった。
職場で見慣れた茶封筒を手にした時は、これまでとの違いを感じた。厚みが今までのものとは違うし、上から触った手触りも違うのだ。中に何かが入っている。
早速その日の夜に、いつもの居酒屋に行った。顔馴染みの若い店員が、ニヤニヤ笑って迎えてくれた。彼の顔には、先日の女性は誰ですかと書いてある。私は構わずに、ビールと摘まみを頼むと手紙を取り出し、封を開けた。
厚みを感じていたのはUSBメモリだった。私はソレを持って暫し考え込んだが、直ぐに手紙に目をやった。
【こんちには。
ご主人は今回の手紙が、いつ来るかいつ来るかと気を揉んでいたのではないですか。】
いきなりのその文章に、男の薄ら笑いが透けて見えた気がして舌打した。
【実は同封したUSBメモリ、これにレコーダーで録ったものを移しかえる作業に手間取ってましてね。時間が読めなかったので、前回の手紙には期日が書けなかったのです。ダメですねアナログ人間は。
でも何とか編集が終わり、無事にコピーする事が出来ました。】
私はふうっと、安堵の溜め息を吐き出した。この男に人間らしい一面を見た気がする。
【このUSBには何が録音されているかと言うと…いや、その前に前回のおさらいをしましょうか。
同窓会の3次会の後に、Y子とバーに行った所からです。あの店で私とY子は、互いが持ってる性癖を曝しあいました。お互いに弱みを見せ合ったという言い方も出来ますが、それでも力関係は私の方が上なのは、Y子も気づいていた筈です。
失うものがどちらが大きいかと言えば、向こうは現役の教師でおまけに夫婦揃ってですから、私のしがない身分と比べれば一目瞭然です。彼女達の変態遊戯の証拠などありませんが、SNSで吹聴すれば一発です。その現実に気付いた事もあったでしょうし、なので彼女は、私の指示に従う事になるのです。】
今度は唸り声が上がった。この男の老獪さに舌を巻きそうになってしまう。
【ではご主人。
これはY子にも話した事ですが、私の元に同窓会の案内状が届いた時の事もお話しさせて頂きます。
あの案内状を読んだ時、私の中に何十年も前の清美さんと過ごした出来事が蘇って来たのです。私はあの頃の後ろめたい快楽の渦に巻き込まれた日々を思い出して、清美さんの中にも昔と変わらない性癖や資質が今も生きてるのか、確かめてみたくなったのです。
そして彼女が、その性癖を今に活かせてないら、私が手助けをしたいと考えるようになったのです。】
そこまで読んだ瞬間、私は胸が苦しくなってしまった。そして今の箇所を読み直した。
妻の清美が『性癖』を今に活かせてないとは、どう解釈すればいいのだ。私は暫し考えを巡らせた。するとジワジワと男の云いたい事が分かった気がした。
それはーー清美が思春期に体験したマゾヒズムな奴隷生活。その時の変態セックスが染み付いていたなら、妻はその後の性生活に満足がいく事なく、何十年も自分を欺いていた事になる…元彼の男は、そんな妻の心と身体を開放しようと云いたいのか。
【同窓会で実際に清美さんと接して、私は彼女からある気配を感じました。そしてその気配の正体を確かめる為に、計画を立てる事にしたのです。
偶然にもY子という秘匿な性癖の持主を見つけた事も、後押しになりました。そして彼女を、協力者に仕立てたのです。
私は例のバーで、Y子に女子会の開催を指示しました。そしてそこで『貴女は自分自身の性癖を清美にカミングアウトして、彼女に刺激を与えろ』と云いました。それを聞いたY子は躊躇した素振りをみせましたが、既に私の傀儡です。
『教師のスキャンダルはネット民の格好のネタだよね。拡散されて、貴女達夫婦の変態行為がバレたら大変でしょ。だから頼んだよ』と、脅しも念を押しておきました。
そして私は、1週間後にもう一度会う事を彼女に約束させたのです。】
男の言葉、いや文章からはこの男の陰湿さが嫌と言うほど漂って来る。しかし、由紀子さんも変態気質の持主なら、逆に喜んで男の計画に協力したのではないだろうか。
私は、会った事のない由紀子さんの事を考えながら、次の文章に目をやった。
【1週間後、Y子を呼び出したのは、とあるシティホテルの喫茶室でした。その時の彼女によれば、1回目の女子会の準備は既に進んでいると言うので、仕事の速さに感心したものです。そしてもう一つ、驚いた事がありました。Y子はその場に、ご主人を連れて来てたのです。
私の前に座ったご主人は終始オドオドしていましてね、夫婦の秘密を拡散されないかと、そればかり気にしてる様子でした。
私は、Y子さんがこのまま協力を拒まないなら、貴方達の事は誰にも話さないし、SNSで拡散する事はないと改めて約束しました。と言っても、その時の喫茶室の会話はICレコーダーにこっそり録音してたのですがね。】
ICレコーダーは名前こそ耳にするが、実際に手にした事はなかった。私はスマホで『ICレコーダー』と検索した。
画像を見て説明を読めば、なるほどと思えてくる。想像していた以上に盗み録りに適した物のようで、しかも見た目がソレと分からない物がたくさんある。
【さて、土曜の夜でしたが、そこの喫茶室は空いてまして、思った以上に秘密の打合せを続ける事が出来ましたよ。
会話が進むにつれて、目の前の夫婦、特に旦那の方はマゾだと確信しました。彼等がやってる夫婦交換やパーティーでも、この二人の役割がよく分かるようでした。
それでも話を進めて行くと、彼等の目にはサディスト特有の色も観えて来ましたよ。それも不思議ではありません。最近はSとMが同居してる人が結構いますからね。それと、ひょっとしてY子は清美さんに対して嫉妬心を持っていたのかもしれませんね。
遠い昔の高校時代、才女で美人のY子は、人当たりが良くて明るく人気者の清美に嫉妬、これはあり得る事です。Y子がS性に目覚めた原因も、この辺りにあった可能性がありますね。】
私はまたまた唸り声を上げた。まるでこの男が、直ぐ近くにいて、影から歪な嗤いを聞かせようとしてるように思えるのだ。
【私はY子に、先日の話を確認の意味でもう一度しました。女子会では清美を酔わせて、性癖の話を持ち出せと。まずは貴女の方から、自分達夫婦がスワッピングをしてる事を告白しろと。
話しの仕方は任せるが、清美の内面は貴女と同じで変態気質で出来ているから、安心して自分を曝け出せと。
清美が黙っていたとしても、彼女はシッカリ話を聞いている。彼女の耳は性感帯で、貴女の言葉が卑猥なら卑猥なほど、清美の身体はそれを受け入れているからと。
そしてそのうち、清美の方からも愚痴や願望を口にしてくる。貴女はそれに同調してあげれば、後は自然な流れで性癖の暴露に繋がるからと。
話をしながら私は、Y子の中から淫靡な香りが沸き立つのが分かりましたよ。彼女は想像を膨らませて、あの場でアソコを濡らしていた事でしょうね。
それから彼女にICレコーダーを渡しました。二つあるうちの一つです。
Y子はソレを手に取ってしげしげと見てましたね。
最近は卑猥な遊びを動画に撮るのは、珍しい事ではありません。Y子達も経験があるでしょう。しかし私が求めるのは、言わゆる隠し撮りです。なのでY子には、その点に気をつけるように念を押しました。
そこで、お手元にあるUSBメモリです。】
私は、テーブルの上に置いてあったUSBメモリに目をやった。この中に女子会の時の会話が録音されているのだ。
【録音は長時間に及ぶものでした。声は意外なほど鮮明に録れてました。しかしまぁ、最初から卑猥な話題になる筈がありません。乾杯から2時間ほどは、在り来りな話です。ただの呑み会です。そこに集まった4人、清美さん、Y子、N子、そしてTさん。乗りは熟女の井戸端会議で、互いの近況報告から、高校時代に誰と誰が付き合ってた、好きだった等などです。
私は録音された会話を根気よく聞いて、要点よく編集しました。実際にそれらしい会話が聴けたのは、全てこの日の2次会のものでした。
Y子にとって運が良かったのは、Tさんが1次会の途中で帰られた事でした。2次会のメンバーは清美さんとY子に、Y子に世話になってるN子ですから。
そう言えば書き忘れてましたが、N子は少し前からY子の遊びに引き込まれていたようですよ。その経緯までは詳しく訊ねませんでしたが、私は同窓会の3次会の席で、N子の言葉にも怪しさを感じていました。その事をY子に問い詰めてみたら、案の定ビンゴでしたね。】
又も男の薄ら笑いが浮かんで来るようだった。男は間違いなく、このUSBに淫靡な会話を録り込む作業に興奮していたに違いない。それにしてもN子…大田徳子さんも怪しい世界の住人だったのだ。
それとTさん、『安田珠美』さんの事だ。
妻の話を思い返せば、珠美さんはお子さんの事があって、確かに早めに帰った筈だ。
【ではご主人、今回の手紙はここまでです。後は同封したUSBを聞いてみて下さい。
因みに中身は、1回目の女子会のものだけです。2回目のものは編集の作業中ですのでね。 では。】
私は息を吐き出し、そのUSBメモリを顔の前でかざして見た。
この中で妻は何を語っているのだ。と思った瞬間、身体が悪寒を感じて震えだしたのだった。
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何十年ぶりかに、妻と二人だけで行った居酒屋からの帰り道ーー。
その夜道を歩く私には、変な緊張が続いていた。酒の量はそこそこ多く、緊張を失くす為のアルコールだったが効果があったとは言えない。私達は店を出てから、ずっと無言なのだ。
黙ったまま歩き続け、家まであと僅かになった時だ。ふっと覗いた妻の横顔、その唇に艶めかしいものを感じた。
脳裏に閃いたのは、若き日の妻が元彼のモノをシャブル姿、その唇。
気が付けば私は、拳を握りしめていた。その拳が震え出したかと思うと、妻の手に触れた。
ハッとなって手を引っ込めようとしたが、意識とは逆に妻の手を握っていた。
二人で呑むのも久し振りだったが、手を繋ぐのも何十年ぶりかの事だった。
このまま家までの帰路を進むのかと思った瞬間、例の手紙のワンシーンが脳内に広がりだした。
妻の親指と人差し指の間、合谷(ごうごく)と呼ばれる窪みに、私の指が触れている。
元彼はこの窪みの部分を、乳首やクリトリスを撫でるように擦ったと告うのだ。
私の指は蠢き始め、元彼がしたのと同じようにその窪みを指腹で擦り始めていた。
妻の指が、いや身体全体が強張った気がした。しかし私は、そのまま妻の指を折りたたむように丸め、私の人差し指を彼女の指と指の間に送り込んだ
朱い唇からアァっと声が漏れた。
抜き差しを始めると今度は、彼女の指の隙間にしっとりと濡れを感じた。これが元彼が云う潤滑の油と言うやつだ。私の脳がそう呟いた瞬間、私の指は払い除けられていた。
立ち竦んだ妻を見れば、黙ったまま私を見据えている。
「ご、ごめん…」私は咄嗟に謝った。
なのに彼女は、とんでもないものに出くわしたような顔をしていた…。
その夜、床に付いた私は、帰り道のその場面を思い起こしていた。
妻は、私が握った指の動きに何かを察したのではないか。私の指を払い除けたのも、同窓会の2次会で元彼にされたのと同じ場面が、脳裏を横切ったからではないだろうか。
セックスを連想させる指の動きに、彼女が浮かべた相手は元彼だったのか。それとも私…いや、それはない。私と妻のセックスは何年も封印されたままなのだ。
ああ…私、妻、元彼、まるで三角関係ではないか。我々はこれから一体、何処に向かうのだ…。
…次の日から、妻の態度が目に見えて堅苦しいものへと変わっていった。
朝の挨拶、帰宅時の挨拶、それは型通りにあるのだが、声がよそ行きで淡白になった感じなのだ。この空気感は結婚してから初めてのもので、その事に私は、気疲れを感じるのだった。
息苦しさを感じたまま数日を過ごし、週末が近づいてきた。
金曜の昼過ぎには、元彼の男から5通目となる手紙が届いた。
そしてその日の夜、いつもの居酒屋ーー。
【ご主人、こんにちは。
この様な匿名の手紙を受け取って頂くのも、これで5回目ですね。勿論、貴方が間違いなく受け取り、真剣に読んでくれていると信じての言葉です。
私の方も手紙を綴りながら、まだ会った事のない貴方との距離が近づいて来るのを感じております。
いつかは、いや近い内に実際に会う時が来るかもしれませんね。まぁ、その時はお互いどういう気持ちでいるかは分かりませんがね。
では、今回の手紙では同窓会の後に開催された1回目となる女子会、その前辺りの様子からお伝えしたいと思います。】
いつもの便箋に綴られた文字を読み始めて、私は確かに男との距離が縮んでる気持ちを認めた。
顔や体型、髪型などは想像の域を出ないが、この男が陰湿で変態気質の人間である事だけは疑っていない。
こんな男と精神的な部分で繋がってるとしたら、私の中にも同じ様な性癖があるのかもしれない。しかし今まで、自分にアブノーマルな気質があるとは1度だって考えた事がない。妻とのセックスもずっとノーマルだった筈だ。それが清美にとってどうだったのかは、考え込んでしまうところなのだが。
【何十年ぶりかに再会した清美さんと、離れ難い気持ちなった私が、3次会の席でさり気なく口にした一言が女子会の開催に繋がりました。
とは言え私は男ですから、その会に参加させて貰うには当然ハードルがあります。なので私は、作戦を考えたのです。
それはY子への私からのカミングアウトと、提案だったのです。】
Y子の名前、この手紙ではイニシャル表示だが、私は妻との以前の会話で『真木由紀子』さんと知っている。
【3次会が終わり、私達は一旦離れ離れになりました。去り行く清美さんを見届けるのは辛い気持ちがありましたが、それ以上に次への企てに、私は気持ちを高ぶらせておりましたよ。そして次に起こした行動が、Y子と話す事だったのです。
私は、3次会から帰るY子の後を密かに着けて、とある駅を出た所で声を掛けました。運が良かったのは、私から誘った近くのバーに付き合ってくれた事です。
その店で私は、私と清美さんの真実を告白して、Y子に協力を願い出るのです。】
由起子さんの存在がどういう意味合いを持つのか、気になるところだった。男が由起子さんに話した真実とは。そして願い出た協力とは?
【バーでは最初、Y子は少し緊張している様子でした。それはそうです、酒が残っていたとしても陰気な店に男と二人、おまけに彼女は現役の教師ですから。
その彼女とカウンターの端に並んで座り、私はまず、学生時代の清美さんと恋人どうしだった事を告白しました。そして淫靡さを漂よわせながら、清美さんとの過去を語ったのですーー。
遠い日の私達二人の関係は、人様には決して話せないアブノーマルなものだったと。しかしそれは、二人の仲に深い絆をもたらしたと。
短い時間ではあったが、二人は異質な世界に浸り、同類でしか味わえない数々の体験をしたのだと。
結局私達は周りからの圧力もあり、別れる事になったが、互いの中にはあの頃の記憶がちゃんと残っているのだと。そして何より、身体が覚えているのだと。
Y子は私が『身体が覚えている』と云ったところで、ギクリとした反応をみせましたよ。それまでの淫猥さを連想させる言葉も刺激になっていたでしょうが『身体が…』と聞いて、彼女は私と清美さんの関係が、想像以上にアブノーマルである事に気づいたのでしょう。彼女の私を見る目が、それまで以上に信じられないものを見る目に変わっていましたからね。
しかし彼女が見たものは、私の瞳に写った自分自身の姿なのです。彼女もその事に気づいていたのです。
それを見抜いた私は、今度は彼女自身のプライベートに関する質問をしてやる事にしました。
私はまず『Y子さん、コレを飲んで気持ちを落ち着けて下さい。ここからは貴女の内面に迫る話になりますから』と、酒を勧めました。
彼女は一瞬躊躇った表情を見せましたが、目の前の男から自分と似た匂いがする事に気づいていたのでしょうね。それと3次会で、自ら清美さんに話した誘いの言葉も思い出したのでしょう。それは『アレよアレ、旦那とはやってるの?』『アタシ達、大きな声では言えないけど、刺激のある遊びをしてるだ』先ほども書いたY子の囁きです。
そして彼女は、恐いもの見たさか、グラスの残りを一息で呑み干したのです。
呑み終えた彼女はグラスを置くと、挑発的な目を向けて来ましてね。しかし私には、それが強がりだと分かっていました。
私はそんな彼女の手に自分の手を重ね、そして確かめるように云いました。『貴女は…いや、貴女達夫婦はスワッピングや乱交パーティーを愉しんでいますね』とね。
Y子は私の言葉に、目を見開きました。その瞳は驚愕の色に変わっていましたよ。】
予期せぬ展開に、私も驚いた。スワッピングに乱交など、エロビデオの世界ではないか。まして由紀子さんは、現役の教師ではないか。
それにしたって、この男の嗅覚はどうなっているのだ。これほどまでにも、同類を嗅ぎ分けれるものなのか…とすると、やはり清美は…。
【Y子の目は縋る眼差しに変わり、そんな彼女を慰めるように私は云いました。『教師ってのは本当に大変だよね、よく分かるよ。特に昨今はモンスターペアレンツがいれば、教師内での虐めがある。そんな中で世間の目は厳しくなるばかりだし、ストレスは溜まる一方だ。心から同情するよ。』とね。】
男の言葉に、私まで知らずに頷いていた。確かに現代の教師の境遇には同情するところはある。
【私はY子の様子を探るように見続けました。彼女の心の中は、私の同情に対する有り難みもあったでしょう。でもそれ以上に、指摘された事実に戸惑いを感じていたと思います。
私はY子にニコリと笑いかけ、もう一度彼女の手に私の手を重ねました。そして諭してやりました。『気にする事はない。これまでと同じで良い。それより貴女達が感じた性の愉悦を他の人とも分かち合えるように、これからも振る舞うんだ。清美が貴女に声を掛けられたのは運命なんだよ。だからね…』とね。】
手紙はそこで唐突に終わっていた。何だこの終わり方は?
封筒の中を見直したが、続きが書かれた便箋用紙はどこにも見当たらない。
同封するのを忘れたのか?いや、この男に限ってそれはない。
と言う事は、男は敢えて私に謎掛けをしたのだ。
手紙の最初の方には、私との距離が近づいてる書かれていた。確かにその通りだ。何かがヒタヒタと近づいてくる気配を感じる…。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
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暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
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「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
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「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
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白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
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あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
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何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
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甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
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私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
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戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
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男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
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「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
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周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
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身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
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由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
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一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
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「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
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「ま、まさか…」
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「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
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「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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fallーー。
無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
牡精を絞り取られたSが、徳子さんに拍手を送る。周りの男女がそれ以上の拍手をすると、徳子さんが恥ずかしげにペコリと頭を下げた。最初のショーが終了したのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
「ああ、Y子さんのお知り合いでしたか。これは失礼しました」男が畏まって頷く。
「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
自分の部屋に戻った後は、暫く下半身を曝したままだった。ベッドに腰掛け股間のソレを弄ってみるが、大きくなる気配は全くない。長い間、セックスしなかった事が原因なのか。答えなど見つかる筈もなく、ショックで頭を抱えてしまう。
しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
そしてもう一つーーー、元彼は手紙で、妻を調教する過程で自慰行為を命令したとあった。
昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
どちらにせよ、元彼からの手紙の内容は、ほぼほぼ事実なのだ。過去の出来事とは言え、それが今に影響を及ぼしている。
妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
「俺はいつもの生で」
私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
暫くそのまま目の前の痴態を見てると、身体が熱くなってきた。この女を何とかしないといけないのではないのか。
その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
「…オマンコよぉ…オマンコいいのぉ」
昨夜と同じ4文字の淫語ではないか。
「あぁんッ犯してぇ、あなた、お願いっ」
切れ切れの鳴きの声に、私の身体は固まっていた。それにしても、今の『あなた』とは誰の事だ。
身体の熱がフツフツと高まっていく。こうなったら私が犯(や)るしかない。この女にブチ込んでやるのだ。
私はズボンを降ろして、股間を露にした。
しかし…昨夜と同じで、シンボルであるはずの男性器が萎んだまま、全く反応しなかったのだ…。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
「ええッ、本当ですか!」
「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
「ほらご主人、アタシのここ、ドキドキしてるでしょ」
由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
告うや否や、映像の由紀子さんはベッドに上がり、四つん這いになって男達に臀を突き出した。
私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
「そ、そうなんですね…」
「ええ、でもこの日の彼女は見学と撮影だけ。それ以外の事…服を脱いで裸を見せたりはしてませんから」
先ほどの羞恥の表情を何処へ隠したのか、由紀子さんは落ち着いた声に流し目まで送って来る。
「あの、男は…元彼はそれで何と…」
「元彼?ああ、あの人ね。うふふ、アタシが指示されたのは、清美さんに刺激を与えて下さいって事だけですから」
「………」
「まあアタシとしたら、いつかは清美さんにもこちら側の世界に来て欲しいと思ってますけどね」
由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
「ええッ!」
「アタシ達は変態セックスを愉しんでるスワッパー夫婦。そんなアタシ達の仲間に、ってね」
「いえ、私達は…」
「ふふっ大丈夫、分かってますって。無理強いはいけませんからね。でも、清美さんの方が先に飛んだらどうしますか」
「と、飛ぶって…」
「ふふ、清美さんの行く末を皆んなが楽しみにしてるんです。あの人と寄りを戻したら…な~んてね」
「き、清美に限ってそんな事は…」
「ふふふ、あるわけないですか?」
由紀子さんが間近な距離から見詰めてくる。
「ご主人は、これまでも清美さんを大切にして来たんでしょ?」
「………」
「たくさん抱いてあげたんでしょうが、彼女の本質をちゃんと理解してあげてたのかしら?」
「本質って…」
「持って生まれた性癖。それって幾つになっても変わらないらしいですよ」
「………」
由紀子さんの言葉が映像のヨガリ声と重なり、雨粒のように降り掛かって来る。
彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
「そうそう、そう言えばねぇ、泊まりでの女子会を検討中なんですよ」
「そ、それは聞いてます…」
「そこで清美さんを試してみては如何ですか」
「え、試すとは?」
「決まってるじゃない。清美さんがそこで飛ぶかどうかよ」
私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
これもあの男の仕掛けなのか。私は完全に翻弄されている。
「ご主人、そうあまり真剣な顔しないで下さい。アタシも問い詰め過ぎました。今云った事は時間があるから、考えておいてくれればいいですよ。それより、こっちの続きを楽しみましょうよ」
彼女の言葉にパソコン画面を向き直れば、由紀子さんが臀を向けてご主人に跨がっている。二つの生殖器が、片方は侵入を繰り返し、もう片方はソレを難なく飲み込んでいる。そしてその摩擦音が、響き伝わって来るのだった。
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テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。
『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
「今のは?」
「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
「あの人…」
「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
「それって、いいんですか」
私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。
映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
私は黙って頷いている。
「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
「ええッ!」
「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
「………」
「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
「大胆に、ですか」
「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
ゴクリ、私の喉が鳴る。
「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。
「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。
『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
「ウフフ、徳ちゃんったら凄いわ。結合の部分が丸見えよねぇ。おまけにお尻の穴まで」由紀子さんが私をチラリと見ながら、ニヤついている。
「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。
「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
「え、いや、それは…」
口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
と、映像が結合の部分から徳子さんの豊満な乳房を抜けて、彼女の表情に移動した。
『いやーーんッ止めて!』
顔のアップに気付いたか、徳子さんが悲鳴を上げる。
『いやんいやん、恥ずかしいッ、清タン、顔は映さないでぇぇ』
徳子さんの懇願にも、映像は彼女のアップのまま。この時の妻の心境も又、どんなものだったのだ。
「あらあら徳ちゃんったら、凄い声ねぇ。でもご主人、彼女はねぇ、イヤとか言いながらシッカリ興奮してるんですよぉ。なんせ見られて感じる変態なんだから」
私は驚きに息を詰まられながら、本当ですか、と訊きそうになっている。確かに徳子さんは、自分の逝き顔を見せ付けてるように観えなくもない。
その時、徳子さんの顔がズームアウトされた。同時に腰を振っていた男が、彼女の腿をバチパチと叩いた。
「次は犬の格好よ」
由紀子さんの言葉通りに、二人は繋がったまま器用に体位を変えていく。
「ふふふ、男女が身体を溶接させたまま一体となっての漂流感は、性の醍醐味なのよね」又も由紀子さんが、意味深な言葉を呟いた。私の中には、阿吽の呼吸という言葉が浮かんだ。正常位から犬の格好への移行が、スムーズに観えたのだ。
そして直ぐに、それまで以上の徳子さんの叫び声が上がった。
「どうですかご主人、あなた方夫婦のセックスと、動画の徳ちゃん達とどっちが激しいですか」
由紀子さんの落ち着いた声にも、私は黙り込むだけだった。妻とセックスをしていた頃を思い出そうとしても、その記憶には補正が掛かっているのか、映像の男女と比べると幼稚すぎるものに思えてしまう。
それとだ。由紀子さんは妻から私達夫婦の性事情まで聞き出したのだろうか。それを知って彼女は、今の質問を?
「あ、そろそろ徳ちゃんが逝くわ!」
その瞬間、由紀子さんの声と同時に、徳子さんが最後の雄叫びを上げたのだった。
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居酒屋の個室ーー。
馴染みとなったこの場所も、私はこれまでと違う空気を感じていた。
目の前の女性が、『真木由紀子』と名乗ったからだ。
それはここ最近、頭の中で頻繁に反芻される名前だった。妻の同窓生で、例の元彼の手先となった女性なのだ。あの手紙に書かれてある事が事実ならばだが。
由紀子さんが目の前の席に座り直した。私は緊張を覚えながらも、その素顔を窺う。
身体付きはイメージしていたよりかは若干ふっくらした感じだが、髪の毛が後ろで結わかれているせいか顔は面長に見える。目はパッチリ二重で、口元から覗く白い歯並びには清潔感を覚える。その雰囲気からも、才女と呼ばれていた理由が垣間見える気がした。
「あのぉ、そんなに見詰められたら、何だか恥ずかしいわ」
その声に私は、ハッと我に帰った。
「ええ、すいません。でも、どうしてここに?」私は緊張を残したまま訊ねてみる。
由紀子さんは私をチラリと見て、先に何か注文をしましょうとメニューを指し出して来た。
私がいつものビールを頼むと、由紀子さんも同じ物と摘みを何点かオーダーした。
ビールと摘みが届くと、由紀子さんがジョッキを持ち上げた。それに合わせて、私は持ったジョッキを黙ったまま目の前で上げた。
彼女は美味そうにゴクゴクと喉を潤すが、私はチビリと口を付けるだけ。そんな私は、訊いておくべき事を口にした。
「あの、貴女の名前は清美から聞いて知ってましたが、コレは一体どういう事でしょうか?」
「うふ、先だって清美さんに次の女子会の件で、連絡した事がありましてね。ご主人に了解は取れそうかと訊ねたのですが、その時に話の流れでこのお店の事を聞かされたんです」
「それだけの事で、この店に?」
「いえ、雰囲気も凄く良いからって清美さんが勧めるもんだから、アタシも好奇心で。それでもし、ご主人が居ればと思って店員さんに声を掛けてみたんですよ」
「本当ですか」私は訝しながら訊いた。
「本当ですわ。そして私は、とてもラッキーでした」
「ラッキー?」
「ええ実はね、今夜アタシが、この店で清美さんのご主人に会えるかもしれないって、ある人に話したんですよ。そうしたらね、ふふふ、その人がアタシに頼み事をしたんです」
「頼み事?」
「ふふっ、コレですわ」
意味深な笑みを浮かべて、由紀子さんが鞄から何かを取り出した。私はソレを見た瞬間、息が止まりそうになってしまった。
彼女が手にしていたのは、USBメモリだったのだ。しかも、前回男から送られ来た物と同じやつではないか。
「それと手紙は届いていませんか」
「ええッ!」驚きに持っていたジョッキを落としそうになってしまう。
目の前に座る由紀子さんが、手紙の話を出すと言う事、そしてUSBを持っていたと言う事は、あの男と繋がってる証拠ではないか。
「それで手紙は?」由紀子さんが、私の様子を窺ってくる。彼女は、これまでの手紙の内容も知っているのだろうか。
「持ってるんですね?」彼女が私の目を覗き込んできた。
私はコクリと頷くと、横に置いてあった鞄に手をやった。手紙と一緒に、ノートパソコンまで無意識に取り出している。
「うふふ」由紀子さんが私の様子を見てか、怪しげな嗤いを立てた。
封を開けてみれば、中身は便箋が1枚だけだった。私は彼女の視線を気にしながら読み始める事にした。
【こんにちは。
今回もUSBを同封しようと思っていたのですが、由紀子さんから連絡があって、ひょっとしたら清美さんのご主人と会えるかもしれないと申すもので、私も遊び心に乗って、彼女に持って行ってもらう事にしました。
万が一、彼女と会えなければ、直ぐに送るようにしますのでね。
では、無事に女子会の映像が視れますように。】
たった1枚の便箋に書かれた短い文章だったが、私はそれを読んで唸り声を上げた。男の遊び心は見事に成功したわけだ。それと、ここに書かれてある女子会とは、由紀子さん達のいう『社交界』と言う名の怪しい集まりの事なのだ。
これで由紀子さんが妻の元彼と名乗る男と、完全に繋がっている事が分かった。手紙の中にも『Y子』ではなく『由紀子』と書かれているのだ。
「何て書いてあるんですか」由紀子さんが私の手元を覗き込むように、少し身を乗り出した。
「当ててみましょうか。コレの中身は社交…いえ、女子会の映像なんでしょ」由紀子さんがUSBメモリをかざしている。私は、知ってたんでしょ、と小声で呟いた。
「じゃあ、せっかくだから一緒に視ましょうよ」
「ええッ、一緒にですか!」
「そうですよ、だってアタシも映ってるんですから」
「あッ!」
「何をそんなに驚いてるんですか。相良さんだって、パソコンを用意してるじゃないですか」
「え!?」
そうだった。私は無意識のうちに、手紙と一緒にノートパソコンまで出していたのだ。
「さぁ、アタシは覚悟が出来てるんですよ」
由紀子さんは『覚悟』と口にしたが、その声は、どことなく嬉しそうだ。声に私を挑発する響きを感じる。
気づけば彼女は立ち上がって、私の隣にやって来るではないか。そして座ると、USBをセットした。
「さぁ早く、再生して下さぁい」由紀子さんが私の耳元で、少し呂律の怪しくなった口調で囁いた。
この映像には、妻も映ってるかもしれない。そう思うと体温が上がってくる。それでも私の指は、何かに操られるように再生をクリックした。
「それと最初に言っときますけど、これって2次会の時のものですからね」
「え、2次会と言うと…」
「1次会はこのお店みたいな居酒屋だったの。その後、場所を移動したんですよ。少し遠かったけどタクシーでね」
由紀子さんの酒臭い息が、私の横顔に掛かる。彼女にとっても酔わなければやってられない…いや視てられない映像なのだろう。
「あのぉ、2次会のメンバーっていうのは…」
「ああ、その日のメンツね。えっとね、アタシと清美さんに徳ちゃん。あ、徳ちゃんって言うのは」
「大田徳子さんですよね」私は断って、そして続ける。「その3人だけですか、他には…」
「ああ、珠美さんの事ね。珠美さんはこの日も1次会で帰っちゃったのよね。彼女、子供がまだ中学生で難しい時期みたいでぇ」
いや、そうじゃなくて…。私は、妻の元彼の存在が気になっているのだ。
「あの、男子は…」
そこで彼女は、私の知りたい事を察したようだった。
「そっか、うんうん、あの人の事ね」
由紀子さんが呟いた瞬間、同時にパソコンの中から女性の絶叫が聞こえたのだった。
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次の日、私が目を覚ましたのは、朝の10時を過ぎた頃だった。
起き上がって欠伸を一つすれば、頭の中に夕べ視たSMチックな寝取られ動画の映像を思い出した。
2本の動画はいずれも中年の人妻が主人公で、夫の前で男に翻弄されていくものだった。私は人妻を妻の清美に、夫役を自分に投影していた。
動画の残像に苦笑いを浮かべて立ち上がろうして、枕元のスマホの点滅に気がついた。
見ればLINEの知らせだ。
『声を掛けても全然起きないのでLINEにします。今日はこれから買物に行って来ます』
私が爆睡している間に、どうやら妻は出掛けたようだ。
寝不足気味のまま食事を採り終えた私は、もう一度夕べの動画を視てしまった。
妻が帰って来たのは、夕方近くだった。買物にしてはかなり長いものだったが、私は特段責める事もなかった。妻が元彼と密会していたとは思えないし、そんな証拠もない。あるのは私の妄想…と想いたい…。
「夕べも遅かったんですね」
妻が話し掛けて来たのは、彼女が夕飯の準備でキッチンに立った時だった。
「ああ、そうだった…LINEを入れるの忘れてたっけ?」私はソファーから顔だけを向けて答えている。
妻は私の質問に応えるでなく「またあの居酒屋ですか」と、訊いてくる。
「うん、そうそう、あそこで残業をね」
「そうですか、また行ってみますか」
その言葉に、私はキッチンに振り向いた。
「そ、そうだね」
このところ冷たく感じる妻からは、思いもよらぬ誘いだ。
それから私達は、お互いの予定を確認し合って、次の水曜日に先日と同じ店で待ち合わせる時間を決めたのだった。
週明け出社すると、急ぎの仕事が舞い込んできた。この分だと出張が入りそうな気配を感じてしまう。
そんな中、水曜日がやって来た。日中は仕事に追われ、妻との呑み会の事を考える余裕もなかった。頭の中には『元彼』に『由紀子』『徳子』の名前があるが、2回目の女子会の事を含めて、どのように話を持ち出せばよいか整理が追い付いていない。
それでもこの日、仕事を終わらせた私は、なるべく遅れないようにと先日の店に向かった。
今夜も店には、妻が先に来ていた。私は個室の扉を開けると、前回と同じように「遅くなってゴメン」と、頭を下げている。
店員にビールと摘まみの注文が終わると「最近また忙しくなったみたいですね」妻から話し掛けて来た。
「そうだな、そのうち出張があるかも」
私の返事に頷きながら、妻は「今週も夜はここで残業ですか」と、続けて訊いてきた。
私は苦笑いしながら頷くだけだ。
例の男からの手紙を読む為に通うようになったこの店。それ以来ここに来る理由を、妻には残務と説明していたのだが、はたして彼女が、ノマドワーカーのイメージと私を結び付けたかどうかは分からない。
そして私は、男からの次の手紙の事を考えている。前回の手紙には次の期日は書かれていなかったが、明後日の金曜日には届きそうな気がしているのだ。
「ねぇ、どうしたの、私の話聞いてます?」
ふと顔を上げると、妻が首を傾げている。
「いや大丈夫だよ。そうだな、ひょっとしたら週末もここにお世話になってるかも」と云って、私は笑ってみせるのだ。
それから暫くの時間、私達は黙々と摘みを口に運び、ビールを何杯かお代わりした。
「ところで貴方、最近ボォっとしてる事が多くないですか」
「え!」
「何か悩みとか、心配事でもあるの?」
妻の表情を観れば、頬を朱く、目には酔いの色を浮かべて私を窺っている。
「いや、別に…」私の口は勝手に動いていた。が、心の中では…あのな、気になっているのは、お前の事だよ、清美の過去の男と同窓会の事だろ、と呟き掛けている。
「それよりだよ、清美の方はどうなんだい。女子会の約束はないのかよ」
「ああ、3回目の女子会の事ですね。ええ、実は…」妻がジョッキを置いて、視線を真っ直ぐ向けてきた。
「今度は泊まりでやろうって話も出てるみたいなんです…」
妻のその言葉に、私の喉が鳴った。
「お、おい、それって初耳だよな…」
私のしどろもどろの声に、妻が肩を竦める。「ええ、実はそれの了解を頂こうと思ってまして、それで今夜…」
「了解って…まだ計画中なんだろ?」
「そ、そうです。だから、貴方の意見を…」
「意見って訊かれても…」
妻が何の予兆もなく、私を飲みに誘った理由が分かった気がした。
男も一緒に行くのか、私の頭はその事を追求しろと指示しているが、言葉が出て来ない。
すると妻が、言い訳するように話し始めたーー。
彼女の説明によると、つい先日、由紀子さんから企画に対する伺いがあって、家族から了解が取れるか探っておいて欲しいとの事のようだった。
妻の説明を聞いても、私はその申し出には、曖昧な返事に徹するだけだった。そして私の中には、モヤモヤだけが残ったのだった。
金曜日の昼間、7通目となる手紙が届いた。
しかしソレは、これまでと比べて厚みが1番薄いものだった。USBメモリが入ってる気配はどこにもない。
それでも私は、逸る気持ちを抑えて仕事をこなし、予約した時間に遅くれないようにと、いつもの居酒屋に向かう事にした。
店に入ると、馴染みになった若い店員が声を掛けて来た。
「相良さん、お連れ様がお待ちですよ」
笑みを浮かべる彼の顔を見ながら、私は一瞬キョトンとした。『お連れ様』とは誰の事だ。
しかし、考える間もなく閃きが来た。
妻の清美が来ているのだ!私は疑う事なく個室へと足を運んだ。
個室の扉を開けた瞬間、足が止まった。見知らぬ女性が一人で居るのだ。その女性が、私を見上げる。
「相良さんですよね、清美さんのご主人の」
私は、立ち上がったその女性を、呆然と見詰める。
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USBメモリを鞄に仕舞って、会計を済ませた私は店を後にした。
今夜は酔いを覚ます、と言ってもそれほど酔ってはいなかったが、少し遠回りをして家に帰る事にした。
夜道を行けば更に頭がスッキリして来た。その頭の中に二つの影を思い浮かべる。妻の清美の顔と、まだ会った事のない元彼の男だ。
元彼が言う高校時代の真実、結局その真意は分からない。USBメモリの中には、妻の告白が無かったからだ。
今回のUSBから分かった事と言えば、由起子さんと徳子さんの秘密の性癖と『社交会』の存在が明らかになった事だ。
そして最後に、由起子さんはその社交会を2回目の女子会という事にして妻を誘っていたのだ。
そして妻は、その『女子会』に参加している。いや、由起子さんは『見学』と表現していたが、その真意を妻に問い詰める勇気は、今のところ私にはない。その時の様子は、次のUSBメモリでも来ない限り分からないのだ。
そう言えば、今回の手紙にも次の手紙の期日が書かれていなかった。レコーダーからUSBへのコピーの作業が終われば、送られて来ると思うのだが。
家に着けば今夜も妻は寝入っていた。ここ最近の彼女の冷たい態度は、こう言うところにも現れていると思ってしまう。
私は静かにシャワーを済ませて、寝る支度に入った。
疲れた身体は直ぐに眠りを求めると思ったが、睡魔は中々やって来てはくれなかった。
私はベッドを抜け出し、ノートパソコンを取り出した。あの会話をもう一度聴きたくなったのだ。
USBメモリをセットして、最初から再生する。
妻の喋りの部分には特に注意をはらったが、私の記憶に間違いはなかったようだ。妻が自ら過去に付いて語る場面はなかったし、最近の心境に触れるところもなかったのだ。
ただし、この録音は1回目の女子会だけのものなのだ。
それにしても、妻の友人達の生態の方に驚きを覚えてしまう。
真木由紀子さんも大田徳子さんも、れっきとした人妻であり主婦でもある。そんな二人が、怪しい秘め事をしている。由紀子さんは夫公認で、徳子さんは完全な浮気だ。彼女達の告白を聞いた妻は、その時どう思ったのだろうか。妻自身は性欲に関して『それほど』と曖昧な言い方をしていた。しかし『ゼロでもない』と、微妙に認めた感じだ。
そして妻は、本当に2回目の女子会=社交会で、友人達の姿を見学したのか。由紀子さん達は、どんな姿を見せたのだ?社交会の中身が、凄く気になってしまう。それはやはり、アダルトビデオのような世界なのだろうか。
私は会話の再生を止めて、あるワードを検索にかける事にした。
『スワッピング 乱交』キーを叩くと、画面にエロ動画サイトの一覧が並んだ。
中から私は、熟女ものの動画サイトを選択してクリックした。
目に飛び込んで来たのは、幾つものそれらしい画像画面と、スケベ心を煽るサムネの数々だった。
私はプレビューを流し読みしてから、その中の一つ、中年夫婦のスワップらしきものを視てみる事にした。
その動画は素人の投稿物ではなくて、プロの業者のビデオ映像で60分以上のドラマ仕立てのもだった。
そしてそれは、偶然なのか社交会…いや秘密のパーティーに迷い込んだ中年夫婦の話だった。
ビデオの主人公は役所勤めの人妻。女は夫の上司に騙され、夫婦揃って怪しげな集まりに参加する事になる。
夫婦は目の前で披露される同年代の人妻の痴態に激しいショックを受ける。そんな夫婦の横に夫の上司が座って、性の手解きをする物語だった。
ドラマの中、上司の男は慣れた口調で、夫婦に奥深い暗示を投げ掛けたーー。
『奥さん、恥ずかしがらずに目の前の女を見てごらんよ。この人も貴女と同じ人妻なんだ。年齢だって貴女に近い』
場面はホテルのスウィートルームで、ベッドの回りを数組のカップルが取り囲んでいる。
ベッドの上には素顔の中年女性と若い男。二人は生まれたままの姿で、絡みを披露している。
『ほらね、優れた女の身体ってのは男に合わせられるものなんだ。男が鋳型であるなら、女は液体ってな。どんな形にも納まるのが良い女ってわけだが、じゃあ男の鋳型に合わせられない女はつまらないのかと言うと、そうも言い切れない。開発前の女もいるからね。大事なのは女の意思。男を前に人形になるんじゃなくて、自発的な意志を持つ事なんだよ。
この奥さんも最初は自分の道具を貸すだけだったが、ようやく分かってきたようだ』
夫の上司の声を耳元で受け止め、人妻は静かに前を向いたまま。この女性も耳を性感帯に、男の声を受け入れてるように観える。
『男ってのは自分の欲望本位に行動する事が多いが、この彼は若いけど経験が豊富なんだ。場数を踏んでるから解約精神が発達していて、相手が肉体の賃借関係として割り切って行為に臨めるんだよ。奥さん、分かるかな?』
男の言葉の意味が分かったのかどうかは分からないが、主人公の人妻は微動だにしない。
『おや、女の方に我慢が利かなくなってきたかな。この二人は何度か身体を合わせて厭らしい表現に阿吽の呼吸が生まれるようになったが、女の方はまだまだだな。どうやら今夜の勝負は、男のものだ。
さて、時間はと…』
男の視線の先が画面に広がり、ベッドの上では女の動きが激しく、絶頂を迎えたところだった。
ビデオの中、女が最後の雄叫びを上げたシーンを視て、私は大きく息をついた。自分でも思った以上に、映像にのめり込んでしまっていた。
頭の中には、獣そのものになって、折り重なり、呻き、のたうち回っていた浅ましい女の残像がある。
男女の絡みのシーンも印象にあったが、ストーリー性にも胸を抉られる想いがあった。
ベッドにいた女は若い男に手駒にされ、客相手に痴態を曝す女に成り下がったのだ。そしてその様子を見ていた人妻は暗示に掛けられ、やがては同じような女へと変貌を遂げるのだろう。
しかもこの人妻の横には、夫が座っていたのだ。夫はベッドの女と、隣の妻の先行きを重ねていたのだろうか。
と、私はビデオの上司の男が、妻清美の元彼とダブって観えた。
動画はまだ半分も過ぎてなかったが、私は一旦止めた。そして水を一杯飲みに行く事にした。
キッチンで水を飲んだ私は、自分の部屋に戻る前に妻の寝室を覗いた。
妻は鼾も掻かず、静かに寝入っている。その寝顔からは、罪の有無を感じない。
しかし女と言う生き物は、裏の顔を隠し持っているものなのだろうか。
真木由紀子さんに大田徳子さん、私は彼女達の赤裸々な告白をUSBで聞いている。いや、彼女達からすれば、あれは告白といった大袈裟なものではなくて、面白い遊びを見つけた少女の自慢話なのかもしれない。
そんな考えを頭の隅に霞ませながら、私は自分の部屋に戻る事にした。
時計を見れば、深夜の1時を過ぎたところだ。それでも何故か眠気を感じなくなっている。
私は別の動画サイトも見てみる事にした。
次に視る気になったのは、SM物だった。サムネのプレビューを読むと、妻が夫の前で調教を受ける話だ。そしてコレも、ドラマ仕立ての物のようだ。
画面にいきなり広がったのは、テーブルに大の字に縛られた女性の姿だった。そしておっ開げられた股間の前には、男の生尻だ。
『さぁご主人、これからこの美しい婦人の体内に私の夥しい体液を吐き出させて頂きますよ』
ビデオの男は言うなり、婦人と呼んた女性の股間に反り勃った肉の棒を突き刺した。
映像のアングルは男の後ろ姿を捉え、筋肉質な生尻が規則正しい動きを続ける。バンザイの格好でテーブルの脚に両腕を結ばれた婦人の姿は、私の目には虫ピンで止められた蝶のように観えた。
婦人の口からは『嫌よ嫌よ』と、抗いの声が上がる。しかしやがて『やっぱりいいわ!』感泣の声に変わった。
『そうですよ奥様、飢えた人間にテーブルマナーは不要ですよ。さぁ遠慮なさらずに』男が腰を振りながら、婦人を追い込んで行く。
男の言葉に、むっちりと実った婦人の美しい御足が、男の腰を挟んで跳ね上がった。婦人のその様は、完全に己の保身反応を麻痺させている。
『ヒィーヒィーっ』ビデオの声が、妻の声に重なって聴こえるようだ。男に串刺しされて蠢く婦人の姿も、妻に重なって行く。
両腕をロープで、腰を男に制圧された不自由な状態で、のたうち回る婦人は、麻薬の禁断症状から逃げ惑おうとしてるようだ。
『もっともっと抉って下さいッ!』
『あらあら奥様、なんて品格のない言い方を』ビデオの男がニヤリと嗤う。
『うううッ、だって…』
『はいはい、分かりましたよ。私の物がもっと欲しいのですね』
『そう、そうなのっ、だからもっと激しく突いて下さいッ!』婦人は必死に追いかけている。本当にあと一歩のところなのだ。しかし男が、お預けを喰らわせて女体を支配している。
私はそれが造り物のビデオである事を忘れて、ノンフィクションの出来事に覚えてしまっていた。
「清美…」私の口から無意識に妻の名前が出た。妻もビデオの婦人のように、元彼の残酷で不完全燃焼な責めに、我を忘れた事があったのだろうか。私はもう一度「清美」と呟くと、拳を握りしめた。
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妻の元彼からの6通目の手紙を封筒に戻すと、私は鞄からノートパソコンを取り出し、立ち上げた。
USBを差し込み、イヤホンを耳にセットする。個室にいても、音漏れには注意したい。まして何が飛び出して来るか分からないのだから。
起動が始まって暫くすると、聞こえて来たのは女性の笑い声だった。
この時の2次会の場所も、由紀子さんが幹事を務めたのなら、外部からの干渉に気をつけて個室を用意したに違いない。そしてこの部屋にいるのは、妻の清美と由紀子さんに徳子さんだ。
彼女達の話し声が大きくなってきた。妻の声は直ぐに気づき、他の声も名前と一致させる事が出来た。
ひときわ大きな声で喋ってるのが、徳子さんだろう。由紀子さんの声は、酒のせいか砕けた感じに聴こえる。
『それでさ、ちょっと清タン聞いてよ。由紀ちゃんって凄いんだから。ねぇぇ。』
徳子さんが話題を変えてきた。
『ふふふ、アッチの話?そうねぇアタシは結構お盛ん、かな』
徳子さんの声に応えるようにか、由紀子さんの声も大きくなっている。
『ところで清美さんさぁ、実はずっと黙ってたんだけど高校の時さ、貴女に変な噂が立った事あったの、知ってた?』
由紀子さんの声に続き『え!』妻の驚きの声が聴こえた。
『清楚で男子に人気者だった田中清美は、実は変態セックスしてるっていう噂よ』
由紀子さんの詰問調の声に、こっちの息が止まりそうになった。
そして暫く無言が続き、やがて再び由紀子さんの声が聴こえた。
『うふふ、その表情、黙ってるところを見ると噂は本当だったのかな?』
『な、何の事だか…』
『えへっ、別にいいじゃない昔の事だしさ。それにさっきも告ったけど、アタシもこう見えて、実は遊んでるのよね』
由紀子さんの呂律が怪しくなってる気がする。さすがに酔わなければ話せない内容だ。
『実はね、同窓会で清美さんを久し振りに見た時に、今云った昔の噂を思い出したのよね。でも、そんな話題をその場でなんて出せないでしょ。だからねぇぇ』
由紀子さんが語る流れに、男の手紙に書かれていたある場面を思い出した。
確か2次会の席で、元彼がテーブルの下で妻の手を握ったところを、由紀子さんが見たのではなかったか。
『それでねぇ、1度気になりだしたら、ずっと気になっちゃってさ…ふふふ、それでここに来る前、つい徳(のり)ちゃんに話しちゃったのよね』
由紀子さんの語尾は、徳子さんに向けたものだった。
『そうそう、それで私も本当!?って驚いたのよね』徳子さんの声が、1オクターブ上がっている。
『私もさ、卒業してから色々あったし、人って変わるからさ、大概の事は驚かないんだけど、清タンが変態チックな遊びをしてるなんて』
『徳ちゃんちょっと違うわよ。清美さんがエッチな事をしてたのは、昔の話で今は知らないわよ』
『あ、そっか。でもさ、今はどうなの…ねぇ清タン、今はどんな感じ?欲求不満とかないの?』
会った事のない徳子さんだが、その姿が目に浮かぶようだった。ポッチャリの身体を乗り出し、好奇心に目を見開く姿だ。妻の方は俯いたまま、頭を小さく横に振ってるのではないだろうか。
『徳ちゃん、清美さんはねぇ、やってるって、うん間違いないって。ご主人とやってなかったとしても、他にねぇ…ふふふ』
『あーそれってオナニー?』
『あらあら、徳ちゃんったら。でもオナニーは勿論、他にも凄い事をやってると思うわ。だって清美さんは、へ、ん、た、い』
『いゃ~ん、清タンって変態だったんだぁ。でも何だか嬉しいっ』
『ふふっ、徳ちゃんとどっちが変態か、試してみたいわね』
『由紀ちゃんだって変態でしょっ』
『そうよ。アタシはずっと前から変な遊びをしてるわ』
『うんうん、知ってる知ってる。私も恩恵を受けてるし』徳子さんが楽しそうに声を上げる。
『でもね清美さん、人様から後ろ指を刺される秘匿の行為って、考えただけで興奮するわよねぇぇ』
由紀子さんの言葉に、徳子さんの相づちの声が聞こえる。妻はどんな様子なのだ。妻の声だけがなかなか聴こえて来ない。
『ほらぁ、アタシ達って夫婦でやってるでしょ』
由紀子さんが、そう言った瞬間だった。妻の『ええっ!』と驚きの声が聞こえた。
『あら、そうなのよ。アタシ一人で遊んでるわけじゃないの。きちんとしたパートナーがいるのよね』
『そのパートナーって』妻の小さな声がする。
『多いのは家の主人だけど…他にも肌を合わせる人達はたくさんいるわ』
由紀子さんの語尾には、力強さがあった気がした。酔ってるからか、それとも秘密を曝して開き直ったか、相手に迫る勢いが伝わって来るのだ。
『あらやだ清美さん、あまり変な目で見ないでよ』
『そんな、変な目だなんて…』
『ふふっどう?昔の知り合いが、教師のクセして変態だったら。しかも旦那も教師なのよ』
『………』
沈黙が流れ、私も息を飲んで次の言葉を待っている。
『…でもねぇ、教師って凄いストレスが溜まるの。最初は良くないのは分かってたけど、周りの教師仲間におかしな性癖の人がいてね』
そこからは由紀子さんがその世界に入った経緯が話された。その間、妻の声は聴こえくなったが、どんな気持ちで由起子さんの話を聞いていたのだろうか。
『…と言うわけで今に至るわけ。因みに徳ちゃんとは、卒業後もちょくちょく会っててね、互いの愚痴を言い合ってたのよ』
『そうなんだ』やっと妻の声が聴こえてきた。
『そう、それである時、アタシがスワップの世界に居る事を喋っちゃったのね』
『そうそう、私も聞いた時はビックリしたわ』徳子さんの出番が来た。『でも私って、昔からエッチにはかなり興味があったからね』
今度は徳子さんの身の上、いや下半身の話が始まった。彼女は結婚して子供もいるが、子供が出来てからはご主人とセックスレスの日々が続いていたのだった。そして欲求不満が我慢出来なくなった徳子さんは、由紀子さんに誘われるまま秘密のパーティーに顔を出すようになったのだ。
『さぁ皆んな話したわよ。次は清美さんよ』由紀子さんの口調が、ますます馴れ馴れしく聴こえる。
『わ、私は、そうねぇ…』
妻の呟きに、ゴクリと私の喉が鳴った。
『しゅ、主人には何の不満もないわ』
その言葉に、私の口から、ホッと息が漏れた。
『それに私には…それほど…性欲?それも特には…』
『………』
再び沈黙が流れ、その中で私は、妻の言葉を頭の中で反芻した…妻に性欲は無いのか。それは本音なのか。それとも昔の友人を前に、まだ本当の気持ちを話せないでいるのか。
『ふぅ~ん、そうなんだぁ…でも、性欲がゼロって事はないでしょ』何処となく咎めるような由紀子さんの声がする。
『そ、それはまぁそうだけど…』
『そうよね、うん、そう思うわ。たぶんだけど、清美さんはトラウマがあって殻を被っているのかもね』
あッ、私の口から声が上がった。
トラウマ、確かにそれはあるかもしれない。
若い頃の変質的な経験が、精神に悪い影響がいかないように、妻は無意識にバリアを張って生きてきたのだろうか。
『でもさ、性的欲求があるなら、無理しない方がいいと思うわ』由紀子さんの言葉が、どことなく教師の口調に聴こえる。
『ねぇ清美さん、今度ちょっと付き合ってよ』
『え、何!?』
『ふふっ、そんなに構えないでよ、最初は見学だけだから』
『見学?それは何…』
『それはねぇ』徳子さんの声が割って入って来た。『私達が定期的に行く社交会があるの。名前の通り社会的信用のある人だけが参加できる集まりで、でも紹介者がいれば私みたいに参加が許されるの。だから清タンも大丈夫だから』
『そうね、清美さんは口が堅そうだし、それに真面目だし。あ、真面目っていうのは普通に社会生活を送れるって意味よ』
『ちょっと待って、私行くとは…』
『ふふっ、もうダメよ。アタシと徳ちゃんの秘密を聞いたんだから、自分だけ良い子でいるのは』
『それは…』
『そうね、じゃあ取り敢えず次の予定が決まったら連絡するからね』
『お願い待って。だから行くなんて一言も…』
『まぁ考えておいて。でもアタシ、清美さんは必ず来てくれると思うわ。ほら昔の貴女、あの噂が本当なら身体の中には淫猥な血が流れている筈よ。その血に逆らうなんて、出来っこないんだから』
由紀子さんの今の言葉には、粘着質な響きを感じた。まるで、蜘蛛が獲物を糸で絡み取るようなイメージだ。
『でも安心して、今夜の事だって誰にも喋らないからね。それに秘密を隠しておく事って、それだけで快感でしょ。貴女なら分かるわよね私の云いたい事。とにかく決まったら直ぐに連絡するからね。ああ、そうだ。その時はまた女子会って事で声を掛けるから、ご主人にもそう言って家を出てくるといいわ』
その瞬間、私は大きな声を上げていた。と言う事は妻の2回目の女子会、あれはまさかの怪しい集まりだったのか。
私は暫くの間、呆然としていた。
どのくらいの間そうしていたのか、気づいて時にはUSBの再生は終わり、個室内には静けさが漂っていたのだった。
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妻の元彼からの5回目の手紙を読み終わり、私は大きな溜め息を吐き出した。
手紙の終わり方がどうも気になってしょうがない。これまでは必ず、最後に次の手紙が届く時期が書かれていたのに、今回の手紙にはそれがない。
男の動きが、現実の時間の流れに追い付いて来たのも原因だろうか。
私は頭の中で時系列を整理しようと思った。
同窓会が開催されたのは、もう2カ月以上前の事だ。そしてこの2カ月の間に、2回の女子会があった。
私はその間、妻の雰囲気に鈍色の匂いを感じて妄想を浮かべ、それに合わせて男からの手紙に取り込まれていった。そんな私を、男は離れた所からどう思っていたのだろうか。男は自分の欲望の為に由紀子さんを通じて、何かの仕掛けをした筈なのだ。ターゲットは妻の清美、それに私もか?
だが…妻が誰かに誑かされたり、脅されてる気配は感じない。娘の所に泊まりに行くのに家を留守にした事はあったが、特に怪しいところはなかった。
ただし、先日から妻の態度が硬く、どこか冷たいのだ。
結局、今夜も私はモヤモヤとした気持ちと共に帰宅するしかなかった。
この日の夜から、私は妻に何かしらの痕跡がないものかと、これまで以上に気にするようになった。今一度見たいのは、彼女のスマホにある同窓会と女子会の写真だが、スマホはさすがに見る事が出来ない。
だからと言って、根拠のないところで妻を問い詰める…清美は元彼の男と連絡を取ってるだろ…等と訊く事など出来るわけがない。
しかしだ。
ひょっとしてこれは過ぎた妄想ではないのか。5通の手紙に書かれた内容も、大半が男の妄想話ではないのか。私はとんだ見当違いをして、知らずのうちに、己が築き上げた袋小路に迷い込んでいるだけなのではないのかと、時おり自分を問い質す声が何処からともなく聞こえて来る。
だが、少し前に部下との会話で耳にした『寝取られ』と言う言葉。
自分の妻を他人に差し出し浮気を勧める夫。そして妻と他人の交わりを想像したり、実際に覗いて性的興奮を得て喜ぶ夫。
私自身にこういった性癖があるとは、一度だって思った事がない。それでも冷静に振り返ってみると、元彼の手紙に何度も興奮した覚えがあるのだ。
同窓会の真実を訊いてみようかと言う考えは常にある。だが、手元にある5通の手紙を妻に見せて、色々と問い質す事が出来るのかと、自分自身に問い掛ければ答えはNoだ。中身があまりにも異常すぎるし、それにもし本当の話だとしたら、妻が傷つく恐れがあるからだ。
結局のところ、同じ自問自答が何日にも渡って繰り返されるだけだった。
男から次の手紙が来たのは、前回のものが来てから1週間後の金曜日だった。
職場で見慣れた茶封筒を手にした時は、これまでとの違いを感じた。厚みが今までのものとは違うし、上から触った手触りも違うのだ。中に何かが入っている。
早速その日の夜に、いつもの居酒屋に行った。顔馴染みの若い店員が、ニヤニヤ笑って迎えてくれた。彼の顔には、先日の女性は誰ですかと書いてある。私は構わずに、ビールと摘まみを頼むと手紙を取り出し、封を開けた。
厚みを感じていたのはUSBメモリだった。私はソレを持って暫し考え込んだが、直ぐに手紙に目をやった。
【こんちには。
ご主人は今回の手紙が、いつ来るかいつ来るかと気を揉んでいたのではないですか。】
いきなりのその文章に、男の薄ら笑いが透けて見えた気がして舌打した。
【実は同封したUSBメモリ、これにレコーダーで録ったものを移しかえる作業に手間取ってましてね。時間が読めなかったので、前回の手紙には期日が書けなかったのです。ダメですねアナログ人間は。
でも何とか編集が終わり、無事にコピーする事が出来ました。】
私はふうっと、安堵の溜め息を吐き出した。この男に人間らしい一面を見た気がする。
【このUSBには何が録音されているかと言うと…いや、その前に前回のおさらいをしましょうか。
同窓会の3次会の後に、Y子とバーに行った所からです。あの店で私とY子は、互いが持ってる性癖を曝しあいました。お互いに弱みを見せ合ったという言い方も出来ますが、それでも力関係は私の方が上なのは、Y子も気づいていた筈です。
失うものがどちらが大きいかと言えば、向こうは現役の教師でおまけに夫婦揃ってですから、私のしがない身分と比べれば一目瞭然です。彼女達の変態遊戯の証拠などありませんが、SNSで吹聴すれば一発です。その現実に気付いた事もあったでしょうし、なので彼女は、私の指示に従う事になるのです。】
今度は唸り声が上がった。この男の老獪さに舌を巻きそうになってしまう。
【ではご主人。
これはY子にも話した事ですが、私の元に同窓会の案内状が届いた時の事もお話しさせて頂きます。
あの案内状を読んだ時、私の中に何十年も前の清美さんと過ごした出来事が蘇って来たのです。私はあの頃の後ろめたい快楽の渦に巻き込まれた日々を思い出して、清美さんの中にも昔と変わらない性癖や資質が今も生きてるのか、確かめてみたくなったのです。
そして彼女が、その性癖を今に活かせてないら、私が手助けをしたいと考えるようになったのです。】
そこまで読んだ瞬間、私は胸が苦しくなってしまった。そして今の箇所を読み直した。
妻の清美が『性癖』を今に活かせてないとは、どう解釈すればいいのだ。私は暫し考えを巡らせた。するとジワジワと男の云いたい事が分かった気がした。
それはーー清美が思春期に体験したマゾヒズムな奴隷生活。その時の変態セックスが染み付いていたなら、妻はその後の性生活に満足がいく事なく、何十年も自分を欺いていた事になる…元彼の男は、そんな妻の心と身体を開放しようと云いたいのか。
【同窓会で実際に清美さんと接して、私は彼女からある気配を感じました。そしてその気配の正体を確かめる為に、計画を立てる事にしたのです。
偶然にもY子という秘匿な性癖の持主を見つけた事も、後押しになりました。そして彼女を、協力者に仕立てたのです。
私は例のバーで、Y子に女子会の開催を指示しました。そしてそこで『貴女は自分自身の性癖を清美にカミングアウトして、彼女に刺激を与えろ』と云いました。それを聞いたY子は躊躇した素振りをみせましたが、既に私の傀儡です。
『教師のスキャンダルはネット民の格好のネタだよね。拡散されて、貴女達夫婦の変態行為がバレたら大変でしょ。だから頼んだよ』と、脅しも念を押しておきました。
そして私は、1週間後にもう一度会う事を彼女に約束させたのです。】
男の言葉、いや文章からはこの男の陰湿さが嫌と言うほど漂って来る。しかし、由紀子さんも変態気質の持主なら、逆に喜んで男の計画に協力したのではないだろうか。
私は、会った事のない由紀子さんの事を考えながら、次の文章に目をやった。
【1週間後、Y子を呼び出したのは、とあるシティホテルの喫茶室でした。その時の彼女によれば、1回目の女子会の準備は既に進んでいると言うので、仕事の速さに感心したものです。そしてもう一つ、驚いた事がありました。Y子はその場に、ご主人を連れて来てたのです。
私の前に座ったご主人は終始オドオドしていましてね、夫婦の秘密を拡散されないかと、そればかり気にしてる様子でした。
私は、Y子さんがこのまま協力を拒まないなら、貴方達の事は誰にも話さないし、SNSで拡散する事はないと改めて約束しました。と言っても、その時の喫茶室の会話はICレコーダーにこっそり録音してたのですがね。】
ICレコーダーは名前こそ耳にするが、実際に手にした事はなかった。私はスマホで『ICレコーダー』と検索した。
画像を見て説明を読めば、なるほどと思えてくる。想像していた以上に盗み録りに適した物のようで、しかも見た目がソレと分からない物がたくさんある。
【さて、土曜の夜でしたが、そこの喫茶室は空いてまして、思った以上に秘密の打合せを続ける事が出来ましたよ。
会話が進むにつれて、目の前の夫婦、特に旦那の方はマゾだと確信しました。彼等がやってる夫婦交換やパーティーでも、この二人の役割がよく分かるようでした。
それでも話を進めて行くと、彼等の目にはサディスト特有の色も観えて来ましたよ。それも不思議ではありません。最近はSとMが同居してる人が結構いますからね。それと、ひょっとしてY子は清美さんに対して嫉妬心を持っていたのかもしれませんね。
遠い昔の高校時代、才女で美人のY子は、人当たりが良くて明るく人気者の清美に嫉妬、これはあり得る事です。Y子がS性に目覚めた原因も、この辺りにあった可能性がありますね。】
私はまたまた唸り声を上げた。まるでこの男が、直ぐ近くにいて、影から歪な嗤いを聞かせようとしてるように思えるのだ。
【私はY子に、先日の話を確認の意味でもう一度しました。女子会では清美を酔わせて、性癖の話を持ち出せと。まずは貴女の方から、自分達夫婦がスワッピングをしてる事を告白しろと。
話しの仕方は任せるが、清美の内面は貴女と同じで変態気質で出来ているから、安心して自分を曝け出せと。
清美が黙っていたとしても、彼女はシッカリ話を聞いている。彼女の耳は性感帯で、貴女の言葉が卑猥なら卑猥なほど、清美の身体はそれを受け入れているからと。
そしてそのうち、清美の方からも愚痴や願望を口にしてくる。貴女はそれに同調してあげれば、後は自然な流れで性癖の暴露に繋がるからと。
話をしながら私は、Y子の中から淫靡な香りが沸き立つのが分かりましたよ。彼女は想像を膨らませて、あの場でアソコを濡らしていた事でしょうね。
それから彼女にICレコーダーを渡しました。二つあるうちの一つです。
Y子はソレを手に取ってしげしげと見てましたね。
最近は卑猥な遊びを動画に撮るのは、珍しい事ではありません。Y子達も経験があるでしょう。しかし私が求めるのは、言わゆる隠し撮りです。なのでY子には、その点に気をつけるように念を押しました。
そこで、お手元にあるUSBメモリです。】
私は、テーブルの上に置いてあったUSBメモリに目をやった。この中に女子会の時の会話が録音されているのだ。
【録音は長時間に及ぶものでした。声は意外なほど鮮明に録れてました。しかしまぁ、最初から卑猥な話題になる筈がありません。乾杯から2時間ほどは、在り来りな話です。ただの呑み会です。そこに集まった4人、清美さん、Y子、N子、そしてTさん。乗りは熟女の井戸端会議で、互いの近況報告から、高校時代に誰と誰が付き合ってた、好きだった等などです。
私は録音された会話を根気よく聞いて、要点よく編集しました。実際にそれらしい会話が聴けたのは、全てこの日の2次会のものでした。
Y子にとって運が良かったのは、Tさんが1次会の途中で帰られた事でした。2次会のメンバーは清美さんとY子に、Y子に世話になってるN子ですから。
そう言えば書き忘れてましたが、N子は少し前からY子の遊びに引き込まれていたようですよ。その経緯までは詳しく訊ねませんでしたが、私は同窓会の3次会の席で、N子の言葉にも怪しさを感じていました。その事をY子に問い詰めてみたら、案の定ビンゴでしたね。】
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それとTさん、『安田珠美』さんの事だ。
妻の話を思い返せば、珠美さんはお子さんの事があって、確かに早めに帰った筈だ。
【ではご主人、今回の手紙はここまでです。後は同封したUSBを聞いてみて下さい。
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何十年ぶりかに、妻と二人だけで行った居酒屋からの帰り道ーー。
その夜道を歩く私には、変な緊張が続いていた。酒の量はそこそこ多く、緊張を失くす為のアルコールだったが効果があったとは言えない。私達は店を出てから、ずっと無言なのだ。
黙ったまま歩き続け、家まであと僅かになった時だ。ふっと覗いた妻の横顔、その唇に艶めかしいものを感じた。
脳裏に閃いたのは、若き日の妻が元彼のモノをシャブル姿、その唇。
気が付けば私は、拳を握りしめていた。その拳が震え出したかと思うと、妻の手に触れた。
ハッとなって手を引っ込めようとしたが、意識とは逆に妻の手を握っていた。
二人で呑むのも久し振りだったが、手を繋ぐのも何十年ぶりかの事だった。
このまま家までの帰路を進むのかと思った瞬間、例の手紙のワンシーンが脳内に広がりだした。
妻の親指と人差し指の間、合谷(ごうごく)と呼ばれる窪みに、私の指が触れている。
元彼はこの窪みの部分を、乳首やクリトリスを撫でるように擦ったと告うのだ。
私の指は蠢き始め、元彼がしたのと同じようにその窪みを指腹で擦り始めていた。
妻の指が、いや身体全体が強張った気がした。しかし私は、そのまま妻の指を折りたたむように丸め、私の人差し指を彼女の指と指の間に送り込んだ
朱い唇からアァっと声が漏れた。
抜き差しを始めると今度は、彼女の指の隙間にしっとりと濡れを感じた。これが元彼が云う潤滑の油と言うやつだ。私の脳がそう呟いた瞬間、私の指は払い除けられていた。
立ち竦んだ妻を見れば、黙ったまま私を見据えている。
「ご、ごめん…」私は咄嗟に謝った。
なのに彼女は、とんでもないものに出くわしたような顔をしていた…。
その夜、床に付いた私は、帰り道のその場面を思い起こしていた。
妻は、私が握った指の動きに何かを察したのではないか。私の指を払い除けたのも、同窓会の2次会で元彼にされたのと同じ場面が、脳裏を横切ったからではないだろうか。
セックスを連想させる指の動きに、彼女が浮かべた相手は元彼だったのか。それとも私…いや、それはない。私と妻のセックスは何年も封印されたままなのだ。
ああ…私、妻、元彼、まるで三角関係ではないか。我々はこれから一体、何処に向かうのだ…。
…次の日から、妻の態度が目に見えて堅苦しいものへと変わっていった。
朝の挨拶、帰宅時の挨拶、それは型通りにあるのだが、声がよそ行きで淡白になった感じなのだ。この空気感は結婚してから初めてのもので、その事に私は、気疲れを感じるのだった。
息苦しさを感じたまま数日を過ごし、週末が近づいてきた。
金曜の昼過ぎには、元彼の男から5通目となる手紙が届いた。
そしてその日の夜、いつもの居酒屋ーー。
【ご主人、こんにちは。
この様な匿名の手紙を受け取って頂くのも、これで5回目ですね。勿論、貴方が間違いなく受け取り、真剣に読んでくれていると信じての言葉です。
私の方も手紙を綴りながら、まだ会った事のない貴方との距離が近づいて来るのを感じております。
いつかは、いや近い内に実際に会う時が来るかもしれませんね。まぁ、その時はお互いどういう気持ちでいるかは分かりませんがね。
では、今回の手紙では同窓会の後に開催された1回目となる女子会、その前辺りの様子からお伝えしたいと思います。】
いつもの便箋に綴られた文字を読み始めて、私は確かに男との距離が縮んでる気持ちを認めた。
顔や体型、髪型などは想像の域を出ないが、この男が陰湿で変態気質の人間である事だけは疑っていない。
こんな男と精神的な部分で繋がってるとしたら、私の中にも同じ様な性癖があるのかもしれない。しかし今まで、自分にアブノーマルな気質があるとは1度だって考えた事がない。妻とのセックスもずっとノーマルだった筈だ。それが清美にとってどうだったのかは、考え込んでしまうところなのだが。
【何十年ぶりかに再会した清美さんと、離れ難い気持ちなった私が、3次会の席でさり気なく口にした一言が女子会の開催に繋がりました。
とは言え私は男ですから、その会に参加させて貰うには当然ハードルがあります。なので私は、作戦を考えたのです。
それはY子への私からのカミングアウトと、提案だったのです。】
Y子の名前、この手紙ではイニシャル表示だが、私は妻との以前の会話で『真木由紀子』さんと知っている。
【3次会が終わり、私達は一旦離れ離れになりました。去り行く清美さんを見届けるのは辛い気持ちがありましたが、それ以上に次への企てに、私は気持ちを高ぶらせておりましたよ。そして次に起こした行動が、Y子と話す事だったのです。
私は、3次会から帰るY子の後を密かに着けて、とある駅を出た所で声を掛けました。運が良かったのは、私から誘った近くのバーに付き合ってくれた事です。
その店で私は、私と清美さんの真実を告白して、Y子に協力を願い出るのです。】
由起子さんの存在がどういう意味合いを持つのか、気になるところだった。男が由起子さんに話した真実とは。そして願い出た協力とは?
【バーでは最初、Y子は少し緊張している様子でした。それはそうです、酒が残っていたとしても陰気な店に男と二人、おまけに彼女は現役の教師ですから。
その彼女とカウンターの端に並んで座り、私はまず、学生時代の清美さんと恋人どうしだった事を告白しました。そして淫靡さを漂よわせながら、清美さんとの過去を語ったのですーー。
遠い日の私達二人の関係は、人様には決して話せないアブノーマルなものだったと。しかしそれは、二人の仲に深い絆をもたらしたと。
短い時間ではあったが、二人は異質な世界に浸り、同類でしか味わえない数々の体験をしたのだと。
結局私達は周りからの圧力もあり、別れる事になったが、互いの中にはあの頃の記憶がちゃんと残っているのだと。そして何より、身体が覚えているのだと。
Y子は私が『身体が覚えている』と云ったところで、ギクリとした反応をみせましたよ。それまでの淫猥さを連想させる言葉も刺激になっていたでしょうが『身体が…』と聞いて、彼女は私と清美さんの関係が、想像以上にアブノーマルである事に気づいたのでしょう。彼女の私を見る目が、それまで以上に信じられないものを見る目に変わっていましたからね。
しかし彼女が見たものは、私の瞳に写った自分自身の姿なのです。彼女もその事に気づいていたのです。
それを見抜いた私は、今度は彼女自身のプライベートに関する質問をしてやる事にしました。
私はまず『Y子さん、コレを飲んで気持ちを落ち着けて下さい。ここからは貴女の内面に迫る話になりますから』と、酒を勧めました。
彼女は一瞬躊躇った表情を見せましたが、目の前の男から自分と似た匂いがする事に気づいていたのでしょうね。それと3次会で、自ら清美さんに話した誘いの言葉も思い出したのでしょう。それは『アレよアレ、旦那とはやってるの?』『アタシ達、大きな声では言えないけど、刺激のある遊びをしてるだ』先ほども書いたY子の囁きです。
そして彼女は、恐いもの見たさか、グラスの残りを一息で呑み干したのです。
呑み終えた彼女はグラスを置くと、挑発的な目を向けて来ましてね。しかし私には、それが強がりだと分かっていました。
私はそんな彼女の手に自分の手を重ね、そして確かめるように云いました。『貴女は…いや、貴女達夫婦はスワッピングや乱交パーティーを愉しんでいますね』とね。
Y子は私の言葉に、目を見開きました。その瞳は驚愕の色に変わっていましたよ。】
予期せぬ展開に、私も驚いた。スワッピングに乱交など、エロビデオの世界ではないか。まして由紀子さんは、現役の教師ではないか。
それにしたって、この男の嗅覚はどうなっているのだ。これほどまでにも、同類を嗅ぎ分けれるものなのか…とすると、やはり清美は…。
【Y子の目は縋る眼差しに変わり、そんな彼女を慰めるように私は云いました。『教師ってのは本当に大変だよね、よく分かるよ。特に昨今はモンスターペアレンツがいれば、教師内での虐めがある。そんな中で世間の目は厳しくなるばかりだし、ストレスは溜まる一方だ。心から同情するよ。』とね。】
男の言葉に、私まで知らずに頷いていた。確かに現代の教師の境遇には同情するところはある。
【私はY子の様子を探るように見続けました。彼女の心の中は、私の同情に対する有り難みもあったでしょう。でもそれ以上に、指摘された事実に戸惑いを感じていたと思います。
私はY子にニコリと笑いかけ、もう一度彼女の手に私の手を重ねました。そして諭してやりました。『気にする事はない。これまでと同じで良い。それより貴女達が感じた性の愉悦を他の人とも分かち合えるように、これからも振る舞うんだ。清美が貴女に声を掛けられたのは運命なんだよ。だからね…』とね。】
手紙はそこで唐突に終わっていた。何だこの終わり方は?
封筒の中を見直したが、続きが書かれた便箋用紙はどこにも見当たらない。
同封するのを忘れたのか?いや、この男に限ってそれはない。
と言う事は、男は敢えて私に謎掛けをしたのだ。
手紙の最初の方には、私との距離が近づいてる書かれていた。確かにその通りだ。何かがヒタヒタと近づいてくる気配を感じる…。
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4回目となった手紙を読み終えた私は、家路へと歩いていた。
店を出る時から頭の中を占めていたのは、今夜妻と何を話せばよいのかと言う想いだった。
ヒタヒタと夜道を進みながら、妻と女子会の事を考える。
彼女は私が申し出た女子会の写真を、見せてくれている。スマホを目の前で開けて、画像を1枚ずつスライドしてくれたのだ。
そこで私が見たのは、全てが妻と他の女子との写真だった。そう、名前の通り女子だけの会だと私は思っていた。
しかし先ほどの手紙から推測すると、元彼自身は女子会への潜入に成功しているに違いない。
ならば妻は、この元彼と写真を撮った可能性もあるのではないか。そしてソレは私には見せれないと、咄嗟に削除したか別のフォルダに移したのではないだろうか。
ああ、でも今夜妻の顔を見てもその事は訊けない。何故だか、聞いてしまうと大変な事が起こりそうな気がしているのだ。
いやいや、俺は何をビビっているのだ。何気なく、さり気なく訊いてみろよ…そんな声も何処からか聞こえて来る。あぁ今夜の俺は酔っているのか。いや、もう少し確実に酔っていれば、酒の力で妻を問い詰められるのに。
結局、そんな自己問答を続けているうちに、自宅マンションに到着した。
今夜もエントランスに立った所から、インタフォンは鳴らさずに我が家のドアを開けるところまで来た。
そっと玄関から奥を覗くと、電気は足元のフットライトが点いてるだけだった。妻は既に寝てるようだ。
自分の部屋に入り、部屋着に着替えながらシャワーを浴びる準備をした。このところ湯船にユックリ浸かった記憶がない。
浴室を出て、ドライヤーで髪を乾かし終えた時だった。
洗面室を出た私の目の前に、妻が立っていた。
唐突に現れた彼女に、私は肝が冷えて驚きの声を上げてしまった。
「ど、どうしたの!」
「…お帰りなさい」
「ああ…ただいま」
「………」
「起こしちゃった?」
「いえ、眠りが浅くて…」
「そうか…俺ももう寝ようと思ってるんだけど」
「…そうね、そうですよね」
そう呟くと妻は、ふわりと背中を向けて自分の部屋の方へと歩いて行ってしまった。
会話は数秒だったはずだが、私にはとても長い時間に感じられた。妻の瞳が暗く深く、ブラックホールに飲み込まれるような感じを受けていた。
一旦リビンクに行ってソファーに腰を降ろすと、今しがたの妻の様子が気になりだした。
もしかして彼女は、最近の私の遅い帰宅に勘が働いたのかもしれない。
それかだ。元彼から連絡があって、手紙を私が読んでる事実を聞かされているのではないのか。同様に手紙の内容も知らされていたら、彼女だって冷静でいられる筈がないだろう。過去とはいえ、あの様な経験をしていたのなら…。
火曜水曜と、私はなるべく早く仕事を切り上げ真っ直ぐ家に帰った。
妻は久し振りの早い帰宅に少しビックリした感じだったが、だからといって私達の日常に特別な変化はなかった。
しかし。
水曜の夜に私は「あのさ、雰囲気の良い店を見つけたんだ。明日の夜にでも行ってみない」妻を例の居酒屋に誘ってみたのだった。
「最近はほら、テレワークなんてのもあるじゃない。だから俺もね、帰りに一杯やりながら雑務が出来る居酒屋を見つけてね。雰囲気も結構良いんだよ、肴も美味しいし」
我ながら芝居じみた誘いと思ったが、妻の方は意外とあっさり了解の返事をくれた。
私の中には勿論の事、狙いがあった。酒の力を借りて、女子会の事や元彼の存在を探ってみようと思っているのだ。それに彼女も酔っ払えば、弾みで何かを話すかもしれない。
当日木曜の夜。職場から例の居酒屋に向かう時は、変な緊張を覚えていた。
先日は妻から外食を誘われたり、私が買い物に声を掛けたりしたが、昼と夜では雰囲気が違う。そう、温度が違うのだ。
妻の方は設計事務所の仕事場から直接行くと言うので、先に着くのは彼女の方かもしれない。そんな事を考えながら電車に揺られていると、あっという間に駅に到着した。
店には思った通り、妻の方が先に着いていた。
「遅くなってごめん」私は妻のいる個室に入るなり、軽く頭を下げる。
「私もさっき来たところですよ」
私は妻の声に頷きながら腰を降ろす。
店員が直ぐに注文を取りに来て、私達は中ジョッキのビールを二つに、摘みを適当に頼んだ。
その店員は顔見知りになった若い男の子だったが、私が初めて女性連れだったからか、いつもより愛想が良い気がした。
掘りごたつで足を伸ばすと、妻の足にぶつかってしまった。何故か緊張が生まれてしまう。
俯き気味にメニューを見てる彼女の顔を覗き見る。
ショートボブの髪型は何年も前からだが、この数カ月はこれまで感じた事のない色艶を、身体全体から滲み出してるように観える。やはり、内面に何かしらの変化があったと考えてしまう。
ビールが到着すると、改まって乾杯した。
「こうやって呑むのって久し振りだよな」一口目を美味しそうに飲んだ妻に訊いてみる。
「ええ、ほんと。でも貴方はしょっちゅう飲んでますよね」
「いや、それも仕事の内だし、女性と一緒ってのは殆どないよ」と言って、私は苦笑いを浮かべた。
摘みが来ると、暫く黙ってそれを口に運んだ。やはりまだ、二人の間には緊張がある。
妻のジョッキを見れば、まだ3分の1程度しか減っていない。ビール好きの彼女だが、私の前で遠慮しているのかもしれない。私は早く彼女を酔わせたくて、自分のペースを上げる事にした。
それから1時間ほど、私も妻もそれなりの量のアルコールを摂取した。会話は、最初は妻の職場環境の話を訊いた。ハラスメント等がないかどうかだ。そして一人暮らしの娘の事。
妻は2度ばかり娘の所に行ってるが、その後の様子はどうなのか、連絡はあるのかと訊ねたりした。妻によると、最近の娘の調子は良いとの事だった。
私は何杯目かのビールのお代わりを注文した。勿論、妻の分もだ。
ビールが届き、店員が出て行ったところで、「えへん」と咳払いをした。
「ところでさぁ、アレはもうやんないのお」
「へ、アレって何ですか」妻の口調に酔いが窺える。
「ほら~ぁ女子会。同窓会の後、2回くらいやったろぉ」私も少し砕けた感じを装って訊いた。
「ああ、3回目はやんないのかって事ね」彼女が箸を止めて、少し考え込む。
「そうですねぇ、どうなのかな…」
「あれって幹事は誰がやってたの。確か…由起子さんって人だっけ?」
私の質問に、妻は素直に答えてくれた。私はそれを切っ掛けに、他の参加メンバーの事も訊く事にした。妻にすれば、以前にも話した内容だったが、同じように答えてくれたのだ。返事の合間、彼女の呑むペースが上がっている。
「それでさ、女子会とか言いながら男子も来てたんじゃないのぉ」私は更に砕けた口調を装い、妻を窺った。
「………」
見ればジョッキを置いて、妻が俯いている。どうしたのだ。
ふぅーー彼女が溜め息を吐き出した。
「参加したいって人はいましたよ、一人二人は…。でも珠美なんかは最初はやっぱりって…」
「男子は断ろうと?」
「そうですね…」
「ふ~ん」私は相づちを打ちながら、珠美さんの事を思い出そうとした。「珠美さんってあれだっけ、確かバツイチ?」
「そう、彼女はバツイチなんですよね。良い人がいるのかどうかは知らないけど」
「じゃあ、同窓会で昔の彼に会ったりしたら…」云いながら私は、自分の唇が震えるのが分かった。これは確信に迫る切っ掛けになる質問かもしれないのだ。
「珠美のですか…彼女は同じ高校には…あ、彼氏は違う高校だったかも」
私は静かに頷いた。次は妻自身の事を訊くのだ。
「あの、清美はさ、そのぉなんだ、高校の時は…」
私の心臓がドキドキと音を立て始める。
「私の高校時代?」一瞬、妻の瞳がキリリと光った、気がした。
「高校時代は人並みに…」こちらに向く眼差しが、揺れてる感じがする。「…恋愛はありましたよ」
云い終えた妻が少し俯く。私の目に、彼女の睫毛が震えて観える。言い辛い事を訊いてしまったか。それとも誰かに口止めされている?それこそ元彼の男に?。
しかし、次にスッと顔を上げた彼女の瞳の中には、鈍い光が混じって観えた。
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言い切った彼女の雰囲気は、それが何か?と、こちらを問い詰めてる感じだ。
彼女の中に、女の強(したた)かさを感じたつもりはなかったが、私はこれ以上この話題に触れるのは止めようと思った。が、彼女の方が続けてきた。
「格好良い男子も結構いましたよ。教師の中にも面白い癖のある人もいましたし、個性のある学校でしたわ」
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私は苦笑いを浮かべながら、頃合いを見計らった。そろそろ御暇しても良い時間と思ったのだった。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
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暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
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朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
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清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
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清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
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男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
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「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
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「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
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「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
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「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
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「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
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清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
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私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
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戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
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男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
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「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
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「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
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一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
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「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
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「ま、まさか…」
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「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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fallーー。
無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
牡精を絞り取られたSが、徳子さんに拍手を送る。周りの男女がそれ以上の拍手をすると、徳子さんが恥ずかしげにペコリと頭を下げた。最初のショーが終了したのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
「ああ、Y子さんのお知り合いでしたか。これは失礼しました」男が畏まって頷く。
「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
自分の部屋に戻った後は、暫く下半身を曝したままだった。ベッドに腰掛け股間のソレを弄ってみるが、大きくなる気配は全くない。長い間、セックスしなかった事が原因なのか。答えなど見つかる筈もなく、ショックで頭を抱えてしまう。
しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
そしてもう一つーーー、元彼は手紙で、妻を調教する過程で自慰行為を命令したとあった。
昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
どちらにせよ、元彼からの手紙の内容は、ほぼほぼ事実なのだ。過去の出来事とは言え、それが今に影響を及ぼしている。
妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
「俺はいつもの生で」
私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
暫くそのまま目の前の痴態を見てると、身体が熱くなってきた。この女を何とかしないといけないのではないのか。
その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
「…オマンコよぉ…オマンコいいのぉ」
昨夜と同じ4文字の淫語ではないか。
「あぁんッ犯してぇ、あなた、お願いっ」
切れ切れの鳴きの声に、私の身体は固まっていた。それにしても、今の『あなた』とは誰の事だ。
身体の熱がフツフツと高まっていく。こうなったら私が犯(や)るしかない。この女にブチ込んでやるのだ。
私はズボンを降ろして、股間を露にした。
しかし…昨夜と同じで、シンボルであるはずの男性器が萎んだまま、全く反応しなかったのだ…。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
「ええッ、本当ですか!」
「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
「ほらご主人、アタシのここ、ドキドキしてるでしょ」
由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
告うや否や、映像の由紀子さんはベッドに上がり、四つん這いになって男達に臀を突き出した。
私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
「そ、そうなんですね…」
「ええ、でもこの日の彼女は見学と撮影だけ。それ以外の事…服を脱いで裸を見せたりはしてませんから」
先ほどの羞恥の表情を何処へ隠したのか、由紀子さんは落ち着いた声に流し目まで送って来る。
「あの、男は…元彼はそれで何と…」
「元彼?ああ、あの人ね。うふふ、アタシが指示されたのは、清美さんに刺激を与えて下さいって事だけですから」
「………」
「まあアタシとしたら、いつかは清美さんにもこちら側の世界に来て欲しいと思ってますけどね」
由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
「ええッ!」
「アタシ達は変態セックスを愉しんでるスワッパー夫婦。そんなアタシ達の仲間に、ってね」
「いえ、私達は…」
「ふふっ大丈夫、分かってますって。無理強いはいけませんからね。でも、清美さんの方が先に飛んだらどうしますか」
「と、飛ぶって…」
「ふふ、清美さんの行く末を皆んなが楽しみにしてるんです。あの人と寄りを戻したら…な~んてね」
「き、清美に限ってそんな事は…」
「ふふふ、あるわけないですか?」
由紀子さんが間近な距離から見詰めてくる。
「ご主人は、これまでも清美さんを大切にして来たんでしょ?」
「………」
「たくさん抱いてあげたんでしょうが、彼女の本質をちゃんと理解してあげてたのかしら?」
「本質って…」
「持って生まれた性癖。それって幾つになっても変わらないらしいですよ」
「………」
由紀子さんの言葉が映像のヨガリ声と重なり、雨粒のように降り掛かって来る。
彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
「そうそう、そう言えばねぇ、泊まりでの女子会を検討中なんですよ」
「そ、それは聞いてます…」
「そこで清美さんを試してみては如何ですか」
「え、試すとは?」
「決まってるじゃない。清美さんがそこで飛ぶかどうかよ」
私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
これもあの男の仕掛けなのか。私は完全に翻弄されている。
「ご主人、そうあまり真剣な顔しないで下さい。アタシも問い詰め過ぎました。今云った事は時間があるから、考えておいてくれればいいですよ。それより、こっちの続きを楽しみましょうよ」
彼女の言葉にパソコン画面を向き直れば、由紀子さんが臀を向けてご主人に跨がっている。二つの生殖器が、片方は侵入を繰り返し、もう片方はソレを難なく飲み込んでいる。そしてその摩擦音が、響き伝わって来るのだった。
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テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。
『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
「今のは?」
「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
「あの人…」
「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
「それって、いいんですか」
私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。
映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
私は黙って頷いている。
「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
「ええッ!」
「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
「………」
「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
「大胆に、ですか」
「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
ゴクリ、私の喉が鳴る。
「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。
「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。
『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
「ウフフ、徳ちゃんったら凄いわ。結合の部分が丸見えよねぇ。おまけにお尻の穴まで」由紀子さんが私をチラリと見ながら、ニヤついている。
「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。
「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
「え、いや、それは…」
口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
と、映像が結合の部分から徳子さんの豊満な乳房を抜けて、彼女の表情に移動した。
『いやーーんッ止めて!』
顔のアップに気付いたか、徳子さんが悲鳴を上げる。
『いやんいやん、恥ずかしいッ、清タン、顔は映さないでぇぇ』
徳子さんの懇願にも、映像は彼女のアップのまま。この時の妻の心境も又、どんなものだったのだ。
「あらあら徳ちゃんったら、凄い声ねぇ。でもご主人、彼女はねぇ、イヤとか言いながらシッカリ興奮してるんですよぉ。なんせ見られて感じる変態なんだから」
私は驚きに息を詰まられながら、本当ですか、と訊きそうになっている。確かに徳子さんは、自分の逝き顔を見せ付けてるように観えなくもない。
その時、徳子さんの顔がズームアウトされた。同時に腰を振っていた男が、彼女の腿をバチパチと叩いた。
「次は犬の格好よ」
由紀子さんの言葉通りに、二人は繋がったまま器用に体位を変えていく。
「ふふふ、男女が身体を溶接させたまま一体となっての漂流感は、性の醍醐味なのよね」又も由紀子さんが、意味深な言葉を呟いた。私の中には、阿吽の呼吸という言葉が浮かんだ。正常位から犬の格好への移行が、スムーズに観えたのだ。
そして直ぐに、それまで以上の徳子さんの叫び声が上がった。
「どうですかご主人、あなた方夫婦のセックスと、動画の徳ちゃん達とどっちが激しいですか」
由紀子さんの落ち着いた声にも、私は黙り込むだけだった。妻とセックスをしていた頃を思い出そうとしても、その記憶には補正が掛かっているのか、映像の男女と比べると幼稚すぎるものに思えてしまう。
それとだ。由紀子さんは妻から私達夫婦の性事情まで聞き出したのだろうか。それを知って彼女は、今の質問を?
「あ、そろそろ徳ちゃんが逝くわ!」
その瞬間、由紀子さんの声と同時に、徳子さんが最後の雄叫びを上げたのだった。
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居酒屋の個室ーー。
馴染みとなったこの場所も、私はこれまでと違う空気を感じていた。
目の前の女性が、『真木由紀子』と名乗ったからだ。
それはここ最近、頭の中で頻繁に反芻される名前だった。妻の同窓生で、例の元彼の手先となった女性なのだ。あの手紙に書かれてある事が事実ならばだが。
由紀子さんが目の前の席に座り直した。私は緊張を覚えながらも、その素顔を窺う。
身体付きはイメージしていたよりかは若干ふっくらした感じだが、髪の毛が後ろで結わかれているせいか顔は面長に見える。目はパッチリ二重で、口元から覗く白い歯並びには清潔感を覚える。その雰囲気からも、才女と呼ばれていた理由が垣間見える気がした。
「あのぉ、そんなに見詰められたら、何だか恥ずかしいわ」
その声に私は、ハッと我に帰った。
「ええ、すいません。でも、どうしてここに?」私は緊張を残したまま訊ねてみる。
由紀子さんは私をチラリと見て、先に何か注文をしましょうとメニューを指し出して来た。
私がいつものビールを頼むと、由紀子さんも同じ物と摘みを何点かオーダーした。
ビールと摘みが届くと、由紀子さんがジョッキを持ち上げた。それに合わせて、私は持ったジョッキを黙ったまま目の前で上げた。
彼女は美味そうにゴクゴクと喉を潤すが、私はチビリと口を付けるだけ。そんな私は、訊いておくべき事を口にした。
「あの、貴女の名前は清美から聞いて知ってましたが、コレは一体どういう事でしょうか?」
「うふ、先だって清美さんに次の女子会の件で、連絡した事がありましてね。ご主人に了解は取れそうかと訊ねたのですが、その時に話の流れでこのお店の事を聞かされたんです」
「それだけの事で、この店に?」
「いえ、雰囲気も凄く良いからって清美さんが勧めるもんだから、アタシも好奇心で。それでもし、ご主人が居ればと思って店員さんに声を掛けてみたんですよ」
「本当ですか」私は訝しながら訊いた。
「本当ですわ。そして私は、とてもラッキーでした」
「ラッキー?」
「ええ実はね、今夜アタシが、この店で清美さんのご主人に会えるかもしれないって、ある人に話したんですよ。そうしたらね、ふふふ、その人がアタシに頼み事をしたんです」
「頼み事?」
「ふふっ、コレですわ」
意味深な笑みを浮かべて、由紀子さんが鞄から何かを取り出した。私はソレを見た瞬間、息が止まりそうになってしまった。
彼女が手にしていたのは、USBメモリだったのだ。しかも、前回男から送られ来た物と同じやつではないか。
「それと手紙は届いていませんか」
「ええッ!」驚きに持っていたジョッキを落としそうになってしまう。
目の前に座る由紀子さんが、手紙の話を出すと言う事、そしてUSBを持っていたと言う事は、あの男と繋がってる証拠ではないか。
「それで手紙は?」由紀子さんが、私の様子を窺ってくる。彼女は、これまでの手紙の内容も知っているのだろうか。
「持ってるんですね?」彼女が私の目を覗き込んできた。
私はコクリと頷くと、横に置いてあった鞄に手をやった。手紙と一緒に、ノートパソコンまで無意識に取り出している。
「うふふ」由紀子さんが私の様子を見てか、怪しげな嗤いを立てた。
封を開けてみれば、中身は便箋が1枚だけだった。私は彼女の視線を気にしながら読み始める事にした。
【こんにちは。
今回もUSBを同封しようと思っていたのですが、由紀子さんから連絡があって、ひょっとしたら清美さんのご主人と会えるかもしれないと申すもので、私も遊び心に乗って、彼女に持って行ってもらう事にしました。
万が一、彼女と会えなければ、直ぐに送るようにしますのでね。
では、無事に女子会の映像が視れますように。】
たった1枚の便箋に書かれた短い文章だったが、私はそれを読んで唸り声を上げた。男の遊び心は見事に成功したわけだ。それと、ここに書かれてある女子会とは、由紀子さん達のいう『社交界』と言う名の怪しい集まりの事なのだ。
これで由紀子さんが妻の元彼と名乗る男と、完全に繋がっている事が分かった。手紙の中にも『Y子』ではなく『由紀子』と書かれているのだ。
「何て書いてあるんですか」由紀子さんが私の手元を覗き込むように、少し身を乗り出した。
「当ててみましょうか。コレの中身は社交…いえ、女子会の映像なんでしょ」由紀子さんがUSBメモリをかざしている。私は、知ってたんでしょ、と小声で呟いた。
「じゃあ、せっかくだから一緒に視ましょうよ」
「ええッ、一緒にですか!」
「そうですよ、だってアタシも映ってるんですから」
「あッ!」
「何をそんなに驚いてるんですか。相良さんだって、パソコンを用意してるじゃないですか」
「え!?」
そうだった。私は無意識のうちに、手紙と一緒にノートパソコンまで出していたのだ。
「さぁ、アタシは覚悟が出来てるんですよ」
由紀子さんは『覚悟』と口にしたが、その声は、どことなく嬉しそうだ。声に私を挑発する響きを感じる。
気づけば彼女は立ち上がって、私の隣にやって来るではないか。そして座ると、USBをセットした。
「さぁ早く、再生して下さぁい」由紀子さんが私の耳元で、少し呂律の怪しくなった口調で囁いた。
この映像には、妻も映ってるかもしれない。そう思うと体温が上がってくる。それでも私の指は、何かに操られるように再生をクリックした。
「それと最初に言っときますけど、これって2次会の時のものですからね」
「え、2次会と言うと…」
「1次会はこのお店みたいな居酒屋だったの。その後、場所を移動したんですよ。少し遠かったけどタクシーでね」
由紀子さんの酒臭い息が、私の横顔に掛かる。彼女にとっても酔わなければやってられない…いや視てられない映像なのだろう。
「あのぉ、2次会のメンバーっていうのは…」
「ああ、その日のメンツね。えっとね、アタシと清美さんに徳ちゃん。あ、徳ちゃんって言うのは」
「大田徳子さんですよね」私は断って、そして続ける。「その3人だけですか、他には…」
「ああ、珠美さんの事ね。珠美さんはこの日も1次会で帰っちゃったのよね。彼女、子供がまだ中学生で難しい時期みたいでぇ」
いや、そうじゃなくて…。私は、妻の元彼の存在が気になっているのだ。
「あの、男子は…」
そこで彼女は、私の知りたい事を察したようだった。
「そっか、うんうん、あの人の事ね」
由紀子さんが呟いた瞬間、同時にパソコンの中から女性の絶叫が聞こえたのだった。
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次の日、私が目を覚ましたのは、朝の10時を過ぎた頃だった。
起き上がって欠伸を一つすれば、頭の中に夕べ視たSMチックな寝取られ動画の映像を思い出した。
2本の動画はいずれも中年の人妻が主人公で、夫の前で男に翻弄されていくものだった。私は人妻を妻の清美に、夫役を自分に投影していた。
動画の残像に苦笑いを浮かべて立ち上がろうして、枕元のスマホの点滅に気がついた。
見ればLINEの知らせだ。
『声を掛けても全然起きないのでLINEにします。今日はこれから買物に行って来ます』
私が爆睡している間に、どうやら妻は出掛けたようだ。
寝不足気味のまま食事を採り終えた私は、もう一度夕べの動画を視てしまった。
妻が帰って来たのは、夕方近くだった。買物にしてはかなり長いものだったが、私は特段責める事もなかった。妻が元彼と密会していたとは思えないし、そんな証拠もない。あるのは私の妄想…と想いたい…。
「夕べも遅かったんですね」
妻が話し掛けて来たのは、彼女が夕飯の準備でキッチンに立った時だった。
「ああ、そうだった…LINEを入れるの忘れてたっけ?」私はソファーから顔だけを向けて答えている。
妻は私の質問に応えるでなく「またあの居酒屋ですか」と、訊いてくる。
「うん、そうそう、あそこで残業をね」
「そうですか、また行ってみますか」
その言葉に、私はキッチンに振り向いた。
「そ、そうだね」
このところ冷たく感じる妻からは、思いもよらぬ誘いだ。
それから私達は、お互いの予定を確認し合って、次の水曜日に先日と同じ店で待ち合わせる時間を決めたのだった。
週明け出社すると、急ぎの仕事が舞い込んできた。この分だと出張が入りそうな気配を感じてしまう。
そんな中、水曜日がやって来た。日中は仕事に追われ、妻との呑み会の事を考える余裕もなかった。頭の中には『元彼』に『由紀子』『徳子』の名前があるが、2回目の女子会の事を含めて、どのように話を持ち出せばよいか整理が追い付いていない。
それでもこの日、仕事を終わらせた私は、なるべく遅れないようにと先日の店に向かった。
今夜も店には、妻が先に来ていた。私は個室の扉を開けると、前回と同じように「遅くなってゴメン」と、頭を下げている。
店員にビールと摘まみの注文が終わると「最近また忙しくなったみたいですね」妻から話し掛けて来た。
「そうだな、そのうち出張があるかも」
私の返事に頷きながら、妻は「今週も夜はここで残業ですか」と、続けて訊いてきた。
私は苦笑いしながら頷くだけだ。
例の男からの手紙を読む為に通うようになったこの店。それ以来ここに来る理由を、妻には残務と説明していたのだが、はたして彼女が、ノマドワーカーのイメージと私を結び付けたかどうかは分からない。
そして私は、男からの次の手紙の事を考えている。前回の手紙には次の期日は書かれていなかったが、明後日の金曜日には届きそうな気がしているのだ。
「ねぇ、どうしたの、私の話聞いてます?」
ふと顔を上げると、妻が首を傾げている。
「いや大丈夫だよ。そうだな、ひょっとしたら週末もここにお世話になってるかも」と云って、私は笑ってみせるのだ。
それから暫くの時間、私達は黙々と摘みを口に運び、ビールを何杯かお代わりした。
「ところで貴方、最近ボォっとしてる事が多くないですか」
「え!」
「何か悩みとか、心配事でもあるの?」
妻の表情を観れば、頬を朱く、目には酔いの色を浮かべて私を窺っている。
「いや、別に…」私の口は勝手に動いていた。が、心の中では…あのな、気になっているのは、お前の事だよ、清美の過去の男と同窓会の事だろ、と呟き掛けている。
「それよりだよ、清美の方はどうなんだい。女子会の約束はないのかよ」
「ああ、3回目の女子会の事ですね。ええ、実は…」妻がジョッキを置いて、視線を真っ直ぐ向けてきた。
「今度は泊まりでやろうって話も出てるみたいなんです…」
妻のその言葉に、私の喉が鳴った。
「お、おい、それって初耳だよな…」
私のしどろもどろの声に、妻が肩を竦める。「ええ、実はそれの了解を頂こうと思ってまして、それで今夜…」
「了解って…まだ計画中なんだろ?」
「そ、そうです。だから、貴方の意見を…」
「意見って訊かれても…」
妻が何の予兆もなく、私を飲みに誘った理由が分かった気がした。
男も一緒に行くのか、私の頭はその事を追求しろと指示しているが、言葉が出て来ない。
すると妻が、言い訳するように話し始めたーー。
彼女の説明によると、つい先日、由紀子さんから企画に対する伺いがあって、家族から了解が取れるか探っておいて欲しいとの事のようだった。
妻の説明を聞いても、私はその申し出には、曖昧な返事に徹するだけだった。そして私の中には、モヤモヤだけが残ったのだった。
金曜日の昼間、7通目となる手紙が届いた。
しかしソレは、これまでと比べて厚みが1番薄いものだった。USBメモリが入ってる気配はどこにもない。
それでも私は、逸る気持ちを抑えて仕事をこなし、予約した時間に遅くれないようにと、いつもの居酒屋に向かう事にした。
店に入ると、馴染みになった若い店員が声を掛けて来た。
「相良さん、お連れ様がお待ちですよ」
笑みを浮かべる彼の顔を見ながら、私は一瞬キョトンとした。『お連れ様』とは誰の事だ。
しかし、考える間もなく閃きが来た。
妻の清美が来ているのだ!私は疑う事なく個室へと足を運んだ。
個室の扉を開けた瞬間、足が止まった。見知らぬ女性が一人で居るのだ。その女性が、私を見上げる。
「相良さんですよね、清美さんのご主人の」
私は、立ち上がったその女性を、呆然と見詰める。
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USBメモリを鞄に仕舞って、会計を済ませた私は店を後にした。
今夜は酔いを覚ます、と言ってもそれほど酔ってはいなかったが、少し遠回りをして家に帰る事にした。
夜道を行けば更に頭がスッキリして来た。その頭の中に二つの影を思い浮かべる。妻の清美の顔と、まだ会った事のない元彼の男だ。
元彼が言う高校時代の真実、結局その真意は分からない。USBメモリの中には、妻の告白が無かったからだ。
今回のUSBから分かった事と言えば、由起子さんと徳子さんの秘密の性癖と『社交会』の存在が明らかになった事だ。
そして最後に、由起子さんはその社交会を2回目の女子会という事にして妻を誘っていたのだ。
そして妻は、その『女子会』に参加している。いや、由起子さんは『見学』と表現していたが、その真意を妻に問い詰める勇気は、今のところ私にはない。その時の様子は、次のUSBメモリでも来ない限り分からないのだ。
そう言えば、今回の手紙にも次の手紙の期日が書かれていなかった。レコーダーからUSBへのコピーの作業が終われば、送られて来ると思うのだが。
家に着けば今夜も妻は寝入っていた。ここ最近の彼女の冷たい態度は、こう言うところにも現れていると思ってしまう。
私は静かにシャワーを済ませて、寝る支度に入った。
疲れた身体は直ぐに眠りを求めると思ったが、睡魔は中々やって来てはくれなかった。
私はベッドを抜け出し、ノートパソコンを取り出した。あの会話をもう一度聴きたくなったのだ。
USBメモリをセットして、最初から再生する。
妻の喋りの部分には特に注意をはらったが、私の記憶に間違いはなかったようだ。妻が自ら過去に付いて語る場面はなかったし、最近の心境に触れるところもなかったのだ。
ただし、この録音は1回目の女子会だけのものなのだ。
それにしても、妻の友人達の生態の方に驚きを覚えてしまう。
真木由紀子さんも大田徳子さんも、れっきとした人妻であり主婦でもある。そんな二人が、怪しい秘め事をしている。由紀子さんは夫公認で、徳子さんは完全な浮気だ。彼女達の告白を聞いた妻は、その時どう思ったのだろうか。妻自身は性欲に関して『それほど』と曖昧な言い方をしていた。しかし『ゼロでもない』と、微妙に認めた感じだ。
そして妻は、本当に2回目の女子会=社交会で、友人達の姿を見学したのか。由紀子さん達は、どんな姿を見せたのだ?社交会の中身が、凄く気になってしまう。それはやはり、アダルトビデオのような世界なのだろうか。
私は会話の再生を止めて、あるワードを検索にかける事にした。
『スワッピング 乱交』キーを叩くと、画面にエロ動画サイトの一覧が並んだ。
中から私は、熟女ものの動画サイトを選択してクリックした。
目に飛び込んで来たのは、幾つものそれらしい画像画面と、スケベ心を煽るサムネの数々だった。
私はプレビューを流し読みしてから、その中の一つ、中年夫婦のスワップらしきものを視てみる事にした。
その動画は素人の投稿物ではなくて、プロの業者のビデオ映像で60分以上のドラマ仕立てのもだった。
そしてそれは、偶然なのか社交会…いや秘密のパーティーに迷い込んだ中年夫婦の話だった。
ビデオの主人公は役所勤めの人妻。女は夫の上司に騙され、夫婦揃って怪しげな集まりに参加する事になる。
夫婦は目の前で披露される同年代の人妻の痴態に激しいショックを受ける。そんな夫婦の横に夫の上司が座って、性の手解きをする物語だった。
ドラマの中、上司の男は慣れた口調で、夫婦に奥深い暗示を投げ掛けたーー。
『奥さん、恥ずかしがらずに目の前の女を見てごらんよ。この人も貴女と同じ人妻なんだ。年齢だって貴女に近い』
場面はホテルのスウィートルームで、ベッドの回りを数組のカップルが取り囲んでいる。
ベッドの上には素顔の中年女性と若い男。二人は生まれたままの姿で、絡みを披露している。
『ほらね、優れた女の身体ってのは男に合わせられるものなんだ。男が鋳型であるなら、女は液体ってな。どんな形にも納まるのが良い女ってわけだが、じゃあ男の鋳型に合わせられない女はつまらないのかと言うと、そうも言い切れない。開発前の女もいるからね。大事なのは女の意思。男を前に人形になるんじゃなくて、自発的な意志を持つ事なんだよ。
この奥さんも最初は自分の道具を貸すだけだったが、ようやく分かってきたようだ』
夫の上司の声を耳元で受け止め、人妻は静かに前を向いたまま。この女性も耳を性感帯に、男の声を受け入れてるように観える。
『男ってのは自分の欲望本位に行動する事が多いが、この彼は若いけど経験が豊富なんだ。場数を踏んでるから解約精神が発達していて、相手が肉体の賃借関係として割り切って行為に臨めるんだよ。奥さん、分かるかな?』
男の言葉の意味が分かったのかどうかは分からないが、主人公の人妻は微動だにしない。
『おや、女の方に我慢が利かなくなってきたかな。この二人は何度か身体を合わせて厭らしい表現に阿吽の呼吸が生まれるようになったが、女の方はまだまだだな。どうやら今夜の勝負は、男のものだ。
さて、時間はと…』
男の視線の先が画面に広がり、ベッドの上では女の動きが激しく、絶頂を迎えたところだった。
ビデオの中、女が最後の雄叫びを上げたシーンを視て、私は大きく息をついた。自分でも思った以上に、映像にのめり込んでしまっていた。
頭の中には、獣そのものになって、折り重なり、呻き、のたうち回っていた浅ましい女の残像がある。
男女の絡みのシーンも印象にあったが、ストーリー性にも胸を抉られる想いがあった。
ベッドにいた女は若い男に手駒にされ、客相手に痴態を曝す女に成り下がったのだ。そしてその様子を見ていた人妻は暗示に掛けられ、やがては同じような女へと変貌を遂げるのだろう。
しかもこの人妻の横には、夫が座っていたのだ。夫はベッドの女と、隣の妻の先行きを重ねていたのだろうか。
と、私はビデオの上司の男が、妻清美の元彼とダブって観えた。
動画はまだ半分も過ぎてなかったが、私は一旦止めた。そして水を一杯飲みに行く事にした。
キッチンで水を飲んだ私は、自分の部屋に戻る前に妻の寝室を覗いた。
妻は鼾も掻かず、静かに寝入っている。その寝顔からは、罪の有無を感じない。
しかし女と言う生き物は、裏の顔を隠し持っているものなのだろうか。
真木由紀子さんに大田徳子さん、私は彼女達の赤裸々な告白をUSBで聞いている。いや、彼女達からすれば、あれは告白といった大袈裟なものではなくて、面白い遊びを見つけた少女の自慢話なのかもしれない。
そんな考えを頭の隅に霞ませながら、私は自分の部屋に戻る事にした。
時計を見れば、深夜の1時を過ぎたところだ。それでも何故か眠気を感じなくなっている。
私は別の動画サイトも見てみる事にした。
次に視る気になったのは、SM物だった。サムネのプレビューを読むと、妻が夫の前で調教を受ける話だ。そしてコレも、ドラマ仕立ての物のようだ。
画面にいきなり広がったのは、テーブルに大の字に縛られた女性の姿だった。そしておっ開げられた股間の前には、男の生尻だ。
『さぁご主人、これからこの美しい婦人の体内に私の夥しい体液を吐き出させて頂きますよ』
ビデオの男は言うなり、婦人と呼んた女性の股間に反り勃った肉の棒を突き刺した。
映像のアングルは男の後ろ姿を捉え、筋肉質な生尻が規則正しい動きを続ける。バンザイの格好でテーブルの脚に両腕を結ばれた婦人の姿は、私の目には虫ピンで止められた蝶のように観えた。
婦人の口からは『嫌よ嫌よ』と、抗いの声が上がる。しかしやがて『やっぱりいいわ!』感泣の声に変わった。
『そうですよ奥様、飢えた人間にテーブルマナーは不要ですよ。さぁ遠慮なさらずに』男が腰を振りながら、婦人を追い込んで行く。
男の言葉に、むっちりと実った婦人の美しい御足が、男の腰を挟んで跳ね上がった。婦人のその様は、完全に己の保身反応を麻痺させている。
『ヒィーヒィーっ』ビデオの声が、妻の声に重なって聴こえるようだ。男に串刺しされて蠢く婦人の姿も、妻に重なって行く。
両腕をロープで、腰を男に制圧された不自由な状態で、のたうち回る婦人は、麻薬の禁断症状から逃げ惑おうとしてるようだ。
『もっともっと抉って下さいッ!』
『あらあら奥様、なんて品格のない言い方を』ビデオの男がニヤリと嗤う。
『うううッ、だって…』
『はいはい、分かりましたよ。私の物がもっと欲しいのですね』
『そう、そうなのっ、だからもっと激しく突いて下さいッ!』婦人は必死に追いかけている。本当にあと一歩のところなのだ。しかし男が、お預けを喰らわせて女体を支配している。
私はそれが造り物のビデオである事を忘れて、ノンフィクションの出来事に覚えてしまっていた。
「清美…」私の口から無意識に妻の名前が出た。妻もビデオの婦人のように、元彼の残酷で不完全燃焼な責めに、我を忘れた事があったのだろうか。私はもう一度「清美」と呟くと、拳を握りしめた。
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妻の元彼からの6通目の手紙を封筒に戻すと、私は鞄からノートパソコンを取り出し、立ち上げた。
USBを差し込み、イヤホンを耳にセットする。個室にいても、音漏れには注意したい。まして何が飛び出して来るか分からないのだから。
起動が始まって暫くすると、聞こえて来たのは女性の笑い声だった。
この時の2次会の場所も、由紀子さんが幹事を務めたのなら、外部からの干渉に気をつけて個室を用意したに違いない。そしてこの部屋にいるのは、妻の清美と由紀子さんに徳子さんだ。
彼女達の話し声が大きくなってきた。妻の声は直ぐに気づき、他の声も名前と一致させる事が出来た。
ひときわ大きな声で喋ってるのが、徳子さんだろう。由紀子さんの声は、酒のせいか砕けた感じに聴こえる。
『それでさ、ちょっと清タン聞いてよ。由紀ちゃんって凄いんだから。ねぇぇ。』
徳子さんが話題を変えてきた。
『ふふふ、アッチの話?そうねぇアタシは結構お盛ん、かな』
徳子さんの声に応えるようにか、由紀子さんの声も大きくなっている。
『ところで清美さんさぁ、実はずっと黙ってたんだけど高校の時さ、貴女に変な噂が立った事あったの、知ってた?』
由紀子さんの声に続き『え!』妻の驚きの声が聴こえた。
『清楚で男子に人気者だった田中清美は、実は変態セックスしてるっていう噂よ』
由紀子さんの詰問調の声に、こっちの息が止まりそうになった。
そして暫く無言が続き、やがて再び由紀子さんの声が聴こえた。
『うふふ、その表情、黙ってるところを見ると噂は本当だったのかな?』
『な、何の事だか…』
『えへっ、別にいいじゃない昔の事だしさ。それにさっきも告ったけど、アタシもこう見えて、実は遊んでるのよね』
由紀子さんの呂律が怪しくなってる気がする。さすがに酔わなければ話せない内容だ。
『実はね、同窓会で清美さんを久し振りに見た時に、今云った昔の噂を思い出したのよね。でも、そんな話題をその場でなんて出せないでしょ。だからねぇぇ』
由紀子さんが語る流れに、男の手紙に書かれていたある場面を思い出した。
確か2次会の席で、元彼がテーブルの下で妻の手を握ったところを、由紀子さんが見たのではなかったか。
『それでねぇ、1度気になりだしたら、ずっと気になっちゃってさ…ふふふ、それでここに来る前、つい徳(のり)ちゃんに話しちゃったのよね』
由紀子さんの語尾は、徳子さんに向けたものだった。
『そうそう、それで私も本当!?って驚いたのよね』徳子さんの声が、1オクターブ上がっている。
『私もさ、卒業してから色々あったし、人って変わるからさ、大概の事は驚かないんだけど、清タンが変態チックな遊びをしてるなんて』
『徳ちゃんちょっと違うわよ。清美さんがエッチな事をしてたのは、昔の話で今は知らないわよ』
『あ、そっか。でもさ、今はどうなの…ねぇ清タン、今はどんな感じ?欲求不満とかないの?』
会った事のない徳子さんだが、その姿が目に浮かぶようだった。ポッチャリの身体を乗り出し、好奇心に目を見開く姿だ。妻の方は俯いたまま、頭を小さく横に振ってるのではないだろうか。
『徳ちゃん、清美さんはねぇ、やってるって、うん間違いないって。ご主人とやってなかったとしても、他にねぇ…ふふふ』
『あーそれってオナニー?』
『あらあら、徳ちゃんったら。でもオナニーは勿論、他にも凄い事をやってると思うわ。だって清美さんは、へ、ん、た、い』
『いゃ~ん、清タンって変態だったんだぁ。でも何だか嬉しいっ』
『ふふっ、徳ちゃんとどっちが変態か、試してみたいわね』
『由紀ちゃんだって変態でしょっ』
『そうよ。アタシはずっと前から変な遊びをしてるわ』
『うんうん、知ってる知ってる。私も恩恵を受けてるし』徳子さんが楽しそうに声を上げる。
『でもね清美さん、人様から後ろ指を刺される秘匿の行為って、考えただけで興奮するわよねぇぇ』
由紀子さんの言葉に、徳子さんの相づちの声が聞こえる。妻はどんな様子なのだ。妻の声だけがなかなか聴こえて来ない。
『ほらぁ、アタシ達って夫婦でやってるでしょ』
由紀子さんが、そう言った瞬間だった。妻の『ええっ!』と驚きの声が聞こえた。
『あら、そうなのよ。アタシ一人で遊んでるわけじゃないの。きちんとしたパートナーがいるのよね』
『そのパートナーって』妻の小さな声がする。
『多いのは家の主人だけど…他にも肌を合わせる人達はたくさんいるわ』
由紀子さんの語尾には、力強さがあった気がした。酔ってるからか、それとも秘密を曝して開き直ったか、相手に迫る勢いが伝わって来るのだ。
『あらやだ清美さん、あまり変な目で見ないでよ』
『そんな、変な目だなんて…』
『ふふっどう?昔の知り合いが、教師のクセして変態だったら。しかも旦那も教師なのよ』
『………』
沈黙が流れ、私も息を飲んで次の言葉を待っている。
『…でもねぇ、教師って凄いストレスが溜まるの。最初は良くないのは分かってたけど、周りの教師仲間におかしな性癖の人がいてね』
そこからは由紀子さんがその世界に入った経緯が話された。その間、妻の声は聴こえくなったが、どんな気持ちで由起子さんの話を聞いていたのだろうか。
『…と言うわけで今に至るわけ。因みに徳ちゃんとは、卒業後もちょくちょく会っててね、互いの愚痴を言い合ってたのよ』
『そうなんだ』やっと妻の声が聴こえてきた。
『そう、それである時、アタシがスワップの世界に居る事を喋っちゃったのね』
『そうそう、私も聞いた時はビックリしたわ』徳子さんの出番が来た。『でも私って、昔からエッチにはかなり興味があったからね』
今度は徳子さんの身の上、いや下半身の話が始まった。彼女は結婚して子供もいるが、子供が出来てからはご主人とセックスレスの日々が続いていたのだった。そして欲求不満が我慢出来なくなった徳子さんは、由紀子さんに誘われるまま秘密のパーティーに顔を出すようになったのだ。
『さぁ皆んな話したわよ。次は清美さんよ』由紀子さんの口調が、ますます馴れ馴れしく聴こえる。
『わ、私は、そうねぇ…』
妻の呟きに、ゴクリと私の喉が鳴った。
『しゅ、主人には何の不満もないわ』
その言葉に、私の口から、ホッと息が漏れた。
『それに私には…それほど…性欲?それも特には…』
『………』
再び沈黙が流れ、その中で私は、妻の言葉を頭の中で反芻した…妻に性欲は無いのか。それは本音なのか。それとも昔の友人を前に、まだ本当の気持ちを話せないでいるのか。
『ふぅ~ん、そうなんだぁ…でも、性欲がゼロって事はないでしょ』何処となく咎めるような由紀子さんの声がする。
『そ、それはまぁそうだけど…』
『そうよね、うん、そう思うわ。たぶんだけど、清美さんはトラウマがあって殻を被っているのかもね』
あッ、私の口から声が上がった。
トラウマ、確かにそれはあるかもしれない。
若い頃の変質的な経験が、精神に悪い影響がいかないように、妻は無意識にバリアを張って生きてきたのだろうか。
『でもさ、性的欲求があるなら、無理しない方がいいと思うわ』由紀子さんの言葉が、どことなく教師の口調に聴こえる。
『ねぇ清美さん、今度ちょっと付き合ってよ』
『え、何!?』
『ふふっ、そんなに構えないでよ、最初は見学だけだから』
『見学?それは何…』
『それはねぇ』徳子さんの声が割って入って来た。『私達が定期的に行く社交会があるの。名前の通り社会的信用のある人だけが参加できる集まりで、でも紹介者がいれば私みたいに参加が許されるの。だから清タンも大丈夫だから』
『そうね、清美さんは口が堅そうだし、それに真面目だし。あ、真面目っていうのは普通に社会生活を送れるって意味よ』
『ちょっと待って、私行くとは…』
『ふふっ、もうダメよ。アタシと徳ちゃんの秘密を聞いたんだから、自分だけ良い子でいるのは』
『それは…』
『そうね、じゃあ取り敢えず次の予定が決まったら連絡するからね』
『お願い待って。だから行くなんて一言も…』
『まぁ考えておいて。でもアタシ、清美さんは必ず来てくれると思うわ。ほら昔の貴女、あの噂が本当なら身体の中には淫猥な血が流れている筈よ。その血に逆らうなんて、出来っこないんだから』
由紀子さんの今の言葉には、粘着質な響きを感じた。まるで、蜘蛛が獲物を糸で絡み取るようなイメージだ。
『でも安心して、今夜の事だって誰にも喋らないからね。それに秘密を隠しておく事って、それだけで快感でしょ。貴女なら分かるわよね私の云いたい事。とにかく決まったら直ぐに連絡するからね。ああ、そうだ。その時はまた女子会って事で声を掛けるから、ご主人にもそう言って家を出てくるといいわ』
その瞬間、私は大きな声を上げていた。と言う事は妻の2回目の女子会、あれはまさかの怪しい集まりだったのか。
私は暫くの間、呆然としていた。
どのくらいの間そうしていたのか、気づいて時にはUSBの再生は終わり、個室内には静けさが漂っていたのだった。
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妻の元彼からの5回目の手紙を読み終わり、私は大きな溜め息を吐き出した。
手紙の終わり方がどうも気になってしょうがない。これまでは必ず、最後に次の手紙が届く時期が書かれていたのに、今回の手紙にはそれがない。
男の動きが、現実の時間の流れに追い付いて来たのも原因だろうか。
私は頭の中で時系列を整理しようと思った。
同窓会が開催されたのは、もう2カ月以上前の事だ。そしてこの2カ月の間に、2回の女子会があった。
私はその間、妻の雰囲気に鈍色の匂いを感じて妄想を浮かべ、それに合わせて男からの手紙に取り込まれていった。そんな私を、男は離れた所からどう思っていたのだろうか。男は自分の欲望の為に由紀子さんを通じて、何かの仕掛けをした筈なのだ。ターゲットは妻の清美、それに私もか?
だが…妻が誰かに誑かされたり、脅されてる気配は感じない。娘の所に泊まりに行くのに家を留守にした事はあったが、特に怪しいところはなかった。
ただし、先日から妻の態度が硬く、どこか冷たいのだ。
結局、今夜も私はモヤモヤとした気持ちと共に帰宅するしかなかった。
この日の夜から、私は妻に何かしらの痕跡がないものかと、これまで以上に気にするようになった。今一度見たいのは、彼女のスマホにある同窓会と女子会の写真だが、スマホはさすがに見る事が出来ない。
だからと言って、根拠のないところで妻を問い詰める…清美は元彼の男と連絡を取ってるだろ…等と訊く事など出来るわけがない。
しかしだ。
ひょっとしてこれは過ぎた妄想ではないのか。5通の手紙に書かれた内容も、大半が男の妄想話ではないのか。私はとんだ見当違いをして、知らずのうちに、己が築き上げた袋小路に迷い込んでいるだけなのではないのかと、時おり自分を問い質す声が何処からともなく聞こえて来る。
だが、少し前に部下との会話で耳にした『寝取られ』と言う言葉。
自分の妻を他人に差し出し浮気を勧める夫。そして妻と他人の交わりを想像したり、実際に覗いて性的興奮を得て喜ぶ夫。
私自身にこういった性癖があるとは、一度だって思った事がない。それでも冷静に振り返ってみると、元彼の手紙に何度も興奮した覚えがあるのだ。
同窓会の真実を訊いてみようかと言う考えは常にある。だが、手元にある5通の手紙を妻に見せて、色々と問い質す事が出来るのかと、自分自身に問い掛ければ答えはNoだ。中身があまりにも異常すぎるし、それにもし本当の話だとしたら、妻が傷つく恐れがあるからだ。
結局のところ、同じ自問自答が何日にも渡って繰り返されるだけだった。
男から次の手紙が来たのは、前回のものが来てから1週間後の金曜日だった。
職場で見慣れた茶封筒を手にした時は、これまでとの違いを感じた。厚みが今までのものとは違うし、上から触った手触りも違うのだ。中に何かが入っている。
早速その日の夜に、いつもの居酒屋に行った。顔馴染みの若い店員が、ニヤニヤ笑って迎えてくれた。彼の顔には、先日の女性は誰ですかと書いてある。私は構わずに、ビールと摘まみを頼むと手紙を取り出し、封を開けた。
厚みを感じていたのはUSBメモリだった。私はソレを持って暫し考え込んだが、直ぐに手紙に目をやった。
【こんちには。
ご主人は今回の手紙が、いつ来るかいつ来るかと気を揉んでいたのではないですか。】
いきなりのその文章に、男の薄ら笑いが透けて見えた気がして舌打した。
【実は同封したUSBメモリ、これにレコーダーで録ったものを移しかえる作業に手間取ってましてね。時間が読めなかったので、前回の手紙には期日が書けなかったのです。ダメですねアナログ人間は。
でも何とか編集が終わり、無事にコピーする事が出来ました。】
私はふうっと、安堵の溜め息を吐き出した。この男に人間らしい一面を見た気がする。
【このUSBには何が録音されているかと言うと…いや、その前に前回のおさらいをしましょうか。
同窓会の3次会の後に、Y子とバーに行った所からです。あの店で私とY子は、互いが持ってる性癖を曝しあいました。お互いに弱みを見せ合ったという言い方も出来ますが、それでも力関係は私の方が上なのは、Y子も気づいていた筈です。
失うものがどちらが大きいかと言えば、向こうは現役の教師でおまけに夫婦揃ってですから、私のしがない身分と比べれば一目瞭然です。彼女達の変態遊戯の証拠などありませんが、SNSで吹聴すれば一発です。その現実に気付いた事もあったでしょうし、なので彼女は、私の指示に従う事になるのです。】
今度は唸り声が上がった。この男の老獪さに舌を巻きそうになってしまう。
【ではご主人。
これはY子にも話した事ですが、私の元に同窓会の案内状が届いた時の事もお話しさせて頂きます。
あの案内状を読んだ時、私の中に何十年も前の清美さんと過ごした出来事が蘇って来たのです。私はあの頃の後ろめたい快楽の渦に巻き込まれた日々を思い出して、清美さんの中にも昔と変わらない性癖や資質が今も生きてるのか、確かめてみたくなったのです。
そして彼女が、その性癖を今に活かせてないら、私が手助けをしたいと考えるようになったのです。】
そこまで読んだ瞬間、私は胸が苦しくなってしまった。そして今の箇所を読み直した。
妻の清美が『性癖』を今に活かせてないとは、どう解釈すればいいのだ。私は暫し考えを巡らせた。するとジワジワと男の云いたい事が分かった気がした。
それはーー清美が思春期に体験したマゾヒズムな奴隷生活。その時の変態セックスが染み付いていたなら、妻はその後の性生活に満足がいく事なく、何十年も自分を欺いていた事になる…元彼の男は、そんな妻の心と身体を開放しようと云いたいのか。
【同窓会で実際に清美さんと接して、私は彼女からある気配を感じました。そしてその気配の正体を確かめる為に、計画を立てる事にしたのです。
偶然にもY子という秘匿な性癖の持主を見つけた事も、後押しになりました。そして彼女を、協力者に仕立てたのです。
私は例のバーで、Y子に女子会の開催を指示しました。そしてそこで『貴女は自分自身の性癖を清美にカミングアウトして、彼女に刺激を与えろ』と云いました。それを聞いたY子は躊躇した素振りをみせましたが、既に私の傀儡です。
『教師のスキャンダルはネット民の格好のネタだよね。拡散されて、貴女達夫婦の変態行為がバレたら大変でしょ。だから頼んだよ』と、脅しも念を押しておきました。
そして私は、1週間後にもう一度会う事を彼女に約束させたのです。】
男の言葉、いや文章からはこの男の陰湿さが嫌と言うほど漂って来る。しかし、由紀子さんも変態気質の持主なら、逆に喜んで男の計画に協力したのではないだろうか。
私は、会った事のない由紀子さんの事を考えながら、次の文章に目をやった。
【1週間後、Y子を呼び出したのは、とあるシティホテルの喫茶室でした。その時の彼女によれば、1回目の女子会の準備は既に進んでいると言うので、仕事の速さに感心したものです。そしてもう一つ、驚いた事がありました。Y子はその場に、ご主人を連れて来てたのです。
私の前に座ったご主人は終始オドオドしていましてね、夫婦の秘密を拡散されないかと、そればかり気にしてる様子でした。
私は、Y子さんがこのまま協力を拒まないなら、貴方達の事は誰にも話さないし、SNSで拡散する事はないと改めて約束しました。と言っても、その時の喫茶室の会話はICレコーダーにこっそり録音してたのですがね。】
ICレコーダーは名前こそ耳にするが、実際に手にした事はなかった。私はスマホで『ICレコーダー』と検索した。
画像を見て説明を読めば、なるほどと思えてくる。想像していた以上に盗み録りに適した物のようで、しかも見た目がソレと分からない物がたくさんある。
【さて、土曜の夜でしたが、そこの喫茶室は空いてまして、思った以上に秘密の打合せを続ける事が出来ましたよ。
会話が進むにつれて、目の前の夫婦、特に旦那の方はマゾだと確信しました。彼等がやってる夫婦交換やパーティーでも、この二人の役割がよく分かるようでした。
それでも話を進めて行くと、彼等の目にはサディスト特有の色も観えて来ましたよ。それも不思議ではありません。最近はSとMが同居してる人が結構いますからね。それと、ひょっとしてY子は清美さんに対して嫉妬心を持っていたのかもしれませんね。
遠い昔の高校時代、才女で美人のY子は、人当たりが良くて明るく人気者の清美に嫉妬、これはあり得る事です。Y子がS性に目覚めた原因も、この辺りにあった可能性がありますね。】
私はまたまた唸り声を上げた。まるでこの男が、直ぐ近くにいて、影から歪な嗤いを聞かせようとしてるように思えるのだ。
【私はY子に、先日の話を確認の意味でもう一度しました。女子会では清美を酔わせて、性癖の話を持ち出せと。まずは貴女の方から、自分達夫婦がスワッピングをしてる事を告白しろと。
話しの仕方は任せるが、清美の内面は貴女と同じで変態気質で出来ているから、安心して自分を曝け出せと。
清美が黙っていたとしても、彼女はシッカリ話を聞いている。彼女の耳は性感帯で、貴女の言葉が卑猥なら卑猥なほど、清美の身体はそれを受け入れているからと。
そしてそのうち、清美の方からも愚痴や願望を口にしてくる。貴女はそれに同調してあげれば、後は自然な流れで性癖の暴露に繋がるからと。
話をしながら私は、Y子の中から淫靡な香りが沸き立つのが分かりましたよ。彼女は想像を膨らませて、あの場でアソコを濡らしていた事でしょうね。
それから彼女にICレコーダーを渡しました。二つあるうちの一つです。
Y子はソレを手に取ってしげしげと見てましたね。
最近は卑猥な遊びを動画に撮るのは、珍しい事ではありません。Y子達も経験があるでしょう。しかし私が求めるのは、言わゆる隠し撮りです。なのでY子には、その点に気をつけるように念を押しました。
そこで、お手元にあるUSBメモリです。】
私は、テーブルの上に置いてあったUSBメモリに目をやった。この中に女子会の時の会話が録音されているのだ。
【録音は長時間に及ぶものでした。声は意外なほど鮮明に録れてました。しかしまぁ、最初から卑猥な話題になる筈がありません。乾杯から2時間ほどは、在り来りな話です。ただの呑み会です。そこに集まった4人、清美さん、Y子、N子、そしてTさん。乗りは熟女の井戸端会議で、互いの近況報告から、高校時代に誰と誰が付き合ってた、好きだった等などです。
私は録音された会話を根気よく聞いて、要点よく編集しました。実際にそれらしい会話が聴けたのは、全てこの日の2次会のものでした。
Y子にとって運が良かったのは、Tさんが1次会の途中で帰られた事でした。2次会のメンバーは清美さんとY子に、Y子に世話になってるN子ですから。
そう言えば書き忘れてましたが、N子は少し前からY子の遊びに引き込まれていたようですよ。その経緯までは詳しく訊ねませんでしたが、私は同窓会の3次会の席で、N子の言葉にも怪しさを感じていました。その事をY子に問い詰めてみたら、案の定ビンゴでしたね。】
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それとTさん、『安田珠美』さんの事だ。
妻の話を思い返せば、珠美さんはお子さんの事があって、確かに早めに帰った筈だ。
【ではご主人、今回の手紙はここまでです。後は同封したUSBを聞いてみて下さい。
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何十年ぶりかに、妻と二人だけで行った居酒屋からの帰り道ーー。
その夜道を歩く私には、変な緊張が続いていた。酒の量はそこそこ多く、緊張を失くす為のアルコールだったが効果があったとは言えない。私達は店を出てから、ずっと無言なのだ。
黙ったまま歩き続け、家まであと僅かになった時だ。ふっと覗いた妻の横顔、その唇に艶めかしいものを感じた。
脳裏に閃いたのは、若き日の妻が元彼のモノをシャブル姿、その唇。
気が付けば私は、拳を握りしめていた。その拳が震え出したかと思うと、妻の手に触れた。
ハッとなって手を引っ込めようとしたが、意識とは逆に妻の手を握っていた。
二人で呑むのも久し振りだったが、手を繋ぐのも何十年ぶりかの事だった。
このまま家までの帰路を進むのかと思った瞬間、例の手紙のワンシーンが脳内に広がりだした。
妻の親指と人差し指の間、合谷(ごうごく)と呼ばれる窪みに、私の指が触れている。
元彼はこの窪みの部分を、乳首やクリトリスを撫でるように擦ったと告うのだ。
私の指は蠢き始め、元彼がしたのと同じようにその窪みを指腹で擦り始めていた。
妻の指が、いや身体全体が強張った気がした。しかし私は、そのまま妻の指を折りたたむように丸め、私の人差し指を彼女の指と指の間に送り込んだ
朱い唇からアァっと声が漏れた。
抜き差しを始めると今度は、彼女の指の隙間にしっとりと濡れを感じた。これが元彼が云う潤滑の油と言うやつだ。私の脳がそう呟いた瞬間、私の指は払い除けられていた。
立ち竦んだ妻を見れば、黙ったまま私を見据えている。
「ご、ごめん…」私は咄嗟に謝った。
なのに彼女は、とんでもないものに出くわしたような顔をしていた…。
その夜、床に付いた私は、帰り道のその場面を思い起こしていた。
妻は、私が握った指の動きに何かを察したのではないか。私の指を払い除けたのも、同窓会の2次会で元彼にされたのと同じ場面が、脳裏を横切ったからではないだろうか。
セックスを連想させる指の動きに、彼女が浮かべた相手は元彼だったのか。それとも私…いや、それはない。私と妻のセックスは何年も封印されたままなのだ。
ああ…私、妻、元彼、まるで三角関係ではないか。我々はこれから一体、何処に向かうのだ…。
…次の日から、妻の態度が目に見えて堅苦しいものへと変わっていった。
朝の挨拶、帰宅時の挨拶、それは型通りにあるのだが、声がよそ行きで淡白になった感じなのだ。この空気感は結婚してから初めてのもので、その事に私は、気疲れを感じるのだった。
息苦しさを感じたまま数日を過ごし、週末が近づいてきた。
金曜の昼過ぎには、元彼の男から5通目となる手紙が届いた。
そしてその日の夜、いつもの居酒屋ーー。
【ご主人、こんにちは。
この様な匿名の手紙を受け取って頂くのも、これで5回目ですね。勿論、貴方が間違いなく受け取り、真剣に読んでくれていると信じての言葉です。
私の方も手紙を綴りながら、まだ会った事のない貴方との距離が近づいて来るのを感じております。
いつかは、いや近い内に実際に会う時が来るかもしれませんね。まぁ、その時はお互いどういう気持ちでいるかは分かりませんがね。
では、今回の手紙では同窓会の後に開催された1回目となる女子会、その前辺りの様子からお伝えしたいと思います。】
いつもの便箋に綴られた文字を読み始めて、私は確かに男との距離が縮んでる気持ちを認めた。
顔や体型、髪型などは想像の域を出ないが、この男が陰湿で変態気質の人間である事だけは疑っていない。
こんな男と精神的な部分で繋がってるとしたら、私の中にも同じ様な性癖があるのかもしれない。しかし今まで、自分にアブノーマルな気質があるとは1度だって考えた事がない。妻とのセックスもずっとノーマルだった筈だ。それが清美にとってどうだったのかは、考え込んでしまうところなのだが。
【何十年ぶりかに再会した清美さんと、離れ難い気持ちなった私が、3次会の席でさり気なく口にした一言が女子会の開催に繋がりました。
とは言え私は男ですから、その会に参加させて貰うには当然ハードルがあります。なので私は、作戦を考えたのです。
それはY子への私からのカミングアウトと、提案だったのです。】
Y子の名前、この手紙ではイニシャル表示だが、私は妻との以前の会話で『真木由紀子』さんと知っている。
【3次会が終わり、私達は一旦離れ離れになりました。去り行く清美さんを見届けるのは辛い気持ちがありましたが、それ以上に次への企てに、私は気持ちを高ぶらせておりましたよ。そして次に起こした行動が、Y子と話す事だったのです。
私は、3次会から帰るY子の後を密かに着けて、とある駅を出た所で声を掛けました。運が良かったのは、私から誘った近くのバーに付き合ってくれた事です。
その店で私は、私と清美さんの真実を告白して、Y子に協力を願い出るのです。】
由起子さんの存在がどういう意味合いを持つのか、気になるところだった。男が由起子さんに話した真実とは。そして願い出た協力とは?
【バーでは最初、Y子は少し緊張している様子でした。それはそうです、酒が残っていたとしても陰気な店に男と二人、おまけに彼女は現役の教師ですから。
その彼女とカウンターの端に並んで座り、私はまず、学生時代の清美さんと恋人どうしだった事を告白しました。そして淫靡さを漂よわせながら、清美さんとの過去を語ったのですーー。
遠い日の私達二人の関係は、人様には決して話せないアブノーマルなものだったと。しかしそれは、二人の仲に深い絆をもたらしたと。
短い時間ではあったが、二人は異質な世界に浸り、同類でしか味わえない数々の体験をしたのだと。
結局私達は周りからの圧力もあり、別れる事になったが、互いの中にはあの頃の記憶がちゃんと残っているのだと。そして何より、身体が覚えているのだと。
Y子は私が『身体が覚えている』と云ったところで、ギクリとした反応をみせましたよ。それまでの淫猥さを連想させる言葉も刺激になっていたでしょうが『身体が…』と聞いて、彼女は私と清美さんの関係が、想像以上にアブノーマルである事に気づいたのでしょう。彼女の私を見る目が、それまで以上に信じられないものを見る目に変わっていましたからね。
しかし彼女が見たものは、私の瞳に写った自分自身の姿なのです。彼女もその事に気づいていたのです。
それを見抜いた私は、今度は彼女自身のプライベートに関する質問をしてやる事にしました。
私はまず『Y子さん、コレを飲んで気持ちを落ち着けて下さい。ここからは貴女の内面に迫る話になりますから』と、酒を勧めました。
彼女は一瞬躊躇った表情を見せましたが、目の前の男から自分と似た匂いがする事に気づいていたのでしょうね。それと3次会で、自ら清美さんに話した誘いの言葉も思い出したのでしょう。それは『アレよアレ、旦那とはやってるの?』『アタシ達、大きな声では言えないけど、刺激のある遊びをしてるだ』先ほども書いたY子の囁きです。
そして彼女は、恐いもの見たさか、グラスの残りを一息で呑み干したのです。
呑み終えた彼女はグラスを置くと、挑発的な目を向けて来ましてね。しかし私には、それが強がりだと分かっていました。
私はそんな彼女の手に自分の手を重ね、そして確かめるように云いました。『貴女は…いや、貴女達夫婦はスワッピングや乱交パーティーを愉しんでいますね』とね。
Y子は私の言葉に、目を見開きました。その瞳は驚愕の色に変わっていましたよ。】
予期せぬ展開に、私も驚いた。スワッピングに乱交など、エロビデオの世界ではないか。まして由紀子さんは、現役の教師ではないか。
それにしたって、この男の嗅覚はどうなっているのだ。これほどまでにも、同類を嗅ぎ分けれるものなのか…とすると、やはり清美は…。
【Y子の目は縋る眼差しに変わり、そんな彼女を慰めるように私は云いました。『教師ってのは本当に大変だよね、よく分かるよ。特に昨今はモンスターペアレンツがいれば、教師内での虐めがある。そんな中で世間の目は厳しくなるばかりだし、ストレスは溜まる一方だ。心から同情するよ。』とね。】
男の言葉に、私まで知らずに頷いていた。確かに現代の教師の境遇には同情するところはある。
【私はY子の様子を探るように見続けました。彼女の心の中は、私の同情に対する有り難みもあったでしょう。でもそれ以上に、指摘された事実に戸惑いを感じていたと思います。
私はY子にニコリと笑いかけ、もう一度彼女の手に私の手を重ねました。そして諭してやりました。『気にする事はない。これまでと同じで良い。それより貴女達が感じた性の愉悦を他の人とも分かち合えるように、これからも振る舞うんだ。清美が貴女に声を掛けられたのは運命なんだよ。だからね…』とね。】
手紙はそこで唐突に終わっていた。何だこの終わり方は?
封筒の中を見直したが、続きが書かれた便箋用紙はどこにも見当たらない。
同封するのを忘れたのか?いや、この男に限ってそれはない。
と言う事は、男は敢えて私に謎掛けをしたのだ。
手紙の最初の方には、私との距離が近づいてる書かれていた。確かにその通りだ。何かがヒタヒタと近づいてくる気配を感じる…。
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4回目となった手紙を読み終えた私は、家路へと歩いていた。
店を出る時から頭の中を占めていたのは、今夜妻と何を話せばよいのかと言う想いだった。
ヒタヒタと夜道を進みながら、妻と女子会の事を考える。
彼女は私が申し出た女子会の写真を、見せてくれている。スマホを目の前で開けて、画像を1枚ずつスライドしてくれたのだ。
そこで私が見たのは、全てが妻と他の女子との写真だった。そう、名前の通り女子だけの会だと私は思っていた。
しかし先ほどの手紙から推測すると、元彼自身は女子会への潜入に成功しているに違いない。
ならば妻は、この元彼と写真を撮った可能性もあるのではないか。そしてソレは私には見せれないと、咄嗟に削除したか別のフォルダに移したのではないだろうか。
ああ、でも今夜妻の顔を見てもその事は訊けない。何故だか、聞いてしまうと大変な事が起こりそうな気がしているのだ。
いやいや、俺は何をビビっているのだ。何気なく、さり気なく訊いてみろよ…そんな声も何処からか聞こえて来る。あぁ今夜の俺は酔っているのか。いや、もう少し確実に酔っていれば、酒の力で妻を問い詰められるのに。
結局、そんな自己問答を続けているうちに、自宅マンションに到着した。
今夜もエントランスに立った所から、インタフォンは鳴らさずに我が家のドアを開けるところまで来た。
そっと玄関から奥を覗くと、電気は足元のフットライトが点いてるだけだった。妻は既に寝てるようだ。
自分の部屋に入り、部屋着に着替えながらシャワーを浴びる準備をした。このところ湯船にユックリ浸かった記憶がない。
浴室を出て、ドライヤーで髪を乾かし終えた時だった。
洗面室を出た私の目の前に、妻が立っていた。
唐突に現れた彼女に、私は肝が冷えて驚きの声を上げてしまった。
「ど、どうしたの!」
「…お帰りなさい」
「ああ…ただいま」
「………」
「起こしちゃった?」
「いえ、眠りが浅くて…」
「そうか…俺ももう寝ようと思ってるんだけど」
「…そうね、そうですよね」
そう呟くと妻は、ふわりと背中を向けて自分の部屋の方へと歩いて行ってしまった。
会話は数秒だったはずだが、私にはとても長い時間に感じられた。妻の瞳が暗く深く、ブラックホールに飲み込まれるような感じを受けていた。
一旦リビンクに行ってソファーに腰を降ろすと、今しがたの妻の様子が気になりだした。
もしかして彼女は、最近の私の遅い帰宅に勘が働いたのかもしれない。
それかだ。元彼から連絡があって、手紙を私が読んでる事実を聞かされているのではないのか。同様に手紙の内容も知らされていたら、彼女だって冷静でいられる筈がないだろう。過去とはいえ、あの様な経験をしていたのなら…。
火曜水曜と、私はなるべく早く仕事を切り上げ真っ直ぐ家に帰った。
妻は久し振りの早い帰宅に少しビックリした感じだったが、だからといって私達の日常に特別な変化はなかった。
しかし。
水曜の夜に私は「あのさ、雰囲気の良い店を見つけたんだ。明日の夜にでも行ってみない」妻を例の居酒屋に誘ってみたのだった。
「最近はほら、テレワークなんてのもあるじゃない。だから俺もね、帰りに一杯やりながら雑務が出来る居酒屋を見つけてね。雰囲気も結構良いんだよ、肴も美味しいし」
我ながら芝居じみた誘いと思ったが、妻の方は意外とあっさり了解の返事をくれた。
私の中には勿論の事、狙いがあった。酒の力を借りて、女子会の事や元彼の存在を探ってみようと思っているのだ。それに彼女も酔っ払えば、弾みで何かを話すかもしれない。
当日木曜の夜。職場から例の居酒屋に向かう時は、変な緊張を覚えていた。
先日は妻から外食を誘われたり、私が買い物に声を掛けたりしたが、昼と夜では雰囲気が違う。そう、温度が違うのだ。
妻の方は設計事務所の仕事場から直接行くと言うので、先に着くのは彼女の方かもしれない。そんな事を考えながら電車に揺られていると、あっという間に駅に到着した。
店には思った通り、妻の方が先に着いていた。
「遅くなってごめん」私は妻のいる個室に入るなり、軽く頭を下げる。
「私もさっき来たところですよ」
私は妻の声に頷きながら腰を降ろす。
店員が直ぐに注文を取りに来て、私達は中ジョッキのビールを二つに、摘みを適当に頼んだ。
その店員は顔見知りになった若い男の子だったが、私が初めて女性連れだったからか、いつもより愛想が良い気がした。
掘りごたつで足を伸ばすと、妻の足にぶつかってしまった。何故か緊張が生まれてしまう。
俯き気味にメニューを見てる彼女の顔を覗き見る。
ショートボブの髪型は何年も前からだが、この数カ月はこれまで感じた事のない色艶を、身体全体から滲み出してるように観える。やはり、内面に何かしらの変化があったと考えてしまう。
ビールが到着すると、改まって乾杯した。
「こうやって呑むのって久し振りだよな」一口目を美味しそうに飲んだ妻に訊いてみる。
「ええ、ほんと。でも貴方はしょっちゅう飲んでますよね」
「いや、それも仕事の内だし、女性と一緒ってのは殆どないよ」と言って、私は苦笑いを浮かべた。
摘みが来ると、暫く黙ってそれを口に運んだ。やはりまだ、二人の間には緊張がある。
妻のジョッキを見れば、まだ3分の1程度しか減っていない。ビール好きの彼女だが、私の前で遠慮しているのかもしれない。私は早く彼女を酔わせたくて、自分のペースを上げる事にした。
それから1時間ほど、私も妻もそれなりの量のアルコールを摂取した。会話は、最初は妻の職場環境の話を訊いた。ハラスメント等がないかどうかだ。そして一人暮らしの娘の事。
妻は2度ばかり娘の所に行ってるが、その後の様子はどうなのか、連絡はあるのかと訊ねたりした。妻によると、最近の娘の調子は良いとの事だった。
私は何杯目かのビールのお代わりを注文した。勿論、妻の分もだ。
ビールが届き、店員が出て行ったところで、「えへん」と咳払いをした。
「ところでさぁ、アレはもうやんないのお」
「へ、アレって何ですか」妻の口調に酔いが窺える。
「ほら~ぁ女子会。同窓会の後、2回くらいやったろぉ」私も少し砕けた感じを装って訊いた。
「ああ、3回目はやんないのかって事ね」彼女が箸を止めて、少し考え込む。
「そうですねぇ、どうなのかな…」
「あれって幹事は誰がやってたの。確か…由起子さんって人だっけ?」
私の質問に、妻は素直に答えてくれた。私はそれを切っ掛けに、他の参加メンバーの事も訊く事にした。妻にすれば、以前にも話した内容だったが、同じように答えてくれたのだ。返事の合間、彼女の呑むペースが上がっている。
「それでさ、女子会とか言いながら男子も来てたんじゃないのぉ」私は更に砕けた口調を装い、妻を窺った。
「………」
見ればジョッキを置いて、妻が俯いている。どうしたのだ。
ふぅーー彼女が溜め息を吐き出した。
「参加したいって人はいましたよ、一人二人は…。でも珠美なんかは最初はやっぱりって…」
「男子は断ろうと?」
「そうですね…」
「ふ~ん」私は相づちを打ちながら、珠美さんの事を思い出そうとした。「珠美さんってあれだっけ、確かバツイチ?」
「そう、彼女はバツイチなんですよね。良い人がいるのかどうかは知らないけど」
「じゃあ、同窓会で昔の彼に会ったりしたら…」云いながら私は、自分の唇が震えるのが分かった。これは確信に迫る切っ掛けになる質問かもしれないのだ。
「珠美のですか…彼女は同じ高校には…あ、彼氏は違う高校だったかも」
私は静かに頷いた。次は妻自身の事を訊くのだ。
「あの、清美はさ、そのぉなんだ、高校の時は…」
私の心臓がドキドキと音を立て始める。
「私の高校時代?」一瞬、妻の瞳がキリリと光った、気がした。
「高校時代は人並みに…」こちらに向く眼差しが、揺れてる感じがする。「…恋愛はありましたよ」
云い終えた妻が少し俯く。私の目に、彼女の睫毛が震えて観える。言い辛い事を訊いてしまったか。それとも誰かに口止めされている?それこそ元彼の男に?。
しかし、次にスッと顔を上げた彼女の瞳の中には、鈍い光が混じって観えた。
「…好きな人はいましたし、それなりに良い思い出も、悪い思い出もありますわ」
言い切った彼女の雰囲気は、それが何か?と、こちらを問い詰めてる感じだ。
彼女の中に、女の強(したた)かさを感じたつもりはなかったが、私はこれ以上この話題に触れるのは止めようと思った。が、彼女の方が続けてきた。
「格好良い男子も結構いましたよ。教師の中にも面白い癖のある人もいましたし、個性のある学校でしたわ」
「そ、そうか、俺って清美の高校時代の話はあまり聞いた事なかったからね、ハハハ」
私は苦笑いを浮かべながら、頃合いを見計らった。そろそろ御暇しても良い時間と思ったのだった。
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私は、妻と元彼が同窓会の2次会の席で、同じテーブルに着いた場面を想像しながら、手紙を読み進めた。
【『清美』とあの頃のように名前を呼び捨てにされ、おまけに『変態マゾ』の言葉を聞かされ、彼女に変化が現われるか私は期待をしました。
清美さんを見続けますと、その瞳がますます潤んで行くのが分かりまして、その瞬間『ふんっ!』と、心の中で鼻を鳴らしましたよ。
彼女の方は、俯いてしまいましてね、私はそんな彼女の手を、テーブルの下でそっと握りました。その瞬間は、私の中にも電気が走り抜けました。肌に触れたのは何十年かぶりの事でしたからね。
そして私は、清美の親指と人差し指の間、合谷(ごうごく)と呼ばれる窪みの部分を擦ってやったのです。そう、指の腹で乳首やクリトリスを弄るイメージを彼女に思い浮かべさせようとしたのです。
清美は、私の指を払い除けようとはしませんでしたよ。それどころか口を微かに開き、小さな溜め息を零し始めました。
次に清美の指を軽く丸め、私の人差し指を彼女の指と指の間に刺し入れてやったのです。彼女の指の隙間は微かに汗を掻いてまして、私はそれを潤滑の油に、抜き差しを始めてやったのです。
直ぐに彼女は眉根を寄せましてね、鼻から嘆きの息を吐きました。
私は彼女の耳元に唇を近づけ、云ってやりましたよ『どこが気持ちいいんだ?』ってね。
清美は上目遣いに、そして後ろめたそうな視線をこちらに向けましたね。それでも私は、再度強めの声で云いました。『ほら、昔を思い出して口に出してみろ』『口に出す事で得られる快楽があるんだよな』とね。
清美は逡巡していましたが、やがて唇を震わせながら『…オ、オマン…』と、言い掛けたのですが、残念な事に我々の席に人が戻って来てしまったのです。
その女性が戻って来た瞬間には、私はテーブルの下で握っていた清美の手をパッと離していました。
清美の横顔を見れば、明らかに緊張の色を滲ませています。席に戻って来た女性も、おかしな雰囲気を感じたかもしれません。
因みにこの女性は、先ほど書いたY子さんです。
清美は直ぐに、Y子さんと入れ替わるように席を立って、逃げるように化粧室の方へと行ってしまったのです。】
私はふうっと息を吐いて、今の場面を想像した。何かの映画のワンシーンのような気もする。
【席を立った清美の後ろ姿を追い掛けながら、私は彼女がトイレでショーツを降ろし、ソコが濡れてる事に気づく場面を想像しましたよ。
Y子は私の様子に気になる事でもあったのか、顔を乗り出し訊いてきましたね。酔った口調で『清美は相変わらず綺麗ですよねぇ。久し振りに逢ってどうですか~?』こんな感じでした。
Y子は当時から才女と呼ばれ、美人でもありましたが、雰囲気は当時と同じで少しお高くとまった感じです。しかしこのY子が、3次会でとんでもない事を言い出すのです。それはまぁ、後のお楽しみにしておいて下さい。】
又も男の薄ら笑いが、耳元で聴こえた気がした。
そしてY子…おそらく由起子さん。この人の事は、妻も口にしていた。今は夫婦揃って、教職に身を置いている人だ。
その由起子さんが云ったとんでもない事、それも気になってしまう。妻に関係がある事なのだろうか。
【私とY子の二人だけになった席でしたが、少しするとN子さんにTさん達が戻って来てしまいました。
思わぬ形で4人掛けの席が埋まってしまったわけです。が、私はそれなりに振る舞いました。昔話に花を咲かせる素振りをしながら、さり気なく清美の情報を引き出そうとしたのです。
そこで分かった事と言えば、清美はTさんとは今もたまに連絡を取り合っている。そのTさんが言うには、清美は今の旦那さんとの夫婦仲は上手くいってて、一人娘は地方の大学に進学して二人暮らしになった、などが分かりました。
Y子さんとN子さんは、清美とは音信不通だったが、1次会の場で再会して想像以上に盛り上がってるとの事でしたね。】
私は無意識に頷いている。
Tさん…確か珠美さん達友人の事は、以前にも聞いた妻の話と符号が合う気がしたのだ。
【彼女達との会話を続けてますと、清美が向こうに歩いて行くのが見えましてね。私は追いかけ、問い詰め、嬲り、虐めてやりたかったのですが、そう言うわけにもいきません。暫くその席に座ってTさん達と時間を過ごしたのです。
2次会は結局、それから暫くしてお開きとなりました。
清美と話す機会を逃したくない私は、さり気なく影のように彼女に近づき、二人だけの3次会を提案しました。しかし運の悪い事に、私の会話を聞いた何人かが話に入ってきてしまって、結局7人のグループが出来て、そのメンバーで近くのカラオケボックスに行く事になってしまったのです。
メンツは清美達同じ席にいた4人に、私と他に男が二人です。
清美を除く女性3人は結構酔っ払ってましたね。清美もかなりビールを飲んでた様子でしたが、かなり行ける口なのでしょうね。】
私は又も無意識に頷いていた。
妻は以前からビール党でそれなりに強く、だからこそ酒で過ちを犯す事はないと思っている。
【店では、直ぐに一人がマイクを持って唄い始めました。
普段からあまり歌う事のない私は、カラオケは苦手でしたが、その時はその歌声が良い塩梅に私達の会話を担保してくれました。そうです、私は清美と隣どうしで座る事が出来たのです。
清美の視線はマイクを握る人達に向いてましたが、私の耳元の声をシッカリ認識していたと思います。
昔から女の聴覚は性感帯の一部と言われています。彼女もおそらく、私の声に高鳴りを覚えていた事と思います。勿論、過去の淫靡な出来事を思い出していた筈です。
では、その時清美の耳元で囁いた私の言葉をご主人にも知って貰いましょう。
『あの頃の貴女には、未知の領域を初めての旅人の如く、好奇と興味の塊となって、手探りしていく初々しい淫らさがあったよ』
『貴女は晒し者にされる羞恥の中で、倒錯した快感を覚える事もあったね』
『あの時は後ろめたい快感がたまらなかったんだろ』
『これからだって、回数を重ねれば熱感は高まり、それが紛れもない女の悦(よろこ)びだと思い出す時が来るよ。そう、これからだってね』
彼女は視線をマイクに向けながらも、時おり顎を引いて、濃い眉を伏せてました。恐らくその仕草は、私の言葉の中に急所を突かれる、言わばキーワードみたいな物を感じたからでしょうね。
清美にとってノスタルジックとは、胸騒ぎを感じる放課後に、生硬な少女から『女』へ変身を遂げたあの季節の事なのです。】
手紙から漂よった詩的な言葉の羅列に、私は正直打ちのめされていた。
この手紙の主は変質者で間違いないと思うのだが、それ以上に妻を…清美を虜にする不思議な力を持ってる気がするのだ。
私は異様な喉の渇きを感じて、ビールのお代わりを注文する事にした。
【さて、私が仕掛けた言葉達に、清美がどのような反応を示すか楽しみに待っておりました。
しかしそれほど広くない部屋です。私達の間に、友人達が声を掛けてくるのです。
内心辟易してましたが、その中に私の…いや清美の性癖にも刺激になるものがあったのです。私はそう感じたのです。
少し前にも書きましたが、意外にもY子が凄い切っ掛けを作る事になったのです。
マイクを置いたY子が清美の向こう隣に座り、私達の様子を窺いながら、そしてY子は清美の耳元で囁いたのです。いや、Y子は囁いたつもりだったかもしれませんが、声が大きく私の耳にも届いてしまったのです。
Y子は酔った口調で云いました。『清タンのところはどうなのお、アレよアレ。旦那さんとはやってるのお?』『アタシ達ねぇ、あまり大きな声では言えないんだけど、ウフフ…刺激のある遊びをしてるんだぁ』
その瞬間、Y子の言葉に私の中で何かが弾けました。Y子が教師をしてるのは1次会で聞いてましたが、聖職者である彼女から私とよく似た同類とも言える匂いを嗅ぎ取ったのです。】
手紙の中の男の様子がこちらにまで伝わった気がして、私の背中がゾクゾクと震えてきた。
しかしこの展開は何かの伏線なのか。この話は何処に行くのだ。
【その時の清美さんは、いつの間にか歌う連中から目を離して、俯きながらもY子の口元をチラチラ探る感じでしたね。やはり清美は、聴覚でエクスタシーを感じようとしていたのでしょう。
Y子は清美の反応など気にせず話を続けました。
『夫婦仲を改善するとかね、浮気防止にはある事をするのが一番なのよねぇぇ…気にならない、ねぇ清タン』
私は二人の会話が聞こえないフリをしていました。今度は私が耳を性感帯に、Y子の言葉を盗み聞きしていたのです。
しかしそこに何と、今度はN子が席を移って来たのです。
N子はY子の向こう隣に座って、Y子に向かって訊いたのです。『Y子さん達、何だか楽しそうな話してない?たぶんアッチ方面の話なんでしょ?』
N子の口調も酒のせいで、かなり砕けた感じになっていましてね、そして続けるのです。『アタシはY子さんのお陰で、うふふ…ほら、最近は楽しめてるしネ。あれ~ひょっとして清タンも?』
N子の目がギラギラしてましたね。私がいる事など全く気にしてない様子なのです。
それからY子がN子をたしなめると、少し大人しく小声で話すようになったのです。おかげで私の席とは少し距離があるので、彼女の声は途切れ途切れにしか聞こえなくなったのです。
それでも漏れ聞こえたのは『また早く…』『もっと大勢の前で…』全てN子の囁きです。
清美さんの横顔を窺えば、完全に俯いていましたね。私の存在も忘れてるようでした。】
予期せぬ事に妻の友達までが登場してきて、話の先が想像できなかった。それでも淫靡は気配は感じ取れるのだ。
それよりもだ。妻は友人達の会話をどう解釈したのだろうか、そちらが気になってしまう。
【Y子とN子の会話が一段落した時でした。
私は何気ない素振りを装い、誰となく云いました。
『ところで皆んなは、これからも集まったりするのかな』
私の言葉にY子N子清美さんの3人が顔を見合わせました。そして確かY子が、女子会を提案したのです。】
その瞬間、私はあっと声を上げた。
妻が参加した2回の女子会、それの切っ掛けが出来たのは、この男の一言だったのだ。
【この時の私の中では、清美さんの現在の心境、勿論彼女が持ってる性癖が今も蠢いているのか、それが気になっていたのです。そしてそれを確かめる切っ掛けに、その女子会を利用出来ないかと、思惑を浮かべていたのです。
なので私は、彼女達にさり気なく云いました。
『その女子会に、ゲストとして呼んで貰えると嬉しいな』こんな感じでした。】
唸り声を上げて、私はその一文を読み直した。
この元彼の男が、女子会に参加しただと!
いや、まだこの時点では参加が決まったかどうか分からない。しかしおそらく、男は参加に成功したのだ。
となると、妻は私に嘘をついた事になる。
私は記憶を探った。
妻は参加人数を4人と云って、参加者の名前も上げたはず。
そして、その時撮ったという写真も見せてくれた…。
手紙を持ったままの私は、胸騒ぎを感じている。一体これはどういう事だ。
【ではご主人、今回はここまでにさせて頂きます。
この手紙で時系列がだいぶ追いつきました。物語はまだ続きます。
次の手紙は週末にはお届け出来ればと思っています。 では】
読み終えた手紙をそのままに、私は暫く呆然と固まっていた。
今夜、妻と顔を合わせれば何を喋ればいいのだ。
その事が気になってしょうがない…。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
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「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
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「どこをだね」
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「は、恥ずかしい…」
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あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
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「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
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憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
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「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
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男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
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男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
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男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
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「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
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「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
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なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
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私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
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遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
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司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
牡精を絞り取られたSが、徳子さんに拍手を送る。周りの男女がそれ以上の拍手をすると、徳子さんが恥ずかしげにペコリと頭を下げた。最初のショーが終了したのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
「ああ、Y子さんのお知り合いでしたか。これは失礼しました」男が畏まって頷く。
「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
自分の部屋に戻った後は、暫く下半身を曝したままだった。ベッドに腰掛け股間のソレを弄ってみるが、大きくなる気配は全くない。長い間、セックスしなかった事が原因なのか。答えなど見つかる筈もなく、ショックで頭を抱えてしまう。
しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
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昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
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その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
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この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
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通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
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「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
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「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
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「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
暫くそのまま目の前の痴態を見てると、身体が熱くなってきた。この女を何とかしないといけないのではないのか。
その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
「…オマンコよぉ…オマンコいいのぉ」
昨夜と同じ4文字の淫語ではないか。
「あぁんッ犯してぇ、あなた、お願いっ」
切れ切れの鳴きの声に、私の身体は固まっていた。それにしても、今の『あなた』とは誰の事だ。
身体の熱がフツフツと高まっていく。こうなったら私が犯(や)るしかない。この女にブチ込んでやるのだ。
私はズボンを降ろして、股間を露にした。
しかし…昨夜と同じで、シンボルであるはずの男性器が萎んだまま、全く反応しなかったのだ…。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
「ええッ、本当ですか!」
「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
「ほらご主人、アタシのここ、ドキドキしてるでしょ」
由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
告うや否や、映像の由紀子さんはベッドに上がり、四つん這いになって男達に臀を突き出した。
私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
「そ、そうなんですね…」
「ええ、でもこの日の彼女は見学と撮影だけ。それ以外の事…服を脱いで裸を見せたりはしてませんから」
先ほどの羞恥の表情を何処へ隠したのか、由紀子さんは落ち着いた声に流し目まで送って来る。
「あの、男は…元彼はそれで何と…」
「元彼?ああ、あの人ね。うふふ、アタシが指示されたのは、清美さんに刺激を与えて下さいって事だけですから」
「………」
「まあアタシとしたら、いつかは清美さんにもこちら側の世界に来て欲しいと思ってますけどね」
由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
「ええッ!」
「アタシ達は変態セックスを愉しんでるスワッパー夫婦。そんなアタシ達の仲間に、ってね」
「いえ、私達は…」
「ふふっ大丈夫、分かってますって。無理強いはいけませんからね。でも、清美さんの方が先に飛んだらどうしますか」
「と、飛ぶって…」
「ふふ、清美さんの行く末を皆んなが楽しみにしてるんです。あの人と寄りを戻したら…な~んてね」
「き、清美に限ってそんな事は…」
「ふふふ、あるわけないですか?」
由紀子さんが間近な距離から見詰めてくる。
「ご主人は、これまでも清美さんを大切にして来たんでしょ?」
「………」
「たくさん抱いてあげたんでしょうが、彼女の本質をちゃんと理解してあげてたのかしら?」
「本質って…」
「持って生まれた性癖。それって幾つになっても変わらないらしいですよ」
「………」
由紀子さんの言葉が映像のヨガリ声と重なり、雨粒のように降り掛かって来る。
彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
「そうそう、そう言えばねぇ、泊まりでの女子会を検討中なんですよ」
「そ、それは聞いてます…」
「そこで清美さんを試してみては如何ですか」
「え、試すとは?」
「決まってるじゃない。清美さんがそこで飛ぶかどうかよ」
私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
これもあの男の仕掛けなのか。私は完全に翻弄されている。
「ご主人、そうあまり真剣な顔しないで下さい。アタシも問い詰め過ぎました。今云った事は時間があるから、考えておいてくれればいいですよ。それより、こっちの続きを楽しみましょうよ」
彼女の言葉にパソコン画面を向き直れば、由紀子さんが臀を向けてご主人に跨がっている。二つの生殖器が、片方は侵入を繰り返し、もう片方はソレを難なく飲み込んでいる。そしてその摩擦音が、響き伝わって来るのだった。
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テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。
『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
「今のは?」
「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
「あの人…」
「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
「それって、いいんですか」
私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。
映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
私は黙って頷いている。
「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
「ええッ!」
「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
「………」
「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
「大胆に、ですか」
「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
ゴクリ、私の喉が鳴る。
「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。
「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。
『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
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「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。
「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
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口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
と、映像が結合の部分から徳子さんの豊満な乳房を抜けて、彼女の表情に移動した。
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顔のアップに気付いたか、徳子さんが悲鳴を上げる。
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「あらあら徳ちゃんったら、凄い声ねぇ。でもご主人、彼女はねぇ、イヤとか言いながらシッカリ興奮してるんですよぉ。なんせ見られて感じる変態なんだから」
私は驚きに息を詰まられながら、本当ですか、と訊きそうになっている。確かに徳子さんは、自分の逝き顔を見せ付けてるように観えなくもない。
その時、徳子さんの顔がズームアウトされた。同時に腰を振っていた男が、彼女の腿をバチパチと叩いた。
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由紀子さんの言葉通りに、二人は繋がったまま器用に体位を変えていく。
「ふふふ、男女が身体を溶接させたまま一体となっての漂流感は、性の醍醐味なのよね」又も由紀子さんが、意味深な言葉を呟いた。私の中には、阿吽の呼吸という言葉が浮かんだ。正常位から犬の格好への移行が、スムーズに観えたのだ。
そして直ぐに、それまで以上の徳子さんの叫び声が上がった。
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それとだ。由紀子さんは妻から私達夫婦の性事情まで聞き出したのだろうか。それを知って彼女は、今の質問を?
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居酒屋の個室ーー。
馴染みとなったこの場所も、私はこれまでと違う空気を感じていた。
目の前の女性が、『真木由紀子』と名乗ったからだ。
それはここ最近、頭の中で頻繁に反芻される名前だった。妻の同窓生で、例の元彼の手先となった女性なのだ。あの手紙に書かれてある事が事実ならばだが。
由紀子さんが目の前の席に座り直した。私は緊張を覚えながらも、その素顔を窺う。
身体付きはイメージしていたよりかは若干ふっくらした感じだが、髪の毛が後ろで結わかれているせいか顔は面長に見える。目はパッチリ二重で、口元から覗く白い歯並びには清潔感を覚える。その雰囲気からも、才女と呼ばれていた理由が垣間見える気がした。
「あのぉ、そんなに見詰められたら、何だか恥ずかしいわ」
その声に私は、ハッと我に帰った。
「ええ、すいません。でも、どうしてここに?」私は緊張を残したまま訊ねてみる。
由紀子さんは私をチラリと見て、先に何か注文をしましょうとメニューを指し出して来た。
私がいつものビールを頼むと、由紀子さんも同じ物と摘みを何点かオーダーした。
ビールと摘みが届くと、由紀子さんがジョッキを持ち上げた。それに合わせて、私は持ったジョッキを黙ったまま目の前で上げた。
彼女は美味そうにゴクゴクと喉を潤すが、私はチビリと口を付けるだけ。そんな私は、訊いておくべき事を口にした。
「あの、貴女の名前は清美から聞いて知ってましたが、コレは一体どういう事でしょうか?」
「うふ、先だって清美さんに次の女子会の件で、連絡した事がありましてね。ご主人に了解は取れそうかと訊ねたのですが、その時に話の流れでこのお店の事を聞かされたんです」
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「ラッキー?」
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意味深な笑みを浮かべて、由紀子さんが鞄から何かを取り出した。私はソレを見た瞬間、息が止まりそうになってしまった。
彼女が手にしていたのは、USBメモリだったのだ。しかも、前回男から送られ来た物と同じやつではないか。
「それと手紙は届いていませんか」
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目の前に座る由紀子さんが、手紙の話を出すと言う事、そしてUSBを持っていたと言う事は、あの男と繋がってる証拠ではないか。
「それで手紙は?」由紀子さんが、私の様子を窺ってくる。彼女は、これまでの手紙の内容も知っているのだろうか。
「持ってるんですね?」彼女が私の目を覗き込んできた。
私はコクリと頷くと、横に置いてあった鞄に手をやった。手紙と一緒に、ノートパソコンまで無意識に取り出している。
「うふふ」由紀子さんが私の様子を見てか、怪しげな嗤いを立てた。
封を開けてみれば、中身は便箋が1枚だけだった。私は彼女の視線を気にしながら読み始める事にした。
【こんにちは。
今回もUSBを同封しようと思っていたのですが、由紀子さんから連絡があって、ひょっとしたら清美さんのご主人と会えるかもしれないと申すもので、私も遊び心に乗って、彼女に持って行ってもらう事にしました。
万が一、彼女と会えなければ、直ぐに送るようにしますのでね。
では、無事に女子会の映像が視れますように。】
たった1枚の便箋に書かれた短い文章だったが、私はそれを読んで唸り声を上げた。男の遊び心は見事に成功したわけだ。それと、ここに書かれてある女子会とは、由紀子さん達のいう『社交界』と言う名の怪しい集まりの事なのだ。
これで由紀子さんが妻の元彼と名乗る男と、完全に繋がっている事が分かった。手紙の中にも『Y子』ではなく『由紀子』と書かれているのだ。
「何て書いてあるんですか」由紀子さんが私の手元を覗き込むように、少し身を乗り出した。
「当ててみましょうか。コレの中身は社交…いえ、女子会の映像なんでしょ」由紀子さんがUSBメモリをかざしている。私は、知ってたんでしょ、と小声で呟いた。
「じゃあ、せっかくだから一緒に視ましょうよ」
「ええッ、一緒にですか!」
「そうですよ、だってアタシも映ってるんですから」
「あッ!」
「何をそんなに驚いてるんですか。相良さんだって、パソコンを用意してるじゃないですか」
「え!?」
そうだった。私は無意識のうちに、手紙と一緒にノートパソコンまで出していたのだ。
「さぁ、アタシは覚悟が出来てるんですよ」
由紀子さんは『覚悟』と口にしたが、その声は、どことなく嬉しそうだ。声に私を挑発する響きを感じる。
気づけば彼女は立ち上がって、私の隣にやって来るではないか。そして座ると、USBをセットした。
「さぁ早く、再生して下さぁい」由紀子さんが私の耳元で、少し呂律の怪しくなった口調で囁いた。
この映像には、妻も映ってるかもしれない。そう思うと体温が上がってくる。それでも私の指は、何かに操られるように再生をクリックした。
「それと最初に言っときますけど、これって2次会の時のものですからね」
「え、2次会と言うと…」
「1次会はこのお店みたいな居酒屋だったの。その後、場所を移動したんですよ。少し遠かったけどタクシーでね」
由紀子さんの酒臭い息が、私の横顔に掛かる。彼女にとっても酔わなければやってられない…いや視てられない映像なのだろう。
「あのぉ、2次会のメンバーっていうのは…」
「ああ、その日のメンツね。えっとね、アタシと清美さんに徳ちゃん。あ、徳ちゃんって言うのは」
「大田徳子さんですよね」私は断って、そして続ける。「その3人だけですか、他には…」
「ああ、珠美さんの事ね。珠美さんはこの日も1次会で帰っちゃったのよね。彼女、子供がまだ中学生で難しい時期みたいでぇ」
いや、そうじゃなくて…。私は、妻の元彼の存在が気になっているのだ。
「あの、男子は…」
そこで彼女は、私の知りたい事を察したようだった。
「そっか、うんうん、あの人の事ね」
由紀子さんが呟いた瞬間、同時にパソコンの中から女性の絶叫が聞こえたのだった。
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次の日、私が目を覚ましたのは、朝の10時を過ぎた頃だった。
起き上がって欠伸を一つすれば、頭の中に夕べ視たSMチックな寝取られ動画の映像を思い出した。
2本の動画はいずれも中年の人妻が主人公で、夫の前で男に翻弄されていくものだった。私は人妻を妻の清美に、夫役を自分に投影していた。
動画の残像に苦笑いを浮かべて立ち上がろうして、枕元のスマホの点滅に気がついた。
見ればLINEの知らせだ。
『声を掛けても全然起きないのでLINEにします。今日はこれから買物に行って来ます』
私が爆睡している間に、どうやら妻は出掛けたようだ。
寝不足気味のまま食事を採り終えた私は、もう一度夕べの動画を視てしまった。
妻が帰って来たのは、夕方近くだった。買物にしてはかなり長いものだったが、私は特段責める事もなかった。妻が元彼と密会していたとは思えないし、そんな証拠もない。あるのは私の妄想…と想いたい…。
「夕べも遅かったんですね」
妻が話し掛けて来たのは、彼女が夕飯の準備でキッチンに立った時だった。
「ああ、そうだった…LINEを入れるの忘れてたっけ?」私はソファーから顔だけを向けて答えている。
妻は私の質問に応えるでなく「またあの居酒屋ですか」と、訊いてくる。
「うん、そうそう、あそこで残業をね」
「そうですか、また行ってみますか」
その言葉に、私はキッチンに振り向いた。
「そ、そうだね」
このところ冷たく感じる妻からは、思いもよらぬ誘いだ。
それから私達は、お互いの予定を確認し合って、次の水曜日に先日と同じ店で待ち合わせる時間を決めたのだった。
週明け出社すると、急ぎの仕事が舞い込んできた。この分だと出張が入りそうな気配を感じてしまう。
そんな中、水曜日がやって来た。日中は仕事に追われ、妻との呑み会の事を考える余裕もなかった。頭の中には『元彼』に『由紀子』『徳子』の名前があるが、2回目の女子会の事を含めて、どのように話を持ち出せばよいか整理が追い付いていない。
それでもこの日、仕事を終わらせた私は、なるべく遅れないようにと先日の店に向かった。
今夜も店には、妻が先に来ていた。私は個室の扉を開けると、前回と同じように「遅くなってゴメン」と、頭を下げている。
店員にビールと摘まみの注文が終わると「最近また忙しくなったみたいですね」妻から話し掛けて来た。
「そうだな、そのうち出張があるかも」
私の返事に頷きながら、妻は「今週も夜はここで残業ですか」と、続けて訊いてきた。
私は苦笑いしながら頷くだけだ。
例の男からの手紙を読む為に通うようになったこの店。それ以来ここに来る理由を、妻には残務と説明していたのだが、はたして彼女が、ノマドワーカーのイメージと私を結び付けたかどうかは分からない。
そして私は、男からの次の手紙の事を考えている。前回の手紙には次の期日は書かれていなかったが、明後日の金曜日には届きそうな気がしているのだ。
「ねぇ、どうしたの、私の話聞いてます?」
ふと顔を上げると、妻が首を傾げている。
「いや大丈夫だよ。そうだな、ひょっとしたら週末もここにお世話になってるかも」と云って、私は笑ってみせるのだ。
それから暫くの時間、私達は黙々と摘みを口に運び、ビールを何杯かお代わりした。
「ところで貴方、最近ボォっとしてる事が多くないですか」
「え!」
「何か悩みとか、心配事でもあるの?」
妻の表情を観れば、頬を朱く、目には酔いの色を浮かべて私を窺っている。
「いや、別に…」私の口は勝手に動いていた。が、心の中では…あのな、気になっているのは、お前の事だよ、清美の過去の男と同窓会の事だろ、と呟き掛けている。
「それよりだよ、清美の方はどうなんだい。女子会の約束はないのかよ」
「ああ、3回目の女子会の事ですね。ええ、実は…」妻がジョッキを置いて、視線を真っ直ぐ向けてきた。
「今度は泊まりでやろうって話も出てるみたいなんです…」
妻のその言葉に、私の喉が鳴った。
「お、おい、それって初耳だよな…」
私のしどろもどろの声に、妻が肩を竦める。「ええ、実はそれの了解を頂こうと思ってまして、それで今夜…」
「了解って…まだ計画中なんだろ?」
「そ、そうです。だから、貴方の意見を…」
「意見って訊かれても…」
妻が何の予兆もなく、私を飲みに誘った理由が分かった気がした。
男も一緒に行くのか、私の頭はその事を追求しろと指示しているが、言葉が出て来ない。
すると妻が、言い訳するように話し始めたーー。
彼女の説明によると、つい先日、由紀子さんから企画に対する伺いがあって、家族から了解が取れるか探っておいて欲しいとの事のようだった。
妻の説明を聞いても、私はその申し出には、曖昧な返事に徹するだけだった。そして私の中には、モヤモヤだけが残ったのだった。
金曜日の昼間、7通目となる手紙が届いた。
しかしソレは、これまでと比べて厚みが1番薄いものだった。USBメモリが入ってる気配はどこにもない。
それでも私は、逸る気持ちを抑えて仕事をこなし、予約した時間に遅くれないようにと、いつもの居酒屋に向かう事にした。
店に入ると、馴染みになった若い店員が声を掛けて来た。
「相良さん、お連れ様がお待ちですよ」
笑みを浮かべる彼の顔を見ながら、私は一瞬キョトンとした。『お連れ様』とは誰の事だ。
しかし、考える間もなく閃きが来た。
妻の清美が来ているのだ!私は疑う事なく個室へと足を運んだ。
個室の扉を開けた瞬間、足が止まった。見知らぬ女性が一人で居るのだ。その女性が、私を見上げる。
「相良さんですよね、清美さんのご主人の」
私は、立ち上がったその女性を、呆然と見詰める。
「私、真木由起子と申します」
その名前を聞いた瞬間、私はハッキリと驚きの声を上げたのだった。
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USBメモリを鞄に仕舞って、会計を済ませた私は店を後にした。
今夜は酔いを覚ます、と言ってもそれほど酔ってはいなかったが、少し遠回りをして家に帰る事にした。
夜道を行けば更に頭がスッキリして来た。その頭の中に二つの影を思い浮かべる。妻の清美の顔と、まだ会った事のない元彼の男だ。
元彼が言う高校時代の真実、結局その真意は分からない。USBメモリの中には、妻の告白が無かったからだ。
今回のUSBから分かった事と言えば、由起子さんと徳子さんの秘密の性癖と『社交会』の存在が明らかになった事だ。
そして最後に、由起子さんはその社交会を2回目の女子会という事にして妻を誘っていたのだ。
そして妻は、その『女子会』に参加している。いや、由起子さんは『見学』と表現していたが、その真意を妻に問い詰める勇気は、今のところ私にはない。その時の様子は、次のUSBメモリでも来ない限り分からないのだ。
そう言えば、今回の手紙にも次の手紙の期日が書かれていなかった。レコーダーからUSBへのコピーの作業が終われば、送られて来ると思うのだが。
家に着けば今夜も妻は寝入っていた。ここ最近の彼女の冷たい態度は、こう言うところにも現れていると思ってしまう。
私は静かにシャワーを済ませて、寝る支度に入った。
疲れた身体は直ぐに眠りを求めると思ったが、睡魔は中々やって来てはくれなかった。
私はベッドを抜け出し、ノートパソコンを取り出した。あの会話をもう一度聴きたくなったのだ。
USBメモリをセットして、最初から再生する。
妻の喋りの部分には特に注意をはらったが、私の記憶に間違いはなかったようだ。妻が自ら過去に付いて語る場面はなかったし、最近の心境に触れるところもなかったのだ。
ただし、この録音は1回目の女子会だけのものなのだ。
それにしても、妻の友人達の生態の方に驚きを覚えてしまう。
真木由紀子さんも大田徳子さんも、れっきとした人妻であり主婦でもある。そんな二人が、怪しい秘め事をしている。由紀子さんは夫公認で、徳子さんは完全な浮気だ。彼女達の告白を聞いた妻は、その時どう思ったのだろうか。妻自身は性欲に関して『それほど』と曖昧な言い方をしていた。しかし『ゼロでもない』と、微妙に認めた感じだ。
そして妻は、本当に2回目の女子会=社交会で、友人達の姿を見学したのか。由紀子さん達は、どんな姿を見せたのだ?社交会の中身が、凄く気になってしまう。それはやはり、アダルトビデオのような世界なのだろうか。
私は会話の再生を止めて、あるワードを検索にかける事にした。
『スワッピング 乱交』キーを叩くと、画面にエロ動画サイトの一覧が並んだ。
中から私は、熟女ものの動画サイトを選択してクリックした。
目に飛び込んで来たのは、幾つものそれらしい画像画面と、スケベ心を煽るサムネの数々だった。
私はプレビューを流し読みしてから、その中の一つ、中年夫婦のスワップらしきものを視てみる事にした。
その動画は素人の投稿物ではなくて、プロの業者のビデオ映像で60分以上のドラマ仕立てのもだった。
そしてそれは、偶然なのか社交会…いや秘密のパーティーに迷い込んだ中年夫婦の話だった。
ビデオの主人公は役所勤めの人妻。女は夫の上司に騙され、夫婦揃って怪しげな集まりに参加する事になる。
夫婦は目の前で披露される同年代の人妻の痴態に激しいショックを受ける。そんな夫婦の横に夫の上司が座って、性の手解きをする物語だった。
ドラマの中、上司の男は慣れた口調で、夫婦に奥深い暗示を投げ掛けたーー。
『奥さん、恥ずかしがらずに目の前の女を見てごらんよ。この人も貴女と同じ人妻なんだ。年齢だって貴女に近い』
場面はホテルのスウィートルームで、ベッドの回りを数組のカップルが取り囲んでいる。
ベッドの上には素顔の中年女性と若い男。二人は生まれたままの姿で、絡みを披露している。
『ほらね、優れた女の身体ってのは男に合わせられるものなんだ。男が鋳型であるなら、女は液体ってな。どんな形にも納まるのが良い女ってわけだが、じゃあ男の鋳型に合わせられない女はつまらないのかと言うと、そうも言い切れない。開発前の女もいるからね。大事なのは女の意思。男を前に人形になるんじゃなくて、自発的な意志を持つ事なんだよ。
この奥さんも最初は自分の道具を貸すだけだったが、ようやく分かってきたようだ』
夫の上司の声を耳元で受け止め、人妻は静かに前を向いたまま。この女性も耳を性感帯に、男の声を受け入れてるように観える。
『男ってのは自分の欲望本位に行動する事が多いが、この彼は若いけど経験が豊富なんだ。場数を踏んでるから解約精神が発達していて、相手が肉体の賃借関係として割り切って行為に臨めるんだよ。奥さん、分かるかな?』
男の言葉の意味が分かったのかどうかは分からないが、主人公の人妻は微動だにしない。
『おや、女の方に我慢が利かなくなってきたかな。この二人は何度か身体を合わせて厭らしい表現に阿吽の呼吸が生まれるようになったが、女の方はまだまだだな。どうやら今夜の勝負は、男のものだ。
さて、時間はと…』
男の視線の先が画面に広がり、ベッドの上では女の動きが激しく、絶頂を迎えたところだった。
ビデオの中、女が最後の雄叫びを上げたシーンを視て、私は大きく息をついた。自分でも思った以上に、映像にのめり込んでしまっていた。
頭の中には、獣そのものになって、折り重なり、呻き、のたうち回っていた浅ましい女の残像がある。
男女の絡みのシーンも印象にあったが、ストーリー性にも胸を抉られる想いがあった。
ベッドにいた女は若い男に手駒にされ、客相手に痴態を曝す女に成り下がったのだ。そしてその様子を見ていた人妻は暗示に掛けられ、やがては同じような女へと変貌を遂げるのだろう。
しかもこの人妻の横には、夫が座っていたのだ。夫はベッドの女と、隣の妻の先行きを重ねていたのだろうか。
と、私はビデオの上司の男が、妻清美の元彼とダブって観えた。
動画はまだ半分も過ぎてなかったが、私は一旦止めた。そして水を一杯飲みに行く事にした。
キッチンで水を飲んだ私は、自分の部屋に戻る前に妻の寝室を覗いた。
妻は鼾も掻かず、静かに寝入っている。その寝顔からは、罪の有無を感じない。
しかし女と言う生き物は、裏の顔を隠し持っているものなのだろうか。
真木由紀子さんに大田徳子さん、私は彼女達の赤裸々な告白をUSBで聞いている。いや、彼女達からすれば、あれは告白といった大袈裟なものではなくて、面白い遊びを見つけた少女の自慢話なのかもしれない。
そんな考えを頭の隅に霞ませながら、私は自分の部屋に戻る事にした。
時計を見れば、深夜の1時を過ぎたところだ。それでも何故か眠気を感じなくなっている。
私は別の動画サイトも見てみる事にした。
次に視る気になったのは、SM物だった。サムネのプレビューを読むと、妻が夫の前で調教を受ける話だ。そしてコレも、ドラマ仕立ての物のようだ。
画面にいきなり広がったのは、テーブルに大の字に縛られた女性の姿だった。そしておっ開げられた股間の前には、男の生尻だ。
『さぁご主人、これからこの美しい婦人の体内に私の夥しい体液を吐き出させて頂きますよ』
ビデオの男は言うなり、婦人と呼んた女性の股間に反り勃った肉の棒を突き刺した。
映像のアングルは男の後ろ姿を捉え、筋肉質な生尻が規則正しい動きを続ける。バンザイの格好でテーブルの脚に両腕を結ばれた婦人の姿は、私の目には虫ピンで止められた蝶のように観えた。
婦人の口からは『嫌よ嫌よ』と、抗いの声が上がる。しかしやがて『やっぱりいいわ!』感泣の声に変わった。
『そうですよ奥様、飢えた人間にテーブルマナーは不要ですよ。さぁ遠慮なさらずに』男が腰を振りながら、婦人を追い込んで行く。
男の言葉に、むっちりと実った婦人の美しい御足が、男の腰を挟んで跳ね上がった。婦人のその様は、完全に己の保身反応を麻痺させている。
『ヒィーヒィーっ』ビデオの声が、妻の声に重なって聴こえるようだ。男に串刺しされて蠢く婦人の姿も、妻に重なって行く。
両腕をロープで、腰を男に制圧された不自由な状態で、のたうち回る婦人は、麻薬の禁断症状から逃げ惑おうとしてるようだ。
『もっともっと抉って下さいッ!』
『あらあら奥様、なんて品格のない言い方を』ビデオの男がニヤリと嗤う。
『うううッ、だって…』
『はいはい、分かりましたよ。私の物がもっと欲しいのですね』
『そう、そうなのっ、だからもっと激しく突いて下さいッ!』婦人は必死に追いかけている。本当にあと一歩のところなのだ。しかし男が、お預けを喰らわせて女体を支配している。
私はそれが造り物のビデオである事を忘れて、ノンフィクションの出来事に覚えてしまっていた。
「清美…」私の口から無意識に妻の名前が出た。妻もビデオの婦人のように、元彼の残酷で不完全燃焼な責めに、我を忘れた事があったのだろうか。私はもう一度「清美」と呟くと、拳を握りしめた。
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妻の元彼からの6通目の手紙を封筒に戻すと、私は鞄からノートパソコンを取り出し、立ち上げた。
USBを差し込み、イヤホンを耳にセットする。個室にいても、音漏れには注意したい。まして何が飛び出して来るか分からないのだから。
起動が始まって暫くすると、聞こえて来たのは女性の笑い声だった。
この時の2次会の場所も、由紀子さんが幹事を務めたのなら、外部からの干渉に気をつけて個室を用意したに違いない。そしてこの部屋にいるのは、妻の清美と由紀子さんに徳子さんだ。
彼女達の話し声が大きくなってきた。妻の声は直ぐに気づき、他の声も名前と一致させる事が出来た。
ひときわ大きな声で喋ってるのが、徳子さんだろう。由紀子さんの声は、酒のせいか砕けた感じに聴こえる。
『それでさ、ちょっと清タン聞いてよ。由紀ちゃんって凄いんだから。ねぇぇ。』
徳子さんが話題を変えてきた。
『ふふふ、アッチの話?そうねぇアタシは結構お盛ん、かな』
徳子さんの声に応えるようにか、由紀子さんの声も大きくなっている。
『ところで清美さんさぁ、実はずっと黙ってたんだけど高校の時さ、貴女に変な噂が立った事あったの、知ってた?』
由紀子さんの声に続き『え!』妻の驚きの声が聴こえた。
『清楚で男子に人気者だった田中清美は、実は変態セックスしてるっていう噂よ』
由紀子さんの詰問調の声に、こっちの息が止まりそうになった。
そして暫く無言が続き、やがて再び由紀子さんの声が聴こえた。
『うふふ、その表情、黙ってるところを見ると噂は本当だったのかな?』
『な、何の事だか…』
『えへっ、別にいいじゃない昔の事だしさ。それにさっきも告ったけど、アタシもこう見えて、実は遊んでるのよね』
由紀子さんの呂律が怪しくなってる気がする。さすがに酔わなければ話せない内容だ。
『実はね、同窓会で清美さんを久し振りに見た時に、今云った昔の噂を思い出したのよね。でも、そんな話題をその場でなんて出せないでしょ。だからねぇぇ』
由紀子さんが語る流れに、男の手紙に書かれていたある場面を思い出した。
確か2次会の席で、元彼がテーブルの下で妻の手を握ったところを、由紀子さんが見たのではなかったか。
『それでねぇ、1度気になりだしたら、ずっと気になっちゃってさ…ふふふ、それでここに来る前、つい徳(のり)ちゃんに話しちゃったのよね』
由紀子さんの語尾は、徳子さんに向けたものだった。
『そうそう、それで私も本当!?って驚いたのよね』徳子さんの声が、1オクターブ上がっている。
『私もさ、卒業してから色々あったし、人って変わるからさ、大概の事は驚かないんだけど、清タンが変態チックな遊びをしてるなんて』
『徳ちゃんちょっと違うわよ。清美さんがエッチな事をしてたのは、昔の話で今は知らないわよ』
『あ、そっか。でもさ、今はどうなの…ねぇ清タン、今はどんな感じ?欲求不満とかないの?』
会った事のない徳子さんだが、その姿が目に浮かぶようだった。ポッチャリの身体を乗り出し、好奇心に目を見開く姿だ。妻の方は俯いたまま、頭を小さく横に振ってるのではないだろうか。
『徳ちゃん、清美さんはねぇ、やってるって、うん間違いないって。ご主人とやってなかったとしても、他にねぇ…ふふふ』
『あーそれってオナニー?』
『あらあら、徳ちゃんったら。でもオナニーは勿論、他にも凄い事をやってると思うわ。だって清美さんは、へ、ん、た、い』
『いゃ~ん、清タンって変態だったんだぁ。でも何だか嬉しいっ』
『ふふっ、徳ちゃんとどっちが変態か、試してみたいわね』
『由紀ちゃんだって変態でしょっ』
『そうよ。アタシはずっと前から変な遊びをしてるわ』
『うんうん、知ってる知ってる。私も恩恵を受けてるし』徳子さんが楽しそうに声を上げる。
『でもね清美さん、人様から後ろ指を刺される秘匿の行為って、考えただけで興奮するわよねぇぇ』
由紀子さんの言葉に、徳子さんの相づちの声が聞こえる。妻はどんな様子なのだ。妻の声だけがなかなか聴こえて来ない。
『ほらぁ、アタシ達って夫婦でやってるでしょ』
由紀子さんが、そう言った瞬間だった。妻の『ええっ!』と驚きの声が聞こえた。
『あら、そうなのよ。アタシ一人で遊んでるわけじゃないの。きちんとしたパートナーがいるのよね』
『そのパートナーって』妻の小さな声がする。
『多いのは家の主人だけど…他にも肌を合わせる人達はたくさんいるわ』
由紀子さんの語尾には、力強さがあった気がした。酔ってるからか、それとも秘密を曝して開き直ったか、相手に迫る勢いが伝わって来るのだ。
『あらやだ清美さん、あまり変な目で見ないでよ』
『そんな、変な目だなんて…』
『ふふっどう?昔の知り合いが、教師のクセして変態だったら。しかも旦那も教師なのよ』
『………』
沈黙が流れ、私も息を飲んで次の言葉を待っている。
『…でもねぇ、教師って凄いストレスが溜まるの。最初は良くないのは分かってたけど、周りの教師仲間におかしな性癖の人がいてね』
そこからは由紀子さんがその世界に入った経緯が話された。その間、妻の声は聴こえくなったが、どんな気持ちで由起子さんの話を聞いていたのだろうか。
『…と言うわけで今に至るわけ。因みに徳ちゃんとは、卒業後もちょくちょく会っててね、互いの愚痴を言い合ってたのよ』
『そうなんだ』やっと妻の声が聴こえてきた。
『そう、それである時、アタシがスワップの世界に居る事を喋っちゃったのね』
『そうそう、私も聞いた時はビックリしたわ』徳子さんの出番が来た。『でも私って、昔からエッチにはかなり興味があったからね』
今度は徳子さんの身の上、いや下半身の話が始まった。彼女は結婚して子供もいるが、子供が出来てからはご主人とセックスレスの日々が続いていたのだった。そして欲求不満が我慢出来なくなった徳子さんは、由紀子さんに誘われるまま秘密のパーティーに顔を出すようになったのだ。
『さぁ皆んな話したわよ。次は清美さんよ』由紀子さんの口調が、ますます馴れ馴れしく聴こえる。
『わ、私は、そうねぇ…』
妻の呟きに、ゴクリと私の喉が鳴った。
『しゅ、主人には何の不満もないわ』
その言葉に、私の口から、ホッと息が漏れた。
『それに私には…それほど…性欲?それも特には…』
『………』
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『ふぅ~ん、そうなんだぁ…でも、性欲がゼロって事はないでしょ』何処となく咎めるような由紀子さんの声がする。
『そ、それはまぁそうだけど…』
『そうよね、うん、そう思うわ。たぶんだけど、清美さんはトラウマがあって殻を被っているのかもね』
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若い頃の変質的な経験が、精神に悪い影響がいかないように、妻は無意識にバリアを張って生きてきたのだろうか。
『でもさ、性的欲求があるなら、無理しない方がいいと思うわ』由紀子さんの言葉が、どことなく教師の口調に聴こえる。
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『え、何!?』
『ふふっ、そんなに構えないでよ、最初は見学だけだから』
『見学?それは何…』
『それはねぇ』徳子さんの声が割って入って来た。『私達が定期的に行く社交会があるの。名前の通り社会的信用のある人だけが参加できる集まりで、でも紹介者がいれば私みたいに参加が許されるの。だから清タンも大丈夫だから』
『そうね、清美さんは口が堅そうだし、それに真面目だし。あ、真面目っていうのは普通に社会生活を送れるって意味よ』
『ちょっと待って、私行くとは…』
『ふふっ、もうダメよ。アタシと徳ちゃんの秘密を聞いたんだから、自分だけ良い子でいるのは』
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由紀子さんの今の言葉には、粘着質な響きを感じた。まるで、蜘蛛が獲物を糸で絡み取るようなイメージだ。
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その瞬間、私は大きな声を上げていた。と言う事は妻の2回目の女子会、あれはまさかの怪しい集まりだったのか。
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妻の元彼からの5回目の手紙を読み終わり、私は大きな溜め息を吐き出した。
手紙の終わり方がどうも気になってしょうがない。これまでは必ず、最後に次の手紙が届く時期が書かれていたのに、今回の手紙にはそれがない。
男の動きが、現実の時間の流れに追い付いて来たのも原因だろうか。
私は頭の中で時系列を整理しようと思った。
同窓会が開催されたのは、もう2カ月以上前の事だ。そしてこの2カ月の間に、2回の女子会があった。
私はその間、妻の雰囲気に鈍色の匂いを感じて妄想を浮かべ、それに合わせて男からの手紙に取り込まれていった。そんな私を、男は離れた所からどう思っていたのだろうか。男は自分の欲望の為に由紀子さんを通じて、何かの仕掛けをした筈なのだ。ターゲットは妻の清美、それに私もか?
だが…妻が誰かに誑かされたり、脅されてる気配は感じない。娘の所に泊まりに行くのに家を留守にした事はあったが、特に怪しいところはなかった。
ただし、先日から妻の態度が硬く、どこか冷たいのだ。
結局、今夜も私はモヤモヤとした気持ちと共に帰宅するしかなかった。
この日の夜から、私は妻に何かしらの痕跡がないものかと、これまで以上に気にするようになった。今一度見たいのは、彼女のスマホにある同窓会と女子会の写真だが、スマホはさすがに見る事が出来ない。
だからと言って、根拠のないところで妻を問い詰める…清美は元彼の男と連絡を取ってるだろ…等と訊く事など出来るわけがない。
しかしだ。
ひょっとしてこれは過ぎた妄想ではないのか。5通の手紙に書かれた内容も、大半が男の妄想話ではないのか。私はとんだ見当違いをして、知らずのうちに、己が築き上げた袋小路に迷い込んでいるだけなのではないのかと、時おり自分を問い質す声が何処からともなく聞こえて来る。
だが、少し前に部下との会話で耳にした『寝取られ』と言う言葉。
自分の妻を他人に差し出し浮気を勧める夫。そして妻と他人の交わりを想像したり、実際に覗いて性的興奮を得て喜ぶ夫。
私自身にこういった性癖があるとは、一度だって思った事がない。それでも冷静に振り返ってみると、元彼の手紙に何度も興奮した覚えがあるのだ。
同窓会の真実を訊いてみようかと言う考えは常にある。だが、手元にある5通の手紙を妻に見せて、色々と問い質す事が出来るのかと、自分自身に問い掛ければ答えはNoだ。中身があまりにも異常すぎるし、それにもし本当の話だとしたら、妻が傷つく恐れがあるからだ。
結局のところ、同じ自問自答が何日にも渡って繰り返されるだけだった。
男から次の手紙が来たのは、前回のものが来てから1週間後の金曜日だった。
職場で見慣れた茶封筒を手にした時は、これまでとの違いを感じた。厚みが今までのものとは違うし、上から触った手触りも違うのだ。中に何かが入っている。
早速その日の夜に、いつもの居酒屋に行った。顔馴染みの若い店員が、ニヤニヤ笑って迎えてくれた。彼の顔には、先日の女性は誰ですかと書いてある。私は構わずに、ビールと摘まみを頼むと手紙を取り出し、封を開けた。
厚みを感じていたのはUSBメモリだった。私はソレを持って暫し考え込んだが、直ぐに手紙に目をやった。
【こんちには。
ご主人は今回の手紙が、いつ来るかいつ来るかと気を揉んでいたのではないですか。】
いきなりのその文章に、男の薄ら笑いが透けて見えた気がして舌打した。
【実は同封したUSBメモリ、これにレコーダーで録ったものを移しかえる作業に手間取ってましてね。時間が読めなかったので、前回の手紙には期日が書けなかったのです。ダメですねアナログ人間は。
でも何とか編集が終わり、無事にコピーする事が出来ました。】
私はふうっと、安堵の溜め息を吐き出した。この男に人間らしい一面を見た気がする。
【このUSBには何が録音されているかと言うと…いや、その前に前回のおさらいをしましょうか。
同窓会の3次会の後に、Y子とバーに行った所からです。あの店で私とY子は、互いが持ってる性癖を曝しあいました。お互いに弱みを見せ合ったという言い方も出来ますが、それでも力関係は私の方が上なのは、Y子も気づいていた筈です。
失うものがどちらが大きいかと言えば、向こうは現役の教師でおまけに夫婦揃ってですから、私のしがない身分と比べれば一目瞭然です。彼女達の変態遊戯の証拠などありませんが、SNSで吹聴すれば一発です。その現実に気付いた事もあったでしょうし、なので彼女は、私の指示に従う事になるのです。】
今度は唸り声が上がった。この男の老獪さに舌を巻きそうになってしまう。
【ではご主人。
これはY子にも話した事ですが、私の元に同窓会の案内状が届いた時の事もお話しさせて頂きます。
あの案内状を読んだ時、私の中に何十年も前の清美さんと過ごした出来事が蘇って来たのです。私はあの頃の後ろめたい快楽の渦に巻き込まれた日々を思い出して、清美さんの中にも昔と変わらない性癖や資質が今も生きてるのか、確かめてみたくなったのです。
そして彼女が、その性癖を今に活かせてないら、私が手助けをしたいと考えるようになったのです。】
そこまで読んだ瞬間、私は胸が苦しくなってしまった。そして今の箇所を読み直した。
妻の清美が『性癖』を今に活かせてないとは、どう解釈すればいいのだ。私は暫し考えを巡らせた。するとジワジワと男の云いたい事が分かった気がした。
それはーー清美が思春期に体験したマゾヒズムな奴隷生活。その時の変態セックスが染み付いていたなら、妻はその後の性生活に満足がいく事なく、何十年も自分を欺いていた事になる…元彼の男は、そんな妻の心と身体を開放しようと云いたいのか。
【同窓会で実際に清美さんと接して、私は彼女からある気配を感じました。そしてその気配の正体を確かめる為に、計画を立てる事にしたのです。
偶然にもY子という秘匿な性癖の持主を見つけた事も、後押しになりました。そして彼女を、協力者に仕立てたのです。
私は例のバーで、Y子に女子会の開催を指示しました。そしてそこで『貴女は自分自身の性癖を清美にカミングアウトして、彼女に刺激を与えろ』と云いました。それを聞いたY子は躊躇した素振りをみせましたが、既に私の傀儡です。
『教師のスキャンダルはネット民の格好のネタだよね。拡散されて、貴女達夫婦の変態行為がバレたら大変でしょ。だから頼んだよ』と、脅しも念を押しておきました。
そして私は、1週間後にもう一度会う事を彼女に約束させたのです。】
男の言葉、いや文章からはこの男の陰湿さが嫌と言うほど漂って来る。しかし、由紀子さんも変態気質の持主なら、逆に喜んで男の計画に協力したのではないだろうか。
私は、会った事のない由紀子さんの事を考えながら、次の文章に目をやった。
【1週間後、Y子を呼び出したのは、とあるシティホテルの喫茶室でした。その時の彼女によれば、1回目の女子会の準備は既に進んでいると言うので、仕事の速さに感心したものです。そしてもう一つ、驚いた事がありました。Y子はその場に、ご主人を連れて来てたのです。
私の前に座ったご主人は終始オドオドしていましてね、夫婦の秘密を拡散されないかと、そればかり気にしてる様子でした。
私は、Y子さんがこのまま協力を拒まないなら、貴方達の事は誰にも話さないし、SNSで拡散する事はないと改めて約束しました。と言っても、その時の喫茶室の会話はICレコーダーにこっそり録音してたのですがね。】
ICレコーダーは名前こそ耳にするが、実際に手にした事はなかった。私はスマホで『ICレコーダー』と検索した。
画像を見て説明を読めば、なるほどと思えてくる。想像していた以上に盗み録りに適した物のようで、しかも見た目がソレと分からない物がたくさんある。
【さて、土曜の夜でしたが、そこの喫茶室は空いてまして、思った以上に秘密の打合せを続ける事が出来ましたよ。
会話が進むにつれて、目の前の夫婦、特に旦那の方はマゾだと確信しました。彼等がやってる夫婦交換やパーティーでも、この二人の役割がよく分かるようでした。
それでも話を進めて行くと、彼等の目にはサディスト特有の色も観えて来ましたよ。それも不思議ではありません。最近はSとMが同居してる人が結構いますからね。それと、ひょっとしてY子は清美さんに対して嫉妬心を持っていたのかもしれませんね。
遠い昔の高校時代、才女で美人のY子は、人当たりが良くて明るく人気者の清美に嫉妬、これはあり得る事です。Y子がS性に目覚めた原因も、この辺りにあった可能性がありますね。】
私はまたまた唸り声を上げた。まるでこの男が、直ぐ近くにいて、影から歪な嗤いを聞かせようとしてるように思えるのだ。
【私はY子に、先日の話を確認の意味でもう一度しました。女子会では清美を酔わせて、性癖の話を持ち出せと。まずは貴女の方から、自分達夫婦がスワッピングをしてる事を告白しろと。
話しの仕方は任せるが、清美の内面は貴女と同じで変態気質で出来ているから、安心して自分を曝け出せと。
清美が黙っていたとしても、彼女はシッカリ話を聞いている。彼女の耳は性感帯で、貴女の言葉が卑猥なら卑猥なほど、清美の身体はそれを受け入れているからと。
そしてそのうち、清美の方からも愚痴や願望を口にしてくる。貴女はそれに同調してあげれば、後は自然な流れで性癖の暴露に繋がるからと。
話をしながら私は、Y子の中から淫靡な香りが沸き立つのが分かりましたよ。彼女は想像を膨らませて、あの場でアソコを濡らしていた事でしょうね。
それから彼女にICレコーダーを渡しました。二つあるうちの一つです。
Y子はソレを手に取ってしげしげと見てましたね。
最近は卑猥な遊びを動画に撮るのは、珍しい事ではありません。Y子達も経験があるでしょう。しかし私が求めるのは、言わゆる隠し撮りです。なのでY子には、その点に気をつけるように念を押しました。
そこで、お手元にあるUSBメモリです。】
私は、テーブルの上に置いてあったUSBメモリに目をやった。この中に女子会の時の会話が録音されているのだ。
【録音は長時間に及ぶものでした。声は意外なほど鮮明に録れてました。しかしまぁ、最初から卑猥な話題になる筈がありません。乾杯から2時間ほどは、在り来りな話です。ただの呑み会です。そこに集まった4人、清美さん、Y子、N子、そしてTさん。乗りは熟女の井戸端会議で、互いの近況報告から、高校時代に誰と誰が付き合ってた、好きだった等などです。
私は録音された会話を根気よく聞いて、要点よく編集しました。実際にそれらしい会話が聴けたのは、全てこの日の2次会のものでした。
Y子にとって運が良かったのは、Tさんが1次会の途中で帰られた事でした。2次会のメンバーは清美さんとY子に、Y子に世話になってるN子ですから。
そう言えば書き忘れてましたが、N子は少し前からY子の遊びに引き込まれていたようですよ。その経緯までは詳しく訊ねませんでしたが、私は同窓会の3次会の席で、N子の言葉にも怪しさを感じていました。その事をY子に問い詰めてみたら、案の定ビンゴでしたね。】
又も男の薄ら笑いが浮かんで来るようだった。男は間違いなく、このUSBに淫靡な会話を録り込む作業に興奮していたに違いない。それにしてもN子…大田徳子さんも怪しい世界の住人だったのだ。
それとTさん、『安田珠美』さんの事だ。
妻の話を思い返せば、珠美さんはお子さんの事があって、確かに早めに帰った筈だ。
【ではご主人、今回の手紙はここまでです。後は同封したUSBを聞いてみて下さい。
因みに中身は、1回目の女子会のものだけです。2回目のものは編集の作業中ですのでね。 では。】
私は息を吐き出し、そのUSBメモリを顔の前でかざして見た。
この中で妻は何を語っているのだ。と思った瞬間、身体が悪寒を感じて震えだしたのだった。
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何十年ぶりかに、妻と二人だけで行った居酒屋からの帰り道ーー。
その夜道を歩く私には、変な緊張が続いていた。酒の量はそこそこ多く、緊張を失くす為のアルコールだったが効果があったとは言えない。私達は店を出てから、ずっと無言なのだ。
黙ったまま歩き続け、家まであと僅かになった時だ。ふっと覗いた妻の横顔、その唇に艶めかしいものを感じた。
脳裏に閃いたのは、若き日の妻が元彼のモノをシャブル姿、その唇。
気が付けば私は、拳を握りしめていた。その拳が震え出したかと思うと、妻の手に触れた。
ハッとなって手を引っ込めようとしたが、意識とは逆に妻の手を握っていた。
二人で呑むのも久し振りだったが、手を繋ぐのも何十年ぶりかの事だった。
このまま家までの帰路を進むのかと思った瞬間、例の手紙のワンシーンが脳内に広がりだした。
妻の親指と人差し指の間、合谷(ごうごく)と呼ばれる窪みに、私の指が触れている。
元彼はこの窪みの部分を、乳首やクリトリスを撫でるように擦ったと告うのだ。
私の指は蠢き始め、元彼がしたのと同じようにその窪みを指腹で擦り始めていた。
妻の指が、いや身体全体が強張った気がした。しかし私は、そのまま妻の指を折りたたむように丸め、私の人差し指を彼女の指と指の間に送り込んだ
朱い唇からアァっと声が漏れた。
抜き差しを始めると今度は、彼女の指の隙間にしっとりと濡れを感じた。これが元彼が云う潤滑の油と言うやつだ。私の脳がそう呟いた瞬間、私の指は払い除けられていた。
立ち竦んだ妻を見れば、黙ったまま私を見据えている。
「ご、ごめん…」私は咄嗟に謝った。
なのに彼女は、とんでもないものに出くわしたような顔をしていた…。
その夜、床に付いた私は、帰り道のその場面を思い起こしていた。
妻は、私が握った指の動きに何かを察したのではないか。私の指を払い除けたのも、同窓会の2次会で元彼にされたのと同じ場面が、脳裏を横切ったからではないだろうか。
セックスを連想させる指の動きに、彼女が浮かべた相手は元彼だったのか。それとも私…いや、それはない。私と妻のセックスは何年も封印されたままなのだ。
ああ…私、妻、元彼、まるで三角関係ではないか。我々はこれから一体、何処に向かうのだ…。
…次の日から、妻の態度が目に見えて堅苦しいものへと変わっていった。
朝の挨拶、帰宅時の挨拶、それは型通りにあるのだが、声がよそ行きで淡白になった感じなのだ。この空気感は結婚してから初めてのもので、その事に私は、気疲れを感じるのだった。
息苦しさを感じたまま数日を過ごし、週末が近づいてきた。
金曜の昼過ぎには、元彼の男から5通目となる手紙が届いた。
そしてその日の夜、いつもの居酒屋ーー。
【ご主人、こんにちは。
この様な匿名の手紙を受け取って頂くのも、これで5回目ですね。勿論、貴方が間違いなく受け取り、真剣に読んでくれていると信じての言葉です。
私の方も手紙を綴りながら、まだ会った事のない貴方との距離が近づいて来るのを感じております。
いつかは、いや近い内に実際に会う時が来るかもしれませんね。まぁ、その時はお互いどういう気持ちでいるかは分かりませんがね。
では、今回の手紙では同窓会の後に開催された1回目となる女子会、その前辺りの様子からお伝えしたいと思います。】
いつもの便箋に綴られた文字を読み始めて、私は確かに男との距離が縮んでる気持ちを認めた。
顔や体型、髪型などは想像の域を出ないが、この男が陰湿で変態気質の人間である事だけは疑っていない。
こんな男と精神的な部分で繋がってるとしたら、私の中にも同じ様な性癖があるのかもしれない。しかし今まで、自分にアブノーマルな気質があるとは1度だって考えた事がない。妻とのセックスもずっとノーマルだった筈だ。それが清美にとってどうだったのかは、考え込んでしまうところなのだが。
【何十年ぶりかに再会した清美さんと、離れ難い気持ちなった私が、3次会の席でさり気なく口にした一言が女子会の開催に繋がりました。
とは言え私は男ですから、その会に参加させて貰うには当然ハードルがあります。なので私は、作戦を考えたのです。
それはY子への私からのカミングアウトと、提案だったのです。】
Y子の名前、この手紙ではイニシャル表示だが、私は妻との以前の会話で『真木由紀子』さんと知っている。
【3次会が終わり、私達は一旦離れ離れになりました。去り行く清美さんを見届けるのは辛い気持ちがありましたが、それ以上に次への企てに、私は気持ちを高ぶらせておりましたよ。そして次に起こした行動が、Y子と話す事だったのです。
私は、3次会から帰るY子の後を密かに着けて、とある駅を出た所で声を掛けました。運が良かったのは、私から誘った近くのバーに付き合ってくれた事です。
その店で私は、私と清美さんの真実を告白して、Y子に協力を願い出るのです。】
由起子さんの存在がどういう意味合いを持つのか、気になるところだった。男が由起子さんに話した真実とは。そして願い出た協力とは?
【バーでは最初、Y子は少し緊張している様子でした。それはそうです、酒が残っていたとしても陰気な店に男と二人、おまけに彼女は現役の教師ですから。
その彼女とカウンターの端に並んで座り、私はまず、学生時代の清美さんと恋人どうしだった事を告白しました。そして淫靡さを漂よわせながら、清美さんとの過去を語ったのですーー。
遠い日の私達二人の関係は、人様には決して話せないアブノーマルなものだったと。しかしそれは、二人の仲に深い絆をもたらしたと。
短い時間ではあったが、二人は異質な世界に浸り、同類でしか味わえない数々の体験をしたのだと。
結局私達は周りからの圧力もあり、別れる事になったが、互いの中にはあの頃の記憶がちゃんと残っているのだと。そして何より、身体が覚えているのだと。
Y子は私が『身体が覚えている』と云ったところで、ギクリとした反応をみせましたよ。それまでの淫猥さを連想させる言葉も刺激になっていたでしょうが『身体が…』と聞いて、彼女は私と清美さんの関係が、想像以上にアブノーマルである事に気づいたのでしょう。彼女の私を見る目が、それまで以上に信じられないものを見る目に変わっていましたからね。
しかし彼女が見たものは、私の瞳に写った自分自身の姿なのです。彼女もその事に気づいていたのです。
それを見抜いた私は、今度は彼女自身のプライベートに関する質問をしてやる事にしました。
私はまず『Y子さん、コレを飲んで気持ちを落ち着けて下さい。ここからは貴女の内面に迫る話になりますから』と、酒を勧めました。
彼女は一瞬躊躇った表情を見せましたが、目の前の男から自分と似た匂いがする事に気づいていたのでしょうね。それと3次会で、自ら清美さんに話した誘いの言葉も思い出したのでしょう。それは『アレよアレ、旦那とはやってるの?』『アタシ達、大きな声では言えないけど、刺激のある遊びをしてるだ』先ほども書いたY子の囁きです。
そして彼女は、恐いもの見たさか、グラスの残りを一息で呑み干したのです。
呑み終えた彼女はグラスを置くと、挑発的な目を向けて来ましてね。しかし私には、それが強がりだと分かっていました。
私はそんな彼女の手に自分の手を重ね、そして確かめるように云いました。『貴女は…いや、貴女達夫婦はスワッピングや乱交パーティーを愉しんでいますね』とね。
Y子は私の言葉に、目を見開きました。その瞳は驚愕の色に変わっていましたよ。】
予期せぬ展開に、私も驚いた。スワッピングに乱交など、エロビデオの世界ではないか。まして由紀子さんは、現役の教師ではないか。
それにしたって、この男の嗅覚はどうなっているのだ。これほどまでにも、同類を嗅ぎ分けれるものなのか…とすると、やはり清美は…。
【Y子の目は縋る眼差しに変わり、そんな彼女を慰めるように私は云いました。『教師ってのは本当に大変だよね、よく分かるよ。特に昨今はモンスターペアレンツがいれば、教師内での虐めがある。そんな中で世間の目は厳しくなるばかりだし、ストレスは溜まる一方だ。心から同情するよ。』とね。】
男の言葉に、私まで知らずに頷いていた。確かに現代の教師の境遇には同情するところはある。
【私はY子の様子を探るように見続けました。彼女の心の中は、私の同情に対する有り難みもあったでしょう。でもそれ以上に、指摘された事実に戸惑いを感じていたと思います。
私はY子にニコリと笑いかけ、もう一度彼女の手に私の手を重ねました。そして諭してやりました。『気にする事はない。これまでと同じで良い。それより貴女達が感じた性の愉悦を他の人とも分かち合えるように、これからも振る舞うんだ。清美が貴女に声を掛けられたのは運命なんだよ。だからね…』とね。】
手紙はそこで唐突に終わっていた。何だこの終わり方は?
封筒の中を見直したが、続きが書かれた便箋用紙はどこにも見当たらない。
同封するのを忘れたのか?いや、この男に限ってそれはない。
と言う事は、男は敢えて私に謎掛けをしたのだ。
手紙の最初の方には、私との距離が近づいてる書かれていた。確かにその通りだ。何かがヒタヒタと近づいてくる気配を感じる…。
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4回目となった手紙を読み終えた私は、家路へと歩いていた。
店を出る時から頭の中を占めていたのは、今夜妻と何を話せばよいのかと言う想いだった。
ヒタヒタと夜道を進みながら、妻と女子会の事を考える。
彼女は私が申し出た女子会の写真を、見せてくれている。スマホを目の前で開けて、画像を1枚ずつスライドしてくれたのだ。
そこで私が見たのは、全てが妻と他の女子との写真だった。そう、名前の通り女子だけの会だと私は思っていた。
しかし先ほどの手紙から推測すると、元彼自身は女子会への潜入に成功しているに違いない。
ならば妻は、この元彼と写真を撮った可能性もあるのではないか。そしてソレは私には見せれないと、咄嗟に削除したか別のフォルダに移したのではないだろうか。
ああ、でも今夜妻の顔を見てもその事は訊けない。何故だか、聞いてしまうと大変な事が起こりそうな気がしているのだ。
いやいや、俺は何をビビっているのだ。何気なく、さり気なく訊いてみろよ…そんな声も何処からか聞こえて来る。あぁ今夜の俺は酔っているのか。いや、もう少し確実に酔っていれば、酒の力で妻を問い詰められるのに。
結局、そんな自己問答を続けているうちに、自宅マンションに到着した。
今夜もエントランスに立った所から、インタフォンは鳴らさずに我が家のドアを開けるところまで来た。
そっと玄関から奥を覗くと、電気は足元のフットライトが点いてるだけだった。妻は既に寝てるようだ。
自分の部屋に入り、部屋着に着替えながらシャワーを浴びる準備をした。このところ湯船にユックリ浸かった記憶がない。
浴室を出て、ドライヤーで髪を乾かし終えた時だった。
洗面室を出た私の目の前に、妻が立っていた。
唐突に現れた彼女に、私は肝が冷えて驚きの声を上げてしまった。
「ど、どうしたの!」
「…お帰りなさい」
「ああ…ただいま」
「………」
「起こしちゃった?」
「いえ、眠りが浅くて…」
「そうか…俺ももう寝ようと思ってるんだけど」
「…そうね、そうですよね」
そう呟くと妻は、ふわりと背中を向けて自分の部屋の方へと歩いて行ってしまった。
会話は数秒だったはずだが、私にはとても長い時間に感じられた。妻の瞳が暗く深く、ブラックホールに飲み込まれるような感じを受けていた。
一旦リビンクに行ってソファーに腰を降ろすと、今しがたの妻の様子が気になりだした。
もしかして彼女は、最近の私の遅い帰宅に勘が働いたのかもしれない。
それかだ。元彼から連絡があって、手紙を私が読んでる事実を聞かされているのではないのか。同様に手紙の内容も知らされていたら、彼女だって冷静でいられる筈がないだろう。過去とはいえ、あの様な経験をしていたのなら…。
火曜水曜と、私はなるべく早く仕事を切り上げ真っ直ぐ家に帰った。
妻は久し振りの早い帰宅に少しビックリした感じだったが、だからといって私達の日常に特別な変化はなかった。
しかし。
水曜の夜に私は「あのさ、雰囲気の良い店を見つけたんだ。明日の夜にでも行ってみない」妻を例の居酒屋に誘ってみたのだった。
「最近はほら、テレワークなんてのもあるじゃない。だから俺もね、帰りに一杯やりながら雑務が出来る居酒屋を見つけてね。雰囲気も結構良いんだよ、肴も美味しいし」
我ながら芝居じみた誘いと思ったが、妻の方は意外とあっさり了解の返事をくれた。
私の中には勿論の事、狙いがあった。酒の力を借りて、女子会の事や元彼の存在を探ってみようと思っているのだ。それに彼女も酔っ払えば、弾みで何かを話すかもしれない。
当日木曜の夜。職場から例の居酒屋に向かう時は、変な緊張を覚えていた。
先日は妻から外食を誘われたり、私が買い物に声を掛けたりしたが、昼と夜では雰囲気が違う。そう、温度が違うのだ。
妻の方は設計事務所の仕事場から直接行くと言うので、先に着くのは彼女の方かもしれない。そんな事を考えながら電車に揺られていると、あっという間に駅に到着した。
店には思った通り、妻の方が先に着いていた。
「遅くなってごめん」私は妻のいる個室に入るなり、軽く頭を下げる。
「私もさっき来たところですよ」
私は妻の声に頷きながら腰を降ろす。
店員が直ぐに注文を取りに来て、私達は中ジョッキのビールを二つに、摘みを適当に頼んだ。
その店員は顔見知りになった若い男の子だったが、私が初めて女性連れだったからか、いつもより愛想が良い気がした。
掘りごたつで足を伸ばすと、妻の足にぶつかってしまった。何故か緊張が生まれてしまう。
俯き気味にメニューを見てる彼女の顔を覗き見る。
ショートボブの髪型は何年も前からだが、この数カ月はこれまで感じた事のない色艶を、身体全体から滲み出してるように観える。やはり、内面に何かしらの変化があったと考えてしまう。
ビールが到着すると、改まって乾杯した。
「こうやって呑むのって久し振りだよな」一口目を美味しそうに飲んだ妻に訊いてみる。
「ええ、ほんと。でも貴方はしょっちゅう飲んでますよね」
「いや、それも仕事の内だし、女性と一緒ってのは殆どないよ」と言って、私は苦笑いを浮かべた。
摘みが来ると、暫く黙ってそれを口に運んだ。やはりまだ、二人の間には緊張がある。
妻のジョッキを見れば、まだ3分の1程度しか減っていない。ビール好きの彼女だが、私の前で遠慮しているのかもしれない。私は早く彼女を酔わせたくて、自分のペースを上げる事にした。
それから1時間ほど、私も妻もそれなりの量のアルコールを摂取した。会話は、最初は妻の職場環境の話を訊いた。ハラスメント等がないかどうかだ。そして一人暮らしの娘の事。
妻は2度ばかり娘の所に行ってるが、その後の様子はどうなのか、連絡はあるのかと訊ねたりした。妻によると、最近の娘の調子は良いとの事だった。
私は何杯目かのビールのお代わりを注文した。勿論、妻の分もだ。
ビールが届き、店員が出て行ったところで、「えへん」と咳払いをした。
「ところでさぁ、アレはもうやんないのお」
「へ、アレって何ですか」妻の口調に酔いが窺える。
「ほら~ぁ女子会。同窓会の後、2回くらいやったろぉ」私も少し砕けた感じを装って訊いた。
「ああ、3回目はやんないのかって事ね」彼女が箸を止めて、少し考え込む。
「そうですねぇ、どうなのかな…」
「あれって幹事は誰がやってたの。確か…由起子さんって人だっけ?」
私の質問に、妻は素直に答えてくれた。私はそれを切っ掛けに、他の参加メンバーの事も訊く事にした。妻にすれば、以前にも話した内容だったが、同じように答えてくれたのだ。返事の合間、彼女の呑むペースが上がっている。
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見ればジョッキを置いて、妻が俯いている。どうしたのだ。
ふぅーー彼女が溜め息を吐き出した。
「参加したいって人はいましたよ、一人二人は…。でも珠美なんかは最初はやっぱりって…」
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云い終えた妻が少し俯く。私の目に、彼女の睫毛が震えて観える。言い辛い事を訊いてしまったか。それとも誰かに口止めされている?それこそ元彼の男に?。
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私は、妻と元彼が同窓会の2次会の席で、同じテーブルに着いた場面を想像しながら、手紙を読み進めた。
【『清美』とあの頃のように名前を呼び捨てにされ、おまけに『変態マゾ』の言葉を聞かされ、彼女に変化が現われるか私は期待をしました。
清美さんを見続けますと、その瞳がますます潤んで行くのが分かりまして、その瞬間『ふんっ!』と、心の中で鼻を鳴らしましたよ。
彼女の方は、俯いてしまいましてね、私はそんな彼女の手を、テーブルの下でそっと握りました。その瞬間は、私の中にも電気が走り抜けました。肌に触れたのは何十年かぶりの事でしたからね。
そして私は、清美の親指と人差し指の間、合谷(ごうごく)と呼ばれる窪みの部分を擦ってやったのです。そう、指の腹で乳首やクリトリスを弄るイメージを彼女に思い浮かべさせようとしたのです。
清美は、私の指を払い除けようとはしませんでしたよ。それどころか口を微かに開き、小さな溜め息を零し始めました。
次に清美の指を軽く丸め、私の人差し指を彼女の指と指の間に刺し入れてやったのです。彼女の指の隙間は微かに汗を掻いてまして、私はそれを潤滑の油に、抜き差しを始めてやったのです。
直ぐに彼女は眉根を寄せましてね、鼻から嘆きの息を吐きました。
私は彼女の耳元に唇を近づけ、云ってやりましたよ『どこが気持ちいいんだ?』ってね。
清美は上目遣いに、そして後ろめたそうな視線をこちらに向けましたね。それでも私は、再度強めの声で云いました。『ほら、昔を思い出して口に出してみろ』『口に出す事で得られる快楽があるんだよな』とね。
清美は逡巡していましたが、やがて唇を震わせながら『…オ、オマン…』と、言い掛けたのですが、残念な事に我々の席に人が戻って来てしまったのです。
その女性が戻って来た瞬間には、私はテーブルの下で握っていた清美の手をパッと離していました。
清美の横顔を見れば、明らかに緊張の色を滲ませています。席に戻って来た女性も、おかしな雰囲気を感じたかもしれません。
因みにこの女性は、先ほど書いたY子さんです。
清美は直ぐに、Y子さんと入れ替わるように席を立って、逃げるように化粧室の方へと行ってしまったのです。】
私はふうっと息を吐いて、今の場面を想像した。何かの映画のワンシーンのような気もする。
【席を立った清美の後ろ姿を追い掛けながら、私は彼女がトイレでショーツを降ろし、ソコが濡れてる事に気づく場面を想像しましたよ。
Y子は私の様子に気になる事でもあったのか、顔を乗り出し訊いてきましたね。酔った口調で『清美は相変わらず綺麗ですよねぇ。久し振りに逢ってどうですか~?』こんな感じでした。
Y子は当時から才女と呼ばれ、美人でもありましたが、雰囲気は当時と同じで少しお高くとまった感じです。しかしこのY子が、3次会でとんでもない事を言い出すのです。それはまぁ、後のお楽しみにしておいて下さい。】
又も男の薄ら笑いが、耳元で聴こえた気がした。
そしてY子…おそらく由起子さん。この人の事は、妻も口にしていた。今は夫婦揃って、教職に身を置いている人だ。
その由起子さんが云ったとんでもない事、それも気になってしまう。妻に関係がある事なのだろうか。
【私とY子の二人だけになった席でしたが、少しするとN子さんにTさん達が戻って来てしまいました。
思わぬ形で4人掛けの席が埋まってしまったわけです。が、私はそれなりに振る舞いました。昔話に花を咲かせる素振りをしながら、さり気なく清美の情報を引き出そうとしたのです。
そこで分かった事と言えば、清美はTさんとは今もたまに連絡を取り合っている。そのTさんが言うには、清美は今の旦那さんとの夫婦仲は上手くいってて、一人娘は地方の大学に進学して二人暮らしになった、などが分かりました。
Y子さんとN子さんは、清美とは音信不通だったが、1次会の場で再会して想像以上に盛り上がってるとの事でしたね。】
私は無意識に頷いている。
Tさん…確か珠美さん達友人の事は、以前にも聞いた妻の話と符号が合う気がしたのだ。
【彼女達との会話を続けてますと、清美が向こうに歩いて行くのが見えましてね。私は追いかけ、問い詰め、嬲り、虐めてやりたかったのですが、そう言うわけにもいきません。暫くその席に座ってTさん達と時間を過ごしたのです。
2次会は結局、それから暫くしてお開きとなりました。
清美と話す機会を逃したくない私は、さり気なく影のように彼女に近づき、二人だけの3次会を提案しました。しかし運の悪い事に、私の会話を聞いた何人かが話に入ってきてしまって、結局7人のグループが出来て、そのメンバーで近くのカラオケボックスに行く事になってしまったのです。
メンツは清美達同じ席にいた4人に、私と他に男が二人です。
清美を除く女性3人は結構酔っ払ってましたね。清美もかなりビールを飲んでた様子でしたが、かなり行ける口なのでしょうね。】
私は又も無意識に頷いていた。
妻は以前からビール党でそれなりに強く、だからこそ酒で過ちを犯す事はないと思っている。
【店では、直ぐに一人がマイクを持って唄い始めました。
普段からあまり歌う事のない私は、カラオケは苦手でしたが、その時はその歌声が良い塩梅に私達の会話を担保してくれました。そうです、私は清美と隣どうしで座る事が出来たのです。
清美の視線はマイクを握る人達に向いてましたが、私の耳元の声をシッカリ認識していたと思います。
昔から女の聴覚は性感帯の一部と言われています。彼女もおそらく、私の声に高鳴りを覚えていた事と思います。勿論、過去の淫靡な出来事を思い出していた筈です。
では、その時清美の耳元で囁いた私の言葉をご主人にも知って貰いましょう。
『あの頃の貴女には、未知の領域を初めての旅人の如く、好奇と興味の塊となって、手探りしていく初々しい淫らさがあったよ』
『貴女は晒し者にされる羞恥の中で、倒錯した快感を覚える事もあったね』
『あの時は後ろめたい快感がたまらなかったんだろ』
『これからだって、回数を重ねれば熱感は高まり、それが紛れもない女の悦(よろこ)びだと思い出す時が来るよ。そう、これからだってね』
彼女は視線をマイクに向けながらも、時おり顎を引いて、濃い眉を伏せてました。恐らくその仕草は、私の言葉の中に急所を突かれる、言わばキーワードみたいな物を感じたからでしょうね。
清美にとってノスタルジックとは、胸騒ぎを感じる放課後に、生硬な少女から『女』へ変身を遂げたあの季節の事なのです。】
手紙から漂よった詩的な言葉の羅列に、私は正直打ちのめされていた。
この手紙の主は変質者で間違いないと思うのだが、それ以上に妻を…清美を虜にする不思議な力を持ってる気がするのだ。
私は異様な喉の渇きを感じて、ビールのお代わりを注文する事にした。
【さて、私が仕掛けた言葉達に、清美がどのような反応を示すか楽しみに待っておりました。
しかしそれほど広くない部屋です。私達の間に、友人達が声を掛けてくるのです。
内心辟易してましたが、その中に私の…いや清美の性癖にも刺激になるものがあったのです。私はそう感じたのです。
少し前にも書きましたが、意外にもY子が凄い切っ掛けを作る事になったのです。
マイクを置いたY子が清美の向こう隣に座り、私達の様子を窺いながら、そしてY子は清美の耳元で囁いたのです。いや、Y子は囁いたつもりだったかもしれませんが、声が大きく私の耳にも届いてしまったのです。
Y子は酔った口調で云いました。『清タンのところはどうなのお、アレよアレ。旦那さんとはやってるのお?』『アタシ達ねぇ、あまり大きな声では言えないんだけど、ウフフ…刺激のある遊びをしてるんだぁ』
その瞬間、Y子の言葉に私の中で何かが弾けました。Y子が教師をしてるのは1次会で聞いてましたが、聖職者である彼女から私とよく似た同類とも言える匂いを嗅ぎ取ったのです。】
手紙の中の男の様子がこちらにまで伝わった気がして、私の背中がゾクゾクと震えてきた。
しかしこの展開は何かの伏線なのか。この話は何処に行くのだ。
【その時の清美さんは、いつの間にか歌う連中から目を離して、俯きながらもY子の口元をチラチラ探る感じでしたね。やはり清美は、聴覚でエクスタシーを感じようとしていたのでしょう。
Y子は清美の反応など気にせず話を続けました。
『夫婦仲を改善するとかね、浮気防止にはある事をするのが一番なのよねぇぇ…気にならない、ねぇ清タン』
私は二人の会話が聞こえないフリをしていました。今度は私が耳を性感帯に、Y子の言葉を盗み聞きしていたのです。
しかしそこに何と、今度はN子が席を移って来たのです。
N子はY子の向こう隣に座って、Y子に向かって訊いたのです。『Y子さん達、何だか楽しそうな話してない?たぶんアッチ方面の話なんでしょ?』
N子の口調も酒のせいで、かなり砕けた感じになっていましてね、そして続けるのです。『アタシはY子さんのお陰で、うふふ…ほら、最近は楽しめてるしネ。あれ~ひょっとして清タンも?』
N子の目がギラギラしてましたね。私がいる事など全く気にしてない様子なのです。
それからY子がN子をたしなめると、少し大人しく小声で話すようになったのです。おかげで私の席とは少し距離があるので、彼女の声は途切れ途切れにしか聞こえなくなったのです。
それでも漏れ聞こえたのは『また早く…』『もっと大勢の前で…』全てN子の囁きです。
清美さんの横顔を窺えば、完全に俯いていましたね。私の存在も忘れてるようでした。】
予期せぬ事に妻の友達までが登場してきて、話の先が想像できなかった。それでも淫靡は気配は感じ取れるのだ。
それよりもだ。妻は友人達の会話をどう解釈したのだろうか、そちらが気になってしまう。
【Y子とN子の会話が一段落した時でした。
私は何気ない素振りを装い、誰となく云いました。
『ところで皆んなは、これからも集まったりするのかな』
私の言葉にY子N子清美さんの3人が顔を見合わせました。そして確かY子が、女子会を提案したのです。】
その瞬間、私はあっと声を上げた。
妻が参加した2回の女子会、それの切っ掛けが出来たのは、この男の一言だったのだ。
【この時の私の中では、清美さんの現在の心境、勿論彼女が持ってる性癖が今も蠢いているのか、それが気になっていたのです。そしてそれを確かめる切っ掛けに、その女子会を利用出来ないかと、思惑を浮かべていたのです。
なので私は、彼女達にさり気なく云いました。
『その女子会に、ゲストとして呼んで貰えると嬉しいな』こんな感じでした。】
唸り声を上げて、私はその一文を読み直した。
この元彼の男が、女子会に参加しただと!
いや、まだこの時点では参加が決まったかどうか分からない。しかしおそらく、男は参加に成功したのだ。
となると、妻は私に嘘をついた事になる。
私は記憶を探った。
妻は参加人数を4人と云って、参加者の名前も上げたはず。
そして、その時撮ったという写真も見せてくれた…。
手紙を持ったままの私は、胸騒ぎを感じている。一体これはどういう事だ。
【ではご主人、今回はここまでにさせて頂きます。
この手紙で時系列がだいぶ追いつきました。物語はまだ続きます。
次の手紙は週末にはお届け出来ればと思っています。 では】
読み終えた手紙をそのままに、私は暫く呆然と固まっていた。
今夜、妻と顔を合わせれば何を喋ればいいのだ。
その事が気になってしょうがない…。
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月曜の夜も、私は馴染みとなった居酒屋にいた。
今日の昼間に、妻の元彼が言ってた通り茶封筒が届いたのだ。
お決まりの生ビールをジョッキで、それと軽い摘みを頼むと、私は直ぐに鞄から手紙を取り出した。
それにしても元彼と名乗るこの男は、普段はどんな生活をしているのだろうか。手紙の雰囲気はアングラなエロ小説の感じがするので、男の私生活も病的なものを想像してしまう。
とは言え、男は最初の頃の手紙で自分は役所で硬い仕事をしていると。そして合間に執筆活動をしていると告っているのだ。
男が妻帯者か、子供がいるかは分からないが、この様な手紙を出す以上は、精神の一部が欠損している人間を思い浮かべてしまう。
手紙を持ったまま考え込んでいた私は、店員の声で我に返った。
この夜もビールを半分ほど一気に呑み干してから手紙に目をやった。
【ご主人、こんにちは。
今回の手紙にも、清美さんとの変態セックスの日々を綴ろうと思っていたのですが、今回は少し趣向を変えようと思います。】
いきなり切り出された文面に、私はおやっと少し戸惑った。心の何処かで妻の…ノンフィクションかどうかは置いといてだが…痴態に気持ちの準備をしていたからだ。
【実は私が、清美さんと再会した同窓会の時の話しです。】
『同窓会』の文字に、私は遂に来たかと身構えた。そこにこそ最近の妻の様子に、疑念を抱く原因があると感じていたのだ。
私は同窓会があってから1ヶ月ほどの妻の様子を、改めて記憶の奥から呼び起こそうと試みた。同窓会の詳しい様子までは聞いてないが、彼女の口からは『懐かしかった』『楽しかった』『おもしろかった』といった言葉を聞いている。
それとだ。妻はそれ以外にも…そうだ『同窓会は女の階段が残酷なほどに表れる場所…』確かそんな言葉を口にしていた。いつかの夕飯の席での事ではなかったか。
今になって思うと、『女の階段が残酷』などと、妻が詩的な表現をしたのが信じられない気がする。
詩的…ひょっとしてその言葉を口にしたのは、この男ではないのか。私に不穏な高鳴りがやって来た。
【私は1次会で、清美さんと何十年かぶりに再会しました。会場は立食で、バーカウンターの方に清美さんが向かうのを見て、私が後ろから声を掛けたのです。
振り向いた清美さんを間近に見た瞬間には、雷に撃たれたように硬直してしまいましたよ。彼女の方も、直ぐに私が誰なのか気づいた様子でした。
清美さんは私の理想通りの歳の取り方をされていましたね。身体全体がふっくらした感じはありましたが、歳相応の魅力を醸し出していましたよ。その事を彼女に云うと、頬を赤らめ視線を外しました。そして俯きながら『恥ずかしい…やっぱり恥ずかしいですわ、同窓会って残酷な一面もありますから』と云いましたね。
私は直ぐさま『確かに女性にとっては、女の階段が残酷に現われる場所かもしれないね。でも貴女はとても素敵だ。うん、間違いなく良い歳の取り方をされてる。おそらく素敵な家族に囲まれているんでしょうね』と、そんな事を言いつつ、現在の彼女の家庭環境や仕事の事などを探りました。
アルコールのせいか、会の雰囲気のせいか、彼女はご主人と娘さんがいる事を話してくれましたね。貴方のお勤め先の名前を聞いた時は、嫉妬も覚えました。今の私と比べれば月とスッポンですからね。まあ、それはいいとして話しを続ける清美さんを見てると、私の中にモヤモヤとした感情が湧いてきました。あの頃の二人の秘密を思い出したのです。いや、それは同窓会の案内が届いた時から感じていたものなのですがね。
そして私は、彼女に意味深な謎かけをしました。謎かけの内容は想像にお任せしますが、大したものではありません。『あの頃…あの薄暗い店…いかがわしい場所…外…痛かった?でも…』この程度の言葉を囁いただけです。それでも私は、手応えのようなものを感じたつもりでした。私は彼女の反応を見たかったのですが、立ったままの会話でしたし、周りに他の人達もいましたし思惑通りには行きませんでした。そして彼女は友人に呼ばれ、私に軽い会釈をすると去って行ったのです。
彼女の背中を見送ってますと、私の中にあの頃の薄汚なさが蛆(ウジ)のように湧いて来ましてね。それでも結局、1次会の場では清美さんと話す機会はやって来なかったのです。それからの私は、彼女に近づく機会を窺い続けました。機会が来たのは、2次会の時でした。
2次会にもそれなりの人の数が集まってました。
会場は幹事の一人がやってる店で、洋風レストランの貸し切りでした。
私は清美さんと同じテーブルに着こうと狙ってましたが、運の悪い事に叶いませんでした。それでも彼女が座った4人掛けのテーブル席の背中側に、何とか席を確保出来たのです。
清美さんの席のメンバーは今でもよく覚えています。見た目は当然ながら昔と代わってる人もいれば、面影を残している人もいます。
本名はここには出せませんので、アルファベットで『Tさん』『Y子さん』『N子』さんの3人に、清美さんを入れた4人です。
少し意外だったのが、Y子さんとN子さんです。彼女達と清美さんが特別仲が良かった記憶が、私にはなかったのです。とは言っても、皆んなそれなりのキャリアを歩んだ歳だし、1次会で話が弾んだ可能性もありますから、それほど気にはしませんでした。】
手紙を読みながら、私は無意識に頷いていた。ここに書かれたイニシャルが、私の記憶と一致していたのだ。
Tさんとは、妻が一番仲が良かったという『安田珠美さん』で間違いないだろう。
Y子さんは、名字は思い出せないが、才女で美人で夫婦で教師になった『由起子さん』という人ではなかったか。
そしてN子さんは『大田徳子さん』明るくぽっちゃりタイプの人の筈だ。
【彼女達4人の話を、私は背中越しに聞き耳を立てて聴いておりましたよ。
それでも会話の内容は他愛のないもので、さすがの私も飽きてしまい、同じ席の人達の話に相槌を打つようになります。
チャンスが来たのは、何人かが席を移動し始めた時です。
彼女の隣の席が空くと、他の席の誰かがそこに座り。また空くとそこに違う誰かがやって来る。中には当然男子が座る事もありました。
私は中々タイミングが合わなかったのですが、やっと機会が来てくれました。しかも私が移ろうとすると、他の人がトイレにでも行ったか、私と清美さんの二人きりになれたのです。
テーブルの角を挟む形で、私達は見詰め合いました。と書けば、嘘っぽいと思われるでしょうが、私の方はシッカリ彼女を見詰めましたよ。そうです、むかし彼女に調教を施す時に向けた眼差しです。
僅か何十センチの距離で見詰め合いますと、彼女の瞳が揺れるのがよく分かりました。二人だけの世界です。
そのまま見続けてますと、その瞳が潤んで来るのが分かりましてね、私は小さな声で彼女にだけ聞こえるように『清美は変態マゾ』と囁いてやったのです。
彼女の胸の鼓動が、鳴り出したのが分かりましたよ。】
読んでる途中から、私の鼓動も鳴り出している。
【さて、ここで話は一旦過去に戻ります。
私と清美さんの別れです。】
『別かれ』の文字に、私の胸がキリリ疼き始めた。
【別れた理由は幾つかあるのですが、例の女店主。この人の中に何だかんだ言いながら、嫉妬心があったのです。私は清美さんの処女を頂いてから、調教の過程をその女店主に報告していたのですが、最初は興味津々、スケベ心満載で聞いてた女店主も、次第に清美さんを嫉妬の対象にしていたのです。ある時、私達の関係…私と女店主、私と清美さん、二つの関係を世間に教える言い出したのです。
私としたら清美さんを救う為だと言えば、格好の付けすぎですし信じて貰えないでしょうが、心の中には清美さんを想う気持ちを持っていたのです。
ある平日の昼休み、私は清美さんを学校の校舎の裏に呼び出しました。
制服のままの彼女は、いつもと違う緊張をしていたと思います。
その場所で私は、別れを切り出すわけですが、その時ちょっとした賭けをしました。】
賭け?…私の頭に疑問が浮かぶ。
【私はそれまで、決して人様に見せれない彼女の卑猥な写真や動画を、デジカメで撮ってきました。そしてソレを脅しの材料にして、清美さんを言いなりにしてきたわけです。
しかしその画像や動画を消したとしても、彼女は性奴隷として私に従い続けるだろう思っていたのです。
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しかし、彼女は暫く眉間に皺を寄せてましたが、小さな声で『さようなら』と云ったのです。それは私が賭に負けた瞬間でした。もしも清美さんに服従を誓う様子があれば、私は例の女店主と争う気持ちもあったのですがね。
それで残った私はどうなったか…まぁそんな事はどうでもいいのですが、その後は惨めで陰湿な人生を送るのです。
結局、私と清美さんの関係が続いたのは半年くらいです。
ご主人は私の事を、妄想にかぶれた只の変質者と思っているかもしれませんね。それは否定しませんが、私が清美さんと過ごした半年の時間は本物です。そして事実です。証拠として幾つか上げて起きましょう。
清美さんの剛毛の件は、以前に話したと思いますが、それ以外に、彼女のアナルの右横に小さな小さなホクロが縦に二つ並んでいますよね。】
その文字を読んだ瞬間、雷に打たれたような衝撃を感じた。
アナルの横で縦に並ぶ小さな小さなホクロ。それは今、この手紙で読むまで忘れていた事だが、それは事実で間違いない。
【それともう一つ、清美さんの左胸の乳首】
その文字にも、私の記憶が躍動し始めた。
妻の左の乳首に、何が…。
【ほんの少しですが、右の乳首に比べると陥没気味ですよね】
アーーーッ、思わず叫びが上がってしまった。
【何度も彼女の身体を打ったり縛ったりしていたので、目に付いていたのです。
まぁこの二つだけでも、私達が関係を持ってた動かぬ証拠と言えるのではないですかね。
でも、写真などは残っていませんし、貴方を脅す気もありませんので安心して下さい。
では再度、2次会の話しに戻りたいと思います。】
私は便箋を次に捲ろうとして、一旦手を止めた。
手紙の内容を振り返れば、別かれのシーンを思い浮かべてしまう。
男は写真や動画を消しても、妻と主従の関係が続くと自信を持っていに違いない。しかし清美は、彼との関係を解消したのだ。そして賭けに敗れた男は、それから何十年も清美と会っていなかったのだ。
そんな男が妻と同窓会で逢って、それから…。そう、それからどうなったのだ。何故、このような手紙を送る事を思い付いたのか…。
私はその答えを知りたくて、手紙に目を向け直したのだった。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
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暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
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男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
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ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
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僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
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清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
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男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
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「どっちなんだ」
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「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
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「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
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「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
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赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
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チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
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それなのに…。
聞こえて来たのは…。
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「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
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「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
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「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
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怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
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「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
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「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
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私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
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男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
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「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
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身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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fallーー。
無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
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・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
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妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
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家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
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私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
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その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
「ああ、Y子さんのお知り合いでしたか。これは失礼しました」男が畏まって頷く。
「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
自分の部屋に戻った後は、暫く下半身を曝したままだった。ベッドに腰掛け股間のソレを弄ってみるが、大きくなる気配は全くない。長い間、セックスしなかった事が原因なのか。答えなど見つかる筈もなく、ショックで頭を抱えてしまう。
しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
そしてもう一つーーー、元彼は手紙で、妻を調教する過程で自慰行為を命令したとあった。
昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
どちらにせよ、元彼からの手紙の内容は、ほぼほぼ事実なのだ。過去の出来事とは言え、それが今に影響を及ぼしている。
妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
「俺はいつもの生で」
私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
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その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
「…オマンコよぉ…オマンコいいのぉ」
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
「ええッ、本当ですか!」
「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
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一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
「ほらご主人、アタシのここ、ドキドキしてるでしょ」
由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
告うや否や、映像の由紀子さんはベッドに上がり、四つん這いになって男達に臀を突き出した。
私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
「そ、そうなんですね…」
「ええ、でもこの日の彼女は見学と撮影だけ。それ以外の事…服を脱いで裸を見せたりはしてませんから」
先ほどの羞恥の表情を何処へ隠したのか、由紀子さんは落ち着いた声に流し目まで送って来る。
「あの、男は…元彼はそれで何と…」
「元彼?ああ、あの人ね。うふふ、アタシが指示されたのは、清美さんに刺激を与えて下さいって事だけですから」
「………」
「まあアタシとしたら、いつかは清美さんにもこちら側の世界に来て欲しいと思ってますけどね」
由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
「ええッ!」
「アタシ達は変態セックスを愉しんでるスワッパー夫婦。そんなアタシ達の仲間に、ってね」
「いえ、私達は…」
「ふふっ大丈夫、分かってますって。無理強いはいけませんからね。でも、清美さんの方が先に飛んだらどうしますか」
「と、飛ぶって…」
「ふふ、清美さんの行く末を皆んなが楽しみにしてるんです。あの人と寄りを戻したら…な~んてね」
「き、清美に限ってそんな事は…」
「ふふふ、あるわけないですか?」
由紀子さんが間近な距離から見詰めてくる。
「ご主人は、これまでも清美さんを大切にして来たんでしょ?」
「………」
「たくさん抱いてあげたんでしょうが、彼女の本質をちゃんと理解してあげてたのかしら?」
「本質って…」
「持って生まれた性癖。それって幾つになっても変わらないらしいですよ」
「………」
由紀子さんの言葉が映像のヨガリ声と重なり、雨粒のように降り掛かって来る。
彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
「そうそう、そう言えばねぇ、泊まりでの女子会を検討中なんですよ」
「そ、それは聞いてます…」
「そこで清美さんを試してみては如何ですか」
「え、試すとは?」
「決まってるじゃない。清美さんがそこで飛ぶかどうかよ」
私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
これもあの男の仕掛けなのか。私は完全に翻弄されている。
「ご主人、そうあまり真剣な顔しないで下さい。アタシも問い詰め過ぎました。今云った事は時間があるから、考えておいてくれればいいですよ。それより、こっちの続きを楽しみましょうよ」
彼女の言葉にパソコン画面を向き直れば、由紀子さんが臀を向けてご主人に跨がっている。二つの生殖器が、片方は侵入を繰り返し、もう片方はソレを難なく飲み込んでいる。そしてその摩擦音が、響き伝わって来るのだった。
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テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。
『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
「今のは?」
「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
「あの人…」
「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
「それって、いいんですか」
私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。
映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
私は黙って頷いている。
「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
「ええッ!」
「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
「………」
「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
「大胆に、ですか」
「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
ゴクリ、私の喉が鳴る。
「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。
「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。
『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
「ウフフ、徳ちゃんったら凄いわ。結合の部分が丸見えよねぇ。おまけにお尻の穴まで」由紀子さんが私をチラリと見ながら、ニヤついている。
「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。
「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
「え、いや、それは…」
口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
と、映像が結合の部分から徳子さんの豊満な乳房を抜けて、彼女の表情に移動した。
『いやーーんッ止めて!』
顔のアップに気付いたか、徳子さんが悲鳴を上げる。
『いやんいやん、恥ずかしいッ、清タン、顔は映さないでぇぇ』
徳子さんの懇願にも、映像は彼女のアップのまま。この時の妻の心境も又、どんなものだったのだ。
「あらあら徳ちゃんったら、凄い声ねぇ。でもご主人、彼女はねぇ、イヤとか言いながらシッカリ興奮してるんですよぉ。なんせ見られて感じる変態なんだから」
私は驚きに息を詰まられながら、本当ですか、と訊きそうになっている。確かに徳子さんは、自分の逝き顔を見せ付けてるように観えなくもない。
その時、徳子さんの顔がズームアウトされた。同時に腰を振っていた男が、彼女の腿をバチパチと叩いた。
「次は犬の格好よ」
由紀子さんの言葉通りに、二人は繋がったまま器用に体位を変えていく。
「ふふふ、男女が身体を溶接させたまま一体となっての漂流感は、性の醍醐味なのよね」又も由紀子さんが、意味深な言葉を呟いた。私の中には、阿吽の呼吸という言葉が浮かんだ。正常位から犬の格好への移行が、スムーズに観えたのだ。
そして直ぐに、それまで以上の徳子さんの叫び声が上がった。
「どうですかご主人、あなた方夫婦のセックスと、動画の徳ちゃん達とどっちが激しいですか」
由紀子さんの落ち着いた声にも、私は黙り込むだけだった。妻とセックスをしていた頃を思い出そうとしても、その記憶には補正が掛かっているのか、映像の男女と比べると幼稚すぎるものに思えてしまう。
それとだ。由紀子さんは妻から私達夫婦の性事情まで聞き出したのだろうか。それを知って彼女は、今の質問を?
「あ、そろそろ徳ちゃんが逝くわ!」
その瞬間、由紀子さんの声と同時に、徳子さんが最後の雄叫びを上げたのだった。
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居酒屋の個室ーー。
馴染みとなったこの場所も、私はこれまでと違う空気を感じていた。
目の前の女性が、『真木由紀子』と名乗ったからだ。
それはここ最近、頭の中で頻繁に反芻される名前だった。妻の同窓生で、例の元彼の手先となった女性なのだ。あの手紙に書かれてある事が事実ならばだが。
由紀子さんが目の前の席に座り直した。私は緊張を覚えながらも、その素顔を窺う。
身体付きはイメージしていたよりかは若干ふっくらした感じだが、髪の毛が後ろで結わかれているせいか顔は面長に見える。目はパッチリ二重で、口元から覗く白い歯並びには清潔感を覚える。その雰囲気からも、才女と呼ばれていた理由が垣間見える気がした。
「あのぉ、そんなに見詰められたら、何だか恥ずかしいわ」
その声に私は、ハッと我に帰った。
「ええ、すいません。でも、どうしてここに?」私は緊張を残したまま訊ねてみる。
由紀子さんは私をチラリと見て、先に何か注文をしましょうとメニューを指し出して来た。
私がいつものビールを頼むと、由紀子さんも同じ物と摘みを何点かオーダーした。
ビールと摘みが届くと、由紀子さんがジョッキを持ち上げた。それに合わせて、私は持ったジョッキを黙ったまま目の前で上げた。
彼女は美味そうにゴクゴクと喉を潤すが、私はチビリと口を付けるだけ。そんな私は、訊いておくべき事を口にした。
「あの、貴女の名前は清美から聞いて知ってましたが、コレは一体どういう事でしょうか?」
「うふ、先だって清美さんに次の女子会の件で、連絡した事がありましてね。ご主人に了解は取れそうかと訊ねたのですが、その時に話の流れでこのお店の事を聞かされたんです」
「それだけの事で、この店に?」
「いえ、雰囲気も凄く良いからって清美さんが勧めるもんだから、アタシも好奇心で。それでもし、ご主人が居ればと思って店員さんに声を掛けてみたんですよ」
「本当ですか」私は訝しながら訊いた。
「本当ですわ。そして私は、とてもラッキーでした」
「ラッキー?」
「ええ実はね、今夜アタシが、この店で清美さんのご主人に会えるかもしれないって、ある人に話したんですよ。そうしたらね、ふふふ、その人がアタシに頼み事をしたんです」
「頼み事?」
「ふふっ、コレですわ」
意味深な笑みを浮かべて、由紀子さんが鞄から何かを取り出した。私はソレを見た瞬間、息が止まりそうになってしまった。
彼女が手にしていたのは、USBメモリだったのだ。しかも、前回男から送られ来た物と同じやつではないか。
「それと手紙は届いていませんか」
「ええッ!」驚きに持っていたジョッキを落としそうになってしまう。
目の前に座る由紀子さんが、手紙の話を出すと言う事、そしてUSBを持っていたと言う事は、あの男と繋がってる証拠ではないか。
「それで手紙は?」由紀子さんが、私の様子を窺ってくる。彼女は、これまでの手紙の内容も知っているのだろうか。
「持ってるんですね?」彼女が私の目を覗き込んできた。
私はコクリと頷くと、横に置いてあった鞄に手をやった。手紙と一緒に、ノートパソコンまで無意識に取り出している。
「うふふ」由紀子さんが私の様子を見てか、怪しげな嗤いを立てた。
封を開けてみれば、中身は便箋が1枚だけだった。私は彼女の視線を気にしながら読み始める事にした。
【こんにちは。
今回もUSBを同封しようと思っていたのですが、由紀子さんから連絡があって、ひょっとしたら清美さんのご主人と会えるかもしれないと申すもので、私も遊び心に乗って、彼女に持って行ってもらう事にしました。
万が一、彼女と会えなければ、直ぐに送るようにしますのでね。
では、無事に女子会の映像が視れますように。】
たった1枚の便箋に書かれた短い文章だったが、私はそれを読んで唸り声を上げた。男の遊び心は見事に成功したわけだ。それと、ここに書かれてある女子会とは、由紀子さん達のいう『社交界』と言う名の怪しい集まりの事なのだ。
これで由紀子さんが妻の元彼と名乗る男と、完全に繋がっている事が分かった。手紙の中にも『Y子』ではなく『由紀子』と書かれているのだ。
「何て書いてあるんですか」由紀子さんが私の手元を覗き込むように、少し身を乗り出した。
「当ててみましょうか。コレの中身は社交…いえ、女子会の映像なんでしょ」由紀子さんがUSBメモリをかざしている。私は、知ってたんでしょ、と小声で呟いた。
「じゃあ、せっかくだから一緒に視ましょうよ」
「ええッ、一緒にですか!」
「そうですよ、だってアタシも映ってるんですから」
「あッ!」
「何をそんなに驚いてるんですか。相良さんだって、パソコンを用意してるじゃないですか」
「え!?」
そうだった。私は無意識のうちに、手紙と一緒にノートパソコンまで出していたのだ。
「さぁ、アタシは覚悟が出来てるんですよ」
由紀子さんは『覚悟』と口にしたが、その声は、どことなく嬉しそうだ。声に私を挑発する響きを感じる。
気づけば彼女は立ち上がって、私の隣にやって来るではないか。そして座ると、USBをセットした。
「さぁ早く、再生して下さぁい」由紀子さんが私の耳元で、少し呂律の怪しくなった口調で囁いた。
この映像には、妻も映ってるかもしれない。そう思うと体温が上がってくる。それでも私の指は、何かに操られるように再生をクリックした。
「それと最初に言っときますけど、これって2次会の時のものですからね」
「え、2次会と言うと…」
「1次会はこのお店みたいな居酒屋だったの。その後、場所を移動したんですよ。少し遠かったけどタクシーでね」
由紀子さんの酒臭い息が、私の横顔に掛かる。彼女にとっても酔わなければやってられない…いや視てられない映像なのだろう。
「あのぉ、2次会のメンバーっていうのは…」
「ああ、その日のメンツね。えっとね、アタシと清美さんに徳ちゃん。あ、徳ちゃんって言うのは」
「大田徳子さんですよね」私は断って、そして続ける。「その3人だけですか、他には…」
「ああ、珠美さんの事ね。珠美さんはこの日も1次会で帰っちゃったのよね。彼女、子供がまだ中学生で難しい時期みたいでぇ」
いや、そうじゃなくて…。私は、妻の元彼の存在が気になっているのだ。
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次の日、私が目を覚ましたのは、朝の10時を過ぎた頃だった。
起き上がって欠伸を一つすれば、頭の中に夕べ視たSMチックな寝取られ動画の映像を思い出した。
2本の動画はいずれも中年の人妻が主人公で、夫の前で男に翻弄されていくものだった。私は人妻を妻の清美に、夫役を自分に投影していた。
動画の残像に苦笑いを浮かべて立ち上がろうして、枕元のスマホの点滅に気がついた。
見ればLINEの知らせだ。
『声を掛けても全然起きないのでLINEにします。今日はこれから買物に行って来ます』
私が爆睡している間に、どうやら妻は出掛けたようだ。
寝不足気味のまま食事を採り終えた私は、もう一度夕べの動画を視てしまった。
妻が帰って来たのは、夕方近くだった。買物にしてはかなり長いものだったが、私は特段責める事もなかった。妻が元彼と密会していたとは思えないし、そんな証拠もない。あるのは私の妄想…と想いたい…。
「夕べも遅かったんですね」
妻が話し掛けて来たのは、彼女が夕飯の準備でキッチンに立った時だった。
「ああ、そうだった…LINEを入れるの忘れてたっけ?」私はソファーから顔だけを向けて答えている。
妻は私の質問に応えるでなく「またあの居酒屋ですか」と、訊いてくる。
「うん、そうそう、あそこで残業をね」
「そうですか、また行ってみますか」
その言葉に、私はキッチンに振り向いた。
「そ、そうだね」
このところ冷たく感じる妻からは、思いもよらぬ誘いだ。
それから私達は、お互いの予定を確認し合って、次の水曜日に先日と同じ店で待ち合わせる時間を決めたのだった。
週明け出社すると、急ぎの仕事が舞い込んできた。この分だと出張が入りそうな気配を感じてしまう。
そんな中、水曜日がやって来た。日中は仕事に追われ、妻との呑み会の事を考える余裕もなかった。頭の中には『元彼』に『由紀子』『徳子』の名前があるが、2回目の女子会の事を含めて、どのように話を持ち出せばよいか整理が追い付いていない。
それでもこの日、仕事を終わらせた私は、なるべく遅れないようにと先日の店に向かった。
今夜も店には、妻が先に来ていた。私は個室の扉を開けると、前回と同じように「遅くなってゴメン」と、頭を下げている。
店員にビールと摘まみの注文が終わると「最近また忙しくなったみたいですね」妻から話し掛けて来た。
「そうだな、そのうち出張があるかも」
私の返事に頷きながら、妻は「今週も夜はここで残業ですか」と、続けて訊いてきた。
私は苦笑いしながら頷くだけだ。
例の男からの手紙を読む為に通うようになったこの店。それ以来ここに来る理由を、妻には残務と説明していたのだが、はたして彼女が、ノマドワーカーのイメージと私を結び付けたかどうかは分からない。
そして私は、男からの次の手紙の事を考えている。前回の手紙には次の期日は書かれていなかったが、明後日の金曜日には届きそうな気がしているのだ。
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ふと顔を上げると、妻が首を傾げている。
「いや大丈夫だよ。そうだな、ひょっとしたら週末もここにお世話になってるかも」と云って、私は笑ってみせるのだ。
それから暫くの時間、私達は黙々と摘みを口に運び、ビールを何杯かお代わりした。
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妻の表情を観れば、頬を朱く、目には酔いの色を浮かべて私を窺っている。
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私のしどろもどろの声に、妻が肩を竦める。「ええ、実はそれの了解を頂こうと思ってまして、それで今夜…」
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彼女の説明によると、つい先日、由紀子さんから企画に対する伺いがあって、家族から了解が取れるか探っておいて欲しいとの事のようだった。
妻の説明を聞いても、私はその申し出には、曖昧な返事に徹するだけだった。そして私の中には、モヤモヤだけが残ったのだった。
金曜日の昼間、7通目となる手紙が届いた。
しかしソレは、これまでと比べて厚みが1番薄いものだった。USBメモリが入ってる気配はどこにもない。
それでも私は、逸る気持ちを抑えて仕事をこなし、予約した時間に遅くれないようにと、いつもの居酒屋に向かう事にした。
店に入ると、馴染みになった若い店員が声を掛けて来た。
「相良さん、お連れ様がお待ちですよ」
笑みを浮かべる彼の顔を見ながら、私は一瞬キョトンとした。『お連れ様』とは誰の事だ。
しかし、考える間もなく閃きが来た。
妻の清美が来ているのだ!私は疑う事なく個室へと足を運んだ。
個室の扉を開けた瞬間、足が止まった。見知らぬ女性が一人で居るのだ。その女性が、私を見上げる。
「相良さんですよね、清美さんのご主人の」
私は、立ち上がったその女性を、呆然と見詰める。
「私、真木由起子と申します」
その名前を聞いた瞬間、私はハッキリと驚きの声を上げたのだった。
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USBメモリを鞄に仕舞って、会計を済ませた私は店を後にした。
今夜は酔いを覚ます、と言ってもそれほど酔ってはいなかったが、少し遠回りをして家に帰る事にした。
夜道を行けば更に頭がスッキリして来た。その頭の中に二つの影を思い浮かべる。妻の清美の顔と、まだ会った事のない元彼の男だ。
元彼が言う高校時代の真実、結局その真意は分からない。USBメモリの中には、妻の告白が無かったからだ。
今回のUSBから分かった事と言えば、由起子さんと徳子さんの秘密の性癖と『社交会』の存在が明らかになった事だ。
そして最後に、由起子さんはその社交会を2回目の女子会という事にして妻を誘っていたのだ。
そして妻は、その『女子会』に参加している。いや、由起子さんは『見学』と表現していたが、その真意を妻に問い詰める勇気は、今のところ私にはない。その時の様子は、次のUSBメモリでも来ない限り分からないのだ。
そう言えば、今回の手紙にも次の手紙の期日が書かれていなかった。レコーダーからUSBへのコピーの作業が終われば、送られて来ると思うのだが。
家に着けば今夜も妻は寝入っていた。ここ最近の彼女の冷たい態度は、こう言うところにも現れていると思ってしまう。
私は静かにシャワーを済ませて、寝る支度に入った。
疲れた身体は直ぐに眠りを求めると思ったが、睡魔は中々やって来てはくれなかった。
私はベッドを抜け出し、ノートパソコンを取り出した。あの会話をもう一度聴きたくなったのだ。
USBメモリをセットして、最初から再生する。
妻の喋りの部分には特に注意をはらったが、私の記憶に間違いはなかったようだ。妻が自ら過去に付いて語る場面はなかったし、最近の心境に触れるところもなかったのだ。
ただし、この録音は1回目の女子会だけのものなのだ。
それにしても、妻の友人達の生態の方に驚きを覚えてしまう。
真木由紀子さんも大田徳子さんも、れっきとした人妻であり主婦でもある。そんな二人が、怪しい秘め事をしている。由紀子さんは夫公認で、徳子さんは完全な浮気だ。彼女達の告白を聞いた妻は、その時どう思ったのだろうか。妻自身は性欲に関して『それほど』と曖昧な言い方をしていた。しかし『ゼロでもない』と、微妙に認めた感じだ。
そして妻は、本当に2回目の女子会=社交会で、友人達の姿を見学したのか。由紀子さん達は、どんな姿を見せたのだ?社交会の中身が、凄く気になってしまう。それはやはり、アダルトビデオのような世界なのだろうか。
私は会話の再生を止めて、あるワードを検索にかける事にした。
『スワッピング 乱交』キーを叩くと、画面にエロ動画サイトの一覧が並んだ。
中から私は、熟女ものの動画サイトを選択してクリックした。
目に飛び込んで来たのは、幾つものそれらしい画像画面と、スケベ心を煽るサムネの数々だった。
私はプレビューを流し読みしてから、その中の一つ、中年夫婦のスワップらしきものを視てみる事にした。
その動画は素人の投稿物ではなくて、プロの業者のビデオ映像で60分以上のドラマ仕立てのもだった。
そしてそれは、偶然なのか社交会…いや秘密のパーティーに迷い込んだ中年夫婦の話だった。
ビデオの主人公は役所勤めの人妻。女は夫の上司に騙され、夫婦揃って怪しげな集まりに参加する事になる。
夫婦は目の前で披露される同年代の人妻の痴態に激しいショックを受ける。そんな夫婦の横に夫の上司が座って、性の手解きをする物語だった。
ドラマの中、上司の男は慣れた口調で、夫婦に奥深い暗示を投げ掛けたーー。
『奥さん、恥ずかしがらずに目の前の女を見てごらんよ。この人も貴女と同じ人妻なんだ。年齢だって貴女に近い』
場面はホテルのスウィートルームで、ベッドの回りを数組のカップルが取り囲んでいる。
ベッドの上には素顔の中年女性と若い男。二人は生まれたままの姿で、絡みを披露している。
『ほらね、優れた女の身体ってのは男に合わせられるものなんだ。男が鋳型であるなら、女は液体ってな。どんな形にも納まるのが良い女ってわけだが、じゃあ男の鋳型に合わせられない女はつまらないのかと言うと、そうも言い切れない。開発前の女もいるからね。大事なのは女の意思。男を前に人形になるんじゃなくて、自発的な意志を持つ事なんだよ。
この奥さんも最初は自分の道具を貸すだけだったが、ようやく分かってきたようだ』
夫の上司の声を耳元で受け止め、人妻は静かに前を向いたまま。この女性も耳を性感帯に、男の声を受け入れてるように観える。
『男ってのは自分の欲望本位に行動する事が多いが、この彼は若いけど経験が豊富なんだ。場数を踏んでるから解約精神が発達していて、相手が肉体の賃借関係として割り切って行為に臨めるんだよ。奥さん、分かるかな?』
男の言葉の意味が分かったのかどうかは分からないが、主人公の人妻は微動だにしない。
『おや、女の方に我慢が利かなくなってきたかな。この二人は何度か身体を合わせて厭らしい表現に阿吽の呼吸が生まれるようになったが、女の方はまだまだだな。どうやら今夜の勝負は、男のものだ。
さて、時間はと…』
男の視線の先が画面に広がり、ベッドの上では女の動きが激しく、絶頂を迎えたところだった。
ビデオの中、女が最後の雄叫びを上げたシーンを視て、私は大きく息をついた。自分でも思った以上に、映像にのめり込んでしまっていた。
頭の中には、獣そのものになって、折り重なり、呻き、のたうち回っていた浅ましい女の残像がある。
男女の絡みのシーンも印象にあったが、ストーリー性にも胸を抉られる想いがあった。
ベッドにいた女は若い男に手駒にされ、客相手に痴態を曝す女に成り下がったのだ。そしてその様子を見ていた人妻は暗示に掛けられ、やがては同じような女へと変貌を遂げるのだろう。
しかもこの人妻の横には、夫が座っていたのだ。夫はベッドの女と、隣の妻の先行きを重ねていたのだろうか。
と、私はビデオの上司の男が、妻清美の元彼とダブって観えた。
動画はまだ半分も過ぎてなかったが、私は一旦止めた。そして水を一杯飲みに行く事にした。
キッチンで水を飲んだ私は、自分の部屋に戻る前に妻の寝室を覗いた。
妻は鼾も掻かず、静かに寝入っている。その寝顔からは、罪の有無を感じない。
しかし女と言う生き物は、裏の顔を隠し持っているものなのだろうか。
真木由紀子さんに大田徳子さん、私は彼女達の赤裸々な告白をUSBで聞いている。いや、彼女達からすれば、あれは告白といった大袈裟なものではなくて、面白い遊びを見つけた少女の自慢話なのかもしれない。
そんな考えを頭の隅に霞ませながら、私は自分の部屋に戻る事にした。
時計を見れば、深夜の1時を過ぎたところだ。それでも何故か眠気を感じなくなっている。
私は別の動画サイトも見てみる事にした。
次に視る気になったのは、SM物だった。サムネのプレビューを読むと、妻が夫の前で調教を受ける話だ。そしてコレも、ドラマ仕立ての物のようだ。
画面にいきなり広がったのは、テーブルに大の字に縛られた女性の姿だった。そしておっ開げられた股間の前には、男の生尻だ。
『さぁご主人、これからこの美しい婦人の体内に私の夥しい体液を吐き出させて頂きますよ』
ビデオの男は言うなり、婦人と呼んた女性の股間に反り勃った肉の棒を突き刺した。
映像のアングルは男の後ろ姿を捉え、筋肉質な生尻が規則正しい動きを続ける。バンザイの格好でテーブルの脚に両腕を結ばれた婦人の姿は、私の目には虫ピンで止められた蝶のように観えた。
婦人の口からは『嫌よ嫌よ』と、抗いの声が上がる。しかしやがて『やっぱりいいわ!』感泣の声に変わった。
『そうですよ奥様、飢えた人間にテーブルマナーは不要ですよ。さぁ遠慮なさらずに』男が腰を振りながら、婦人を追い込んで行く。
男の言葉に、むっちりと実った婦人の美しい御足が、男の腰を挟んで跳ね上がった。婦人のその様は、完全に己の保身反応を麻痺させている。
『ヒィーヒィーっ』ビデオの声が、妻の声に重なって聴こえるようだ。男に串刺しされて蠢く婦人の姿も、妻に重なって行く。
両腕をロープで、腰を男に制圧された不自由な状態で、のたうち回る婦人は、麻薬の禁断症状から逃げ惑おうとしてるようだ。
『もっともっと抉って下さいッ!』
『あらあら奥様、なんて品格のない言い方を』ビデオの男がニヤリと嗤う。
『うううッ、だって…』
『はいはい、分かりましたよ。私の物がもっと欲しいのですね』
『そう、そうなのっ、だからもっと激しく突いて下さいッ!』婦人は必死に追いかけている。本当にあと一歩のところなのだ。しかし男が、お預けを喰らわせて女体を支配している。
私はそれが造り物のビデオである事を忘れて、ノンフィクションの出来事に覚えてしまっていた。
「清美…」私の口から無意識に妻の名前が出た。妻もビデオの婦人のように、元彼の残酷で不完全燃焼な責めに、我を忘れた事があったのだろうか。私はもう一度「清美」と呟くと、拳を握りしめた。
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妻の元彼からの6通目の手紙を封筒に戻すと、私は鞄からノートパソコンを取り出し、立ち上げた。
USBを差し込み、イヤホンを耳にセットする。個室にいても、音漏れには注意したい。まして何が飛び出して来るか分からないのだから。
起動が始まって暫くすると、聞こえて来たのは女性の笑い声だった。
この時の2次会の場所も、由紀子さんが幹事を務めたのなら、外部からの干渉に気をつけて個室を用意したに違いない。そしてこの部屋にいるのは、妻の清美と由紀子さんに徳子さんだ。
彼女達の話し声が大きくなってきた。妻の声は直ぐに気づき、他の声も名前と一致させる事が出来た。
ひときわ大きな声で喋ってるのが、徳子さんだろう。由紀子さんの声は、酒のせいか砕けた感じに聴こえる。
『それでさ、ちょっと清タン聞いてよ。由紀ちゃんって凄いんだから。ねぇぇ。』
徳子さんが話題を変えてきた。
『ふふふ、アッチの話?そうねぇアタシは結構お盛ん、かな』
徳子さんの声に応えるようにか、由紀子さんの声も大きくなっている。
『ところで清美さんさぁ、実はずっと黙ってたんだけど高校の時さ、貴女に変な噂が立った事あったの、知ってた?』
由紀子さんの声に続き『え!』妻の驚きの声が聴こえた。
『清楚で男子に人気者だった田中清美は、実は変態セックスしてるっていう噂よ』
由紀子さんの詰問調の声に、こっちの息が止まりそうになった。
そして暫く無言が続き、やがて再び由紀子さんの声が聴こえた。
『うふふ、その表情、黙ってるところを見ると噂は本当だったのかな?』
『な、何の事だか…』
『えへっ、別にいいじゃない昔の事だしさ。それにさっきも告ったけど、アタシもこう見えて、実は遊んでるのよね』
由紀子さんの呂律が怪しくなってる気がする。さすがに酔わなければ話せない内容だ。
『実はね、同窓会で清美さんを久し振りに見た時に、今云った昔の噂を思い出したのよね。でも、そんな話題をその場でなんて出せないでしょ。だからねぇぇ』
由紀子さんが語る流れに、男の手紙に書かれていたある場面を思い出した。
確か2次会の席で、元彼がテーブルの下で妻の手を握ったところを、由紀子さんが見たのではなかったか。
『それでねぇ、1度気になりだしたら、ずっと気になっちゃってさ…ふふふ、それでここに来る前、つい徳(のり)ちゃんに話しちゃったのよね』
由紀子さんの語尾は、徳子さんに向けたものだった。
『そうそう、それで私も本当!?って驚いたのよね』徳子さんの声が、1オクターブ上がっている。
『私もさ、卒業してから色々あったし、人って変わるからさ、大概の事は驚かないんだけど、清タンが変態チックな遊びをしてるなんて』
『徳ちゃんちょっと違うわよ。清美さんがエッチな事をしてたのは、昔の話で今は知らないわよ』
『あ、そっか。でもさ、今はどうなの…ねぇ清タン、今はどんな感じ?欲求不満とかないの?』
会った事のない徳子さんだが、その姿が目に浮かぶようだった。ポッチャリの身体を乗り出し、好奇心に目を見開く姿だ。妻の方は俯いたまま、頭を小さく横に振ってるのではないだろうか。
『徳ちゃん、清美さんはねぇ、やってるって、うん間違いないって。ご主人とやってなかったとしても、他にねぇ…ふふふ』
『あーそれってオナニー?』
『あらあら、徳ちゃんったら。でもオナニーは勿論、他にも凄い事をやってると思うわ。だって清美さんは、へ、ん、た、い』
『いゃ~ん、清タンって変態だったんだぁ。でも何だか嬉しいっ』
『ふふっ、徳ちゃんとどっちが変態か、試してみたいわね』
『由紀ちゃんだって変態でしょっ』
『そうよ。アタシはずっと前から変な遊びをしてるわ』
『うんうん、知ってる知ってる。私も恩恵を受けてるし』徳子さんが楽しそうに声を上げる。
『でもね清美さん、人様から後ろ指を刺される秘匿の行為って、考えただけで興奮するわよねぇぇ』
由紀子さんの言葉に、徳子さんの相づちの声が聞こえる。妻はどんな様子なのだ。妻の声だけがなかなか聴こえて来ない。
『ほらぁ、アタシ達って夫婦でやってるでしょ』
由紀子さんが、そう言った瞬間だった。妻の『ええっ!』と驚きの声が聞こえた。
『あら、そうなのよ。アタシ一人で遊んでるわけじゃないの。きちんとしたパートナーがいるのよね』
『そのパートナーって』妻の小さな声がする。
『多いのは家の主人だけど…他にも肌を合わせる人達はたくさんいるわ』
由紀子さんの語尾には、力強さがあった気がした。酔ってるからか、それとも秘密を曝して開き直ったか、相手に迫る勢いが伝わって来るのだ。
『あらやだ清美さん、あまり変な目で見ないでよ』
『そんな、変な目だなんて…』
『ふふっどう?昔の知り合いが、教師のクセして変態だったら。しかも旦那も教師なのよ』
『………』
沈黙が流れ、私も息を飲んで次の言葉を待っている。
『…でもねぇ、教師って凄いストレスが溜まるの。最初は良くないのは分かってたけど、周りの教師仲間におかしな性癖の人がいてね』
そこからは由紀子さんがその世界に入った経緯が話された。その間、妻の声は聴こえくなったが、どんな気持ちで由起子さんの話を聞いていたのだろうか。
『…と言うわけで今に至るわけ。因みに徳ちゃんとは、卒業後もちょくちょく会っててね、互いの愚痴を言い合ってたのよ』
『そうなんだ』やっと妻の声が聴こえてきた。
『そう、それである時、アタシがスワップの世界に居る事を喋っちゃったのね』
『そうそう、私も聞いた時はビックリしたわ』徳子さんの出番が来た。『でも私って、昔からエッチにはかなり興味があったからね』
今度は徳子さんの身の上、いや下半身の話が始まった。彼女は結婚して子供もいるが、子供が出来てからはご主人とセックスレスの日々が続いていたのだった。そして欲求不満が我慢出来なくなった徳子さんは、由紀子さんに誘われるまま秘密のパーティーに顔を出すようになったのだ。
『さぁ皆んな話したわよ。次は清美さんよ』由紀子さんの口調が、ますます馴れ馴れしく聴こえる。
『わ、私は、そうねぇ…』
妻の呟きに、ゴクリと私の喉が鳴った。
『しゅ、主人には何の不満もないわ』
その言葉に、私の口から、ホッと息が漏れた。
『それに私には…それほど…性欲?それも特には…』
『………』
再び沈黙が流れ、その中で私は、妻の言葉を頭の中で反芻した…妻に性欲は無いのか。それは本音なのか。それとも昔の友人を前に、まだ本当の気持ちを話せないでいるのか。
『ふぅ~ん、そうなんだぁ…でも、性欲がゼロって事はないでしょ』何処となく咎めるような由紀子さんの声がする。
『そ、それはまぁそうだけど…』
『そうよね、うん、そう思うわ。たぶんだけど、清美さんはトラウマがあって殻を被っているのかもね』
あッ、私の口から声が上がった。
トラウマ、確かにそれはあるかもしれない。
若い頃の変質的な経験が、精神に悪い影響がいかないように、妻は無意識にバリアを張って生きてきたのだろうか。
『でもさ、性的欲求があるなら、無理しない方がいいと思うわ』由紀子さんの言葉が、どことなく教師の口調に聴こえる。
『ねぇ清美さん、今度ちょっと付き合ってよ』
『え、何!?』
『ふふっ、そんなに構えないでよ、最初は見学だけだから』
『見学?それは何…』
『それはねぇ』徳子さんの声が割って入って来た。『私達が定期的に行く社交会があるの。名前の通り社会的信用のある人だけが参加できる集まりで、でも紹介者がいれば私みたいに参加が許されるの。だから清タンも大丈夫だから』
『そうね、清美さんは口が堅そうだし、それに真面目だし。あ、真面目っていうのは普通に社会生活を送れるって意味よ』
『ちょっと待って、私行くとは…』
『ふふっ、もうダメよ。アタシと徳ちゃんの秘密を聞いたんだから、自分だけ良い子でいるのは』
『それは…』
『そうね、じゃあ取り敢えず次の予定が決まったら連絡するからね』
『お願い待って。だから行くなんて一言も…』
『まぁ考えておいて。でもアタシ、清美さんは必ず来てくれると思うわ。ほら昔の貴女、あの噂が本当なら身体の中には淫猥な血が流れている筈よ。その血に逆らうなんて、出来っこないんだから』
由紀子さんの今の言葉には、粘着質な響きを感じた。まるで、蜘蛛が獲物を糸で絡み取るようなイメージだ。
『でも安心して、今夜の事だって誰にも喋らないからね。それに秘密を隠しておく事って、それだけで快感でしょ。貴女なら分かるわよね私の云いたい事。とにかく決まったら直ぐに連絡するからね。ああ、そうだ。その時はまた女子会って事で声を掛けるから、ご主人にもそう言って家を出てくるといいわ』
その瞬間、私は大きな声を上げていた。と言う事は妻の2回目の女子会、あれはまさかの怪しい集まりだったのか。
私は暫くの間、呆然としていた。
どのくらいの間そうしていたのか、気づいて時にはUSBの再生は終わり、個室内には静けさが漂っていたのだった。
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妻の元彼からの5回目の手紙を読み終わり、私は大きな溜め息を吐き出した。
手紙の終わり方がどうも気になってしょうがない。これまでは必ず、最後に次の手紙が届く時期が書かれていたのに、今回の手紙にはそれがない。
男の動きが、現実の時間の流れに追い付いて来たのも原因だろうか。
私は頭の中で時系列を整理しようと思った。
同窓会が開催されたのは、もう2カ月以上前の事だ。そしてこの2カ月の間に、2回の女子会があった。
私はその間、妻の雰囲気に鈍色の匂いを感じて妄想を浮かべ、それに合わせて男からの手紙に取り込まれていった。そんな私を、男は離れた所からどう思っていたのだろうか。男は自分の欲望の為に由紀子さんを通じて、何かの仕掛けをした筈なのだ。ターゲットは妻の清美、それに私もか?
だが…妻が誰かに誑かされたり、脅されてる気配は感じない。娘の所に泊まりに行くのに家を留守にした事はあったが、特に怪しいところはなかった。
ただし、先日から妻の態度が硬く、どこか冷たいのだ。
結局、今夜も私はモヤモヤとした気持ちと共に帰宅するしかなかった。
この日の夜から、私は妻に何かしらの痕跡がないものかと、これまで以上に気にするようになった。今一度見たいのは、彼女のスマホにある同窓会と女子会の写真だが、スマホはさすがに見る事が出来ない。
だからと言って、根拠のないところで妻を問い詰める…清美は元彼の男と連絡を取ってるだろ…等と訊く事など出来るわけがない。
しかしだ。
ひょっとしてこれは過ぎた妄想ではないのか。5通の手紙に書かれた内容も、大半が男の妄想話ではないのか。私はとんだ見当違いをして、知らずのうちに、己が築き上げた袋小路に迷い込んでいるだけなのではないのかと、時おり自分を問い質す声が何処からともなく聞こえて来る。
だが、少し前に部下との会話で耳にした『寝取られ』と言う言葉。
自分の妻を他人に差し出し浮気を勧める夫。そして妻と他人の交わりを想像したり、実際に覗いて性的興奮を得て喜ぶ夫。
私自身にこういった性癖があるとは、一度だって思った事がない。それでも冷静に振り返ってみると、元彼の手紙に何度も興奮した覚えがあるのだ。
同窓会の真実を訊いてみようかと言う考えは常にある。だが、手元にある5通の手紙を妻に見せて、色々と問い質す事が出来るのかと、自分自身に問い掛ければ答えはNoだ。中身があまりにも異常すぎるし、それにもし本当の話だとしたら、妻が傷つく恐れがあるからだ。
結局のところ、同じ自問自答が何日にも渡って繰り返されるだけだった。
男から次の手紙が来たのは、前回のものが来てから1週間後の金曜日だった。
職場で見慣れた茶封筒を手にした時は、これまでとの違いを感じた。厚みが今までのものとは違うし、上から触った手触りも違うのだ。中に何かが入っている。
早速その日の夜に、いつもの居酒屋に行った。顔馴染みの若い店員が、ニヤニヤ笑って迎えてくれた。彼の顔には、先日の女性は誰ですかと書いてある。私は構わずに、ビールと摘まみを頼むと手紙を取り出し、封を開けた。
厚みを感じていたのはUSBメモリだった。私はソレを持って暫し考え込んだが、直ぐに手紙に目をやった。
【こんちには。
ご主人は今回の手紙が、いつ来るかいつ来るかと気を揉んでいたのではないですか。】
いきなりのその文章に、男の薄ら笑いが透けて見えた気がして舌打した。
【実は同封したUSBメモリ、これにレコーダーで録ったものを移しかえる作業に手間取ってましてね。時間が読めなかったので、前回の手紙には期日が書けなかったのです。ダメですねアナログ人間は。
でも何とか編集が終わり、無事にコピーする事が出来ました。】
私はふうっと、安堵の溜め息を吐き出した。この男に人間らしい一面を見た気がする。
【このUSBには何が録音されているかと言うと…いや、その前に前回のおさらいをしましょうか。
同窓会の3次会の後に、Y子とバーに行った所からです。あの店で私とY子は、互いが持ってる性癖を曝しあいました。お互いに弱みを見せ合ったという言い方も出来ますが、それでも力関係は私の方が上なのは、Y子も気づいていた筈です。
失うものがどちらが大きいかと言えば、向こうは現役の教師でおまけに夫婦揃ってですから、私のしがない身分と比べれば一目瞭然です。彼女達の変態遊戯の証拠などありませんが、SNSで吹聴すれば一発です。その現実に気付いた事もあったでしょうし、なので彼女は、私の指示に従う事になるのです。】
今度は唸り声が上がった。この男の老獪さに舌を巻きそうになってしまう。
【ではご主人。
これはY子にも話した事ですが、私の元に同窓会の案内状が届いた時の事もお話しさせて頂きます。
あの案内状を読んだ時、私の中に何十年も前の清美さんと過ごした出来事が蘇って来たのです。私はあの頃の後ろめたい快楽の渦に巻き込まれた日々を思い出して、清美さんの中にも昔と変わらない性癖や資質が今も生きてるのか、確かめてみたくなったのです。
そして彼女が、その性癖を今に活かせてないら、私が手助けをしたいと考えるようになったのです。】
そこまで読んだ瞬間、私は胸が苦しくなってしまった。そして今の箇所を読み直した。
妻の清美が『性癖』を今に活かせてないとは、どう解釈すればいいのだ。私は暫し考えを巡らせた。するとジワジワと男の云いたい事が分かった気がした。
それはーー清美が思春期に体験したマゾヒズムな奴隷生活。その時の変態セックスが染み付いていたなら、妻はその後の性生活に満足がいく事なく、何十年も自分を欺いていた事になる…元彼の男は、そんな妻の心と身体を開放しようと云いたいのか。
【同窓会で実際に清美さんと接して、私は彼女からある気配を感じました。そしてその気配の正体を確かめる為に、計画を立てる事にしたのです。
偶然にもY子という秘匿な性癖の持主を見つけた事も、後押しになりました。そして彼女を、協力者に仕立てたのです。
私は例のバーで、Y子に女子会の開催を指示しました。そしてそこで『貴女は自分自身の性癖を清美にカミングアウトして、彼女に刺激を与えろ』と云いました。それを聞いたY子は躊躇した素振りをみせましたが、既に私の傀儡です。
『教師のスキャンダルはネット民の格好のネタだよね。拡散されて、貴女達夫婦の変態行為がバレたら大変でしょ。だから頼んだよ』と、脅しも念を押しておきました。
そして私は、1週間後にもう一度会う事を彼女に約束させたのです。】
男の言葉、いや文章からはこの男の陰湿さが嫌と言うほど漂って来る。しかし、由紀子さんも変態気質の持主なら、逆に喜んで男の計画に協力したのではないだろうか。
私は、会った事のない由紀子さんの事を考えながら、次の文章に目をやった。
【1週間後、Y子を呼び出したのは、とあるシティホテルの喫茶室でした。その時の彼女によれば、1回目の女子会の準備は既に進んでいると言うので、仕事の速さに感心したものです。そしてもう一つ、驚いた事がありました。Y子はその場に、ご主人を連れて来てたのです。
私の前に座ったご主人は終始オドオドしていましてね、夫婦の秘密を拡散されないかと、そればかり気にしてる様子でした。
私は、Y子さんがこのまま協力を拒まないなら、貴方達の事は誰にも話さないし、SNSで拡散する事はないと改めて約束しました。と言っても、その時の喫茶室の会話はICレコーダーにこっそり録音してたのですがね。】
ICレコーダーは名前こそ耳にするが、実際に手にした事はなかった。私はスマホで『ICレコーダー』と検索した。
画像を見て説明を読めば、なるほどと思えてくる。想像していた以上に盗み録りに適した物のようで、しかも見た目がソレと分からない物がたくさんある。
【さて、土曜の夜でしたが、そこの喫茶室は空いてまして、思った以上に秘密の打合せを続ける事が出来ましたよ。
会話が進むにつれて、目の前の夫婦、特に旦那の方はマゾだと確信しました。彼等がやってる夫婦交換やパーティーでも、この二人の役割がよく分かるようでした。
それでも話を進めて行くと、彼等の目にはサディスト特有の色も観えて来ましたよ。それも不思議ではありません。最近はSとMが同居してる人が結構いますからね。それと、ひょっとしてY子は清美さんに対して嫉妬心を持っていたのかもしれませんね。
遠い昔の高校時代、才女で美人のY子は、人当たりが良くて明るく人気者の清美に嫉妬、これはあり得る事です。Y子がS性に目覚めた原因も、この辺りにあった可能性がありますね。】
私はまたまた唸り声を上げた。まるでこの男が、直ぐ近くにいて、影から歪な嗤いを聞かせようとしてるように思えるのだ。
【私はY子に、先日の話を確認の意味でもう一度しました。女子会では清美を酔わせて、性癖の話を持ち出せと。まずは貴女の方から、自分達夫婦がスワッピングをしてる事を告白しろと。
話しの仕方は任せるが、清美の内面は貴女と同じで変態気質で出来ているから、安心して自分を曝け出せと。
清美が黙っていたとしても、彼女はシッカリ話を聞いている。彼女の耳は性感帯で、貴女の言葉が卑猥なら卑猥なほど、清美の身体はそれを受け入れているからと。
そしてそのうち、清美の方からも愚痴や願望を口にしてくる。貴女はそれに同調してあげれば、後は自然な流れで性癖の暴露に繋がるからと。
話をしながら私は、Y子の中から淫靡な香りが沸き立つのが分かりましたよ。彼女は想像を膨らませて、あの場でアソコを濡らしていた事でしょうね。
それから彼女にICレコーダーを渡しました。二つあるうちの一つです。
Y子はソレを手に取ってしげしげと見てましたね。
最近は卑猥な遊びを動画に撮るのは、珍しい事ではありません。Y子達も経験があるでしょう。しかし私が求めるのは、言わゆる隠し撮りです。なのでY子には、その点に気をつけるように念を押しました。
そこで、お手元にあるUSBメモリです。】
私は、テーブルの上に置いてあったUSBメモリに目をやった。この中に女子会の時の会話が録音されているのだ。
【録音は長時間に及ぶものでした。声は意外なほど鮮明に録れてました。しかしまぁ、最初から卑猥な話題になる筈がありません。乾杯から2時間ほどは、在り来りな話です。ただの呑み会です。そこに集まった4人、清美さん、Y子、N子、そしてTさん。乗りは熟女の井戸端会議で、互いの近況報告から、高校時代に誰と誰が付き合ってた、好きだった等などです。
私は録音された会話を根気よく聞いて、要点よく編集しました。実際にそれらしい会話が聴けたのは、全てこの日の2次会のものでした。
Y子にとって運が良かったのは、Tさんが1次会の途中で帰られた事でした。2次会のメンバーは清美さんとY子に、Y子に世話になってるN子ですから。
そう言えば書き忘れてましたが、N子は少し前からY子の遊びに引き込まれていたようですよ。その経緯までは詳しく訊ねませんでしたが、私は同窓会の3次会の席で、N子の言葉にも怪しさを感じていました。その事をY子に問い詰めてみたら、案の定ビンゴでしたね。】
又も男の薄ら笑いが浮かんで来るようだった。男は間違いなく、このUSBに淫靡な会話を録り込む作業に興奮していたに違いない。それにしてもN子…大田徳子さんも怪しい世界の住人だったのだ。
それとTさん、『安田珠美』さんの事だ。
妻の話を思い返せば、珠美さんはお子さんの事があって、確かに早めに帰った筈だ。
【ではご主人、今回の手紙はここまでです。後は同封したUSBを聞いてみて下さい。
因みに中身は、1回目の女子会のものだけです。2回目のものは編集の作業中ですのでね。 では。】
私は息を吐き出し、そのUSBメモリを顔の前でかざして見た。
この中で妻は何を語っているのだ。と思った瞬間、身体が悪寒を感じて震えだしたのだった。
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何十年ぶりかに、妻と二人だけで行った居酒屋からの帰り道ーー。
その夜道を歩く私には、変な緊張が続いていた。酒の量はそこそこ多く、緊張を失くす為のアルコールだったが効果があったとは言えない。私達は店を出てから、ずっと無言なのだ。
黙ったまま歩き続け、家まであと僅かになった時だ。ふっと覗いた妻の横顔、その唇に艶めかしいものを感じた。
脳裏に閃いたのは、若き日の妻が元彼のモノをシャブル姿、その唇。
気が付けば私は、拳を握りしめていた。その拳が震え出したかと思うと、妻の手に触れた。
ハッとなって手を引っ込めようとしたが、意識とは逆に妻の手を握っていた。
二人で呑むのも久し振りだったが、手を繋ぐのも何十年ぶりかの事だった。
このまま家までの帰路を進むのかと思った瞬間、例の手紙のワンシーンが脳内に広がりだした。
妻の親指と人差し指の間、合谷(ごうごく)と呼ばれる窪みに、私の指が触れている。
元彼はこの窪みの部分を、乳首やクリトリスを撫でるように擦ったと告うのだ。
私の指は蠢き始め、元彼がしたのと同じようにその窪みを指腹で擦り始めていた。
妻の指が、いや身体全体が強張った気がした。しかし私は、そのまま妻の指を折りたたむように丸め、私の人差し指を彼女の指と指の間に送り込んだ
朱い唇からアァっと声が漏れた。
抜き差しを始めると今度は、彼女の指の隙間にしっとりと濡れを感じた。これが元彼が云う潤滑の油と言うやつだ。私の脳がそう呟いた瞬間、私の指は払い除けられていた。
立ち竦んだ妻を見れば、黙ったまま私を見据えている。
「ご、ごめん…」私は咄嗟に謝った。
なのに彼女は、とんでもないものに出くわしたような顔をしていた…。
その夜、床に付いた私は、帰り道のその場面を思い起こしていた。
妻は、私が握った指の動きに何かを察したのではないか。私の指を払い除けたのも、同窓会の2次会で元彼にされたのと同じ場面が、脳裏を横切ったからではないだろうか。
セックスを連想させる指の動きに、彼女が浮かべた相手は元彼だったのか。それとも私…いや、それはない。私と妻のセックスは何年も封印されたままなのだ。
ああ…私、妻、元彼、まるで三角関係ではないか。我々はこれから一体、何処に向かうのだ…。
…次の日から、妻の態度が目に見えて堅苦しいものへと変わっていった。
朝の挨拶、帰宅時の挨拶、それは型通りにあるのだが、声がよそ行きで淡白になった感じなのだ。この空気感は結婚してから初めてのもので、その事に私は、気疲れを感じるのだった。
息苦しさを感じたまま数日を過ごし、週末が近づいてきた。
金曜の昼過ぎには、元彼の男から5通目となる手紙が届いた。
そしてその日の夜、いつもの居酒屋ーー。
【ご主人、こんにちは。
この様な匿名の手紙を受け取って頂くのも、これで5回目ですね。勿論、貴方が間違いなく受け取り、真剣に読んでくれていると信じての言葉です。
私の方も手紙を綴りながら、まだ会った事のない貴方との距離が近づいて来るのを感じております。
いつかは、いや近い内に実際に会う時が来るかもしれませんね。まぁ、その時はお互いどういう気持ちでいるかは分かりませんがね。
では、今回の手紙では同窓会の後に開催された1回目となる女子会、その前辺りの様子からお伝えしたいと思います。】
いつもの便箋に綴られた文字を読み始めて、私は確かに男との距離が縮んでる気持ちを認めた。
顔や体型、髪型などは想像の域を出ないが、この男が陰湿で変態気質の人間である事だけは疑っていない。
こんな男と精神的な部分で繋がってるとしたら、私の中にも同じ様な性癖があるのかもしれない。しかし今まで、自分にアブノーマルな気質があるとは1度だって考えた事がない。妻とのセックスもずっとノーマルだった筈だ。それが清美にとってどうだったのかは、考え込んでしまうところなのだが。
【何十年ぶりかに再会した清美さんと、離れ難い気持ちなった私が、3次会の席でさり気なく口にした一言が女子会の開催に繋がりました。
とは言え私は男ですから、その会に参加させて貰うには当然ハードルがあります。なので私は、作戦を考えたのです。
それはY子への私からのカミングアウトと、提案だったのです。】
Y子の名前、この手紙ではイニシャル表示だが、私は妻との以前の会話で『真木由紀子』さんと知っている。
【3次会が終わり、私達は一旦離れ離れになりました。去り行く清美さんを見届けるのは辛い気持ちがありましたが、それ以上に次への企てに、私は気持ちを高ぶらせておりましたよ。そして次に起こした行動が、Y子と話す事だったのです。
私は、3次会から帰るY子の後を密かに着けて、とある駅を出た所で声を掛けました。運が良かったのは、私から誘った近くのバーに付き合ってくれた事です。
その店で私は、私と清美さんの真実を告白して、Y子に協力を願い出るのです。】
由起子さんの存在がどういう意味合いを持つのか、気になるところだった。男が由起子さんに話した真実とは。そして願い出た協力とは?
【バーでは最初、Y子は少し緊張している様子でした。それはそうです、酒が残っていたとしても陰気な店に男と二人、おまけに彼女は現役の教師ですから。
その彼女とカウンターの端に並んで座り、私はまず、学生時代の清美さんと恋人どうしだった事を告白しました。そして淫靡さを漂よわせながら、清美さんとの過去を語ったのですーー。
遠い日の私達二人の関係は、人様には決して話せないアブノーマルなものだったと。しかしそれは、二人の仲に深い絆をもたらしたと。
短い時間ではあったが、二人は異質な世界に浸り、同類でしか味わえない数々の体験をしたのだと。
結局私達は周りからの圧力もあり、別れる事になったが、互いの中にはあの頃の記憶がちゃんと残っているのだと。そして何より、身体が覚えているのだと。
Y子は私が『身体が覚えている』と云ったところで、ギクリとした反応をみせましたよ。それまでの淫猥さを連想させる言葉も刺激になっていたでしょうが『身体が…』と聞いて、彼女は私と清美さんの関係が、想像以上にアブノーマルである事に気づいたのでしょう。彼女の私を見る目が、それまで以上に信じられないものを見る目に変わっていましたからね。
しかし彼女が見たものは、私の瞳に写った自分自身の姿なのです。彼女もその事に気づいていたのです。
それを見抜いた私は、今度は彼女自身のプライベートに関する質問をしてやる事にしました。
私はまず『Y子さん、コレを飲んで気持ちを落ち着けて下さい。ここからは貴女の内面に迫る話になりますから』と、酒を勧めました。
彼女は一瞬躊躇った表情を見せましたが、目の前の男から自分と似た匂いがする事に気づいていたのでしょうね。それと3次会で、自ら清美さんに話した誘いの言葉も思い出したのでしょう。それは『アレよアレ、旦那とはやってるの?』『アタシ達、大きな声では言えないけど、刺激のある遊びをしてるだ』先ほども書いたY子の囁きです。
そして彼女は、恐いもの見たさか、グラスの残りを一息で呑み干したのです。
呑み終えた彼女はグラスを置くと、挑発的な目を向けて来ましてね。しかし私には、それが強がりだと分かっていました。
私はそんな彼女の手に自分の手を重ね、そして確かめるように云いました。『貴女は…いや、貴女達夫婦はスワッピングや乱交パーティーを愉しんでいますね』とね。
Y子は私の言葉に、目を見開きました。その瞳は驚愕の色に変わっていましたよ。】
予期せぬ展開に、私も驚いた。スワッピングに乱交など、エロビデオの世界ではないか。まして由紀子さんは、現役の教師ではないか。
それにしたって、この男の嗅覚はどうなっているのだ。これほどまでにも、同類を嗅ぎ分けれるものなのか…とすると、やはり清美は…。
【Y子の目は縋る眼差しに変わり、そんな彼女を慰めるように私は云いました。『教師ってのは本当に大変だよね、よく分かるよ。特に昨今はモンスターペアレンツがいれば、教師内での虐めがある。そんな中で世間の目は厳しくなるばかりだし、ストレスは溜まる一方だ。心から同情するよ。』とね。】
男の言葉に、私まで知らずに頷いていた。確かに現代の教師の境遇には同情するところはある。
【私はY子の様子を探るように見続けました。彼女の心の中は、私の同情に対する有り難みもあったでしょう。でもそれ以上に、指摘された事実に戸惑いを感じていたと思います。
私はY子にニコリと笑いかけ、もう一度彼女の手に私の手を重ねました。そして諭してやりました。『気にする事はない。これまでと同じで良い。それより貴女達が感じた性の愉悦を他の人とも分かち合えるように、これからも振る舞うんだ。清美が貴女に声を掛けられたのは運命なんだよ。だからね…』とね。】
手紙はそこで唐突に終わっていた。何だこの終わり方は?
封筒の中を見直したが、続きが書かれた便箋用紙はどこにも見当たらない。
同封するのを忘れたのか?いや、この男に限ってそれはない。
と言う事は、男は敢えて私に謎掛けをしたのだ。
手紙の最初の方には、私との距離が近づいてる書かれていた。確かにその通りだ。何かがヒタヒタと近づいてくる気配を感じる…。
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4回目となった手紙を読み終えた私は、家路へと歩いていた。
店を出る時から頭の中を占めていたのは、今夜妻と何を話せばよいのかと言う想いだった。
ヒタヒタと夜道を進みながら、妻と女子会の事を考える。
彼女は私が申し出た女子会の写真を、見せてくれている。スマホを目の前で開けて、画像を1枚ずつスライドしてくれたのだ。
そこで私が見たのは、全てが妻と他の女子との写真だった。そう、名前の通り女子だけの会だと私は思っていた。
しかし先ほどの手紙から推測すると、元彼自身は女子会への潜入に成功しているに違いない。
ならば妻は、この元彼と写真を撮った可能性もあるのではないか。そしてソレは私には見せれないと、咄嗟に削除したか別のフォルダに移したのではないだろうか。
ああ、でも今夜妻の顔を見てもその事は訊けない。何故だか、聞いてしまうと大変な事が起こりそうな気がしているのだ。
いやいや、俺は何をビビっているのだ。何気なく、さり気なく訊いてみろよ…そんな声も何処からか聞こえて来る。あぁ今夜の俺は酔っているのか。いや、もう少し確実に酔っていれば、酒の力で妻を問い詰められるのに。
結局、そんな自己問答を続けているうちに、自宅マンションに到着した。
今夜もエントランスに立った所から、インタフォンは鳴らさずに我が家のドアを開けるところまで来た。
そっと玄関から奥を覗くと、電気は足元のフットライトが点いてるだけだった。妻は既に寝てるようだ。
自分の部屋に入り、部屋着に着替えながらシャワーを浴びる準備をした。このところ湯船にユックリ浸かった記憶がない。
浴室を出て、ドライヤーで髪を乾かし終えた時だった。
洗面室を出た私の目の前に、妻が立っていた。
唐突に現れた彼女に、私は肝が冷えて驚きの声を上げてしまった。
「ど、どうしたの!」
「…お帰りなさい」
「ああ…ただいま」
「………」
「起こしちゃった?」
「いえ、眠りが浅くて…」
「そうか…俺ももう寝ようと思ってるんだけど」
「…そうね、そうですよね」
そう呟くと妻は、ふわりと背中を向けて自分の部屋の方へと歩いて行ってしまった。
会話は数秒だったはずだが、私にはとても長い時間に感じられた。妻の瞳が暗く深く、ブラックホールに飲み込まれるような感じを受けていた。
一旦リビンクに行ってソファーに腰を降ろすと、今しがたの妻の様子が気になりだした。
もしかして彼女は、最近の私の遅い帰宅に勘が働いたのかもしれない。
それかだ。元彼から連絡があって、手紙を私が読んでる事実を聞かされているのではないのか。同様に手紙の内容も知らされていたら、彼女だって冷静でいられる筈がないだろう。過去とはいえ、あの様な経験をしていたのなら…。
火曜水曜と、私はなるべく早く仕事を切り上げ真っ直ぐ家に帰った。
妻は久し振りの早い帰宅に少しビックリした感じだったが、だからといって私達の日常に特別な変化はなかった。
しかし。
水曜の夜に私は「あのさ、雰囲気の良い店を見つけたんだ。明日の夜にでも行ってみない」妻を例の居酒屋に誘ってみたのだった。
「最近はほら、テレワークなんてのもあるじゃない。だから俺もね、帰りに一杯やりながら雑務が出来る居酒屋を見つけてね。雰囲気も結構良いんだよ、肴も美味しいし」
我ながら芝居じみた誘いと思ったが、妻の方は意外とあっさり了解の返事をくれた。
私の中には勿論の事、狙いがあった。酒の力を借りて、女子会の事や元彼の存在を探ってみようと思っているのだ。それに彼女も酔っ払えば、弾みで何かを話すかもしれない。
当日木曜の夜。職場から例の居酒屋に向かう時は、変な緊張を覚えていた。
先日は妻から外食を誘われたり、私が買い物に声を掛けたりしたが、昼と夜では雰囲気が違う。そう、温度が違うのだ。
妻の方は設計事務所の仕事場から直接行くと言うので、先に着くのは彼女の方かもしれない。そんな事を考えながら電車に揺られていると、あっという間に駅に到着した。
店には思った通り、妻の方が先に着いていた。
「遅くなってごめん」私は妻のいる個室に入るなり、軽く頭を下げる。
「私もさっき来たところですよ」
私は妻の声に頷きながら腰を降ろす。
店員が直ぐに注文を取りに来て、私達は中ジョッキのビールを二つに、摘みを適当に頼んだ。
その店員は顔見知りになった若い男の子だったが、私が初めて女性連れだったからか、いつもより愛想が良い気がした。
掘りごたつで足を伸ばすと、妻の足にぶつかってしまった。何故か緊張が生まれてしまう。
俯き気味にメニューを見てる彼女の顔を覗き見る。
ショートボブの髪型は何年も前からだが、この数カ月はこれまで感じた事のない色艶を、身体全体から滲み出してるように観える。やはり、内面に何かしらの変化があったと考えてしまう。
ビールが到着すると、改まって乾杯した。
「こうやって呑むのって久し振りだよな」一口目を美味しそうに飲んだ妻に訊いてみる。
「ええ、ほんと。でも貴方はしょっちゅう飲んでますよね」
「いや、それも仕事の内だし、女性と一緒ってのは殆どないよ」と言って、私は苦笑いを浮かべた。
摘みが来ると、暫く黙ってそれを口に運んだ。やはりまだ、二人の間には緊張がある。
妻のジョッキを見れば、まだ3分の1程度しか減っていない。ビール好きの彼女だが、私の前で遠慮しているのかもしれない。私は早く彼女を酔わせたくて、自分のペースを上げる事にした。
それから1時間ほど、私も妻もそれなりの量のアルコールを摂取した。会話は、最初は妻の職場環境の話を訊いた。ハラスメント等がないかどうかだ。そして一人暮らしの娘の事。
妻は2度ばかり娘の所に行ってるが、その後の様子はどうなのか、連絡はあるのかと訊ねたりした。妻によると、最近の娘の調子は良いとの事だった。
私は何杯目かのビールのお代わりを注文した。勿論、妻の分もだ。
ビールが届き、店員が出て行ったところで、「えへん」と咳払いをした。
「ところでさぁ、アレはもうやんないのお」
「へ、アレって何ですか」妻の口調に酔いが窺える。
「ほら~ぁ女子会。同窓会の後、2回くらいやったろぉ」私も少し砕けた感じを装って訊いた。
「ああ、3回目はやんないのかって事ね」彼女が箸を止めて、少し考え込む。
「そうですねぇ、どうなのかな…」
「あれって幹事は誰がやってたの。確か…由起子さんって人だっけ?」
私の質問に、妻は素直に答えてくれた。私はそれを切っ掛けに、他の参加メンバーの事も訊く事にした。妻にすれば、以前にも話した内容だったが、同じように答えてくれたのだ。返事の合間、彼女の呑むペースが上がっている。
「それでさ、女子会とか言いながら男子も来てたんじゃないのぉ」私は更に砕けた口調を装い、妻を窺った。
「………」
見ればジョッキを置いて、妻が俯いている。どうしたのだ。
ふぅーー彼女が溜め息を吐き出した。
「参加したいって人はいましたよ、一人二人は…。でも珠美なんかは最初はやっぱりって…」
「男子は断ろうと?」
「そうですね…」
「ふ~ん」私は相づちを打ちながら、珠美さんの事を思い出そうとした。「珠美さんってあれだっけ、確かバツイチ?」
「そう、彼女はバツイチなんですよね。良い人がいるのかどうかは知らないけど」
「じゃあ、同窓会で昔の彼に会ったりしたら…」云いながら私は、自分の唇が震えるのが分かった。これは確信に迫る切っ掛けになる質問かもしれないのだ。
「珠美のですか…彼女は同じ高校には…あ、彼氏は違う高校だったかも」
私は静かに頷いた。次は妻自身の事を訊くのだ。
「あの、清美はさ、そのぉなんだ、高校の時は…」
私の心臓がドキドキと音を立て始める。
「私の高校時代?」一瞬、妻の瞳がキリリと光った、気がした。
「高校時代は人並みに…」こちらに向く眼差しが、揺れてる感じがする。「…恋愛はありましたよ」
云い終えた妻が少し俯く。私の目に、彼女の睫毛が震えて観える。言い辛い事を訊いてしまったか。それとも誰かに口止めされている?それこそ元彼の男に?。
しかし、次にスッと顔を上げた彼女の瞳の中には、鈍い光が混じって観えた。
「…好きな人はいましたし、それなりに良い思い出も、悪い思い出もありますわ」
言い切った彼女の雰囲気は、それが何か?と、こちらを問い詰めてる感じだ。
彼女の中に、女の強(したた)かさを感じたつもりはなかったが、私はこれ以上この話題に触れるのは止めようと思った。が、彼女の方が続けてきた。
「格好良い男子も結構いましたよ。教師の中にも面白い癖のある人もいましたし、個性のある学校でしたわ」
「そ、そうか、俺って清美の高校時代の話はあまり聞いた事なかったからね、ハハハ」
私は苦笑いを浮かべながら、頃合いを見計らった。そろそろ御暇しても良い時間と思ったのだった。
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私は、妻と元彼が同窓会の2次会の席で、同じテーブルに着いた場面を想像しながら、手紙を読み進めた。
【『清美』とあの頃のように名前を呼び捨てにされ、おまけに『変態マゾ』の言葉を聞かされ、彼女に変化が現われるか私は期待をしました。
清美さんを見続けますと、その瞳がますます潤んで行くのが分かりまして、その瞬間『ふんっ!』と、心の中で鼻を鳴らしましたよ。
彼女の方は、俯いてしまいましてね、私はそんな彼女の手を、テーブルの下でそっと握りました。その瞬間は、私の中にも電気が走り抜けました。肌に触れたのは何十年かぶりの事でしたからね。
そして私は、清美の親指と人差し指の間、合谷(ごうごく)と呼ばれる窪みの部分を擦ってやったのです。そう、指の腹で乳首やクリトリスを弄るイメージを彼女に思い浮かべさせようとしたのです。
清美は、私の指を払い除けようとはしませんでしたよ。それどころか口を微かに開き、小さな溜め息を零し始めました。
次に清美の指を軽く丸め、私の人差し指を彼女の指と指の間に刺し入れてやったのです。彼女の指の隙間は微かに汗を掻いてまして、私はそれを潤滑の油に、抜き差しを始めてやったのです。
直ぐに彼女は眉根を寄せましてね、鼻から嘆きの息を吐きました。
私は彼女の耳元に唇を近づけ、云ってやりましたよ『どこが気持ちいいんだ?』ってね。
清美は上目遣いに、そして後ろめたそうな視線をこちらに向けましたね。それでも私は、再度強めの声で云いました。『ほら、昔を思い出して口に出してみろ』『口に出す事で得られる快楽があるんだよな』とね。
清美は逡巡していましたが、やがて唇を震わせながら『…オ、オマン…』と、言い掛けたのですが、残念な事に我々の席に人が戻って来てしまったのです。
その女性が戻って来た瞬間には、私はテーブルの下で握っていた清美の手をパッと離していました。
清美の横顔を見れば、明らかに緊張の色を滲ませています。席に戻って来た女性も、おかしな雰囲気を感じたかもしれません。
因みにこの女性は、先ほど書いたY子さんです。
清美は直ぐに、Y子さんと入れ替わるように席を立って、逃げるように化粧室の方へと行ってしまったのです。】
私はふうっと息を吐いて、今の場面を想像した。何かの映画のワンシーンのような気もする。
【席を立った清美の後ろ姿を追い掛けながら、私は彼女がトイレでショーツを降ろし、ソコが濡れてる事に気づく場面を想像しましたよ。
Y子は私の様子に気になる事でもあったのか、顔を乗り出し訊いてきましたね。酔った口調で『清美は相変わらず綺麗ですよねぇ。久し振りに逢ってどうですか~?』こんな感じでした。
Y子は当時から才女と呼ばれ、美人でもありましたが、雰囲気は当時と同じで少しお高くとまった感じです。しかしこのY子が、3次会でとんでもない事を言い出すのです。それはまぁ、後のお楽しみにしておいて下さい。】
又も男の薄ら笑いが、耳元で聴こえた気がした。
そしてY子…おそらく由起子さん。この人の事は、妻も口にしていた。今は夫婦揃って、教職に身を置いている人だ。
その由起子さんが云ったとんでもない事、それも気になってしまう。妻に関係がある事なのだろうか。
【私とY子の二人だけになった席でしたが、少しするとN子さんにTさん達が戻って来てしまいました。
思わぬ形で4人掛けの席が埋まってしまったわけです。が、私はそれなりに振る舞いました。昔話に花を咲かせる素振りをしながら、さり気なく清美の情報を引き出そうとしたのです。
そこで分かった事と言えば、清美はTさんとは今もたまに連絡を取り合っている。そのTさんが言うには、清美は今の旦那さんとの夫婦仲は上手くいってて、一人娘は地方の大学に進学して二人暮らしになった、などが分かりました。
Y子さんとN子さんは、清美とは音信不通だったが、1次会の場で再会して想像以上に盛り上がってるとの事でしたね。】
私は無意識に頷いている。
Tさん…確か珠美さん達友人の事は、以前にも聞いた妻の話と符号が合う気がしたのだ。
【彼女達との会話を続けてますと、清美が向こうに歩いて行くのが見えましてね。私は追いかけ、問い詰め、嬲り、虐めてやりたかったのですが、そう言うわけにもいきません。暫くその席に座ってTさん達と時間を過ごしたのです。
2次会は結局、それから暫くしてお開きとなりました。
清美と話す機会を逃したくない私は、さり気なく影のように彼女に近づき、二人だけの3次会を提案しました。しかし運の悪い事に、私の会話を聞いた何人かが話に入ってきてしまって、結局7人のグループが出来て、そのメンバーで近くのカラオケボックスに行く事になってしまったのです。
メンツは清美達同じ席にいた4人に、私と他に男が二人です。
清美を除く女性3人は結構酔っ払ってましたね。清美もかなりビールを飲んでた様子でしたが、かなり行ける口なのでしょうね。】
私は又も無意識に頷いていた。
妻は以前からビール党でそれなりに強く、だからこそ酒で過ちを犯す事はないと思っている。
【店では、直ぐに一人がマイクを持って唄い始めました。
普段からあまり歌う事のない私は、カラオケは苦手でしたが、その時はその歌声が良い塩梅に私達の会話を担保してくれました。そうです、私は清美と隣どうしで座る事が出来たのです。
清美の視線はマイクを握る人達に向いてましたが、私の耳元の声をシッカリ認識していたと思います。
昔から女の聴覚は性感帯の一部と言われています。彼女もおそらく、私の声に高鳴りを覚えていた事と思います。勿論、過去の淫靡な出来事を思い出していた筈です。
では、その時清美の耳元で囁いた私の言葉をご主人にも知って貰いましょう。
『あの頃の貴女には、未知の領域を初めての旅人の如く、好奇と興味の塊となって、手探りしていく初々しい淫らさがあったよ』
『貴女は晒し者にされる羞恥の中で、倒錯した快感を覚える事もあったね』
『あの時は後ろめたい快感がたまらなかったんだろ』
『これからだって、回数を重ねれば熱感は高まり、それが紛れもない女の悦(よろこ)びだと思い出す時が来るよ。そう、これからだってね』
彼女は視線をマイクに向けながらも、時おり顎を引いて、濃い眉を伏せてました。恐らくその仕草は、私の言葉の中に急所を突かれる、言わばキーワードみたいな物を感じたからでしょうね。
清美にとってノスタルジックとは、胸騒ぎを感じる放課後に、生硬な少女から『女』へ変身を遂げたあの季節の事なのです。】
手紙から漂よった詩的な言葉の羅列に、私は正直打ちのめされていた。
この手紙の主は変質者で間違いないと思うのだが、それ以上に妻を…清美を虜にする不思議な力を持ってる気がするのだ。
私は異様な喉の渇きを感じて、ビールのお代わりを注文する事にした。
【さて、私が仕掛けた言葉達に、清美がどのような反応を示すか楽しみに待っておりました。
しかしそれほど広くない部屋です。私達の間に、友人達が声を掛けてくるのです。
内心辟易してましたが、その中に私の…いや清美の性癖にも刺激になるものがあったのです。私はそう感じたのです。
少し前にも書きましたが、意外にもY子が凄い切っ掛けを作る事になったのです。
マイクを置いたY子が清美の向こう隣に座り、私達の様子を窺いながら、そしてY子は清美の耳元で囁いたのです。いや、Y子は囁いたつもりだったかもしれませんが、声が大きく私の耳にも届いてしまったのです。
Y子は酔った口調で云いました。『清タンのところはどうなのお、アレよアレ。旦那さんとはやってるのお?』『アタシ達ねぇ、あまり大きな声では言えないんだけど、ウフフ…刺激のある遊びをしてるんだぁ』
その瞬間、Y子の言葉に私の中で何かが弾けました。Y子が教師をしてるのは1次会で聞いてましたが、聖職者である彼女から私とよく似た同類とも言える匂いを嗅ぎ取ったのです。】
手紙の中の男の様子がこちらにまで伝わった気がして、私の背中がゾクゾクと震えてきた。
しかしこの展開は何かの伏線なのか。この話は何処に行くのだ。
【その時の清美さんは、いつの間にか歌う連中から目を離して、俯きながらもY子の口元をチラチラ探る感じでしたね。やはり清美は、聴覚でエクスタシーを感じようとしていたのでしょう。
Y子は清美の反応など気にせず話を続けました。
『夫婦仲を改善するとかね、浮気防止にはある事をするのが一番なのよねぇぇ…気にならない、ねぇ清タン』
私は二人の会話が聞こえないフリをしていました。今度は私が耳を性感帯に、Y子の言葉を盗み聞きしていたのです。
しかしそこに何と、今度はN子が席を移って来たのです。
N子はY子の向こう隣に座って、Y子に向かって訊いたのです。『Y子さん達、何だか楽しそうな話してない?たぶんアッチ方面の話なんでしょ?』
N子の口調も酒のせいで、かなり砕けた感じになっていましてね、そして続けるのです。『アタシはY子さんのお陰で、うふふ…ほら、最近は楽しめてるしネ。あれ~ひょっとして清タンも?』
N子の目がギラギラしてましたね。私がいる事など全く気にしてない様子なのです。
それからY子がN子をたしなめると、少し大人しく小声で話すようになったのです。おかげで私の席とは少し距離があるので、彼女の声は途切れ途切れにしか聞こえなくなったのです。
それでも漏れ聞こえたのは『また早く…』『もっと大勢の前で…』全てN子の囁きです。
清美さんの横顔を窺えば、完全に俯いていましたね。私の存在も忘れてるようでした。】
予期せぬ事に妻の友達までが登場してきて、話の先が想像できなかった。それでも淫靡は気配は感じ取れるのだ。
それよりもだ。妻は友人達の会話をどう解釈したのだろうか、そちらが気になってしまう。
【Y子とN子の会話が一段落した時でした。
私は何気ない素振りを装い、誰となく云いました。
『ところで皆んなは、これからも集まったりするのかな』
私の言葉にY子N子清美さんの3人が顔を見合わせました。そして確かY子が、女子会を提案したのです。】
その瞬間、私はあっと声を上げた。
妻が参加した2回の女子会、それの切っ掛けが出来たのは、この男の一言だったのだ。
【この時の私の中では、清美さんの現在の心境、勿論彼女が持ってる性癖が今も蠢いているのか、それが気になっていたのです。そしてそれを確かめる切っ掛けに、その女子会を利用出来ないかと、思惑を浮かべていたのです。
なので私は、彼女達にさり気なく云いました。
『その女子会に、ゲストとして呼んで貰えると嬉しいな』こんな感じでした。】
唸り声を上げて、私はその一文を読み直した。
この元彼の男が、女子会に参加しただと!
いや、まだこの時点では参加が決まったかどうか分からない。しかしおそらく、男は参加に成功したのだ。
となると、妻は私に嘘をついた事になる。
私は記憶を探った。
妻は参加人数を4人と云って、参加者の名前も上げたはず。
そして、その時撮ったという写真も見せてくれた…。
手紙を持ったままの私は、胸騒ぎを感じている。一体これはどういう事だ。
【ではご主人、今回はここまでにさせて頂きます。
この手紙で時系列がだいぶ追いつきました。物語はまだ続きます。
次の手紙は週末にはお届け出来ればと思っています。 では】
読み終えた手紙をそのままに、私は暫く呆然と固まっていた。
今夜、妻と顔を合わせれば何を喋ればいいのだ。
その事が気になってしょうがない…。
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月曜の夜も、私は馴染みとなった居酒屋にいた。
今日の昼間に、妻の元彼が言ってた通り茶封筒が届いたのだ。
お決まりの生ビールをジョッキで、それと軽い摘みを頼むと、私は直ぐに鞄から手紙を取り出した。
それにしても元彼と名乗るこの男は、普段はどんな生活をしているのだろうか。手紙の雰囲気はアングラなエロ小説の感じがするので、男の私生活も病的なものを想像してしまう。
とは言え、男は最初の頃の手紙で自分は役所で硬い仕事をしていると。そして合間に執筆活動をしていると告っているのだ。
男が妻帯者か、子供がいるかは分からないが、この様な手紙を出す以上は、精神の一部が欠損している人間を思い浮かべてしまう。
手紙を持ったまま考え込んでいた私は、店員の声で我に返った。
この夜もビールを半分ほど一気に呑み干してから手紙に目をやった。
【ご主人、こんにちは。
今回の手紙にも、清美さんとの変態セックスの日々を綴ろうと思っていたのですが、今回は少し趣向を変えようと思います。】
いきなり切り出された文面に、私はおやっと少し戸惑った。心の何処かで妻の…ノンフィクションかどうかは置いといてだが…痴態に気持ちの準備をしていたからだ。
【実は私が、清美さんと再会した同窓会の時の話しです。】
『同窓会』の文字に、私は遂に来たかと身構えた。そこにこそ最近の妻の様子に、疑念を抱く原因があると感じていたのだ。
私は同窓会があってから1ヶ月ほどの妻の様子を、改めて記憶の奥から呼び起こそうと試みた。同窓会の詳しい様子までは聞いてないが、彼女の口からは『懐かしかった』『楽しかった』『おもしろかった』といった言葉を聞いている。
それとだ。妻はそれ以外にも…そうだ『同窓会は女の階段が残酷なほどに表れる場所…』確かそんな言葉を口にしていた。いつかの夕飯の席での事ではなかったか。
今になって思うと、『女の階段が残酷』などと、妻が詩的な表現をしたのが信じられない気がする。
詩的…ひょっとしてその言葉を口にしたのは、この男ではないのか。私に不穏な高鳴りがやって来た。
【私は1次会で、清美さんと何十年かぶりに再会しました。会場は立食で、バーカウンターの方に清美さんが向かうのを見て、私が後ろから声を掛けたのです。
振り向いた清美さんを間近に見た瞬間には、雷に撃たれたように硬直してしまいましたよ。彼女の方も、直ぐに私が誰なのか気づいた様子でした。
清美さんは私の理想通りの歳の取り方をされていましたね。身体全体がふっくらした感じはありましたが、歳相応の魅力を醸し出していましたよ。その事を彼女に云うと、頬を赤らめ視線を外しました。そして俯きながら『恥ずかしい…やっぱり恥ずかしいですわ、同窓会って残酷な一面もありますから』と云いましたね。
私は直ぐさま『確かに女性にとっては、女の階段が残酷に現われる場所かもしれないね。でも貴女はとても素敵だ。うん、間違いなく良い歳の取り方をされてる。おそらく素敵な家族に囲まれているんでしょうね』と、そんな事を言いつつ、現在の彼女の家庭環境や仕事の事などを探りました。
アルコールのせいか、会の雰囲気のせいか、彼女はご主人と娘さんがいる事を話してくれましたね。貴方のお勤め先の名前を聞いた時は、嫉妬も覚えました。今の私と比べれば月とスッポンですからね。まあ、それはいいとして話しを続ける清美さんを見てると、私の中にモヤモヤとした感情が湧いてきました。あの頃の二人の秘密を思い出したのです。いや、それは同窓会の案内が届いた時から感じていたものなのですがね。
そして私は、彼女に意味深な謎かけをしました。謎かけの内容は想像にお任せしますが、大したものではありません。『あの頃…あの薄暗い店…いかがわしい場所…外…痛かった?でも…』この程度の言葉を囁いただけです。それでも私は、手応えのようなものを感じたつもりでした。私は彼女の反応を見たかったのですが、立ったままの会話でしたし、周りに他の人達もいましたし思惑通りには行きませんでした。そして彼女は友人に呼ばれ、私に軽い会釈をすると去って行ったのです。
彼女の背中を見送ってますと、私の中にあの頃の薄汚なさが蛆(ウジ)のように湧いて来ましてね。それでも結局、1次会の場では清美さんと話す機会はやって来なかったのです。それからの私は、彼女に近づく機会を窺い続けました。機会が来たのは、2次会の時でした。
2次会にもそれなりの人の数が集まってました。
会場は幹事の一人がやってる店で、洋風レストランの貸し切りでした。
私は清美さんと同じテーブルに着こうと狙ってましたが、運の悪い事に叶いませんでした。それでも彼女が座った4人掛けのテーブル席の背中側に、何とか席を確保出来たのです。
清美さんの席のメンバーは今でもよく覚えています。見た目は当然ながら昔と代わってる人もいれば、面影を残している人もいます。
本名はここには出せませんので、アルファベットで『Tさん』『Y子さん』『N子』さんの3人に、清美さんを入れた4人です。
少し意外だったのが、Y子さんとN子さんです。彼女達と清美さんが特別仲が良かった記憶が、私にはなかったのです。とは言っても、皆んなそれなりのキャリアを歩んだ歳だし、1次会で話が弾んだ可能性もありますから、それほど気にはしませんでした。】
手紙を読みながら、私は無意識に頷いていた。ここに書かれたイニシャルが、私の記憶と一致していたのだ。
Tさんとは、妻が一番仲が良かったという『安田珠美さん』で間違いないだろう。
Y子さんは、名字は思い出せないが、才女で美人で夫婦で教師になった『由起子さん』という人ではなかったか。
そしてN子さんは『大田徳子さん』明るくぽっちゃりタイプの人の筈だ。
【彼女達4人の話を、私は背中越しに聞き耳を立てて聴いておりましたよ。
それでも会話の内容は他愛のないもので、さすがの私も飽きてしまい、同じ席の人達の話に相槌を打つようになります。
チャンスが来たのは、何人かが席を移動し始めた時です。
彼女の隣の席が空くと、他の席の誰かがそこに座り。また空くとそこに違う誰かがやって来る。中には当然男子が座る事もありました。
私は中々タイミングが合わなかったのですが、やっと機会が来てくれました。しかも私が移ろうとすると、他の人がトイレにでも行ったか、私と清美さんの二人きりになれたのです。
テーブルの角を挟む形で、私達は見詰め合いました。と書けば、嘘っぽいと思われるでしょうが、私の方はシッカリ彼女を見詰めましたよ。そうです、むかし彼女に調教を施す時に向けた眼差しです。
僅か何十センチの距離で見詰め合いますと、彼女の瞳が揺れるのがよく分かりました。二人だけの世界です。
そのまま見続けてますと、その瞳が潤んで来るのが分かりましてね、私は小さな声で彼女にだけ聞こえるように『清美は変態マゾ』と囁いてやったのです。
彼女の胸の鼓動が、鳴り出したのが分かりましたよ。】
読んでる途中から、私の鼓動も鳴り出している。
【さて、ここで話は一旦過去に戻ります。
私と清美さんの別れです。】
『別かれ』の文字に、私の胸がキリリ疼き始めた。
【別れた理由は幾つかあるのですが、例の女店主。この人の中に何だかんだ言いながら、嫉妬心があったのです。私は清美さんの処女を頂いてから、調教の過程をその女店主に報告していたのですが、最初は興味津々、スケベ心満載で聞いてた女店主も、次第に清美さんを嫉妬の対象にしていたのです。ある時、私達の関係…私と女店主、私と清美さん、二つの関係を世間に教える言い出したのです。
私としたら清美さんを救う為だと言えば、格好の付けすぎですし信じて貰えないでしょうが、心の中には清美さんを想う気持ちを持っていたのです。
ある平日の昼休み、私は清美さんを学校の校舎の裏に呼び出しました。
制服のままの彼女は、いつもと違う緊張をしていたと思います。
その場所で私は、別れを切り出すわけですが、その時ちょっとした賭けをしました。】
賭け?…私の頭に疑問が浮かぶ。
【私はそれまで、決して人様に見せれない彼女の卑猥な写真や動画を、デジカメで撮ってきました。そしてソレを脅しの材料にして、清美さんを言いなりにしてきたわけです。
しかしその画像や動画を消したとしても、彼女は性奴隷として私に従い続けるだろう思っていたのです。
なので私は、デジカメの画面を見せながら『この通り』と、目の前で証拠を削除して見せたのです。
しかし、彼女は暫く眉間に皺を寄せてましたが、小さな声で『さようなら』と云ったのです。それは私が賭に負けた瞬間でした。もしも清美さんに服従を誓う様子があれば、私は例の女店主と争う気持ちもあったのですがね。
それで残った私はどうなったか…まぁそんな事はどうでもいいのですが、その後は惨めで陰湿な人生を送るのです。
結局、私と清美さんの関係が続いたのは半年くらいです。
ご主人は私の事を、妄想にかぶれた只の変質者と思っているかもしれませんね。それは否定しませんが、私が清美さんと過ごした半年の時間は本物です。そして事実です。証拠として幾つか上げて起きましょう。
清美さんの剛毛の件は、以前に話したと思いますが、それ以外に、彼女のアナルの右横に小さな小さなホクロが縦に二つ並んでいますよね。】
その文字を読んだ瞬間、雷に打たれたような衝撃を感じた。
アナルの横で縦に並ぶ小さな小さなホクロ。それは今、この手紙で読むまで忘れていた事だが、それは事実で間違いない。
【それともう一つ、清美さんの左胸の乳首】
その文字にも、私の記憶が躍動し始めた。
妻の左の乳首に、何が…。
【ほんの少しですが、右の乳首に比べると陥没気味ですよね】
アーーーッ、思わず叫びが上がってしまった。
【何度も彼女の身体を打ったり縛ったりしていたので、目に付いていたのです。
まぁこの二つだけでも、私達が関係を持ってた動かぬ証拠と言えるのではないですかね。
でも、写真などは残っていませんし、貴方を脅す気もありませんので安心して下さい。
では再度、2次会の話しに戻りたいと思います。】
私は便箋を次に捲ろうとして、一旦手を止めた。
手紙の内容を振り返れば、別かれのシーンを思い浮かべてしまう。
男は写真や動画を消しても、妻と主従の関係が続くと自信を持っていに違いない。しかし清美は、彼との関係を解消したのだ。そして賭けに敗れた男は、それから何十年も清美と会っていなかったのだ。
そんな男が妻と同窓会で逢って、それから…。そう、それからどうなったのだ。何故、このような手紙を送る事を思い付いたのか…。
私はその答えを知りたくて、手紙に目を向け直したのだった。
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追加で頼んだビールが届くまでの間、私は目を瞑り気持ちを落ち着かせようと試みた。
それでも頭に浮かぶのは、妻の放尿シーン。そしてその場面を無理やり打ち消そうとする私。
この手紙は事実と元彼の妄想が混在しているのだ。だからといって、事実を確かめる術はない。清美にだって訊ける筈がない。
その時、私はふと思い付いてスマホを取り出した。
妻にLINEを打つのだ。
『むかし、元彼の前で放尿…』と書いたところで慌てて削除した。俺は何を考えているんだ!
自分を落ち着かせて打ち直す。
『あと1時間ほどで帰れると思います。先に寝てて。』
スマホを閉じたタイミングで追加のビールがやって来た。
私は又もそれを半分ほど一気に呑み干し、それから手紙を手に取った。
【私は目を覚まさせるつもりで、便器にしゃがんだままのデカ尻を思い切り打ってやりました。清美はヒィーっと我に返りました。そしてそこから降りるように言いました。
清美はまだ朦朧としていたので、冷たいものを用意してやりました。その時は酒じゃなくて、コーラか何かだったと思います。
そう言えば書いていて思い出しましたが、同窓会では清美さんはビールを美味しそうに呑まれていましたね。】
男の言葉に私は軽い衝撃を受けた。確かに妻はビール専門なのだ。そして女性としては、かなり行ける口なのだ。
それにしても、元彼はやはり実在して妻と同窓会で再会を果たしていたのか。
【水分を摂り終えて、暫く清美の様子を見ていました。彼女はずっと俯いたままでした。そのうち、私は変な気を起こしましてね。さて、それは何だと思いますか?】
私は唾を飲み込んだ。この元彼と名乗る男は、私の心を弄ぼうとしている。
【私はもう一度二人で浴室に行く事にしたのです。でも、そこで身体を洗いっこしたわけではありません。
今度は私が、彼女に放尿シーンを見せてやったのです。
と言っても、清美にももう一度させたのですがね。そうです、互いの身体に小便を掛け合ったのです。
どうですかご主人、私と清美の関係は。普通の変愛とは、ほど遠い歪な男女関係でしょ。
さて、今回はここまでにしておきましょうか。
得体のしれない物に突き動かされて、自ら望んで痴態を晒す女になった清美さん。次回もそんな彼女の姿をお楽しみに。
次の手紙は、頑張って月曜にはお届けしたいと思います。 では】
読み終えた私は、どっと疲れを感じた。意識して息を吐いて、頭の中を整理しようとするが中々うまくいかない。
手紙の主が本当に妻の元彼かどうかは分からないが、同じ高校に在籍した誰かであるのは間違いないだろう。
そんな事を考えながら、私は店を出る事にした。ビールの残りを飲み干して立ち上がったのだった。
今夜も自宅に向かう私の足元は安定していた。このところ幾ら飲んでも酔えないのだ。
家に着けば、妻は既に寝ていた。
先日と同じように寝姿を覗いてみるが、変わったところはない。勿論、自慰行為をしていたとも思えない。
それでも今夜の私が頭に浮かべるのは、変態チックな妻の姿だ。
鏡の前で立ったまま、男に突かれて卑猥な隠語を吐き出す妻。
鎖と手錠で拘束されてムチ打ちされる妻。そして甘みが混じった嘆きの声を上げる妻。
陰部にディルドを咥え込み、四つ足で歩く妻。そしてその尻を打たれる妻。
黒マスクを被り、シャッター音に欲汁を垂れ流す妻。
そして放尿姿を披露する変態女。
ベッドでスヤスヤと寝息を立てるこの妻が過去の事とはいえ、あの手紙にあったような変態行為をしていたとはどうしても思えない。
しかし…。
私は意識して大きな息を吐き出した。
その時、ふと考えついた事があった。今の妻に、性欲というものがあるのだろうか。
女は死ぬまで女。女は涸れる事がない。そんな文字をどこかで読んだ気がする。しかしそれを、妻の清美に置き換えて考えた事など一度もない。
そう言えばアダルト業界では、今も熟女人気が凄いらしい。
世の中には心に欲求を溜めた人妻がたくさんいるのだ。そんな女性が、同窓会で元彼と再会したらどうなる…。
いや、手紙の主は元彼ではなくて、本当は妻に想いを寄せていた他の誰かではないのか。その男が同窓会で妻と逢って、妄想を手紙に書き綴っているだけではないのか。
でも、私にはそれを確かめる術がない。そう、術は全くないのだ。
ああ、次は月曜だ。月曜日には元彼と名乗る男から、4回目の手紙が来る。そう思った辺りで、私は睡魔を感じたのだった。
次の日、木曜の朝も私は、妻を盗み見していた。テキパキ動く日常の妻をみれば、過去の事とはいえ彼女がSMチックなセックスの虜になっていたとは到底思えない。それでも、私には想うところがある。妄想もある。
今の妻に疼きはあるのだろうか?あったとしたら、その処理はどうしているのだ。同窓会で再会した誰かに誘われたら、妻はどうする?
この日、家を出た途端に、新たな妄想が湧き立って来たのだった。私は職場に着くと、直近の予定を確認をした。私が嘘の出張を妻に告げれば、彼女は娘の所に行くと云って、男に逢いに出掛けるのではないか。
しかし出張などは、入りそうになかったのだ。
金曜の昼休みーー。
私は部下の後輩社員に声を掛けられ、飯を奢る事になった。確か先日、呑みの誘いを断っていたのだ。
近くの喫茶店に入り、食べ終えて飲み物を口にした時だった。
「山口、その後は悪さしてないよな」私の前の席で、吉田が唐突に隣に話し掛けた。
「何だよ急に、悪さってよ」山口が吉田を軽く睨みつける。
「お前、この間話してた女性と浮気、続いてるんだろ」
「又その話か。あれは浮気じゃなくて、恋愛だって」
「でも、相手は既婚者なんだろ。じゃあ浮気じゃないかよ」
「だから、何回も云ってるけど結婚してるって知らなかったんだよ」
「聞いて下さいよ、山口のやつ」吉田が山口の言葉を聞き流して、私に目を向ける。「こいつバーで知りあった女性が既婚者なのを知ってて誘ったですよ」
「こら、話を作るな。前も言ったけど、その人は指輪してなかったんだぜ。それにお互い酔ってたし、細かい事まで気にしてらんなかったんだよ。それに俺は独身だぜ」
「アホ、そんな言い訳は大人の世界じゃ通用しないんだよ」
「あのなぁ、それに相手の旦那にバレて問題になったわけでもないって、この間も言ったろ」
言い終えた山口が、視線で私に助けを求めてきた。
「別にそのなんだ、関係を持ったと言っても一度きりで、続いてないんだろ」私は飲みかけのコップを置いて、山口を窺う。
「いや、コイツはその後も、その人が人妻と知ってて誘ってるんですよ」吉田が横から口を出してきた。
「だ、か、ら、誘ってないって言うの!暫く会ってたけど、人妻と知ってからは会ってないっつうの」
私は口を閉じて、山口に向かって頷いてみせた。
山口がフーっと溜め息をつく。「それにしても、寂しがり屋の人妻って結構いるんだよな」
「お前がその人が結婚してるって気づいたのは、指輪は関係ないんだよな」と、吉田。
「ああ、俺と逢う時はいつも外してたみたいだ」
「それである時、カミングアウトしたんだっけ」
「そうだよ、実はアタシって、な」
「当然お前はビックリしたんだろ」
「また同じ話をさせる気か」山口が又も吉田を軽く睨む。
「何回聞いても面白いし、それに」と、吉田が私を窺った。どうやら上司の私に、最初から話を聞かせたいようだ。
「ううん」私は咳払いをして、山口に頷き掛けた。
山口が苦笑いを浮かべて、少し前屈みになった。「あのですね。その時俺、いや私、シティホテルのバーで一人で呑んでまして…」
彼は私に言い訳でもするかのように、その女性との出会いのところから詳しく話し始めたーー。
山口がたまたまバーで知りあった女性と意気投合して、酔った勢いでホテルに誘ってしまったらしい。そして彼は女性が指輪をしてないのを良い事に、関係を結んでしまったのだった。
行為の後には連絡先の交換までしたのだが、その連絡先が本物かどうかは、半信半疑だったとの事。けれど連絡をとってみて繋がった時には、舞い上がったそうだ。
それから暫く関係が続くわけだが、その人が既婚者と知ったのは、先ほど聞いた通り相手の告白によるところらしい。
既婚者だと知って山口は驚いたが、浮気の理由にはそれなりに納得したのだった。何でもご主人とは5年近くセックスが没交渉で、表面は良き妻を演じていたのが我慢の限界が来たとの事。そのタイミングであったのが、なんと同窓会。そしてそこで、再会した同級生と間違いを起こしてしまったと。
その時の同窓生とは一度きりだったが、女性はなぜその同級生と関係を持ったか自分でも分からなかったと告う。その男性はお世辞にも、好みではないし、うだつの上がらない魅力のない男に観えていたのにと。
だけども性的に満足した彼女は、自分が女である事を思い出し、疼く気持ちを抑える事が出来ずに頻繁にバーに出入りするようになったのだった。
「なるほど、そこで山口と出会ってしまったわけか」と、私は苦笑いを彼に向けた。
私の言葉に頭を掻く彼を見ながらも、私の胸の中では不穏な気持ちが湧いていた。まさか山口の相手の人妻が、清美の筈はないが、このタイミングでこの様な出来事が部下にあった事に、何かしらの暗示めいたものを感じていたのだ。
喫茶店を出て、3人で職場に向かう私の頭の中には、ある言葉がこびり付いていた。『主人とは5年近く没交渉』
女とはその位で、欲求に歯止めが効かなくなるものなのか。うちは何年だ。間違いなく5年以上だ。
私は改めて妻の事が気になりだした。妻に欲求不満があるなら、いずれ元彼以外の他の誰かとでも間違いを犯すのではないか…。
それでも…結局、木曜から日曜には妻に大きな動きはなかったし、私が彼女をベッドに誘う事もなかった。
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そして、月曜日がやって来たのだった。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
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これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
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チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
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そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
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それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
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「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
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「は、はい。勿論です!」
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「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
「ううッ、せ、先生、み、見て…見て、下さいッ!」
「どこをだね」
「あぁ、お尻…この太々しいお尻、ですわ…」
「ふふっ、覚えてるぞ。あの頃も今も、尻(ケツ)は豊満だな」
「は、恥ずかしい…」
「ふん、じゃあその奥は」
「うううッ、オマン、オマンコを…」
「ふふっ、そうだ」男が薄く嗤う。「さあ拡げろ。しっかり拝ませて貰うぞ」
「あぁ…っ」
「そのまま手を付いて四つん這いだ」
あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
「よし、そのまま顔を上げて尻(ケツ)を突き上げろ」
男の指示通りに背筋は反り返り、その向こうに丸い膨らみが見えた。更にその後ろには、ベネチアンマスクを着けたままの男の顔。
今、男の視線が清美の恥部に撃ち込まれているのだ。
「ふふふ、良い眺めだ。尻(ケツ)の丸味も、腰の肉付きも年相応の色気に満ちているぞ。それにお前のマンコは、年季が入ってドドメ色になっているな」
「酷い、ドドメ色なんて!」四つ足のまま、清美が首を捻って男を見返す。
「そんなに怒るな。それにしても良い眺めだ」
男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
「さてと」男が一呼吸置いた。「お前に訊いておきたい事があった。その格好のまま答えてもらおうか、その格好でだぞ」
改まった男の声かけに、私も緊張を思い出す。清美は服従の格好(かたち)で、男を待っている。その表情は今にも泣き出しそうな気配だが、この状況さえもマゾと呼ばれた女には堪らないシチュエーションなのか…。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
「ここはカメラもない二人だけの世界。さあ、遠慮せずに質問に答えるんだ」
「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
「………」
「清美、どうなんだ?」
「は、はい…」と、朱い唇から小さな声が零れ落ちた。
「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
「正直でよろしい。そしてお前のアソコも正直だろ」
あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
「それとT子さん。何と初参加の彼女も、勇気を出して乱交ショーに参加です。さあ、我はと思う方は、前の方にお集まり下さい。それと、N子さんはレズにも挑戦したいそうです。その気のある女性がいたら、遠慮せずに」
フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
「はい、ケツの穴を舐めろと、命令されました。身体がゾクゾクして、従いました」
「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
観察ごっこ、と言う言葉を使った時には、衝撃を受けた。妻の元彼からの手紙にもあった言葉だったからだ。
そして女の告白からは、変質者どうしの絆のようなものが生まれていた気がして、何と表現すればよいか、私は異様なザワメキを覚えていたのだった。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
パックリ開ききった穴には指が2本、ジュルジュル出し入れが繰り返されている。その卑猥な姿を見る私の頭には、先日の夜に目撃した妻のオナニーシーンが浮かんで来た。
「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
「いいですか。ここに奥様がいたとして、ご主人の存在に気付いたとしたら、案外、嫉妬心に駆られて愛情が深まるかも」
そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
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男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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fallーー。
無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
司会の言葉に、男連中が一斉にスマホを取り出した。
なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
娘に世話を焼く母親。
そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
夜ーー。
先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
「ああ、Y子さんのお知り合いでしたか。これは失礼しました」男が畏まって頷く。
「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
自分の部屋に戻った後は、暫く下半身を曝したままだった。ベッドに腰掛け股間のソレを弄ってみるが、大きくなる気配は全くない。長い間、セックスしなかった事が原因なのか。答えなど見つかる筈もなく、ショックで頭を抱えてしまう。
しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
そこで私は、驚愕に身体が固まってしまった。なんとベッドの上、素っ裸の女が四つん這いになって臀をこちらに突き上げていたのだ。その秘密の部分で、白い指がグチョグチョ蠢いてる。この女は妻なのか?!
女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
そしてもう一つーーー、元彼は手紙で、妻を調教する過程で自慰行為を命令したとあった。
昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
どちらにせよ、元彼からの手紙の内容は、ほぼほぼ事実なのだ。過去の出来事とは言え、それが今に影響を及ぼしている。
妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
通された個室では、部下の二人が早くも盛り上がっていた。妻帯者の吉田と独身の山口だ。
「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
「俺はいつもの生で」
私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
暫くそのまま目の前の痴態を見てると、身体が熱くなってきた。この女を何とかしないといけないのではないのか。
その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
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切れ切れの鳴きの声に、私の身体は固まっていた。それにしても、今の『あなた』とは誰の事だ。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
「ええッ、本当ですか!」
「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
「ほらご主人、アタシのここ、ドキドキしてるでしょ」
由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
告うや否や、映像の由紀子さんはベッドに上がり、四つん這いになって男達に臀を突き出した。
私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
「そ、そうなんですね…」
「ええ、でもこの日の彼女は見学と撮影だけ。それ以外の事…服を脱いで裸を見せたりはしてませんから」
先ほどの羞恥の表情を何処へ隠したのか、由紀子さんは落ち着いた声に流し目まで送って来る。
「あの、男は…元彼はそれで何と…」
「元彼?ああ、あの人ね。うふふ、アタシが指示されたのは、清美さんに刺激を与えて下さいって事だけですから」
「………」
「まあアタシとしたら、いつかは清美さんにもこちら側の世界に来て欲しいと思ってますけどね」
由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
「ええッ!」
「アタシ達は変態セックスを愉しんでるスワッパー夫婦。そんなアタシ達の仲間に、ってね」
「いえ、私達は…」
「ふふっ大丈夫、分かってますって。無理強いはいけませんからね。でも、清美さんの方が先に飛んだらどうしますか」
「と、飛ぶって…」
「ふふ、清美さんの行く末を皆んなが楽しみにしてるんです。あの人と寄りを戻したら…な~んてね」
「き、清美に限ってそんな事は…」
「ふふふ、あるわけないですか?」
由紀子さんが間近な距離から見詰めてくる。
「ご主人は、これまでも清美さんを大切にして来たんでしょ?」
「………」
「たくさん抱いてあげたんでしょうが、彼女の本質をちゃんと理解してあげてたのかしら?」
「本質って…」
「持って生まれた性癖。それって幾つになっても変わらないらしいですよ」
「………」
由紀子さんの言葉が映像のヨガリ声と重なり、雨粒のように降り掛かって来る。
彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
「そうそう、そう言えばねぇ、泊まりでの女子会を検討中なんですよ」
「そ、それは聞いてます…」
「そこで清美さんを試してみては如何ですか」
「え、試すとは?」
「決まってるじゃない。清美さんがそこで飛ぶかどうかよ」
私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
これもあの男の仕掛けなのか。私は完全に翻弄されている。
「ご主人、そうあまり真剣な顔しないで下さい。アタシも問い詰め過ぎました。今云った事は時間があるから、考えておいてくれればいいですよ。それより、こっちの続きを楽しみましょうよ」
彼女の言葉にパソコン画面を向き直れば、由紀子さんが臀を向けてご主人に跨がっている。二つの生殖器が、片方は侵入を繰り返し、もう片方はソレを難なく飲み込んでいる。そしてその摩擦音が、響き伝わって来るのだった。
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テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。
『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
「今のは?」
「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
「あの人…」
「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
「それって、いいんですか」
私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。
映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
私は黙って頷いている。
「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
「ええッ!」
「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
「………」
「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
「大胆に、ですか」
「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
ゴクリ、私の喉が鳴る。
「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。
「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。
『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
「ウフフ、徳ちゃんったら凄いわ。結合の部分が丸見えよねぇ。おまけにお尻の穴まで」由紀子さんが私をチラリと見ながら、ニヤついている。
「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。
「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
「え、いや、それは…」
口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
と、映像が結合の部分から徳子さんの豊満な乳房を抜けて、彼女の表情に移動した。
『いやーーんッ止めて!』
顔のアップに気付いたか、徳子さんが悲鳴を上げる。
『いやんいやん、恥ずかしいッ、清タン、顔は映さないでぇぇ』
徳子さんの懇願にも、映像は彼女のアップのまま。この時の妻の心境も又、どんなものだったのだ。
「あらあら徳ちゃんったら、凄い声ねぇ。でもご主人、彼女はねぇ、イヤとか言いながらシッカリ興奮してるんですよぉ。なんせ見られて感じる変態なんだから」
私は驚きに息を詰まられながら、本当ですか、と訊きそうになっている。確かに徳子さんは、自分の逝き顔を見せ付けてるように観えなくもない。
その時、徳子さんの顔がズームアウトされた。同時に腰を振っていた男が、彼女の腿をバチパチと叩いた。
「次は犬の格好よ」
由紀子さんの言葉通りに、二人は繋がったまま器用に体位を変えていく。
「ふふふ、男女が身体を溶接させたまま一体となっての漂流感は、性の醍醐味なのよね」又も由紀子さんが、意味深な言葉を呟いた。私の中には、阿吽の呼吸という言葉が浮かんだ。正常位から犬の格好への移行が、スムーズに観えたのだ。
そして直ぐに、それまで以上の徳子さんの叫び声が上がった。
「どうですかご主人、あなた方夫婦のセックスと、動画の徳ちゃん達とどっちが激しいですか」
由紀子さんの落ち着いた声にも、私は黙り込むだけだった。妻とセックスをしていた頃を思い出そうとしても、その記憶には補正が掛かっているのか、映像の男女と比べると幼稚すぎるものに思えてしまう。
それとだ。由紀子さんは妻から私達夫婦の性事情まで聞き出したのだろうか。それを知って彼女は、今の質問を?
「あ、そろそろ徳ちゃんが逝くわ!」
その瞬間、由紀子さんの声と同時に、徳子さんが最後の雄叫びを上げたのだった。
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居酒屋の個室ーー。
馴染みとなったこの場所も、私はこれまでと違う空気を感じていた。
目の前の女性が、『真木由紀子』と名乗ったからだ。
それはここ最近、頭の中で頻繁に反芻される名前だった。妻の同窓生で、例の元彼の手先となった女性なのだ。あの手紙に書かれてある事が事実ならばだが。
由紀子さんが目の前の席に座り直した。私は緊張を覚えながらも、その素顔を窺う。
身体付きはイメージしていたよりかは若干ふっくらした感じだが、髪の毛が後ろで結わかれているせいか顔は面長に見える。目はパッチリ二重で、口元から覗く白い歯並びには清潔感を覚える。その雰囲気からも、才女と呼ばれていた理由が垣間見える気がした。
「あのぉ、そんなに見詰められたら、何だか恥ずかしいわ」
その声に私は、ハッと我に帰った。
「ええ、すいません。でも、どうしてここに?」私は緊張を残したまま訊ねてみる。
由紀子さんは私をチラリと見て、先に何か注文をしましょうとメニューを指し出して来た。
私がいつものビールを頼むと、由紀子さんも同じ物と摘みを何点かオーダーした。
ビールと摘みが届くと、由紀子さんがジョッキを持ち上げた。それに合わせて、私は持ったジョッキを黙ったまま目の前で上げた。
彼女は美味そうにゴクゴクと喉を潤すが、私はチビリと口を付けるだけ。そんな私は、訊いておくべき事を口にした。
「あの、貴女の名前は清美から聞いて知ってましたが、コレは一体どういう事でしょうか?」
「うふ、先だって清美さんに次の女子会の件で、連絡した事がありましてね。ご主人に了解は取れそうかと訊ねたのですが、その時に話の流れでこのお店の事を聞かされたんです」
「それだけの事で、この店に?」
「いえ、雰囲気も凄く良いからって清美さんが勧めるもんだから、アタシも好奇心で。それでもし、ご主人が居ればと思って店員さんに声を掛けてみたんですよ」
「本当ですか」私は訝しながら訊いた。
「本当ですわ。そして私は、とてもラッキーでした」
「ラッキー?」
「ええ実はね、今夜アタシが、この店で清美さんのご主人に会えるかもしれないって、ある人に話したんですよ。そうしたらね、ふふふ、その人がアタシに頼み事をしたんです」
「頼み事?」
「ふふっ、コレですわ」
意味深な笑みを浮かべて、由紀子さんが鞄から何かを取り出した。私はソレを見た瞬間、息が止まりそうになってしまった。
彼女が手にしていたのは、USBメモリだったのだ。しかも、前回男から送られ来た物と同じやつではないか。
「それと手紙は届いていませんか」
「ええッ!」驚きに持っていたジョッキを落としそうになってしまう。
目の前に座る由紀子さんが、手紙の話を出すと言う事、そしてUSBを持っていたと言う事は、あの男と繋がってる証拠ではないか。
「それで手紙は?」由紀子さんが、私の様子を窺ってくる。彼女は、これまでの手紙の内容も知っているのだろうか。
「持ってるんですね?」彼女が私の目を覗き込んできた。
私はコクリと頷くと、横に置いてあった鞄に手をやった。手紙と一緒に、ノートパソコンまで無意識に取り出している。
「うふふ」由紀子さんが私の様子を見てか、怪しげな嗤いを立てた。
封を開けてみれば、中身は便箋が1枚だけだった。私は彼女の視線を気にしながら読み始める事にした。
【こんにちは。
今回もUSBを同封しようと思っていたのですが、由紀子さんから連絡があって、ひょっとしたら清美さんのご主人と会えるかもしれないと申すもので、私も遊び心に乗って、彼女に持って行ってもらう事にしました。
万が一、彼女と会えなければ、直ぐに送るようにしますのでね。
では、無事に女子会の映像が視れますように。】
たった1枚の便箋に書かれた短い文章だったが、私はそれを読んで唸り声を上げた。男の遊び心は見事に成功したわけだ。それと、ここに書かれてある女子会とは、由紀子さん達のいう『社交界』と言う名の怪しい集まりの事なのだ。
これで由紀子さんが妻の元彼と名乗る男と、完全に繋がっている事が分かった。手紙の中にも『Y子』ではなく『由紀子』と書かれているのだ。
「何て書いてあるんですか」由紀子さんが私の手元を覗き込むように、少し身を乗り出した。
「当ててみましょうか。コレの中身は社交…いえ、女子会の映像なんでしょ」由紀子さんがUSBメモリをかざしている。私は、知ってたんでしょ、と小声で呟いた。
「じゃあ、せっかくだから一緒に視ましょうよ」
「ええッ、一緒にですか!」
「そうですよ、だってアタシも映ってるんですから」
「あッ!」
「何をそんなに驚いてるんですか。相良さんだって、パソコンを用意してるじゃないですか」
「え!?」
そうだった。私は無意識のうちに、手紙と一緒にノートパソコンまで出していたのだ。
「さぁ、アタシは覚悟が出来てるんですよ」
由紀子さんは『覚悟』と口にしたが、その声は、どことなく嬉しそうだ。声に私を挑発する響きを感じる。
気づけば彼女は立ち上がって、私の隣にやって来るではないか。そして座ると、USBをセットした。
「さぁ早く、再生して下さぁい」由紀子さんが私の耳元で、少し呂律の怪しくなった口調で囁いた。
この映像には、妻も映ってるかもしれない。そう思うと体温が上がってくる。それでも私の指は、何かに操られるように再生をクリックした。
「それと最初に言っときますけど、これって2次会の時のものですからね」
「え、2次会と言うと…」
「1次会はこのお店みたいな居酒屋だったの。その後、場所を移動したんですよ。少し遠かったけどタクシーでね」
由紀子さんの酒臭い息が、私の横顔に掛かる。彼女にとっても酔わなければやってられない…いや視てられない映像なのだろう。
「あのぉ、2次会のメンバーっていうのは…」
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「大田徳子さんですよね」私は断って、そして続ける。「その3人だけですか、他には…」
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いや、そうじゃなくて…。私は、妻の元彼の存在が気になっているのだ。
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次の日、私が目を覚ましたのは、朝の10時を過ぎた頃だった。
起き上がって欠伸を一つすれば、頭の中に夕べ視たSMチックな寝取られ動画の映像を思い出した。
2本の動画はいずれも中年の人妻が主人公で、夫の前で男に翻弄されていくものだった。私は人妻を妻の清美に、夫役を自分に投影していた。
動画の残像に苦笑いを浮かべて立ち上がろうして、枕元のスマホの点滅に気がついた。
見ればLINEの知らせだ。
『声を掛けても全然起きないのでLINEにします。今日はこれから買物に行って来ます』
私が爆睡している間に、どうやら妻は出掛けたようだ。
寝不足気味のまま食事を採り終えた私は、もう一度夕べの動画を視てしまった。
妻が帰って来たのは、夕方近くだった。買物にしてはかなり長いものだったが、私は特段責める事もなかった。妻が元彼と密会していたとは思えないし、そんな証拠もない。あるのは私の妄想…と想いたい…。
「夕べも遅かったんですね」
妻が話し掛けて来たのは、彼女が夕飯の準備でキッチンに立った時だった。
「ああ、そうだった…LINEを入れるの忘れてたっけ?」私はソファーから顔だけを向けて答えている。
妻は私の質問に応えるでなく「またあの居酒屋ですか」と、訊いてくる。
「うん、そうそう、あそこで残業をね」
「そうですか、また行ってみますか」
その言葉に、私はキッチンに振り向いた。
「そ、そうだね」
このところ冷たく感じる妻からは、思いもよらぬ誘いだ。
それから私達は、お互いの予定を確認し合って、次の水曜日に先日と同じ店で待ち合わせる時間を決めたのだった。
週明け出社すると、急ぎの仕事が舞い込んできた。この分だと出張が入りそうな気配を感じてしまう。
そんな中、水曜日がやって来た。日中は仕事に追われ、妻との呑み会の事を考える余裕もなかった。頭の中には『元彼』に『由紀子』『徳子』の名前があるが、2回目の女子会の事を含めて、どのように話を持ち出せばよいか整理が追い付いていない。
それでもこの日、仕事を終わらせた私は、なるべく遅れないようにと先日の店に向かった。
今夜も店には、妻が先に来ていた。私は個室の扉を開けると、前回と同じように「遅くなってゴメン」と、頭を下げている。
店員にビールと摘まみの注文が終わると「最近また忙しくなったみたいですね」妻から話し掛けて来た。
「そうだな、そのうち出張があるかも」
私の返事に頷きながら、妻は「今週も夜はここで残業ですか」と、続けて訊いてきた。
私は苦笑いしながら頷くだけだ。
例の男からの手紙を読む為に通うようになったこの店。それ以来ここに来る理由を、妻には残務と説明していたのだが、はたして彼女が、ノマドワーカーのイメージと私を結び付けたかどうかは分からない。
そして私は、男からの次の手紙の事を考えている。前回の手紙には次の期日は書かれていなかったが、明後日の金曜日には届きそうな気がしているのだ。
「ねぇ、どうしたの、私の話聞いてます?」
ふと顔を上げると、妻が首を傾げている。
「いや大丈夫だよ。そうだな、ひょっとしたら週末もここにお世話になってるかも」と云って、私は笑ってみせるのだ。
それから暫くの時間、私達は黙々と摘みを口に運び、ビールを何杯かお代わりした。
「ところで貴方、最近ボォっとしてる事が多くないですか」
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妻の表情を観れば、頬を朱く、目には酔いの色を浮かべて私を窺っている。
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妻のその言葉に、私の喉が鳴った。
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私のしどろもどろの声に、妻が肩を竦める。「ええ、実はそれの了解を頂こうと思ってまして、それで今夜…」
「了解って…まだ計画中なんだろ?」
「そ、そうです。だから、貴方の意見を…」
「意見って訊かれても…」
妻が何の予兆もなく、私を飲みに誘った理由が分かった気がした。
男も一緒に行くのか、私の頭はその事を追求しろと指示しているが、言葉が出て来ない。
すると妻が、言い訳するように話し始めたーー。
彼女の説明によると、つい先日、由紀子さんから企画に対する伺いがあって、家族から了解が取れるか探っておいて欲しいとの事のようだった。
妻の説明を聞いても、私はその申し出には、曖昧な返事に徹するだけだった。そして私の中には、モヤモヤだけが残ったのだった。
金曜日の昼間、7通目となる手紙が届いた。
しかしソレは、これまでと比べて厚みが1番薄いものだった。USBメモリが入ってる気配はどこにもない。
それでも私は、逸る気持ちを抑えて仕事をこなし、予約した時間に遅くれないようにと、いつもの居酒屋に向かう事にした。
店に入ると、馴染みになった若い店員が声を掛けて来た。
「相良さん、お連れ様がお待ちですよ」
笑みを浮かべる彼の顔を見ながら、私は一瞬キョトンとした。『お連れ様』とは誰の事だ。
しかし、考える間もなく閃きが来た。
妻の清美が来ているのだ!私は疑う事なく個室へと足を運んだ。
個室の扉を開けた瞬間、足が止まった。見知らぬ女性が一人で居るのだ。その女性が、私を見上げる。
「相良さんですよね、清美さんのご主人の」
私は、立ち上がったその女性を、呆然と見詰める。
「私、真木由起子と申します」
その名前を聞いた瞬間、私はハッキリと驚きの声を上げたのだった。
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USBメモリを鞄に仕舞って、会計を済ませた私は店を後にした。
今夜は酔いを覚ます、と言ってもそれほど酔ってはいなかったが、少し遠回りをして家に帰る事にした。
夜道を行けば更に頭がスッキリして来た。その頭の中に二つの影を思い浮かべる。妻の清美の顔と、まだ会った事のない元彼の男だ。
元彼が言う高校時代の真実、結局その真意は分からない。USBメモリの中には、妻の告白が無かったからだ。
今回のUSBから分かった事と言えば、由起子さんと徳子さんの秘密の性癖と『社交会』の存在が明らかになった事だ。
そして最後に、由起子さんはその社交会を2回目の女子会という事にして妻を誘っていたのだ。
そして妻は、その『女子会』に参加している。いや、由起子さんは『見学』と表現していたが、その真意を妻に問い詰める勇気は、今のところ私にはない。その時の様子は、次のUSBメモリでも来ない限り分からないのだ。
そう言えば、今回の手紙にも次の手紙の期日が書かれていなかった。レコーダーからUSBへのコピーの作業が終われば、送られて来ると思うのだが。
家に着けば今夜も妻は寝入っていた。ここ最近の彼女の冷たい態度は、こう言うところにも現れていると思ってしまう。
私は静かにシャワーを済ませて、寝る支度に入った。
疲れた身体は直ぐに眠りを求めると思ったが、睡魔は中々やって来てはくれなかった。
私はベッドを抜け出し、ノートパソコンを取り出した。あの会話をもう一度聴きたくなったのだ。
USBメモリをセットして、最初から再生する。
妻の喋りの部分には特に注意をはらったが、私の記憶に間違いはなかったようだ。妻が自ら過去に付いて語る場面はなかったし、最近の心境に触れるところもなかったのだ。
ただし、この録音は1回目の女子会だけのものなのだ。
それにしても、妻の友人達の生態の方に驚きを覚えてしまう。
真木由紀子さんも大田徳子さんも、れっきとした人妻であり主婦でもある。そんな二人が、怪しい秘め事をしている。由紀子さんは夫公認で、徳子さんは完全な浮気だ。彼女達の告白を聞いた妻は、その時どう思ったのだろうか。妻自身は性欲に関して『それほど』と曖昧な言い方をしていた。しかし『ゼロでもない』と、微妙に認めた感じだ。
そして妻は、本当に2回目の女子会=社交会で、友人達の姿を見学したのか。由紀子さん達は、どんな姿を見せたのだ?社交会の中身が、凄く気になってしまう。それはやはり、アダルトビデオのような世界なのだろうか。
私は会話の再生を止めて、あるワードを検索にかける事にした。
『スワッピング 乱交』キーを叩くと、画面にエロ動画サイトの一覧が並んだ。
中から私は、熟女ものの動画サイトを選択してクリックした。
目に飛び込んで来たのは、幾つものそれらしい画像画面と、スケベ心を煽るサムネの数々だった。
私はプレビューを流し読みしてから、その中の一つ、中年夫婦のスワップらしきものを視てみる事にした。
その動画は素人の投稿物ではなくて、プロの業者のビデオ映像で60分以上のドラマ仕立てのもだった。
そしてそれは、偶然なのか社交会…いや秘密のパーティーに迷い込んだ中年夫婦の話だった。
ビデオの主人公は役所勤めの人妻。女は夫の上司に騙され、夫婦揃って怪しげな集まりに参加する事になる。
夫婦は目の前で披露される同年代の人妻の痴態に激しいショックを受ける。そんな夫婦の横に夫の上司が座って、性の手解きをする物語だった。
ドラマの中、上司の男は慣れた口調で、夫婦に奥深い暗示を投げ掛けたーー。
『奥さん、恥ずかしがらずに目の前の女を見てごらんよ。この人も貴女と同じ人妻なんだ。年齢だって貴女に近い』
場面はホテルのスウィートルームで、ベッドの回りを数組のカップルが取り囲んでいる。
ベッドの上には素顔の中年女性と若い男。二人は生まれたままの姿で、絡みを披露している。
『ほらね、優れた女の身体ってのは男に合わせられるものなんだ。男が鋳型であるなら、女は液体ってな。どんな形にも納まるのが良い女ってわけだが、じゃあ男の鋳型に合わせられない女はつまらないのかと言うと、そうも言い切れない。開発前の女もいるからね。大事なのは女の意思。男を前に人形になるんじゃなくて、自発的な意志を持つ事なんだよ。
この奥さんも最初は自分の道具を貸すだけだったが、ようやく分かってきたようだ』
夫の上司の声を耳元で受け止め、人妻は静かに前を向いたまま。この女性も耳を性感帯に、男の声を受け入れてるように観える。
『男ってのは自分の欲望本位に行動する事が多いが、この彼は若いけど経験が豊富なんだ。場数を踏んでるから解約精神が発達していて、相手が肉体の賃借関係として割り切って行為に臨めるんだよ。奥さん、分かるかな?』
男の言葉の意味が分かったのかどうかは分からないが、主人公の人妻は微動だにしない。
『おや、女の方に我慢が利かなくなってきたかな。この二人は何度か身体を合わせて厭らしい表現に阿吽の呼吸が生まれるようになったが、女の方はまだまだだな。どうやら今夜の勝負は、男のものだ。
さて、時間はと…』
男の視線の先が画面に広がり、ベッドの上では女の動きが激しく、絶頂を迎えたところだった。
ビデオの中、女が最後の雄叫びを上げたシーンを視て、私は大きく息をついた。自分でも思った以上に、映像にのめり込んでしまっていた。
頭の中には、獣そのものになって、折り重なり、呻き、のたうち回っていた浅ましい女の残像がある。
男女の絡みのシーンも印象にあったが、ストーリー性にも胸を抉られる想いがあった。
ベッドにいた女は若い男に手駒にされ、客相手に痴態を曝す女に成り下がったのだ。そしてその様子を見ていた人妻は暗示に掛けられ、やがては同じような女へと変貌を遂げるのだろう。
しかもこの人妻の横には、夫が座っていたのだ。夫はベッドの女と、隣の妻の先行きを重ねていたのだろうか。
と、私はビデオの上司の男が、妻清美の元彼とダブって観えた。
動画はまだ半分も過ぎてなかったが、私は一旦止めた。そして水を一杯飲みに行く事にした。
キッチンで水を飲んだ私は、自分の部屋に戻る前に妻の寝室を覗いた。
妻は鼾も掻かず、静かに寝入っている。その寝顔からは、罪の有無を感じない。
しかし女と言う生き物は、裏の顔を隠し持っているものなのだろうか。
真木由紀子さんに大田徳子さん、私は彼女達の赤裸々な告白をUSBで聞いている。いや、彼女達からすれば、あれは告白といった大袈裟なものではなくて、面白い遊びを見つけた少女の自慢話なのかもしれない。
そんな考えを頭の隅に霞ませながら、私は自分の部屋に戻る事にした。
時計を見れば、深夜の1時を過ぎたところだ。それでも何故か眠気を感じなくなっている。
私は別の動画サイトも見てみる事にした。
次に視る気になったのは、SM物だった。サムネのプレビューを読むと、妻が夫の前で調教を受ける話だ。そしてコレも、ドラマ仕立ての物のようだ。
画面にいきなり広がったのは、テーブルに大の字に縛られた女性の姿だった。そしておっ開げられた股間の前には、男の生尻だ。
『さぁご主人、これからこの美しい婦人の体内に私の夥しい体液を吐き出させて頂きますよ』
ビデオの男は言うなり、婦人と呼んた女性の股間に反り勃った肉の棒を突き刺した。
映像のアングルは男の後ろ姿を捉え、筋肉質な生尻が規則正しい動きを続ける。バンザイの格好でテーブルの脚に両腕を結ばれた婦人の姿は、私の目には虫ピンで止められた蝶のように観えた。
婦人の口からは『嫌よ嫌よ』と、抗いの声が上がる。しかしやがて『やっぱりいいわ!』感泣の声に変わった。
『そうですよ奥様、飢えた人間にテーブルマナーは不要ですよ。さぁ遠慮なさらずに』男が腰を振りながら、婦人を追い込んで行く。
男の言葉に、むっちりと実った婦人の美しい御足が、男の腰を挟んで跳ね上がった。婦人のその様は、完全に己の保身反応を麻痺させている。
『ヒィーヒィーっ』ビデオの声が、妻の声に重なって聴こえるようだ。男に串刺しされて蠢く婦人の姿も、妻に重なって行く。
両腕をロープで、腰を男に制圧された不自由な状態で、のたうち回る婦人は、麻薬の禁断症状から逃げ惑おうとしてるようだ。
『もっともっと抉って下さいッ!』
『あらあら奥様、なんて品格のない言い方を』ビデオの男がニヤリと嗤う。
『うううッ、だって…』
『はいはい、分かりましたよ。私の物がもっと欲しいのですね』
『そう、そうなのっ、だからもっと激しく突いて下さいッ!』婦人は必死に追いかけている。本当にあと一歩のところなのだ。しかし男が、お預けを喰らわせて女体を支配している。
私はそれが造り物のビデオである事を忘れて、ノンフィクションの出来事に覚えてしまっていた。
「清美…」私の口から無意識に妻の名前が出た。妻もビデオの婦人のように、元彼の残酷で不完全燃焼な責めに、我を忘れた事があったのだろうか。私はもう一度「清美」と呟くと、拳を握りしめた。
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妻の元彼からの6通目の手紙を封筒に戻すと、私は鞄からノートパソコンを取り出し、立ち上げた。
USBを差し込み、イヤホンを耳にセットする。個室にいても、音漏れには注意したい。まして何が飛び出して来るか分からないのだから。
起動が始まって暫くすると、聞こえて来たのは女性の笑い声だった。
この時の2次会の場所も、由紀子さんが幹事を務めたのなら、外部からの干渉に気をつけて個室を用意したに違いない。そしてこの部屋にいるのは、妻の清美と由紀子さんに徳子さんだ。
彼女達の話し声が大きくなってきた。妻の声は直ぐに気づき、他の声も名前と一致させる事が出来た。
ひときわ大きな声で喋ってるのが、徳子さんだろう。由紀子さんの声は、酒のせいか砕けた感じに聴こえる。
『それでさ、ちょっと清タン聞いてよ。由紀ちゃんって凄いんだから。ねぇぇ。』
徳子さんが話題を変えてきた。
『ふふふ、アッチの話?そうねぇアタシは結構お盛ん、かな』
徳子さんの声に応えるようにか、由紀子さんの声も大きくなっている。
『ところで清美さんさぁ、実はずっと黙ってたんだけど高校の時さ、貴女に変な噂が立った事あったの、知ってた?』
由紀子さんの声に続き『え!』妻の驚きの声が聴こえた。
『清楚で男子に人気者だった田中清美は、実は変態セックスしてるっていう噂よ』
由紀子さんの詰問調の声に、こっちの息が止まりそうになった。
そして暫く無言が続き、やがて再び由紀子さんの声が聴こえた。
『うふふ、その表情、黙ってるところを見ると噂は本当だったのかな?』
『な、何の事だか…』
『えへっ、別にいいじゃない昔の事だしさ。それにさっきも告ったけど、アタシもこう見えて、実は遊んでるのよね』
由紀子さんの呂律が怪しくなってる気がする。さすがに酔わなければ話せない内容だ。
『実はね、同窓会で清美さんを久し振りに見た時に、今云った昔の噂を思い出したのよね。でも、そんな話題をその場でなんて出せないでしょ。だからねぇぇ』
由紀子さんが語る流れに、男の手紙に書かれていたある場面を思い出した。
確か2次会の席で、元彼がテーブルの下で妻の手を握ったところを、由紀子さんが見たのではなかったか。
『それでねぇ、1度気になりだしたら、ずっと気になっちゃってさ…ふふふ、それでここに来る前、つい徳(のり)ちゃんに話しちゃったのよね』
由紀子さんの語尾は、徳子さんに向けたものだった。
『そうそう、それで私も本当!?って驚いたのよね』徳子さんの声が、1オクターブ上がっている。
『私もさ、卒業してから色々あったし、人って変わるからさ、大概の事は驚かないんだけど、清タンが変態チックな遊びをしてるなんて』
『徳ちゃんちょっと違うわよ。清美さんがエッチな事をしてたのは、昔の話で今は知らないわよ』
『あ、そっか。でもさ、今はどうなの…ねぇ清タン、今はどんな感じ?欲求不満とかないの?』
会った事のない徳子さんだが、その姿が目に浮かぶようだった。ポッチャリの身体を乗り出し、好奇心に目を見開く姿だ。妻の方は俯いたまま、頭を小さく横に振ってるのではないだろうか。
『徳ちゃん、清美さんはねぇ、やってるって、うん間違いないって。ご主人とやってなかったとしても、他にねぇ…ふふふ』
『あーそれってオナニー?』
『あらあら、徳ちゃんったら。でもオナニーは勿論、他にも凄い事をやってると思うわ。だって清美さんは、へ、ん、た、い』
『いゃ~ん、清タンって変態だったんだぁ。でも何だか嬉しいっ』
『ふふっ、徳ちゃんとどっちが変態か、試してみたいわね』
『由紀ちゃんだって変態でしょっ』
『そうよ。アタシはずっと前から変な遊びをしてるわ』
『うんうん、知ってる知ってる。私も恩恵を受けてるし』徳子さんが楽しそうに声を上げる。
『でもね清美さん、人様から後ろ指を刺される秘匿の行為って、考えただけで興奮するわよねぇぇ』
由紀子さんの言葉に、徳子さんの相づちの声が聞こえる。妻はどんな様子なのだ。妻の声だけがなかなか聴こえて来ない。
『ほらぁ、アタシ達って夫婦でやってるでしょ』
由紀子さんが、そう言った瞬間だった。妻の『ええっ!』と驚きの声が聞こえた。
『あら、そうなのよ。アタシ一人で遊んでるわけじゃないの。きちんとしたパートナーがいるのよね』
『そのパートナーって』妻の小さな声がする。
『多いのは家の主人だけど…他にも肌を合わせる人達はたくさんいるわ』
由紀子さんの語尾には、力強さがあった気がした。酔ってるからか、それとも秘密を曝して開き直ったか、相手に迫る勢いが伝わって来るのだ。
『あらやだ清美さん、あまり変な目で見ないでよ』
『そんな、変な目だなんて…』
『ふふっどう?昔の知り合いが、教師のクセして変態だったら。しかも旦那も教師なのよ』
『………』
沈黙が流れ、私も息を飲んで次の言葉を待っている。
『…でもねぇ、教師って凄いストレスが溜まるの。最初は良くないのは分かってたけど、周りの教師仲間におかしな性癖の人がいてね』
そこからは由紀子さんがその世界に入った経緯が話された。その間、妻の声は聴こえくなったが、どんな気持ちで由起子さんの話を聞いていたのだろうか。
『…と言うわけで今に至るわけ。因みに徳ちゃんとは、卒業後もちょくちょく会っててね、互いの愚痴を言い合ってたのよ』
『そうなんだ』やっと妻の声が聴こえてきた。
『そう、それである時、アタシがスワップの世界に居る事を喋っちゃったのね』
『そうそう、私も聞いた時はビックリしたわ』徳子さんの出番が来た。『でも私って、昔からエッチにはかなり興味があったからね』
今度は徳子さんの身の上、いや下半身の話が始まった。彼女は結婚して子供もいるが、子供が出来てからはご主人とセックスレスの日々が続いていたのだった。そして欲求不満が我慢出来なくなった徳子さんは、由紀子さんに誘われるまま秘密のパーティーに顔を出すようになったのだ。
『さぁ皆んな話したわよ。次は清美さんよ』由紀子さんの口調が、ますます馴れ馴れしく聴こえる。
『わ、私は、そうねぇ…』
妻の呟きに、ゴクリと私の喉が鳴った。
『しゅ、主人には何の不満もないわ』
その言葉に、私の口から、ホッと息が漏れた。
『それに私には…それほど…性欲?それも特には…』
『………』
再び沈黙が流れ、その中で私は、妻の言葉を頭の中で反芻した…妻に性欲は無いのか。それは本音なのか。それとも昔の友人を前に、まだ本当の気持ちを話せないでいるのか。
『ふぅ~ん、そうなんだぁ…でも、性欲がゼロって事はないでしょ』何処となく咎めるような由紀子さんの声がする。
『そ、それはまぁそうだけど…』
『そうよね、うん、そう思うわ。たぶんだけど、清美さんはトラウマがあって殻を被っているのかもね』
あッ、私の口から声が上がった。
トラウマ、確かにそれはあるかもしれない。
若い頃の変質的な経験が、精神に悪い影響がいかないように、妻は無意識にバリアを張って生きてきたのだろうか。
『でもさ、性的欲求があるなら、無理しない方がいいと思うわ』由紀子さんの言葉が、どことなく教師の口調に聴こえる。
『ねぇ清美さん、今度ちょっと付き合ってよ』
『え、何!?』
『ふふっ、そんなに構えないでよ、最初は見学だけだから』
『見学?それは何…』
『それはねぇ』徳子さんの声が割って入って来た。『私達が定期的に行く社交会があるの。名前の通り社会的信用のある人だけが参加できる集まりで、でも紹介者がいれば私みたいに参加が許されるの。だから清タンも大丈夫だから』
『そうね、清美さんは口が堅そうだし、それに真面目だし。あ、真面目っていうのは普通に社会生活を送れるって意味よ』
『ちょっと待って、私行くとは…』
『ふふっ、もうダメよ。アタシと徳ちゃんの秘密を聞いたんだから、自分だけ良い子でいるのは』
『それは…』
『そうね、じゃあ取り敢えず次の予定が決まったら連絡するからね』
『お願い待って。だから行くなんて一言も…』
『まぁ考えておいて。でもアタシ、清美さんは必ず来てくれると思うわ。ほら昔の貴女、あの噂が本当なら身体の中には淫猥な血が流れている筈よ。その血に逆らうなんて、出来っこないんだから』
由紀子さんの今の言葉には、粘着質な響きを感じた。まるで、蜘蛛が獲物を糸で絡み取るようなイメージだ。
『でも安心して、今夜の事だって誰にも喋らないからね。それに秘密を隠しておく事って、それだけで快感でしょ。貴女なら分かるわよね私の云いたい事。とにかく決まったら直ぐに連絡するからね。ああ、そうだ。その時はまた女子会って事で声を掛けるから、ご主人にもそう言って家を出てくるといいわ』
その瞬間、私は大きな声を上げていた。と言う事は妻の2回目の女子会、あれはまさかの怪しい集まりだったのか。
私は暫くの間、呆然としていた。
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妻の元彼からの5回目の手紙を読み終わり、私は大きな溜め息を吐き出した。
手紙の終わり方がどうも気になってしょうがない。これまでは必ず、最後に次の手紙が届く時期が書かれていたのに、今回の手紙にはそれがない。
男の動きが、現実の時間の流れに追い付いて来たのも原因だろうか。
私は頭の中で時系列を整理しようと思った。
同窓会が開催されたのは、もう2カ月以上前の事だ。そしてこの2カ月の間に、2回の女子会があった。
私はその間、妻の雰囲気に鈍色の匂いを感じて妄想を浮かべ、それに合わせて男からの手紙に取り込まれていった。そんな私を、男は離れた所からどう思っていたのだろうか。男は自分の欲望の為に由紀子さんを通じて、何かの仕掛けをした筈なのだ。ターゲットは妻の清美、それに私もか?
だが…妻が誰かに誑かされたり、脅されてる気配は感じない。娘の所に泊まりに行くのに家を留守にした事はあったが、特に怪しいところはなかった。
ただし、先日から妻の態度が硬く、どこか冷たいのだ。
結局、今夜も私はモヤモヤとした気持ちと共に帰宅するしかなかった。
この日の夜から、私は妻に何かしらの痕跡がないものかと、これまで以上に気にするようになった。今一度見たいのは、彼女のスマホにある同窓会と女子会の写真だが、スマホはさすがに見る事が出来ない。
だからと言って、根拠のないところで妻を問い詰める…清美は元彼の男と連絡を取ってるだろ…等と訊く事など出来るわけがない。
しかしだ。
ひょっとしてこれは過ぎた妄想ではないのか。5通の手紙に書かれた内容も、大半が男の妄想話ではないのか。私はとんだ見当違いをして、知らずのうちに、己が築き上げた袋小路に迷い込んでいるだけなのではないのかと、時おり自分を問い質す声が何処からともなく聞こえて来る。
だが、少し前に部下との会話で耳にした『寝取られ』と言う言葉。
自分の妻を他人に差し出し浮気を勧める夫。そして妻と他人の交わりを想像したり、実際に覗いて性的興奮を得て喜ぶ夫。
私自身にこういった性癖があるとは、一度だって思った事がない。それでも冷静に振り返ってみると、元彼の手紙に何度も興奮した覚えがあるのだ。
同窓会の真実を訊いてみようかと言う考えは常にある。だが、手元にある5通の手紙を妻に見せて、色々と問い質す事が出来るのかと、自分自身に問い掛ければ答えはNoだ。中身があまりにも異常すぎるし、それにもし本当の話だとしたら、妻が傷つく恐れがあるからだ。
結局のところ、同じ自問自答が何日にも渡って繰り返されるだけだった。
男から次の手紙が来たのは、前回のものが来てから1週間後の金曜日だった。
職場で見慣れた茶封筒を手にした時は、これまでとの違いを感じた。厚みが今までのものとは違うし、上から触った手触りも違うのだ。中に何かが入っている。
早速その日の夜に、いつもの居酒屋に行った。顔馴染みの若い店員が、ニヤニヤ笑って迎えてくれた。彼の顔には、先日の女性は誰ですかと書いてある。私は構わずに、ビールと摘まみを頼むと手紙を取り出し、封を開けた。
厚みを感じていたのはUSBメモリだった。私はソレを持って暫し考え込んだが、直ぐに手紙に目をやった。
【こんちには。
ご主人は今回の手紙が、いつ来るかいつ来るかと気を揉んでいたのではないですか。】
いきなりのその文章に、男の薄ら笑いが透けて見えた気がして舌打した。
【実は同封したUSBメモリ、これにレコーダーで録ったものを移しかえる作業に手間取ってましてね。時間が読めなかったので、前回の手紙には期日が書けなかったのです。ダメですねアナログ人間は。
でも何とか編集が終わり、無事にコピーする事が出来ました。】
私はふうっと、安堵の溜め息を吐き出した。この男に人間らしい一面を見た気がする。
【このUSBには何が録音されているかと言うと…いや、その前に前回のおさらいをしましょうか。
同窓会の3次会の後に、Y子とバーに行った所からです。あの店で私とY子は、互いが持ってる性癖を曝しあいました。お互いに弱みを見せ合ったという言い方も出来ますが、それでも力関係は私の方が上なのは、Y子も気づいていた筈です。
失うものがどちらが大きいかと言えば、向こうは現役の教師でおまけに夫婦揃ってですから、私のしがない身分と比べれば一目瞭然です。彼女達の変態遊戯の証拠などありませんが、SNSで吹聴すれば一発です。その現実に気付いた事もあったでしょうし、なので彼女は、私の指示に従う事になるのです。】
今度は唸り声が上がった。この男の老獪さに舌を巻きそうになってしまう。
【ではご主人。
これはY子にも話した事ですが、私の元に同窓会の案内状が届いた時の事もお話しさせて頂きます。
あの案内状を読んだ時、私の中に何十年も前の清美さんと過ごした出来事が蘇って来たのです。私はあの頃の後ろめたい快楽の渦に巻き込まれた日々を思い出して、清美さんの中にも昔と変わらない性癖や資質が今も生きてるのか、確かめてみたくなったのです。
そして彼女が、その性癖を今に活かせてないら、私が手助けをしたいと考えるようになったのです。】
そこまで読んだ瞬間、私は胸が苦しくなってしまった。そして今の箇所を読み直した。
妻の清美が『性癖』を今に活かせてないとは、どう解釈すればいいのだ。私は暫し考えを巡らせた。するとジワジワと男の云いたい事が分かった気がした。
それはーー清美が思春期に体験したマゾヒズムな奴隷生活。その時の変態セックスが染み付いていたなら、妻はその後の性生活に満足がいく事なく、何十年も自分を欺いていた事になる…元彼の男は、そんな妻の心と身体を開放しようと云いたいのか。
【同窓会で実際に清美さんと接して、私は彼女からある気配を感じました。そしてその気配の正体を確かめる為に、計画を立てる事にしたのです。
偶然にもY子という秘匿な性癖の持主を見つけた事も、後押しになりました。そして彼女を、協力者に仕立てたのです。
私は例のバーで、Y子に女子会の開催を指示しました。そしてそこで『貴女は自分自身の性癖を清美にカミングアウトして、彼女に刺激を与えろ』と云いました。それを聞いたY子は躊躇した素振りをみせましたが、既に私の傀儡です。
『教師のスキャンダルはネット民の格好のネタだよね。拡散されて、貴女達夫婦の変態行為がバレたら大変でしょ。だから頼んだよ』と、脅しも念を押しておきました。
そして私は、1週間後にもう一度会う事を彼女に約束させたのです。】
男の言葉、いや文章からはこの男の陰湿さが嫌と言うほど漂って来る。しかし、由紀子さんも変態気質の持主なら、逆に喜んで男の計画に協力したのではないだろうか。
私は、会った事のない由紀子さんの事を考えながら、次の文章に目をやった。
【1週間後、Y子を呼び出したのは、とあるシティホテルの喫茶室でした。その時の彼女によれば、1回目の女子会の準備は既に進んでいると言うので、仕事の速さに感心したものです。そしてもう一つ、驚いた事がありました。Y子はその場に、ご主人を連れて来てたのです。
私の前に座ったご主人は終始オドオドしていましてね、夫婦の秘密を拡散されないかと、そればかり気にしてる様子でした。
私は、Y子さんがこのまま協力を拒まないなら、貴方達の事は誰にも話さないし、SNSで拡散する事はないと改めて約束しました。と言っても、その時の喫茶室の会話はICレコーダーにこっそり録音してたのですがね。】
ICレコーダーは名前こそ耳にするが、実際に手にした事はなかった。私はスマホで『ICレコーダー』と検索した。
画像を見て説明を読めば、なるほどと思えてくる。想像していた以上に盗み録りに適した物のようで、しかも見た目がソレと分からない物がたくさんある。
【さて、土曜の夜でしたが、そこの喫茶室は空いてまして、思った以上に秘密の打合せを続ける事が出来ましたよ。
会話が進むにつれて、目の前の夫婦、特に旦那の方はマゾだと確信しました。彼等がやってる夫婦交換やパーティーでも、この二人の役割がよく分かるようでした。
それでも話を進めて行くと、彼等の目にはサディスト特有の色も観えて来ましたよ。それも不思議ではありません。最近はSとMが同居してる人が結構いますからね。それと、ひょっとしてY子は清美さんに対して嫉妬心を持っていたのかもしれませんね。
遠い昔の高校時代、才女で美人のY子は、人当たりが良くて明るく人気者の清美に嫉妬、これはあり得る事です。Y子がS性に目覚めた原因も、この辺りにあった可能性がありますね。】
私はまたまた唸り声を上げた。まるでこの男が、直ぐ近くにいて、影から歪な嗤いを聞かせようとしてるように思えるのだ。
【私はY子に、先日の話を確認の意味でもう一度しました。女子会では清美を酔わせて、性癖の話を持ち出せと。まずは貴女の方から、自分達夫婦がスワッピングをしてる事を告白しろと。
話しの仕方は任せるが、清美の内面は貴女と同じで変態気質で出来ているから、安心して自分を曝け出せと。
清美が黙っていたとしても、彼女はシッカリ話を聞いている。彼女の耳は性感帯で、貴女の言葉が卑猥なら卑猥なほど、清美の身体はそれを受け入れているからと。
そしてそのうち、清美の方からも愚痴や願望を口にしてくる。貴女はそれに同調してあげれば、後は自然な流れで性癖の暴露に繋がるからと。
話をしながら私は、Y子の中から淫靡な香りが沸き立つのが分かりましたよ。彼女は想像を膨らませて、あの場でアソコを濡らしていた事でしょうね。
それから彼女にICレコーダーを渡しました。二つあるうちの一つです。
Y子はソレを手に取ってしげしげと見てましたね。
最近は卑猥な遊びを動画に撮るのは、珍しい事ではありません。Y子達も経験があるでしょう。しかし私が求めるのは、言わゆる隠し撮りです。なのでY子には、その点に気をつけるように念を押しました。
そこで、お手元にあるUSBメモリです。】
私は、テーブルの上に置いてあったUSBメモリに目をやった。この中に女子会の時の会話が録音されているのだ。
【録音は長時間に及ぶものでした。声は意外なほど鮮明に録れてました。しかしまぁ、最初から卑猥な話題になる筈がありません。乾杯から2時間ほどは、在り来りな話です。ただの呑み会です。そこに集まった4人、清美さん、Y子、N子、そしてTさん。乗りは熟女の井戸端会議で、互いの近況報告から、高校時代に誰と誰が付き合ってた、好きだった等などです。
私は録音された会話を根気よく聞いて、要点よく編集しました。実際にそれらしい会話が聴けたのは、全てこの日の2次会のものでした。
Y子にとって運が良かったのは、Tさんが1次会の途中で帰られた事でした。2次会のメンバーは清美さんとY子に、Y子に世話になってるN子ですから。
そう言えば書き忘れてましたが、N子は少し前からY子の遊びに引き込まれていたようですよ。その経緯までは詳しく訊ねませんでしたが、私は同窓会の3次会の席で、N子の言葉にも怪しさを感じていました。その事をY子に問い詰めてみたら、案の定ビンゴでしたね。】
又も男の薄ら笑いが浮かんで来るようだった。男は間違いなく、このUSBに淫靡な会話を録り込む作業に興奮していたに違いない。それにしてもN子…大田徳子さんも怪しい世界の住人だったのだ。
それとTさん、『安田珠美』さんの事だ。
妻の話を思い返せば、珠美さんはお子さんの事があって、確かに早めに帰った筈だ。
【ではご主人、今回の手紙はここまでです。後は同封したUSBを聞いてみて下さい。
因みに中身は、1回目の女子会のものだけです。2回目のものは編集の作業中ですのでね。 では。】
私は息を吐き出し、そのUSBメモリを顔の前でかざして見た。
この中で妻は何を語っているのだ。と思った瞬間、身体が悪寒を感じて震えだしたのだった。
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何十年ぶりかに、妻と二人だけで行った居酒屋からの帰り道ーー。
その夜道を歩く私には、変な緊張が続いていた。酒の量はそこそこ多く、緊張を失くす為のアルコールだったが効果があったとは言えない。私達は店を出てから、ずっと無言なのだ。
黙ったまま歩き続け、家まであと僅かになった時だ。ふっと覗いた妻の横顔、その唇に艶めかしいものを感じた。
脳裏に閃いたのは、若き日の妻が元彼のモノをシャブル姿、その唇。
気が付けば私は、拳を握りしめていた。その拳が震え出したかと思うと、妻の手に触れた。
ハッとなって手を引っ込めようとしたが、意識とは逆に妻の手を握っていた。
二人で呑むのも久し振りだったが、手を繋ぐのも何十年ぶりかの事だった。
このまま家までの帰路を進むのかと思った瞬間、例の手紙のワンシーンが脳内に広がりだした。
妻の親指と人差し指の間、合谷(ごうごく)と呼ばれる窪みに、私の指が触れている。
元彼はこの窪みの部分を、乳首やクリトリスを撫でるように擦ったと告うのだ。
私の指は蠢き始め、元彼がしたのと同じようにその窪みを指腹で擦り始めていた。
妻の指が、いや身体全体が強張った気がした。しかし私は、そのまま妻の指を折りたたむように丸め、私の人差し指を彼女の指と指の間に送り込んだ
朱い唇からアァっと声が漏れた。
抜き差しを始めると今度は、彼女の指の隙間にしっとりと濡れを感じた。これが元彼が云う潤滑の油と言うやつだ。私の脳がそう呟いた瞬間、私の指は払い除けられていた。
立ち竦んだ妻を見れば、黙ったまま私を見据えている。
「ご、ごめん…」私は咄嗟に謝った。
なのに彼女は、とんでもないものに出くわしたような顔をしていた…。
その夜、床に付いた私は、帰り道のその場面を思い起こしていた。
妻は、私が握った指の動きに何かを察したのではないか。私の指を払い除けたのも、同窓会の2次会で元彼にされたのと同じ場面が、脳裏を横切ったからではないだろうか。
セックスを連想させる指の動きに、彼女が浮かべた相手は元彼だったのか。それとも私…いや、それはない。私と妻のセックスは何年も封印されたままなのだ。
ああ…私、妻、元彼、まるで三角関係ではないか。我々はこれから一体、何処に向かうのだ…。
…次の日から、妻の態度が目に見えて堅苦しいものへと変わっていった。
朝の挨拶、帰宅時の挨拶、それは型通りにあるのだが、声がよそ行きで淡白になった感じなのだ。この空気感は結婚してから初めてのもので、その事に私は、気疲れを感じるのだった。
息苦しさを感じたまま数日を過ごし、週末が近づいてきた。
金曜の昼過ぎには、元彼の男から5通目となる手紙が届いた。
そしてその日の夜、いつもの居酒屋ーー。
【ご主人、こんにちは。
この様な匿名の手紙を受け取って頂くのも、これで5回目ですね。勿論、貴方が間違いなく受け取り、真剣に読んでくれていると信じての言葉です。
私の方も手紙を綴りながら、まだ会った事のない貴方との距離が近づいて来るのを感じております。
いつかは、いや近い内に実際に会う時が来るかもしれませんね。まぁ、その時はお互いどういう気持ちでいるかは分かりませんがね。
では、今回の手紙では同窓会の後に開催された1回目となる女子会、その前辺りの様子からお伝えしたいと思います。】
いつもの便箋に綴られた文字を読み始めて、私は確かに男との距離が縮んでる気持ちを認めた。
顔や体型、髪型などは想像の域を出ないが、この男が陰湿で変態気質の人間である事だけは疑っていない。
こんな男と精神的な部分で繋がってるとしたら、私の中にも同じ様な性癖があるのかもしれない。しかし今まで、自分にアブノーマルな気質があるとは1度だって考えた事がない。妻とのセックスもずっとノーマルだった筈だ。それが清美にとってどうだったのかは、考え込んでしまうところなのだが。
【何十年ぶりかに再会した清美さんと、離れ難い気持ちなった私が、3次会の席でさり気なく口にした一言が女子会の開催に繋がりました。
とは言え私は男ですから、その会に参加させて貰うには当然ハードルがあります。なので私は、作戦を考えたのです。
それはY子への私からのカミングアウトと、提案だったのです。】
Y子の名前、この手紙ではイニシャル表示だが、私は妻との以前の会話で『真木由紀子』さんと知っている。
【3次会が終わり、私達は一旦離れ離れになりました。去り行く清美さんを見届けるのは辛い気持ちがありましたが、それ以上に次への企てに、私は気持ちを高ぶらせておりましたよ。そして次に起こした行動が、Y子と話す事だったのです。
私は、3次会から帰るY子の後を密かに着けて、とある駅を出た所で声を掛けました。運が良かったのは、私から誘った近くのバーに付き合ってくれた事です。
その店で私は、私と清美さんの真実を告白して、Y子に協力を願い出るのです。】
由起子さんの存在がどういう意味合いを持つのか、気になるところだった。男が由起子さんに話した真実とは。そして願い出た協力とは?
【バーでは最初、Y子は少し緊張している様子でした。それはそうです、酒が残っていたとしても陰気な店に男と二人、おまけに彼女は現役の教師ですから。
その彼女とカウンターの端に並んで座り、私はまず、学生時代の清美さんと恋人どうしだった事を告白しました。そして淫靡さを漂よわせながら、清美さんとの過去を語ったのですーー。
遠い日の私達二人の関係は、人様には決して話せないアブノーマルなものだったと。しかしそれは、二人の仲に深い絆をもたらしたと。
短い時間ではあったが、二人は異質な世界に浸り、同類でしか味わえない数々の体験をしたのだと。
結局私達は周りからの圧力もあり、別れる事になったが、互いの中にはあの頃の記憶がちゃんと残っているのだと。そして何より、身体が覚えているのだと。
Y子は私が『身体が覚えている』と云ったところで、ギクリとした反応をみせましたよ。それまでの淫猥さを連想させる言葉も刺激になっていたでしょうが『身体が…』と聞いて、彼女は私と清美さんの関係が、想像以上にアブノーマルである事に気づいたのでしょう。彼女の私を見る目が、それまで以上に信じられないものを見る目に変わっていましたからね。
しかし彼女が見たものは、私の瞳に写った自分自身の姿なのです。彼女もその事に気づいていたのです。
それを見抜いた私は、今度は彼女自身のプライベートに関する質問をしてやる事にしました。
私はまず『Y子さん、コレを飲んで気持ちを落ち着けて下さい。ここからは貴女の内面に迫る話になりますから』と、酒を勧めました。
彼女は一瞬躊躇った表情を見せましたが、目の前の男から自分と似た匂いがする事に気づいていたのでしょうね。それと3次会で、自ら清美さんに話した誘いの言葉も思い出したのでしょう。それは『アレよアレ、旦那とはやってるの?』『アタシ達、大きな声では言えないけど、刺激のある遊びをしてるだ』先ほども書いたY子の囁きです。
そして彼女は、恐いもの見たさか、グラスの残りを一息で呑み干したのです。
呑み終えた彼女はグラスを置くと、挑発的な目を向けて来ましてね。しかし私には、それが強がりだと分かっていました。
私はそんな彼女の手に自分の手を重ね、そして確かめるように云いました。『貴女は…いや、貴女達夫婦はスワッピングや乱交パーティーを愉しんでいますね』とね。
Y子は私の言葉に、目を見開きました。その瞳は驚愕の色に変わっていましたよ。】
予期せぬ展開に、私も驚いた。スワッピングに乱交など、エロビデオの世界ではないか。まして由紀子さんは、現役の教師ではないか。
それにしたって、この男の嗅覚はどうなっているのだ。これほどまでにも、同類を嗅ぎ分けれるものなのか…とすると、やはり清美は…。
【Y子の目は縋る眼差しに変わり、そんな彼女を慰めるように私は云いました。『教師ってのは本当に大変だよね、よく分かるよ。特に昨今はモンスターペアレンツがいれば、教師内での虐めがある。そんな中で世間の目は厳しくなるばかりだし、ストレスは溜まる一方だ。心から同情するよ。』とね。】
男の言葉に、私まで知らずに頷いていた。確かに現代の教師の境遇には同情するところはある。
【私はY子の様子を探るように見続けました。彼女の心の中は、私の同情に対する有り難みもあったでしょう。でもそれ以上に、指摘された事実に戸惑いを感じていたと思います。
私はY子にニコリと笑いかけ、もう一度彼女の手に私の手を重ねました。そして諭してやりました。『気にする事はない。これまでと同じで良い。それより貴女達が感じた性の愉悦を他の人とも分かち合えるように、これからも振る舞うんだ。清美が貴女に声を掛けられたのは運命なんだよ。だからね…』とね。】
手紙はそこで唐突に終わっていた。何だこの終わり方は?
封筒の中を見直したが、続きが書かれた便箋用紙はどこにも見当たらない。
同封するのを忘れたのか?いや、この男に限ってそれはない。
と言う事は、男は敢えて私に謎掛けをしたのだ。
手紙の最初の方には、私との距離が近づいてる書かれていた。確かにその通りだ。何かがヒタヒタと近づいてくる気配を感じる…。
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4回目となった手紙を読み終えた私は、家路へと歩いていた。
店を出る時から頭の中を占めていたのは、今夜妻と何を話せばよいのかと言う想いだった。
ヒタヒタと夜道を進みながら、妻と女子会の事を考える。
彼女は私が申し出た女子会の写真を、見せてくれている。スマホを目の前で開けて、画像を1枚ずつスライドしてくれたのだ。
そこで私が見たのは、全てが妻と他の女子との写真だった。そう、名前の通り女子だけの会だと私は思っていた。
しかし先ほどの手紙から推測すると、元彼自身は女子会への潜入に成功しているに違いない。
ならば妻は、この元彼と写真を撮った可能性もあるのではないか。そしてソレは私には見せれないと、咄嗟に削除したか別のフォルダに移したのではないだろうか。
ああ、でも今夜妻の顔を見てもその事は訊けない。何故だか、聞いてしまうと大変な事が起こりそうな気がしているのだ。
いやいや、俺は何をビビっているのだ。何気なく、さり気なく訊いてみろよ…そんな声も何処からか聞こえて来る。あぁ今夜の俺は酔っているのか。いや、もう少し確実に酔っていれば、酒の力で妻を問い詰められるのに。
結局、そんな自己問答を続けているうちに、自宅マンションに到着した。
今夜もエントランスに立った所から、インタフォンは鳴らさずに我が家のドアを開けるところまで来た。
そっと玄関から奥を覗くと、電気は足元のフットライトが点いてるだけだった。妻は既に寝てるようだ。
自分の部屋に入り、部屋着に着替えながらシャワーを浴びる準備をした。このところ湯船にユックリ浸かった記憶がない。
浴室を出て、ドライヤーで髪を乾かし終えた時だった。
洗面室を出た私の目の前に、妻が立っていた。
唐突に現れた彼女に、私は肝が冷えて驚きの声を上げてしまった。
「ど、どうしたの!」
「…お帰りなさい」
「ああ…ただいま」
「………」
「起こしちゃった?」
「いえ、眠りが浅くて…」
「そうか…俺ももう寝ようと思ってるんだけど」
「…そうね、そうですよね」
そう呟くと妻は、ふわりと背中を向けて自分の部屋の方へと歩いて行ってしまった。
会話は数秒だったはずだが、私にはとても長い時間に感じられた。妻の瞳が暗く深く、ブラックホールに飲み込まれるような感じを受けていた。
一旦リビンクに行ってソファーに腰を降ろすと、今しがたの妻の様子が気になりだした。
もしかして彼女は、最近の私の遅い帰宅に勘が働いたのかもしれない。
それかだ。元彼から連絡があって、手紙を私が読んでる事実を聞かされているのではないのか。同様に手紙の内容も知らされていたら、彼女だって冷静でいられる筈がないだろう。過去とはいえ、あの様な経験をしていたのなら…。
火曜水曜と、私はなるべく早く仕事を切り上げ真っ直ぐ家に帰った。
妻は久し振りの早い帰宅に少しビックリした感じだったが、だからといって私達の日常に特別な変化はなかった。
しかし。
水曜の夜に私は「あのさ、雰囲気の良い店を見つけたんだ。明日の夜にでも行ってみない」妻を例の居酒屋に誘ってみたのだった。
「最近はほら、テレワークなんてのもあるじゃない。だから俺もね、帰りに一杯やりながら雑務が出来る居酒屋を見つけてね。雰囲気も結構良いんだよ、肴も美味しいし」
我ながら芝居じみた誘いと思ったが、妻の方は意外とあっさり了解の返事をくれた。
私の中には勿論の事、狙いがあった。酒の力を借りて、女子会の事や元彼の存在を探ってみようと思っているのだ。それに彼女も酔っ払えば、弾みで何かを話すかもしれない。
当日木曜の夜。職場から例の居酒屋に向かう時は、変な緊張を覚えていた。
先日は妻から外食を誘われたり、私が買い物に声を掛けたりしたが、昼と夜では雰囲気が違う。そう、温度が違うのだ。
妻の方は設計事務所の仕事場から直接行くと言うので、先に着くのは彼女の方かもしれない。そんな事を考えながら電車に揺られていると、あっという間に駅に到着した。
店には思った通り、妻の方が先に着いていた。
「遅くなってごめん」私は妻のいる個室に入るなり、軽く頭を下げる。
「私もさっき来たところですよ」
私は妻の声に頷きながら腰を降ろす。
店員が直ぐに注文を取りに来て、私達は中ジョッキのビールを二つに、摘みを適当に頼んだ。
その店員は顔見知りになった若い男の子だったが、私が初めて女性連れだったからか、いつもより愛想が良い気がした。
掘りごたつで足を伸ばすと、妻の足にぶつかってしまった。何故か緊張が生まれてしまう。
俯き気味にメニューを見てる彼女の顔を覗き見る。
ショートボブの髪型は何年も前からだが、この数カ月はこれまで感じた事のない色艶を、身体全体から滲み出してるように観える。やはり、内面に何かしらの変化があったと考えてしまう。
ビールが到着すると、改まって乾杯した。
「こうやって呑むのって久し振りだよな」一口目を美味しそうに飲んだ妻に訊いてみる。
「ええ、ほんと。でも貴方はしょっちゅう飲んでますよね」
「いや、それも仕事の内だし、女性と一緒ってのは殆どないよ」と言って、私は苦笑いを浮かべた。
摘みが来ると、暫く黙ってそれを口に運んだ。やはりまだ、二人の間には緊張がある。
妻のジョッキを見れば、まだ3分の1程度しか減っていない。ビール好きの彼女だが、私の前で遠慮しているのかもしれない。私は早く彼女を酔わせたくて、自分のペースを上げる事にした。
それから1時間ほど、私も妻もそれなりの量のアルコールを摂取した。会話は、最初は妻の職場環境の話を訊いた。ハラスメント等がないかどうかだ。そして一人暮らしの娘の事。
妻は2度ばかり娘の所に行ってるが、その後の様子はどうなのか、連絡はあるのかと訊ねたりした。妻によると、最近の娘の調子は良いとの事だった。
私は何杯目かのビールのお代わりを注文した。勿論、妻の分もだ。
ビールが届き、店員が出て行ったところで、「えへん」と咳払いをした。
「ところでさぁ、アレはもうやんないのお」
「へ、アレって何ですか」妻の口調に酔いが窺える。
「ほら~ぁ女子会。同窓会の後、2回くらいやったろぉ」私も少し砕けた感じを装って訊いた。
「ああ、3回目はやんないのかって事ね」彼女が箸を止めて、少し考え込む。
「そうですねぇ、どうなのかな…」
「あれって幹事は誰がやってたの。確か…由起子さんって人だっけ?」
私の質問に、妻は素直に答えてくれた。私はそれを切っ掛けに、他の参加メンバーの事も訊く事にした。妻にすれば、以前にも話した内容だったが、同じように答えてくれたのだ。返事の合間、彼女の呑むペースが上がっている。
「それでさ、女子会とか言いながら男子も来てたんじゃないのぉ」私は更に砕けた口調を装い、妻を窺った。
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見ればジョッキを置いて、妻が俯いている。どうしたのだ。
ふぅーー彼女が溜め息を吐き出した。
「参加したいって人はいましたよ、一人二人は…。でも珠美なんかは最初はやっぱりって…」
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「ふ~ん」私は相づちを打ちながら、珠美さんの事を思い出そうとした。「珠美さんってあれだっけ、確かバツイチ?」
「そう、彼女はバツイチなんですよね。良い人がいるのかどうかは知らないけど」
「じゃあ、同窓会で昔の彼に会ったりしたら…」云いながら私は、自分の唇が震えるのが分かった。これは確信に迫る切っ掛けになる質問かもしれないのだ。
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私は静かに頷いた。次は妻自身の事を訊くのだ。
「あの、清美はさ、そのぉなんだ、高校の時は…」
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「私の高校時代?」一瞬、妻の瞳がキリリと光った、気がした。
「高校時代は人並みに…」こちらに向く眼差しが、揺れてる感じがする。「…恋愛はありましたよ」
云い終えた妻が少し俯く。私の目に、彼女の睫毛が震えて観える。言い辛い事を訊いてしまったか。それとも誰かに口止めされている?それこそ元彼の男に?。
しかし、次にスッと顔を上げた彼女の瞳の中には、鈍い光が混じって観えた。
「…好きな人はいましたし、それなりに良い思い出も、悪い思い出もありますわ」
言い切った彼女の雰囲気は、それが何か?と、こちらを問い詰めてる感じだ。
彼女の中に、女の強(したた)かさを感じたつもりはなかったが、私はこれ以上この話題に触れるのは止めようと思った。が、彼女の方が続けてきた。
「格好良い男子も結構いましたよ。教師の中にも面白い癖のある人もいましたし、個性のある学校でしたわ」
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私は苦笑いを浮かべながら、頃合いを見計らった。そろそろ御暇しても良い時間と思ったのだった。
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私は、妻と元彼が同窓会の2次会の席で、同じテーブルに着いた場面を想像しながら、手紙を読み進めた。
【『清美』とあの頃のように名前を呼び捨てにされ、おまけに『変態マゾ』の言葉を聞かされ、彼女に変化が現われるか私は期待をしました。
清美さんを見続けますと、その瞳がますます潤んで行くのが分かりまして、その瞬間『ふんっ!』と、心の中で鼻を鳴らしましたよ。
彼女の方は、俯いてしまいましてね、私はそんな彼女の手を、テーブルの下でそっと握りました。その瞬間は、私の中にも電気が走り抜けました。肌に触れたのは何十年かぶりの事でしたからね。
そして私は、清美の親指と人差し指の間、合谷(ごうごく)と呼ばれる窪みの部分を擦ってやったのです。そう、指の腹で乳首やクリトリスを弄るイメージを彼女に思い浮かべさせようとしたのです。
清美は、私の指を払い除けようとはしませんでしたよ。それどころか口を微かに開き、小さな溜め息を零し始めました。
次に清美の指を軽く丸め、私の人差し指を彼女の指と指の間に刺し入れてやったのです。彼女の指の隙間は微かに汗を掻いてまして、私はそれを潤滑の油に、抜き差しを始めてやったのです。
直ぐに彼女は眉根を寄せましてね、鼻から嘆きの息を吐きました。
私は彼女の耳元に唇を近づけ、云ってやりましたよ『どこが気持ちいいんだ?』ってね。
清美は上目遣いに、そして後ろめたそうな視線をこちらに向けましたね。それでも私は、再度強めの声で云いました。『ほら、昔を思い出して口に出してみろ』『口に出す事で得られる快楽があるんだよな』とね。
清美は逡巡していましたが、やがて唇を震わせながら『…オ、オマン…』と、言い掛けたのですが、残念な事に我々の席に人が戻って来てしまったのです。
その女性が戻って来た瞬間には、私はテーブルの下で握っていた清美の手をパッと離していました。
清美の横顔を見れば、明らかに緊張の色を滲ませています。席に戻って来た女性も、おかしな雰囲気を感じたかもしれません。
因みにこの女性は、先ほど書いたY子さんです。
清美は直ぐに、Y子さんと入れ替わるように席を立って、逃げるように化粧室の方へと行ってしまったのです。】
私はふうっと息を吐いて、今の場面を想像した。何かの映画のワンシーンのような気もする。
【席を立った清美の後ろ姿を追い掛けながら、私は彼女がトイレでショーツを降ろし、ソコが濡れてる事に気づく場面を想像しましたよ。
Y子は私の様子に気になる事でもあったのか、顔を乗り出し訊いてきましたね。酔った口調で『清美は相変わらず綺麗ですよねぇ。久し振りに逢ってどうですか~?』こんな感じでした。
Y子は当時から才女と呼ばれ、美人でもありましたが、雰囲気は当時と同じで少しお高くとまった感じです。しかしこのY子が、3次会でとんでもない事を言い出すのです。それはまぁ、後のお楽しみにしておいて下さい。】
又も男の薄ら笑いが、耳元で聴こえた気がした。
そしてY子…おそらく由起子さん。この人の事は、妻も口にしていた。今は夫婦揃って、教職に身を置いている人だ。
その由起子さんが云ったとんでもない事、それも気になってしまう。妻に関係がある事なのだろうか。
【私とY子の二人だけになった席でしたが、少しするとN子さんにTさん達が戻って来てしまいました。
思わぬ形で4人掛けの席が埋まってしまったわけです。が、私はそれなりに振る舞いました。昔話に花を咲かせる素振りをしながら、さり気なく清美の情報を引き出そうとしたのです。
そこで分かった事と言えば、清美はTさんとは今もたまに連絡を取り合っている。そのTさんが言うには、清美は今の旦那さんとの夫婦仲は上手くいってて、一人娘は地方の大学に進学して二人暮らしになった、などが分かりました。
Y子さんとN子さんは、清美とは音信不通だったが、1次会の場で再会して想像以上に盛り上がってるとの事でしたね。】
私は無意識に頷いている。
Tさん…確か珠美さん達友人の事は、以前にも聞いた妻の話と符号が合う気がしたのだ。
【彼女達との会話を続けてますと、清美が向こうに歩いて行くのが見えましてね。私は追いかけ、問い詰め、嬲り、虐めてやりたかったのですが、そう言うわけにもいきません。暫くその席に座ってTさん達と時間を過ごしたのです。
2次会は結局、それから暫くしてお開きとなりました。
清美と話す機会を逃したくない私は、さり気なく影のように彼女に近づき、二人だけの3次会を提案しました。しかし運の悪い事に、私の会話を聞いた何人かが話に入ってきてしまって、結局7人のグループが出来て、そのメンバーで近くのカラオケボックスに行く事になってしまったのです。
メンツは清美達同じ席にいた4人に、私と他に男が二人です。
清美を除く女性3人は結構酔っ払ってましたね。清美もかなりビールを飲んでた様子でしたが、かなり行ける口なのでしょうね。】
私は又も無意識に頷いていた。
妻は以前からビール党でそれなりに強く、だからこそ酒で過ちを犯す事はないと思っている。
【店では、直ぐに一人がマイクを持って唄い始めました。
普段からあまり歌う事のない私は、カラオケは苦手でしたが、その時はその歌声が良い塩梅に私達の会話を担保してくれました。そうです、私は清美と隣どうしで座る事が出来たのです。
清美の視線はマイクを握る人達に向いてましたが、私の耳元の声をシッカリ認識していたと思います。
昔から女の聴覚は性感帯の一部と言われています。彼女もおそらく、私の声に高鳴りを覚えていた事と思います。勿論、過去の淫靡な出来事を思い出していた筈です。
では、その時清美の耳元で囁いた私の言葉をご主人にも知って貰いましょう。
『あの頃の貴女には、未知の領域を初めての旅人の如く、好奇と興味の塊となって、手探りしていく初々しい淫らさがあったよ』
『貴女は晒し者にされる羞恥の中で、倒錯した快感を覚える事もあったね』
『あの時は後ろめたい快感がたまらなかったんだろ』
『これからだって、回数を重ねれば熱感は高まり、それが紛れもない女の悦(よろこ)びだと思い出す時が来るよ。そう、これからだってね』
彼女は視線をマイクに向けながらも、時おり顎を引いて、濃い眉を伏せてました。恐らくその仕草は、私の言葉の中に急所を突かれる、言わばキーワードみたいな物を感じたからでしょうね。
清美にとってノスタルジックとは、胸騒ぎを感じる放課後に、生硬な少女から『女』へ変身を遂げたあの季節の事なのです。】
手紙から漂よった詩的な言葉の羅列に、私は正直打ちのめされていた。
この手紙の主は変質者で間違いないと思うのだが、それ以上に妻を…清美を虜にする不思議な力を持ってる気がするのだ。
私は異様な喉の渇きを感じて、ビールのお代わりを注文する事にした。
【さて、私が仕掛けた言葉達に、清美がどのような反応を示すか楽しみに待っておりました。
しかしそれほど広くない部屋です。私達の間に、友人達が声を掛けてくるのです。
内心辟易してましたが、その中に私の…いや清美の性癖にも刺激になるものがあったのです。私はそう感じたのです。
少し前にも書きましたが、意外にもY子が凄い切っ掛けを作る事になったのです。
マイクを置いたY子が清美の向こう隣に座り、私達の様子を窺いながら、そしてY子は清美の耳元で囁いたのです。いや、Y子は囁いたつもりだったかもしれませんが、声が大きく私の耳にも届いてしまったのです。
Y子は酔った口調で云いました。『清タンのところはどうなのお、アレよアレ。旦那さんとはやってるのお?』『アタシ達ねぇ、あまり大きな声では言えないんだけど、ウフフ…刺激のある遊びをしてるんだぁ』
その瞬間、Y子の言葉に私の中で何かが弾けました。Y子が教師をしてるのは1次会で聞いてましたが、聖職者である彼女から私とよく似た同類とも言える匂いを嗅ぎ取ったのです。】
手紙の中の男の様子がこちらにまで伝わった気がして、私の背中がゾクゾクと震えてきた。
しかしこの展開は何かの伏線なのか。この話は何処に行くのだ。
【その時の清美さんは、いつの間にか歌う連中から目を離して、俯きながらもY子の口元をチラチラ探る感じでしたね。やはり清美は、聴覚でエクスタシーを感じようとしていたのでしょう。
Y子は清美の反応など気にせず話を続けました。
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N子はY子の向こう隣に座って、Y子に向かって訊いたのです。『Y子さん達、何だか楽しそうな話してない?たぶんアッチ方面の話なんでしょ?』
N子の口調も酒のせいで、かなり砕けた感じになっていましてね、そして続けるのです。『アタシはY子さんのお陰で、うふふ…ほら、最近は楽しめてるしネ。あれ~ひょっとして清タンも?』
N子の目がギラギラしてましたね。私がいる事など全く気にしてない様子なのです。
それからY子がN子をたしなめると、少し大人しく小声で話すようになったのです。おかげで私の席とは少し距離があるので、彼女の声は途切れ途切れにしか聞こえなくなったのです。
それでも漏れ聞こえたのは『また早く…』『もっと大勢の前で…』全てN子の囁きです。
清美さんの横顔を窺えば、完全に俯いていましたね。私の存在も忘れてるようでした。】
予期せぬ事に妻の友達までが登場してきて、話の先が想像できなかった。それでも淫靡は気配は感じ取れるのだ。
それよりもだ。妻は友人達の会話をどう解釈したのだろうか、そちらが気になってしまう。
【Y子とN子の会話が一段落した時でした。
私は何気ない素振りを装い、誰となく云いました。
『ところで皆んなは、これからも集まったりするのかな』
私の言葉にY子N子清美さんの3人が顔を見合わせました。そして確かY子が、女子会を提案したのです。】
その瞬間、私はあっと声を上げた。
妻が参加した2回の女子会、それの切っ掛けが出来たのは、この男の一言だったのだ。
【この時の私の中では、清美さんの現在の心境、勿論彼女が持ってる性癖が今も蠢いているのか、それが気になっていたのです。そしてそれを確かめる切っ掛けに、その女子会を利用出来ないかと、思惑を浮かべていたのです。
なので私は、彼女達にさり気なく云いました。
『その女子会に、ゲストとして呼んで貰えると嬉しいな』こんな感じでした。】
唸り声を上げて、私はその一文を読み直した。
この元彼の男が、女子会に参加しただと!
いや、まだこの時点では参加が決まったかどうか分からない。しかしおそらく、男は参加に成功したのだ。
となると、妻は私に嘘をついた事になる。
私は記憶を探った。
妻は参加人数を4人と云って、参加者の名前も上げたはず。
そして、その時撮ったという写真も見せてくれた…。
手紙を持ったままの私は、胸騒ぎを感じている。一体これはどういう事だ。
【ではご主人、今回はここまでにさせて頂きます。
この手紙で時系列がだいぶ追いつきました。物語はまだ続きます。
次の手紙は週末にはお届け出来ればと思っています。 では】
読み終えた手紙をそのままに、私は暫く呆然と固まっていた。
今夜、妻と顔を合わせれば何を喋ればいいのだ。
その事が気になってしょうがない…。
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月曜の夜も、私は馴染みとなった居酒屋にいた。
今日の昼間に、妻の元彼が言ってた通り茶封筒が届いたのだ。
お決まりの生ビールをジョッキで、それと軽い摘みを頼むと、私は直ぐに鞄から手紙を取り出した。
それにしても元彼と名乗るこの男は、普段はどんな生活をしているのだろうか。手紙の雰囲気はアングラなエロ小説の感じがするので、男の私生活も病的なものを想像してしまう。
とは言え、男は最初の頃の手紙で自分は役所で硬い仕事をしていると。そして合間に執筆活動をしていると告っているのだ。
男が妻帯者か、子供がいるかは分からないが、この様な手紙を出す以上は、精神の一部が欠損している人間を思い浮かべてしまう。
手紙を持ったまま考え込んでいた私は、店員の声で我に返った。
この夜もビールを半分ほど一気に呑み干してから手紙に目をやった。
【ご主人、こんにちは。
今回の手紙にも、清美さんとの変態セックスの日々を綴ろうと思っていたのですが、今回は少し趣向を変えようと思います。】
いきなり切り出された文面に、私はおやっと少し戸惑った。心の何処かで妻の…ノンフィクションかどうかは置いといてだが…痴態に気持ちの準備をしていたからだ。
【実は私が、清美さんと再会した同窓会の時の話しです。】
『同窓会』の文字に、私は遂に来たかと身構えた。そこにこそ最近の妻の様子に、疑念を抱く原因があると感じていたのだ。
私は同窓会があってから1ヶ月ほどの妻の様子を、改めて記憶の奥から呼び起こそうと試みた。同窓会の詳しい様子までは聞いてないが、彼女の口からは『懐かしかった』『楽しかった』『おもしろかった』といった言葉を聞いている。
それとだ。妻はそれ以外にも…そうだ『同窓会は女の階段が残酷なほどに表れる場所…』確かそんな言葉を口にしていた。いつかの夕飯の席での事ではなかったか。
今になって思うと、『女の階段が残酷』などと、妻が詩的な表現をしたのが信じられない気がする。
詩的…ひょっとしてその言葉を口にしたのは、この男ではないのか。私に不穏な高鳴りがやって来た。
【私は1次会で、清美さんと何十年かぶりに再会しました。会場は立食で、バーカウンターの方に清美さんが向かうのを見て、私が後ろから声を掛けたのです。
振り向いた清美さんを間近に見た瞬間には、雷に撃たれたように硬直してしまいましたよ。彼女の方も、直ぐに私が誰なのか気づいた様子でした。
清美さんは私の理想通りの歳の取り方をされていましたね。身体全体がふっくらした感じはありましたが、歳相応の魅力を醸し出していましたよ。その事を彼女に云うと、頬を赤らめ視線を外しました。そして俯きながら『恥ずかしい…やっぱり恥ずかしいですわ、同窓会って残酷な一面もありますから』と云いましたね。
私は直ぐさま『確かに女性にとっては、女の階段が残酷に現われる場所かもしれないね。でも貴女はとても素敵だ。うん、間違いなく良い歳の取り方をされてる。おそらく素敵な家族に囲まれているんでしょうね』と、そんな事を言いつつ、現在の彼女の家庭環境や仕事の事などを探りました。
アルコールのせいか、会の雰囲気のせいか、彼女はご主人と娘さんがいる事を話してくれましたね。貴方のお勤め先の名前を聞いた時は、嫉妬も覚えました。今の私と比べれば月とスッポンですからね。まあ、それはいいとして話しを続ける清美さんを見てると、私の中にモヤモヤとした感情が湧いてきました。あの頃の二人の秘密を思い出したのです。いや、それは同窓会の案内が届いた時から感じていたものなのですがね。
そして私は、彼女に意味深な謎かけをしました。謎かけの内容は想像にお任せしますが、大したものではありません。『あの頃…あの薄暗い店…いかがわしい場所…外…痛かった?でも…』この程度の言葉を囁いただけです。それでも私は、手応えのようなものを感じたつもりでした。私は彼女の反応を見たかったのですが、立ったままの会話でしたし、周りに他の人達もいましたし思惑通りには行きませんでした。そして彼女は友人に呼ばれ、私に軽い会釈をすると去って行ったのです。
彼女の背中を見送ってますと、私の中にあの頃の薄汚なさが蛆(ウジ)のように湧いて来ましてね。それでも結局、1次会の場では清美さんと話す機会はやって来なかったのです。それからの私は、彼女に近づく機会を窺い続けました。機会が来たのは、2次会の時でした。
2次会にもそれなりの人の数が集まってました。
会場は幹事の一人がやってる店で、洋風レストランの貸し切りでした。
私は清美さんと同じテーブルに着こうと狙ってましたが、運の悪い事に叶いませんでした。それでも彼女が座った4人掛けのテーブル席の背中側に、何とか席を確保出来たのです。
清美さんの席のメンバーは今でもよく覚えています。見た目は当然ながら昔と代わってる人もいれば、面影を残している人もいます。
本名はここには出せませんので、アルファベットで『Tさん』『Y子さん』『N子』さんの3人に、清美さんを入れた4人です。
少し意外だったのが、Y子さんとN子さんです。彼女達と清美さんが特別仲が良かった記憶が、私にはなかったのです。とは言っても、皆んなそれなりのキャリアを歩んだ歳だし、1次会で話が弾んだ可能性もありますから、それほど気にはしませんでした。】
手紙を読みながら、私は無意識に頷いていた。ここに書かれたイニシャルが、私の記憶と一致していたのだ。
Tさんとは、妻が一番仲が良かったという『安田珠美さん』で間違いないだろう。
Y子さんは、名字は思い出せないが、才女で美人で夫婦で教師になった『由起子さん』という人ではなかったか。
そしてN子さんは『大田徳子さん』明るくぽっちゃりタイプの人の筈だ。
【彼女達4人の話を、私は背中越しに聞き耳を立てて聴いておりましたよ。
それでも会話の内容は他愛のないもので、さすがの私も飽きてしまい、同じ席の人達の話に相槌を打つようになります。
チャンスが来たのは、何人かが席を移動し始めた時です。
彼女の隣の席が空くと、他の席の誰かがそこに座り。また空くとそこに違う誰かがやって来る。中には当然男子が座る事もありました。
私は中々タイミングが合わなかったのですが、やっと機会が来てくれました。しかも私が移ろうとすると、他の人がトイレにでも行ったか、私と清美さんの二人きりになれたのです。
テーブルの角を挟む形で、私達は見詰め合いました。と書けば、嘘っぽいと思われるでしょうが、私の方はシッカリ彼女を見詰めましたよ。そうです、むかし彼女に調教を施す時に向けた眼差しです。
僅か何十センチの距離で見詰め合いますと、彼女の瞳が揺れるのがよく分かりました。二人だけの世界です。
そのまま見続けてますと、その瞳が潤んで来るのが分かりましてね、私は小さな声で彼女にだけ聞こえるように『清美は変態マゾ』と囁いてやったのです。
彼女の胸の鼓動が、鳴り出したのが分かりましたよ。】
読んでる途中から、私の鼓動も鳴り出している。
【さて、ここで話は一旦過去に戻ります。
私と清美さんの別れです。】
『別かれ』の文字に、私の胸がキリリ疼き始めた。
【別れた理由は幾つかあるのですが、例の女店主。この人の中に何だかんだ言いながら、嫉妬心があったのです。私は清美さんの処女を頂いてから、調教の過程をその女店主に報告していたのですが、最初は興味津々、スケベ心満載で聞いてた女店主も、次第に清美さんを嫉妬の対象にしていたのです。ある時、私達の関係…私と女店主、私と清美さん、二つの関係を世間に教える言い出したのです。
私としたら清美さんを救う為だと言えば、格好の付けすぎですし信じて貰えないでしょうが、心の中には清美さんを想う気持ちを持っていたのです。
ある平日の昼休み、私は清美さんを学校の校舎の裏に呼び出しました。
制服のままの彼女は、いつもと違う緊張をしていたと思います。
その場所で私は、別れを切り出すわけですが、その時ちょっとした賭けをしました。】
賭け?…私の頭に疑問が浮かぶ。
【私はそれまで、決して人様に見せれない彼女の卑猥な写真や動画を、デジカメで撮ってきました。そしてソレを脅しの材料にして、清美さんを言いなりにしてきたわけです。
しかしその画像や動画を消したとしても、彼女は性奴隷として私に従い続けるだろう思っていたのです。
なので私は、デジカメの画面を見せながら『この通り』と、目の前で証拠を削除して見せたのです。
しかし、彼女は暫く眉間に皺を寄せてましたが、小さな声で『さようなら』と云ったのです。それは私が賭に負けた瞬間でした。もしも清美さんに服従を誓う様子があれば、私は例の女店主と争う気持ちもあったのですがね。
それで残った私はどうなったか…まぁそんな事はどうでもいいのですが、その後は惨めで陰湿な人生を送るのです。
結局、私と清美さんの関係が続いたのは半年くらいです。
ご主人は私の事を、妄想にかぶれた只の変質者と思っているかもしれませんね。それは否定しませんが、私が清美さんと過ごした半年の時間は本物です。そして事実です。証拠として幾つか上げて起きましょう。
清美さんの剛毛の件は、以前に話したと思いますが、それ以外に、彼女のアナルの右横に小さな小さなホクロが縦に二つ並んでいますよね。】
その文字を読んだ瞬間、雷に打たれたような衝撃を感じた。
アナルの横で縦に並ぶ小さな小さなホクロ。それは今、この手紙で読むまで忘れていた事だが、それは事実で間違いない。
【それともう一つ、清美さんの左胸の乳首】
その文字にも、私の記憶が躍動し始めた。
妻の左の乳首に、何が…。
【ほんの少しですが、右の乳首に比べると陥没気味ですよね】
アーーーッ、思わず叫びが上がってしまった。
【何度も彼女の身体を打ったり縛ったりしていたので、目に付いていたのです。
まぁこの二つだけでも、私達が関係を持ってた動かぬ証拠と言えるのではないですかね。
でも、写真などは残っていませんし、貴方を脅す気もありませんので安心して下さい。
では再度、2次会の話しに戻りたいと思います。】
私は便箋を次に捲ろうとして、一旦手を止めた。
手紙の内容を振り返れば、別かれのシーンを思い浮かべてしまう。
男は写真や動画を消しても、妻と主従の関係が続くと自信を持っていに違いない。しかし清美は、彼との関係を解消したのだ。そして賭けに敗れた男は、それから何十年も清美と会っていなかったのだ。
そんな男が妻と同窓会で逢って、それから…。そう、それからどうなったのだ。何故、このような手紙を送る事を思い付いたのか…。
私はその答えを知りたくて、手紙に目を向け直したのだった。
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追加で頼んだビールが届くまでの間、私は目を瞑り気持ちを落ち着かせようと試みた。
それでも頭に浮かぶのは、妻の放尿シーン。そしてその場面を無理やり打ち消そうとする私。
この手紙は事実と元彼の妄想が混在しているのだ。だからといって、事実を確かめる術はない。清美にだって訊ける筈がない。
その時、私はふと思い付いてスマホを取り出した。
妻にLINEを打つのだ。
『むかし、元彼の前で放尿…』と書いたところで慌てて削除した。俺は何を考えているんだ!
自分を落ち着かせて打ち直す。
『あと1時間ほどで帰れると思います。先に寝てて。』
スマホを閉じたタイミングで追加のビールがやって来た。
私は又もそれを半分ほど一気に呑み干し、それから手紙を手に取った。
【私は目を覚まさせるつもりで、便器にしゃがんだままのデカ尻を思い切り打ってやりました。清美はヒィーっと我に返りました。そしてそこから降りるように言いました。
清美はまだ朦朧としていたので、冷たいものを用意してやりました。その時は酒じゃなくて、コーラか何かだったと思います。
そう言えば書いていて思い出しましたが、同窓会では清美さんはビールを美味しそうに呑まれていましたね。】
男の言葉に私は軽い衝撃を受けた。確かに妻はビール専門なのだ。そして女性としては、かなり行ける口なのだ。
それにしても、元彼はやはり実在して妻と同窓会で再会を果たしていたのか。
【水分を摂り終えて、暫く清美の様子を見ていました。彼女はずっと俯いたままでした。そのうち、私は変な気を起こしましてね。さて、それは何だと思いますか?】
私は唾を飲み込んだ。この元彼と名乗る男は、私の心を弄ぼうとしている。
【私はもう一度二人で浴室に行く事にしたのです。でも、そこで身体を洗いっこしたわけではありません。
今度は私が、彼女に放尿シーンを見せてやったのです。
と言っても、清美にももう一度させたのですがね。そうです、互いの身体に小便を掛け合ったのです。
どうですかご主人、私と清美の関係は。普通の変愛とは、ほど遠い歪な男女関係でしょ。
さて、今回はここまでにしておきましょうか。
得体のしれない物に突き動かされて、自ら望んで痴態を晒す女になった清美さん。次回もそんな彼女の姿をお楽しみに。
次の手紙は、頑張って月曜にはお届けしたいと思います。 では】
読み終えた私は、どっと疲れを感じた。意識して息を吐いて、頭の中を整理しようとするが中々うまくいかない。
手紙の主が本当に妻の元彼かどうかは分からないが、同じ高校に在籍した誰かであるのは間違いないだろう。
そんな事を考えながら、私は店を出る事にした。ビールの残りを飲み干して立ち上がったのだった。
今夜も自宅に向かう私の足元は安定していた。このところ幾ら飲んでも酔えないのだ。
家に着けば、妻は既に寝ていた。
先日と同じように寝姿を覗いてみるが、変わったところはない。勿論、自慰行為をしていたとも思えない。
それでも今夜の私が頭に浮かべるのは、変態チックな妻の姿だ。
鏡の前で立ったまま、男に突かれて卑猥な隠語を吐き出す妻。
鎖と手錠で拘束されてムチ打ちされる妻。そして甘みが混じった嘆きの声を上げる妻。
陰部にディルドを咥え込み、四つ足で歩く妻。そしてその尻を打たれる妻。
黒マスクを被り、シャッター音に欲汁を垂れ流す妻。
そして放尿姿を披露する変態女。
ベッドでスヤスヤと寝息を立てるこの妻が過去の事とはいえ、あの手紙にあったような変態行為をしていたとはどうしても思えない。
しかし…。
私は意識して大きな息を吐き出した。
その時、ふと考えついた事があった。今の妻に、性欲というものがあるのだろうか。
女は死ぬまで女。女は涸れる事がない。そんな文字をどこかで読んだ気がする。しかしそれを、妻の清美に置き換えて考えた事など一度もない。
そう言えばアダルト業界では、今も熟女人気が凄いらしい。
世の中には心に欲求を溜めた人妻がたくさんいるのだ。そんな女性が、同窓会で元彼と再会したらどうなる…。
いや、手紙の主は元彼ではなくて、本当は妻に想いを寄せていた他の誰かではないのか。その男が同窓会で妻と逢って、妄想を手紙に書き綴っているだけではないのか。
でも、私にはそれを確かめる術がない。そう、術は全くないのだ。
ああ、次は月曜だ。月曜日には元彼と名乗る男から、4回目の手紙が来る。そう思った辺りで、私は睡魔を感じたのだった。
次の日、木曜の朝も私は、妻を盗み見していた。テキパキ動く日常の妻をみれば、過去の事とはいえ彼女がSMチックなセックスの虜になっていたとは到底思えない。それでも、私には想うところがある。妄想もある。
今の妻に疼きはあるのだろうか?あったとしたら、その処理はどうしているのだ。同窓会で再会した誰かに誘われたら、妻はどうする?
この日、家を出た途端に、新たな妄想が湧き立って来たのだった。私は職場に着くと、直近の予定を確認をした。私が嘘の出張を妻に告げれば、彼女は娘の所に行くと云って、男に逢いに出掛けるのではないか。
しかし出張などは、入りそうになかったのだ。
金曜の昼休みーー。
私は部下の後輩社員に声を掛けられ、飯を奢る事になった。確か先日、呑みの誘いを断っていたのだ。
近くの喫茶店に入り、食べ終えて飲み物を口にした時だった。
「山口、その後は悪さしてないよな」私の前の席で、吉田が唐突に隣に話し掛けた。
「何だよ急に、悪さってよ」山口が吉田を軽く睨みつける。
「お前、この間話してた女性と浮気、続いてるんだろ」
「又その話か。あれは浮気じゃなくて、恋愛だって」
「でも、相手は既婚者なんだろ。じゃあ浮気じゃないかよ」
「だから、何回も云ってるけど結婚してるって知らなかったんだよ」
「聞いて下さいよ、山口のやつ」吉田が山口の言葉を聞き流して、私に目を向ける。「こいつバーで知りあった女性が既婚者なのを知ってて誘ったですよ」
「こら、話を作るな。前も言ったけど、その人は指輪してなかったんだぜ。それにお互い酔ってたし、細かい事まで気にしてらんなかったんだよ。それに俺は独身だぜ」
「アホ、そんな言い訳は大人の世界じゃ通用しないんだよ」
「あのなぁ、それに相手の旦那にバレて問題になったわけでもないって、この間も言ったろ」
言い終えた山口が、視線で私に助けを求めてきた。
「別にそのなんだ、関係を持ったと言っても一度きりで、続いてないんだろ」私は飲みかけのコップを置いて、山口を窺う。
「いや、コイツはその後も、その人が人妻と知ってて誘ってるんですよ」吉田が横から口を出してきた。
「だ、か、ら、誘ってないって言うの!暫く会ってたけど、人妻と知ってからは会ってないっつうの」
私は口を閉じて、山口に向かって頷いてみせた。
山口がフーっと溜め息をつく。「それにしても、寂しがり屋の人妻って結構いるんだよな」
「お前がその人が結婚してるって気づいたのは、指輪は関係ないんだよな」と、吉田。
「ああ、俺と逢う時はいつも外してたみたいだ」
「それである時、カミングアウトしたんだっけ」
「そうだよ、実はアタシって、な」
「当然お前はビックリしたんだろ」
「また同じ話をさせる気か」山口が又も吉田を軽く睨む。
「何回聞いても面白いし、それに」と、吉田が私を窺った。どうやら上司の私に、最初から話を聞かせたいようだ。
「ううん」私は咳払いをして、山口に頷き掛けた。
山口が苦笑いを浮かべて、少し前屈みになった。「あのですね。その時俺、いや私、シティホテルのバーで一人で呑んでまして…」
彼は私に言い訳でもするかのように、その女性との出会いのところから詳しく話し始めたーー。
山口がたまたまバーで知りあった女性と意気投合して、酔った勢いでホテルに誘ってしまったらしい。そして彼は女性が指輪をしてないのを良い事に、関係を結んでしまったのだった。
行為の後には連絡先の交換までしたのだが、その連絡先が本物かどうかは、半信半疑だったとの事。けれど連絡をとってみて繋がった時には、舞い上がったそうだ。
それから暫く関係が続くわけだが、その人が既婚者と知ったのは、先ほど聞いた通り相手の告白によるところらしい。
既婚者だと知って山口は驚いたが、浮気の理由にはそれなりに納得したのだった。何でもご主人とは5年近くセックスが没交渉で、表面は良き妻を演じていたのが我慢の限界が来たとの事。そのタイミングであったのが、なんと同窓会。そしてそこで、再会した同級生と間違いを起こしてしまったと。
その時の同窓生とは一度きりだったが、女性はなぜその同級生と関係を持ったか自分でも分からなかったと告う。その男性はお世辞にも、好みではないし、うだつの上がらない魅力のない男に観えていたのにと。
だけども性的に満足した彼女は、自分が女である事を思い出し、疼く気持ちを抑える事が出来ずに頻繁にバーに出入りするようになったのだった。
「なるほど、そこで山口と出会ってしまったわけか」と、私は苦笑いを彼に向けた。
私の言葉に頭を掻く彼を見ながらも、私の胸の中では不穏な気持ちが湧いていた。まさか山口の相手の人妻が、清美の筈はないが、このタイミングでこの様な出来事が部下にあった事に、何かしらの暗示めいたものを感じていたのだ。
喫茶店を出て、3人で職場に向かう私の頭の中には、ある言葉がこびり付いていた。『主人とは5年近く没交渉』
女とはその位で、欲求に歯止めが効かなくなるものなのか。うちは何年だ。間違いなく5年以上だ。
私は改めて妻の事が気になりだした。妻に欲求不満があるなら、いずれ元彼以外の他の誰かとでも間違いを犯すのではないか…。
それでも…結局、木曜から日曜には妻に大きな動きはなかったし、私が彼女をベッドに誘う事もなかった。
心の何処かで例の手紙の行く末を見てからにしたい、と考えてしまう私がいたのだ。
そして、月曜日がやって来たのだった。
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手紙を手にしたままの私は、自分を落ち着かせる為にビールを飲もうとジョッキを見たが、中身は空だった。
直ぐに追加を頼み、注文が届く間に妻と元彼の事を考えた。
元彼と名乗る男には『女店主』と呼ぶ恋人か愛人が既にいたわけだ。手紙からは、間違いなく彼より歳が上で、性の支配者のイメージがある。
元彼は若くして女店主から性技を受け継いで、その体験を妻に対する長年の想いを込めて、そして同時に溜め込んだ妄想を実現しようと発揮している気がする。そして妻は、性の魔物に取り憑かれたように男の傀儡と化してる気がするのだ。
注文したビールが運ばれてきた。
それを半分ほど一気に呑み干し、私は再び手紙に目をやった。
【その部屋には人を張り付けにする器具がありましてね。壁から2本の鎖が伸びているんです。分かりますかね。鎖の先は手首を拘束する手錠形の輪っかがあるんです。それを清美さんに繋いだわけです。
黒マスクはまだ被ったまま。アソコはバイブを咥えたまま。その状態で、私はムチを使いました。
とは言っても安心して下さい。私は、女店主との関係において、サドの時もあればマゾの時もあったのです。
ですのでムチ打ちのコツと言いますか、何処をどの程度の強さで打てばどうなるか、そんな事は承知していたわけです。
それでも清美さんのあの豊満な臀は、かなり強く打ちましたけどね。】
私はウウウっと唸りを上げた。同時に男のほくそ笑む笑いが聞こえた気がする。
【尻打ちから始まり、乳房も打ちました。
衝撃による清美の叫びは、恐怖を含んだものでした。
そのくせ彼女は、乳首を立てていましてね。その事を教えてやると、首を振りながら羞恥が混ざった鳴きの声を上げましたよ。
乳首を甘噛みしてやると、鳴きの声にも甘みが入って身体全体をを震わせましたね。
臀を打った後に股間を見ると、液汁がバイブを伝ってタラタラ流れ出ていましたよ。いつの間にか痛みに代わって、陶酔が下半身にも伝わっていたんでしょうね。
ある程度打ったところで、清美のマスクを剥いでやりました。
彼女の顔は汗でぐっしょり、前髪が額にベットリと貼り付いていました。瞳は虚ろで、それでも次に何をされるか恐怖もあったと思います。
私はそんな彼女を優しく抱きしめると、唇を重ねました。清美は私を受け入れ、何かに取り憑かれたように夢中になって私の唇を吸い返してきましたよ。
あの瞬間、清美は間違いなく暴君、即ち私の性奴になったのかもしれませんね。】
今夜何度目かの呻き声が、私の口から上がった。この男の告う事が本当の事なら、その瞬間、妻が奴隷宣言をした事になるのではないのか。
【黒マスクに続いて手首の輪っかも解いてやると、清美は私に垂れが掛かってきましてね。そのままベッドへと連れて行きました。
そして寝かせてから、彼女のミミズ腫れの後を優しく舐めてやりました。
私はそのまま愛撫を続け、それまで以上に優しく優しく彼女を陶酔の世界に運んであげたのです。
その後は分かりますかね。
私達はノーマルなセックスに入ったのです。
清美は好きでもなかった男に、急速に開発された自分の身体が恥ずかしかったのでしょうが、直ぐに私の愛撫に身を任すようになりました。そして自分から身体を開いたのです。
分かりますか?それは従順と見せかけて、実は自分の快楽を求める動きなんですね。
私達は愛し合いましたよ。サディスティックな行為の後でしたし、彼女はこれまでとは一味違った快感を得たんじゃないでしょうか。
ノーマルな愛し方に逆に安心したのか、清美の声は遠慮のないものでしたね。腰の振り方も激しさが増したものでした。私は何度も射精していましたが、それでも彼女に、最後の一滴まで吸い取られた感じでした。
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そうそう、それとご主人に伝えておく事がありました。それは避妊の事です。】
その文字を見た瞬間、私はあッと大きな声を上げた。
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その事を例の女店主に話した時がありまして、私はこっぴどく叱られました。そして女店主が、何処からか避妊薬を用意して来てくれたのです。
女店主とのセックスでは、私はコンドームをせずにやっていたのですね。そのせいか、清美さんにもついウッカリ、生で挿入していたわけです。
清美さんに避妊薬を渡したのは何時だったか記憶が定かではありませんが、ソレを受け取った時の彼女の様子はよく覚えています。
その薬を飲む時の彼女の気持ちを考えると興奮しませんか?
飲む行為は、男に抱かれる事を自分で肯定するわけですよね。しかも相手は憎いはずの男ですよね。
快感を得る為なら、清美さんは悪魔にでも魂を売る女だったのですかね。まあ、この辺りの話は私もよく分かっていません。もし機会があれば、ご主人から訊いてみて教えて下さいよ。】
男の嗤い声が耳鳴りのように、そして得体の知れない女の叫びが、喘ぎとなって聞こえて来るようだ。
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SMチックな部屋でノーマルなセックスをした私達は、寝入っていましたがやがて目を覚まします。
清美を浴室に誘うと、彼女は恥ずかしげに付いて来ました。その時の様子は何と言うか、男の後を半歩下がって淑やかに付いて来る感じなのです。
おかしいですよね、憎い男の筈なのに…私の身体を洗う清美を見ながら、そんな事を考えているとサディスティックな癖が再び顔を覗かせてきましてね。風呂から出た私は、もう一度清美に羞恥を味わわせてやったのです。そう、部屋の隅に便器があるんです。
便器?と、その文字が誤字だと思った私だったが、読み進めて驚愕した。
【ソレは腰高の狭い空間に設置されているのです。短い階段があって、そこに上がると用を足せるように出来てるわけです。しかも和式です。
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私は命じてやりましたよ。
さすがの清美も、顔を真っ青にしましてね。それでも私の冷たい眼差しに悟ったんでしょうね。そこに上がりまして、しゃがみました。
私が屈んで少し目線を上げると、清美のソコの状態が丸見えです。
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『分かってるだろ清美、小便を垂れ流せ。お前は変態女、遠慮せず放尿しろ』とね。
清美のケツが泣き出しそうに震えましたよ。私はもう一度ムチで尻打ちです。
本気の鳴き声に、私はゾワゾワと背中を粟立たせました。
そして尻打ちを続けていると、清美の陰部がブルルと痙攣しました。
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清美は鏡に映る自分の顔を見ながら、尿を放流する音を聞いたのです。】
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彼女の泣き声を聞いても、私にあるのは歪な高鳴りです。興奮です。憧れの女性の放尿を目の辺りにしたのですから。】
手紙の男と同じで、正直なところ私も興奮を覚えていた。
しかし、さすがにこれはフィクションだと、心の何処からかそんな声を呼び起こそうとする私がいる。
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妻清美の元彼の男は、『旦那に覗かれてると思って宣言しろ』と云った。
『そうすれば新たな快楽に酔う事が出来る。今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ』とも云った。
暗闇の中、男の言葉を聞いた私は、あの手紙に書かれていた事と、目の前の出来事を重ね合わせようとする自分を自覚していた。それはレイプ同然に“初めて”を奪われた清美が、やがては男の傀儡となり身を任すようになった事実だ。
「どうした清美。己の性癖にのっとって欲望を持つ事、それを適切に引き受ける事に罪はないんだぞ」
「んん…っ」
「さあ、旦那にお前の真の姿を見せてやれ、教えてやれ。自分の性のテリトリーに誰かが侵入してもな、それが夫なら休眠していた刺激が掻き立てられると言うものだ」
男の教育者然とした言葉の後には、再び沈黙の間が降り立った。私達は息を詰めたまま、男の醸し出す雰囲気に取り込まれってしまっている。
傅いたままの清美だったが、スッと顎を上げた。私が拝む清美のその顔は、トロ~ンとして何処か呆けの表情(かお)になっている。
「あぁ、貴方…」
ギクリと胸の鼓動が跳ね上がった。
「やっぱり…アタシ…おかしい…」
朱い唇から漏れ聞こえた感情に乏しい声は、私に向けられたものなのか。清美の瞳は虚ろで、芝居がかった気がしないでもない。しかし私の背中は、現実的な冷たさを感じている。
清美がフラリと立ち上がった。そして再び男の前に身を曝す。
その後ろ姿、男に脂が乗ったと云われた肉の凹凸が、この僅かな間に研ぎ澄まされた気がするのは、何故だろうか。
「あぁ貴方…見て下さい」
清美が両手で、項(うなじ)を掻き分け、胸を張る。
僅かに逸らしたその横顔には、羞恥の気振りが現れている。けれど男の視線を、真っ直ぐ受け止めてもいる。
「乳首がさっきよりも、ビンビンだな。その事も旦那に教えてやりなさい」
「…あぁ…ふっ…うううッ、貴方、アタシのココ…乳首が尖り立って、ビンビンになって、ます」
「理由は」
「ううッ、それは…アタシが、見られて…あぁ、感じる女、だから、です…」
「見られるだけで感じる女…変態って事だな」
「は、はい…」
「よし、続けて」
「はい…貴方、アタシは見られて、オマンコを濡らすマゾ女…見てて…下さい」
清美の両足が左右に滑り、ガニ股に拡がった。
「さあ、それで」
男の声を聞く間もなく、清美の手が股間のあわいに潜り込んだか、肉付いた腰から臀がプルルと震える。そしてチュプリと濡れた音が立つ。
「あぁグショグショぉ…貴方、アタシのオマンコ濡れて濡れて…」
「何、もうそんなに濡れてるのか」
「は、はい」
「恥ずかしい女だな、清美は。やっぱり変態で間違いなかったわけだ」
「そ、そう…そうです」云って清美のソコがチャプチャプと淫猥な音を立てる。清美の指は、ソレ自身が意識を持った生き物のように蠢いているのだ。
「ああ、凄いな。床まで垂れてるぞ」
「あぁ止まらない、止まらないんです」
「ふふっ、旦那に見られるのがそんなに嬉しいんだな」
「ち、違う、違います、そんなんじゃ」
「ん、違うのか?」
「いやん、違うんです」
「どっちなんだ」
「気持ち、気持ちいいんです。見られながら弄るのも、虐められるのも」
「ふふ、マゾらしい声に、マゾらしい表情(かお)だ」
「あぁ、恥ずっ、恥ずかしい」
「じゃあ止めるか。恥ずかしいんだろ」
「いやっ、そんな、違うっ」
「ふふっ、恥ずかしくてもそれが快感なんだよな」
清美が黙って唇を噛み締め、首の首肯を繰り返す。その間も指は、股座を弄ったまま。
と、清美の膝がガクガクと揺れ出した。
「も、もうダメ…逝きそう…」
私の膝も合わせたように、ガクガク震え出し、前につんのめりそうになっている。
「あっ、ああッ、逝っ逝ぐッ、逝きそう、逝っていいですか!」
主に伺いを立てる女の喘声。私の中の熱いものも沸点に達した。そして清美は、居る筈のない私に聞こえるようにか「んあーーーッ」と、お叫びを上げて、床に崩れ落ちたのだった。
床にひれ伏した肢体からは、はぁはぁと息が溢れて痙攣を繰り返す。
「なんだ、もう逝っなのか」男からは白けたような冷たい声。
私の方は、崩れ落ちた清美の肢体を見据えながら、大きな息を絞り出した。
覗き穴から見る世界は、手を伸ばせば届きそうな気がしていたのに、今は遠く感じる。この距離が我々夫婦の距離なのか。
「逝くのが早すぎだな。だが本番はこれからだ」
ああ、何が『本番』なのかと私は訝るが、男の仮面は笑いを続ける。
「清美、お前が官能の喜悦に、のたうつ姿をもっと旦那に見せてやるとするか。勿論、相手をするのは…」と、男が立ち上がった。
男の胯間には黒い一物。ソレを見た私は、思わず自分の股間に気が付いた。私の愚息が今にも飛び出さんとばかりに、巨(おおき)くなっているのだ。
男がソファーにふんぞり返るのように腰を降ろした。そして自ら股座を開げる。
その太々しい態度は、寄って来い、傅け、拝め、仕えろ、と云ってる気がしてならない。
清美がのっそりと身体を起こすと、四つ足になって男に寄って行く。
「フェラチオをした時、思い出しただろ。次は何だっけ」男が足元の清美を見下ろす。
「はぁぁ、先生…いえ御主人様、お尻を、お尻を舐めさせて、下さい…」
その声を聞いた瞬間、私の股間がそれまで以上に膨らんだ。
清美は本当にやるのか…私の唇がワナワナと震える。
と、清美が男に抱きつき、唇にムシャぶりついた。
激しく交わる唇と唇…いや、見ると夢中になっているのは清美だけで、男は覚めた眼差しをしている。
「あぁん、先生っ」唇を離して、清美が、もう堪らないっといった表情を向ける。
「さあ、次はなんだ」
「あぁ分かっています…分かってますわ」
赤身を帯びた身体が再び膝を付いて、主を見上げる。
「…御主人様、立って…立って下さい。そしてお尻を…」
これはもう、昔あった流れそのものなのではないのか…そんな事を想い浮かべた私の視線の先で、男が清美に背中を向けて中腰になった。
そこにあるのは、年老いた男の汚い臀。その割れ目を拡げる女。そしてそこに唇を近づけるのは、間違いなく妻の清美なのだ。
チュパチャパ、ジュルジュル、先ほどの口付けより卑猥な音が鳴り出した。
昔の男に夢中になる女と、昔の女の奉仕をシレッと受け止める男。そして、妻の健気さに絶望を感じる私。
ああ…この次は…。
やはり…。
清美は男のモノを… 。
アソコに…。
迎え入れるのか昔のように…。
それだけはと、私は無意識に立ち上がっていた。
そして何を想ったか、膨らみきった股間のソレを、今まで覗いていた穴に挿し込んだのだ。
コレを清美の膣(なか)に。
私は自身の先に濡れを感じる。我慢の汁が妻を欲しがっているのだ。そこに清美の感触を迎え入れたくて、待っている。
それなのに…。
聞こえて来たのは…。
「仔犬だったお前は今は雌豚。自分の快楽の為なら何でもする雌豚」
「あぁーーー言わないで、御主人様ッ」
「清美よ、後ろを振り向いてみろ。あそこに見えるのは何だ。壁からニョキッと突き出た貧相なヤツだ」
「………」
「ん、どうだ?」
「…あぁ、あんなモノ」
「ふふっ、そうだろうな。清美はやっぱりコイツだな」
「は、はい。勿論です!」
「じゃあ、分かっているな。お前にお似合いの格好で突いてやるか」
「あぁ、嬉しーーーっ」
間違いのない清美の叫びの後は、肉と肉が打つかり合う音が聞こえて来た。
覗き穴から一物を突き出したままの滑稽な私は、それでもいつかは、この先っぽに泥濘みを感じると信じて…いや願って、惨めな姿勢を続けるのだった…。
・・・・・・・・・・・・・
狭いクローゼットの覗き穴から、惨めな愚息を突き出し、壁にへばり付いていた私。
覚えている事といえば…。
『どんなに熟練した夫婦にも、細胞の一つ一つが弾み立つような熱感に焙られる一瞬があるものだ。その一瞬とは、自分の妻が他の男とやる場面に出会う瞬間の事だ』
『信頼と不信。安全と危険。既知と未知。合意と強制。和姦と強姦。その両極端な境目を彷徨うのも、これまた至福のひと時。また同じ気持ちを味わいたければ、連絡を』
ーーーそれは誰に向けたのか、妻の元彼の男が、言い残した言葉だったのだ。
気が付いた時には、由紀子さんが目の前で慈悲深い目を向けていた。
既に部屋には誰の姿もなく、私は由紀子さんに連れられ、呆けたまま帰り支度に入ったのだった。
そんな私は、帰り際に由紀子さんから手紙を渡された。
見覚えのある茶封筒に見覚えのある筆跡。
それは…。
【妻の長い眠り】という一人称で描かれた小説のプロローグの部分だった。
【~プロローグ~
同窓会で再会した昔の彼女は、何十年の時を経て私の元に戻って来たのです。
彼女は再び、歳の離れた私の性奴になる事に幸せを見いだし、私はと言えば、その期待に応えるよう調教を始める事にしたのです。
そこには彼女にとって昔とは違う、新たな興奮と快楽がありました。
そうです、夫があり家庭がある今の彼女にとって、それらを裏切る後ろめたさこそが、堪らないものだったのです。
彼女は私が呼べば、これからも何処にでもやって来るでしょう。そして、私が言う事には一切逆らわず、その身を曝け出す事でしょう。
さあ、親愛なる読者の皆さん、これから始るこの小説(はなし)に暫くお付き合い下さいませ。必ずあなた方に、素敵な興奮が訪れる事をお約束致しますので。】
~おしまい~
(^_^)オワッタオワッタ
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清美は素っ裸で四つん這い。おまけに臀を拡げて男に服従の姿を示していた。
この狭いクローゼットの中から小さな穴を覗く私は、妻と元彼…二人の世界に焦燥感を覚えている。しかしそこには、哀しいかな確かな興奮があるのだった。
「ふふっ、どうした、尻(ケツ)が震えてるぞ。アソコから液が溢れ出てるんだろ。さあ確かめてみろ」
あぁ…又も嘆きの声を落として、清美が眉間に皺を寄せる。そして彼女の右手が股間へと向かった。
「どうなんだ」
相変わらずの落ち着き払った男の声が、私にまで染み渡って来る。私自身のアレからも我慢汁が滲み出る。
「どうなんだ!」
「あぁ、濡れてます…アタシのアソコ…はい…」
「そうだろう、お前のソコは汲めども尽きぬ泉だ。汲めば汲むほど滾々と湧き出す無限の鉱脈なんだよ」
清美が鳴きの表情のままに、頭を落とす。
「よし、こっち来い。四つん這いのまま、這って来るんだ」
怖々と頷き、清美は言われるまま四つ足で振り向くと、尻を私の方に向けて男の元へと寄って行った。
そして、両手両膝を付いたままで顎を上げる。清美が見上げるのは、立ち上がって待ち構える初老の男。
男がガウンの結び目を解いて、前を開げた。ガウンの中は、パンツ一枚の裸身。その格好で清美を見下ろす。清美の目の前には、何十年ぶりかの胯間の膨らみがある。
「ふふふ、懐かしいだろ。さあ、次は分かっているな」
「………」
「ほら、ご挨拶からだろ」
「あぁ…」
その嘆きの意味は何なのだ。記憶の奥から何かが湧き立って来るのか。
白い背中が震えている。豊満な臀部は、蠢いて観える。
私は次に清美が吐き出す言葉が、怖くて仕方ない。
そしてーー。
「…おチンポを、しゃぶり、ます…」
あーーッ、私の口から、声にならない叫びが上がった。妻は、清美は、淫語4文字に続いて『おチンポ』男性器の呼称を口にしたのだ。これが思春期の清美の正体。私の知らなかった妻がいる。
驚愕に震える私の視線の先で、清美が目の前のパンツに手を掛けた。
私の身体は、金縛りにあったように動かない。しかし又もや、下腹から股間の辺りに、ゾワゾワと波が寄せて来た。
悠然と立つ男がやけに大きく観えて、主従の関係がこちらにも伸し掛かって来る。
いそいそと清美の手が動き、男のパンツが下ろされた…その瞬間、跳ね上がるソレが見えた。
何十年ぶりかに目の辺りにする生身の象徴に、清美は何を想うのか。頭の中は、一気にあの頃に戻ってしまうのか。
「さあ、鼻を近づけろ。匂いを嗅げ」
鋭い言葉は、私にも突き刺さる。
清美の手が伸びて、男の象徴を握った、かに観えて、唇が…。
「うぶっ…ううう」
甘く鼻に掛かった清美の声。あぁ、間違いなく口に含んだ音は、ネットの寝取られ動画にあったものと同じ音…。
私の目が更に見開かれる。
フェラチオーーそれは女が男に示す性愛の行為だ。
清美は薄目を開けて主を見上げ、そしてお仕えするかのように、その肉棒の匂いを体内に迎え入れるのだ。
袋に吸い付く音が聞こえてきた。
竿に唇を這わす音がする。
そして全体を舐る音。
そんな清美の口元がハッキリと見える。こちらに気付く筈がないのに、男は清美の横顔が見やすいようにと、角度が調整された気がするのだ。
頭の中に、又も男からの手紙の一場面が浮かんで来た。高校生の清美が男のモノを咥える姿。あぁ、あの頃、犯されたはずの清美の唇は、やがては目の前のこんな風なシャブリを…。
私は自分の妻の舌が、こんなに長い事を知らなかった。私は、妻がこんな風に鼻を鳴らすのを始めて聞いた気がする。
そして清美は、いつの間にかウンチングスタイルだ。豊満な尻を曝し、奉仕に取り込まれている。その格好も姿も、全てが一度も私に見せた事のないものなのだ。
「かなり気持ちの入ったオシャブリじゃないか。欲求不満は満更でもなかったようだな」
男の問い掛けにも、清美はモゴモゴ口元を動かしながら頷くだけ。
「昔のお前も、そういう風に下品に股座を拡げて、コイツをシャブったものだ。どうだ濡れ具合は?お前はシャブってマンコを濡らす変態女だったよな」
「恥ずかしい…」男の物から一旦唇を外し、清美が恨めしそうな目を向ける。
「さあ、どうなってるか確かめてみろ。シャブりながらだ」
清美の手が、自身の股座へと向かう。
「どうだね」
「あぁっ、濡れてます…さっきよりも凄く…」
「ふふっそうか。ところで久し振りの私のコレはどうだ。旦那と比べてシャブりがいはあるかね」
放たれる男の一言一言が、鋭利な刃物となって私に向かって来る。しかし私のアソコは、先程から硬くなってしまっている。
「しゅ、主人のは…何年も…ませんわ」
清美のその声質が、より一層私の胸を締め付ける。
「そうか、そんな気がしていたよ。お前のそのシャブり具合を見ればな」
「あぁぁ…」
嘆きの響きを残し、清美の顔が落ちた。そんな彼女の姿を、男は見下ろす。天を向いた胯間のソレは、無言の説得を続けているように観えてしまう。
「質問を変えるが」男が自身の肉棒を握って、清美の頬を叩く。「旦那以外の男とはどうなんだ」
「………」
私はグッと唇を噛み締め、前を見詰める。
「他の男の人…ありま、せんわ」
「そうだよな、清美は基本的に浮気出来る女じゃない。お前は浮気でなくて本気になるタイプだからな」
ああッと、声にならない声が私…そして清美からも上がった。
「婚姻生活はそれなりのキャリアだが、性生活はあまり満足がいってなかったわけだ」
私の胸の痛みは更に広がり、硬くなっていたアレが萎んで行く気がする。
「だからと言って、ここで直ぐに抱いて貰えると思うなよ」
「ああッッ」
今度はハッキリとした声が、清美の口から上がった。それこそ、それは嘆きの声ではないか。
先日の夜、一人で自分を慰めていた妻。
勃たなかった夫。
元彼と再会して、過去の醜聞にさえ、情欲を湧かせてしまった妻清美。
清美には突拍子のない刺激が必要なのだろうか。そして男は既に、その事にも気付いているのか?
私はどこか怨めしい気持ちを自覚した。これは妙な気持ちでもある。何かが確実に蠢いている。
「一つ面白い話をしようか…」
一瞬の間を、男が清美、そして私に与える。
「…男がこの世で一番興奮するのは、何か分かるかい?」
「………」
「それはな、自分の女房が他の男とやってるのを覗く事なんだ。しかも相手が私のような悪党の匂いがする奴なら尚更なんだよ」
「………」
「分かるかな。これは思春期の頃には出来ない、婚姻生活をおくった者にしか分からない快感であり興奮だ」
「………」
「とは言え、ここにお前の旦那はいない。だがな、何処かで私達の様子を視ているところは想像出来るわけだ」
「………」
「そして清美、お前だ。お前は昔の男に身体と心を許して、快楽を得る事の出来る女。妻として母親として、道徳心と戦いながらも男に全てを赦す女。さぁ私の云ってる意味が分かるだろ」
「あぁ…そんな事って…」
「そうなんだよ。お前は旦那に覗かれてると思って宣言をするのだ。そうすれば、新しい快楽に酔う事が出来るぞ。さあ、今のお前の本心を旦那に聞かせてやれ!」
男の声は、確実に清美に選択を迫っていた。
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私はクローゼットの中で、小さな穴から見える小さな世界に取り込まれてしまっていた。
先ほどから視界に映し出されているのは、男の正面に立って下着姿を曝す妻の清美だ。
その後ろ姿は、黒いブラジャーの細い線と、豊満な臀部を包む黒いショーツ。
元彼の初老男の姿は、清美の身体に隠れて見えないが、先程から声と視線で清美を責め立てている。
「どうしたんだ、そのままでいいのか」
横柄に聞こえる声には、煽りが加えられている。男にとっても、これは当時を思い返す場面に違いない。
「………」
清美の手がゆっくりと上がっていく。そして背中に回って、ブラの線の真ん中辺りで止まった。
止めてくれ!ーー声にこそならなかったが、私は祈りを込めて念を送った。
しかし無力の祈りをよそに、黒いソレが落ちた。続いて今度は、ショーツに手が伸びていく。
そして遂に、息を飲む私の視線の先で、清美が全てを脱ぎ取った!
それは私が、初めて遭遇する瞬間だった。清美は私以外の男に、産まれたままの姿を曝したのだ。
心の底からサワサワと寒気がやって来た。その寒気が清美に伝播したか、彼女の震えもより激しくなって観える。
「これは昔もやった品評の儀式だな」相変わらず悠然とした男の声。
そして男は鼻で笑う。その嗤いこそが、思春期の清美の心を燻った媚薬のようなものではないのか。
「さてと、じっくり観察させてもらうとするか」
これは視姦の儀式でもあるのか、男が頷くと沈黙の間が始まった。
やがて清美の身体は揺れ出し、肉付いた腰が、ぎこちなくも漂い始めた。
お腹辺りを摩っていた掌が上がって、乳房を覆い掴んだ。
「ふふふ、こうして見ると、お前の身体はあの頃と比べて、確実に脂が乗ったようだな。少し身体の線が崩れて、疲れてきた感じはある。が、そこが良いんだ」男が自分に言い聞かせるように云った。
ああ、脂が乗ったとは、少女が女に、女が人妻に、そして熟女に辿り着いた遍歴を褒め称える言葉なのでは…。
思考が頭の奥で渦を巻く。そうなのか…清美は私の気づかぬうちに良いに女なっていたのか。
清美の後ろ姿…脂が乗ったと云われた肉厚を改めれば、寝床を一つにしていた頃を思い返す。数年前、私はこの身体を抱いていたはずなのに…。
「清美どうだ、脂が乗ったところを自ら口にしてみろ」
男の言葉に、清美が微かに顔を上げた。
ひょっとしてこれは、記憶の再現?…二人だけが知る秘密の儀式の始まりなのか。
「さあ、お前の身体の変化を素直に言葉にするんだ」
「はぁぁ…っぅ」
苦しそうで、唸りのような、聞いた事のない響きが聞こえる。
「ほら、どうした」
「あぁぁ…意地悪を…」
「ふんっ、正直に云え!」
「うううッ…わ、分かりましたぁ」
「………」
「こ、ここ…オ、オッパイが、こんなに…」
「ああ、分かる。乳輪も大きくなったし、乳首の色もな」
「あぁぁ…」
「他には」
「…お腹も」
「そうだな」
「は…い。こんなにお肉が、付いて…」
「ああ、それもなかなか良い具合だ」
「あ、ありがとう、ございます…」
「さあ、他には」
「あぁ…ア、アソコ…です」
「どこだって」
「くっ、アソ、アソコ…」
「違うだろ、ほらッ」
「あぁッツ、オマンッ、オマンコですわ!」
その瞬間、吐き出された淫語4文字が、私の脳髄に突き刺さった。清美は今、間違いなく淫部の呼称を口にした。男からのあの手紙に書かれていた通りに。
「ふふ、今でも言えるじゃないか。じゃあ、年季が入ったお前のマンコを拝もうとするか。ほらッ」
まさかの男の指令に、又も私の脳みそが震え出した。本当に男は、清美のアソコを拝むと言うのか。そして清美は、それに従うのか!?
私の息苦しさなど知るはずもなく、清美の両膝が外側に拡がっていく。
「ふふふ、あの頃と同じ男が立ち小便をする格好だな」
「あぁ…ッ」
清美が鳴きの声を零し、それに重なるように、私も小さな呻きを上げた。清美は今、陰毛を掻き分けアソコを拡げている。
「さあ、その次は」
憎らしいまでに落ち着き払った男の煽りが続く。清美がフラツキながらも、クルリと振り返った。一瞬目が合った気がして、私の鼓動が跳ね上がる。
素顔の清美を窺えば、その双眸には狂おしく熱っぽい汗が浮かんで観える。
清美は私の存在など気づく筈もなく、身体が前屈みに、手は尻肉に、足幅をそれまで以上に開げていく。
中腰から男に向かって突き出した臀部。
見れば清美の唇がワナワナと震えている。これは清美にとっての精一杯なのか。それともーー。
「さあ、それで」
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「どこをだね」
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「は、恥ずかしい…」
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あぁ清美、お前は男のいいなりなのか…。鳴きの表情を浮かべながらも、清美が膝を折ると、うつ伏せに屈み込んだ。
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男が口にした『眺め』とは、女が無防備に恥部を曝して、服従の意思を伝える格好なのだ。私の胸は苦しくなる一方…なのに、下腹部がムクムクしてくるではないか…。それにしても、この覗き穴から見る世界は、現実の出来事なのか。妻になり、母親になった清美が、淫部を曝すなんて。
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私は狭い暗がりの中で、息を潜めて縮こまっていた。
直ぐ目の前には扉があって、そこには小さな穴が空いている。今はそこだけが、唯一の明かり取りになっている。と言っても向こう側は暗く、人の気配は全く感じない。
このクローゼットに押し込まれて、そろそろ20分くらいだろうか。
スタッフらしき男に連れられ、舞台を後にした妻。その妻を追うようにと由紀子さんに背中を押される形で、連れて来られたのがこの控え室のような部屋だった。しかしここには、別のスタッフらしき男がいるだけで、妻達の姿は無かったのだが。
男は『お二人は今、それぞれ別の場所で待機されています』と、落ち着いた声で言った。
由紀子さんはと言えば『あの二人の関係がどうなっているのか、本当のところを確かめてみたいでしょ』と、私の顔を探るように覗き込んで、更に『催眠ショーは、深層心理を探るのには有益だったけど、理性ある大人は感情どおりには動かないわ。だからね、清美さんが先生と二人きりになって…果たして、貞操を守るか、夫を裏切るか見てみましょうよ』と、諭すように告げて来たのだった。
それは熱を孕んだ由紀子さんの説得だったかもしれない。その熱がこちらに伝わったのか、私は言われるまま頷いてしまっていた。
そして『中から部屋が覗けるのよ』と押し込まれたのが、このクローゼットだった。由紀子さんは姿を消し、私一人が息を潜めている。
狭い密室のような所にいると、色んな事を考えてしまった。勿論、妻と元彼の男の事だ。
元彼の正体が妻の恩師…教師だった事は意外すぎた。とは言え、例の手紙には、怪しい店で酒を嗜んでた記述があった記憶がある。
そして悲しいかな、先ほどの催眠ショーで語られた数々の事象が、あの手紙と辻褄があってしまうのだ。
ああ、その事実はもう認めないといけない。考えれば考えるほど、肩に伸し掛かる想いに潰れそうになってしまう。
しかしーー。
妻の告白は全て、過去の出来事…と、自分に言い聞かせようとする私がいる。
確かに、私達夫婦は何年も肌を合わせていない。それを理由に、妻が元彼の教師の元に走ったわけでもない。
ただ…。
由紀子さんは、『二人の関係がどういったものか、確かめたいでしょ』と訊いてきた。又、妻が私を裏切るか見てみましょう、とも云った。
彼女の言葉に口籠もってしまった私。そんな私自身は、最近の度重なる不能のせいで、男としての自信を失くしかけている。
と、思考が渦を巻く中、カチャリとドアの開く音が聞こえた。するとパチパチと光が瞬き、部屋が明るくなった。
私の視界が捉えたのは、部屋の中央にある大型ソファーの前で、ベネチアンマスクを着けたままの初老の男だった。男はなぜか、白いガウンを着ている。
男がドサリとソファーに腰を降ろす。その様子を観ればリラックスした感じで、覗かれている事など考えてもいないようだ。
私は男を凝視する。この男が本当に妻の元彼なのかと、力を込めて見詰める。
この初老の男が本物の『元彼』だとして、あの手紙はどんな気持ちで書いて送りつけてきたのだろうか。清美と別れてからの人生は、過去にしがみつかねばならないほど過酷なものだったのか。それとも持って生まれた性癖が男を動かしたのか…。
と、再びドアの開く音がした。
現れたのは、ベネチアンマスクに男と同じガウンを纏った女…。
髪型こそ普段と違っているが、今男の前に佇んだ雰囲気は妻の清美のものだ。この距離から見詰めれば間違いない。私の胸が、キュウっと締め付けられていく。
清美がソファーに腰を降ろした。二人の隙間は、人がもう一人座れるくらいの幅。この幅が今の二人の関係を現しているのか。
俯いたままの清美に「どうだったね?」と、男が顎をしゃくって訊く。
「どう…と言いますと?」清美が顔を少し上げて聞き返す。その声は緊張を帯びているが、日常の声質に近いもの。自白剤の効き目は、すっかり消えたのか。
「先ほどの催眠ショーだ。自白剤で口にした事は本当はどうなんだ。覚えてないのかい」
「はぁ、はい…全く覚えてないとは…何となくは、記憶に、あります」
「ふふっ。と言う事は潜在意識がずっとあったんだな。私と過ごした淫靡な日々の記憶とか」
男の嗄れ声は、手紙からイメージしたものより力強く、そして冷たい匂いがする。
清美は男の言葉に、暫く黙ったままだったが、やがてコクっと頷いた。
「それで、今のご主人との事だが、夫婦のセックスはノーマルだと告ったな」
ンググ、と私の息が詰まる。
「なら、さぞかし欲求不満だっただろ…ん、どうだ?」
「あぁ…また、そんな意地の悪い質問を…」清美が唇を噛みしめながら、上目遣いに男を見やる。
「どこが意地が悪いんだ?私はお前の事を想って、本音を聞いておきたいだけなんだがな」
憎らしげな男の口調に、私の頬がピクピク痙攣する。
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「あぁぁ…ッ」
「さあ、正直に」清美に放たれる言葉は、重く落ち着いて聞こえる。「旦那とのノーマルなセックスでは、満足がいかなかったんだな」
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「で、でも、アタシは主人を…」
「ああ、そうだな。愛してる…と言うか嫌いになる事はないし、好きなわけだ」
男の諭すような口調に、清美の顔が縦に揺れる。
「だがな」と、男の身体が前に乗り出した。「気持ちは残っていても、身体は正直だ。その事も分かっているよな」
コクリと、今度は確かに清美は頷いた。
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あっ、と清美の顎が一瞬跳ね上がった。
「そう、ソコだ。今、感じただろ」
男の指摘と同時に、私の中でもジュンっと濡れ音が鳴った気がした。それは清美に同調したのか、彼女を見れば、顔を俯き肩を小さく震わせている。
「どうだ清美。私には、お前のソコが尖り、ソコが濡れてるのが観えるぞ」
「あぁ…」嘆きの声と共に、清美の視線が何処かを彷徨い始めた、ように観えた。
「じゃあ改めて問うが、同窓会で再会して、お前は過去の調教された日々を思い出していたのだな」
歯切れの良い男の口調は、圧となって私を押し潰そうとしてくる。
男が「どうだね」と、又も顎をシャクった。清美の身体が、ビクッと震える。
「ふう、清美はやっぱり、指示待ち、命令待ちだな」云って、男が清美を刺すように見つめる。
「お前は夜な夜な、あの頃の調教を思い出していたんじゃないのか。いや、昼間仕事をしている時も、その合間も、そして家族と居る時間さえも…どうだ!」
「あぁぁぁ…」蚊の鳴くような細い声がした。
「そう言えば私の調教を受けたお前は、オナニーも夢中にやったと告ってたっけな」
清美の震えが、見るからに激しくなっていく。
「10代の頃の衝動は一生続くものだ。女は結婚して妻になり、子供を産んで母になるが、それでもあの頃の性の刻印が消えるわけじゃない。なあ、その事はお前自身も分かっている事だろ?」
男の悠然とした声に、私の方が頷きそうになってしまう。清美は俯いたままだが、身体の震えは肯定を示しているように観えてしまう。
「まあ、お前の奥手で大人しめの性格は変わってないようだし。ならば…」
ゴクッと私の喉が鳴った。耳に全神経が集中する。
「あの頃のように命令をくれてやるとするか」
「はぁぁ…」
「さあ、私の前に来い。そして、そのベネチアンマスクとか言う仮面を外すんだ」
冷たい空気が部屋中に広がり、その中を清美は、暗示に掛かったように立ち上がり、男の前へと移動した。
男の姿が、清美の後ろ姿に遮られて見えなくなる。私は清美の後ろ姿に、引き寄せられていく。
見つめる視界の中で、清美の手がふわりと上がった。
手は顔の辺り、マスクに掛けられたように観えて、外れたマスクがポロリと足元に落ちた。清美の手は、そのまま頭の後ろのお団子に触れて、髪の毛は手櫛によって整えられようとする。が、髪の長さは以前よりもかなり伸びた気がした。私は妻の些細な変化にも気づかない、鈍感な夫なのだ。
男の正面に立ち竦む清美。
男はどんな視線を清美に向けているのか?それを浴びる彼女の心の中は…。
「ふふっ、いい表情(かお)じゃないか。お前は俺の前では、いつもそう言う顔をしていたな。怯えながらも命令を待つ仔犬のような顔だ」
後ろ姿しか見れない私には、清美がどんな表情をしているのか分からない。しかし、何となくだが泣き笑いの表情を思い浮かべてしまう。
「どうした」
「アタシ、おかしく…なって、ます…」
その鈍よりとした重い声に、私は嫌な予感がした。
「ほらッ」
短く鋭い男の声。同時に清美の身体がビクンと跳ねて、両方の足が左右に拡がっていく。
すると今度は、清美の手がガウンに掛かり、合わせ目が左右に開がっていく。
その瞬間、私は清美がガウンに着替えた理由に、今更ながら気付いてしまった。彼女は身体を清め、元彼の前に立つ覚悟を…いや、運命を受け入れたのではないのか…。
私の腰が無意識に浮いている。目はそれまで以上に、覗き穴を抉っている。ガウンの中はどうなっているのだ。
「ふふふ、昔を思い出してきたかな」男の冷たい声が続く。「さあ、その次は」
その声に操られるように、清美が首筋から背中を露わにしていく。やがてガウンは、無造作に床に落とされた。
瞬間、私の身が竦んだ。見開かれた目が捉えたのは、透き通るような白い肌に引かれた黒いブラジャーの線と、豊満な臀部を覆う黒いショーツだ。
記憶の奥から、清美の部屋を漁った場面が蘇って来る。あの夜、何の気なしに手にした下着が、今は途轍もなく扇情的に観える。
「ふふっ、黒か…なかなか似合ってるじゃないか」
男にとっても何十年ぶりに見る筈の、清美の下着姿。それでも男の声は、憎らしほど落ち着いている。
「顔を上げて、もう少し胸を張ってみなさい」
男のその声には、自信と優越さを見せ付けられる気分だ。
清美は男の声に暗示に掛けられたか、俯き気味だった身体が、確かに胸を張ったように観える。
ああ…今の清美は、過去の同じ場面を思い出しているのではないのか。男の前で肢体を無防備に曝したであろう、あの頃のように…。
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影絵の女の告白はまだまだ続いていた。しかし、その声は自白剤によるものなのか、私には分からなくなっていた。気怠そうに聞こえていた声が、徐々に歯切れ良くなってきた気がするのだ。
「Kさん、アソコが巨(おおき)くなってるんじゃないの」耳元で由紀子さんの囁き声がした。
言われてハッとなれば、確かに胯間が膨らんでいる。それと先ほどから肌寒い戦慄が、身体を駆け巡っているのだ。
再び司会のYさんの声ーー。
「それにしても、貴女と先生は途轍もない変態カップルだったんですね。その辺りの事をもう少し話し下さいよ。ここにいる人達皆んなが、聞きたいと思っていますから」
その声に、フロア中で頷く気配がした。そういう私も困惑を覚えながらも、好奇心を認めてしまっている。
「どうですか、貴女はマゾで、SMチックな責めに悦(よろこ)びを覚える女になっていたんでしょ」
「あぁ…はい、その通りで…SMホテルに行くようになってからは…」
「ほお、SMホテルに…そこではどんなプレイを」
「覚えているのは、大きな鏡があって、その前に立って…」
「続けて」
「…鏡の前で裸にされて…アソコとかオッパイの先が熱く、なって」
「分かります。羞恥プレイの一種ですね。それで」
「そのまま屈むように言われて…しゃがむと、そうじゃない、もっと下品に股を開いて屈めと」
「厭らしいですねぇ、そんな端ない格好をしたんですか。それからは?」
「鏡の中の、自分の格好を見ながら、シャブれと言って…先生が、おチンポをアタシの口元に持って、きました…」
「ふふふ、そのシャブってるところを貴女自身に見るように言ったんだ。どうでした、興奮しましたか」
「…はい、とても。先生のおチンポはとても臭くて、それでもシャブってると、腿が震えて、アソコがジンジンして、きました」
「ああ、貴女はやっぱり変態だ。じゃあ、鏡の前でセックスなんかも」
「あぁぁ、しました…はい、覚えています」
「じゃあ、その時の様子なんかを」
「鏡に手をついた状態で、後ろからガンガン突かれ、ました…。それから片足を持ち上げられて、おチンポが入ってるところを、見せられました…。そうしたら、アソコがますますヌルヌルに…」
「アソコって、ソコの呼称を言わされたんじゃないんですか」
「あぁっ、そ、そうです。オマンコ!オマンコが気持ちいいって、何度も何度も…」
「ふぅ~」Yさんが大袈裟に溜め息を吐き出した。「貴女その時、高校生でしょ。恥ずかしくなかったんですか」
Yさんの揶揄する響きに、又してもフロア中が頷く。
「それにしても、貴女達カップルは性癖が見事に嵌ったわけだ。でも、貴女には最初から持って生まれた資質があって、実のところ以前からも厭らしい事に興味が深々だったんじゃないですか?どうですか、オナニーもよくやってたんでしょ」
ああっと、私の中で呻きが上がった。影絵の女が妻と重なってしょうがない。
「…はい、普段は真面目な女子高生で通ってました。でも、家ではよくオナニー…してました…」
私の中で、又も声にならない呻きが上がる。
マイクからは、フンフンとYさんが鼻を鳴らす音がする。
「先生と変態セックスをするようになってからは、どうなんです?それでもオナニーはしてたんですか」
「あぁ…はい、先生に無理やりおチンポを突っ込まれるところを、想像したり…売春婦みたいな下着を着けて、卑猥なポーズをとる自分を想像しながら…」
「なるほど、オナニーも激しさが増してたんですね。しかし、貴女と先生の性癖が合ったのは幸せな事ですよ」
「…性癖とか、その頃は分かりません、でした。が、いけない事をしてる気持は常にあって、会うのは止めようと思いながらも、会わない時間が続くと…」
「ふふふ、それも分かりますよ。会わないでいても、会いたくて堪らなくなるわけですね。それで又、虐めて貰いたいと」
「………」影絵の女が黙ったまま、首肯した。
「じゃあ、先生とのプレイはエスカレートしていったんでしょうね。その辺りも話して下さいよ」
「はい…写真も撮られるように、なりました…黒いマスクを、着けさせられて…何が起こるのかと、恐怖がありました。けど、マゾ、マゾ、お前はマゾって言われながら…シャッターを切られると…その音だけで、オマンコがキュウっと熱くなって…」
「黒マスクでねえ。勿論、下は全裸でしょ」
「はい、何も着けずに。その姿で、バイブを使われて、鞭で叩かれたり、縄で縛られたりも、しました。でも…」
「でも?」
「激しい責めの後は、先生は優しくなって…アタシの身体を丁寧に丁寧に舐めて、くれるんです。憎いはずの相手だと、思っても、全て赦す気持ちになって…」
Yさんの影が、コクコクと頷く。
私は、女の告白が薬のせいか、演出なのか、そんな事を考える余裕など無くなっている。それより、鷲掴みされたような胸の痛みが限界に達しているのだった。この女の正体を確かめたい。しかしそれは、恐怖でもある…。
「他にはどうですか」
「…そういえば、部屋の中に便器があって…そこで」
「ほお、当時のSMホテルにも“晒しの便器”があったんですね。そこでどんな事を?」
「それは、和式便器で、…部屋の中二階みたいな所にあって…そこにしゃがんだんです」
「ふふふ、その姿が目に浮かびますよ。貴女の尻は、その頃も豊満だっんですかね」
「たぶん…そこで、お尻が先生の目の前で…アタシの前には鏡があって、目を反らさずに鏡の中の自分の顔を見ろと…」
「その様子も、写真に撮られたんでしょうねぇ」
「は、はい…」
「ところで、避妊なんかはどうしてたんですか」
「あぁ、避妊は…コンドームをしないのが、普通で」
「ほおっ!」
Yさんの声と同時に、周りからも驚きの声が上がった。しかし、その中で私だけが、過呼吸のような息づかいを続けている。
「避妊はしなきゃと、思ってたんですが…でも気持ちが…」
「ふふっ、良かったんですねぇ」Yさんが薄く嗤って、そして、カサカサと用紙を弄る音がした。
「ええっと、まだまだ訊きたい事はありますが、時間の事もあるので、最後の質問です」
私は無理して唾を飲み込み、視線を影絵に向け直した。
「今のご主人との事です。はい、夫婦関係についてです」
その瞬間、私は再び息を詰まらせた。その私の背中に、隣から手が当てられた。由紀子さんが仮面の奥から、嬉しげな眼差しを向けている。
「ご主人はどういう方ですか」
「しゅ、主人は、普通の…」
「普通とは、真面目な人と言う意味ですか」
「…はい」
「では、セックスはどうですか?セックスも真面目ですか」
周りの連中から、笑いが漏れて聞こえた。ここには、真面目なセックスなど無いに等しいのか。
「どうなんですか、夫婦間のセックスは?」
「…ノ、ノーマル、です」
女の答えに、先ほど以上の笑いが起こった。私は被害者意識か、顔を俯けてしまう。
「貴女ぁ、ノーマルなセックスだったら満足した事なんてなかったでしょ。どうですか、ずっと欲求不満だったでしょ」
「………」
「あらら、黙り込みましたか…。じゃあ、質問を変えますね。結婚してから浮気をした事はありますか?」
「い、いえ…」
女のその返事の瞬間、一斉にええーっと、揶揄するような声がそこかしこから上がった。
「一度も浮気した事がない?!でも、信じます。私も以前は、真面目な時期がありましたからね」
戯けの混じったYさんの声に、ヤジのような朗らかな声がして、私がそっと隣を見れば、由紀子さんが口を押さえて嗤っている。この変態夫婦も、以前は絵に描いたような真面目な夫婦だったのだ。
「では、聞き方を変えましょう。浮気をしたいと思った事はありますか」
「あぁ、実は…」
「ふふん、あるんですねぇ。因みに、相手はやっぱり元彼の先生ですか?」
私は息を詰まらせたまま、影絵を見詰める。
やがて「うぅん」と、女の咳払いが聞こえた。そして。
「…先生と、もう一度…」
私は大きく息を飲み込んだ。それに今の声が、先ほどまでの声質とは違って聞こえた。催眠状態にあった女は、目覚めているのではないのか…。
「もう一度変態マゾ女として、調教して欲しいとか?」Yさんの嫌らしそうで、深るような声が女に向かう。
「そ、それは…いや、それは決して…でも…ああっ、わ、分からない!」
女の口から嘆きの悲鳴が上がった。それを聞き入れた私の身体がブルブルと震え出した。
私の震えに気づいたか「ふっ、ふふふふ」隣から由紀子さんの笑い声。
「まあ、まあ、まあ。少し問い詰め過ぎましたかね、すいません」と云って、Yさんがリラックスの意味か大きく息を吐き出す。
「でもね、私…いや、ここにいる全ての人は、貴女はもう一度調教を受けたい筈だと思ってますよ!ねえ皆さん」
Yさんが言い切った瞬間、そこら中から、拍手の波が起こった。
「それとね」大きい影絵が立ち上がった。「実は今日のこの集まりにね、その先生が来てるんですよ!」
その言葉の瞬間、私は雷に撃たれたような衝撃を感じた。女の影絵も、背筋が伸びた気がする。
「では、行ってみましょうか。元彼の先生が別室で待ってますよ」Yさんが立ち上がって、手を差し出している。
私の顔からは、血の気が引いていく。まさか、隣にいた初老の男が妻の元彼だったのだ。
呆然となっている私の肩が叩かれた。
ギリリと首を捻ると、由紀子さんの唇がニヤニヤと歪んでいる。
「貴方と清美さんは、長らく慣れ合いが生じて、倦怠を生んでいたんですもの…な~んて、今さら理屈っぽい事を云うのは置いとくとして、二人がどうなるか見届けに行きましょうよ」
由紀子さんの口が、パクパクと動いている。何を云っているのだ、この女(ひと)は。それでも云わんとしてる事は、理解出来ていた。妻が隠し持っていたであろう本質に向き合えと云ってるのだ。
女…間違いなく妻が、スタッフらしき男に背中を押され、遠ざかって行く。と、私の腕が掴まれた。そして引かれる。私の足がフラフラと動き出した。背中にはフロア中の視線を感じる。連中は私の事をどう思っているのだろうか。
「では皆さん、こちらでは次の催しを始めたいと思います」Yさんが次のショーの説明をしている。「本日大活躍のN子さんが、乱交ショーに登場ですよ」
背中にYさんの声が降りかかってくる。
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フラフラと足が進む私に、Yさんの声が遠ざかっていく。やがて、私はある部屋の前に立ったのだった。
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私の視線の先、一人の女性が司会の男…由紀子さんのご主人のYさんの元へと歩いて行く。
その女性は、他の女性達と同じような形に結かれた髪型。ベネチアンマスクも似たような物で、ドレスや体型は珠美さんに似てる気がする。
司会のYさんに誘導されて、女性は舞台となるベッドの前で、こちらを向いて畏まった。そこに別の男が椅子を2脚持って来て、向かい合う形にセッティングした。
続けてそこに、衝立てのような物が運ばれて来た。そしてそれは、女性を隠すように立てられた。
衝立てはパーテーションのような物に観えるが、材質は薄い紙で出来ているのか、向こう側に女性のシルエットが透けて見える。
Yさんが何処かに合図を送った。かと思うと、こちら側の照明が暗く、舞台側の照明が明るくなった。衝立ての向こう、椅子に座った女性のシルエットがクッキリとした影絵となって、浮かび上がった。
「マイクもお願いします」Yさんの声が、落ち着いて聞こえる。「では、本日のメインイベントの一つに移りたいと思います」
その言葉に、フロアが緊張に包まれた。何人かの人達が舞台の方へと移動を始める。
「我々も行きましょうか」隣で先生と呼ばれた初老の男が、私を見詰めながら頷き掛けてくる。
「そうね、行きましょうよ」反対側からは、由紀子さんの声。
私は二人に挟まれる形で、前の方へと移動した。
「椅子に腰掛けたこの女性。実はこの方も初めての女です」Yさんがマイクを片手に、衝立に浮かび上がる影絵を指さした。
私は、この影絵の女性の事がやけに気になってしまう。頭の中には“もしや”の文字。
Yさんが薄ら嗤いを浮かべて続ける。「しかもこの女は、とてもシャイなのです。なので、この様にシルエットしているわけですね」
隣からは、由紀子さんが私を窺って来る。「ふふふ、Kさん緊張してますよ。仮面をしてても分かるものですね」
「では、自白剤の準備が出来たので飲んでもらいましょうか」
自白剤!Yさんが口にした言葉に、一瞬息が詰まりそうになった。
「大丈夫よ、自白剤といっても安全なものだから」小さな声で私に聞かせて、由紀子さんが笑っている。それでも、私の緊張は増していくばかりだ。
別の男が、よく見かける紙コップを持って来て、影絵の女に手渡した。
コップを受け取った影絵の女は、一旦躊躇したように観えたが、それでも中身を飲み干した。
Yさんがこちら側に向けて、人差し指を唇に当てている。静かにと伝えて、女の変化を確認しようと言うのか、静寂が広がっていく。これは演出なのか、私には怪しい儀式のプロローグのように観えて仕方がない。
「さて、もういい頃でしょうか」Yさんが、ふうっと息を吐いた。そして衝立ての向こう側を覗く。「大丈夫です、薬が効いてきたみたいです」云って、Yさんはこちらを向いてコクリと頷いた。
「皆さん、よろしいですか。これから催眠ショーを始めたいと思います。が、このショーは女性の深層心理を探る告白のショーでもあります」
ゴクリと私の喉が、大きな音を立ててしまった。
しかし私の事など誰も気にせず、Yさんが続ける。
「実は、ここにある方からお預かりした手紙がありまして」
又も私は、息が詰まりそうになってしまった。手紙と聞くと、妻の元彼から送られてきた『手紙』を思い出してしまう。
「手紙にはこの女性に訊きたい事が、幾つか書かれています。私が今からそれを訊いていきます。彼女は催眠状態にあり、自白剤も効いています。嘘も誇張もなく正直に答えてくれる筈です」
「………」
全ての視線が向く中、Yさんが衝立ての向こうに消えて、シルエットとなって椅子に腰を降ろした。私の意識が、向かい合って座る二つの影絵に引き寄せられていく。
大きい方の影絵が、マイクを口元に持って行くのが分かった。手元にあるのは、広げられた便箋用紙だろうか。
「では」Yさんの畏まった声が、マイクを通して聞こえた。
「一つ目の質問です。貴女の初体験の時期、それとその時の相手を教えて下さい」
「………」
シーンと誰もが固唾を飲む中、本当に薬は効いているのかと考えるのは私だけだろうか。と、その時。
「…あたしの、初体験は、高校生の時、です」
聞こえてきたのは、高揚のない気怠そうな声だった。これが催眠状態にあり、自白剤が効いているという事なのか。
「…相手、それは、学校の」
この声に覚えはないのか。私の全神経が耳に集中する。
「先生です…」
ええっ!一瞬にして血の気が引いて、私は隣の初老の男を見ようとした…が、見当たらない。隣いた筈の初老の男がいないのだ。
「先生ですか、それはいわゆる、恩師と呼ばれる人ですかね」
「…はい、そうです」
Yさんの落ち着いた声に対して、影絵の声は高揚のない虚ろなまま。
「貴女はその初体験の相手…その方とは付き合っていたのですか」
「いえ、付き合いは…」
「付き合うようになるのは、関係を持ってからですか」
「そう…ですね」
「なるほど、セックスが良かったんですか」
「…はい」
「ほお、それは具体的には」
「………」
「正直に、どうぞ」
「…その方は、私を虐めてくれました」
「くれました…と言う事は、貴女は虐めて欲しかったんですね」
「たぶん…そうだと思います」
「そうですか、ではもう一度聞きますが、具体的にどのような事を」
「……..」
衝立ての向こう、影絵と影絵の会話を聞きながら、私の胸は得体のしれない何かに鷲掴みされたように苦しくなっている。
私の勘が、ますます嫌な方向に向いていくのだ。
「さあ、もう少し具体的に」
Yさんの声だけが落ち着いて聞こえて、ここにいる全ての人々が女の答えを欲している。
「舞い上がるような、快感、があったんです…」
「舞い上がる?」
「…はい、裸を見られ、恐怖があり、痛みがあり、でもそれ以上の快感があったん、です」
「なるほど、貴女には持って生まれた資質があったんでしょうね」
「先生の…前で、制服を脱ぐ時、もの凄く、興奮がありました…」
「その彼氏…先生とは制服で会う事が多かったんですか」
「はい…罪の意識が…それを破る事に…脱いでると、太腿の裏辺りが震えて…オシッコを我慢してるような、感じになって…」
「ふふふ、想像できますよ。先生の目が冷たく、でも抗らえない自分が焦れったくて、やがては堕ちていく我が身を想像して負けてしまうんですね」
「…ええ、たぶんそんな感じで…」
「………」
Yさんのふんふんと頷く音がマイクから聞こえ、ガサガサと紙に触れる音がした。
「質問の方に戻りますね。当時の彼との付き合いの中で、印象に残っている事は?これは今、話して貰ったのと重複するかもしれませんが、改めて他には、どうですか」
私は強張る背中に、じんわりと汗を掻いていた。
ギリリと硬くなった首を回し、由紀子さんを窺った。私の目は、救いを求める眼差しだったかもしれない。
それでも彼女は、何も言わず首を小さく振って、前を向けと告げるのだ。
「おしゃぶり…」
「ああ、おしゃぶり、フェラチオですね」
「おしゃぶりも、キスも、初めての事で…」
「そうでしょうね。貴女は色んなものをシャブったわけだ」
「…はい」
「じゃあ、具体的に印象に残ってる事を教えて下さいよ」
「あぁぁ、それは…匂い…」
「匂い?」
「タバコの、匂いです」
「そうか、彼氏はタバコを吸う人だったんですね」
「唇を合わせる時、いつもその臭いがして、悪い事をしてるって気持ちが何故だか…ゾクゾクしてきて…それで」
「ふふふ、分かりますよ。思春期の頃はそうですよね。それで他に覚えている事はありますか?」
「…先生のアレ、を口に含んだ時…最初は気持ち悪かった、ですが、いつの間にか、オシャブリしてると、アタシのアソコが濡れてくるのが分かって、気付いたら、夢中になってました…。それからも、お口にする度に匂いが立ち込めると、ジンジンしてきます」
「ふふ、それも分かります。それ以外でジンジン、ゾクゾクした事はありましたか?」
「あぁ、お尻…アナルを舐めました…」
「その時も抵抗なく?やっぱりゾクゾクした?」
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「ちなみに、どんな格好でしたか」
「先生が四つん這い…で、アタシも四つん這いで…舌だけで、ねじ込むように…」
「興奮したんですね」
「はい…獣だって、自分で思いました」
Yさんのふうっと一息つくような音が、マイクから漏れて聞こえた。私の中には冷たいものが走り抜け、身体が震えを帯びてくる。
「分かりました。じゃあ私からも質問を」
私は自分を落ち着かせようと、意識して唾を飲み込む。
「貴女と先生とのデートは、どういった場所が多かったですか」
「…アパートや、ホテルでセックス、しました…」
「あらら、セックスと云ってしまいましたね。ええ、どうぞ続けて」
「会えば、セックス。外で、した事もありました。初めて外で、下半身を見られた時は、恥ずかしくて、恥ずかしくて、たまらなかった、ですけど、それでもアレを挿れられると、頭が真っ白になって、とても気持ち良かった…」
「もう充分に変態だったんですね」
「………」
「黙ってるって事は認めてるわけです。はい、それで、遠慮せず続けて下さい、変態デートの内容を、どうぞ」
影絵の女は、Yさんの言葉に導かれるように喋り続けた。本当に催眠状態にあるのかどうか、そんな事はもう誰も気にしていなかった。私も強張った意識のまま聞き続けたのだ。
女は、卑猥な下着でポーズをとらされたと告った。
精飲は当たり前で、性器の見せ合いもしたと告った。
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舞台では珠美さんこと、T子さんのオナニーショーが続いている。それを横目に見る私は、由紀子さんに股間を握られていた。
「うふふ、Kさんのココ、ますます巨(おおき)くなっていくわ。やっぱりT子さんを奥様だと思って…」
いや、違う…と否定しようとしたが、それよりもだ、このところ不能だったアソコが、反応した事に戸惑う私がいる。
「改めてKさんも変態って分かって嬉しいわ」
「………」
「ねぇ面白い事、教えて上げましょうか。舞台の奥様はね…」
え、違うだろ、あれは珠美さん…と口にしかけたが、文字通り急所を握られ、声が出せない。
「奥様は以前からオナニー中毒でねぇ、その様子を自撮りしてたのよぉ」
いや、だから、あれは妻では…それに自撮りなんて…。心の呟きは声にならず、アソコだけが膨張していく。
「知ってます?今は自分で撮った卑猥な動画を、載せれるサイトが幾つもあるんですよ。奥様はそのサイトに、ほら、あんな恥ずかしい動画を載せてるんです」
私は由紀子さんが顎を振った方向に、目を向けた。そこでは、四つん這いの珠美さんが先ほどよりも更に高く、尻を突き上げていた。
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「あぁ凄いわ、こんなに硬くなって」
甘ったるい声が、耳元から忍び寄ってきた。胯間では、由紀子さんの手が卑猥な動きを繰り返す。
朦朧とし始めた意識の中で、二つの女の姿が重なる。あの痴態を曝し続ける女は、本当はどっちなのだ。
「あぁアタシなんだか、コレが欲しくなってきたわ」
太腿が震え、私は立っているのが辛くなってきた。しかし。
「な~んてね」と、仮面の奥の目がニタリと嗤った。
「ここで射(だ)すのもいいけど、まだ取っておいて下さいね」
「………」
「後ほど、アタシと一緒に舞台に上がりましょうよ」
「え、それって!?」
「そうよ、疑似夫婦って事で、二人で白黒ショーをするの」
「いや、それは…」
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そんな…まさか。私は何か云おうとしたが、やはり声にならなかった。気が付けばいつの間にか、由紀子さんの手が私の胯間から離れている。その時。
「いぃのおッ、逝きそう、逝ぐッ!」
フロア中に、珠美さんの喜悦の声が轟いた。
逝き声を晒し、突っ伏した珠美さんだったが、司会の男に腕を取られ、介抱されるようにフロアの隅へと消えていった。
ショーを見守っていたこちら側では、妖しい仮面を着けた者どうしが『初めての女』の品評を始めている。
私は改めて周りの様子を窺うが、妻の存在は分からない。しかし、私が妻に気付いたとしたら、それは私も妻に見つかる可能性があると言う事なのだ。私はコソコソと自分のテーブルに戻る事にした。
「どうでしたか、興奮しましたか」隣の席に、初老の男が戻ってきた。
私は「ええ、そうですね…」強ばった声で答えている。そこに徳子さんが戻って来るなり「お疲れ様でぇすぅ」誰にともなく言った。お疲れ様とはどういう意味だ、と私は苦笑いを浮かべる。
暫くすると、由紀子さんも戻ってきた。
「さて、次のショーは何だと思います?」
由紀子さんが席に着くなり、仮面の奥から意味深な目を向けてくる。ひょっとして『次』とは、私との白黒ショーの事を示唆しているつもりなのか。
その由紀子さんの口元がニッと笑う。「大丈夫ですよ、心配しないで。次はグッズの紹介みたいです」
「グッズ?」
「ええ、SMグッズの紹介コーナーみたいよ」
私は思わず、隣の初老の男と見詰め合った。男の口元が綻んでいる。
「お待たせしました」
舞台の方から、司会の男とは違う別の声が聞こえてきた。見ればサラリーマンのような白いワイシャツの男が、キャリーケースを引いている。
男はベッドにキャリーを乗せると、中身を取り出した。
「皆さま、私に少し時間を下さいませ。これから、最近人気のSMグッズを紹介させて頂きたいと思います」
男の晴れやかな声が響くと、それからちょっとした実演が始まった。
女性が一人選ばれ、ベッドに上がった。その女性は肌こそ曝さなかったが、服の上から縛られたり、ディルドを口で咥えたりとモデルを務めたのだ。
紹介の途中からは「あれは足枷に手枷ですね」「あれはアナル拡張プラグにアナルビーズですよ」隣に座る初老の男が、嬉しそうに話し掛けてきた。
この男をシゲシゲと見直せば、仮面の奥の瞳がやけに輝いて観えて、あっち方面の人間かと思ってしまう。
SMグッズの実演をよそに、テーブルからテーブルへと挨拶して回る男がいた。やがてその男がこちらにもやって来た。
「楽しんでいますか」
その声は司会の男の声だった。肩から掛けられていた『私が司会です』のタスキは無くなっていたが、胸の所には『Y』と書かれた名札がある。
男はさっと私達を見廻し、由紀子さんの横でしゃがんだかと思うと、二人でヒソヒソと内緒話を始めた。
何を話しているのだ?時折り、二人揃って意味深な視線を私に向けて来る。
男が立ち去ると、由紀子さんが小さな声で「今のがうちの主人、ここでは『Y』です」と、告げてきた。
「本当ですか!」
思わず上がってしまった私の声に、由紀子さんが人差し指を立てて、静にと唇にあてた。その隣では、徳子さんがニヤニヤと嗤っている。
「ええ、本物のアタシの主人ですわ。昔はあんな真似…この様な集まりで司会なんか出来る人じゃなかったのに、不思議なものね」
「………」
「でも、そういった変身はよくある事です」隣から初老の男の声だ。その声が続ける。「ところで奥さん、今日は貴女方夫婦のセックスショーは?」
「ああ、実はそれが、今日はやらないんですよ」
「そうでしたか、それは残念だ」
「すいません。でも、その代わりと言うわけではないのですが、初めてのショーがあるらしいですよ」
「ほう、それはそれで楽しみだ」
私の前を、初老の男と由紀子さんの言葉が、キャッチボールされている。黙って聞いてる私も、気になる内容だ。
「ふふふ、きっと先生もお喜びになるショーだと思いますよ」
先生!?私の中に一瞬にしてハテナマークが浮かんだ。今、確かに『先生』と聞こえた気がする。この初老の男も、由紀子さんやそのご主人と同じ教師だったのか。
「どんなショーか楽しみですな。おっと内容は言わないで下さい」
「勿論ですわ。それにアタシ達も初めて見るショーですから」云って由紀子さんが、隣の徳子さんに嗤いを投げ掛ければ、私だけが取り残された気分がしないでもない。しかし、そのショーとは、実際どういったものなのだろうか。
そう思った丁度その時、ベッドを照らすライトが明るくなった。談笑していた者達の目が、再び舞台に向く。
先ほどの司会の男…由紀子さんのご主人Yさんが、ベッドに上がって、こちらを見廻した。
「さて皆さま、そろそろ次のショーに移りたいと思います。次は今回の案内の際にも云いましたが、初参加の女性による催眠ショーです」
催眠ショー?
「今回はやたらと『初めて』が多いですな」
先生と呼ばれた初老の男の視線が、私の頬に刺さる。
そして『先生』が口にした“初めて”という言葉に、私の胸の鼓動が静かに鳴り出したのだ。
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徳子さんの花電車ショーの次に、舞台に上がったのは、妻清美の高校時代に一番仲が良かったと聞いていた珠美さん事『T子』さんだった。
珠美さんの容姿は、ベネチアンマスクをしていても、身体の輪郭など妻に似てる気がする。胸元の名札を確認したくなるが、文字はここからでは分からない。
彼女は見るからに心細そうに立ち竦んでいる。ベッドを囲む人々は黙ったままで、無言のプレッシャーを与えているようにも観える。この静寂の状況も、一種の羞恥プレイかもしれない。
「さてっと、舞台に上がったこの女性。今も申し上げましたが、初めての女です。と言っても処女ではありません」
司会の男の冗談に、フロア内の空気がふっと抜けた気がした。
と、私の肩が叩かれた。
「貞淑の仮面の下には、偽装に隠された人妻の素顔。この女性も、以前から官能の炎を鎮めてくれる何かを探していたのかもしれませんね」白髪頭の初老の男の声が、静かに語り掛けてきた。
私は男を見詰め返した。珠美さんが求める何かが、舞台にはあると言うのか。
司会が珠美さんの肩に手を置いた。「このT子さん…実はMなんです」云って、こちら側の反応を確かめるように見廻し、そして頷く。「では、初参加のT子にオナニーショーを見せてもらいましょうか」
その言葉は、私に衝撃を与えた。
咄嗟に由紀子さんを窺うが、彼女は唇に薄い笑いを浮かべている。
「何ボォっと突っ立ってんのかな、早く脱ぎなよっ」突然、司会の声が冷たく飛んだ。
その突き放すような声に、珠美さんの震えが激しくなっていく。彼女は今、後悔してる?
「うふふ、彼女って昔からシッカリ者に観えて、どこかで暗いところがあったのよね」隣からは、由紀子さんの落ち着いた声だ。
「でも、その暗さの中にマゾの血が入っていたのね」
「………」
「ふふっ、Kさんも興味がありますか」
私は息を飲んで、無意識に頷いてしまっている。
「まぁ見てれば分かりますよ。彼女が初めてのショーで何を見せてくれるか」
ベッドを取り囲む人々が身を乗り出している。
「かぶり付きというやつですな」右隣からは初老の男の冷静な声。
「どうしました、貴女の決断はウソだったのかな」
又しても冷たさの混じった声が、響き渡った。そして司会の男は、珠美さんの様子を探って首を左右に振る。と、バシっと頬が打たれる音。珠美さんがよろけて跪いた。
「ほらっ、いい加減にしろ!」
髪の毛を引っ張られ、ヨロヨロと立ち上がった珠美さんは、ベネチアンマスクのズレを直しながらも俯いたまま。
これは演出ではなかったのか?彼女の様子を見る私の身体が冷たくなっていく。周りを窺えば、固唾を呑んで見守る者もいれば、ニタニタ笑みを浮かべる者もいる。
司会の男が、珠美さんの胸元に手をやった。そして、あっと思った瞬間には、ドレスの襟首辺りが引き裂かれていた。
だ、大丈夫か…。
「素直に脱がないからですよ」司会の声が更に冷たさを増して、珠美さんを圧していく。
と、珠美さんの手がゆっくり動き始め、裂かれたドレスの背中に廻った。
珠美さんの動きに、私も固唾を飲んだ。彼女は自らドレスの背中に手を廻して、ジッパーを下げようとしている。
すっと足元に落ちるドレス。露になったのは、赤いランジェリーを纏った肢体だった。
「彼女、いい身体してるわね。どう、奥様の身体と比較して」
「え、いや、それは…」
「ふふふ、高校時代、奥様とT子さんって似てるって言われた事があるのよね」
「………」
「今では歳がいったけど、どうかしら。奥様だと思ってご覧になっては?」
由紀子さんのその言葉に、私の中で嫌な勘が働いた。今、舞台に立っているのは、本当に珠美さんなのか。ひょっとしたら演出があって、あの赤いブラに手をやっているのは…。
私が見詰める先で、珠美さん自らの意思で外したブラジャーが足元に置かれた。片手で胸元を隠す彼女は、もう片方の手をショーツの端にやっている。
そのぎこちない動きに「ほらッ」司会の男が珠美さんの尻を打った。
「もう、遠慮する事もないでしょ」
諭すような司会の声にも、彼女の今の心境はどういったものなのだ。
もしもあれが妻なら…高校時代、元彼に調教され尽くした妻は、羞恥の中で裸体を曝した時、心に蠢く何かを感じたのだろうか。
遂に最後の一枚、珠美さんがショーツを脱ぎおえた。パチパチパチと拍手が起こり、珠美さんの手は胸元と胯間からゆっくりと離れ、腰の横で伸びてすっと止まった。
拍手を送った連中の身体が、先ほどよりも前のめりになっている。
そういう私も気持ちは前に、目は無防備な二つの膨らみと腰回りへと向いてしまう。私の視線が、女の胯間で止まった。
ソコは記憶にある妻の毛並みとは違っていた。妻の剛毛と比べて、彼女のソコは薄い。やはりこの女性は、珠美さんで間違いないのだ。
その珠美さんの様子は宙を彷徨う感じで、震える身体からは、赤身が滲み出して観える。内側で何かが蠢いているのだ。
ひょっとして、珠美さんは我慢している?それは…。
「静寂は人によっては、エクスタシーを呼び寄せるものです」
その声にギクリとした。初老の男が私を見詰めている。「あの女性は間もなく、自分から身体を開きますよ」
何だこの人はまた…。
「自身の恥ずかしい部分を曝す勇気は、快楽と引き換えが出来るものです。あの女性も先天的に資質があった者と考えられます」
「………」
「本人は薄々それを感じていたのに、勇気がなかっただけでしょう。しかしそれも又、切っ掛けさえあれば、ダムが決壊して水が溢れ出すのと同じように…」
「………」
「ほら、見てごらんなさい」
男の言葉に、私はジリリと前を向き直った。
珠美さんが腰を落とし、上半身を両手で支え、立膝で開脚していくではないか。その様は確かに、羞恥と戦っているように観えなくもない。けれど観客達の視線に応えるかのように、股座(マタグラ)は確実に拡がっていく。
「うふふ」左隣から、再び由紀子さんの意味深な笑い声だ。「N子ちゃんも最初はあんな感じだったのよ。だからT子さんだって…ふふふ、分かりますよね」
「………」私は固まったまま、舞台の女の動きに釘付けになっている。
「さてと、私もジックリと見物させて頂きましょうか」言って司会の男が、ベッドから降りて端の方へと消えて行く。同時に舞台を照らす灯りが淡い色に変わった。
「あぁッ、は、恥ずかしい…」
感泣を含んだような甘酸っぱい声が舞った。珠美さんの手は、乳房を握り潰している。指と指の間からは、尖り立つ頂きが窺える。
二つの膨らみはパン生地を捏ねるように、歪な形に変化を繰り返す。
周りを見回せば、誰もが初めての女に息を飲んでいる。この衆人達の中に、妻はいるのか。果たして、友人の痴態を見ながら、会場の空気に染まっているのだろうか。
珠美さんの白い両腕が蛇のように、胸房から身体のあちこちへと妖しい動きを繰り返す。
身に知った急所で動きが止まれば、指先がそこで強弱を始める。そして、甘い声が鳴き声に変わる。
「ああん、いやぁんっ」
珠美さんは完全に自分の世界に入っている。いつしか彼女の下半身は恥じらいもなく拡がったまま。その奥はやはり、漆黒の穴、穴、穴。
「ふふふ、T子さんはやっぱりむっつりスケベ」由紀子さんの声が、冷たい響きになって伝わってきた。「昔からそう。見た目は良い子ちゃんだけど、根はスケベで妄想だらけなのよね」
由紀子さんの仮面の奥の瞳を観れば、刺すような視線で舞台を見据えている。鋭利な眼差しは、間違いなく珠美さんの肌を突き刺している。
「うぅぅんッ、ッッ!」
一際珠美さんの喘ぎに嘆きが加わった。彼女の指が急所を抉っているのだ。
そしてなんと、女体がのたうち回りながらクルリと四つん這いへと変化した。
「ふふ、やったわね彼女」
四つ身から突き出された臀部の中心、これでもかとアソコが開陳されている。
「今の彼女の心の声を教えて上げましょうか」
「え!?」
「アタシには聞こえるのよ、彼女の心の声が。彼女はね、見て見て私の恥ずかしいところを見て、オマンコもアナルも見て!私、変態なのよ!って告ってるのよ」
「ま、まさか…」
「間違いないわ。女には誰もがM性があって、仮面に守られる事によって、それが出せるようになるものなの。特に珠美さんは、そのM性が強いみたいね」
由紀子さんがT子ではなく『珠美さん』と口にした。由紀子さんも興奮しているに違いない。それほどこの空間は、淫靡な空気に包まれているのだ。
舞台の怪しい息づかいは、止む気配がない。惜しげもなく開いたソコからは、猥褻な香りが立ち上がっていく。中心の穴はパックリ、紅いビラビラが蠢いている。珠美さんの臀部は、疑似セックスをしてるつもりなのか、上下左右に揺れを繰り返す。彼女は自分が今、どんな格好をしているのか、それさえ分かっていない筈だ。そして女穴を掻き回す指は、激しさが増している。もう止まらないといった感じなのだ。
「どうですかKさん、あのオマンコとアナルを惜しげもなく拡げている姿は。奥様の姿と重なってるんじゃないですか」
「え、いや、そんな…」
「いいんですよ、無理しないで。でも…」言って由紀子さんが、私の股間に触れた。
あっと思った時には、私も気が付いた。『奥様』と言われた瞬間、アソコが反応し始めていたのだ。
私の前にはベネチアンマスクの由紀子さん。仮面の女が、私を何処かに誘っている感じがするのだった。
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この場所に来た時から、淫靡なショーがあるのは分かっていた。だが…徳子さん、ここでは仮面を着けたN子さんなのだが、彼女がいきなり精飲をするとは想像のつかない事だった。
「あの彼女は逞しかったですね」
いきなり声がした。いつの間にか、隣に白髪頭の初老の男がいる。
「胃の中に男の残留物を入れて凄いですよ。まるで性に取り憑かれて、欲望の飢えを満たそうとしてたように観えましたねぇ」
初老の男は独り言なのか、前を向いたままブツブツ呟いている。
私の方は会話に加わる気もなく、空になったベッドに徳子さんの残像を見ている。
その徳子さんを窺えば、しれっとイスに腰を降ろしている。労いの言葉なのか、周りから声を掛けているのは、由紀子さんと数人の男達だ。妻が何処にいるかは、未だ分からない。
「皆さん、如何でしたか」司会の男がベッドの前に立って、こちら側を見回した。
「ただ今のは、Sさんによる男性ストリップショーでした。Sさん、ありがとうございました。それとN子さん、美味しかったですか」
司会の言葉に、ドッと笑いが起こった。
「さて、Sさん達が盛り上げてくれた事だし、この勢いで次のショーを始めて貰いましょうか」
その声に立ち上がったのは、又しても徳子さんだった。回りからは、おおっと声が上がる。
「おや、又あなたでしたか」司会が大げさに両手を広げて、徳子さんを舞台となるベッドに促した。
「N子さん、今度は何を見せてくれるんですか。おっと今言った『何』とは、貴女のアソコの事でしょうかね」
司会の冗談に、又も笑い声が起こる。
「ええっとですねぇ…ふふっ、花電車です」
徳子さんが口にした言葉、花電車?私の頭にハテナマークが浮かんだ。
「分かりますか、花電車って」隣から初老の男が窺ってきた。
「え、いや…知らないですね」
私の口調にか、初老の男が含み笑いをする。そしてこちらに向き直る。
「女の構造は摩訶不思議なものです」
「………」
「我々男には分からない神秘さを持っているんですね」
「はあ、そうなんですかね…」
「私は若い頃、よくストリップ劇場に出入りしてましてね、そこでよく見たものですよ」
「ストリップですか、そこで花電車が?」
「そうです。お、始まりますよ」
ベッドの方を覗けば、徳子さんがドレスを捲し上げてショーツを露にしていた。
「さあN子さん、それを脱いでみましょうか」
司会の男が徳子さんを促すと、彼女は「ふふふ、失礼します」と、ショーツの端に手をやった。
先ほどまで流れていた音楽は止って、今は静まり、周りの目が徳子さんの下半身に向かっている。
ショーツを脱いで、徳子さんが仰向けに寝転がった。立て膝の股座の奥には、黒い翳りが見える。
「では私が助手を務めさせて頂きましょう」司会が頷くと、別の男から何かを受け取った。見るとソレは、1本のバナナだ。
「まずはバナナ切りからでしたね。N子さん、お願いします」
司会がバナナの皮を剥いて、徳子さんに手渡した。
まさか…私の視線は、Mの字に開かれたその奥、黒ずんだようにも観える神秘の入口、そこに引き寄せられていく。
「い、挿れますわね…」
震えを帯びた声と共に、バナナが飲み込まれていく。徳子さんの唇から「あぁ…っ」甘い声が零れる。そしてジュルジュルと、出し入れが始った。
周りで息を飲む気配を感じた。ここに集まった性の探求者達にとっても、初めて目にする光景かもしれない。
性具に見立てたバナナの出し入れが続き、やがてふんッと気合いの入った声がした。その瞬間、ポロリと塊が落ちた。バナナは見事に噛み切られたのだ。
最初はバナナを性具に見立てたオナニーショーかと思った私だったが、徳子さんが魅せたのはその名の通りで、バナナを膣圧で切断するショーだった。
「N子さん、貴女のソコは凄い!。彼女とエッチする男性陣は、オチンチンを切られないように気を付けないといけませんね」
司会の言葉に、一瞬にして緊張が解けたか、フロアがドッと湧いた。そして拍手が起こった。
喝采を浴びて、徳子さんは身体を起こすと、ペコリとお辞儀をした。
バナナの切断ショーの次は、同じく徳子さんによる『金庫ショー』に『鈴鳴らしショー』と続いた。
始めて耳にする言葉ばかりだったが、それらは一目瞭然で、金庫ショーは膣に小銭を入れて、床に置いた別のコインを目掛けて上から落とす見せ物だった。
「これはね、昔は博打遊びの一つで、踊り子がコインを落として、命中するかどうかを賭ける遊びだったんですよ」隣の初老の男が淡々と説明してくれる。私はそれを横耳で聞きながら頷くだけだ。
「鈴鳴らしは地味だけど、やっぱり昔からありましたね。女陰…クリトリスを糸で縛って、その先に鈴を付けて鳴らすんです。芸を極めた女(ひと)がやると、鈴の音で簡単な曲なら奏でる事が出来たらしいですよ」
私は男の言葉に頷きながら、徳子さんの痴態を見続けた。それにしても、この白髪頭の初老の男は何者なのだ。エロスに精通しすぎている。ひょっとしてこの男が、妻の…と一瞬思ったが、どう考えても歳が離れ過ぎている。
ベッドの方では、徳子さんの次のショーが始まっていた。それは『習字』と銘打たれたショーだった。
司会が別の男から、筆に墨汁、それに硯(スズリ)などを受け取り、そこから筆を1本、徳子さんに手渡した。
硯に墨汁が垂らされると、半紙が丁寧に置かれた。
私の中には、まさかの思いが湧いていた。徳子さんが手にした筆で、普通に書道をするとは思えない。
「さあ、用意が整いましたよ。文字は何にしますか」
「えっと、何にしましょうか…」下半身を曝したままで、徳子さんがこちら側を見廻す。
「どなたかリクエストは…」
徳子さんの問い掛けにも、周囲は緊張に包まれたままだ。と、唐突に隣から声がした。初老の男だ。
「清、清いの清。さんずいに青の清です。お願いします」
周りの視線が一斉に私に…いや、隣の初老の男に向いた。徳子さんもこちらを向いている。
「はい」小さく頷き、徳子さんはそれまで以上にドレスを捲し上げた。そしてガニ股開きで四股を踏むように屈むと、なんと筆の持ち手部分を膣に挿入していくではないか。
又してもフロア中が緊張に包まれた。その静寂の中を徳子さんは筆の毛先を墨にまぶし、そして半紙に狙いを定めるのだ。
彼女の様は、それは奇妙で滑稽な姿に観えた。しかし、確かなエロスを放射しているのだ。
やがて『清』の文字が書き綴られた。
司会の男が半紙を掲げた時には、割れんばかりの拍手が起こった。
徳子さんが拍手に応えるかのように、何度もお辞儀をしている。
「どうでしたか。滅多にお目に掛かれないショーでしょ」
「そ、そうですね」浅い息を吐く私は、この男に訊いてみたい事があった。何故、『清』の文字を頼んだのだろうか。しかし、私の口から出たのは違う問いだった。
「あのぉ、貴方はこの様なショーにやけに詳しいですよね。まさかこの会の影のオーナーとか」
「影のオーナー?いやいや、私はたまたま紹介を受けて、初めて参加させて頂いてる只の老人ですよ」
男の口元が、ニヤついている。しかし仮面の奥の眼差しは、暗さを帯びていた。私はその暗さを感じて、他にも聞いてみたい事があったが黙ってしまった。
「おや、次はあの女性ですかね」男の視線が前方を向いた。
その視線の先に目をやれば、一人の女性が、徳子さんと入れ替わるようにベッドに向かうところだった。
清美!
身を乗り出した私など気にせず、司会が女性を舞台に促す。
「さて、上がって頂きましたこの女性はT子さん。この方も初めて参加される方です」
『T子』と聞いて、私の肩から力が抜けていく。
「Kさん、よろしいかしら」
肩口から掛けられた声に隣を見れば、いつの間にか由紀子さんがいる。
私はチラリと初老の男を確認してから、彼に背を向けて由紀子さんに向き直った。
「ど、どうしましたか」
「ふふふ、声が緊張してますよ」由紀子さんがクスリと笑う。「ほら、あの彼女。誰か見当がつきますか」
「えっまさか!?」
「ふふっ、違いますよ。『T子さん』って云ったじゃないですか」
そうなのだ。妻なら『K子』だ。
「じゃあ、あの女性は…?」
「T子で思い付く事はありませんか」
「………」
確かに私の中にも、引っ掛かるものがあった気がする。しかし改まって訊かれると。
「ふふ、奥様から聞いた事ないのかな」
その瞬間、あの名前が浮かんできた。『珠美』さんだ。高校時代、妻と一番仲が良かったという女性だ。
しかし彼女…安田珠美さんは、遅くに出来た中学生の子供と二人暮らしという事もあってか、女子会の集まりはいつも、1次会で帰っていた筈。
「ひょっとしてタマミさんですか」私は声を殺して由紀子さんに囁いた。
「うふふ…」せ、い、か、い、由紀子さんが唇の動きで、そう告げる。
頭の中には、何故という言葉が浮かんでいた。由紀子さんや徳子さんと比べると真面目なイメージが浮かぶ珠美さんが…。やはり、珠美さんも由紀子さん達の毒牙に。そう考えた時、由紀子さんが唇を耳元に寄せて来た。
「女は幾つになっても女。彼女も溜まっていたのね。それでなくても、ずっと一人で悶々としてたみたいだし」
「それで貴女達が誘いを…」
「ふふふ、想像にお任せしますわ」そう云って、由紀子さんが仮面の奥からウインクした。
「初めての参加でいきなりショーに出るとは、アタシもビックリだけど…あ、始まるわよ」
由紀子さんが言葉を切って、ベッドの方を向いた。そこでは、珠美さんが心細そうに立ち竦んでいる。怪しげなベネチアンマスクに守られていても、彼女の身体は確かに震えて観えるのだった…。
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無人のキャッシャーの前を過ぎると、奥のカウンターが目に入った。更に進むと、テーブル席が幾つか目に付いた。
仄暗い店内には数人の男女がいる。誰もが皆んな、同じベネチアンマスクを着けている。それでも彼等の雰囲気を見れば、中年の様相だろうか。
私は由紀子さんに促されて、壁際のボックス席に腰を降した。
目の前のイスに腰掛けた由紀子さんが、小さな声で話し掛けてきた。
「逃げずによくいらっしゃいました。まあ、必ず来るとは思っていましたけどね」
「ええ、なんとかね。それで、妻は…」と、由紀子さん以上の小さな声で訊ねてみる。
「ふふふ、その前にコレもお願いね」
由紀子さんが私に手渡したのは、『K』の一文字が小さく書かれた名札だった。
「それを襟首辺りか胸の所にでも着けておいて下さい」
言われた通りにソレを付けて、私は彼女を改まった。
「えっと、K子さんね。さて、彼女は何処でしょうねぇ」
言って首を回す由紀子さんを見ながら、K子?私は一瞬考えたが、清美だからK。だけど、K美よりもK子の方が正体が分かりづらいからだろうと、勝手に納得した。そして私も、フロアの隅々に視線をやってみた。
人数を数えてみると、目につく範囲にいるのは、男が私を入れて13人の女性は10人だ。
その女性達だが、皆んな似たようなドレスを着ている。なるほど、この店のコンパニオンの衣装かもしれない。『fall』はBARとあったが、店内の雰囲気はClubのようなのだ。
「どうですか、K子さんはいましたか?」
「いや、それが…」目を細めて見回すが、見分けられない。暗さも原因だろうが、皆んな同じ女性に見えるのだ。いや、一人だけポッチャリの人がいる。あれは徳子さん、ここでは『N子さん』と呼ばれるのだろう。
「うふふ、同じような体型の女(ひと)が多いし、髪型もごらんのように弄ってますからね」
声に由紀子さんを窺えば、確かに先だって会った時の髪型と違っている。迎えに来てくれなかったら、本人と気づかなかったかもしれない。
「ねぇKさん、たとえK子さんが分かったとしても、絶対その場で声を掛けたりしないで下さいね」一瞬だが、由紀子さんの声に鋭さが加わった。
彼女の言わんとしてる事は分かる。この集まり自体、大人の社交場として、秘密裏に存在してないといけないのだ。私の中に、改まって緊張が湧いてきた。
「あら、そろそろ始まりますわ」
由紀子さんの視線の先を見ると、一人の男がフロアの中央に足を運んでいる。
しかし私は、男の姿に唖然となった。男は黒いビジネスシャツを着ていて、周りと同じベネチアンマスクをしているのだが、首元には大げさな赤い蝶ネクタイを、肩からはタスキを掛けていたのだ。そのタスキには『私が司会です』の文字。
何だこれは。何年前のパーティーグッズだ。ここは茶番を見せ合う場所なのか。
由紀子さんの横顔を見れば、彼女の口元は嬉しげだ。遠目に周りを窺えば、他の人達の口元も緩んで観える。男の格好は、この会ではお決まり事なのか。
「皆さん、今日はお忙しいところを、お集まり下さりありがとうございます」男が姿形とは相まった、落ち着いた声で話し始めた。「最初にお断りがあります。本日は前回と同じくカメラを回しますので、ベネチアンマスクを着けて頂いての進行となります」
由紀子さんが腰を少し浮かせて会釈すると、幾つかの目がこちらを向いた。私は由紀子さんの影に隠れるように俯いている。
「それと、本日は初参加の方が何人かいらっしゃいますし、アルコールが進んでも、周りの方に無理強いをするのは止めましょうね」と、男が両手を拡げて大げさにジェスチャーした。
何人かの人達が軽く笑うが、私は目を凝らして周囲を探っている。
妻は何処かと視線を強めても、女性は皆んな先程から同じように観える。あれが妻か!と思っても、似てる人があそこにもいる。いや、あっちにもいる。とにかく髪型も似たように弄られ、マスクのせいで同じに観えるのだ。
「では、いつものお約束ですが、男性の方はスマートフォンを出してかざして下さい」
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なるほど盗撮を防ぐ為に、揃って電源を落とそうというのだ。私も素直に取り出し、周りに合わせて電源を落とした。女性達はドレスに着替えた時に、スマホはロッカーにでも置いて来たのだろう。
「ご協力ありがとうございます。それでは乾杯に移りましょう」
男が言うと、何人かの女性が席を立って、カウンターにグラスを取りに行く。同時に世話役の人だろうか、テーブル席に人数を等しく配置をし直していく。
由紀子さんと一緒だった私の席には、一人の男性がやって来た。
「こんにちは、ご一緒させて頂きますね」
私の隣に腰掛けた男が嗄れた声で挨拶してきた。私は「どうも」と、緊張気味に頷く。
男を観れば、白髪頭に茶色のシニアジャケットを着ている。嗄れ声から察しても、かなり年配のようだ。
「はい、お待たせしました」
女性の声がして、テーブルにグラスが置かれた。そしてそのまま女性が腰を降ろす。
同じ姿形の女性がいる中で、斜め前に座ったこの女(ひと)だけが浮いている。悪い意味ではないが、このポッチャリさんはN子さんだ。
そのN子さんの耳元で、由紀子さんが囁いた。
N子さんが私を見て、ニタリと唇を歪める。私が何者なのかを聞いたのだ。
「さぁ皆さんお立ち下さい。おっと、立つのはアソコじゃないですよ」
司会者のくだらない冗談に微笑みながら、全員が起立した。手にはグラスが握られている。匂いを嗅げはウイスキーのようだ。
司会の唱和と共に、軽くグラスを上げる。
隣の白髪の男がグラスを合わせてきた。
軽く会釈を返して座り直した私だったが、先程からもう一人の男を探していた。私をこの場所に呼び込んだと言っても過言でない、妻の元彼と名乗る男だ。
その男がこの会場に居るかどうかの確信はないが、やはり気になっているのだ。由紀子さん達に聞いたとして、知っていても本当の事を教えてくれる筈がない。
暗い会場の様子を何度も見回すが、元彼の男の気配など全く掴めない。妻と同級生の筈だから、歳の頃は私と同じぐらいだろうが、ベネチアンマスクもあってか見当すら付かないのだ。
「あのぉ…」不意に隣の白髪男が話し掛けてきた。「申し遅れました。私、Aと言います。初参加なんです、よろしくお願いしますね」
私は男の胸元の名札を見た。「そうなんですか、私はKと申します。よろしくお願いします」
私達は頷き合ったが、そこから会話が進む事はなかった。周りは歓談の時間となったが、私など初心者には余裕などあったものではない。
由紀子さんを観れば、隣の徳子さんと顔を近づけて話し込んでいる。彼女達の横顔はベネチアンマスクもあってか、卑猥な企てを図ってる様にみえなくもない。
そんな私の思考を止めたのは、司会者の声だった。「ご歓談中を失礼します。一番手の方の用意が出来たので、ショーの方に移りたいと思います」
司会の言葉が終わると、フロアの片隅が明るくなった。天井のスポットがそこを照らしたのだ。
遠目に観ると、そこにちょっとしたスペースが見えた。簡易ベッドのようだ。あれが動画にあった舞台なのか。
「うふふ、さが…あ、ごめんなさい。Kさん、今日は男性ストリップショーからよ」由紀子さんが身を乗り出している。
「えっ、男性ストリップ!?」
周りからは、パチパチと拍手が起こっている。
司会の男の視線の先に、ホテルでよく見かけるガウンを纏った男がいた。
「皆さんもよくご存知の『Sさん』です。今日はなんと、彼がストリップをしてくれます。さあベッドの回りに集まって下さい」
司会に紹介された男が、拍手に手を振りながらベッドへと歩みよる。
私の身体は一瞬躊躇したが、ソロリと立ち上がった。一人で席に残っていると、かえって目立ってしまう。私は人垣の一番後ろに立つ事にした。
この位置から女性達の名札を見ようとするが、全く読み切れない。
「ではSさん、どうぞ」
Sと呼ばれた男がベッドに上がると、聴いた事のない怪しげな音楽が流れ出した。それに合わせてSがガウンの胸元に手をやり、パタパタと開いたり閉じたりしながら観覧する男女を煽りだした。
その煽りに乗って、私を除く殆どの男女が手拍子を始める。
Sがガウンを脱ぐと、筋骨隆々の身体とそれにマッチしたビキニパンツが現れた。そして、コミカルにマッチョポーズを披露すると、尻や腰を突き出して女達の叫声を誘う。
口を押さえて笑いを我慢する女がいれば、Sの胯間に手を伸ばす女もいる。それをあしらいながら、Sはビキニパンツを少しずつ降ろしていく。胯間の中身が見えるか見えないかのところでは、一層手拍子が大きくなった。
Sがベッドを降りて、拍手の大きい方へ寄って行く。そして胯間の膨らみを一人の女の顔近くに寄せると、歓声が最高潮に達した。するとついに、女が目の前のビキニパンツの両端に手を掛けた。
テロンと顔を露にしたのは、ニョキッと伸びた肉の棒。
その肉棒を一人の女が隣の女に握らせた。握ったのはポッチャリの女、徳子さんだ。
拍手が一層強まり、それに囃し立てられてか、徳子さんがSのソレを咥え込んだ。
Sが呻きの声を上げるが、茶番に見えなくもない。
徳子さんの口元からはモゴモゴ、ングング動物が餌を味わうような音が聞こえてくる。
その時、二人の様子を撮影してる者がいた事に気が付いた。同じベネチアンマスクを着けた男だ。彼はデジカメらしき物を徳子さん達に向けている。例のUSBにあった動画は、妻が撮影したと聞いたが、今日は妻の役目ではないらしい。
カメラを向けられてる事に気付いているのかどうか、徳子さんのフェラチオは激しさを増し続けている。
誰かが後ろからSの尻をひと打ちした。Sが心得たように、尻を回してカクンと腰を突き上げる。
「N子ちゃん、美味しいか?」何処からか男の声が飛んだ。徳子さんは肉棒を咥えながら頷いている。
やがて、Sが天を見上げてふうっと大きな息を吐き出した。そろそろ限界が来たのか、と思った瞬間、徳子さんの喉がゴクリと鳴った、ような気がした。
徳子さんの口元から、ツーッと欲汁が落ちていく。司会の男が用意していたティッシュの箱を手渡そうとする。
しかし、徳子さんは手を振って断ると、ゴクリともう一度喉を鳴らして牡汁を受け止めたのだった。
牡精を絞り取られたSが、徳子さんに拍手を送る。周りの男女がそれ以上の拍手をすると、徳子さんが恥ずかしげにペコリと頭を下げた。最初のショーが終了したのだった。
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私は、妻の元彼と名乗る男からの何通もの手紙を、最初から読み直していたーー。
・・・二人の出会いは、高校3年の夏。その頃、片想いの相手に振られた妻に、男が忍び寄ったのだった。
男は以前から妻に憧れを抱いていたらしい。だが男は、今で言う陰キャラで、素直に告白しても無理と考え、読書好きという共通のネタで近づき、親しくなる事に成功するのだ。
やがて二人の親密度は増していき、ある時、妻は男がよく通っていたという怪しい店に連れて行かれる。
そこは場末にある昼は喫茶で、夕方頃からアルコールを出す淫靡な雰囲気を漂わす店だった。
男は、この店の怪しげな女店主の協力を得て、妻の『初めて』を強引に奪った。そして、その時にカメラに収めた恥ずかしい画像を脅しに、男は妻を性の深淵に誘い込んだのだ。
初体験の様子から、妻にマゾ気質があると見抜いた男は、自宅や場末のホテルに妻を連れ込み、調教を施していく。
妻は男が言うままに卑猥なランジェリーを身に着けるようになり、精飲やアナル舐めを仕込まれる。そして、学校やスーパーの屋上といった野外でセックスするようになってしまう。体位は犬の格好が多く、それはマゾに似合いの姿だと刷り込まれていった。
男に呼び出される度に妻のM性は増していき、自ら卑猥なポーズまで曝すようになり、イラマチオをしたり、観察ごっこという自慰行為の見せ合いをしたりした。
この頃、男は妻の股間が剛毛である事や、アナルの横に小さなホクロがある事に気づき、後に私に指摘している。
男の変態度には底がなく、関係が出来て2ヶ月くらい経った頃には、頻繁にSMホテルを利用するようになり、更なる変態プレイで妻を淫欲の闇深くに導いていった。例えば、妻は鏡の前でウンチングスタイルをとらされ、フェラチオの口元を鏡越しに見せられ、鏡に二人の身体を映してのセックスに悦びを覚えるようになっている。
『オマンコが気持ちいい』『清美はチンボ好きの変態マゾ女です』と、妻は鏡の中の自分を見ながら、淫語を吐き出すまでになった。そうなのだ、妻は思春期の時に既に、卑猥な言葉を口にする女になっていたのだ。
二人のSMプレイはエスカレートを続け、男は大人のオモチャと呼ばれる性具を使うようになり、鞭打ちやスパンキングまでするようになる。
ある時は、妻は黒マスクを被せられ、そのマスク以外は一糸も纏わない姿で被写体になる事もあった。その際のシャッター音にも、性感帯を刺激される身体になっていた妻。
サディスティックな責めの後には、ノーマルなセックスもあったらしい。が、二人のセックスでは、いつも避妊がされていなかった。やがて避妊薬は用意されるようになるが、妻が薬を服用していたかどうかは未だ分からない。
SMホテルでの変態遊戯は常習化していき、妻は放尿姿まで披露するようになった。しかも妻は、男と浴室で小便の掛け合いまでしている。
私はそこで、ふうっと溜め息を吐き出した。一旦読むのを止めて、目頭を揉んでからコーヒーに口を付ける。手紙はこれまで何度と読み直してきたが、いつも胸の奥に異様な蠢きを感じてしまう。
暫く気持ちを鎮めていた私だったが、続きを読む事にした。次はいきなり飛んで『同窓会』の場面だったーー。
・・・男と妻の再会は何十年ぶりかのものだった。それまでにも同窓会が開催された事があったかどうかは分からないが、男にとっては運命の再会の日になったわけだ。
卒業後も、希望通りの人生を歩めなかった男には、鬱屈したものが溜まっていたようだ。
そんな男は、会場で妻に忍び寄る。そして、近況や私達の家庭環境までさり気なく聞き出し、妻の記憶の扉を意味深な謎かけでノックした。妻は、元彼との何十年ぶりの再会に、それまで封印されていた何かを思い出したのかもしれない。
会場が2次会の場所へと移った後は、由紀子さん達むかしの友人が絡む中、男は妻の手を握ってセックスを連想させている。その時も、妻は心の奥から湧き上がる何かを感じたのではないだろうか。
私はもう一度目頭を揉んだ。コーヒーの残りに口を付けるが、苦味が増した気がする。
再び読み始めれば、場面は過去に戻って、二人の別れのシーンだーー。
・・・怪しい店の女店主が男に嫉妬してか、二人の関係を世間に公表すると云ったのが、別れの原因と書かれてある。けれど男は、妻の世間体を心配して身を引いたような記述もされてある。
別れを切り出す際、男はこれまで脅しに使っていた妻の卑猥な写真などを、その場で削除してみせている。それでも男は、妻が性奴として自分に付いてくると信じていたようだ。
妻は男の想いとは別に、別かれを受け入れるわけだが、奥底にあった本心はどうだったのか?今になっても私は考えてしまう。
私は、何度目かの溜め息を吐くと、手紙の束を纏めて鞄にしまった。このまま読み進めれば、場面は同窓会の2次会から3次会へと移り、由紀子さん達が絡み出して来るのだが、この辺りの事は比較的最近の事だからか、記憶がシッカリしているのだ。しかし問題なのは、この友人達もが変質者だった事だ。最近の妻は、間違いなく彼女達からも刺激を受けている。その事実が、更なる不安を私に与えているのだ。
両親の前でしおらしくしていた彼女。
良妻賢母の妻。
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そんな女性が、男に放尿姿を見せたり見せられたり、小便を掛け合ったり、屋外で立ったままセックスをしていたのだ。精飲やアナル舐めは当たり前で、縛りや鞭打ちにはアソコを濡らした女だったのだ。
そんな事を考える私は、先ほどから身体の変化を感じていた。先日の夜以来、不能状態だったアソコが復活の気配をみせていたのだ。
妻の過去の話に興奮を覚える私こそ、重度の変質者かもしれない。
家路に向かって店を出れば、今夜、もう一度妻を襲おうと考える私がいる。アルコールの力を借りなくても、犯(や)れる気がするのだ。不能など、もう大丈夫だ。
家に着いてからは、普通を装いながら夜を待った。妻のよそよそしい態度は最近ではお決まりの事で、私は適当な距離を保つようにしていた。
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先に風呂に浸かった私は、部屋に籠もる事にする。耳を澄まして妻の様子に気を配った。彼女が風呂から上がって、自分の部屋に落ち着いたのを感じてからは、息を殺してその時を待つ事にする。ふと、もう一度手紙を読み直してみる気になった。
気が付けば、又してもアソコの硬度が増している。
コレを強引に膣(つま)の中に。そう、レイプにも悦びを覚える女を、妻は自分の中に飼っているのだ。そんな事を自分に言い聞かせて、私は部屋を抜け出した。
妻は寝ている頃だろう。起きていても構わない。先日のように自分を慰めていても構わない。抵抗されても開き直って犯ってやる。
私は彼女の部屋の前で、下半身を露にした。
しかし、又だ…。
たった今まで熱(いき)り立っていたアレが、急に硬度を失っていく。
その萎れた竿を握りながら、そっとドアを開けてみた。
妻はベッドの上、寝息を立てていた。先日のように、自分を慰めていた気配は見当たらない。静かな寝顔をシゲシゲと見続けたが、胯間のソレは縮んだままだった。
私は、情けなさに惨めさも加わり、逃げるように部屋を出た。
自分の部屋に戻った私は、完全に打ちのめされていた。3回続けての不能という事は、これから一生勃たないのではないか。私は男として終わってしまうのか。
恐怖を感じた私だったが、いつの間にかウツラウツラしていた…。
コンコン、何処かでノックの音がしている…。
誰かが私を呼んでいる?
これは夢だろ…。
カチャリ、覚えのある音がした…でもこれも夢?
『あなた、寝てます?』
妻の声が聞こえた…気がする。
しかし感じるのは、薄暗い常夜灯の灯りだけ。
『聞いて下さい』
又どこかで声がしたようだが、身体が動かない。
それでも、金属的な目に観察されてる気がする。
『感受性の強い思春期に受けた傷は、痛みと同時に快楽の種子を埋め込んだのです』
誰の声だ…。
『それは寄生虫のように心の中で静かに育ち、いつか蘇る準備をしていたようです』
何の話をしているのだ…。
『平凡な生活は人を平凡に導き、しかも家族の負担が減れば日常の張りもなくなります』
む、陽子の事を云ってるのか。
『そんな時に昔を思い出す切っ掛けに出会えば』
そ、それが元彼の男か。
『貴方には…たいへん…申し訳なく…』
お、おいチョット待て…。
…そこで私の記憶は途切れていた。
目が覚めたのは、太陽が昇りきった朝の10時過ぎだった。
のっそりと身体を起こすと、夕べの事を考えた。閉まったままの部屋のドアを見詰めながら、深夜に妻が来たのではないかと思い出そうとする。それとも、あれは夢の中の出来事だったのか。
妻に直接訊ねてみようかと考えるが、やはり聞きづらい。
私はそおっと部屋を出た。が、家の何処にも妻の気配はない。思い出したようにスマホを見ると、彼女からのLINEがあった。
『今日は女子会です。少し早いですが出掛けますので』
短い一文を読むと、心の中を冷たい風が通り過ぎた気がした。
私は部屋に戻って鞄から例のベネチアンマスクを手に取った。今日の女子会=社交会のパスポートだ。
今の精神状態を考えると、会に行けばショックで倒れるかもしれない。それでも現実から目を逸らすわけにはいかないのか。
暫く怪しげなマスクを見ながら自問を繰り返していたが、私は行く事にした。そして妻の様子を探るのだ。そこに元彼の男がいれば、彼を問い質す機会もあるかもしれない。
早めに家を出る事にする。元彼からの手紙を入れてある鞄をどうしようかと迷ったが、結局置いて行く事にした。会場でこの鞄を妻に見られたら、私の存在が知られてしまう。妻は私が来るとは、つゆにも思ってないだろう。由紀子さん達も内緒にしてる筈だ。
自分を奮い立たせて、家をでたーー。
会場となる『fall』が入ったビルを眺められるカフェを見付けて、時間を潰す事にした。『fall』は本来なら暗くなってからの営業だろうが、今日は貸切なのだと想像がいく。
コーヒーとサンドイッチを食べた後は、黒いサングラスを掛けて目を閉じた。
眠るつもりはなかったのに、いつしか波打ち際で揺れてる気分だった。頭の中に『fall』という単語が舞って落ちてきた。
fallーー落ちる…下落…下降…転落…堕ちる、女が男に『堕ちる』意味なのか!?
その瞬間、私はハッと意識を取り戻した。
時刻を確認すれば、結構な時間、眠っていたようだ。首筋には嫌な汗を掻いている。何だか胸騒ぎがする。それでも行かなくては。
私は席を立って、一旦トイレに向かった。
個室の中には、手洗い器があった。その上の鏡に、ベネチアンマスクを被った顔を映してみる。私と分からないだろうか。上着のシャツは、滅多に着ない物を選んだつもりだ。妻も気付かないと思っての事だ。そして、気休めのつもりで髪を水で濡らして形を多少変えてみる事にした。
店を出て歩き始めた途端、膝が震えてる事に気が付いた。心臓もバクバクしてる気がする。
ビルの下まで来た所で、もう一度時間を確認した。少し遅刻だが、この位の方が良かったかもしれない。
エレベーターに乗って、最上階のボタンを押す。そのフロアにある店は『fall』だけのようだ。
店の扉の前で、小さなプレート文字を確認する。そして、深呼吸してからインタフォンを押した。
返事はなかったが、直ぐにカチャリと音がしてドアが開いた。現れたのは黒いスーツを着た男性だった。しかし、年齢など全く分からない。ベネチアンマスクを着けていたからだ。
「招待状をお願いします」
毅然とした男の声に、ハッとなった。そうだった。ソレを見せなくては。
私が見せたベネチアンマスクを男は受け取り、確認した。「ご招待者はどちら様ですか」男が静かに訊いてくる。
「え、ええっと…」
戸惑った私の声に被さるように、奥から女性の声が聞こえた。
「その方は私のお客様です」
こちらに歩いて来るのは、コンパニオンドレスを纏って男と同じベネチアンマスクを着けた女性…声から直ぐに、真木由紀子さんだと分かった。
「ああ、Y子さんのお知り合いでしたか。これは失礼しました」男が畏まって頷く。
「はい。こちらはKさんです」
そうなのか、ここではイニシャルで呼ぶ事になっていたのだ。賢一だから、私はKなのだ。
仮面の下で、男の口元がニヤリとした。そして私を迎え入れてくれる。由紀子さんは仮面の奥でウインクして、私の肘をとった。「Kさん、さあ行きましょうか。皆さんお揃いですよ」
私は黙ったまま頷いて、ベネチアンマスクを装着した。
暗いエントランスを進む私は、由紀子さんの言葉を考える。『皆さん』には、妻も入っているのだ。では、妻の元彼の男は…。
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会社で仕事をしてると突然、キコンと音がした。
パソコンから目を離してスマホに手をやり、見れば妻からのLINEだ。
周りの部下達の様子を一旦確認して、文字に目をやる。
『今度の日曜日、突然ですが女子会になりました。泊まりはなくなり日帰りになりましたが、帰りは遅くなると思います』
その短い文章を読むと、口元から自然と嘆きの吐息が零れ落ちた。
先日の夜以来、妻の顔を見づらくなっている。夕べもそうだが、二日続けて妻とセックスを試みようとしたが、どちらも不発で勃たなかったのだ。そして、自信を失った私は、まだ見ぬ元彼に負けた気になっている。そんな時に、このLINEメッセージだ。
少し前から3度目の女子会の事は匂わされていたが、ここに来てそれを止める気力が湧いてこない。今、私の中にあるのは祈りに近い気持ちで、無事に女子会を終えてほしい想いなのだ。
しかし。
女子会=社交会とされる変態パーティーで、妻が無事で済むのか。友人の由紀子さんや徳子さんと一緒に、妻が乱交を繰り広げるとは思えない…つい先日まではそう信じていたが。もし、その集まりに元彼も登場したなら…。
「相良さん、どうしたんですか、顔色が悪いですよ」
不意の声に顔を上げれば、いつもの庶務課の女性だった。私は大丈夫だよと小声で応えて、郵便物を受け取った。
そこで、あッと声を上げてしまったのは、束の中に見覚えのある茶封筒を見つけたからだった。
「どうかしましたか?」
女性の言葉に「いや、大丈夫」と小さく呟いた時には、席を立ち上がっていた。
トイレの個室に入った私の手には、妻の元彼からの茶封筒が握られている。その感触は今までのどれとも違っていた。USBの感触はないし、これまでと違う何かが入ってある。私は急いで封を切ってみた。
中にあったのは見慣れた便箋が1枚に、実物は初めて目にするベネチアンマスクと呼ばれる怪しい仮面だった。
私はそのマスクをシゲシゲと見たあと、手紙を読み始めた。
【清美さんのご主人、お久しぶりでございます。
その後の貴方の事は、由紀子さんから色々と報告を受けています。
由紀子さんが、行きつけの居酒屋で貴方と会えたと聞いた瞬間には、私は思わず頬を緩めておりました。
そして、貴方と由紀子さんがもう少しで間違いを起こしそうになったと聞いた時は、ほくそ笑んでおりましたよ。】
男の筆に苦いものが湧き上がって来た。私の調子が落ちて行くのと合わせたように、男の充実度が増していく気がして何とも言えない憤りを覚える。
【さて、今回は同封したベネチアンマスクから分かるように、女子会への案内の連絡です。】
その瞬間、私はえッと声を上げていた。私を女子会に招待するというのか!?。
私は左手に持ったままのマスクを改めた。このマスクが招待状の代わりなのか。
【ただし、会場では、貴方は特別ゲストとしての振る舞いをしなければなりません。
1番気を付けないといけないのは、清美さんに正体がバレる事です。
会は清美さんにとっては女子会と言う事になってますが、実際は由紀子さん達が行っている社交会です。
社交会の実態は、USBの動画でご存じだと思いますが、その様子を貴方に観覧して貰うわけです。
その場で清美さんがどういった振る舞いをするのか?清美さんは社交会の中、正常でいられるのか?そういった彼女の様子を追い掛けるのです。
参加者は私も詳しくは知りませんが、同窓会メンバー以外の人の方が多いでしょうから、どんな事態になっても、その場の雰囲気を壊さないようお願いします。
では。】
短い文章の最後には、女子会=社交会の開催日時と場所の住所と会場名が書かれていた。
この場所や時間の事は、後ほど妻からも聞かされるのだろうか…そんな事を考えている時、スマホが振動した。
上司が私を探していたのだ。
トイレを出て廊下を進む私は、途中で慌ててしまった。ベネチアンマスクを手にしたまま歩いていたのだった。
土曜日。
今朝も起きた時から妻との距離感は重いままで、私は昼前から逃げるように出掛ける事にした。
行く当てのない外出だったが、駅の近くで不意に思い付いた事があったーー明日の社交会の場所を見ておこうと。
駅構内のトイレに入ると、個室で腰を落ち着けた。いつも持ち歩いてる鞄から、例の手紙を取り出す。最新の手紙の中に、明日の場所が記載されているのだ。
私は会場の最寄り駅を確認すると、ネットで行き方を調べて個室を出た。
その店は自宅の最寄り駅からは1時間ほど。とあるターミナル駅から僅かの所、飲食店やバーがひしめくソシアルビルの中に『fall』はあった。
この辺りは繁華街に違いないが、場末の感じがしない新しいビルが多かった。
私は下から目的のビルを見上げた。
ビルの袖の1番上には、『fall』の看板がある。
ここに来るまでの電車の中で、もう一度『fall』を検索していた。分かった事と言えば隠れ家的なBARというだけで、書き込みなどは殆ど見付ける事が出来なかった。
一応店の前まで行ってみたが、営業してる気配はない。開くのは暗くなってからなのか。
駅の方まで戻り、カフェを見付けて落ち着く事にした。
アイスコーヒーに口を付けたところで、スマホを取り出した。
明日、妻に家を出る時間や、何処まで行くのか、その辺りを告わせてやろうかと思い付いたのだ。
そのメッセージをLINEで送って暫くすると、返信が来た。
会場となる名前など書かれておらず、由紀子さん達との待ち合わせの時間と場所が書かれているだけだった。
妻の今の心境は、どういったものだろうか。ふと、そんな事を考える私の心の中にあるのは、やはり不安だ。
高校時代の彼と同窓会で再会した妻清美。彼女は思春期に受けた調教を心の奥底に封印して私と結婚していたのだ。その封印が今は解かれている…いや、解かれようとしている。そして更に、友人の由紀子さんから怪しい社交会に誘われ、妻の中に変化が訪れてる気がする。
私達は充分に熟練した夫婦の筈だ。しかし妻との性行為は何十年も無い。やはりこれが、妻が元彼に靡(なび)く原因なのか。いや、まだ靡いたなんて決まっていない。
それにしても、私の身体の変化には参ってしまう。先日の夜、妻を襲おうとした私は、勃たなかったのだ。そしてそれは、今も続いてる。何時ぞやの寝取られ系のエロ動画を視ても全く反応しないのだ。
私は手紙から目を離して、『fall』の入ったビルの方角に目を向けた。
元彼は手紙で、あの店での振る舞いに注文を付けていた。妻には正体がバレないようにしろと。そうなのだ。妻も私が居るとは、これっぽちも考えないだろう。
そこで妻の方こそ、どんな振る舞いをするのだろうか。友人達の変態遊戯を目の当たりにして、正常でいられるのか。そして、そこに元彼も来ていたなら…。
そんな思考を繰り返していた私は、もう一度元彼からの手紙を読み直す事にした。
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私は我が家へと足を進めていた。
途中でLINEが気になり、スマホを取り出してみれば、案の定、未読の中に妻からのものがあった。
『帰りは何時頃ですか。眠いので先に休みます』
妻は既読にならない事にやきもきしたかもしれないが、今はもう眠っているだろう。
私の酔いは、家に着いた時にはすっかり落ち着いていた。静かに玄関ドアを開けて中に進むと、まずは妻の寝室をそっと覗いてみる。妻は軽い寝息を立てていた。
一旦自分の部屋に入ると、直ぐにシャワーを浴びる事にした。熱い湯を浴びながら考える事は、妻との何年ぶりかにするセックスの事だ。
股間のソレを念入りに洗う。コレが先ほどの居酒屋で由紀子さんに握られ、勃起していたかと思うと、モヤモヤした信号の波が太腿の裏を走り抜けた。もし、あのタイミングで店員が来なければどうなっていただろうか。
浴室から出た私は、裸のまま妻の部屋に行こうか迷ったが、パンツとTシャツの姿で行く事にした。
音を立てずにドアを開ければ、常夜灯に照らされる寝姿は、先ほどと変わっていない。
妻の胸元に掛かる布団をゆっくりと捲ってみる。今夜の彼女はパジャマ姿だ。
「き、清美…」
私の囁きにも、妻は全く反応を示さない。
もう一度名前を呼ぶと軽く呻いた気がしたが、直ぐに元の呼吸音がするだけだ。私は緊張を自覚しながらも、妻の上下する胸に手を置いた。そしてゆっくり揉み始める。
掌に伝わって来るのは、由紀子さんの胸房とはまた違った感触。
妻の眉間には皺が寄り、鼻息は荒くなっていく。 私は怖々とパジャマのボタンを上から外し始めた。
妻は思った通り、ブラジャーを着けていなかった。目にする膨らみはいつ以来のものだろうか。乳輪の先の尖りはピンク色ではないが、年相応の味わいを感じる。私は顔を近づけ、舌先をそっと黒い尖りに持っていった。
「うぅんっ」朱い唇から声が上がった。妻を窺えば、瞳は閉じたまま。
頭の中に『今のうちに』という言葉が聞こえてきた。私は今、妻を襲うと考えている。それがレイプでも構わない、そんな言葉も聞こえた気がする。そうなのだ、友人達に誘われたとはいえ、怪しげな集まりで他人のセックスのビデオ係りを務めただけでも、それは罰に値する。
私は妻を見ながらパンツを脱いだ。そして次は妻の番だ、下半身を露にしてやるのだ。
そっとパジャマの下とショーツを同時に掴むと、ユックリ降ろし始めた。もし途中で目を覚ましたなら、それは仕方ない。
妻の股間が露になった瞬間、例の手紙の一文を思い出した。
妻の股間の陰毛は、たしかに黒グロとしていたのだ。
暫くその剛毛を見ていたが、ソコに顔を寄せながら、太腿の裏側に両手を滑り込ませた。そしてユックリ股を拡げてやる。
ぷぅんと懐かしいような、それでいて熟した芳醇な匂いを嗅いだ気がしてツバを飲み込んだ。この蜜の中心に私自身をブチ込んでやるのだ。と、自身の男根を握った瞬間、私は戸惑った。硬くなっていないのだ。これはどうした事だ。
そっと妻を覗けば、目を閉じたまま豊満な乳房だけが隆起している。その様子を見ながら、男根をシコるが一向に硬くならない。
焦りで身体が熱くなってきた。額には汗が浮いて来る。ベッドに横たわるのは、歳はいっても肉感的で魅力的な身体なのに。
「うううん」再び朱い唇から呻きが上がった。
瞬間、私の背中に汗が流れ落ちた。ここで妻が目を覚ませば、あまりにもバツが悪すぎる。咄嗟にそんな考えに至った私は、逃げるように部屋を後にしたのだった。
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しかし直ぐに、ある事に気が付いた。妻のパジャマを脱がしたままだった。起きた時に、必ず何かを勘ぐる筈だ。どうしようか。
私は勇気を出して、もう一度妻の部屋に行く事にした。侵入した痕跡を消すのだ。
妻の部屋の前に立って、一度深呼吸をする。パンツは履いているが、中の愚息は小さくなったまま。私はソッとドアを開けた。
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女の口元からは、何かしらの声が漏れ聞こえてくる。
私はドアの隙間を覗きながら、その声に集中した。
「あぁ、オマンコ…もっとマンコを虐めてぇ…」
それは見事すぎる4文字の淫語。
そして私は、唖然としたまま妻の自慰行為を覗いていたのだった。
次の日ーー。
「それにしたってなぁ…」
私は昼食の為に寄ったファミレスの席で、ため息を吐き出した。
食欲はあまり無く、テーブルには半分ほど食べて、そのままの日替わりランチが乗ったまま。
せめて飲み物だけでもと、コーヒーカップを手に取った。そして例の手紙を読む事にする。
妻の元彼と名乗った男からの手紙は全て、いつも鞄に入れて持ち歩いているのだ。
昨夜の妻を思い浮かべれば、この手紙に書かれてあった事と重なるところがあるから参ってしまう。
手紙にはーーー妻は剛毛と書かれていた。昨夜の彼女を思い出せば、その通りだ。
手紙にはーーー妻のアナルの横に、小さな小さなホクロが縦に二つ並んであると書かれていた。が、それは確認出来ていない。
手紙にはーーー妻の左乳首が陥没気味と書かれていた。昨夜はそれほど気にならなかったが、思い返せばその通りかもしれない。
そしてもう一つーーー、元彼は手紙で、妻を調教する過程で自慰行為を命令したとあった。
昨夜、私が最も衝撃を受けたのは、自身の男根が不能だった事もあるが、それ以上に妻の自慰(オナニー)を目撃した事なのだ。彼女は部屋のドアの方に臀を向け、四つん這いの格好で淫部を拡げ、ソコに指を絡ませヨガリ狂っていたのだ。その時の妻の妖しいテンション…あれは一種の性倒錯か。
ひょっとしたら、妻は私が部屋に侵入した時、何かしらの気配を感じて男に襲われる夢でも見たのではないだろうか。そして、無意識に想像を膨らませて自慰行為に陥ったのではないのか。
その妻は今朝、私の顔を見るとバツが悪そうによそ行きの態度をとっていた…と思ったのは考えすぎだろうか。
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妻は近々、3度目の女子会と称する集まりに行ってしまうだろう。それは泊まりで計画されているらしい。妻の友人の由紀子さんは、妻を試してみてはと私に言ったが、行けばどうなる?妻は社交会で撮影係のような事をやらされ、刺激を受けたのは間違いない。だからと言って、妻が由紀子さん夫婦や徳子さんのように、乱交まがいの事をするとは思えない。が、それは元彼がそこにいない場合だ。もし、その集まりに元彼が来たならどうなってしまうのか。
この日の夜、私は久し振りに部下と呑みに行く事になった。仕事はいっときの多忙が過ぎて、出張の予定もなくなり、息抜きにはちょうどよいタイミングだ。それに今夜は、妻と顔を会わせるのは遠慮したい気持ちなのだ。
約束の居酒屋には、残業で少し遅れてしまった。
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「あ、お連れ様でぇす。ちょうどいい所に来ましたよ」山口が紅い顔を私に向けて来た。
「やぁ遅くなって悪い。それで何が『いい所』なんだい?」私が腰を降ろしながら訊くと、吉田がメニューを広げてくれる。
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私の注文に吉田が店員を呼ぶ為に席を立つ。その吉田を山口が座りながら顎でしゃくる。「聞いて下さいよ。吉田のやつ、凄い事を言い出すんですよ」
シャツのボタンを一つ外し、私はふうっと息を吐く。そして「で、何がなんだい?」落ち着いた声で、山口を促した。
「コイツですねぇ、嫁が自分以外の男とやってる姿を見て、オナニーしてみたいとか言い出すんですよ」
いきなりの話題に、私は呆気に取られてしまった。
「アホ、そこまで云ってないだろうが」生ビールを注文し終えた吉田が、私の前に腰を降ろす。その吉田の表情を見れば、山口同様に出来上がっている。
「いや、自分はですねぇ、そう言うのも倦怠期にありかなって」
「倦怠期って、吉田のところはまだ新婚みたいなもんだろ」と、私が訊く。
「いえいえ、子供が出来てからは空気が変わりまして」
「子供か、それは分からない気もしないが、まだ平気だろ」
「いえ、それがですねぇ」と、隣から山口が口を挟んで来た。「コイツは元々、淡泊だったんですよ。それで嫁さんを満足させてなかったくせに、最近急に歪な考えを持つようになったんです」
「歪ってなぁ」吉田が山口を睨みつける。
「そうだろ、嫁が他の男に抱かれるところをって」
「それはお前が、いつぞやの呑みの席で変な話をしたからだよ」と、吉田が更に山口を睨みつけた。
確かに、彼等から『寝取られ』の話題が出た時の事を、私はしっかりと覚えている。
「でもな、嫁さんが黙って浮気するよりは、お前が納得して男に差し出した方が安心だわな」と、山口。
「あのなぁ」
「あ、そうか。お前の場合は嫁がこっそり浮気してるところを覗きたいわけだ」
「だ、か、ら!俺はそんな事、考えてないっちゅうによ」
吉田がムキになって反撃する様子を、私は冷静に聞いていた。
「まぁそんなに怒るなよ。でもな、お前の話し方とか雰囲気を見てたら俺には分かるんだよ」と、山口が真顔で頷く。「吉田は普段真面目だけど、そう言うヤツに限って変態気質を持ってたりするんだよな。この間もそうだけど、この話題の時のお前の顔は、いつかは俺もって顔なんだよ」
「何だよ、その決め付けは」
二人の部下の押し問答のような会話はそれからも続いたが、その会話も途中からは、私の中には入って来なかった。ただ、奥さんの痴態を覗く吉田の姿が浮かび、やがて彼の姿が私へと変わっていくのだった。
部下の盛り上がりは、話題を変えながらも続いた。私は適当に相槌を打ちながら飲み続けた。お開きになる時には、かなり酔っぱらっていた。
今夜は妻と顔を合わせづらい私だったが、その気持ちは酔いのおかげか薄まっていた。
家に帰り着き、玄関ドアを開けてみれば、静けさが漂っている。時刻もとっくに午前様で、妻は間違いなく寝ている事だろう。
私の足は自分の部屋に向かいかけたが、妻の部屋の前で止まった。そこで中を、こっそり覗いてみる事にした。
すると…。
一瞬これはデジャビュかと、頭の中を昨夜の事態が過った。全裸の妻が四つん這いで、手を股座から股間に充てて弄っているのだ。グチョグチョと鳴る淫靡な音が伝わって来る。その一心不乱の姿に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
妻はアナルまでが丸見えの上、アソコを拡げて膣穴を犯し続けている。
私は引き寄せられるように妻に近づいた。
シーツに埋まる横貌を覗き見れば、彼女は目を瞑って甘い呻きを立てている。こちらの存在には、気付いていない…ようだ。
暫くそのまま目の前の痴態を見てると、身体が熱くなってきた。この女を何とかしないといけないのではないのか。
その時、甘い呻き声が言葉になって伝わってきた。
それは…。
「…オマンコよぉ…オマンコいいのぉ」
昨夜と同じ4文字の淫語ではないか。
「あぁんッ犯してぇ、あなた、お願いっ」
切れ切れの鳴きの声に、私の身体は固まっていた。それにしても、今の『あなた』とは誰の事だ。
身体の熱がフツフツと高まっていく。こうなったら私が犯(や)るしかない。この女にブチ込んでやるのだ。
私はズボンを降ろして、股間を露にした。
しかし…昨夜と同じで、シンボルであるはずの男性器が萎んだまま、全く反応しなかったのだ…。
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パソコン画面の中では、由紀子さん夫婦の白黒ショーが続いていた。
二人の行為は道徳的に考えれば、赦されるものではないが、それでも衆人の前で、しかもカメラがある中で痴態を曝し続ける様には、正直に凄いと言う言葉が浮かぶのだった。
もし私が同じ立場にいたなら…その有りもしない場面を考えてしまうのも、この異様な映像のせいかもしれない。そんな私に、先ほどから由紀子さんの熱が伝わって来る。私の掌は、彼女の胸房に当てられたままなのだ。
「あぁっ何だが下の方も熱くなってきたわ」由紀子さんが身体を捩らせている。その震えが伝わって来る。
画面の中では、由紀子さんが正常位から今度は四つん這いへと形を変えている。
「あ、あの、恥ずかしくないんですか」
私の質問が間の抜けたものに聞こえたか、彼女が薄く嗤った。そして私の耳元に唇を寄せる。「何を今さらですわ。清美さんのご主人って面白い人ね」
「………」
私は口を閉じて、間をやり過ごそうとする。この空気感には、限界を感じてきたのだ。
「どうしたんですか、もう飽きました?」
「い、いえ、そんな…」
「ふふふ、早く帰って清美さんとオマンコしたいんですか」
ええッ、驚きの声が口をついた。現役教師の口から、隠語4文字が吹き出るなんて。
「いつもはねぇ」甘ったるい声が溢れて、掌が更に強く胸房に押し付けられた。「夫婦のセックスを披露した後は、次に何をすると思いますぅ?」
「え、何をするんですか」
「次はねぇ、見てる人の中から何人かベッドに上がって貰うんですよ」
「そ、それって…」
「うふふ、そうなんです、その日の会に参加した男の人とセックスするんですよぉ」
「ご、ご主人は…」
「ん、主人?あぁ、彼はアタシが見ず知らずの男に抱かれるのを隣から見るんです」
「ええッ、本当ですか!」
「ププッ、清美さんのご主人ってホ~ント真面目なんですね。でも事実なんですよ。主人はね、アタシが男に犯されてるところを見て、性的興奮を覚えるんです」
「うゥゥッ」唇を噛み結ぶ私の口元から、唸り声が零れ落ちていく。
「うふ、ご主人もまんざらじゃらないみたいね。今身体がビクンとしましたよね」
由紀子さんが怪しい笑みを浮かべたかと思うと、彼女の手が私の股間に侵入してきた。股座に緊張が走る。
「あら、まだ小さいのねぇ」
酔いも混ざった彼女の声が、脳みそへと入って行く。同時に私の一物に血が流れ込むのが分かった。そして彼女の指の動きに合わせて、アソコが脈動し始めた。
「夫婦はねぇ、一旦ハードルを越えると以前のステージには戻る必要がないのよ」
「な、何の話ですか…」
「新婚の時は模倣で、好き勝手に快楽を協調しようとするセックス。やがて倦怠期。そのまま一生を過ごす人もいれば、アタシ達のように新たな道に入る夫婦もいる」
「だ、だから何の話を…」
「アタシの運が良かったのは、パートナーが理解ある協賛者だった事」
よく分からない事を喋り続ける由紀子さんだったが、私の下半身にはハッキリとした反応が現われていた。彼女の手の中で、アソコは確実に硬くなっているのだ。
「ほら、ビデオのアタシ、凄いでしょ。この日は3人の男と犯(や)ったわ。主人はそれを見て…うふふ」
映像に向き直れば、ご主人が他の男達に持ち場を譲っている。観覧者だった男達の中から、服を脱ぎ終えた者がベッドに上がって行くのだ。
ご主人が隅に追いやられる中、一人の男が由紀子さんを四つん這いに導き、後ろから挿入した。彼女の前の口には、別の男が股間のモノを咥えさせる。そして又別の男は、由紀子さんの胸の下に潜り込み、下から乳房に吸い付いていく。
「うふふ、凄いでしょ。4Pってやつよね」
耳元で鳴る由紀子さんの声にも、一層卑猥な香りが含まれていた。そして股間に置かれた彼女の指も、卑猥な動きを繰り返している。そしてその指が、ファスナーに掛けられた。
「ちょ、ちょっと!」
咄嗟に声が出たが、その後が続かなかった。身体が強張る中、ジジジとファスナーが降りて行く音が聴こえる。映像からはングング、彼女の嗚咽のような音が聞こえて来る。
「ふふっ、清美さんには黙っていれば大丈夫よ」
「いや、しかし…」
私が言いかけたところで、股間のソレがグッと握られた。
あッと思った時には、ソレが引っ張り出されている。
「ほらやっぱり、こんなに大きくなってるじゃないですか」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
腰を浮かし掛けた私だったが、まさに急所を握られ、身体の動きが止まっている。
「あぁ凄いわぁ、これで清美さんを泣かせてきたのねぇ」
心の中では、いや実は、と否定の言葉が浮かんだが声にはならなかった。
横目に画面を窺えば、男のソレをシャブる口元がズームされた。それと同じ事が、今私もされようとしている。
しかしそれは…まずい。
と、その時だった。部屋のドアがノックされた。
一瞬にして二人の身体がフリーズする。
そして聞こえたのは「失礼しまあっす」陽気な店員の声だ。
私達は信じられないスピードで、佇まいを正した。
ドアを開けた店員は、二人で並んで座る私達に不思議な気がしたはず。ノートパソコンは由紀子さんによって蓋をされている。
顔を覗かせた店員はどう思ったか分からないが、私達は何とか助かったようだった。
ラストオーダーを頼み、店員が行ったところで、私達は顔を見合わせた。
「続きは帰ってからにします?」由紀子さんがニヤけながら訊いてきた。
ぎこちなく頷く私を見ながら「清美さんと一緒に視るんでしょ」彼女が続ける。
「い、いや、妻とは」
「ふふっ、分かってますよ。彼女が寝た後で一人でこっそり視るのよね」
私は黙ったまま由紀子さんを見返すが、おそらくその通りだと思っていた。
「アタシ達夫婦の嫌らしい姿を視て、シコシコして下さいねぇ」云って由紀子さんが、朱い唇を歪めた。
それからジョッキの残りを呑んで、店を後にした。
逃げるように由紀子さんと分かれた私は、途中の公園で酔いを覚ます事にした。と言っても、酔いは大した事はなかった。それでも暗い公園のベンチに腰を落ち着け、先ほどの出来事を思い返してみた。
記憶の中には、由紀子さんや徳子さんがセックスしてる様子がシッカリあるのだが、それよりも彼女達の痴態を妻がどんな気持ちで撮っていたのか、そちらが気になってしまう。
妻があの様な撮影をする気になったのも、高校時代の元彼との変態行為に原因があるのではないのか。
動画の女子会=社交会があったのは今から1ヶ月ほど前になるのか。するとこの何日間に、妻の中で何かしらの変化があったかもしれない。彼女はそれを表に出さないようにしている?
妻の事を考えれば考えるほど、頭に浮かんで来るのは、つい先日彼女が口にした次の女子会の事だ。今夜の由紀子さんの話と合わせれば、それは泊まりで行う計画らしい。
由紀子さんは云っていた。『~清美さんを試してみては』と。しかし私は思うのだ。あの言葉は、由紀子さんの後ろにいる『元彼』の言葉ではなかったのか。
そして私の中には、もう一つの恐怖があった。
それは。
妻は元彼と一緒に、白黒ショーの一員になってしまうのではないだろうか。これまでの手紙によれば、元彼はかなり重度の変質者だ。そんな男からしたら、白黒ショーくらいどうって事のない筈だ。そして妻も、若い時に変態調教を施された元彼に誘われれば、自らベッドに上がり、衆人に痴態を晒すのでは。そして、そこで改めて快楽に目覚めたら。
「そ、そんな事はさせられない」私は無意識に言葉を吐き出していた。
私は立ち上がると急いで家路に足を向けた。今夜妻を抱くのだ。何年ものブランクがあるが、そんなものは関係ない。このままでは、元彼に妻を奪われてしまう。
私は今更ながら、迫り来る恐怖を感じていたのだった。
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馴染みの居酒屋の個室は、エロ動画の鑑賞の為の部屋になっていた。
掘りごたつに座る私の横には、妻の同級生の由紀子さんが膝を並べて座っている。
パソコンの画面では、大田徳子さんが無修正のアソコを拡げた状態で動画は制止している。
「徳ちゃんの逝き顔って凄いわねぇ」画面を見ながら、由紀子さんがクスクスと嗤う。
私の方は、先ほどから喉がカラカラで、ビールのお代わりを頼みたいところだが、このタイミングで店員を呼ぶと問題になりそうだ。
「さぁ直ぐに次のが始まるはずよ」云って由紀子さんが、私の肩に頭を乗せるように密着してきた。「次はねぇ、アタシ達夫婦が登場よぉ、でもちょっぴり怖いわ」由紀子さんが甘ったるい言葉を耳元に吹き掛けてくるが、私は返事どころか緊張に頷く事さえ出来ない。
「あ、始まった」
画面が一瞬にして変わり、先ほどのベッドが映し出された。
ベッドは空だが、その周りを囲むようにベネチアンマスクの男が4、5人ほど座っている。中には全裸の者もいるが、これは徳子さんの相手をしていた男に違いない。
その時、男達が一斉に拍手をし始めた。画面の横から一組の男女が現れ、ゆったりとお辞儀をする。
二人はお揃いのガウンを着ているが、ベネチアンマスクを被った男に対して女は素顔を曝している。その人物は私の横から画面を覗き込む由紀子さんだ。
「あぁぁ何だが興奮してきたわぁ」ネットリとした声が、又も耳元に吹き掛かる。声の方を横目に覗くが、由紀子さんの爛々と蠢く瞳がやけに目につく。
「うちの主人も、どちらかと言うと奥手の方だったんですよ」由紀子さんが訊いてもないのに話し出した。「セックスも元々マンネリだったのが、仕事のストレスのせいで回数は減るわの、早いわで」と、彼女が自嘲気味に嗤う。
「でも、ひょんな事からこの『社交会』に入るようになって、今は凄いのよ」由紀子さんの声が上擦って来る。
映像では、アングルは先ほどより少し遠目に、ベッドの前で立ち並ぶ二人を映している。このシーンを録っているのも妻なのだろうか。
画面の中、由紀子さんがガウンに手をやった。
腰紐が解け、ガウンの裾が拡がったかと思うと、彼女の白い肩が露になっていく。そのガウンを隣の男が剥ぎ取ると、私は唾を飲み込んだ。由紀子さんは一糸も身に纏っていなかったからだ。
「どうですか、アタシの身体は?」耳元で甘い囁き声がした。私は黙って頷くだけで、画面から目が離せない。
映像越しに視る白い肢体は、小ぶりな乳房に、それに相反するような豊満な腰回りが目を引く。その女体と隣を見比べようとするが、首が回らない。緊張が私を縛り付けているのだ。
二人が徐に口づけを始めた。そしてそのまま、由紀子さんがご主人のガウンを脱がし始める。
「さあ白黒ショーの始まりよ」
「白黒?」
「ええ、先輩のスワッパー夫婦に教わったんだけど、昭和のストリップ劇場ではよく行われていたショーなんですって」
「………」
「男と女が一対となって、お客様の前でセックスを見せるんです」
「本当にそんな事が」
「本当らしいですよ。今でもその頃の動画が、それ専用のサイトで視れるし、アタシも実際に視ましたわ。あ、実際って言うのはサイトでも視たし、この社交会で他の夫婦がやってるのを生で視たっていう両方の意味です」云い終えて由紀子さんが、私の耳元で薄く嗤った。彼女は間違いなく私の反応を楽しんでいる。画面の中では、ご主人も一糸も纏わない裸を曝したところだ。
「しかし何故、白黒なんて」
「ああ、それはねぇ」私の何気ない呟きに、又も彼女の囁くような声が耳元でする。「昔はね、男女が上がる舞台と観客との間に、幕を引いて影絵の状態で見せたのが始まりだそうです」
「影絵…それで白と黒なのか」
「そうです、それが徐々に過激になって、幕間がなくなり直接見せるようになったみたいネ」
私は彼女の説明にも、ゴクリと唾を飲み込むだけだ。
映像の中では、由紀子さんがしゃがんで、ご主人の胯間のモノを咥え込んでいる。
「あぁ、恥ずかしいっ」由紀子さんが視線を隠すように、私の肩に顔を埋めた。私の目は映像の中、ズームされる彼女の口元にいく。
彼女にシャブられ、ご主人の一物はあっという間に硬度を蓄えた。こんな時、どうして男は自分のモノと比べようとするのだろうか。ご主人のカリ首が異様に膨らんで観えてしまう。
その時、私の手が由紀子さんに掴まれた。「いゃぁん、どうしましょう。アタシ恥ずかしすぎる…」
行き場のない彼女の声が、この個室に舞って行く。私は身体を強張らせ、心臓の鼓動が聞こえて来そうだ。
「清美さんのご主人…ねぇアタシ、嫌らしい女なんですよぉ。でも軽蔑しないで下さいねぇ」
切れ切れの声に私は、身体の体温が上がって行く気がした。由紀子さんに握られた手が、彼女の胸元へと連れて行かれる。そして掌が膨らみに押し当てられた。
「ほらご主人、アタシのここ、ドキドキしてるでしょ」
由紀子さんの弱々しい声が続く。しかし映像では、彼女は大胆に本性を露にしていく。ご主人の膨らみきったソレを、頬ずりしながらウットリとした表情を浮かべるのだ。そしてベッドを囲む男達に、歪んた口元を見せつける。「あぁ変態夫婦のショーが始まってしまうわぁ。どうしましょう、アタシの淫乱マンコに、主人のチンボが入るのよぉ」
告うや否や、映像の由紀子さんはベッドに上がり、四つん這いになって男達に臀を突き出した。
私はゴクっと喉を鳴らし、その秘密の部分に目をやってしまう。体温は上がり続け、心臓がバクバクし始めた。秘所を曝す女性が直ぐ隣にいると思うと、頭がどうにかなりそうだ。
「あ、あの…この撮影も妻が?」私は気を散らしたくて、妻の事を訊いた。
「うふふ、そうですよ。このあられもないアタシ達の痴態を撮影してくれたのも清美さんよ」
「そ、そうなんですね…」
「ええ、でもこの日の彼女は見学と撮影だけ。それ以外の事…服を脱いで裸を見せたりはしてませんから」
先ほどの羞恥の表情を何処へ隠したのか、由紀子さんは落ち着いた声に流し目まで送って来る。
「あの、男は…元彼はそれで何と…」
「元彼?ああ、あの人ね。うふふ、アタシが指示されたのは、清美さんに刺激を与えて下さいって事だけですから」
「………」
「まあアタシとしたら、いつかは清美さんにもこちら側の世界に来て欲しいと思ってますけどね」
由紀子さんの私を見る目が、怪しい光を携えている。そして唇が更に私の耳元に近づいた。
「それとねぇ、出来ればご主人も一緒に」
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「アタシ達は変態セックスを愉しんでるスワッパー夫婦。そんなアタシ達の仲間に、ってね」
「いえ、私達は…」
「ふふっ大丈夫、分かってますって。無理強いはいけませんからね。でも、清美さんの方が先に飛んだらどうしますか」
「と、飛ぶって…」
「ふふ、清美さんの行く末を皆んなが楽しみにしてるんです。あの人と寄りを戻したら…な~んてね」
「き、清美に限ってそんな事は…」
「ふふふ、あるわけないですか?」
由紀子さんが間近な距離から見詰めてくる。
「ご主人は、これまでも清美さんを大切にして来たんでしょ?」
「………」
「たくさん抱いてあげたんでしょうが、彼女の本質をちゃんと理解してあげてたのかしら?」
「本質って…」
「持って生まれた性癖。それって幾つになっても変わらないらしいですよ」
「………」
由紀子さんの言葉が映像のヨガリ声と重なり、雨粒のように降り掛かって来る。
彼女が云った事も理解できる気がするが、それでも私の中には、妻が元彼に施された調教が、何かしらの形になって表れはしないかと恐怖が先立つのだ。
「そうそう、そう言えばねぇ、泊まりでの女子会を検討中なんですよ」
「そ、それは聞いてます…」
「そこで清美さんを試してみては如何ですか」
「え、試すとは?」
「決まってるじゃない。清美さんがそこで飛ぶかどうかよ」
私は唸り声を続けるだけだった。頭の中は酔いもあるし、この雰囲気もあってか色んな場面が渦を巻いている。
これもあの男の仕掛けなのか。私は完全に翻弄されている。
「ご主人、そうあまり真剣な顔しないで下さい。アタシも問い詰め過ぎました。今云った事は時間があるから、考えておいてくれればいいですよ。それより、こっちの続きを楽しみましょうよ」
彼女の言葉にパソコン画面を向き直れば、由紀子さんが臀を向けてご主人に跨がっている。二つの生殖器が、片方は侵入を繰り返し、もう片方はソレを難なく飲み込んでいる。そしてその摩擦音が、響き伝わって来るのだった。
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テーブルに置かれたパソコンから、いきなり女の声が飛び出した。
先日の夜に視たエロ動画の女達と同類の声だ。
「うふふ、いきなり徳ちゃんだわ」
由紀子さんが嬉しそうに身を乗り出した。私は慌ててボリュームを調節している。
画面に大映しになったのは、スカートを捲り上げられた女性の股座に、男が顔を突っ込んでいる場面だった。このアソコを舐められている女性が大田徳子さんなのだ。確かに、体型は聞いてた通りのポッチャリさんだ。
ソファーに背中を預ける彼女は、秘所を舐められ、隣の別の男には乳房を揉まれている。
男達は皆んな素顔を隠すために、ベネチアンマスクと呼ばれる仮面を着けている。なるほど、仮面の演出も『社交会』の呼び名に呼応している。
『いいわ、◯◯…』徳子さんが相手の名前なのか、口にしかけたところでピー音が鳴った。
「今のは?」
「ああ、今のはね、あの人が編集してくれたのよ」
「あの人…」
「そう、その人からこの日の映像を録るように頼まれたんだけどね」
「それって、いいんですか」
私の質問が正直すぎたのか、由紀子さんがクスリと笑う。「動画はね、仲間内では結構録るんですよ。でもこの時はほら、外部に持ち出すのが前提だったから特別に許可を貰ったのね。私達が会に貢献してるのもあったから、男性は仮面を着けて名前は今みたいにピー音を入れる事で許しを貰ったわけ。なのに徳ちゃんはほら、素顔なのよね」由紀子さんがペロリと舌を出して、肩を竦めた。
彼女の頬は更に紅くなっているが、それは酒だけが理由でないはずだ。その時の興奮を思い出してるようにも観えるし、何より自慢げに話してる気がする。
映像の中では、ついに徳子さんの着ている服が脱がされていく。
「いつもはね、撮影係りは男性なんですよ」由紀子さんが画面を視たまま話し掛けて来る。「ほら、男の人は女性と違って回復の時間が必要だから」
私は黙って頷いている。
「でもね、この日は奥さま…清美さんに途中から撮影を代わって貰ったんですよ」
「ええッ!」
「はい。見学だけの約束でしたけど、ちょっと手伝ってよってお願いしたの」
「………」
「ふふっ、最初は戸惑ってたけど、何事も経験だからって無理強いしました」と、由紀子さんが又もペロリと舌を出す。
「最初は緊張気味にデジカメを手にしてたけど、慣れてくると彼女も大胆になってきてね」
「大胆に、ですか」
「そうよ。昔の知り合いが直ぐ目の前で生まれたままの姿を曝して男と犯(や)ってるのよ。そんな姿を見たら、撮る方だって刺激を受けてのめり込むでしょ」
ゴクリ、私の喉が鳴る。
「それで清美さんが撮った動画を依頼主、あの人に編集して貰ったわけ」
「そ、それが今視てるコレなんですね」私の声が、心なしか震えて来る。
「そうよ。ほら、もっとシッカリ視て下さいよ。凄いでしょ」
由紀子さんの声で画面に向き直れば、徳子さんの局部が無修正のままアップになっている。この友人の局部を、妻が撮影したというのか。
「どうご主人、徳ちゃんのアソコ?。会に参加したての頃の彼女のココは、ピング色だったのに、それが今はほら、ドドメ色」云って由紀子さんが、薄く嗤う。
それにしたって、映像を編集したと言うわりには、徳子さんは素顔のままだし、アソコは無修正ではないか。
その徳子さんの隣には全裸の男が二人で、ベネチアンマスクで素顔は分からないが、身体付きは中年のものに思える。この『社交会』とは、中年だけの会なのだろうか。
映像の中、膝立ちの徳子さんの口元を2本のペニスが襲ってきた。そしてソレを、抵抗なくシャブリ出す徳子さん。
徳子さんに纏わる話を思い返せば、欲求不満を溜め込んでいた彼女は、切っ掛けを得て変態女に変わったわけだ。
『ウゥゥっ○○○○さん、気持ちいいッ!』
ピー音が鳴る中、仰向けの徳子さんを、男の一人が正常位で貫いた。男は彼女の太い腿を押し拡げて股間を送り込んで行く。映像は二人の局部が交わる箇所をアップにズームした。今のカメラワークも妻の仕業なのだ。
「ウフフ、徳ちゃんったら凄いわ。結合の部分が丸見えよねぇ。おまけにお尻の穴まで」由紀子さんが私をチラリと見ながら、ニヤついている。
「このシーンを撮ってる時って、清美さんはどんな気持ちだったんでしょうねぇ、男の人のお尻の穴と同級生のお尻の穴を同時に見てるのよ」
独り言なのか私への牽制なのか、由紀子さんの声に煽りを感じてしまう。
「それにこの男の人のアレ。どうですかご主人、同じ男性から見てこの人のオチンチンは」
「え、いや、それは…」
口籠る私だったが、その巨(おおき)さには気付いていた。徳子さんを烈しいピストン運動で責め続ける男のソレは、色が黒く太さもかなりのモノなのだ。そしてソレを難なく受け止める徳子さん。
妻はデジカメを通して、このグチョグチョと音を立てる牡と牝の生殖器官をどんな想いで切り取っていたのだ。
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顔のアップに気付いたか、徳子さんが悲鳴を上げる。
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「あらあら徳ちゃんったら、凄い声ねぇ。でもご主人、彼女はねぇ、イヤとか言いながらシッカリ興奮してるんですよぉ。なんせ見られて感じる変態なんだから」
私は驚きに息を詰まられながら、本当ですか、と訊きそうになっている。確かに徳子さんは、自分の逝き顔を見せ付けてるように観えなくもない。
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「次は犬の格好よ」
由紀子さんの言葉通りに、二人は繋がったまま器用に体位を変えていく。
「ふふふ、男女が身体を溶接させたまま一体となっての漂流感は、性の醍醐味なのよね」又も由紀子さんが、意味深な言葉を呟いた。私の中には、阿吽の呼吸という言葉が浮かんだ。正常位から犬の格好への移行が、スムーズに観えたのだ。
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それとだ。由紀子さんは妻から私達夫婦の性事情まで聞き出したのだろうか。それを知って彼女は、今の質問を?
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その瞬間、由紀子さんの声と同時に、徳子さんが最後の雄叫びを上げたのだった。
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居酒屋の個室ーー。
馴染みとなったこの場所も、私はこれまでと違う空気を感じていた。
目の前の女性が、『真木由紀子』と名乗ったからだ。
それはここ最近、頭の中で頻繁に反芻される名前だった。妻の同窓生で、例の元彼の手先となった女性なのだ。あの手紙に書かれてある事が事実ならばだが。
由紀子さんが目の前の席に座り直した。私は緊張を覚えながらも、その素顔を窺う。
身体付きはイメージしていたよりかは若干ふっくらした感じだが、髪の毛が後ろで結わかれているせいか顔は面長に見える。目はパッチリ二重で、口元から覗く白い歯並びには清潔感を覚える。その雰囲気からも、才女と呼ばれていた理由が垣間見える気がした。
「あのぉ、そんなに見詰められたら、何だか恥ずかしいわ」
その声に私は、ハッと我に帰った。
「ええ、すいません。でも、どうしてここに?」私は緊張を残したまま訊ねてみる。
由紀子さんは私をチラリと見て、先に何か注文をしましょうとメニューを指し出して来た。
私がいつものビールを頼むと、由紀子さんも同じ物と摘みを何点かオーダーした。
ビールと摘みが届くと、由紀子さんがジョッキを持ち上げた。それに合わせて、私は持ったジョッキを黙ったまま目の前で上げた。
彼女は美味そうにゴクゴクと喉を潤すが、私はチビリと口を付けるだけ。そんな私は、訊いておくべき事を口にした。
「あの、貴女の名前は清美から聞いて知ってましたが、コレは一体どういう事でしょうか?」
「うふ、先だって清美さんに次の女子会の件で、連絡した事がありましてね。ご主人に了解は取れそうかと訊ねたのですが、その時に話の流れでこのお店の事を聞かされたんです」
「それだけの事で、この店に?」
「いえ、雰囲気も凄く良いからって清美さんが勧めるもんだから、アタシも好奇心で。それでもし、ご主人が居ればと思って店員さんに声を掛けてみたんですよ」
「本当ですか」私は訝しながら訊いた。
「本当ですわ。そして私は、とてもラッキーでした」
「ラッキー?」
「ええ実はね、今夜アタシが、この店で清美さんのご主人に会えるかもしれないって、ある人に話したんですよ。そうしたらね、ふふふ、その人がアタシに頼み事をしたんです」
「頼み事?」
「ふふっ、コレですわ」
意味深な笑みを浮かべて、由紀子さんが鞄から何かを取り出した。私はソレを見た瞬間、息が止まりそうになってしまった。
彼女が手にしていたのは、USBメモリだったのだ。しかも、前回男から送られ来た物と同じやつではないか。
「それと手紙は届いていませんか」
「ええッ!」驚きに持っていたジョッキを落としそうになってしまう。
目の前に座る由紀子さんが、手紙の話を出すと言う事、そしてUSBを持っていたと言う事は、あの男と繋がってる証拠ではないか。
「それで手紙は?」由紀子さんが、私の様子を窺ってくる。彼女は、これまでの手紙の内容も知っているのだろうか。
「持ってるんですね?」彼女が私の目を覗き込んできた。
私はコクリと頷くと、横に置いてあった鞄に手をやった。手紙と一緒に、ノートパソコンまで無意識に取り出している。
「うふふ」由紀子さんが私の様子を見てか、怪しげな嗤いを立てた。
封を開けてみれば、中身は便箋が1枚だけだった。私は彼女の視線を気にしながら読み始める事にした。
【こんにちは。
今回もUSBを同封しようと思っていたのですが、由紀子さんから連絡があって、ひょっとしたら清美さんのご主人と会えるかもしれないと申すもので、私も遊び心に乗って、彼女に持って行ってもらう事にしました。
万が一、彼女と会えなければ、直ぐに送るようにしますのでね。
では、無事に女子会の映像が視れますように。】
たった1枚の便箋に書かれた短い文章だったが、私はそれを読んで唸り声を上げた。男の遊び心は見事に成功したわけだ。それと、ここに書かれてある女子会とは、由紀子さん達のいう『社交界』と言う名の怪しい集まりの事なのだ。
これで由紀子さんが妻の元彼と名乗る男と、完全に繋がっている事が分かった。手紙の中にも『Y子』ではなく『由紀子』と書かれているのだ。
「何て書いてあるんですか」由紀子さんが私の手元を覗き込むように、少し身を乗り出した。
「当ててみましょうか。コレの中身は社交…いえ、女子会の映像なんでしょ」由紀子さんがUSBメモリをかざしている。私は、知ってたんでしょ、と小声で呟いた。
「じゃあ、せっかくだから一緒に視ましょうよ」
「ええッ、一緒にですか!」
「そうですよ、だってアタシも映ってるんですから」
「あッ!」
「何をそんなに驚いてるんですか。相良さんだって、パソコンを用意してるじゃないですか」
「え!?」
そうだった。私は無意識のうちに、手紙と一緒にノートパソコンまで出していたのだ。
「さぁ、アタシは覚悟が出来てるんですよ」
由紀子さんは『覚悟』と口にしたが、その声は、どことなく嬉しそうだ。声に私を挑発する響きを感じる。
気づけば彼女は立ち上がって、私の隣にやって来るではないか。そして座ると、USBをセットした。
「さぁ早く、再生して下さぁい」由紀子さんが私の耳元で、少し呂律の怪しくなった口調で囁いた。
この映像には、妻も映ってるかもしれない。そう思うと体温が上がってくる。それでも私の指は、何かに操られるように再生をクリックした。
「それと最初に言っときますけど、これって2次会の時のものですからね」
「え、2次会と言うと…」
「1次会はこのお店みたいな居酒屋だったの。その後、場所を移動したんですよ。少し遠かったけどタクシーでね」
由紀子さんの酒臭い息が、私の横顔に掛かる。彼女にとっても酔わなければやってられない…いや視てられない映像なのだろう。
「あのぉ、2次会のメンバーっていうのは…」
「ああ、その日のメンツね。えっとね、アタシと清美さんに徳ちゃん。あ、徳ちゃんって言うのは」
「大田徳子さんですよね」私は断って、そして続ける。「その3人だけですか、他には…」
「ああ、珠美さんの事ね。珠美さんはこの日も1次会で帰っちゃったのよね。彼女、子供がまだ中学生で難しい時期みたいでぇ」
いや、そうじゃなくて…。私は、妻の元彼の存在が気になっているのだ。
「あの、男子は…」
そこで彼女は、私の知りたい事を察したようだった。
「そっか、うんうん、あの人の事ね」
由紀子さんが呟いた瞬間、同時にパソコンの中から女性の絶叫が聞こえたのだった。
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次の日、私が目を覚ましたのは、朝の10時を過ぎた頃だった。
起き上がって欠伸を一つすれば、頭の中に夕べ視たSMチックな寝取られ動画の映像を思い出した。
2本の動画はいずれも中年の人妻が主人公で、夫の前で男に翻弄されていくものだった。私は人妻を妻の清美に、夫役を自分に投影していた。
動画の残像に苦笑いを浮かべて立ち上がろうして、枕元のスマホの点滅に気がついた。
見ればLINEの知らせだ。
『声を掛けても全然起きないのでLINEにします。今日はこれから買物に行って来ます』
私が爆睡している間に、どうやら妻は出掛けたようだ。
寝不足気味のまま食事を採り終えた私は、もう一度夕べの動画を視てしまった。
妻が帰って来たのは、夕方近くだった。買物にしてはかなり長いものだったが、私は特段責める事もなかった。妻が元彼と密会していたとは思えないし、そんな証拠もない。あるのは私の妄想…と想いたい…。
「夕べも遅かったんですね」
妻が話し掛けて来たのは、彼女が夕飯の準備でキッチンに立った時だった。
「ああ、そうだった…LINEを入れるの忘れてたっけ?」私はソファーから顔だけを向けて答えている。
妻は私の質問に応えるでなく「またあの居酒屋ですか」と、訊いてくる。
「うん、そうそう、あそこで残業をね」
「そうですか、また行ってみますか」
その言葉に、私はキッチンに振り向いた。
「そ、そうだね」
このところ冷たく感じる妻からは、思いもよらぬ誘いだ。
それから私達は、お互いの予定を確認し合って、次の水曜日に先日と同じ店で待ち合わせる時間を決めたのだった。
週明け出社すると、急ぎの仕事が舞い込んできた。この分だと出張が入りそうな気配を感じてしまう。
そんな中、水曜日がやって来た。日中は仕事に追われ、妻との呑み会の事を考える余裕もなかった。頭の中には『元彼』に『由紀子』『徳子』の名前があるが、2回目の女子会の事を含めて、どのように話を持ち出せばよいか整理が追い付いていない。
それでもこの日、仕事を終わらせた私は、なるべく遅れないようにと先日の店に向かった。
今夜も店には、妻が先に来ていた。私は個室の扉を開けると、前回と同じように「遅くなってゴメン」と、頭を下げている。
店員にビールと摘まみの注文が終わると「最近また忙しくなったみたいですね」妻から話し掛けて来た。
「そうだな、そのうち出張があるかも」
私の返事に頷きながら、妻は「今週も夜はここで残業ですか」と、続けて訊いてきた。
私は苦笑いしながら頷くだけだ。
例の男からの手紙を読む為に通うようになったこの店。それ以来ここに来る理由を、妻には残務と説明していたのだが、はたして彼女が、ノマドワーカーのイメージと私を結び付けたかどうかは分からない。
そして私は、男からの次の手紙の事を考えている。前回の手紙には次の期日は書かれていなかったが、明後日の金曜日には届きそうな気がしているのだ。
「ねぇ、どうしたの、私の話聞いてます?」
ふと顔を上げると、妻が首を傾げている。
「いや大丈夫だよ。そうだな、ひょっとしたら週末もここにお世話になってるかも」と云って、私は笑ってみせるのだ。
それから暫くの時間、私達は黙々と摘みを口に運び、ビールを何杯かお代わりした。
「ところで貴方、最近ボォっとしてる事が多くないですか」
「え!」
「何か悩みとか、心配事でもあるの?」
妻の表情を観れば、頬を朱く、目には酔いの色を浮かべて私を窺っている。
「いや、別に…」私の口は勝手に動いていた。が、心の中では…あのな、気になっているのは、お前の事だよ、清美の過去の男と同窓会の事だろ、と呟き掛けている。
「それよりだよ、清美の方はどうなんだい。女子会の約束はないのかよ」
「ああ、3回目の女子会の事ですね。ええ、実は…」妻がジョッキを置いて、視線を真っ直ぐ向けてきた。
「今度は泊まりでやろうって話も出てるみたいなんです…」
妻のその言葉に、私の喉が鳴った。
「お、おい、それって初耳だよな…」
私のしどろもどろの声に、妻が肩を竦める。「ええ、実はそれの了解を頂こうと思ってまして、それで今夜…」
「了解って…まだ計画中なんだろ?」
「そ、そうです。だから、貴方の意見を…」
「意見って訊かれても…」
妻が何の予兆もなく、私を飲みに誘った理由が分かった気がした。
男も一緒に行くのか、私の頭はその事を追求しろと指示しているが、言葉が出て来ない。
すると妻が、言い訳するように話し始めたーー。
彼女の説明によると、つい先日、由紀子さんから企画に対する伺いがあって、家族から了解が取れるか探っておいて欲しいとの事のようだった。
妻の説明を聞いても、私はその申し出には、曖昧な返事に徹するだけだった。そして私の中には、モヤモヤだけが残ったのだった。
金曜日の昼間、7通目となる手紙が届いた。
しかしソレは、これまでと比べて厚みが1番薄いものだった。USBメモリが入ってる気配はどこにもない。
それでも私は、逸る気持ちを抑えて仕事をこなし、予約した時間に遅くれないようにと、いつもの居酒屋に向かう事にした。
店に入ると、馴染みになった若い店員が声を掛けて来た。
「相良さん、お連れ様がお待ちですよ」
笑みを浮かべる彼の顔を見ながら、私は一瞬キョトンとした。『お連れ様』とは誰の事だ。
しかし、考える間もなく閃きが来た。
妻の清美が来ているのだ!私は疑う事なく個室へと足を運んだ。
個室の扉を開けた瞬間、足が止まった。見知らぬ女性が一人で居るのだ。その女性が、私を見上げる。
「相良さんですよね、清美さんのご主人の」
私は、立ち上がったその女性を、呆然と見詰める。
「私、真木由起子と申します」
その名前を聞いた瞬間、私はハッキリと驚きの声を上げたのだった。
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USBメモリを鞄に仕舞って、会計を済ませた私は店を後にした。
今夜は酔いを覚ます、と言ってもそれほど酔ってはいなかったが、少し遠回りをして家に帰る事にした。
夜道を行けば更に頭がスッキリして来た。その頭の中に二つの影を思い浮かべる。妻の清美の顔と、まだ会った事のない元彼の男だ。
元彼が言う高校時代の真実、結局その真意は分からない。USBメモリの中には、妻の告白が無かったからだ。
今回のUSBから分かった事と言えば、由起子さんと徳子さんの秘密の性癖と『社交会』の存在が明らかになった事だ。
そして最後に、由起子さんはその社交会を2回目の女子会という事にして妻を誘っていたのだ。
そして妻は、その『女子会』に参加している。いや、由起子さんは『見学』と表現していたが、その真意を妻に問い詰める勇気は、今のところ私にはない。その時の様子は、次のUSBメモリでも来ない限り分からないのだ。
そう言えば、今回の手紙にも次の手紙の期日が書かれていなかった。レコーダーからUSBへのコピーの作業が終われば、送られて来ると思うのだが。
家に着けば今夜も妻は寝入っていた。ここ最近の彼女の冷たい態度は、こう言うところにも現れていると思ってしまう。
私は静かにシャワーを済ませて、寝る支度に入った。
疲れた身体は直ぐに眠りを求めると思ったが、睡魔は中々やって来てはくれなかった。
私はベッドを抜け出し、ノートパソコンを取り出した。あの会話をもう一度聴きたくなったのだ。
USBメモリをセットして、最初から再生する。
妻の喋りの部分には特に注意をはらったが、私の記憶に間違いはなかったようだ。妻が自ら過去に付いて語る場面はなかったし、最近の心境に触れるところもなかったのだ。
ただし、この録音は1回目の女子会だけのものなのだ。
それにしても、妻の友人達の生態の方に驚きを覚えてしまう。
真木由紀子さんも大田徳子さんも、れっきとした人妻であり主婦でもある。そんな二人が、怪しい秘め事をしている。由紀子さんは夫公認で、徳子さんは完全な浮気だ。彼女達の告白を聞いた妻は、その時どう思ったのだろうか。妻自身は性欲に関して『それほど』と曖昧な言い方をしていた。しかし『ゼロでもない』と、微妙に認めた感じだ。
そして妻は、本当に2回目の女子会=社交会で、友人達の姿を見学したのか。由紀子さん達は、どんな姿を見せたのだ?社交会の中身が、凄く気になってしまう。それはやはり、アダルトビデオのような世界なのだろうか。
私は会話の再生を止めて、あるワードを検索にかける事にした。
『スワッピング 乱交』キーを叩くと、画面にエロ動画サイトの一覧が並んだ。
中から私は、熟女ものの動画サイトを選択してクリックした。
目に飛び込んで来たのは、幾つものそれらしい画像画面と、スケベ心を煽るサムネの数々だった。
私はプレビューを流し読みしてから、その中の一つ、中年夫婦のスワップらしきものを視てみる事にした。
その動画は素人の投稿物ではなくて、プロの業者のビデオ映像で60分以上のドラマ仕立てのもだった。
そしてそれは、偶然なのか社交会…いや秘密のパーティーに迷い込んだ中年夫婦の話だった。
ビデオの主人公は役所勤めの人妻。女は夫の上司に騙され、夫婦揃って怪しげな集まりに参加する事になる。
夫婦は目の前で披露される同年代の人妻の痴態に激しいショックを受ける。そんな夫婦の横に夫の上司が座って、性の手解きをする物語だった。
ドラマの中、上司の男は慣れた口調で、夫婦に奥深い暗示を投げ掛けたーー。
『奥さん、恥ずかしがらずに目の前の女を見てごらんよ。この人も貴女と同じ人妻なんだ。年齢だって貴女に近い』
場面はホテルのスウィートルームで、ベッドの回りを数組のカップルが取り囲んでいる。
ベッドの上には素顔の中年女性と若い男。二人は生まれたままの姿で、絡みを披露している。
『ほらね、優れた女の身体ってのは男に合わせられるものなんだ。男が鋳型であるなら、女は液体ってな。どんな形にも納まるのが良い女ってわけだが、じゃあ男の鋳型に合わせられない女はつまらないのかと言うと、そうも言い切れない。開発前の女もいるからね。大事なのは女の意思。男を前に人形になるんじゃなくて、自発的な意志を持つ事なんだよ。
この奥さんも最初は自分の道具を貸すだけだったが、ようやく分かってきたようだ』
夫の上司の声を耳元で受け止め、人妻は静かに前を向いたまま。この女性も耳を性感帯に、男の声を受け入れてるように観える。
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『おや、女の方に我慢が利かなくなってきたかな。この二人は何度か身体を合わせて厭らしい表現に阿吽の呼吸が生まれるようになったが、女の方はまだまだだな。どうやら今夜の勝負は、男のものだ。
さて、時間はと…』
男の視線の先が画面に広がり、ベッドの上では女の動きが激しく、絶頂を迎えたところだった。
ビデオの中、女が最後の雄叫びを上げたシーンを視て、私は大きく息をついた。自分でも思った以上に、映像にのめり込んでしまっていた。
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ベッドにいた女は若い男に手駒にされ、客相手に痴態を曝す女に成り下がったのだ。そしてその様子を見ていた人妻は暗示に掛けられ、やがては同じような女へと変貌を遂げるのだろう。
しかもこの人妻の横には、夫が座っていたのだ。夫はベッドの女と、隣の妻の先行きを重ねていたのだろうか。
と、私はビデオの上司の男が、妻清美の元彼とダブって観えた。
動画はまだ半分も過ぎてなかったが、私は一旦止めた。そして水を一杯飲みに行く事にした。
キッチンで水を飲んだ私は、自分の部屋に戻る前に妻の寝室を覗いた。
妻は鼾も掻かず、静かに寝入っている。その寝顔からは、罪の有無を感じない。
しかし女と言う生き物は、裏の顔を隠し持っているものなのだろうか。
真木由紀子さんに大田徳子さん、私は彼女達の赤裸々な告白をUSBで聞いている。いや、彼女達からすれば、あれは告白といった大袈裟なものではなくて、面白い遊びを見つけた少女の自慢話なのかもしれない。
そんな考えを頭の隅に霞ませながら、私は自分の部屋に戻る事にした。
時計を見れば、深夜の1時を過ぎたところだ。それでも何故か眠気を感じなくなっている。
私は別の動画サイトも見てみる事にした。
次に視る気になったのは、SM物だった。サムネのプレビューを読むと、妻が夫の前で調教を受ける話だ。そしてコレも、ドラマ仕立ての物のようだ。
画面にいきなり広がったのは、テーブルに大の字に縛られた女性の姿だった。そしておっ開げられた股間の前には、男の生尻だ。
『さぁご主人、これからこの美しい婦人の体内に私の夥しい体液を吐き出させて頂きますよ』
ビデオの男は言うなり、婦人と呼んた女性の股間に反り勃った肉の棒を突き刺した。
映像のアングルは男の後ろ姿を捉え、筋肉質な生尻が規則正しい動きを続ける。バンザイの格好でテーブルの脚に両腕を結ばれた婦人の姿は、私の目には虫ピンで止められた蝶のように観えた。
婦人の口からは『嫌よ嫌よ』と、抗いの声が上がる。しかしやがて『やっぱりいいわ!』感泣の声に変わった。
『そうですよ奥様、飢えた人間にテーブルマナーは不要ですよ。さぁ遠慮なさらずに』男が腰を振りながら、婦人を追い込んで行く。
男の言葉に、むっちりと実った婦人の美しい御足が、男の腰を挟んで跳ね上がった。婦人のその様は、完全に己の保身反応を麻痺させている。
『ヒィーヒィーっ』ビデオの声が、妻の声に重なって聴こえるようだ。男に串刺しされて蠢く婦人の姿も、妻に重なって行く。
両腕をロープで、腰を男に制圧された不自由な状態で、のたうち回る婦人は、麻薬の禁断症状から逃げ惑おうとしてるようだ。
『もっともっと抉って下さいッ!』
『あらあら奥様、なんて品格のない言い方を』ビデオの男がニヤリと嗤う。
『うううッ、だって…』
『はいはい、分かりましたよ。私の物がもっと欲しいのですね』
『そう、そうなのっ、だからもっと激しく突いて下さいッ!』婦人は必死に追いかけている。本当にあと一歩のところなのだ。しかし男が、お預けを喰らわせて女体を支配している。
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妻の元彼からの6通目の手紙を封筒に戻すと、私は鞄からノートパソコンを取り出し、立ち上げた。
USBを差し込み、イヤホンを耳にセットする。個室にいても、音漏れには注意したい。まして何が飛び出して来るか分からないのだから。
起動が始まって暫くすると、聞こえて来たのは女性の笑い声だった。
この時の2次会の場所も、由紀子さんが幹事を務めたのなら、外部からの干渉に気をつけて個室を用意したに違いない。そしてこの部屋にいるのは、妻の清美と由紀子さんに徳子さんだ。
彼女達の話し声が大きくなってきた。妻の声は直ぐに気づき、他の声も名前と一致させる事が出来た。
ひときわ大きな声で喋ってるのが、徳子さんだろう。由紀子さんの声は、酒のせいか砕けた感じに聴こえる。
『それでさ、ちょっと清タン聞いてよ。由紀ちゃんって凄いんだから。ねぇぇ。』
徳子さんが話題を変えてきた。
『ふふふ、アッチの話?そうねぇアタシは結構お盛ん、かな』
徳子さんの声に応えるようにか、由紀子さんの声も大きくなっている。
『ところで清美さんさぁ、実はずっと黙ってたんだけど高校の時さ、貴女に変な噂が立った事あったの、知ってた?』
由紀子さんの声に続き『え!』妻の驚きの声が聴こえた。
『清楚で男子に人気者だった田中清美は、実は変態セックスしてるっていう噂よ』
由紀子さんの詰問調の声に、こっちの息が止まりそうになった。
そして暫く無言が続き、やがて再び由紀子さんの声が聴こえた。
『うふふ、その表情、黙ってるところを見ると噂は本当だったのかな?』
『な、何の事だか…』
『えへっ、別にいいじゃない昔の事だしさ。それにさっきも告ったけど、アタシもこう見えて、実は遊んでるのよね』
由紀子さんの呂律が怪しくなってる気がする。さすがに酔わなければ話せない内容だ。
『実はね、同窓会で清美さんを久し振りに見た時に、今云った昔の噂を思い出したのよね。でも、そんな話題をその場でなんて出せないでしょ。だからねぇぇ』
由紀子さんが語る流れに、男の手紙に書かれていたある場面を思い出した。
確か2次会の席で、元彼がテーブルの下で妻の手を握ったところを、由紀子さんが見たのではなかったか。
『それでねぇ、1度気になりだしたら、ずっと気になっちゃってさ…ふふふ、それでここに来る前、つい徳(のり)ちゃんに話しちゃったのよね』
由紀子さんの語尾は、徳子さんに向けたものだった。
『そうそう、それで私も本当!?って驚いたのよね』徳子さんの声が、1オクターブ上がっている。
『私もさ、卒業してから色々あったし、人って変わるからさ、大概の事は驚かないんだけど、清タンが変態チックな遊びをしてるなんて』
『徳ちゃんちょっと違うわよ。清美さんがエッチな事をしてたのは、昔の話で今は知らないわよ』
『あ、そっか。でもさ、今はどうなの…ねぇ清タン、今はどんな感じ?欲求不満とかないの?』
会った事のない徳子さんだが、その姿が目に浮かぶようだった。ポッチャリの身体を乗り出し、好奇心に目を見開く姿だ。妻の方は俯いたまま、頭を小さく横に振ってるのではないだろうか。
『徳ちゃん、清美さんはねぇ、やってるって、うん間違いないって。ご主人とやってなかったとしても、他にねぇ…ふふふ』
『あーそれってオナニー?』
『あらあら、徳ちゃんったら。でもオナニーは勿論、他にも凄い事をやってると思うわ。だって清美さんは、へ、ん、た、い』
『いゃ~ん、清タンって変態だったんだぁ。でも何だか嬉しいっ』
『ふふっ、徳ちゃんとどっちが変態か、試してみたいわね』
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『そうよ。アタシはずっと前から変な遊びをしてるわ』
『うんうん、知ってる知ってる。私も恩恵を受けてるし』徳子さんが楽しそうに声を上げる。
『でもね清美さん、人様から後ろ指を刺される秘匿の行為って、考えただけで興奮するわよねぇぇ』
由紀子さんの言葉に、徳子さんの相づちの声が聞こえる。妻はどんな様子なのだ。妻の声だけがなかなか聴こえて来ない。
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由紀子さんが、そう言った瞬間だった。妻の『ええっ!』と驚きの声が聞こえた。
『あら、そうなのよ。アタシ一人で遊んでるわけじゃないの。きちんとしたパートナーがいるのよね』
『そのパートナーって』妻の小さな声がする。
『多いのは家の主人だけど…他にも肌を合わせる人達はたくさんいるわ』
由紀子さんの語尾には、力強さがあった気がした。酔ってるからか、それとも秘密を曝して開き直ったか、相手に迫る勢いが伝わって来るのだ。
『あらやだ清美さん、あまり変な目で見ないでよ』
『そんな、変な目だなんて…』
『ふふっどう?昔の知り合いが、教師のクセして変態だったら。しかも旦那も教師なのよ』
『………』
沈黙が流れ、私も息を飲んで次の言葉を待っている。
『…でもねぇ、教師って凄いストレスが溜まるの。最初は良くないのは分かってたけど、周りの教師仲間におかしな性癖の人がいてね』
そこからは由紀子さんがその世界に入った経緯が話された。その間、妻の声は聴こえくなったが、どんな気持ちで由起子さんの話を聞いていたのだろうか。
『…と言うわけで今に至るわけ。因みに徳ちゃんとは、卒業後もちょくちょく会っててね、互いの愚痴を言い合ってたのよ』
『そうなんだ』やっと妻の声が聴こえてきた。
『そう、それである時、アタシがスワップの世界に居る事を喋っちゃったのね』
『そうそう、私も聞いた時はビックリしたわ』徳子さんの出番が来た。『でも私って、昔からエッチにはかなり興味があったからね』
今度は徳子さんの身の上、いや下半身の話が始まった。彼女は結婚して子供もいるが、子供が出来てからはご主人とセックスレスの日々が続いていたのだった。そして欲求不満が我慢出来なくなった徳子さんは、由紀子さんに誘われるまま秘密のパーティーに顔を出すようになったのだ。
『さぁ皆んな話したわよ。次は清美さんよ』由紀子さんの口調が、ますます馴れ馴れしく聴こえる。
『わ、私は、そうねぇ…』
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その言葉に、私の口から、ホッと息が漏れた。
『それに私には…それほど…性欲?それも特には…』
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『ふぅ~ん、そうなんだぁ…でも、性欲がゼロって事はないでしょ』何処となく咎めるような由紀子さんの声がする。
『そ、それはまぁそうだけど…』
『そうよね、うん、そう思うわ。たぶんだけど、清美さんはトラウマがあって殻を被っているのかもね』
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若い頃の変質的な経験が、精神に悪い影響がいかないように、妻は無意識にバリアを張って生きてきたのだろうか。
『でもさ、性的欲求があるなら、無理しない方がいいと思うわ』由紀子さんの言葉が、どことなく教師の口調に聴こえる。
『ねぇ清美さん、今度ちょっと付き合ってよ』
『え、何!?』
『ふふっ、そんなに構えないでよ、最初は見学だけだから』
『見学?それは何…』
『それはねぇ』徳子さんの声が割って入って来た。『私達が定期的に行く社交会があるの。名前の通り社会的信用のある人だけが参加できる集まりで、でも紹介者がいれば私みたいに参加が許されるの。だから清タンも大丈夫だから』
『そうね、清美さんは口が堅そうだし、それに真面目だし。あ、真面目っていうのは普通に社会生活を送れるって意味よ』
『ちょっと待って、私行くとは…』
『ふふっ、もうダメよ。アタシと徳ちゃんの秘密を聞いたんだから、自分だけ良い子でいるのは』
『それは…』
『そうね、じゃあ取り敢えず次の予定が決まったら連絡するからね』
『お願い待って。だから行くなんて一言も…』
『まぁ考えておいて。でもアタシ、清美さんは必ず来てくれると思うわ。ほら昔の貴女、あの噂が本当なら身体の中には淫猥な血が流れている筈よ。その血に逆らうなんて、出来っこないんだから』
由紀子さんの今の言葉には、粘着質な響きを感じた。まるで、蜘蛛が獲物を糸で絡み取るようなイメージだ。
『でも安心して、今夜の事だって誰にも喋らないからね。それに秘密を隠しておく事って、それだけで快感でしょ。貴女なら分かるわよね私の云いたい事。とにかく決まったら直ぐに連絡するからね。ああ、そうだ。その時はまた女子会って事で声を掛けるから、ご主人にもそう言って家を出てくるといいわ』
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